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2024/03/19

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【白ニキビの原因と治し方】即効で治す方法とは?

白ニキビ

ニキビが初期段階で現れる白ニキビは、見た目の印象を大きく左右するし、「おでこに白ニキビが突然に大量発生した」や「生理前に顎に白ニキビが繰り返す」など症状が現れることもあるため、特に女性にとって深刻な悩みの一つです。一般的に白ニキビは、おでこ、鼻、鼻下、顎といった部位によく現れます。この記事では、そうした白ニキビが発生するメカニズムからその対処方法に至るまで、様々な側面から徹底解説していきます。

参照元:

What Is a Comedo? Understanding Blackheads and Whiteheads

白にきびとは

白ニキビ、医学用語では閉鎖型面皰(コメド)とも称されます。見た目は小さな白い点や盛り上がりとして現れます。触感は硬めであるものの、炎症を伴わないため、赤みは見られません。白ニキビという用語は炎症性の黄ニキビと混同されることがありますが、これらは全く異なる症状です。黄ニキビの特徴は、潰すと白っぽい膿が出ることであり、これが白ニキビとは異なる点の一つです。白ニキビは潰すべき対象ではなく、正しい理解と適切なケアが必要です。

黄ニキビ

↑白にきびと混同されやすい黄ニキビ

WHAT’S INSIDE A PIMPLE?

白にきびができるメカニズム

白にきびはニキビの初期段階の一つです。白ニキビは毛穴が皮脂や角質で詰まることから始まります。通常、皮脂腺は皮膚を潤すために皮脂を分泌しますが、過剰な分泌や角質の蓄積により毛穴が塞がれると、白ニキビが形成されます。この白ニキビの状態から細菌の増殖が始まると、白ニキビから赤ニキビと言われる炎症性ニキビに移行します。詰まった毛穴は細菌の増殖に適した環境を作り出し、これが炎症や赤ニキビへと進行する原因になるのです。

白にきびができやすい部位

白ニキビは、特に顔のTゾーンとして知られる領域 — おでこ、鼻、鼻下、あご — に頻繁に発生します。これは、これらの部位には皮脂腺が豊富にあり、その結果として皮脂の分泌が活発であるためです。さらに、白ニキビは背中や胸部といった他の部位にも現れることがあり、これらの領域でも皮脂腺の活動が盛んな場所に白ニキビが形成される傾向があります。特に成人女性に多く見られる、おでこのニキビ、鼻ニキビ、顎ニキビは、これらの部位の皮脂腺の活動性が高いことが原因です。

白にきびの予防

白ニキビの予防には、日常のスキンケアと生活習慣の改善が重要です。以下に具体的な予防方法について詳しく述べます。

■洗顔

優しい洗顔:洗顔料は肌に優しいものを選び、強くこすらずに優しく洗います。過剰な洗顔は皮脂を取り過ぎ、逆に皮脂の過剰分泌を引き起こす可能性があります。

適切な回数:1日に2回(朝と夜)が理想的です。特に夜の洗顔は一日の汚れやメイクをしっかり落とすことが大切です。

■角質ケア

穏やかなピーリング:定期的に角質除去を行い、毛穴の詰まりを予防します。ただし、肌に刺激を与え過ぎないように注意し、使用頻度を守りましょう。

■保湿

保湿の重要性:皮脂が多いからといって保湿を怠ると、肌が乾燥して皮脂の過剰分泌を招きます。適切な保湿は皮脂のバランスを整えるのに役立ちます。

適切な保湿剤の選択:肌質に合った、ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせない)の保湿剤を選びます。特に、オイルフリーや低刺激の製品がおすすめです。

■生活習慣の見直し

バランスの良い食事:健康的な食生活を心がけ、特に高GI(グリセミック指数)食品の摂取を控えます。

十分な水分摂取:水分不足は肌の乾燥につながるため、適量の水分を摂ることが重要です。

ストレスの管理:ストレスはホルモンバランスに影響し、ニキビを悪化させることがあります。リラクゼーションや趣味などでストレスを管理しましょう。

十分な睡眠:質の良い睡眠を取ることで、肌の修復・再生を助けます。

■日焼け止めの使用

紫外線対策:紫外線は皮膚のダメージを引き起こし、ニキビの悪化を招く可能性があります。日中は日焼け止めを使用し、適切な紫外線対策を行います。

■化粧品の選び方

肌に優しい化粧品:肌に刺激を与えない、ノンコメドジェニックの化粧品を選びます。

白ニキビの治療方法【塗り薬について】

顎にきび

日本皮膚科学会より発行されている「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」において面皰(白ニキビ)に対して推奨されている治療薬は塗り薬の過酸化ベンゾイルとアダパレンのみです。それぞれベピオゲル、ディフェリンゲルという商品名で多くの場合は処方されています。

