カテゴリー:美肌治療
2024/03/21
院長ブログトップ > 【脂性肌のスキンケアと治し方】オイリー肌はニキビの原因?
【脂性肌のスキンケアと治し方】オイリー肌はニキビの原因?
脂性肌、多くの人々が日々直面しているスキンケアの難題です。特に、オイリー肌はニキビの主要な原因の一つとされていますが、本当にそうなのでしょうか?このブログでは、脂性肌の基本的な特徴、そしてニキビとの関連性について掘り下げます。また、効果的なスキンケアの方法と脂性肌を改善するための具体的な治療法を解説します。脂性肌に悩む皆さんへ、根拠に基づいた情報と実用的なアドバイスをお届けしましょう。
脂性肌とは?
脂性肌、またはオイリー肌とも呼ばれるこの肌タイプは、皮脂腺から過剰な皮脂が分泌される状態を指します。人の皮膚、特に顔には、この皮脂が毛穴の一つ一つある皮脂腺から分泌され、皮膚の表面を覆っています。皮脂の主な役割は、皮膚を保湿し、外部の微生物から守ることです。しかし、皮脂腺の活動が過剰になると、肌は油っぽくテカリやすくなり、肌のトラブルの原因になることもあります。人によって皮脂の分泌量は異なるため、肌質も乾燥肌から脂性肌まで様々です
肌タイプとは
肌タイプは乾燥肌(ドライ肌)、普通肌、混合肌、脂性肌(オイリー肌)の4つに分類されます。乾燥肌は水分不足がちで乾燥している状態で、普通肌はバランスが取れた状態を指します。脂性肌は皮脂分泌が過剰な肌を意味します。混合肌はこれらの特徴を複合的に持ち合わせており、一般的にはTゾーン(額、鼻、あご)が脂性肌、頬が普通肌か乾燥肌であることが多いです。肌タイプを理解することは、適切なスキンケアを選択し、肌トラブルを防ぐ上で非常に重要です。
出典元:
Is Oilier Skin More Prone to Acne?
自分の肌は何タイプ?
自分の肌のタイプを正確に理解することは、効果的なスキンケアを実践する上で欠かせません。もしあなたの肌が光沢を放ち、しばしば吹き出物に悩まされるなら、脂性肌または混合肌の可能性が高いでしょう。脂性肌では、皮脂分泌の過剰によって、顔の輝きが増し、毛穴が目立つようになります。また、この肌タイプは、脂漏症などの慢性的な皮膚状態に繋がることもあります。混合肌の場合は、乾燥部分と脂っぽい部分が顔に混在していることが特徴で、多くの人に共通する肌タイプです。特にTゾーン(鼻、あご、額)は油性傾向があり、頬など他の部分はカザカザと乾燥していることが多く見られます。
脂性肌はニキビができやすいか?
脂性肌とニキビの発生の関係は、多くの研究により支持されています。皮脂分泌が増加すると、ニキビが形成されるリスクも高まることが一般的に認識されています。脂性肌は普通肌に比べてニキビが発生しやすいとされており、これは医学界でも広く認められた事実です。皮脂の量が多いほどニキビができやすいという傾向が見られますが、皮脂の過剰分泌がニキビを引き起こす具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。この分野における研究は続いており、新しい情報が常に更新されています。
出典元:
Facial sebum affects the development of acne, especially the distribution of inflammatory acne
脂性肌の原因は?
脂性肌の根本的な原因を解明することは、適切なスキンケアを行う上で重要です。皮脂腺からの皮脂の過剰な分泌が脂性肌を引き起こし、その背景には遺伝的要因、年齢、ホルモンバランス、環境的影響、さらには日常の生活習慣などさまざまな要因が関係しています。脂性肌は予期せぬタイミングで突然現れることもあり、ストレス、水分不足、甘い食事、適切でない洗顔習慣などが原因となることもあります。こうした様々な要因によって皮脂の分泌が促され、肌の健康と外観に影響を与えるのです。以下にそれぞれについて解説します。
■遺伝的要因
遺伝的要因は、肌のタイプを決定づける主要な要素であり、特に脂性肌の発生に深く関与しています。多くの場合、皮脂を過剰に分泌する大きな皮脂腺は、遺伝的な特性として親から子へと受け継がれます。この遺伝的な傾向は、脂性肌が家族の世代を通じて見られる一因となっており、特定の個人が脂性肌になるリスクが高まる要因となっています
■年齢
年齢に伴う肌の変化は、特に思春期から青年期にかけて顕著に現れます。この時期にはアンドロゲン(男女双方に存在する男性ホルモン)が活発化し、皮脂腺の活動が増加するため、脂性肌になりやすくなります。しかし、年齢が上がるにつれてホルモンバランスが変化し、コラーゲンの生成速度が減少し、皮脂腺の活動も緩やかになるため、肌質も変わってきます。
■ホルモンバランス
ホルモンバランスは脂性肌の発生と深く関連しています。特にアンドロゲンは皮脂の分泌に大きな影響を与え、そのレベルの変動は思春期、妊娠、更年期に顕著になります。また、月経周期においても、ホルモンバランスの変化が皮脂分泌に影響を与えることがあります。周期の特定の時期にプロゲステロンのレベルが高まることで、皮脂腺がより活発に働き、結果として脂性肌の特徴が強まることがあります。
■食生活
食生活の影響は、脂性肌において重要な役割を果たします。特に、糖分や炭水化物、飽和脂肪酸が豊富な高グリセミック指数の食品は、皮脂分泌の過剰に繋がることがあります。これらはインスリンの急上昇を引き起こし、毛穴の詰まりや肌のコンディションの悪化に寄与します。また、体内のアンドロゲンレベルを上昇させ、ホルモンバランスの変化をもたらすことも指摘されています。なお、フライドポテトなどの脂っこい食べ物を多く摂取することが直接的に脂性肌を引き起こすわけではないという点に注意が必要です。
■薬
ホルモン剤の使用、特に避妊用ピルやホルモン補充療法は、皮脂の分泌を増加させる可能性があります。これらの薬剤はホルモンバランスに影響を与え、結果として皮脂腺の活動を刺激することがあるのです。薬剤によるホルモンの変動は、脂性肌の症状を引き起こしたり悪化させたりする一因となり得ます。
■気候や居住環境
気候や居住環境は脂性肌に大きな影響を与える要因です。暑さや湿度の増加は皮脂分泌を促し、特に春から夏にかけて脂性肌が顕著になりがちです。この時期には毛穴の拡大や顔の光沢が目立つ人が増えます。逆に、低温の気候では肌が乾燥しやすくなります。熱帯気候に住む人々は、温帯地域に住む人々よりも脂性肌になる傾向があるため、居住地によっても肌質は変わることが分かります。
■ストレスと睡眠
ストレスはコルチゾールなどのホルモンを活性化させ、これが皮脂の過剰な分泌を引き起こす可能性があります。ストレス管理と質の良い睡眠は、脂性肌をコントロールし予防するために非常に重要です。休息と充分な睡眠は、ホルモンバランスを整え、皮脂の分泌を正常化する効果があり、健康的な肌状態の維持に寄与します。
■化粧品とスキンケアの習慣
化粧品選びとスキンケア習慣は脂性肌の状態に大きく影響を及ぼします。適切でない製品の使用や、肌への過度な刺激、保湿の欠如、日焼け止めの使用を怠るなどの行為は、皮脂分泌に悪影響を与えることがあります。
脂性肌の予防対策
脂性肌の予防には、効果的なスキンケアの継続が不可欠です。毎日朝晩の洗顔、オイルフリーかつノンコメドジェニックのスキンケア製品の選択、適切な保湿剤と日焼け止めの使用は、肌の状態を整える上で重要です。また、水分補給とバランスの取れた食生活は、肌の健康を内側から支える役割を果たします。特に、水分不足は皮脂の過剰分泌を招き得るため、十分な水分摂取が推奨されます。低GI食品の摂取は皮脂レベルを適切に保つのにも効果的です。肌への過度な刺激を避け、普段から顔を触ることを控えることも、脂性肌の予防に重要な要素です。顔を触ることは、ニキビ菌や汚れを持ち込む可能性があるだけでなく、油分を周りに広げる可能性があるからです。これらの習慣を意識して取り入れることで、脂性肌のリスクを減らします。
脂性肌の根本的な治療方法
脂性肌の根本的な改善には、医療機関での専門的な治療が必要です。脂性肌は遺伝的な要因や年齢による変化が大きいため、予防対策だけでは十分な効果を得られないこともあります。医師による診察のもと、特定の治療法方法利用することで、脂性肌の症状を根本から改善することが可能です。以下の治療方法を推奨します。
■アグネスで皮脂腺を破壊
アグネス治療は、絶縁された極細針を使用し、皮脂腺を一つずつ熱分解して破壊する方法です。ある研究では、アグネスが顔面の皮脂過剰症(脂性肌)を持つ成人女性に対して行われ、4回の治療後に6ヶ月のフォローアップで症状の改善が確認されました。治療により、皮脂腺の数が減少し、皮脂分泌も減少することが示されています。アグネスは、皮脂腺を破壊する方法で唯一脂性肌の根本的な治療方法として、即効性が期待される治療方法です。
出典元:
Selective electrothermolysis of the sebaceous glands: treatment of facial seborrhea
■ボトックス
ボトックス、またはボツリヌストキシンは、近年脂性肌の治療に有望な効果を示しています。ある研究では、脂性肌を持つ被験者がTゾーンにボトックスの皮内注射を受け、その結果、多くの被験者が皮脂分泌と毛穴の大きさの改善を経験しました。別の研究では、ボトックスの前額部への注射を受けた被験者の大多数が治療後に皮脂分泌の減少を報告し、91%が治療に満足していました。これらの結果から、ボトックスが脂性肌治療の有効な治療方法であることが示されています。ボトックスの効果は6か月前後となるため、継続的な効果を望まれる場合は定期的な注入が必要です。ただ、ニキビが悪化した場合の即効性がある治療としては期待ができます。
出典元:
Oily Skin: A review of Treatment Options
ケミカルピーリングによる脂性肌治療の落とし穴
ケミカルピーリングは脂性肌の治療法として多くのクリニックで推奨されていますが、私の見解では、この方法を推奨することはありません。ケミカルピーリングは皮脂腺から油性成分を除去し、一時的に肌の状態を改善することがあります。しかし、この処置による肌の乾燥は逆に皮脂腺を刺激し、結果的に脂性肌が元の状態に戻ったり、さらに悪化するリスクがあります。
まとめ
脂性肌の管理と対策には食生活やスキンケアなどの日常生活でのセルフケアが重要ですが、遺伝的要因が関与しているケースも多く、根本的な治療が求められることもあります。その際、私が特に推奨する治療法は「アグネス」です。アグネスは皮脂腺1つ1つを完全に破壊する治療方法で、脂性肌の改善に効果的です。この記事が、脂性肌に悩む方々の役に立つことを願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
【関連項目】
【アグネスに効果がない!】科学的検証に基づくアグネスの真の効果
2024/02/29
院長ブログトップ > 【胸・デコルテにできる様々なブツブツ】原因と対策と治療法
【胸・デコルテにできる様々なブツブツ】原因と対策と治療法
女性の胸やデコルテに現れる様々なブツブツは、ただの肌のトラブルに留まらず、自信を失わせることもあります。これらは、しばしば視覚的な不快感を引き起こし、社交的な場面における自己表現や男性との交流にも影響を及ぼすことがあります。この記事では、女性の胸周囲やデコルテに出現するこれらのブツブツの原因を深く掘り下げ、効果的な対策と治療方法を詳細に解説し、皮膚の健康と美しさを保つためのヒントを提供します。
女性の胸周囲にブツブツがたくさんできる理由
女性のデリケートな胸周囲やデコルテにおいて、多く見られるブツブツの発生には、その特有の環境要因が深く関わっています。このような環境要因の中でも、特にブラジャーの使用による影響が大きいと言えるでしょう。特に、サイズが合っていない下着は、谷間やアンダーバスト(下乳)に不必要な摩擦を引き起こし、その結果、イボやニキビといった船のブツブツの一因となります。また、バスト自体が皮膚トラブルを起こしやすい特性を持つことも、胸のブツブツが頻繁に発生する原因の一つです。特に、女性の胸の谷間部分は、他の部位と比べて発汗が多く、温度と湿度が高い状態になりがちです。このような高温多湿の環境は、「胸にきび」の主原因とされているマラセチア(一種のカビ)の増殖を促し、あせもの発生を引き起こすことがあります。
胸・デコルテにできるブツブツや肌のトラブルの種類
胸部に生じる様々なブツブツや皮膚のトラブルには、いくつかの顕著なタイプがあります。これらには、「胸にきび」として知られるもの、発汗による「胸のあせも」、色の異なるイボ(「茶色のイボ」や「赤いイボ」)などが含まれます。さらに、「胸汗によるトラブル」という形で現れる悩みも見受けられます。以下より、これらの各トラブルについて、一つ一つ丁寧に詳細を解説していきます。特に、これらの皮膚トラブルがどのようにして発生するのか、その特性や原因を深く掘り下げ、理解を深めることが重要です
■胸ニキビ
胸やデコルテに現れるニキビ、一般に「胸ニキビ」と称される状態は、真菌性ニキビ(マラセチア毛包炎)であることが多く、これは顔に現れる一般的なニキビとは異なる特徴を有します。この真菌性ニキビの原因は、皮膚に常在するマラセチア真菌が毛穴内で過剰に増殖し、それに伴う炎症によるものです。胸元は、下着による摩擦やその締め付けによって毛穴が損傷したり、下着と皮膚との間の高温多湿な環境が形成されやすいため、このような真菌(マラセチア)が増殖しやすい状況となります。これらの要因が複合的に作用し、胸やデコルテにマラセチア毛包炎という特有のニキビが発生するのです。
■胸のあせも
胸部とデコルテ領域は、特にあせもが発生しやすい環境にあります。この事実は、特に胸の谷間やアンダーバスト(下乳)のように、皮膚が互いに密接に接触する傾向がある部位において顕著です。これらの部位では、汗と熱がこもりやすくなり、結果として汗腺の正常な機能が妨げられることがあります。さらに、バストサイズが大きい方や肥満体型の方では、これらのエリアでの発汗量が通常よりも多くなる傾向があります。これは、体内の熱が皮下脂肪の存在によって外部に放出されにくいことが一因とされます。こうして大量の汗が一箇所に留まると、汗腺が詰まり、あせもの発生に繋がるのです。
■胸の茶色のイボ
胸部に現れる茶色いイボ、一般に「アクロコルドン」と呼ばれるものは、スキンタグ、老人性イボ、軟性線維腫とも称されます。これらのイボは、皮膚の色に近いか、または茶色をしており、その発生機序は完全には明らかになっていませんが、一般的には皮下脂肪が薄い部位や、加齢とともに摩擦が生じやすい皮膚でより発生しやすいとされています。特にアンダーバスト(下乳)、谷間、デコルテといったエリアは、皮膚同士の接触や下着による摩擦が頻繁にあるため、アクロコルドンが生じやすい部位と言えます。また、バストが大きい方では、これらのイボが胸周囲に多数現れる傾向があります。
■胸の赤いイボ
胸やデコルテに見られる赤いイボは、一般に「老人性血管腫」と呼ばれ、皮膚の老化に伴い現れる非常に一般的な現象です。この赤いイボは、加齢に伴って全身に生じることがありますが、特に胸やデコルテに集中して多発することも珍しくありません。通常、これらの胸の赤いイボは無症状であり、健康上の害はほとんどないとされていますが、摩擦によって出血することがあるため、注意が必要です。
■胸汗のトラブル
胸の谷間やアンダーバスト部分は、他の体部位に比べて特有の環境を持ち、これが汗のトラブルを引き起こしやすい要因となっています。特に胸の谷間は他の部位よりも高温になることは医学的に確認されており、エクリン腺(汗腺の一種)の活動が他の部位よりも活発であるとされております。加えて、胸部は特に、下着や衣服によって覆われることが多く、特にバストが大きい場合には皮膚同士の接触が増え、その結果として密閉された状態になりやすいです。このような状況は、熱と湿度がこもりやすく、汗が分泌されやすい環境を形成します。これらの条件が重なることで、胸汗に関連した多汗症といった悩みを生じさせます。
↑胸の谷間部分だけ高温になることを確認した医学論文の中の図
出典元:
Regional sweat rates in humans
胸やデコルテのブツブツの治療
胸やデコルテのブツブツ治療において、まず最も重要なのは、適切かつ正確な診断を行うことです。特に、胸ニキビに関しては、顔のニキビに用いられる一般的な薬剤が効果を示さないため、適切な対処が遅れることで症状が悪化することは珍しくありません。以下では、胸・デコルテに生じる様々なブツブツについて、それぞれの状態に合わせた治療方法を解説していきます。
■胸やデコルテのブツブツがニキビである場合
