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「ニキビの薬」についての記事まとめ

2024/03/06

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ニキビ薬のイソトレチノイン(アキュテイン)の怖い副作用

イソトレチノインの副作用に心配な女性

ニキビの治療薬として重篤な副作用を引き起こす可能性があるイソトレチノインは、アメリカにおいて1982年にFDA(日本の厚生労働省に相当する政府機関)の承認を受け、全世界で広く使用されてきました。しかし、日本国内では、現在に至るまでその使用が認められていないのです(国内未承認薬)。この記事では、イソトレチノインの危険性と副作用について深く掘り下げて解説します。特に、なぜ日本で未承認の状態が続いているのか、そしてその副作用がどのような影響を及ぼす可能性があるのかについて、詳細に説明します。

イソトレチノインとは

イソトレチノイン(一般名:Isotretinoin)は、アキュテイン(Accutane)、ロアキュテイン(Roaccutane)、ソトレット(Sotret)、アムネスティーム(Amnesteem)、クララビス(Claravis)、イソトロイン(Isotroin)、アクノティン(Acnotin)など、様々な商標名で知られる、難治性ニキビ治療用の医薬品です。この薬は、ビタミンAの誘導体であり、皮脂腺の活動を減少させることで、毛穴の詰まりやニキビの炎症を抑制する効果を持ちます。イソトレチノインの主要な作用は、皮膚内での角質細胞の分化と剥離を促進することにあります。これにより、ニキビの主な原因である毛穴の閉塞を減らし、皮脂の過剰な蓄積を抑える効果があります。さらに、イソトレチノインには炎症を抑制する作用もあるため、炎症を伴う重症なニキビの治療には特に有効です。これらの効果により、イソトレチノインは重度のニキビ治療において治療効果を発揮すると認められています。

危険すぎるニキビ治療薬と言われた訳

イソトレチノインとアキュテインの画像

イソトレチノインは発売当初では、その副作用の多さと深刻さから危険すぎるニキビ治療薬と言われました。以下の副作用は全てイソトレチノインの発売元から発表されている主な副作用です。

■精神障害

イソトレチノインは、作用機序が不明ですが、うつ病、精神病、、自殺企図、自殺、攻撃的または暴力的行動を引き起こすことがあります。そのため、イソトレチノイン治療を開始する前に、患者とその家族に精神疾患の既往歴について質問し、治療中の診察のたびに、うつ病、気分障害、精神病、攻撃性の症状がないか評価し、さらなる評価が必要かどうかを判断すべきであるとされています。

■脂質代謝異常

イソトレチノインを投与された患者約25%もが中性脂肪の顕著な上昇が報告されています。具体的には800mg/dLを超える血清トリグリセリド(中性脂肪)の上昇がイソトレチノインを投与された患者で報告されています。さらに、約15%にHDL(高比重リポタンパク質:善玉コレステロール)の減少がみられ、約7%にコレステロール値の上昇がみられたとあります。従って、血液検査による血中脂質の測定は、イソトレチノイン投与前に行うべきであり、その後、イソトレチノイン開始後4週間以内に再検査を行うべきであるとされています。

■肝機能障害

イソトレチノイン治療に関連している可能性がある肝炎が報告されています。さらに、軽度から中等度の肝酵素上昇、すなわち軽度の肝機能障害が、臨床試験中に治療を受けた人の約15%にも観察されました。

■膵炎

イソトレチノイン治療に関連している可能性がある急性膵炎が報告されています。まれですが、、致命的な出血性膵炎も報告されています。

■炎症性腸疾患

イソトレチノインは、、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)の発症に関連しています。場合によっては、イソトレチノイン治療を中止した後も症状が持続することが報告されています。腹痛、直腸出血または重度の下痢を経験した患者は、直ちにイソトレチノインを中止すべきであるとされています。

■頭蓋内圧亢進症

イソトレチノインの使用は、頭蓋内圧亢進症の多くの症例と関連しており、そのうちのいくつかはテトラサイクリン系薬剤(ミノペンなど)との併用が関与していると言われています。したがって、テトラサイクリン系薬剤との併用は避けるべきです。頭蓋内圧亢進症の初期の徴候や症状には、眼圧上昇、頭痛、悪心・嘔吐、視覚障害などがあります。