■過酸化ベンゾイルとは

過酸化ベンゾイルを主成分とする塗り薬ではベピオゲルが先発医薬品で、2015年に発売された比較的新しい処方薬です。塗った過酸化ベンゾイルは皮脂腺内で分解され、強い酸化剤として作用し、アクネ菌の細胞壁を破壊することで、強力な抗菌効果を発揮します。また過酸化ベンゾイルは角質層を軟化させ、古い角質を除去する効果があります。これにより、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの形成を予防すると同時に、既存のニキビを治療します。さらに、過酸化ベンゾイルには炎症を軽減する作用があり、ニキビに伴う赤みや腫れを減少させます。使用上の注意点としては、過酸化ベンゾイルは布などを漂白する性質があるため、使用時には衣類やタオルなどに注意が必要です。

■アダパレンとは

アダパレンを主成分とする塗り薬ではディフェリンゲルが先発医薬品で、2008年に日本国内では発売されました。アダパレンは合成レチノイドであり、ビタミンAの誘導体です。アダパレンは皮膚の角質層の正常化を促進し、毛穴の詰まり(コメド)の形成を防ぎます。また、アダパレンには、ニキビの炎症を減少させる抗炎症作用があります。これは、炎症を引き起こす細胞因子の活動を抑制することによるものです。さらに、 いくつかの研究では、アダパレンが皮脂腺の活動を調節し、皮脂の過剰な分泌を抑える可能性が示唆されています。使用上の注意として、アダパレンは光に敏感なので、使用中は日焼けを避けるか、日焼け止めを使用することが推奨されます。また、妊娠中や授乳中の女性には使用できません。

参照元:

An Overview of Comedonal Acne

白ニキビの治療方法【飲み薬について】

白ニキビの治療に関して、一般的な抗生剤の内服は推奨されていません。これは、白ニキビに対してこれらの薬剤が効果的ではないという医学的見解に基づいています。一方で、漢方薬は皮膚科での処方が一般的ですが、これらの薬剤の使用は特定の条件下でのみ推奨されます。具体的には、日本皮膚科学会のガイドラインでは、「面皰に,他の治療が無効,あるいは他の治療が実施でき ない状況では,荊芥連翹湯を選択肢の一つとして推奨する。黄連解毒湯,十味敗毒湯,桂枝茯苓丸については, 行ってもよいが推奨はしない」との立場を取っています。これらの情報から、白ニキビ治療における飲み薬は非常に限定的な選択肢であることが理解されます。

白ニキビの治療方法【薬以外の手段について】

■ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは「効果の確実性がない」、効果が現れるまで回数を重ねる必要があある」、「再発する」というデメリットが多いことが私はケミカルピーリングはすすめません。ニキビのガイドラインでは「面皰に,標準治療が無効あるいは実施できない場合にグ リコール酸あるいはサリチル酸マクロゴールによるケ ミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨する」とあります。

ケミカルピーリングは、白ニキビ治療の選択肢の一つとして知られていますが、私の考えではケミカルピーリングはあまりおすすめしません。ケミカルピーリングには確実な効果を期待するのが難しく、目に見える改善を得るためには何度も施術を繰り返す必要があり、さらに治療後の再発の可能性もあります。日本皮膚科学会ののガイドラインでは「面皰に,標準治療が無効あるいは実施できない場合にグ リコール酸あるいはサリチル酸マクロゴールによるケ ミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨する」とあります。

■アグネス

白ニキビ治療において、私は特にアグネス治療法の適用を推奨します。白ニキビが多数発生した場合や、迅速な治療を希望する場合、また従来の薬物療法で十分な効果が得られない場合には、アグネスが特に有効です。アグネス治療法は、白ニキビを一つ一つ熱分解し、根本的に破壊する方法です。これにより、治療部位からのニキビの再発を防ぎます。通常の白ニキビ治療では、外用薬などの保険診療が主に行われますが、これらの薬物療法が1ヶ月経っても改善が見られない場合、アグネス治療への移行を検討することを推奨します。白ニキビが進行し、赤ニキビや黄ニキビといった炎症性の病変に変化すると、ニキビ跡が残りやすくなります。これらは治癒後も長期間影響を及ぼす可能性があります。薬物療法と比較して侵襲性が高いとはいえ、アグネス治療は初期段階から効果的であるため、その選択が望ましいと考えます。特に、塗り薬による治療中に炎症を伴うニキビが悪化するリスクや、瘢痕(キズ跡)を残す危険性を考慮すると、早期のアグネス治療の検討が重要です。効果的な治療を求めるならば、アグネス治療の早期導入を考えるべきでしょう。

アグネスの治療前後コメカミ

白ニキビについてよくあるご質問

Q:白ニキビはどうしたら治りますか?