胸やデコルテのブツブツがニキビである場合、その治療には特別なアプローチが求められます。特に注目すべき治療法として、「アグネス」という方法が推奨されます。アグネスは、さまざまな種類のニキビに対して効果的であり、その即効性が大きなメリットとなります。アグネスは、特に皮膚表面の問題を迅速に解決するためのものであり、多くの患者に対して好結果をもたらしています。さらに、胸のニキビがマラセチア毛包炎によるものである場合、アグネス治療と並行して抗真菌薬の使用を推奨します。この二つの治療法を併用することで、ニキビの原因となる真菌の増殖を抑制し、より効果的にニキビを治療することが可能になります。このように、胸やデコルテのニキビに対しては、その原因と特性を正確に把握し、それに適した治療法を選択することが、美しいバストの肌を取り戻す鍵となります。
■胸やデコルテのブツブツがイボの場合
胸やデコルテに現れるブツブツがイボの場合、その治療方法として炭酸ガスレーザーの利用が推奨されます。赤いイボであれ、茶色のイボであれ、炭酸ガスレーザーによる治療は、跡が残りにくく、肌をきれいに回復させる効果が期待できます。ただし、炭酸ガスレーザーによる治療は保険診療の対象外ですので、イボをきれいに除去し、美しい肌を取り戻したい場合には、美容皮膚科や美容外科の受診をおすすめします。美容の専門医は、炭酸ガスレーザー治療に関する豊富な経験と知識を有しており、患者の肌の状態に応じた最適な治療法を提供します。
■胸やデコルテのブツブツの原因があせもや胸汗の場合
胸とデコルテのブツブツやトラブルやがあせもや胸汗に起因する場合、これらの症状の根本的な原因は多汗症にあることが多く見受けられます。胸の多汗症に対する治療法として、特に推奨されるのがボトックス注射です。ボトックス注は、多汗症に対して高い効果を発揮し、約6か月間にわたる発汗抑制効果をもたらすします。ボトックスは、エクリン汗腺の過剰な活動を抑制する作用があり、これにより過度の発汗を効果的にコントロールすることができます。ボトックス注射による治療は、短時間で行うことが可能であり、治療後も日常生活に全く制限が起こらないという利点があります。
胸やデコルテのブツブツの予防
胸やデコルテのブツブツを予防するためには、その原因を理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。胸ニキビの一因であるマラセチア毛包炎、あせも、そして胸汗による肌トラブルは、主に胸部の過度な汗やその放置が原因となります。また、ブラジャーのサイズが合っていないことによる慢性的な摩擦も、イボやあせもを引き起こす重要な要因です。従って、胸やデコルテのブツブツの発症を予防するためには以下が重要です。
1.適切なサイズのブラジャーの選択
胸やデコルテのブツブツを予防する第一歩として、適切なサイズのブラジャーを選択することが非常に重要です。サイズが小さすぎるブラジャーは、肌に対する不必要な摩擦や圧迫を引き起こし、あせも、胸汗、ニキビ、アクロドン(イボ)の原因となる可能性があります。反対に、大きすぎるブラジャーもまた、肌同士の適切な隔離を行えず、同様にあせもやニキビを引き起こす原因になり得ます。適切なサイズと快適なフィット感を備えたブラジャーを選ぶことにより、下着と皮膚、または皮膚同士の不必要な摩擦を防ぐことが可能になります。これは、胸やデコルテのブツブツの発生を効果的に予防するための基本的かつ重要なステップとなります。
2.通気性の良いブラジャーの選択
胸やデコルテのブツブツを予防するうえで、ブラジャーの通気性も非常に重要な要素です。サイズの選定と同じくらい、どのような素材や設計のブラジャーを選ぶかが肝心です。穴あきメッシュ仕様のカップや裏地、吸水速乾性に優れた素材、薄手のレース生地を使用したブラジャーは、通気性を高め、快適な着心地を提供します。通気性が悪いブラジャーを長時間着用すると、ブラジャー内部に高温多湿の環境が生まれやすくなります。このような環境は、胸やデコルテにブツブツができるリスクを高めることになります。したがって、日々の下着選びにおいて、通気性を意識することは、胸やデコルテのブツブツや他の皮膚トラブルを予防する上で効果的な対策となります。
3.ノンワイヤーブラジャーの選択
胸やデコルテのブツブツを予防するうえで、ノンワイヤーブラジャーの選択は重要な役割を果たします。ワイヤーが入っていないノンワイヤーブラジャーは、特に胸の下の部分やワイヤーが接触する部位において、摩擦や汗が生じるリスクを軽減します。ワイヤーのないデザインにより、圧迫感が少なくなり、肌への優しさと快適な着用感が向上します。これにより、肌の摩擦や過度な発汗を抑え、ブツブツの発症を予防する助けとなります。ただし、ノンワイヤーブラジャーはワイヤーブラジャーに比べてホールド力が低い場合があります。そのため、フルカップタイプの選択や、涼しい日にはワイヤーブラジャーを選ぶなど、自分のバストの状態や活動に合わせて適切なバランスを取ることが大切です。
4.こまめな汗の拭き取りや汗吸収パッドや汗拭きシートの活用
胸やデコルテのブツブツ予防において、汗の管理は非常に重要です。汗を放置することは、胸ニキビや胸のあせもの直接的な原因となり得るため、特に注意が必要です。この問題を効果的に解決するためには、汗吸収パッドや汗拭きシートの積極的な活用が推奨されます。例えば、汗吸収パッドをブラジャーの下や谷間に挟むことで、肌と肌の直接的な接触を減らし、発汗を効果的にコントロールします。これにより、汗による不快感や皮膚トラブルのリスクを軽減することが可能です。また、日中の活動中や運動後など、汗をかいた際には汗拭きシートで素早く汗を拭き取ることが重要です。
5.正しいシャワーの活用法
胸やデコルテのブツブツを予防する上で、日々の清潔習慣、特にシャワーの正しい使い方は非常に重要です。胸ニキビやあせもの予防には、身体を清潔に保つことが不可欠です。特に、大量に汗をかいた後は、帰宅後すぐにシャワーで汗や汚れを洗い流すことをお勧めします。これは、マラセチア毛包炎の増殖を抑え、あせもを予防するために効果的です。また、シャワーを浴びる際は、石けんを十分に泡立て、肌に優しく洗うことが肝心です。肌を強くこすることは避けてください。強くこすり過ぎると、皮膚の天然の保護層であるバリア機能が損なわれ、結果としてマラセチアの増殖やあせものリスクを高めてしまう可能性があります。
6.毛の処理
胸やデコルテのブツブツ予防において、毛の処理方法にも注意が必要です。剃毛や毛抜きを用いた毛の除去は、しばしば毛穴への損傷や刺激を招く可能性があり、これが胸ニキビ(マラセチア毛包炎)の原因となることがあります。特に胸周囲のムダ毛が気になる場合、より肌に優しい処理方法としてレーザー脱毛の受診をおすすめします。レーザー脱毛は、肌表面を傷つけることなく、毛根に直接作用するため、毛穴へのダメージを大きく軽減します。また、長期的な効果を期待できるため、繰り返しの処理による肌への負担も減少します。
7.スキンケア用品や制汗剤の使用後は注意
胸やデコルテのブツブツ予防におけるスキンケア用品や制汗剤の使用は、注意を要するポイントです。多くの女性が胸汗に対処するために制汗スプレーを使用したり、肌のケアとしてボディクリームを塗ることがあります。こうした製品の使用は一般的ですが、重要なのはこれらの製品が肌に残ることで毛穴を詰まらせ、ニキビやあせもの原因になり得るという点です。日々のスキンケアでは、使用した製品による肌の汚れを適切に洗い落とすことが不可欠です。たとえスキンケア用品であっても、その成分が蓄積することで、マラセチアの増殖を促進させたり、毛穴を詰まらせたりする原因となります。したがって、1日1回は必ずシャワーを浴び、スキンケア用品の残りを丁寧に洗い流すことが大切です。また、肌に優しい製品を選び、過度の使用を避けることも重要な予防策の一つと言えます。
まとめ
このブログでは、胸やデコルテに現れる様々なブツブツの原因、治療方法、そして予防策について、詳しくご紹介してきました。特筆すべきは、これらの皮膚トラブルが、胸部特有の高温多湿な環境と汚れが残りやすい状態に密接に関連しているという点です。そのため、胸やデコルテのブツブツの予防には、適切な下着の選択やこまめな汗の拭き取り、正しいシャワーの使用方法など、日常生活のさまざまな習慣が重要となります。美しい胸元とデコルテを保つためには、日々の小さなケアが不可欠です。このブログが、皆様の肌の健康を支え、美しさを保つための一助となれば幸いです。
【関連項目】
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
【関連項目】
胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
多汗症 ボトックス, アグネス, 胸のブツブツ, デコルテのブツブツ, 胸のニキビ
2024/02/28
院長ブログトップ > 【胸のブツブツ状の茶色のイボ】原因と治療方法
【胸のブツブツ状の茶色のイボ】原因と治療方法
胸やデコルテの皮膚に現れる、小さな茶色いイボ状のブツブツは、多くの女性にとって気になる存在です。これらは主にデコルテやアンダーバストなど胸周囲でも皮下組織が薄い皮膚にたくさん形成されることが多く、アクロコルドンと呼ばれます。良性のイボであるため、除去はする必要はありませんが、時には胸周囲にたくさんのイボが発生することもあり、美容の観点から問題になります。この記事では胸の周囲に現れるこのイボの特性について、詳細に解説していきたいと思います。
胸のブツブツは全部イボ?
胸やデコルテの皮膚に見られる様々なブツブツは、その原因と性質が千差万別です。これらの中には、単なる胸のニキビやあせも、そしてイボが含まれることがあります。しかし、これらすべてがイボというわけではなく、それぞれ異なる特徴を持っています。例えば、イボはその形状によって、平らなものや膨らんだもの、赤色や茶色のものなど、多様な形態を取ります。胸の赤いふくらみがないイボは、多くの場合血管腫と呼ばれるものです。一方で、膨らみがあるか隆起している茶色や皮膚色に近い胸のイボは、本記事で重点的に取り扱うアクロドンという皮膚病変です。アクロドンはスキンタグや軟性線維腫、老人性イボとも呼ばれ、特に成人の皮膚に頻繁に見られる現象です。このように、胸部のブツブツは一見似ているものの、実際には様々な皮膚疾患を示している可能性があります。
アクロコルドンとは
↑デコルテのアクロドンの写真
アクロコルドンは、一般にスキンタグ、軟性線維腫、または老人性イボとしても知られていいます、皮膚に発生する小さな非癌性の腫瘍です。多くの場合、茶色もしくは皮膚と同じ色を呈し、小さな茎から伸びるような皮膚組織の集まりとして現れます。アクロコルドンは、サイズや色において多様性があり、時には色が濃くなり、隆起したほくろのように見えることもあります。一般的には1~5mmの大きさですが、場合によっては数センチメートルに成長することもあります。また、ブツブツ状に多発することもよくあります。
参照元:
Skin tag. (NHS)
アクロコルドンがあることは普通のこと
アクロコルドン(スキンタグ、軟性線維腫、老人性イボ)の存在は、決して珍しいことではありません。実際、成人人口の約46%が一生に少なくとも一度はアクロコルドンを経験すると推定されています。これは誰にでも発生し得る一般的な皮膚状態であり、健康上のリスクを伴うものではありません。それにもかかわらず、アクロコルドンは見た目に関しては問題となる場合があります。特に、胸や首といった目立つ部位にブツブツ状にたくさん現れた場合、自己意識やコンプレックスの原因になり得ます。重要なことは、これらは多くの人々に共通する自然な皮膚の変化であるという理解です。アクロコルドンが存在すること自体は、皮膚の健康を反映するものではなく、多くの場合、単なる年齢に伴う自然な現象として考えるべきです。
参照元:
Acrochordon. Shehla Yasin Belgam Syed; Jules B. Lipoff; Kingshuk Chatterjee
アクロコルドンの症状
アクロコルドン、すなわち一般的に知られるスキンタグや老人性イボは、通常無症状で、日常生活において不便を感じることはほとんどありません。しかし、これらの小さな皮膚の突起が皮膚や衣服、アクセサリーと擦れ合うことにより、場合によっては摩擦による不快感や出血が生じることがあります。病理学的に見て、アクロコルドンは皮膚の上皮が肥厚し、拡張したリンパ管や毛細血管が真皮内に存在することが特徴ですが、これらは悪性の変化を示すものではありません。このため、美観上の問題を除き、医学的な観点からは除去する必要はありません。ただし、アクロコルドンがあることによって日常生活に支障をきたす場合や、ブツブツ状に胸周囲や首にたくさん生じて、見た目に関して強いコンプレックスを感じる場合には、適切な治療法で除去が可能です。
アクロドンが出来やすい部位
↑首のイボ(アクロドン)
アクロコルドン、すなわちスキンタグ(老人性イボ、軟性線維腫)は、体の特定の部位に形成される傾向があります。これらの部位は通常、摩擦が多いか、皮下組織が薄い場所です。以下にアクロコルドンが特に出来やすいとされる主要な部位を挙げます。
■首
首周辺は皮膚の摩擦が多く発生しやすい部位で、特に衣服の襟やアクセサリーなどが接触することにより、アクロコルドンが形成されることがあります。高齢のかたの首元にはブツブツ状に多数のこの老人性イボがあることもあります。
■胸やデコルテ
アンダーバスト(下乳)や谷間、デコルテは、皮膚同士の接触や下着の摩擦のためにアクロコルドンが生じやすいエリアです。特にバストが大きい方は、このイボがたくさん胸周囲のブツブツとして現れる傾向があります。
■脇の下
この部位も摩擦や湿度が高いため、アクロコルドンが形成されやすい傾向にあります。この部位は見にくいこともあり、本人の自覚がない場合もあります。
■まぶた
皮膚が非常に薄く、小さなアクロコルドンが発生することがあり、時には視界や美容上の問題を引き起こすこともあります。特に高齢のかたで瞼にブツブツ状にたくさんのイボがある場合は、このアクロドンの場合がほとんどです。
■鼠径部(股間や太もも)
体の折り曲げ部分である鼠径部は、特に摩擦が多く、アクロコルドンのイボが出来やすい場所です。
■性器
性器周辺も皮膚の摩擦が多く、性器のブツブツとしてこのアクロコルドンのイボが形成されやすいエリアです。
アクロコルドンと鑑別が必要な皮膚疾患
アクロコルドンは一見特徴的な外見をしていますが、時には他の皮膚疾患や、更に重要な皮膚がんなどとの鑑別が必要な場合があります。外見が似ている場合でも、それが単なるアクロコルドンなのか、もしくはホクロ、尋常性疣贅(普通のイボ)、皮膚がん、老人性角化症などの他の病態である可能性があります。これらの皮膚疾患は、外見上似ていることが多いですが、それぞれ異なる治療方法や経過を要します。正確な診断を得るためには、経験豊富な医師による詳細な診察が不可欠です。
アクロコルドンの原因
アクロコルドンの発生には複数の要因が関わっているとされていますが、その正確な病因は未だ明確には特定されていません。一般的には、肥満やホルモンバランスの乱れがアクロコルドンの形成に影響を与えると考えられています。特に、体内のホルモン変動は皮膚組織に影響を及ぼし、その結果としてアクロコルドンが生じる可能性が高まるとされています。また、加齢に伴う皮膚の変化も、アクロコルドンの形成に関係している重要な要素です。年齢とともに皮膚の弾力性が低下し、摩擦が生じやすくなることが、これらの小さな腫瘍の発生に寄与すると考えられています。さらに、家族歴にアクロコルドンがある場合、遺伝的な要素が影響している可能性もあります。感染症や糖尿病の存在、さらには妊娠中など、体の内部環境が大きく変化する期間も、アクロコルドンの発生を促進する要因として知られています。これらの要因が組み合わさることで、アクロコルドンの形成が促されると考えられています。
アクロコルドンの治療
アクロコルドン、一般にスキンタグ(老人性イボ、軟性線維腫)と呼ばれるこれらの小さな腫瘍は、多くの場合治療を必要としません。その外見に気になることがなく、痛みや不快感も伴わない場合、特に治療を行う必要はないでしょう。
しかし、ブツブツとした見た目の問題や、衣服に引っかかることによる炎症、出血などが生じた場合には、治療の検討が必要です。アクロコルドンの除去方法にはいくつかの方法がありますが、中でも炭酸ガスレーザーによる除去が、最も効果的かつきれいに治癒する方法として広く推奨されています。この方法は、病変部を高精度に削り取ることができ、回復も早く、瘢痕のリスクを最小限に抑えることができます。
また、液体窒素を用いた凍結療法や、電気焼灼法(電気凝固法)などの方法も一般的です。これらの方法は、アクロコルドンを除去するために用いられ、手軽な治療法です。ただし、これらの治療法には、炭酸ガスレーザーと比較して治療部位の痛みや炎症、稀に瘢痕の形成などのリスクも伴います。
アクロコルドンのよくあるご質問
Q: アクロコルドンを自分で切ってもいいですか?