■聴力障害

イソトレチノインを服用している患者で聴力障害が報告されてます。場合によっては、治療中止後も聴力障害が持続することが報告されています。このメカニズムは不明です。

■骨への影響

イソトレチノインは、発育中の筋骨格系への影響は及ぼす可能性がありますが、これについては現在に調査中です。骨端早期閉鎖、骨粗鬆症への影響がある可能性があるとも示唆されています。

■視力障害

角膜混濁や夜間視力低下などの視力障害がイソトレチノイン治療中に報告されております。治療中止後も夜間視力低下が持続した例もあるとされています。

参照元:

Accutane Prescribing Information

イソトレチノインの性機能への影響

イソトレチノイン、一般にアキュテインとしても知られるこの薬剤は、男女双方の性機能に影響を与えることが知られています。

■イソトレチノインの女性の性機能への影響

イソトレチノイン服用により女性の月経周期に影響が出る可能性があります。特に、15歳から45歳の女性において、規則的な月経周期を持つ女性の約10.4%が、イソトレチノインの服用開始後に月経不順を経験するという研究結果があります。これらの月経不順の中で最も一般的なのは、無月経の症状です。

参照元:

The Effects of Isotretinoin on The Menstrual Cycle: A Cross-Sectional Study

■イソトレチノインの男性の性機能への影響

男性の場合、イソトレチノインの服用により性欲減退やED(勃起不全)などの問題が報告されています。これらの症状は、イソトレチノインの使用中に特に顕著になることがあります。

出典元:

Erectile dysfunction during isotretinoin therapy

イソトレチノインの最も危険な副作用

イソトレチノイン、または一般にアキュテインとして知られるこの薬剤は、重症のニキビ治療に用いられることが多いですが、その副作用の中でも特に重大なものは催奇形性です。催奇形性とは、薬剤が胎児に影響を与えて、先天的な奇形を引き起こす可能性のある性質を指します。妊娠中または妊娠を計画している女性がイソトレチノインを服用すると、胎児の正常な発達に重大な影響を与えるリスクがあり、先天性の欠陥を引き起こす可能性が高まります。さらに、男性の精子にも影響を及ぼすことから、男性も同様に注意が必要です。多くの研究により、イソトレチノインの催奇形性についてのリスクが確認されています。研究によると、胎児がイソトレチノインに曝露されると、20-35%の高いリスクで多くの先天性奇形が生じる可能性があるとされています。これには頭蓋顔面の欠損や心血管系、神経系の奇形が含まれます。イソトレチノインは皮脂腺細胞において細胞死(アポトーシス)や細胞周期の停止を引き起こし、これが催奇形作用に関連していると考えられています。このため、イソトレチノインを服用中および服用終了後の女性は少なくとも6ヶ月間、男性は2ヶ月間は避妊することが強く推奨されます。これは、薬剤の体内からの完全な排除と、催奇形性リスクの回避を確実にするためです。

イソトレチノインは危険

参照元:

Isotretinoin: Still the cause of anxiety for teratogenicity

イソトレチノインを進めない理由

イソトレチノイン(アキュテイン)は、重症のニキビ治療において一定の効果を発揮しますが、その使用には特に慎重な検討が必要です。この薬の内服期間は通常最長6か月とされ、その後最低2か月の休薬期間が必要となります。しかし、休薬期間中にニキビが再発することがしばしばあり、長期間にわたる治療が必要になる可能性があります。イソトレチノインを服用することによる副作用のリスクもまた、その使用を控えるべき理由の一つです。イソトレチノインの副作用として、脂質代謝異常が約25%、肝機能障害が約15%、月経異常が約10%の確率で発生することが報告されています。これらの高い副作用の発生率は、特に健康に影響を及ぼす可能性があることから、ニキビ治療のためにイソトレチノインを選択する際には特に十分な検討が必要です。日本の厚生労働省がイソトレチノインの使用を認可していないのも、これらの副作用のリスクを考慮した結果です。重症のニキビに対する効果が海外では認められている一方で、副作用のリスクも高いイソトレチノインの使用には、慎重な判断が求められます。

イソトレチノインについてよくあるご質問

Q:イソトレチノインはなぜ未承認なのでしょうか?

A:イソトレチノインの使用に関連する副作用の発生率が比較的高いことが、日本の厚生労働省による未承認の主要な理由と考えられます。具体的には、催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。これらの副作用のリスクが、ニキビ治療薬としての利用を見合わせる理由となっています。

Q:イソトレチノインは妊娠中も服用できますか?