A:塗り薬で治療するのが一般的です。塗り薬でも治らない場合や、すぐに治したい場合はアグネスをおすすめします。

Q:白ニキビは自然に消えますか?

A:洗顔を心掛け、ストレスをためない規則正しい生活と良い食生活を心掛ければ、自然に治ることもあります。

Q:白ニキビを一晩で治す方法はありますか?

A:アグネスは1回の治療治ります。アグネス治療法は、白ニキビを一つ一つ熱分解し、根本的に破壊する方法です。これにより、治療部位からのニキビの再発を防ぎます。

Q:白ニキビが治らない時はどうすればいいですか

A:アグネスを推奨します。アグネス治療法は、白ニキビを一つ一つ熱分解し、根本的に破壊する方法です。これにより、治療部位からのニキビの再発を防ぎます。

Q:白ニキビは潰した方がいいですか?

A:白ニキビは潰すべきではありません。潰すことで炎症が起こり、跡を残す可能性があるからです。

Q:白ニキビはホルモンバランスと関係がありますか?

A:すべてのニキビはホルモンバランスと関係することがあります。女性の多くはこのため月経前にニキビの悪化を感じます。

Q:白ニキビは何日で治りますか?

A:白ニキビの治癒期間は、その大きさ、重症度、および治療方法によって異なります。通常、適切なスキンケアと治療を行った場合、白ニキビは数日から1週間程度で改善することが多いです。しかし、ニキビの状態や個人の肌質、生活習慣などによって治癒にかかる時間は異なります。なかなか治らない場合は塗り薬やアグネスによる治療をお勧めします。

Q:ニキビを潰した時に出てくる白い芯は何ですか?

A:ニキビを潰したときに出てくる白い芯には、皮脂、死んだ皮膚細胞(角質)、細菌(アクネ菌)、白血球の残骸(膿)が含まれます。これらの混合物が圧力によって外部に押し出されるとき、一般的に見られる白い芯となります。

Q:白ニキビは保湿しない方がいいですか?

A:白ニキビがあっても保湿は重要です。保湿を怠ると肌が乾燥し、皮脂の過剰な分泌や肌トラブルを引き起こす原因となることがあります。

Q:白ニキビを潰さないとどうなる?

A:ニキビを無理に潰すと、炎症を引き起こし、ニキビ跡が残る可能性があります。また、感染のリスクも高まります。白ニキビは早期に塗り薬またはアグネスを受けるべきです。

Q:白ニキビを放置するとどうなる?

A:軽度の白ニキビは適切なスキンケアを続けることで、自然と治ることがあります。しかし、スキンケアが不適切だったり、他の刺激に晒されたりすると、白ニキビが赤ニキビなどに悪化することもあります。

Q:潰したほうが良いニキビは?

A:黄ニキビと言われる、白い頭(膿)が表面に近くにある場合で、簡単に排出できそうな状態の場合のみ潰したほうがいいです。

Q:白ニキビは皮膚科に行くべきですか?

A:数個の白ニキビで、重度の炎症や痛みを伴わない場合はホームケアでも自然に治ることもあるためすぐに皮膚科に行く必要がないですが、白ニキビが多数ある、または繰り返し出現する場合、皮膚科またはニキビ治療を専門とする美容外科を受診すべきです。

Q:白ニキビはどの順番で悪化しますか?

A:赤ニキビ→黄ニキビ→紫ニキビの順に悪化するのが典型的ですが、必ずしもこの順番で悪化するとは限りません。

Q:白ニキビを潰すとはどういうことですか?

A:白ニキビを潰すというのは、文字通りにはニキビの頭を圧迫して、中に蓄積された内容物(皮脂、古い角質、細菌など)を外に出す行為を指します。白ニキビは毛穴が詰まって形成されるため、中には白い膿のようなものが溜まっていることがあります。ただし、白ニキビを潰すことは跡になってしまう可能性があるため推奨されません。

Q:白ニキビは取るべきですか?