A:市販のスキンタグやイボの除去製品は数多くありますが、自宅での治療は安全ではありません。傷跡、出血、感染の合併症のリスクが高くなります。また、アクロコルドンの除去が不完全であるため、再発する可能性があります。
Q:アクロコルドン除去は痛いですか?
A:通常局所麻酔を使用しますので、麻酔の痛みはあります。麻酔後は無痛です。ただし、アクロドンのイボがたくさんある場合は、局所麻酔が苦痛になり得ます。この場合はマスク麻酔による完全に寝ている間に受ける麻酔方法をおすすめします。
Q: アクロコルドン(スキンタグ)を除去した後、その部位はどのようになりますか?
A:施術後数日で治療部位がかさぶたになる可能性があります。かさぶたが剥がれた後、皮膚にわずかな窪みが生じることがありますが、他の人にはほとんど気づかれません。また、炭酸ガスレーザーによる除去ではこの窪みもほとんど生じることはありません。
Q:治療後にアクロコルドン(スキンタグ)が再発することはありますか?
A:医療機関でアクロコルドン(スキンタグ)全体を完全に除去した場合、それが再発する可能性は高くありません。
Q:アクロコルドン(スキンタグ)の予防方法はありますか?
A:肥満はアクロコルドン(スキンタグ)の老人性のイボのリスクファクターにはなり得ますので、健康的な体重を維持することは大切です。また、肌に擦れる可能性のあるアクセサリーや下着は避けたほうが無難です。
まとめ
アクロコルドン(一般的にスキンタグ、老人性イボ、軟性線維腫とも呼ばれます)は、多くの人々にとって馴染みのある皮膚の変化です。私たちの多くが一生のうちに少なくとも一度は経験する可能性が高いこのイボは、見た目の問題を除けば、健康上のリスクはほとんどありません。これらは非癌性の腫瘍であり、通常は無害です。しかしながら、アクロコルドンは自然に消えることはなく、特に胸の周りにたくさんできたブツブツ状のイボは見た目が気になるケースが多いと思います。。治療を行う際には、経験豊富な医師の手に委ねることで、合併症のリスクを最小限に抑え、美しい治癒を期待することができます。この記事を通じて、アクロコルドンという老人性イボがもたらす影響と治療方法について理解を深めていただけたことを願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
【関連項目】
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
【関連項目】
胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
デコルテのイボ, 老人性イボ, 胸のブツブツ, アクロドン, 胸のイボ
2024/02/22
院長ブログトップ > 胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
胸元やデコルテに突然現れるブツブツ、これはただの肌のトラブルなのでしょうか?季節が変わり、肌の露出が増えるときに特に気になる胸周囲のブツブツやポツポツ。実はこれらには様々な原因があり、ニキビやあせもだけでなく、血管腫である可能性も考えられます。特に赤みを帯びたブツブツは、「赤いイボ」とも形容され、血管腫の可能性が高いと言えます。通常、これらは30歳を超えた大人に多く見られますが、見た目に影響がある場合、美容医療として取り除くことも可能です。この記事では、特に胸元に現れる赤いブツブツ、つまり血管腫に焦点を当て、その原因から治療法までを詳細に解説していきます。
胸にできる血管腫とは
胸部に現れる小さな赤い隆起、それは「赤いイボ」と形容されますが、医学的には「老人性血管腫」と呼ばれる皮膚病変の一つです。これらは通常、痒みを伴わず、赤いぽつぽつとした外見をしています。英語ではcherry angioma, cherry spot, ruby pointsとも表現され、その名の通り、さくらんぼのような美しい赤色をしていることからこの名が付けられました(英名のほうがセンスがよいネーミングですね)。老人性血管腫は、胸やデコルテだけでなく、背中、腕、顔にもよく見られる小さな、毛細血管の増殖によって形成される病変です。通常は1ミリメートルから5ミリメートルの大きさで、丸みを帯びた形状をしており、その色は明るい赤から濃い赤まで様々です。これらの血管腫は単発で現れることもあれば、多数が同じ部位に出現することもあり、人によって発生のパターンには大きな差があります。その房状の形状と色合いは、まさに「チェリー」の名のとおりの形状を持っています。
胸元の赤いブツブツの発生頻度について
胸元に現れる赤いブツブツ、通称「赤いイボ」の「老人性血管腫」は、30歳を過ぎると約50%の成人に何らかの形で見られる一般的な現象です。老人性血管腫は加齢とともに増加する傾向があり、特に75歳以上の人口では約75%の方々にその存在が確認されます。これは皮膚の自然な加齢現象の一つと考えられており、年齢を重ねるごとに見られることが一般的です。また、老人性血管腫は誰にでも発生する可能性があるため、既往歴の有無や人種、性別にかかわらず出現することが知られています。赤いイボは健康な人にも、過去に何らかの疾患を抱えていた人にも現れる可能性があるため、さまざまな年齢層の人々に影響を及ぼすことが分かります。
老人性血管腫の原因
老人性血管腫、しばしば「赤いイボ」と形容されるこの胸元の赤いブツブツの直接的な原因は、現在のところ明確には解明されていません。しかしながら、これまでの研究から、以下の要因が老人性血管腫の発生に関連している可能性が示唆されています。
■加齢
年齢を重ねるにつれて皮膚の変化が起こり、老人性血管腫が出現する可能性が高くなります。これは血管内皮細胞の増殖や血管の構造変化と関連があると考えられています。
■ホルモンの影響
妊娠などに伴うホルモンバランスの変化も、老人性血管腫の発生に影響を及ぼす可能性があります。特に女性ホルモンの変動は、皮膚の血管新生に影響を与えることが知られています。
■遺伝子の突然変異
遺伝的な要因も老人性血管腫の発生に関与している可能性があります。特定の遺伝子変異が血管の成長や発達に影響を与え、血管腫の形成を促すことがあります。
■化学物質への曝露
特定の化学物質への長期的な曝露も、皮膚の血管に影響を及ぼし、老人性血管腫の発生を引き起こす可能性があります。これには環境毒素や一部の薬剤が含まれることがあります。
出典元:
Cherry Angioma(Cleverland Clinic)
老人性血管腫の症状
老人性血管腫は、ほとんどの場合無症状で、かゆみを伴うことはありません。ただし、老人性血管腫に近い皮膚領域にかゆみを感じる場合は注意が必要です。その理由は、かゆみによる掻き壊しが血管腫を刺激し、出血を引き起こす可能性があるためです。したがって、老人性血管腫(赤いイボ)の周辺部分を掻かないよう心掛けることが重要です。さらに、胸部に出現するブツブツがかゆみを伴う場合、それはニキビやあせもなど他の皮膚病変である可能性があります。老人性血管腫とこれらの症状を区別することは、適切な治療法を選択するうえで重要です。また、老人性血管腫自体は治療を必要としないことが多いですが、見た目の問題や出血のリスクが気になる場合には、美容皮膚科または美容外科に相談することをお勧めします。
↑このように胸元に赤いブツブツが多発するこもあります。
出典元:
https://dermnetnz.org/topics/cherry-angioma-images
老人性血管腫の診断と検査
老人性血管腫の診断は、一般的には医師による視診で行われます。これらの血管腫はその特徴的な外観により、通常、特別な検査を必要とせずに診断が可能です。老人性血管腫は、小さな赤い隆起として皮膚に現れ、しばしば加齢と共に増加します。医師は診断の過程で、血管腫の大きさ、色、形状、そして発生している部位を観察し、ニキビや汗疹と鑑別します。また、老人性血管腫は良性の皮膚病変であるため、一般的に健康へのリスクはありません。しかし、診断の過程で、医師はもっと深刻な状態を示す可能性がある皮膚病変との鑑別診断も行います。
胸元の赤いブツブツの管理と治療
胸元に現れる赤いブツブツ、これらは老人性血管腫である可能性が高いです。老人性血管腫は、一般的に健康上のリスクを伴わないため、治療の必要性はありません。しかし、見た目に影響がある場合や、損傷により出血を繰り返す場合は、除去を検討したほうよいです。この赤いイボの除去方法にはいくつかの選択肢がありますが、中でも瘢痕を残しにくい炭酸ガスレーザーを用いた治療が特にお勧めです。他の選択肢としては、電気焼灼や液体窒素を用いた治療もありますが、これらの方法は痕跡が残りやすい可能性があります。
老人性血管腫のよくあるご質問
Q:老人性血管腫の別名は何ですか?
A:さくらんぼ血管腫、チェリー血管腫またはキャンベル・ド・モルガン斑点とも呼ばれます。
Q:老人性血管腫を除去したら再発しますか?
A: 老人性血管腫は炭酸ガスレーザーを用いた方法であれば 通常は1回で除去されますが、稀に治療後に皮膚に再発することがあります。しかし再発したとしても、無害なので心配する必要はありません。
Q:老人性血管腫が皮膚に現れるのを防ぐにはどうすればよいですか?
A:老人性血管腫の直接の原因は不明であるため、100% 成功する予防法はありません。
Q:老人性血管腫は別の病状の兆候ですか?
A:老人性血管腫は危険でも有害でもありません。皮膚に新たな腫瘍ができるのは怖いかもしれませんが、老人性血管腫はがんの兆候ではありません。
Q:赤いイボは血管ですか?
A:血管の拡張によってできた血管腫と呼ばれる隆起性の病変です。通常は老人性血管腫と考えられます。
Q:妊娠中の女性はなぜ老人性血管腫のリスクが高いのでしょうか?
A:発生の理由は不明ですが、老人性血管腫は妊娠している人によく見られます。研究によると、妊娠中の女性ホルモンとプロラクチン(下垂体で作られるホルモン)の上昇が、老人性血管腫の発生に関与している可能性があります。多くの場合、老人性血管腫は出産後に退縮(サイズが縮小するか自然に消失)します。
Q:老人性血管腫に出血がある場合はどうすればよいですか?
A:老人性血管腫は皮膚に隆起した隆起であるため、傷がつきやすく、出血や感染症を引き起こす可能性があります。老人性血管腫から出血している場合は、皮膚のその部分を傷として扱い、洗浄し、抗菌性軟膏を塗布し、絆創膏で覆います。出血を繰り返す場合は除去をおすすめします。
Q:老人性血管腫は増えるものですか?
A:加齢により一般的には増える可能性が高いです。
Q:赤イボはなぜできるのですか?
A:赤いイボと呼ばれる老人性血管腫のはっきりとした原因は不明とされています。ただ、加齢のよる細胞の再生の能力の低下、ホルモンの影響、遺伝子の突然変異、特定の化学物質への曝露などが原因なのではないかと推測されています。
Q:赤いほくろは老化によるものですか?
A:はい、シワとたるみと同様に、加齢によるものできる一般的な皮膚変化によると考えられています。
Q:老人性血管腫がある場合、どのようなことが予想されますか?
A:老人性血管腫がある場合、非常に一般的で無害であるため、見通しは良好です。老人性血管腫が気にならない限り、治療する必要はありません。
Q:老人性血管腫はいつ医療機関で診てもらうべきですか?
A:老人性血管腫は無害なので、医療機関に行って治療を受ける必要はありません。老人性血管腫が気になる場合、または引っ搔くことによる頻繁な出血がある場合は、除去について医師に相談してください。
↑老人性血管腫がこのように英名のごとくアメリカンチェリーにように見えることもあります。
まとめ
胸元に現れる赤いブツブツ、俗に「赤いイボ」と称される老人性血管腫は、加齢と共に生じる非常に一般的な皮膚の変化です。これらの血管腫は健康に害を及ぼすことはなく、加齢に伴う自然な現象の一部と考えることができます。新たな隆起が皮膚に現れたとき、心配に感じるかもしれませんが、老人性血管腫自体は健康上の問題を引き起こすものではありません。このため、見た目が気にならない限り、特別な治療や除去の必要はないといえるでしょう。もちろん、見た目に関する懸念や、稀に発生する出血などの問題がある場合は、除去を検討されてもよいと思います。通常は簡単な治療で済みますが、この場合でも経験豊富な美容外科専門医による治療をおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、赤ら顔、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2024/01/26
院長ブログトップ > 唇のブツブツ:フォアダイスの原因・治し方・予防等について
唇のブツブツ:フォアダイスの原因・治し方・予防等について
唇にできる白いブツブツや点々。これは何なのでしょうか?性病に勘違いされて嫌な思いをしたかたもいるかもしれません。この白いブツブツは多くの場合、フォアダイスと言われているものです。この記事では唇にできるフォアダイスやブツブツについて解説します。
唇のフォアダイスとは
フォアダイス(Fordyce spots)は、唇や性器の周辺に現れることが多い皮膚の小さく白っぽい斑点です。フォアダイス自体は、皮脂腺が通常よりも目立つようになった状態で、正常な状態です。組織学的は皮脂腺の腺房という部分が拡張している状態で、健康に何ら影響しません。
唇のフォアダイスの画像
唇の白い点々の鑑別
唇や唇周囲に現れるブツブツとして、フォアダイス以外に考えられるいくつかの状態があります。これらの状態はフォアダイスと外見が似ている場合がありますが、症状や他の特徴によって区別することができますが、正確な診断は専門医による診察が必要です。一般人向けに、フォアダイスと混同されやすいいくつかの状態を以下に挙げます。
■ヘルペス性口唇炎(単純ヘルペス)
通常、痛みやかゆみを伴う小さな水疱が現れます。発熱や体の不調を伴うことがあります。水疱が破れてかさぶたになることがあります。
■にきび
にきびは皮脂と死んだ皮膚細胞が毛穴を塞ぐことで発生します。赤みを帯びた炎症を伴うことが多いです。
■稗粒腫(ミリア)
稗粒腫は小さな白い斑点で、通常は無害です。皮膚の下に角質が詰まって形成されます。稗粒腫は炭酸ガスレーザーにより治療可能です。
■アレルギー反応または接触性皮膚炎
化粧品や食品などによるアレルギー反応が原因で発生することがあります。赤みやかゆみを伴うことが一般的です。
■帯状疱疹
帯状疱疹はヘルペスウイルスが原因で、痛みやしびれを伴う発疹が現れます。一般的には、体の片側に限定して発疹が出現します。
↑ヘルペス性口唇炎。見た目が明らかにフォアダイスと違う
唇のフォアダイスの原因
フォアダイスは思春期以降、成長の過程で自然に発生する正常な組織であるため、原因は特にありません。あえて言うならフォアダイスの原因は不明ですが、フォアダイスがあることは正常な状態とも言えます。
唇のフォアダイスの症状
フォアダイスの斑点は通常、痛みやかゆみを伴わない小さな隆起で、しばしば唇の内側の境界線に沿って現れます。性器や頬おの内側に現れる場合もあります。
フォアダイスの組織学的特徴
フォアダイスは、通常の皮脂腺と同様の組織構造を持っていますが、その位置やサイズが異なるために目立つようになります。皮脂腺には 腺房と呼ばれる構造部分があります。腺房は通常の皮脂腺に存在し、皮脂を生成して外部に分泌するための小さな袋状の構造です。フォアダイスでは、これらの腺房が通常よりも目立つ状態になっています。これは、皮脂腺が毛穴と関連していない場所、特に唇や性器などの粘膜近くで拡大しているためです。フォアダイスにおいては、これらの腺房が皮膚の表面に近く、またサイズが大きくなっているために、肉眼で見ても明瞭に識別できるようになります。要するに、フォアダイスは通常の皮脂腺と基本的な組織構造は同じですが、その位置やサイズが異なるために目立つようになるのです。そして、通常の皮脂腺とは異なり、毛穴と関連していない場所に存在することが多いです。
フォアダイスが白く見える理由
フォアダイスが白く見える理由は、組織学的な特徴によります。フォアダイスの斑点は、皮脂腺から構成されており、これが皮膚の表面に近い場所に存在します。皮膚が薄い箇所では、これらの皮脂腺が透けて見えるため、光が反射しやすく、白っぽく見えます。また、フォアダイスの斑点は皮脂を含むため、これが蓄積することで白っぽい色調を呈します。特に唇などの毛穴がない場所での皮脂腺の存在は、皮脂の外部への排出が限られるため、白く見える原因となります。
フォアダイスの発生頻度
フォアダイスは成人のかなりの割合に見られ、特に思秋期以降によく見られる現象です。フォアダイスは唇や性器を合わせた場合、成人の70%以上に見られるとされています。従ってフォアダイスは誰にでもあるものとお考え下さい。
フォアダイスができる部位
フォアダイスが現れる場所は、通常、毛穴のない粘膜近くや粘膜自体です。これは、通常の皮脂腺が存在しない領域であるため、フォアダイスが特に目立つ原因となります。フォアダイスは、皮膚の中の小さな皮脂腺の一形態です。皮脂腺は通常毛穴に並んで存在していますが、フォアダイスの場合は毛穴から独立して存在します。フォアダイスの主な発生部位は以下の通りです
■唇
特に唇の内側の境界線沿いに多く見られます。上唇や下唇に現れることがあります。
■性器
男性では、陰茎のサオ部分や亀頭に現れることが多いです。
女性では、小陰唇や大陰唇に出現することがあります。
■口腔内
口の中の粘膜、特に舌の裏側やほほの内側にも現れることがあります。
↑頬の内側の粘膜にあるフォアダイス
フォアダイスの予防
フォアダイスは皮脂腺の一形態であり、正常な皮膚の状態であるため、特定の予防策はありません。フォアダイスができることは思春期以降に自然に現れる現象です。
唇のフォアダイスは自然に治るか?