A:妊娠中のイソトレチノインの使用はできません。イソトレチノインは催奇形性を持ち、妊娠中の女性が服用することで胎児に重大な影響を及ぼし、生まれてくる赤ちゃんに先天的な奇形を引き起こす可能性が高いためです。

Q:イソトロインは避妊が必要ですか?

A:はい、イソトレチノイン(イソトロイン)を使用中は避妊が必要です。イソトレチノインには催奇形性のリスクがあるため、女性だけでなく、男性も使用中は避妊をすることが求められます。

Q:イソトレチノインの避妊いつまで必要ですか?

A:イソトレチノインを服用した後の避妊は、女性の場合は6ヶ月間、男性の場合は2ヶ月間が必要です。この期間は、イソトレチノインの催奇形性リスクを考慮して設定されており、避妊を行うことで不必要なリスクを防ぐことができます。

Q: イソトレチノインで生理不順になりますか?

A:イソトレチノインを服用する女性の約10%が生理不順を経験することが報告されています。この副作用は、個人差がありますが、イソトレチノインの使用によって生じる可能性があります。

Q:イソトレチノインは危険ですか?

A:イソトレチノインは、その副作用の発生率が高いため、一部では危険な薬とされています。これが日本国内での未承認の理由の一つです。

Q:イソトレチノインの服用をやめた後はどうなりますか?

A:イソトレチノインを服用を停止すると、多くの場合、ニキビが再発することがあります。イソトレチノインはニキビの発生を抑制する効果があるため、その効果がなくなると、症状が再発しやすい傾向にあります。

Q:イソトレチノインのデメリットは?

A:イソトレチノインのデメリットは高い確率で起こる副作用と、使用を中止した場合に起こる再発です。具体的には、副作用は催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。また、イソトレチノインの使用を中止した場合は、高い確率で再発すると言われいます。

Q:アキュテイン(イソトレチノイン)中止後、 皮脂は戻りますか?

A:アキュテイン(イソトレチノイン)は、皮脂腺の活動を抑制する作用があります。そのため、薬を中止した場合、皮脂の産生は従来の状態に戻る可能性があります。このことは、イソトレチノインの効果が一時的であることを示しており、アキュテイン(イソトレチノイン)が根本的なニキビ改善にはあまり役立たないことを意味しています。

Q:イソトレチノイン、アキュテインでハゲますか?

A:イソトレチノイン(アキュテインとも呼ばれます)は、一部の患者において髪の薄毛や脱毛を引き起こす可能性があります。これは主に、イソトレチノインによるビタミンAレベルの過剰摂取や、頭皮の皮脂生産の抑制に関連しているとされています。イソトレチノインによる脱毛の発生率は約3-6%であり、治療期間が長いほど脱毛のリスクが高まります。しかし、多くの場合、治療終了後には髪の毛が再生することが報告されています。

Q:イソトレチノインの副作用で死亡例の報告はありますか?
A:イソトレチノインの副作用による死亡例については、稀なケースではあるものの、一部の情報源で言及されています。特に注目されているのは、脳圧の増加に関連する副作用です。これにより、重篤な頭痛、視力問題、永続的な視力喪失、そして極めて稀ではありますが、死亡に至るケースが報告されています。このような重篤な副作用のリスクは、イソトレチノインの使用を慎重に検討する際の重要な要因となります。

重症なニキビにアグネスがおすすめ

重症なニキビに対するアグネス治療は、特に反復するニキビのケースにおいて高い効果を発揮します。イソトレチノインのような重症ニキビ治療薬の使用が考慮される場合でも、アグネス治療は優れた代替手段となることが多いです。この治療法は、超極細の針を用いて皮脂腺を直接破壊することにより、ニキビを治療し、再発の可能性を大幅に減少させます。即効性があり、一度治療した部位のニキビが再発することはほとんどありません。外用薬や内服薬では改善が見られなかったニキビも、アグネス治療によって解決する可能性があります。副作用が懸念されるイソトレチノインの使用を検討する前に、アグネス治療の選択肢を考慮することをお勧めします。