A:白ニキビを「取る」、つまり自分で潰す行為はやめるべきです。

Q:白ニキビは膿が溜まる?

A:白ニキビは膿が溜まるものでは通常はありません。白ニキビ(閉鎖型コメド)は、毛穴が皮脂や角質で詰まってできるニキビの初期形態です。これらの白ニキビは、表皮の下に閉じ込められた皮脂や角質の塊が白く見えることからその名がついています。

Q:白ニキビができる理由は何ですか?

A:白ニキビの発生には複数の原因が関わっています。主な理由としては、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まりです。これはホルモンの変化、不適切なスキンケア、栄養バランス、ストレスなどにより誘発されたりします。

まとめ

にきびの正しい化粧の仕方

白ニキビは、生活習慣の改善と適切なスキンケアを通じてその発生を抑えることが可能です。一見、軽微な肌トラブルに見える白ニキビも、放置することで赤ニキビや炎症を伴うニキビへと進行する可能性があります。このため、白ニキビの早期発見と迅速な対処は肌の健康を守る上で非常に重要です。特に、アグネス治療は白ニキビに対する効果的な手段として推奨されます。この記事が白ニキビに悩む方々にとって、一助となることを心より願っています。白ニキビに関する正しい理解と適切な治療選択が、美しい肌への第一歩となるでしょう。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

万能のニキビ治療「アグネス」のご相談はこちら

【おでこと顎ニキビ】大人ニキビの特徴と治療

ニキビ治療「アグネス」の効果とデメリット

【化粧品によるニキビ】化粧が原因のニキビについて

【ニキビとストレスの関係】科学的根拠に基づいた解説

【アグネスに効果がない!】科学的検証に基づくアグネスの真の効果

にきびのアグネス治療の写真

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2024/03/18

院長ブログトップ > 焼肉とスイーツが女性の薄毛に効く?【女性薄毛ブログ第18回】

焼肉とスイーツが女性の薄毛に効く?【女性薄毛ブログ第18回】

焼肉とスイーツと女性薄毛

(第17回「ストレスと女性薄毛の関係」からの続き)

前回の記事で、ストレスが女性の薄毛に与える影響についてお話しました。今回の記事では、そのストレスが体内でどのように作用し、私たちの体がどのように生理学的に対応しているのかを深掘りします。興味深いことに、多くの女性が好む焼肉とスイーツという食品選択が、実は私たちの身体が直面するストレスに対抗するための生理学的な反応の表れである可能性があります。なぜ焼肉とスイーツが女性の健康、特に薄毛に関係してくるのか、その驚きの関係性も解き明かしていきましょう。

参照元:

How stress causes hair lossストレスとその後の神秘的な反応

私たちがストレスを感じたとき、脳はそのストレスに対抗するために、神経伝達物質であるセロトニンとドーパミンを分泌します。これらの神経伝達物質が増加すると、私たちは気分が高揚し、元気を取り戻します。セロトニンはしばしば「幸せホルモン」と呼ばれ、私たちの気分を穏やかにし、心の平穏をもたらす効果があります。一方、ドーパミンは「快楽ホルモン」とも称され、報酬や喜びを感じる時、私たちの行動を動機付ける重要な役割を担っています。私たちの身体は、これらの神経伝達物質を通じてストレスに反応し、自己調整を図ります。

参照元:

Dopamine And Serotonin: Our Own Happy Chemicals

セロトニンの分泌機序

ストレスを感じると、脳はその情報を処理し、身体が適切に対応できるようにします。以下にその際にセロトニンがどのように分泌されるのか、解説します。ただし、セロトニンシステムは非常に複雑で、現在も研究が進められており、その全体像はまだ完全には解明されていません。

1.セロトニン前駆物質の活性化

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から生成されます。ストレスがかかると、トリプトファンが脳内でセロトニンに変換される過程が活性化します。

2.蓄積と輸送

合成されたセロトニンは神経細胞内に蓄積され、シナプス前の神経終末へと輸送されます。

3.シナプスへの放出

ストレスの刺激に反応して、神経細胞電気的な信号を発生させ、この信号がシナプス前終末に到達すると、セロトニンがシナプス間隙(神経細胞間の小さな隙間)に放出されます。

4.シナプス後の受容体との結合

放出されたセロトニンはシナプス間隙を通過し、隣接するシナプス後の神経細胞のセロトニン受容体に結合します。この結合は、信号の伝達を誘発し、一部の神経細胞の抑制を促す結果、気分の安定や不安の軽減に関連する神経活動を引き起こします。