一度できた唇のフォアダイスは、通常は自然に消えることはなく、そのままの状態が続くことが一般的です。フォアダイスが自然治癒することはありません。これは、フォアダイスが一度現れると、通常は大きさや数がそれほど変わらないことを意味します。そのため、自然に解消されることはあまり期待できません。ただ、加齢で皮膚の自然な変化や、皮脂腺の活動性が変わるために、時間の経過と共にフォアダイスの外観が目立たなくなることがあり得ますが。これは、非常に珍しく、一般的な現象ではありません。
フォアダイスの治し方・治療
フォアダイスは無害で、医学的な治療は必要ありません。ただし、美容上の理由で除去を希望する場合は、アグネス(選択的皮脂腺電気熱分解法)、レーザー治療など有効です。
■アグネスのよるフォアダイス治療
アグネスとは選択的に皮脂腺を電気熱分解して、皮脂腺を破壊する治療です。皮脂腺に対して非常に有効な治療です。フォアダイスは皮脂腺ですので、このアグネスが非常に有効です。アグネスは他の治療法と比較してダウンタイムが短いため、現在では唇のフォアダイスに対してはアグネスを第一選択の治療としています。
↑アグネスによる唇のフォアダイス治療前後(1回治療後3か月)
※副作用として術後赤みが出ることがあります。
フォアダイスのアグネス治療は1回110,000円(税込)(局所麻酔代込)
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参照元:
■炭酸ガスレーザー治療(CO2レーザー)
フォアダイスの治療には炭酸ガスによるレーザー治療が一般的に用いられます。局所麻酔をしたうえで、フォアダイスをレーザーで削ります。削ったあと、約1~2週間程度で正常な粘膜により上皮化し、目立たなくなります。
■電気焼灼療法(電気凝固法)
炭酸ガスレーザーの代わりに電気メスにより焼いて除去することもできます。これは高周波電気を利用してフォアダイスを焼灼する方法です。炭酸ガスレーザーと比較して、術後の痛みが強いことがあり、また、ダウンタイムが長くかかることがあります。
■液体窒素凝固療法
液体窒素を用いて斑点を凍結させる方法です。電気焼灼療法と同様に、炭酸ガスレーザーがない場合に用いられる方法です。液体窒素は保険診療でCO2レーザーの代わりによく使用される治療方法ですが、微調整ができない治療であるため、除去が不十分になることがよくあります。
■外科的に除去
フォアダイスが発生している部位の粘膜をまとめて切除する方法です。発生部位によっては適用です。
■フォアダイスの塗り薬
フォアダイスに特化した特定の塗り薬(外用薬)はありません。ビタミンA酸(トレチノイン)クリームや抗アンドロゲンクリームなどが外用剤の例として挙げられますが、ほとんど効果はありません。
唇のフォアダイスについてよくあるご質問
Q:唇の白いブツブツは人にうつるか?
A:唇の白いブツブツがフォアダイスであった場合、これが人に移ることありません。ブツブツがヘルペスの場合は、人に感染することがあるため注意が必要です。
Q:フォアダイスは保険適用されるか?
A:フォアダイスは病気ではく、正常な組織の状態の一形態であるため、除去する場合は美容目的になるため、保険適用はされます。保険診療においてはすべての美容目的に治療は健康保険の適用外になります。美容外科治療と健康保険の関係については以前のブログ記事で詳細に書きましたので、是非ご覧ください。
Q:フォアダイスにイボコロリは効くか?
A:サリチル酸を含有しているイボコロリはウオノメ(鶏眼)やタコ(胼胝)には有効ですが、それ以外の皮膚疾患に使うのは危険です。フォアダイスに対してイボコロリは無効で、正常な皮膚を傷める危険性があるので絶対に使用しないでください。また、その他の市販薬でフォアダイスに有効な薬はありません。フォアダイスの除去をしたい場合は専門の医療機関を受診してください。
Q:フォアダイスにビタミン剤は効くか?
A:フォアダイスはビタミン不足が原因という間違った情報がネット上で散見されます。これに伴い、フォアダイスにビタミン剤が有効だとする情報もありますが、これも同様に誤りです。フォアダイスがあることは正常な人間の正常な状態であり、ビタミンとの関連性はありません。
Q:フォアダイスはアグネスで除去した後は同じ部位には再発しませんか?
A:アグネスによるフォアダイス治療では1回の治療でかなり効果が現れますが、完全に除去できない場合もあります。もし残った場合は最初の治療から2か月程度あけてから再度アグネスの治療が可能です。一度除去されたフォアダイスは通常は再発しません。また、アグネス治療は既存のフォアダイスを除去することはできますが、将来的に新たなフォアダイスが同じ領域に形成されることを防ぐものではありません。皮脂腺が活動的な人では、新しい斑点が出現する可能性があります。この再発の可能性は個人によって異なります。体質や皮脂腺の活動度によって、フォアダイスの再発率は変わります。従って、治療後に新たなフォアダイスが現れたり、完全に除去されなかったフォアダイスが残ったりするため、追加の治療が必要になることがあります。
まとめ
この記事では唇のフォアダイスについてさまざまな疑問等についてまとめました。唇のフォアダイスは正常な肌の一形態であるため病気ではありません。また、成人の70%以上が体のどこかにフォアダイスがあるとされています。ただ、唇にできた場合は視覚的に目立つため、美容目的で治療を希望される場合が多いのが現状です。治療をされる場合は、美容外科や美容皮膚科での炭酸ガスレーザー治療が最もきれいに治す方法です。唇のフォアダイスについてもし悩むことがあるようでしたが、まずは経験豊富な美容外科専門医の診察を受けられることをおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、肌治療、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。ニキビに対するアグネス治療は初期を導入しており、これまで1万人以上の治療を行っている。
【関連項目】
※フォアダイスのアグネス治療料金:1回110,000円(税込)(局所麻酔代込)
→現在モニターの半額キャンペーン中
胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
2024/01/11
院長ブログトップ > フォトシルクプラスのさまざまな効果
フォトシルクプラスのさまざまな効果
フォトシルクプラスのそばかすに対する劇的な効果や、赤ら顔が良くなる効果は以前のブログでも詳細に書きました。フォトシルクプラスをそばかすや赤ら顔の治療がきっかけで治療開始し、そばかすや赤ら顔がかなり改善した後も定期的にフォトシルクプラスを受けられるかたが多いのです。これはフォトシルクプラスを継続すると、肌の弾力やハリの改善を実感できるからのなのです。また、フォトシルクプラスを受ける以前は突発的なニキビの発生に時々悩まされてきたのに、フォトシルクプラスを始めてからニキビもできなくなったという感想もしばしばあります。この記事ではフォトシルクプラスのアンチエイジング効果やニキビを抑える効果を中心にフォトシルクプラスによるさまざま治療効果ついて詳しく解説します。
さまざまな効果が発揮される秘密
フォトシルクプラスにはさまざまな効果がありますが、フォトシルクプラスを含むIPL(Intense Pulsed Light)機器が多岐にわたる肌の問題に効果的な理由は、その波長が広範囲に及ぶからです。フォトシルクプラスでは、約500nmから1200nmの広い波長範囲の光を放出します。この広範囲の光により、メラニン(シミの色素)やヘモグロビン(血管)など、異なるターゲットに吸収されるさまざまな波長を含むことができます。また、広範囲の波長を用いることで、肌の異なる層に作用し、浅い問題からやや深い問題まで、多層的なアプローチが可能になります。以上によりフォトシルクプラスには下記にようにさまざまな効果があります。
■色素異常の修正
フォトシルクプラスは、メラニンが関係する色素異常、例えばしみやそばかす、太陽による肌の損傷を軽減する効果があります。IPL技術によって放出される光はメラニンに吸収され、余分な色素を分解し、肌のトーンを均等化します。特に、そばかすに対しては顕著な効果を発揮し、主要な治療法とされています。
■血管・赤みに対する治療
フォトシルクプラスは、赤ら顔や毛細血管拡張症などの血管関連の肌トラブルを改善することができます。IPLからの光はヘモグロビンに吸収され、不正な血管を縮小させたり消去したりします。
■にきびの治療
フォトシルクプラスは、にきびを引き起こす細菌に対して有効で、皮脂の過剰分泌を抑えることでにきびの炎症を緩和します。さらに、皮脂腺の大きさを小さくし、にきびの再発を防ぐ効果も期待されます。
■肌質の向上と若返り
フォトシルクプラスによる光照射は、肌の深部に存在するコラーゲンとエラスチンの生成を促し、しわや細かな線の目立たなくなる、肌の引き締め、そして全体的な肌質の向上へと繋がります。
フォトシルクプラスが肌の弾力やハリをもたらす効果とは
フォトシルクプラスが肌の弾力やハリを出す効果を持つのは、IPL(Intense Pulsed Light)技術がコラーゲンとエラスチンの生成を促進するためです。コラーゲンとエラスチンは肌の主要な構造物であり、肌の弾力性、強度、若々しい外観に関係します。以下にフォトシルクプラスが肌のコラーゲンとエラスチンの生成促進の原理を詳しく説明します。
■熱エネルギーの影響
フォトシルクプラスから放出される光は、肌に吸収されて熱に変換されます。この熱は、肌の深層部にあるコラーゲンとエラスチンを含む組織に達し、その構造に影響を与えます。
■自然な治癒プロセスの刺激
熱エネルギーが肌に吸収されると、肌はそれを小さな傷として認識し、自然な治癒プロセスを開始します。このプロセスの一環として、体は新しいコラーゲンとエラスチンを生成し始めます。
■コラーゲンのリモデリング
既存のコラーゲンは、熱の影響を受けて縮まり、再配置されることがあります。これにより、肌の表面が引き締まり、ハリが出ます。
■長期的な改善
コラーゲンとエラスチンの生成は即時に起こるわけではありません。治療後数週間から数ヶ月にわたり、新しい組織が徐々に形成され、肌の質感、弾力、全体的な外観が改善されます。
■細かい線やしわの減少
新しいコラーゲンの生成により、細かい線やしわが目立たなくなり、肌が滑らかになります。
フォトシルクプラスがにきびを抑える効果とは
フォトシルクプラスにはにきびを抑える効果もあります。この理由は、IPL(Intense Pulsed Light)技術がにきびを引き起こす細菌と炎症に直接作用するためです。にきびは、過剰な皮脂、細菌の増殖、そして炎症の結果として発生します。フォトシルクプラスはこれらの問題に対処するための方法を提供します。以下はその原理です
■細菌の破壊
IPL装置から放出される光は、にきびの原因となる細菌、特にプロピオニバクテリウム・アクネスによって吸収されます。この細菌は光に反応しやすい物質を含んでおり、特定の波長の光を選択的に吸収します。吸収された光エネルギーは熱に変換され、この熱が細菌を破壊します。また、このプロセスは、にきびの炎症を引き起こす化学物質の減少にも寄与します。
■炎症の毛細血管を破壊
赤にきびと言われる、炎症が強く毛細血管が発達しているニキビにおいてはフォトシルクプラスから放出されるIPLの光が毛細血管内のヘモグロビンに吸収され、光エネルギーが熱に変換されることで毛細血管が破壊されます。その結果、にきびを引き起こす炎症物質が運ばれる血流が減少します。これにより、にきびの赤みと腫れが軽減されます。
■皮脂腺の活動調節
IPL治療は皮脂腺の活動にも影響を与えることができます。適切な波長の光が皮脂腺に達すると、その熱効果によって皮脂の過剰な生産が抑制される可能性があります。これにより、にきびの新たな発生を抑える助けとなります。
■肌の再生と治癒の促進
IPL治療は肌のコラーゲン生成を促進し、肌の再生と治癒を加速させます。これにより、にきび跡の修復や全体的な肌質の改善が期待できます。
フォトシルクプラスを受け続けると…
筆者がこのフォトシルクプラスを診療に取り入れてから約20年が経過しましたが、その間、その一貫した効果に深い信頼を置き続けています。本稿でご紹介した、そばかすやシミを目立たなくする効果、顔の赤みを軽減する効果、にきびの炎症を和らげる効果、そして肌に弾力とハリを与える効果は、明確であり、実際に多くの患者様が実感されています。特に注目すべきは、患者様の高いリピート率であり、これが筆者の信頼を一層強める大きな要因となっています。患者様の中には、最初はそばかすの治療や顔全体のシミ治療のためにフォトシルクプラスを試された方も多いですが、初期の治療目的が達成された後も、肌の状態を維持するために継続して当クリニックを訪れる方が大勢いらっしゃいます。実際、20年近くも継続的にフォトシルクプラスの治療を受けている患者様もおり、その結果として美しい肌を維持されています。また、20年以上も筆者と共に働くスタッフも、定期的なフォトシルクプラスの治療を受けることで、実年齢よりもずっと若々しく、美しい肌を保ち続けています。このような実例が、フォトシルクプラスの信頼性と効果を物語っています。
フォトシルクプラスの効果が発揮されるために
フォトシルクプラスはその実績から信頼される美容機器として知られていますが、その高い効果を実感するためには、以下のような重要な要因が考慮される必要があります。
■正しい診断
フォトシルクプラスは多様な肌の悩みに対応する能力を持ちますが、全てに万能なわけではありません。特に、肝斑と呼ばれる特定のシミや、状態によっては色素沈着を悪化させる可能性があることを理解することが重要です。また、にきび治療においても、状態によっては効果が限定的になることがあります。これらの点を踏まえ、患者一人ひとりに合わせた正確な診断が、成功への第一歩となります。
■設定値の適正化
フォトシルクプラスの照射効果は、肌の状態や色、問題の種類に応じて、照射設定を適切に調整することで最大化されます。経験豊かな医師による精密な設定値の選択は、治療の成功に不可欠です。誤った設定は、望ましくない副作用を引き起こすリスクを増大させる一方で、治療効果を著しく低下させる可能性があります。
■ 経験豊富な施術者の役割
多くの医療施設で、フォトシルクプラスの施術は看護師によって行われますが、施術者の経験と知識は治療の成果に直結します。信頼できる施設では、十分な訓練を受けた経験豊富な看護師のみが施術を行い、患者様の安全と満足を確保します。