まとめ

この記事では、重症なニキビ治療薬であるイソトレチノイン(アキュテイン)の潜在的な危険性とその副作用について詳細に検討しました。イソトレチノインは効果的な治療薬であるものの、その使用には慎重な判断が求められます。副作用のリスクが高いこと、特に催奇形性や他の健康上の問題が懸念されるため、患者様や医師はこの薬剤の使用を検討する際に十分な情報を持つことが重要です。また、イソトレチノインの代わりに、アグネス治療を選択肢として考えることも一つの方法です。アグネスは、特に繰り返すニキビに効果的で、副作用のリスクがなく、治療部位のニキビが再発しないため最善のニキビ治療地と言えます。この記事が、ニキビ治療の選択肢を検討する際の知識を深め、より安全な治療法の選択に役立つことを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/03

院長ブログトップ > 【ニキビに処方される薬】おすすめの薬とその効果について

【ニキビに処方される薬】おすすめの薬とその効果について

にきびの薬で効果があるものを探している女性

2023年に日本皮膚科学会よりニキビ治療の最新のガイドラインが発表されました。ガイドラインには、日本国内で保険診療において推奨される効果的なニキビ治療薬が詳細に掲載されています。この記事では、このガイドラインに基づいて、ニキビ治療において使うべきおすすめの薬についてその効果やメカニズムなどに詳細に解説します

そもそもガイドラインとは

日本で様々な疾患に対してそれを専門とする学会があり、ガイドラインはこれらの学会が発表されています。ガイドラインは、医療の質を高め、患者さんに最適な治療を提供するために非常に重要な役割を果たしています。ガイドラインは、最新のエビデンス(研究や論文による科学的根拠)に基づいて作成され、医師や医療関係者に最新の医学知識と治療方法を提供します。これにより、保健診療において全国の異なる医療機関でも一定の質の高い治療が提供され、治療の標準化が図られます。また、ガイドラインは、治療成果や患者様の満足度などを考慮して定期的に見直され、これにより、医療の質が常に最新の科学的根拠に基づいて向上し続けることが期待されています。このように、専門学会のガイドラインは、患者さんにとって最良の治療方法を保証するための重要な手引きとして機能しています。

ニキビの最新のガイドラインとは

ニキビ(医学用語では尋常性痤瘡と言います)の最新のガイドラインは2023年に日本皮膚科学会より発表され、「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」としてネット上でも閲覧可能です。このガイドラインの中ではさまざま治療方法に対して、推奨度を決めており、その根拠になっているエビデンスに対してもエビデンスレベルを決めております。

エビデンスレベルと推奨度の分類は下記のようになっています。

■エビデンスレベルの分類

数字が小さいほど、科学的なエビデンスの信用度が高いことを意味します。

I: システマティックレビュー,メタアナリシス

II :1つ以上のランダム化比較試験

III:非ランダム化比較試験(統計処理のある前後比較 試験を含む)

IV:分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究)

V: 記述研究(症例報告や症例集積研究)

VI: 専門委員会や専門家個人の意見

■推奨度の分類

A :‌行うよう強く推奨する(少なくとも 1 つの有効性 を示すレベル I もしくは良質のレベル II のエビデンスがある).

A*:行うよう推奨する(A に相当する有効性のエビデンスがあるが,副作用などを考慮すると推奨度が 劣る).

B ‌:行うよう推奨する(少なくとも 1 つ以上の有効性 を示す質の劣るレベル II か良質のレベル III ある いは非常に良質の IV のエビデンスがある).

C1 ‌:選択肢の一つとして推奨する(質の劣る III~IV, 良質な複数の V,あるいは委員会が認める VI のエビデンスがある).

C2:十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない (有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある).

 D: 行わないよう推奨する(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)

出典元:

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023

ニキビのガイドラインで推奨度Aの塗り薬

「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」においてすべてのニキビ(炎症性皮疹と面皰)に対して推奨度Aの塗り薬は主成分が過酸化ベンゾイルとアダパレンの2つのみです。この2つが塗り薬ではおすすめの処方薬となります。

■過酸化ベンゾイルとは

ニキビに効くベピオゲル

過酸化ベンゾイルを主成分とする塗り薬ではベピオゲルが先発医薬品で、2015年に発売された比較的新しい処方薬です。過酸化ベンゾイルはニキビ治療に広く用いられる外用薬で、以下に、その主な特徴を詳しく説明します。

抗菌作用: ベピオゲルはニキビの主要な原因菌でアクネ菌に対して強力な抗菌効果を発揮します。この薬剤は皮脂腺内で分解され、強い酸化剤として作用し、バクテリアの細胞壁を破壊します。

角質層の軟化と剥離: 過酸化ベンゾイルは角質層を軟化させ、古い角質を除去する効果があります。これにより、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの形成を予防すると同時に、既存のニキビの治療を促進します。