5.気分と不安の調整

例えば、セロトニンは扁桃体の活動を抑制することによって、恐怖や不安反応を減少させることができます。また、大脳皮質や海馬の機能に影響を与えることで、気分の安定成に寄与します。このように、セロトニンが受容体に結合することで引き起こされる一連のシグナル伝達と神経活動の変化が、気分の安定や不安の軽減に重要な役割を果たしています。

6.再吸収と代謝

セロトニンは一定時間後に神経細胞に再吸収されるか、代謝されます。

ドーパミンの分泌機序

ドーパミン

セロトニンと同様に、ストレスを感じると、脳はその情報を処理し、身体が適切に対応するために、ドーパミンを分泌します。以下にドーパミンがどのように分泌されるのか、解説します。

1.ドーパミンの合成

ドーパミンは主に脳内の中脳部と呼ばれる領域で生成されます。これはチロシンというアミノ酸から合成されます。

2.ストレス反応の開始とドーパミンの放出

ストレスを感じると、脳の報酬系と呼ばれる中脳部の神経細胞を活性化され、これらの細胞は蓄積していたドーパミンをシナプス間隙に放出します。

3.ドーパミン受容体への結合

放出されたドーパミンはシナプス間隙を通過し、隣接する神経細胞(シナプス後の細胞)のドーパミン受容体に結合します。

4.神経活動の変化

ドーパミン受容体の活性化により、神経細胞の活動が変化します。これにより、神経細胞の興奮状態や、他の神経伝達物質の放出が調節されます。

5.感情や行動への影響

ドーパミンが放出され活性化した脳の領域によって、様々な心理的、行動的効果が引き起こされます。例えば、喜び、やる気の向上などが生じます。

6.再吸収と代謝

ドーパミンもセロトニンと同様に、使われた後は再吸収されたり、代謝されたりします。

セロトニンとドーパミンの役割

私たちの体は、ストレスに対して非常に巧妙な方法で対応します。その鍵を握るのが、セロトニンとドーパミンという二つの神経伝達物質です。これらはストレスに対する私たちの体の自然な適応機構の重要な部分を形成し、短期的なストレス状況では私たちをサポートし、適切な反応を促します。セロトニンは心の安定をもたらし、ドーパミンはポジティブな感情や動機付けを促進します。しかし、慢性的なストレスの下では、これらの神経伝達物質のバランスが崩れる可能性があり、それはうつ病や不安障害などの精神的健康問題を引き起こすリスクを高めます。このように、ストレスがセロトニンとドーパミンの分泌に与える影響は複雑で、これらの神経伝達物質のバランスが心身の健康に重要な役割を果たしています。

女性の大好きな焼肉とスイーツがストレスと薄毛に効く?

焼肉とストレスと薄毛

焼肉とスイーツ、これらは多くの女性にとってのおいしい楽しみであり、実はそれ以上のものかもしれません。以前の記事で、ストレスが女性ホルモンの低下を引き起こし、これが薄毛の一因になることをご説明しました。不思議なことに、女性が直面するこの種のストレスに対し、焼肉やスイーツが有効に作用する可能性があるのです。ストレスを感じると、脳はセロトニンとドーパミンという神経伝達物質の分泌を促進されることはこの記事で説明してきましたセロトニンとドーパミンが増えると、私たちは気分が向上し、元気になります。セロトニンは「幸せホルモン」として知られ、ドーパミンは「快楽ホルモン」としての役割を果たします。これらのホルモンは、それぞれトリプトファンとチロシンから合成され、これらのアミノ酸は肉類に豊富に含まれています。つまり、肉類はセロトニンとドーパミンの合成に必要な栄養素を提供するのです。また、トリプトファンからセロトニンが合成される際、血中のブドウ糖濃度が高い方が合成効率が上がることが知られています。ここで、砂糖は血糖値を短時間で効率良く上げることができるため、スイーツが役立つことになります。このことから、ストレスを感じた時に焼肉やスイーツを食べたくなるのは、私たちの体が必要な栄養素を求めている証拠かもしれません。さらに、ストレスにより影響を受けた女性ホルモンの低下を察知する本能が、これらの食品に強く惹かれる理由の一つかもしれません。焼肉とスイーツは、単なる美味しい食事以上の、女性の身体が求める栄養と心の癒やしを提供しているのかもしれません。