■ 必要なショット数の確保
フォトシルクプラスで顕著な効果を得るためには、適切なショット数が不可欠です。ショット数を削減することでコストを節約しようとする施設もありますが、これは治療効果を損なう原因となります。適正なショット数による治療が、期待される結果を実現します。
■ 機器の定期的なメンテナンス
フォトシルクプラスのハンドピースは定期的な交換が必要な消耗品です。一定のショット数を超えたハンドピースは性能が低下し、効果が著しく弱まります。過去にフォトシルクプラスの治療で効果を感じられなかった場合、ハンドピースの適切なメンテナンスが行われていなかった可能性があります。
まとめ
本稿を通じて、フォトシルクプラスがもたらす多様な効果について深く掘り下げて参りました。フォトシルクプラスはその一貫した効果により、広く信頼されている機器であることが明らかです。しかしながら、この機器の潜在能力を完全に引き出すためには、適切な症状の診断が可能な医師と、施術経験が豊富な看護師の存在が不可欠です。治療の成功は、選択する医療機関の信頼性に大きく依存しています。
フォトシルクプラスは、確かに優れた機器ですが、その真価は患者一人ひとりに合わせた丁寧な診療と、厳格な機器管理のもとでこそ完全に発揮されます。信頼できる医療機関で適切な治療を受けることにより、フォトシルクプラスは皮膚の美しさを劇的に改善し、長期にわたって維持することが可能となります。最終的に、フォトシルクプラスを継続的に利用することで、美しい肌を保持し続けることができるのです。美とエイジングケアを追求する皆様の旅において、フォトシルクプラスが力強い味方となることを心より願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2024/01/09
院長ブログトップ > 赤ら顔の原因と治療法
赤ら顔の原因と治療法
冷たい外気から暖かな室内への移動時に顔の赤みが増す赤ら顔。この現象は、体が気温の上昇に適応しようとする過程で血管を拡張させるために起こります。この血管の拡張によって顔への血流が増加し、肌が赤く見えるようになるのです。男性でも女性でも赤ら顔の方々は、このような温度変化に対して特に敏感で、血管の反応が一般的な人よりも顕著に現れる傾向にあります。しかし、赤ら顔がなぜ起こるのか、そのメカニズムは一体どのようなものなのでしょうか?そして、私たちが日常生活で取り入れられる予防策や、美容外科などの医療機関で受けられる最新の治療法・消し方にはどのようなものがあるのか。この記事では、赤ら顔の原因とその対策方法、医療機関での治療方法について、詳しく解説していきます。
赤ら顔の主な原因
赤ら顔の原因は複数あり、それぞれの原因には異なる程度の科学的エビデンス(医学的証拠)が存在します。以下に、エビデンスに基づく主要な男女の赤ら顔の要因を挙げます。
■遺伝的要因(生まれつき)
赤ら顔や酒さ(酒さ(ロゼアセア))は家族内で発生する傾向があることが報告されており、遺伝的要因が関与している可能性があります。いわば、「生まれるつき」であり、人の顔や体の特長の一つと言えます。一方、特定の遺伝子が直接的な原因と断定されているわけではありませんが、いくつかの研究でHLA遺伝子、Cathelicidin遺伝子、GLT1遺伝子と呼ばれる遺伝子の関連が示唆されています。現在では特定の遺伝子変異や遺伝的傾向が、皮膚の反応性や炎症に影響を与えることが考えられています。
■血管の過剰反応
皮膚の血管は、温度調節や感情の表現などのために拡張と収縮を繰り返します。赤ら顔の人では、これらの反応が過剰になりやすく、環境の変化や感情の変化によって顔が赤くなりやすい状態になります。従って、起床直後は自宅という同じ環境で感情の変化もないため、赤ら顔が目立たない場合が多いです。「朝は白いのに」と悩む赤ら顔のかたは多くいます。赤ら顔の方々は、温度変化、感情の変化、ストレス(詳細は後述)などによって血管が拡張しやすい傾向にあると言われています。赤ら顔という程でもないが、顔が赤くなりやす人は、この血管の反応性が敏感によるものです。このように血管の過剰反応が、顔の赤みを引き起こす主要な要因の一つとされています。
■炎症反応
赤ら顔の中でも特に病的症状が強い酒さ(ロゼアセア)では炎症反応が赤ら顔の一因とされています。炎症性サイトカインや皮膚の免疫応答が関与していることが示されています。
■にきび
にきびの皮膚の炎症反応の一つですが、にきびの悪化や寛解を繰り返しているうちに頬を中心顔の毛細血管が発達してしまうことがあります。この影響でニキビが治った後も赤ら顔が続くこともあります。
■紫外線の影響
長期的な紫外線露出は皮膚の老化を促進し、赤ら顔の要因となることが知られています。紫外線は皮膚のコラーゲンを破壊し、血管の構造を損なうことで、赤みや炎症を引き起こす可能性があります。
■食生活とライフスタイル
辛い食べ物、アルコール(詳細は後述)、カフェインなどは赤ら顔を悪化させることが報告されています。これらの物質は血管を拡張させる効果があり、顔の赤みを引き起こす可能性があります。
赤ら顔の原因はストレス?
ストレスが赤ら顔や酒さ(ロゼアセア)の症状に関与しているというエビデンスはあります。ストレスは皮膚状態に多方面から影響を与えることが知られており、以下のような機序を通じて赤ら顔の原因となる可能性があります。
■血管の反応性が敏感に
ストレスや感情の変化が体内でアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを放出させ、自律神経系を刺激し、血管の拡張を引き起こすことがあります。これにより、顔の赤みやほてりが生じやすくなるとされています。
■炎症反応の増加
ストレスは免疫システムに影響を与え、ホルモンやサイトカインの放出により炎症反応を増加させることがあります。炎症は赤ら顔や酒さ(ロゼアセア)の重要な要因の一つです。
■皮膚のバリア機能の低下
長期的なストレスは保湿機能を低下させたり、修復過程に影響を与えたりすることで、皮膚のバリア機能を低下させ、外部刺激に対する感受性を高めることがあります。
■行動の変化
ストレスは不健康な生活習慣(例:不規則な睡眠、不健康な食生活、アルコールやタバコの過剰摂取)を引き起こすことがあり、これらは肌の健康に悪影響を及ぼします。
赤ら顔の原因は肝臓?
赤ら顔と肝機能の悪化との関連は、噂や俗説で言われることがありますが、直接的な因果関係を示す明確な科学的エビデンス(医学的は証拠)2024年に筆者が広汎に調べた限りありません。しかし、肝機能の悪化が赤ら顔に間接的に関係している可能性は下記のいくつかの点で考えられます。注意点としてはこの関連は仮説的なものであり、個々の症状や健康状態によって異なる可能性があります。
■肝臓の解毒機能の低下
肝臓は体内の毒素や廃棄物を処理し、排出する重要な役割を持っています。肝機能が低下すると、これらの物質が体内に蓄積し、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。体内に毒素が蓄積すると、炎症反応が促進され、皮膚に赤みや炎症が現れやすくなり、赤ら顔になる可能性があります。
■ホルモンバランスの乱れ
肝臓はホルモンの代謝にも関与しており、特に性ホルモンのバランスを調整しています。肝機能の低下によりホルモンバランスが乱れると、皮膚の状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、ホルモンの変動は皮膚の油分の分泌や血管の反応性に影響を与えることが知られています。
■アルコール関連の肝障害
アルコールの過剰摂取は肝臓に負担をかけ、慢性的な肝障害を引き起こす可能性があります。アルコール性の肝障害は肌の状態にも悪影響を及ぼし、赤ら顔を引き起こすまたは悪化させる可能性があります。また、アルコールは血管を拡張させる作用があり、これが赤ら顔の直接的な一因となることがあります(詳細後述)。
■栄養吸収の問題
肝機能の低下は、脂肪や脂溶性ビタミンの代謝に影響を及ぼし、栄養素の吸収が不十分になる可能性があります。栄養不足は皮膚の健康に直接的な影響を及ぼし、赤ら顔の原因となる炎症や敏感肌を引き起こす可能性があります。
赤ら顔は酒の飲み過ぎ?
慢性的にアルコールを過剰に摂取する人は、アルコールを摂取していない時でも赤ら顔の傾向があるとされています。これにはいくつかのエビデンス(医学的根拠)があります。
■血管の拡張
アルコールは血管を拡張させる作用があります。慢性的な過剰摂取により、顔の血管が常に拡張した状態になりやすく、これが赤ら顔の一因となり得ます。
■皮膚の損傷
長期間のアルコール過剰摂取は皮膚の健康を損ない、特に顔の皮膚は薄く敏感なため、赤みや炎症が生じやすくなります。また、アルコールは栄養吸収を妨げる可能性があり、肌の健康を維持するために必要なビタミンやミネラルが不足することも赤ら顔につながる可能性があります。
■酒さ(ロゼアセア)の悪化
アルコール摂取は酒さ(ロゼアセア)という状態を悪化させることが知られています。酒さは顔の赤みや炎症を引き起こす慢性的な皮膚疾患です。アルコールはこの症状を引き起こすか、既存の症状を悪化させる可能性があります。
■アルコール性顔面紅潮
一部の人々は、アルコールを分解する過程で発生する物質に対して強い反応を示し、これが顔面の紅潮を引き起こします。慢性的な摂取により、この反応が常態化する可能性があります。
赤ら顔のスキンケアとセルフケア
一般的な赤ら顔(酒さを除く)の治療方法は、赤ら顔の原因となる要因に基づいて異なりますが、以下は赤ら顔に対処するための一般的なスキンケア・セルフケアと消す方法のアプローチです。
■スキンケアと保湿、温水での洗顔
アルコールや香料など刺激の強い成分を避け、肌に優しい敏感肌用の製品を選びます。肌を適切に保湿することで、バリア機能を強化し、外部刺激による赤みを防ぎます。また、熱い水ではなく、温水を使用して肌を刺激しないようにします。
■温度変化の管理
急激な温度変化は赤ら顔の症状を悪化させますので、急激な温度変化を避け、なるべく温度と湿度が一定の環境を保つようにします。
■紫外線対策
適切な日焼け止めを使用し、帽子や日傘で直射日光を避けることで、紫外線による肌のダメージと赤みを防ぎます。
■食生活の見直し
辛い食べ物、カフェイン、アルコールなど、赤ら顔を悪化させる可能性のある食品の摂取を控えます。
■ストレスの管理
ストレスは肌の炎症を悪化させることがあります。これについては臨床研究、心理学的研究、生物学的研究など、多岐にわたる分野からエビデンス(医学的根拠)が得られています。ストレスが赤ら顔に与える影響は個人差が大きく、またストレスが直接的な原因であるかどうかは個人差が大きいですが、ストレス管理が赤ら顔の症状を軽減する助けになることは多くの研究で示唆されています。趣味、適切な睡眠、リラクゼーション技法などでストレスを管理することが重要です。
赤ら顔の治療法・消す方法
■フォトシルクプラス
フォトシルクプラスの照射は赤ら顔の第一選択の治療方法です。即効性もありますが、1回の治療でなく、通常は回を重ねるごとでより効果が現れます。
■レーザー治療
細かい血管が浮き出ているような赤ら顔(毛細血管拡張症)には、レーザー治療が効果的な場合があります。
■外用薬・市販薬
抗炎症クリーム、抗ヒスタミンクリーム、抗生物質の外用薬や市販薬が有効な時もありますが、多くの場合は効果が弱く、効果も一時的です。効果が確実なフォトシルクプラスやレーザー治療をおすすめします。
フォトシルクプラスが赤ら顔によく効く理由
フォトシルクプラスを用いた治療は、赤ら顔、にきび肌の赤み、毛細血管拡張症、酒さ(ロゼアセア)など、さまざまな原因による肌の赤みに対して効果的で、赤ら顔の第一選択の治療法です。フォトシルクプラスが赤ら顔やにきびの顔の赤みを抑える効果を持つのは、IPL(Intense Pulsed Light)技術が赤みの原因となる血管に直接作用するためです。肌の赤みは、拡張した毛細血管や炎症によるものが多いですが、IPLはこれらの問題に対処するのに効果的な方法を提供します。以下はその原理です。
■光エネルギーの選択性吸収
フォトシルクプラスから放出されるIPLの光は、肌の特定の深さに浸透し、血管内のヘモグロビンが特定の波長の光を吸収します。特にフォトシルクプラスでは、赤みを引き起こしている血管をターゲットにする特定の波長を選択して使用します。
■熱による血管の凝固
ヘモグロビンがIPLの光エネルギーを吸収すると、それが熱に変換され、この熱が毛細血管の壁を温めて凝固させます。凝固された血管は、その後代謝で分解され、徐々に消失します。
■炎症の減少
フォトシルクプラス治療によって血管が凝固されると、肌の赤みを引き起こす炎症物質が運ばれる血流が減少します。これにより、炎症が減り、肌の赤みも徐々に改善されます。
■肌質の全体的な改善
IPL治療は、肌のコラーゲン生成を促進する効果もあります。治療を重ねることで肌の質感が改善され、より均一な肌色となり、赤みが目立たなくなります。
まとめ
赤ら顔はしばしば暖かい環境への移動が引き金となり、皮膚の血管が拡張することで症状が顕著に現れます。加えて、暖房による空気の乾燥は肌の乾燥を促進し、これが肌のバリア機能の低下を招き、赤ら顔の症状をさらに悪化させる可能性があるのです。このような不快な状況を回避するためには、急激な温度変化を避け、適切な保湿を心がけ、室内の温度と湿度を適度に保つことが効果的です。それでもなお症状が改善しない場合や、ご自身の肌の状態に不安を感じたら、迷わず医療の専門家に相談することが肝心です。特にフォトシルクプラスなどのIPL治療は、赤ら顔やニキビ肌のあかみ、毛細血管拡張症、酒さ(ロゼアセア)といった様々な原因による肌の赤みに対して高い効果を示すことが知られています。ただし、個々の赤ら顔の原因や状態によっては、他の治療法が推奨される場合もあります。最適な治療方法を見つけるためには、経験豊富な専門医と十分に話し合い、あなたの肌の状態、期待される治療結果、そして潜在的なリスクについて十分に理解し、共に最善の治療計画を立てていくことが重要です。経験豊富な医師ならあなたの具体的な状況に基づいて、最適な治療法を提案し、赤ら顔を改善するためのサポートをします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、赤ら顔、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2024/01/08
院長ブログトップ > そばかすにはフォトシルクプラス!
そばかすにはフォトシルクプラス!