抗炎症作用: 過酸化ベンゾイルには炎症を軽減する作用があります。これは、炎症を引き起こす因子の生成を抑制することにより、ニキビに伴う赤みや腫れを減少させます。

皮脂生成の抑制: 一部の研究では、ベピオゲルが皮脂腺の活動を抑制し、皮脂の過剰な生成を減らす可能性が示唆されています。

使用上の注意点としては、過酸化ベンゾイルは肌に対して刺激が強いため、使用初期には乾燥、赤み、はがれ、痒みなどの副作用が発生することがあります。これらの症状は通常、使用を続けることで徐々に軽減されますが、重度の刺激やアレルギー反応が現れた場合には使用を中止し、医師の診察を受けることが重要です。また、過酸化ベンゾイルは布などを漂白する性質があるため、使用時には衣類やタオルなどに注意が必要です。以上のように、ベピオゲルはその抗菌作用、角質層の軟化・剥離効果、抗炎症作用、および皮脂生成の抑制効果により、ニキビ治療において重要な役割を果たします。

■アダパレンとは

ディフェリンゲルのにきび薬

アダパレンを主成分とする塗り薬ではディフェリンゲルが先発医薬品で、2008年に日本国内では発売されました。ディフェリンゲルは、ニキビ治療に用いられる外用薬の一種で、エビデンスに基づいたそのメカニズムや効能について、以下のように説明します。

レチノイド作用: アダパレンは合成レチノイドであり、ビタミンAの誘導体です。この薬は、細胞の成長と分化に関わるレチノイド受容体に作用します。特に、ディフェリンゲルは特定のレチノイド受容体に選択的に結合することで、皮膚の角質層の正常化を促進し、毛穴の詰まり(コメド)の形成を防ぎます。

抗炎症効果: アダパレンには、ニキビの炎症を減少させる効果があります。これは、炎症を引き起こす細胞因子の活動を抑制することによるものです。これにより、ニキビによる赤みや腫れを軽減します。

角質層の正常化: ディフェリンゲルは、皮膚の角質層の剥離を促進し、毛穴の詰まりを解消します。これにより、コメドの形成を防ぎ、既存のコメドを除去する助けとなります。

皮脂腺活動の調節: いくつかの研究では、アダパレンが皮脂腺の活動を調節し、皮脂の過剰な分泌を抑える可能性が示唆されています。

使用上の注意として、アダパレンの初期使用では、皮膚の乾燥、赤み、痒み、刺激感などが起こることがありますが、これらは通常、使用を続けることで時間と共に減少します。また、アダパレンは光に敏感なので、使用中は日焼けを避けるか、日焼け止めを使用することが推奨されます。また、妊娠中や授乳中の女性には使用を避けるか、医師の指導の下で使用することが重要です。以上のようにディフェリンゲルは、その角質層の正常化作用、抗炎症効果、および皮脂腺活動の調節により、ニキビ治療において効果的な薬剤とされています。

ニキビのガイドラインで推奨度Aの飲み薬

額のにきびの治療薬とは

「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」において飲み薬が推奨度Aを得ているのはニキビが炎症性皮疹(赤ニキビと黄ニキビ)の場合のみで、その薬もドキシサイクリン、ミノサイクリンのみです。この2つが飲み繰りではおすすめの処方薬となります。

■ドキシサイクリンとは

ドキシサイクリンは、ニキビ治療に使用されるテトラサイクリン系の抗生物質の一つです。ドキシサイクリンは、ニキビの主要な原因菌であるアクネ菌に対して強力な抗菌効果を示します。この薬は細菌のタンパク質合成を阻害し、その増殖を抑制します。これにより、アクネ菌の数を減少させ、ニキビの発生を抑制します。ドキシサイクリンには、ニキビの炎症を抑制する効果があります。炎症はニキビの赤みや腫れの原因であり、この炎症を抑えることで、ニキビの症状を軽減することができます。一部の研究では、ドキシサイクリンがコメドの形成を抑制する可能性が示唆されています。コメドはニキビの初期段階であり、これを抑制することでニキビの進行を防ぐ効果が期待されます。使用上の注意点として、ドキシサイクリンは光線過敏症(日光に対する過敏反応)を引き起こす可能性があるため、日焼けを避けることが推奨されます。また、胃腸障害やめまいなどの副作用が起こることがあるため、医師の指示に従って使用することが重要です。