スイーツとストレスと薄毛

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。

【関連項目】

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2024/03/17

院長ブログトップ > 福原愛さんの美容整形疑惑について専門医が徹底分析・解析

福原愛さんの美容整形疑惑について専門医が徹底分析・解析

福原愛さんの整形疑惑について

2024年3月15日、東京の日本外国人特派員協会にて開かれた福原愛さんの記者会見が、彼女の変貌ぶりを巡るネットの大きな話題となりました。会見に登場した福原さんは、かつての姿から劇的に変化し、女優のように美しくなっていたため、美容整形を行ったのではないかという疑惑が持ち上がっています。この記事では、福原愛さんの見違えるような変貌について、美容外科の専門医としての立場から、その変化の理由を徹底的に分析し、美容整形の可能性について科学的な視点から解説します。メイクや加齢がもたらす顔貌の変化についても詳細に説明し、福原さんの変化がただの噂なのか、それとも美容整形の賜物なのかを明らかにします。

福原愛さん、目元の変化で脚光。和解成立を報告する記者会見で注目集まる

『福原愛さん パッチリ二重に「雰囲気変わった」「綺麗過ぎてびびった」元夫と和解成立で会見 昨年末に美容整形医院で施術』というタイトル名でヤフーのニュース記事が掲載されました。記事の概要は以下のとおりです。

■ヤフーニュースの概要

元卓球選手の福原愛さんが、東京の日本外国人特派員協会で行った記者会見で、元夫である台湾の卓球選手江宏傑氏との和解が成立し、子供の親権問題が解決したことを発表しました。この会見で、福原さんの外見が目立って変わったことが注目され、彼女の美しさや雰囲気の変化に対する驚きの声が多く上がりました。福原さんは紺色のジャケットを着て登壇し、髪を後ろで結んでおり、その大きく変わった二重の目が特に話題になりました。彼女は江氏との和解について語り、今後は元夫と協力して子供たちを育てていきたいと述べました。福原さんは2016年のリオデジャネイロオリンピック後に江氏と結婚し、二人の子供をもうけましたが、2021年7月に離婚を発表。昨年12月には、ある美容外科クリニックでスキンケアとリフトアップの施術を受けたことが公表されました。

出典元:

福原愛さんのヤフーニュース記事

福原愛さんのデイリースポーツ記事

福原愛さんの顔貌の変化へのSNSユーザーの反応

会見で整形疑惑となった福原愛さんの輪郭

福原愛さんの記者会見後、SNS上では彼女の見違えるほどのビジュアル変化に注目が集まりました。多くのユーザーが彼女の変貌に驚愕し、その美しさを賞賛するコメントを残しています。「愛ちゃん、別人のようだった。長い間見ないうちに、驚くほど変わっていたんだね」や「福原さん、明らかにきれいになっている。ストレスが解放されたかのように、表情もずいぶん明るくなったね」のような感想が見られました。特に彼女の痩せた顔立ちや、目元の印象的な変化に対するコメントが目立ち、「彼女が経験した困難が、こんなにも顔に現れるものなのかと思うと驚きだ」といった感想が寄せられています。他にも、「顔つきがすっきりしている」、「雰囲気がガラリと変わったね」、「驚くほど美しくなった」、「美しすぎて目を疑った」など、福原さんの新たな魅力に驚く声が数多く上がっており、彼女の変化に対する関心の高さがうかがえます。

昨年12月の記事を詳細に検証した結果

↑クリニックの公式インスタの映像のスクショ

2023年12月、福原愛さんの美容整形に関する最初の言及は、12月20日にヤフーニュースで報じられた記事に遡ります。その記事では、美容外科の院長とともに、福原愛さんがクリニックの公式インスタグラムに登場し、施術を受けたことが公開されていました。この事実が世間の注目を集め、一部では批判的な声が上がったことが記されています。私が詳細に調査を進めた結果、当時福原愛さんが受けていたのは、ケミカルピーリングとレーザーを組み合わせたスキンケア治療であることが判明しました。このニュースが流れた際、特に注目されたのは福原愛さんの変化した外見でした。ヤフーニュースに掲載された彼女の写真に対し、インターネット上では以下のようなコメントが散見されました:

「うわー、目が全然違う。」

「確かに目の印象が変わっているね」

「え、整形? まさか今?」

しかし、私が広範囲にわたって行った調査によれば、上記で触れたスキンケア治療を除き、福原愛さんが他の美容整形手術を受けたという具体的な証拠や情報は見当たりませんでした。したがって、彼女の見た目の変化については、一部では推測に基づくものであると考えられます。