美容の世界では、そばかすへの効果的なアプローチとしてフォトシルクプラスが注目を集めています。数あるIPL機器の中で、特にフォトシルクプラスがどうしてこのように高い人気を誇るのか、疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、そばかすに対するフォトシルクプラスの治療経過、ダウンタイム、働きの原理、そしてその顕著な効果について詳しく掘り下げ、その人気の秘密を明らかにします。さらに、検索エンジンで目にすることのある「フォトシルクプラス 効果なし」と「フォトシルクプラス 失敗」といったネガティブなワードに関する真実にも深く迫り、これらの言葉が一体何を意味しているのか、実際の治療結果と共に検証していきます。美容外科医師としての深い知見をもとに、フォトシルクプラスの全貌を解き明かし、読者の皆様がより明確な理解を得られるよう導きます。
フォトシルクプラスとは
フォトシルクプラスは、IPL(Intense Pulsed Light)技術を用いた美容医療機器です。IPLは、特定の波長を持つ光を肌に照射し、さまざまな皮膚の問題を改善するために使用されます。フォトシルクプラスは、IPLの光線を用いて多様な治療を提供することが可能です。
フォトシルクプラスの基本的な特徴と原理
■多波長の光
フォトシルクプラスは、400nmから1200nmの範囲の光を放出することができます。これにより肌の異なる層に到達し、様々な種類の肌の問題を対象とすることができます。
■選択性のある光線
IPL技術の鍵は選択性です。フォトシルクプラスの光は、特定の色素(メラニン)や血液(ヘモグロビン)に吸収されやすいです。これにより、周囲の健康な皮膚組織を傷つけることなく、ターゲットとする問題点を特定して治療することが可能です。
■カスタマイズ可能な治療
フォトシルクプラスでは、異なる肌のタイプや問題に合わせて、波長、エネルギーレベル、パルス幅などの設定を調整することができます。これにより、患者一人ひとりの具体的なニーズに応じた治療が可能になります。フォトシルクプラスの特徴は用途に応じて波長・パルス幅などを変えることができ、この機能により従来の光・IPL治療機器に比べて、大きな治療効果を発揮します。
フォトシルクプラス治療の種類と効果
■そばかす・シミの改善
フォトシルクプラスはしみ、そばかす、太陽による損傷など、メラニンに関連する色素異常を減少させることができます。フォトシルクプラスからのIPLの光はメラニンに吸収され、過剰な色素を破壊し、肌の色を均一にします。また、フォトシルクプラスは特にそばかすに対して大きな効果があり、そばかす治療の第一選択と言えます。
■赤みと血管性の問題の治療
フォトシルクプラスは赤ら顔、毛細血管拡張症など、血管に関連する肌の問題を改善できます。IPLの光はヘモグロビンに吸収され、異常な血管を縮小または消去します。
■にきび治療
フォトシルクプラスのIPLの光はにきびを引き起こす細菌に作用し、皮脂の過剰な生産を抑制することで、にきびの炎症を減少させます。また、皮脂腺のサイズを減少させ、再発を防ぐ効果も期待できます。
■肌の質感と若返り
フォトシルクプラスの光線は肌の深層部にあるコラーゲンとエラスチンの生成を刺激し、しわや細かい線の減少、肌の引き締め、質感の改善に寄与します。
フォトシルクプラスのそばかす治療
前述のとおりフォトシルクプラスには肌のトラブルに対してさまざまの効果がありますが、そばかすに対して特に有効です。フォトシルクプラスはどのようにそばかすに働きかえるか、詳しく解説します。
■光エネルギーの吸収
フォトシルクプラスから放出されるIPLの光は、肌の特定の層に浸透し、色素細胞(メラノサイト)に含まれるメラニンが光エネルギーを吸収します。フォトシルクプラスでは、特にそばかすの治療に効果的な波長が選択されます。
■熱による破壊
メラニンが吸収した光エネルギーは熱に変換され、この熱が色素細胞を破壊します。結果として、そばかすや他の色素沈着は徐々に薄くなり、時には完全に消失します。
■自然な肌の再生
破壊された色素細胞は、自然な代謝の過程で体外に排出されます。治療後、新陳代謝で新しい肌細胞が生成されると、肌の色が均一になり、全体的な肌の質感が改善されます。
■選択性
IPL技術の利点の一つはその選択性です。特定の波長を使用することで、周囲の健康な肌組織を傷つけることなく、ターゲットとするメラニンのみに影響を与えることができます。これにより、副作用が少なく、安全な治療が可能になります。
フォトシルクプラス治療の流れ
■step1:医師による診察
フォトシルクプラスにはさまざまな肌トラブルに対処できますが、万能ではありません。正しい適用かどうか、医師の肌の診察が最も大切な工程です。
■step2:洗顔
治療前には洗顔が必要です。そのため、フォトシルクプラスを最初から希望されて医療機関を受診される場合は落としやすいメイクだけで済ませて受診されることをおすすめします。
■step3:フォトシルクプラスの施術
フォトシルクプラスの効果は照射強度と照射回数も重要な要素となります。万遍なく顔全体にフォトシルクプラスを効かせるには60ショット以上の回数が必要になります。なお、フォトシルクプラスの痛みは微弱なため、麻酔は不要です。フォトシルクプラスだけの正味の施術時間は15分前後となります。
■step4:ビタミンイオン導入
フォトシルクプラス後の肌はビタミンが浸透しやすい状態のため、ビタミンイオン導入を直後に受けられることを推奨します。ビタミンイオン導入によりフォトシルクプラスの治療効果がさらに高められ、肌全体も美白・湿潤になります。
■step5:メイクしてご帰宅
フォトシルクプラス直後は大きなダウンタイムもないので、メイクも可能です。
■step6:その後の通院
フォトシルクプラスは1回でもそばかすが薄くなる効果がありますが、回数を重ねるとさらにそばかすは薄くなります。フォトシルクプラスは治療間隔3~4週間おきに合計5回の治療を受けられることを推奨します。
フォトシルクプラスの経過
フォトシルクプラスの治療後、多くの患者は比較的短期間で回復しますが、個人差があり、肌のタイプや治療の強度によっても異なります。
■直後の反応
・軽度の赤みと腫れ
治療直後、多くの患者は治療部位に軽度の赤みや腫れを経験します。これは、肌への一時的な反応であり、通常は数時間から1日程度で自然に解消します。
・熱感:
治療部位に暖かさやほてりを感じることがあります。これは、肌が吸収した熱エネルギーによるもので、通常は数時間以内に減少します。
■初期の経過
・色素の変化
シミやそばかすを治療した場合、治療後数日で色素が濃くなったり、かさぶたのようになったりすることがあります。これは正常な反応で、1週間程度で自然に剥がれ落ちます。
・肌質の改善
治療後数日から数週間で、肌の質感やトーンの改善を感じることがあります。コラーゲンの生成が刺激されるため、肌が滑らかになり、弾力が増すことがあります。
フォトシルクプラスのダウンタイム
■活動制限
多くの患者は、治療後すぐに日常生活に戻ることができ、ほとんどダウンタイムありませんが、避けるべき活動がいくつかあります。例えば、激しい運動、サウナ、熱いお風呂などは、治療部位の赤みや腫れを悪化させる可能性があるため、24時間程度は避けることが推奨されます。
■紫外線への露出
治療後数週間は、直射日光や紫外線への露出を避けることが非常に重要です。日焼けは治療部位の色素沈着を引き起こす可能性があるため、帽子や日焼け止めを使用して保護することが推奨されます。
フォトシルクプラスは効果なし?失敗について
“フォトシルクプラス 効果なし”や”フォトシルクプラス 失敗”という検索キーワードを目にすることがありますが、これらは一体何を意味するのでしょうか?フォトシルクプラスは、そばかす、老人性色素班といったシミ、またニキビ肌やニキビ後の赤みなど、特定の皮膚問題に対して顕著な効果を示す治療法です。しかし、すべての肌トラブルに対して万能な解決策であるわけではありません。例えば、肝斑やにきびの炎症後の色素沈着など、特定の条件下では「フォトシルクプラス 効果なし」と感じることがあり得ます。
このように、治療が「フォトシルクプラス 失敗」と思われる状況は、主に不適切なケースでの使用や誤った期待に基づくものです。フォトシルクプラスが適していない肌のトラブルに対して施術を行っても、望ましい結果は得られず、場合によっては状態を悪化させる可能性すらあります。正確な診断と適切な治療計画のもとで行うことが、効果的な結果への鍵です。したがって、”フォトシルクプラス 効果なし”や”フォトシルクプラス 失敗”という結果を避けるためには、治療を受ける前に熟練した医師による詳細な診察と適切なカウンセリングが不可欠です。医師の診断力と経験が、フォトシルクプラスのポテンシャルを最大限に引き出し、患者さん一人ひとりの肌の悩みに対する最適な解決策を提供します。
フォトシルクプラスでそばかす治療を受けた症例写真
フォトシルクプラスのメリット
・そばかすに対して絶大な効果があります。
・しみ・そばかすの治療と同時に皮膚の張り・つやも出す効果あり、皮膚老化の諸症状に対して、総合的なエイジングケア治療となります。
・ダウンタイムがほとんどなく、治療直後からメイクなどほぼすべての日常生活を普段通り行えます。
フォトシルクプラスのデメリット
・フォトシルクプラスは、1回の治療で終わるのではなく、3~4週間隔で3~5回の繰り返しの治療が必要な点です。
・すべての肌のトラブルに対して万能ではありません。適用でない肌のトラブルに対して、フォトシルクプラスを行ったとしても効果はありません。例えば、肝斑と言われるシミや、にきび跡の茶色やくすんだ色の色素沈着には効果なしです。適用ではない肌のトラブルに対してフォトシルクプラスの間違った適用を行った場合は、効果がありません。さらには悪化させてしまう可能性もあります
フォトシルクプラスのよくあるご質問
Q:フォトシルクプラス療法は痛いですか?
A:輪ゴムでパチパチはじかれる程度の痛みがありますが、我慢出来る程度ですので、ご安心下さい。
Q:フォトシルクプラス療法は何回位施術が必要ですか?
A:個人差はありますが、そばかすに対してはフォトシルクプラスは1回の施術で効果を実感できる場合が多いです。そばかすをさらに薄くさせるには、通常3~4週間に1回の間隔で照射し、5回以上の施術が理想的です。
Q:フォトシルクプラス療法後、お化粧できますか?
A:フォトシルクプラス療法後、すぐお化粧しても全く問題ありません。
Q:フォトシルクプラス療法後、注意する事はありますか?
A:お化粧、入浴、スポーツなど、すべていつも通りの生活ができます。ただ、施術後長時間紫外線に当たらないように、日焼け止めなどのUV対策は必ず行って下さい。
Q:妊娠しているのですが、フォトシルクプラス療法は可能ですか?
A:妊娠中の方はフォトシルクプラス療法を受けられません。授乳中の方は可能です。
Qエステで光美肌治療をすすめられ、フォトシルクプラス療法と同じ効果があると言われましたが、本当ですか?
A:フォトシルクプラスはエステには設置できません。また、エステのどんな機器でもフォトシルクプラスと同じ効果は得られません。
まとめ
フォトシルクプラスはそばかすに対しては絶大な効果があります。ただ、そばかすにように見えて、実は違うシミであったり、アザであったりする可能性もあります。このためフォトシルクプラス治療を受ける際には、事前に経験豊富な専門の医師に診察してもらうことが一番大切です。また診察を通じて、ご自身の肌の状態や治療後のケアについて理解しておくことも重要です。さらには個人の肌のタイプやそばかすの程度によって、最適な波長設定や治療回数が異なることがあります。経験豊富な専門医の指導のもとで治療を受けることで、安全かつ効果的な結果を期待できます。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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そばかす, フォトシルクプラス, 雀卵斑, IPL, フォトシルクプラス 効果なし, フォトシルクプラス 失敗
2024/01/07
院長ブログトップ > そばかすとの原因と消し方と「そばかすとシミの違い」
そばかすとの原因と消し方と「そばかすとシミの違い」
そばかすとは
そばかす(医学用語で「雀卵斑(じゃくらんぱん)」とも呼ばれます)は、主に顔などの露出部分に現れる小さく薄い茶色の斑点です。これらは通常、皮膚のメラニン色素が過剰に生成された結果として現れます。メラニンは紫外線に対する皮膚の自然な防御反応として機能し、紫外線に晒されることでその生成が刺激されるため、そばかすは太陽にさらされやすい人々に特に多く見られます。
そばかすの組織学的構造
そばかすを組織学的に見ると、そばかすはメラノサイト(メラニンを生成する細胞)が活発にメラニンを生成し、それが周囲の表皮細胞(ケラチノサイト)に移行することで形成されます。通常、メラノサイトは均一にメラニンを分布させますが、遺伝的要因、ホルモン、環境的要因(主にUVB放射)によって、一部のメラノサイトが活性化し過剰にメラニンを生成し、そばかすやシミになります。このようにさまざまな要因によりそばかすやシミが多い人とそうでない人の個人差が現れます。
そばかすの原因
そばかすの出現には遺伝が大きく関わっています。これは特に、肌の色やメラニンを生成する能力に関連する遺伝子に起因します。遺伝的要因がどのようにそばかすの形成に影響を及ぼすかを詳細に見ていきましょう。
■遺伝的背景
・MC1R遺伝子
そばかすの形成に最も関連が深いとされるのは、メラノコルチン1受容体(MC1R)遺伝子です。この遺伝子はメラニンの種類を制御しており、特に赤毛や白い肌を持つ人々において変異が見られます。MC1Rの変異は、メラニンのタイプを黒褐色のユーメラニンから赤黄色のフェオメラニンに変えることが知られており、これがそばかすの出現に寄与します。アジア人や日本人においてもMC1R遺伝子の変異はそばかすに影響を及ぼすことがありますが、変異の種類や頻度は地域や集団によって異なります。
・KITLG遺伝子とOCA2遺伝子
これらの遺伝子もメラニン生成に関与しており、アジア人の肌の色やそばかすの形成に関連していると考えられています。特に、OCA2遺伝子はピグメンテーションに大きく関与しており、その変異は肌の色だけでなく、そばかすの形成にも影響を及ぼす可能性があります。
・その他の遺伝子
アジア人におけるそばかす形成に関連する他の遺伝子には、IRF4、SLC45A2、ASIPなどがあります。これらの遺伝子はメラニンの生成や分布を制御する役割を持ち、そばかすや肌の色の違いに影響を及ぼします。
■環境との相互作用
遺伝的要因があっても、紫外線への露出がなければ、そばかすは現れにくいです。紫外線はメラノサイトを刺激し、メラニンの生成を促進します。したがって、遺伝的にそばかすができやすい人でも、紫外線対策を徹底することでその出現を抑えることが可能です。
■親から子への遺伝
そばかすの傾向は親から子へと伝わることがあります。つまり、両親や近親者にそばかすが多い場合、子どもにもそばかすが現れやすいと言えます。しかし、これはあくまで傾向であり、必ずしもすべての子がそばかすを持つわけではありません。
■遺伝的多様性
個人の遺伝的背景には大きな多様性があります。特定の集団(特に北欧の白人など)でそばかすがより一般的であるとされていますが、他の多くの集団でもそばかすは見られます。遺伝はそばかすの形成に重要な役割を果たしますが、それだけではなく、個人の生活習慣や環境も大きな影響を及ぼします。また、遺伝的要因がそばかすの形成にどのように影響するかを完全に理解するには、さらなる研究が必要とされています。
そばかすの消し方
そばかすの消し方、治療方法にはいくつかあります。どの方法も皮膚の表面に存在する過剰なメラニンをターゲットにし、そばかすを薄くするか、完全に取り除くことを目的としています。以下に、それぞれの治療法について詳細を説明します。
■IPL(インテンス・パルス・ライト)療法
カメラのフラッシュのような光(フラッシュ光線、IPL)を繰り返し皮膚に照射することで、そばかすを薄くする治療です。IPL療法は、特定の波長の光を肌に照射し、メラニン色素に吸収させることで熱を発生させ、メラニンを破壊します。治療中、患者は保護眼鏡を装着し、治療部位にゲルが塗布された後、光が照射されます。そばかすに対しては通常5回を1クールとして数週間の間隔を空けて治療を受けることにより、かなりの治療効果があります。治療後、数日から数週間でそばかすが暗くなった後、徐々に剥がれ落ちます。副作用として 軽度の赤み、腫れ、または一時的な色素沈着の変化が起こることがありますが、ダウンタイムが比較的少なく、テープ等を顔に貼る必要がないことから人気の治療です。光・IPL治療で使用するフラッシュ光線を使った医療機器は多数ありますが、筆者は非常に治療効果が高いフォトシルクプラスを推奨しております。ただし、IPL機器はまぶたと眼球のキワなど、照射できない部位もあります。その場合はレーザー治療を併用することもあります。
■レーザー治療
レーザー治療は、特定の波長の光をメラニン色素に集中させることで、過剰なメラニンを破壊し、そばかすを除去します。よく使用されるのは、Qスイッチヤグレーザーです。レーザー治療は高い効果があり、特に頑固なそばかすに効果的です。通常1回の治療で顕著な改善が見られます。副作用として 赤み、腫れ、ほてり、稀に瘢痕や色素の異常が残ることがあります。テープの1週間程度は患部に貼ることが推奨されてます。
■ビタミンイオン導入
高濃度のビタミン剤(ビタミンC・ビタミンA)を皮膚に直接浸透させる治療方法です。ビタミンC・ビタミンAには美白効果がありますので、この効果が直接そばかすに効いて、そばかすを薄くなる作用があります。そばかす治療において単独でイオン導入だけを行うことはなく、IPLの治療効果を高まれることから、通常はIPL療法と一緒に行います。
■外用療法
そばかすやシミの治療には外用療法もあります。これらは皮膚に直接塗布する薬剤で、主にメラニンの生成を抑制し、既存のメラニンを減少させることを目的としています。ハイドロキノン、トレチノイン(レチノイド)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アルブチン、ニアシンアミドなどの薬剤が使われます。ただし、アレルギーが起こりやすいこと、治療効果が弱く、毎日継続する必要がある点よりそばかすの治療としては推奨できる治療方法ではありません。
そばかすとシミの違い
そばかすといわゆるシミ(日光性色素班または老人性色素班と呼ばれる)は、見た目が似ているため混同されがちですが、発生原因や特徴、組織学的な構造にはいくつかの違いがあります。ただし、両者ともにメラニンの過剰な蓄積によって引き起こされる点は共通しています。ここでは、そばかすとシミ(日光性色素班)の組織学的な違いについて説明します。
■そばかす(雀卵斑)
・原因
遺伝的要因が大きく、特定の遺伝子(特にMC1R遺伝子)の変異が関与していることが多いです。紫外線への露出によって暗くなることがあります。
・組織学的特徴
そばかすの皮膚では、メラノサイト(メラニンを生成する細胞)の数は通常の皮膚と変わりませんが、メラニン色素が表皮細胞(ケラチノサイト)に多く含まれています。つまり、メラノサイトの活性は高いが、その数は増えていない状態です。
■シミ(老人性色素班、日光性色素班)
・原因
長期間にわたる紫外線への露出が主な原因で、特に中年以降の人々に多く見られます。紫外線によるDNA損傷が積み重なり、最終的に色素沈着を引き起こします。
・組織学的特徴
老人性色素班の皮膚では、メラノサイトの数が増加する場合があります。また、メラニン色素は表皮だけでなく、真皮にも見られることがあります。これは紫外線による損傷が深層まで達していることを示しています。このためIPLによる表皮をターゲットにした治療では取り切れないことがよくあります。
■そばかすとシミの共通点と相違点
両者ともにメラニン色素の過剰な蓄積が見られ、肌の色素沈着として現れます。ただし、そばかすは遺伝的要因が大きく、若年期から現れることが多いですが、シミは紫外線への長期間の露出によって発生し、主に年齢を重ねた肌に現れます。組織学的には、そばかすは表皮にメラニンの分布が多く、シミはより深い層にまでにメラニンの分布があります。総じて、そばかすと日光性色素班は外見が似ているものの、原因、発生する年齢層、組織学的な特徴には差異があります。これらの違いを理解することは、適切な治療法を選択する際に重要です。
まとめ
そばかす自体は良性であり、通常は健康上のリスクはありませんが、美容的な理由で気にされる方も多いです。また、紫外線への露出が増えるとそばかすが濃くなったり、数が増えたりすることがあります。そのため、予防や対策としては、日焼け止めの使用や帽子を着用するなど、紫外線から皮膚を守ることが重要です。そばかすに対してIPLは非常に治療効果高いため、そばかすでお悩みの場合は積極に治療をおすすめしますが、どのIPL治療機器で行うかも非常に重要です。まずは信頼できる医師の相談されることを推奨します。また、そばかすは肌自体の体質で再発することもあるため、治療後も日常的な紫外線対策が必要になります。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2023/10/20
院長ブログトップ > 顔のブツブツ、これ何?脂腺増殖症症かも??