■ミノサイクリン(ミノペン🄬)とは

ミノサイクリン(商品名:ミノペン)もドキシサイクリンと同様に、ニキビ治療に使用されるテトラサイクリン系の抗生物質です。ミノペンは、ニキビの原因となるアクネ菌(に対して強力な抗菌効果を持っています。この薬は、細菌のタンパク質合成を阻害し、その増殖を抑制することで、ニキビの原因菌の数を減らします。この薬は、ニキビに伴う炎症反応を抑える効果も持っています。炎症はニキビの赤みや腫れを引き起こす主要な因子であるため、この作用はニキビの症状を軽減します。ミノサイクリンによるアクネ菌の増殖抑制と炎症抑制により、ニキビの進行を防ぐ効果があります。特に、毛穴に詰まった皮脂が悪化して感染を引き起こす中等症から重症のニキビに有効です。使用上の注意点として、ミノペンは、副作用として光線過敏症(日光に敏感になること)、胃腸障害、めまいなどが報告され

その他のニキビの塗り薬と飲み薬について

推奨度Aの薬はこれまで紹介した4つ(塗り薬2つ、内服薬2つ)のみです。ただ、ニキビの薬はその他にもたくさんあります。それぞれの推奨度と合わせて簡単に解説します。

■ニキビの塗り薬

外用抗菌薬(クリンダマイシン,ナジフ ロキサシン,オゼノキサシン)は炎症性皮疹(赤ニキビと黄ニキビ)に対しては推奨度A、面皰(白ニキビ、黒ニキビ)に対しては推奨度C2で推奨しないとされています。

非ステロイド系抗炎症外用薬(イブプロフェンピコ ノールクリーム)は炎症性皮疹(軽症から中等症)に対しては推奨度C1で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

ステロイド外用薬は推奨度C2であり、炎症性皮疹に対してはステロイド外用を推奨しないとされています。

アゼライン酸外用は保険適用外の外用剤ですが、推奨度C1 で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

ビタミン C 外用(テトラヘキシルデカン酸 アスコルビルと L-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム の外用)は炎症性皮疹、炎症後の紅斑に使用されますが、保険適用外のためC2という判断です。

イオウ製剤外用はC1で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

■ニキビの飲み薬

ドキシサイクリン/ミノサ イクリン以外の抗生剤についてですが、炎症性皮疹に対してロキシスロマイシン/ファロペネムは推奨度B、テトラサイクリン/エリスロマイシン/クラリスロマイシン/レボフロキサシン/トスフロキサシン /シプロフロキサシン/ロメフロキサシン/ セフロキシムアキセチルは推奨度C1です。(抗生剤は面皰に対しては適用がありません)

漢方薬については荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯は炎症性皮疹に対しては推奨度C1で、黄連解毒湯,温清飲,温経湯,桂枝茯苓丸は炎症性皮疹に対してはC2です。面皰(白ニキビ、黒ニキビ)に対してC1は荊芥連翹湯のみで、その他すべての漢方薬はC2で推奨しないとされています。

ステロイド内服、DDS(diaminodiphenyl sulfone、dapsone)内服、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)内服はC2で推奨しないとされています。

経口避妊薬(いわゆるピル)はC2で推奨しないとされています。

スピロノラクトンはC2で推奨しないとされています。

ビタミン薬内服はC2で推奨しないとされています。

まとめ

本記事では、日本国内で保険診療におけるニキビ治療に用いられる薬剤について、最新の使用法と正しい知識を総合的にご紹介しました。特に、過酸化ベンゾイルとアダパレンという二種類の塗り薬、ドキシサイクリンとミノサイクリンという二種類の飲み薬は、その効果と安全性に基づき、特に推奨されており、おすすめの処方薬です。一方で、漢方薬を含む他の薬剤については、現時点ではエビデンス(科学的根拠)が不十分であり、一概に推奨することは難しいと言えます。しかし、これらの薬剤がニキビ治療に無効であるわけではなく、患者様個々の状態に応じて、医師の判断で効果的に用いられる場合もあります。この記事が、ニキビ治療薬に関する皆様の理解を深め、適切な治療選択の一助となれば幸いです。ニキビ治療における薬剤選択に際しては、その薬がガイドラインにおいてどのような位置づけであるかを理解することが非常に重要です。皆様のニキビ治療への知識が一層深まることを願っています。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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