出典元:

福原愛さんが批判されていることを取り上げたヤフーニュース

世間の批判的な声についての私見

福原愛さんが二重整形(疑惑)を受けたとされる件に関して、世間の批判的な声についての私見を述べたいと思います。美容外科医として20年以上のキャリアを積み重ねてきた私の立場から見て、二重まぶたの埋没法という治療は、今やお化粧の延長として捉えられることが多くなっています。実際、二重を作るためのテープや接着剤などの化粧品は、長期的に見ると皮膚にダメージを与える恐れがあります。そのため、美容目的での二重まぶた形成術は、肌の健康を考慮すれば、化粧品を使うよりも合理的で健全な選択であると言えます。このように気軽に二重の整形手術を受けること自体、私は肯定的に捉えています。しかし、未だに有名人が美容整形を受けたかどうかを追及し、その事実があった場合には非難の声が高まる現状には、時代遅れの感覚を感じずにはいられません。美容整形は個人の自由であり、それを悪とみなす視点自体が古いと考えます。今回の福原愛さんにまつわる騒動も、美容整形に対するネガティブな先入観が背景にあると感じています。また、もし実際に整形手術を受けた人がその事実を隠したいと感じるのであれば、それは理解できる部分です。私達は美容整形が社会的なタブーであるかのような古い概念を捨て、個人の選択を尊重するべき時代にいるのです。美容整形を受けたことで容姿が変わるのは、その人の自己実現の一環として肯定的に受け入れるべきであり、社会もそれをサポートする姿勢を見せるべきです。最終的には、美容整形が人々の生活の質を向上させ、自信を与えることに貢献しているのですから。

福原愛さんの二重整形疑惑、真相に迫る

福原愛さんが実際に二重整形を行ったのか否か、この疑問について徹底的に検証してみました。疑惑の発端となった昨年12月の美容外科クリニックで撮影された映像では、確かに彼女の二重の幅が普段と比べて顕著に広く見えます。この特徴的な変化は、多くのSNSユーザーによって指摘され、整形疑惑を呼んだのです。

福原愛の二重整形疑惑の分析

↑先ほどのスクショの拡大画像

しかし、私たちは、ここで重要な一点を見落としてはなりません。当該の写真で、福原愛さんは目元のメイクをほとんど施していないと思われるのです。この点に着目し、メイクが施されていない子供の頃の福原愛さんの写真と比較分析を行いました。

子どもの頃の福原愛

子どもの頃の福原愛さんの写真をも見ると、とても可愛らしいですね(笑)。この幼少期の写真では、彼女の二重の幅が非常に広いのが分かります。そのため、昨年12月の写真と比較しても、二重の幅に大きな変化は見られません。これらの比較から、結論としては、福原愛さんが二重整形を受けたという主張には根拠が乏しいと断言できます。幼少期の写真と昨年末の写真における彼女の目元の特徴は、一貫して変化が見られないことが明らかです。これにより、彼女の二重が自然なものであり、二重整形は受けていないと結論付けることができるのです。

福原愛さんの二重整形疑惑が浮上した背景について

しっかりメイクしている福原愛さん

幼い頃から公の目に触れていた愛ちゃん(福原愛さん)の顔立ちは、昨年12月末の映像と比較してみると、二重の形状に顕著な変化は見られません。しかし、昨年末に彼女の二重が普段よりも幅広く見えたことが、整形疑惑の発端となりました。この変化が起きたのは、普段福原愛さんがアイメイクにより目元を強調しているためです。しっかりとしたまつ毛のメイクは、まぶたを持ち上げる効果があり、結果として目が大きく開くことになります。目が大きく開くと、二重の幅が狭く見えるのは一般的な現象です。つまり、福原愛さんの場合、日常のメイクが、二重の見た目に影響を与えていたのです。このようなメイクに関する一般的な知識を持たないSNSユーザーの間で、福原愛さんの二重整形疑惑が生まれ、拡散したと考えられます。

輪郭の変化についての深掘り分析

福原愛さんの二重の疑惑に並び、彼女の輪郭がよりシャープになったという話題も多くの関心を集めています。事実、2008年北京オリンピック時の19歳の頃の公式選手紹介欄に掲載されていた彼女の写真と現在を比較すると、輪郭に顕著な変化が見受けられます。