顔のブツブツ、これ何?脂腺増殖症症かも??
脂腺増殖症(Sebaceous Gland Hyperplasia)とは何か、それに関して疑問を持ったことはありますか?これは、多くの人々が顔の特定の部分、特に額や頬に現れる小さなブツブツとして経験するものです。実際、これは皮膚の自然な一部、脂腺の過成長や拡大という現象に関連しています。
(上記の写真は脂腺増殖症)
脂腺とは何ですか?
私たちの皮膚には、保湿や保護を目的として油分を分泌する小さな腺があります。これが脂腺です。しかし、時折、これらの腺が過度に成長したり拡大することがあり、その結果として脂腺増殖症が発生します。
脂腺増殖症症の症状は?
皮膚上の小さなブツブツ、具体的には柔らかい、光沢のある、肉色からわずかに黄色っぽいしこりとして現れることが多いです。また、しこりの周りには、目立つ血管も見られることがよくあります。これらのしこりの大きさは2〜5ミリメートル程度と非常に小さいものの、無痛で、健康上のリスクを引き起こすことはありません。
なぜこれが起こるのでしょうか?
脂腺増殖症の正確な原因はまだ不明ですが、ホルモンの変化、特に加齢に伴うアンドロゲンの低下が影響している可能性が指摘されています。さらに、中高年の人々、特に50歳以上の方々にはよく見られる状態です。遺伝的要因や免疫抑制剤もリスクを高める要因として挙げられます。
他の顔のブツブツとの見分け方
①脂腺増殖症
外観: 柔らかく、光沢のある肉色からわずかに黄色っぽい隆起。
特徴: 中央部分がへこんでいることがよくあります。
場所: 顔、特に額や頬。
②汗管種(シリンゴーマ )
外観: 1-3ミリメートルの小さな、平坦な、肉色のパピュール。
特徴: 色が均一で、滑らかな表面。
場所: 通常、下眼瞼や頬。
③稗粒腫(ミリア)
外観: 1-2ミリメートルの小さな、硬い、白または黄色の丘疹。
特徴: ケロイドのような硬さと真珠のような外観。
場所: 顔全体、特に目の周り。
④エクリン汗腺嚢腫
外観: 小さな、透明または青白い色の液体を含む嚢胞性のレジョン。
特徴: 暑い時期や高温・多湿の環境で増大することがあります。
場所: 主に顔、特に目の周り。
脂腺増殖症の治療方法は?
この症状は良性であるため、多くの場合治療の必要はありません。しかし、見た目が気になる場合、いくつかの治療法が考えられます。液体窒素を用いた冷凍法や、電気を利用した焼灼、さらにはレーザー治療など、様々な方法が存在します。また、最近では「アグネス」という治療も注目されており、これは一度の治療で多発する脂腺増殖症を対処できるとされています。
まとめ
脂腺増殖症は、皮膚の特定の部分に現れる無害なブツブツであり、中高年の人々に特に多く見られる状態です。この症状に悩む方は、皮膚科専門医のアドバイスを求めることをおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
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2023/10/18
院長ブログトップ > 目の周りのブツブツ、これ何?②稗粒腫かも??
目の周りのブツブツ、これ何?②稗粒腫かも??
目の周りのブツブツにはさまざまな病態があります。以前のブログでは汗管腫について紹介しました。今回は稗粒腫の話です。
稗粒腫(はいりゅうしゅ;ミリア(Milia))は、顔や体の他の部位に小さく白いしこりとして現れる皮膚の小さな囊胞です。「ひりゅうしゅ」と読まれることもありますが、正しくは「はいりゅうしゅ」です。顔のできるブツブツには汗管種、脂腺増殖症、エクリン汗嚢腫などもありますが、今回は、稗粒腫に関する情報をまとめました。
(上の写真は目元に多発する稗粒腫)
概要
稗粒腫(ミリア)は、皮膚に現れる小さな白色または黄色っぽい嚢胞です。特に目の周り、鼻、頬などの顔に一般的に見られます。ミリアは「ミルクスポット」としても知られ、乳児、子供、大人を含むすべての年齢の人々に発生することがあります。
稗粒腫の発生機序
稗粒腫(ミリア)は、表皮の角化細胞が正常に脱落せずに皮膚の深層に閉じ込められることによって形成される小さな角質囊胞です。これは、毛孔や皮膚の細胞のターンオーバーの異常により、角質が皮膚の下に溜まってしまうことが原因となります。内容物は皮膚の外層に存在するタンパク質であるケラチンの塊です。
稗粒腫の発生要因
稗粒腫(ミリア)の正確な原因は完全には理解されていませんが、いくつかの要因がその形成に寄与する可能性があります。これには以下のものが含まれます:
皮膚の外傷:火傷、水ぶくれ、日焼けなどの皮膚のダメージや外傷の結果として、場合によってはミリアが発達することがあります。
ある種のスキンケア製品の使用:スキンケアや化粧品に含まれるリキッドパラフィン、液体石油、ランオリンなどの成分が、一部の人々で稗粒腫を引き起こすことがあります。
遺伝的な素因:稗粒腫の発達には遺伝的な成分がある可能性があり、家族内で見られることがあります。
稗粒腫の発生頻度
稗粒腫(ミリア)は非常に一般的な皮膚の状態であり、人々のあらゆる年齢層で見られます。新生児では、特に顔に頻繁に発生し、これは新生児の油腺がまだ完全に発達していないためです。大人の場合、太陽や皮膚トラウマなどの外部要因によってもミリアが発生することがあります。
また、稗粒腫(ミリア)は男女ともに発生しますが、特定の年齢層や男女比についての具体的なデータは限られています。ただし、一般的には性別を問わず一般的な状態であると考えられます。
稗粒腫と汗管腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症との鑑別
稗粒腫: 白または黄色っぽい、固い小さな嚢胞や突起が特に目の周辺や頬、鼻に現れます。押しても中の内容物は簡単には出ません。
汗管腫: 顔のまぶたや頬に、透明から薄黄色の、1-3mmの小さな突起が出現します。突起はしばしば多数存在し、表面は平滑で、押すと動かせます。
(上の写真は汗管種)
エクリン汗嚢腫: 透明から青紫色の、小さな液体を含んだ嚢胞が主に顔に現れます。暑い季節や暑い環境では病変が増大することが多く、冷たい環境では小さくなることがあります。この変動性が特徴的です。
(上の写真はエクリン汗嚢腫)
脂腺増殖症: 黄色から褐色の小さな突起が、特に顔の中央部に現れます。突起はしばしば多数存在し、中央に極小のうっ血点が見られることがあります。
(上の写真は脂腺増殖症)
稗粒腫の治療方法
放置: 小さな稗粒腫(ミリア)は自然に消失することがあるため、特に治療を受ける必要はありません。特に乳児では、ミリアは通常数週間以内に自然に解消され、治療は必要ありません。しかし、より年齢の高い子供や大人では、ミリアはより長い期間持続し、不快感や美容上の懸念を引き起こすことがあります。そのような場合、ミリアを除去するための以下に記載の治療オプションがあります。
凍結療法:液体窒素を使用して除去する方法です。
圧排:針または炭酸ガスレーザーを使用して嚢胞の内容物を抽出します。
アグネス:極細針を使用して内容物を焼灼する方法です。1回のダメージは少なくして少しづつ小さくさせるのがアグネスの特長です。
レチノイドクリーム:皮膚の再生を促進し、ミリアの形成を防ぐのに有効な場合があります。
ケミカルピーリング:表皮の上層を除去して新しい皮膚の成長を促進するための処置で、予防に効果的な場合があります。
その他: 稗粒腫(ミリア)自体は無害であり、しばしば時間の経過とともに自然に消失します。ただし、自分でつぶしたり、取り除こうとすると炎症や感染のリスクが上がるため、専門家に相談することをおすすめします。
稗粒腫の予防とセルフケア
稗粒腫(ミリア)を完全に予防することはできないかもしれませんが、その発展や再発のリスクを減少させるのに役立つセルフケア措置がいくつかあります。これには以下が含まれます
やさしいスキンケアルーチン:皮膚を刺激し、ミリアの形成に寄与する可能性がある粗いまたは粗いスキンケア製品の使用を避ける。
毛穴を詰まらせる成分を含む製品の使用を避ける:毛穴を詰まらせる可能性が低いスキンケアおよびメイクアップ製品を選択します。
日焼け止め:日焼けによる損傷がミリアの形成のリスクを高める可能性があるため、日焼け止めや保護服を着用して皮膚を過度な日光から保護します。
まとめ
稗粒腫(ミリア)は無害のため除去が絶対必要ではありませんが、多発すると美容的側面で気になると思います。除去を希望される場合は経験豊富な美容外科医への相談をおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
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2023/10/17
院長ブログトップ > 汗管腫の不思議:その正体と最新の治療法「アグネス」
汗管腫の不思議:その正体と最新の治療法「アグネス」
目の周りに現れる微細なプツプツ、あなたも気になったことはありますか?それらはニキビではありません。一見、ニキビのように見えますが、触れてみると潰れません。メイクで隠そうとしても、なぜかより目立ってしまうことも。病院で「治療は難しい」との回答を受けた方も多いかと思います。これは、汗管腫(カンカンシュ)という疾患の可能性が高いです。以前のブログ「目の周りのブツブツ、これ何?①汗管腫かも??」で紹介しましたが、今回は顔にできるブツブツ(汗管腫、稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症)の新しい治療法「アグネス」を紹介します。
そもそも汗管腫って何?
エクリン汗腺の細胞の過剰な増加が原因で出来る小さなイボ状の良性の肌の変化です。これらは痛みや痒みを伴わず、悪化することもありませんが、一度現れると自然に消えることは期待できません。主に目の周りに出現しますが、他の部位にも現れることがあります。女性に多いこの疾患は、遺伝の可能性も考えられますが、明確な原因はまだ解明されていません。
汗管腫の悩み
多くの方は、汗管腫ができ始めた頃はこの肌の変化をニキビやシワと勘違いします。ニキビのように潰せば治るかと思って、自己処置を行い、余計に悪化させてしまうこともあります。大きさが5mmにもなることもあり、メイクでは隠せないことが多いです。そのため、美容面での悩みを抱える方も少なくありません。
顔や目の周りによくできるブツブツの正体
顔や目の周りによくできるブツブツとして多いのが汗管腫、稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症です。下記にこれらのブツブツの簡単な見分け方を記載しました。
①汗管種(シリンゴーマ )
外観: 1-3ミリメートルの小さな、平坦な、肉色の隆起。
特徴: 色が均一で、滑らかな表面。
場所: 通常、下眼瞼や頬。
②稗粒腫(ミリア)
外観: 1-2ミリメートルの小さな、硬い、白または黄色の丘疹。
特徴: ケロイドのような硬さと真珠のような外観。
場所: 顔全体、特に目の周り。
③エクリン汗腺嚢腫
外観: 小さな、透明または青白い色の液体を含む嚢胞性のレジョン。
特徴: 暑い時期や高温・多湿の環境で増大することがあります。
場所: 主に顔、特に目の周り。
④脂腺増殖症
外観: 柔らかく、光沢のある肉色からわずかに黄色っぽい隆起。
特徴: 中央部分がへこんでいることがよくあります。
場所: 顔、特に額や頬。
革命的治療法「アグネス」の特長
従来、汗管腫の治療は炭酸ガスレーザーを使用していました。また稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症も炭酸ガスレーザーで治療するのが一般的でした。ですが、炭酸ガスレーザーはダウンタイムが長く、傷跡(瘢痕)のリスクも伴います。
しかし、新しい治療法「アグネス(Agnes)」はこれを一変させます。
RFエネルギー: アグネスは、特定の皮膚の深さにRF(無線周波または高周波)エネルギーを正確に送り込むことができるデバイスです。このエネルギーによって、ターゲットとする組織や皮脂腺に選択的に熱傷を与え、凝固・破壊することができます。
選択的治療: アグネスは特定の組織だけをターゲットにすることができるため、周囲の健康な皮膚組織にダメージを与えることなく治療を行うことが可能です。
確実な効果: 汗管腫の治療においては、アグネスの超微細な針を使用して、汗管腫の組織に直接RF(無線周波)エネルギーを送り込み、その組織を破壊します。これにより、汗管腫のサイズや数が減少することが期待されます。
ダウンタイム: 超微細な針を使用するため皮膚に最小限のダメージしか与えません。針穴はすぐに塞がります。治療後のダウンタイムもほぼなく、日常生活への影響も最小限です。ただし、赤みや腫れ、微細なかさぶたが数日間続くことがあります。
再発の予防: アグネスによる汗管腫の治療は、再発率が低いとされています。これは、ターゲットとなる組織を確実に破壊することができるためです。
安全性: アグネスは、適切に操作される場合、高い安全性を持つとされています。ただし、専門的なトレーニングを受けた医師や医療従事者による適切な操作が必要です。
汎用性:アグネスは、汗管腫だけではなく、稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症にも非常に有効ですので、顔のブツブツをまとめて取りたい場合も一度の治療で対応できます。
汗管腫のアグネス治療の流れ
アグネス治療は以下のステップで進められます。
①表面麻酔:表面麻酔薬を塗布し、約30分間放置。
②余分な麻酔を取り除き、治療部位を消毒。
③超極細の針で患部に直接アクセスし、RFで治療。
④治療後は、炎症を抑える軟膏を数日塗ります。
アグネス治療後の変化とケア
治療後、周りの組織が腫れるため、一時的に汗管腫などの治療部位が目立って見えることもありますが、徐々にサイズダウンしていきます。2〜3ヶ月後に治療部位の縮小を実感。
治療後数日は、刺激の少ない洗顔料を使い、化粧水等はアルコール入りの刺激の強いものは避けてください。メイクは翌日から可能です。プをしてください。
特筆すべきは、この治療の副作用が非常に少ないこと。腫れや赤みは一時的で、すぐに目立たなくなります。
アクネスによる治療の頻度や経過
アグネス治療により汗管腫や顔のブツブツ(稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症)は確実に小さくなります。ただ、1回で完全に消えるわけではありません。アグネス治療により汗管腫や顔のブツブツ少しずつ小さくなります。小さいものは1回の治療でご満足できる場合もありますが、通常2~3か月おきに3回程度の回数をおすすめしております。
アクネスによる汗管腫治療の症例写真
上記写真は汗管腫(カンカンシュ)の治療前
上記写真は汗管腫(カンカンシュ)の治療後
その他の疑問解決!
汗管腫は漢方や塗り薬で治せる?→一般的には効果を期待できません。
アグネス治療のサプライズ効果は?→実は小じわの治療にも有効!皮下が引き締まることで目の周りのシワにも効果的です。
アクネスを受けた感想
先ほどの症例写真の患者のアグネス治療を受けた実際の患者のアンケートです。
アグネス施術を受けたキッカケ、 施術前のお悩みについて詳しく教えてください。
➡額と目の下のポツポツ
このクリニックを選んだ理由は何ですか?
➡インターネットで
カウンセリング・アグネス施術前の説明の内容、説明を受けた感想を教えてください。
➡ わかりやすく、施術を受けてみようと思った。
アグネス施術の内容・痛み・かかった時間などを教えてください。
➡思ったより痛かった。 時間は短かかった。
アグネス施術を受けた当日の、 来院から施術後までの様子を教えてください。
➡あっという間に終わった
アグネス施術後どのような経過を辿りましたか?
➡赤くなって傷になったのが、一週間くらいでほぼおさまった。
アグネスのアフターケアの内容とその感想について教えて下さい。
➡特にない
アグネス施術結果に対する感想 (満足度、良かった点など) を教えてください。
➡良くなったのが自分でもはっきりわかって満足です。
クリニック・スタッフやレポートの読者に向けたメッセージをご自由にどうぞ。
➡スタッフの みなさんはきれいで、おどろきました。余裕ができれば、もう一度治療を受けたいです。
まとめ
アグネス(Agnes)治療は、汗管腫やその他の顔のぶつぶつ(稗粒腫、エクリン汗嚢腫、脂腺増殖症)に悩む多くの方にとっての救世主と言えるでしょう。従来の治療よりもダウンタイムが少なく、副作用も最小限に抑えられています。治療を検討されている方は、まず経験がある医師による正確な診断を受け、適切な治療を選ぶことをおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
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2023/10/16
院長ブログトップ > 目の周りのブツブツ、これ何?①汗管腫かも??
目の周りのブツブツ、これ何?①汗管腫かも??
目の周りのブツブツにはさまざまな病態があります。その中でも汗管腫(シリンゴーマ腫 syringoma)は皮膚の良性腫瘍として知られ、特に女性に多く見られる疾患です。この記事では、汗管腫の原因、特徴、そして最新の治療方法について詳しく解説します。なお、エクリン汗孔腫Eccrine Poromaとは全く別物です。
上記の写真が汗管腫です。
汗管腫の原因と特徴
汗管腫はエクリン汗腺由来の良性の皮膚腫瘍です。なお、汗管腫はの正確な原因や発生機序は完全には解明されていません。
目の下の頬部や上眼瞼に、多数の小さな肉色の小突起として現れることが一般的です。
女性に多く、特に目の周りに現れることが一般的です。
汗管腫が目の周りに多い理由
①汗腺の分布: 目の周りには多くのエクリン汗腺が分布しており、汗管腫はこのエクリン汗腺から発生するため、目の周りに発生しやすいと考えられます。
②皮膚の薄さ: 目の周りの皮膚は他の部位に比べて薄く、細やかな変化や小さな腫瘍も目立ちやすくなります。このため、汗管腫のような小さな腫瘍が存在しても、目の周りでは特に顕著に見える可能性があります。
汗管腫の発生とホルモンとの関連性
汗管腫の正確な原因は未だに不明ですが、女性ホルモンの変動が関与する可能性が考えられています。特に思春期や妊娠、更年期などのホルモンの変動が激しい時期に、汗管腫が発生するケースが報告されています。一部の研究では、エストロゲンが皮膚のエクリン汗腺に影響を与える可能性が指摘されています。エストロゲンは女性ホルモンの一つであり、このホルモンの影響によってエクリン汗腺の変化や汗管腫の発生が促される可能性が考えられます。
エクリン汗嚢腫、稗粒腫、脂腺増殖症との鑑別
目の周り周辺にできる粒状の皮膚隆起で汗管腫と非常に似ているブツブツとしてエクリン汗嚢腫、稗粒腫(ミリア)、脂腺増殖症があります。下記の違いから専門医であれば容易に鑑別が付きます。
色と形: 汗管腫は肉色で半透明、エクリン汗嚢腫は透明または青みがかった色、稗粒腫は白いまたは肉色の硬い結節、脂腺増殖症は肉色から黄色がかった丘疹として現れます。
触感: 汗管腫は固く、エクリン汗嚢腫は柔らかく動きやすい、稗粒腫は硬い。
上記の写真がエクリン汗嚢腫です。
上記の写真が稗粒腫(ミリア)です。
上記の写真が脂腺増殖症です。
汗管腫の治療法
汗管腫は良性であり、通常は治療を必要としません。しかし、外見上の問題やコンプレックスとして治療を希望する場合があります。
電気焼灼: 小さな電流を用いて腫瘍を焼灼し、取り除く方法。
レーザー治療: CO2レーザーやエルビウムレーザーを使用して、汗管腫を蒸発させる。
外科的切除: 腫瘍を直接外科的に除去する方法。
ピーリング: TCA(トリクロロ酢酸)を使用して皮膚を軽くピーリングすることで、腫瘍を減少させる方法。
最新の治療方法:アグネス治療
今では「アグネス」という無線周波(RF)デバイスを使用した治療が人気を集めています。
アグネスは、特定の皮膚の深さに無線周波エネルギーを正確に送り込むことができ、汗管腫の組織を選択的に熱傷を与え、凝固・破壊します。
ダウンタイムは比較的短く、効果も持続的であると評価されています。
まとめ
汗管腫は良性の皮膚腫瘍であるため、健康上のリスクは低いとされています。しかし、外見上の問題やコンプレックスとして気にされる方も多いでしょう。アグネス治療など、最新の治療法を適切に選択し、汗管腫を効果的に治療することで、より自信を持って生活することが可能となります。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
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2023/10/10
院長ブログトップ > サブシジョン治療で傷跡と深いシワにアプローチ!
サブシジョン治療で傷跡と深いシワにアプローチ!
誰もが持っている過去の傷や深いシワ。これらは自信を失わせることもあるでしょう。でも、最新の治療法でこれらの悩みを解決することが可能です!
ニキビ跡の解決策としてのサブシジョン
以前の記事サブシジョンによるニキビの瘢痕治療【概要編】」で、クレーター状のニキビ跡に対するサブシジョン治療の有効性を触れました。この治療法は、皮膚の下層に発生した瘢痕組織を緩和するもので、ニキビ跡だけでなく、傷跡の瘢痕やシワの治療にも非常に効果的です。
なぜ傷跡は目立つのか?
傷跡が目立つ背後には、傷跡の皮膚表面下の瘢痕組織が存在しており、これが表面を内側に引っ張ることで凹みが生じます。このような傷跡は、ニキビ跡のクレーター瘢痕と似た状態となります。
サブシジョンとヒアルロン酸のダブル効果
青山セレスクリニック/船橋中央クリニックでは、サブシジョンとヒアルロン酸注入の組み合わせ治療を採用しています。この組み合わせにより、傷跡の瘢痕治療に非常に良好な結果を得ているのです。
深いシワへの対応
眉間や額のシワは、表情によるものですが、長い間同じ表情を繰り返すことで、皮膚下の組織が癒着し、瘢痕のように深くなります。浅いシワなら、ボトックスやヒアルロン酸注入で対応できますが、深いシワ、特に男性の眉間や額のシワには、サブシジョンが有効です。
上記写真のような深いシワは従来の方法ではきれいになりません。
青山セレスクリニック/船橋中央クリニックの取り組み
当クリニックでは、豊富な経験と最先端の技術を活かし、サブシジョンの治療法をさらに進化させ、これまで難しかった傷跡やシワ治療に効果的な治療を提供しています。
まとめ
青山セレスクリニック/船橋中央クリニックのサブシジョン治療は、傷跡やシワに悩むすべての方への希望の光となります。最先端の治療で、再び美しい肌を手に入れましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)
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院長ブログトップ > ニキビ跡を見事に治療!サブシジョン治療のクリニック選びの秘訣
ニキビ跡を見事に治療!サブシジョン治療のクリニック選びの秘訣
ニキビの後に残る痕跡や凹みは、多くの人々の心の中に大きな悩みとして存在しています。特にクレーター状瘢痕やアイスピック型瘢痕は、皮膚の表面の美しさを損ねる主な原因となっています。そんなニキビ跡を綺麗にするための魔法のような治療、それが「サブシジョン治療」です。
過去の記事「サブシジョンによるニキビの瘢痕治療【概要編】」では、サブシジョン治療のご紹介、「サブシジョン治療にヒアルロン酸を追加するメリット」では、ヒアルロン酸注入との組み合わせが非常に有効であることをご紹介しました。この記事では、サブシジョン治療で最も適切なクリニックを選ぶためのポイントを詳しく解説します。
サブシジョン治療とその効果
サブシジョン治療は、これらのニキビの瘢痕に対して驚くほどの効果を持つことが最近の研究で明らかになってきました。しかし、残念ながら日本国内の美容皮膚学界では、この治療方法に関する情報がまだまだ少ないのが現状です。その背景には、この治療が一般的な美容治療とは異なり、外科的要素を強く含むからです。そして、外科的手技を要するこの治療を正確に、そして安全に実施するためには医師の外科的な経験が不可欠となるのです。
外科的要素とは?
治療を施す際、皮膚の表面を皮下組織から特殊な針を使って剥がします。この技術は外科手術時の組織の剥離と非常に似ているため、医師にとって外科の経験はこの治療の成否を分ける重要な要素となります。(ちなみに筆者の元神は外科専門医であります)
ヒアルロン酸の魔法
瘢痕部を丁寧に剥離した後、ヒアルロン酸の注入が行われます。ヒアルロン酸は、瘢痕が再び形成されないようにする役割を持ち、さらに、凹んでしまった部分を綺麗に補正します。このヒアルロン酸は、6~12ヶ月の間に少しずつ体内で吸収されていきますが、その期間中に皮膚の周囲の結合組織が生成されることで、治療後も美しい状態が維持されます。
ただし、ヒアルロン酸注入には注意点があります。最初の剥離作業が不十分だと、ヒアルロン酸の注入は難しくなります。なぜなら、硬くなった瘢痕組織は、通常の柔らかい皮下組織とは異なり、ヒアルロン酸を受け入れにくいからです。瘢痕組織が非常に硬いと、ヒアルロン酸が注入できず、すぐに針の穴から漏れてしまうことがあります。
実は、昔はニキビ跡の瘢痕に対してヒアルロン酸の注入だけを試みる治療も行われていました。しかし、上記のような問題点から効果が期待できず、現在ではサブシジョン治療とヒアルロン酸注入のコンビネーションが主流となっています。
クリニック選びのポイント
治療の成功を左右するのは、技術だけでなく使用するヒアルロン酸の量や品質も非常に重要です。それゆえ、クリニック選びは非常に重要となります。サブシジョン治療の経験が豊富で、かつ外科的な背景を持つ医師がいるクリニックを選ぶことで、最も効果的な治療を受けることができます。
まとめ
ニキビ跡の治療は、ただの美容治療以上の専門的な技術や知識を要します。サブシジョン治療とヒアルロン酸注入の組み合わせは、その最先端と言えるでしょう。クリニック選びには十分な注意を払い、最適な治療を受けて、再び美しい肌を手に入れましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)
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2023/04/04
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【初心者向け】シミとほくろはほぼ同じ?専門医が徹底解説!
「【初心者向け】シミとほくろはほぼ同じ?専門医が徹底解説!」の動画を作成しました。
ほくろとしみの治療方法ついて解説しました。
是非ご覧ください!
美容HP「シミほくろ治療のポイント」もご参照ください。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、ほくろ、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2022/07/12
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元神チャンネルビューティーがリニュアルしました!
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しみやほくろのレーザー治療についてyoutube動画で解説しました。
取り方が一緒に見えて、実は違うんです!
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筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、ほくろ、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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2020/07/21
院長ブログトップ > 巨大なシミ(老人性色素斑)
巨大なシミ(老人性色素斑)
どれだけ大きく治療できなさそうなシミも、正しい診断と治療を行えば除去できます。
写真のシミは濃くて大きいですが、最もありふれた老人性色素斑(日光性色素斑)と診断されるシミです。
当院ではQスイッチヤグレーザーで治療できます。
1回の治療で取れきれる場合が多いのですが、今回は上記のようにわずかに残っていたので、この後レーザーの再照射治療を行いました。
最終的には上記のようにきれいさっぱりシミが除去できました!
ネット上のサイトではいろんなシミ治療が載っており、虚偽や詐欺的な情報も多数見受けられます。
今回のモニター写真のようなシミはレーザー治療が間違いなく一番よい方法です!
虚偽情報に流されず、シミは信頼できる医療機関での治療をおすすめします。
シミのレーザー治療については
船橋中央クリニック・青山セレスクリニック「しみのレーザー治療専門ページ」も
ご参照ください。
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2020/05/19
院長ブログトップ > 扁平母斑に対するヤグレーザー治療
扁平母斑に対するヤグレーザー治療
今回は治療が難しいとされている、母斑のレーザー治療によるモニター患者様を紹介します。
左目の下の扁平母斑の治療前
扁平母斑に対して
3回レーザー照射後3か月の状態
母斑(あざ)の治療は正確に母斑の種類を診断し、適切なレーザーを照射すれば、たいてい改善します。
「母斑は治療できない」と間違った先入観を持っているかたが多く、「今まで治療をあきらめてきた」、「他院で治療したけど全くかわらなかった」というかたが多いのですが、そんなことはありません!
今回のモニター患者様は、生まれつきの扁平母斑でしたが、ヤグレーザー治療を3回行い、かなり薄くなりました。
さらに1,2回照射すれば完全に除去できると思われます。
治療が難しいとされるアザと呼ばれている「扁平母斑」、「太田母斑」は当院では治療できますので、お気軽にご相談ください。
最後にこの患者様にご記入いただいたアンケートです。
20歳代 女性 千葉県鎌ケ谷市在住
1、施術を受けたきっかけは?
目の下にある母斑が昔からずっと気になっていたので。
2、このクリニックを選んだ理由は?
家から通いやすい場所で、信頼できそうだったから。
3、カウンセリングの感想は?
レーザー治療は初めてだったので不安でしたが、あまり痛くないと聞いて安心しました。
4、施術の内容、痛みは?
ヤグレーザーを3か月に一度、計3回。最初は痛くてびっくりしました。時間は5分くらいだったと思います。
5、施術当日の様子は?
来院して5分くらい待合室で待ち、治療前に冷たいものを患部にあてられその後治療。
治療後は肌色のテープを貼って帰りました。
6、施術後の経過は?
テープを1週間貼り、かさぶたが1週間後にできてそれが自然にはがれてだんだんシミが薄くなりました。
7、アフターケアの内容とその感想について?
気になった時に来院して、様子を診てもらったりしました。
8、施術結果に対する感想(満足度、良かった点など)は?
回数を重ねるごとに薄くなってきて、今では目立たなくなったので良かったです。
9、メッセージをどうぞ。
お世話になりました。ありがとうございました。
アザのレーザー治療については
船橋中央クリニック、青山セレスクリニック「あざ・母斑のレーザー治療専門ページ」もご参照ください。
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勤務歴:H15年船橋中央クリニック開業
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