2008年の福原愛さんの輪郭

人間は加齢に伴い、顔が面長になる傾向があり、これは主に顎の骨の吸収が進むためとされています。しかしながら、福原愛さんの場合、このような加齢に伴う変化とは異なり、彼女の輪郭がシャープに見えるのは、主に体重の減少による影響と推測されます。体重が減少すると、顔の脂肪も減り、それに伴い顔のラインがはっきりとし、シャープな印象を与えることが多いのです。この点を踏まえると、福原愛さんの輪郭が変わったという現象は、美容整形というよりも、むしろ彼女の体型の変化による自然な結果と解釈するのが妥当です。

美容施術により輪郭がシャープになったのかについての分析

最新の記者会見で福原愛さんの顔がシャープに見えるのは、私の専門的な見解としては、彼女のこの変化は体重減少による自然な結果であると考えられます。ただ、インターネット上には、福原愛さんのの輪郭の変化が昨年12月末に受けた美容外科クリニックでのスキンケア治療に起因するとの情報が流布されていますが、これは正確ではありません。福原愛さんが訪れたとされるクリニックのインスタ情報によれば、彼女が受けた治療はケミカルピーリングとレーザーの組み合わせによるものです。彼女が受けたケミカルピーリングの薬剤は皮膚表層にしか浸透しません。また、このクリニックのホームページに掲載されている福原愛さんが受けたとされるレーザーの説明として掲載されている赤外線・高周波・ダイオードレーザーにしても皮膚表層にしかエネルギーは到達してません。従って福原愛さんが受けた治療は皮膚の表層にのみ作用するものです。医学的には、美容外科施術により輪郭を顕著にシャープにするには、皮膚の切除や筋膜の引き上げといったより皮膚より深い層での処置が必要になります。したがって、福原愛さんが受けたとされる治療が輪郭をシャープに変化させる要因にはなり得ないのです。それでも、美容施術を受けた直後には、顔の循環が促進され、浮腫みが取れることで、一時的に顔がシャープに見えることはあります。これは、顔のリンパマッサージで得られる一時的な小顔効果と同様です。しかし、この効果は数日で元の状態に戻ります。以上の点で、福原愛さんの顔の現在のシャープな印象が数ヶ月前に受けた一度の美容施術によるものだとするネット上の主張は、明らかに誤りだと言えます。

福原愛さんの二重幅

まとめ

この記事では、インターネット上で広まっている福原愛さんの美容整形疑惑に焦点を当て、二重整形の施術を行う美容外科専門医としての深い知識と経験に基づき、専門的な分析と解説を行いました。

二重整形の施術についての詳細はこちらを御覧ください。

福原愛さんの変わったとされる顔立ち、特に目立つ二重の幅やシャープに見える輪郭について、それらが美容クリニックの施術結果ではないことを明確にしました。こうした誤解が生じる主な原因は、メイクアップの効果や年齢とともに生じる自然な顔の変化への理解不足にあると考えられます。美容外科専門医としての役割は、こうした誤解を解消し、一般の人々に対して正確な美容に関する知識を広めることにあると強く感じています。これにより、美容に対する理解が深まり、より良い選択ができる社会を実現するための一助となれば幸いです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2024/03/16

院長ブログトップ > 【おでこと顎ニキビ】大人ニキビの特徴と治療

【おでこと顎ニキビ】大人ニキビの特徴と治療

大人ニキビに悩む女性

美容と精神的なストレスを左右する重要な問題であるニキビは、単に思春期の象徴としてだけではなく、大人においても深刻な悩みの種となっています。顔面や頚部、そして体幹にまで及ぶ面皰(白ニキビ等)や炎症性病変(赤ニキビ等)が、ニキビ特有の症状として現れます。ニキビは思春期に限定された皮膚疾患であると考えられがちですが、実際には多くの大人、特に女性においては思春期を過ぎても悩まされる「大人にきび」が存在します。この記事では、おでこや顎によくできる大人ニキビがなぜ発生するのか、その特徴は何か、そして最適な治療法について、深く掘り下げて考察していきたいと思います。

大人ニキビとは

大人ニキビは、学術用語では「Postadolescent acne」と称され、思春期を過ぎた後も続くニキビのことを指します。この用語を日本語に訳せば「思春期以降のニキビ」となりますが、専門的な日本語の医学用語は存在しません。医学界においては、Postadolescent acne(大人にきび)を25歳以上の人々に発生する尋常性痤瘡(ニキビ)と定義しています。統計的には、男性よりも女性の方が大人にきびに悩まされるケースが多いことが知られています。これはホルモンバランスの変化、生活習慣、ストレスレベルなど、様々な要因が複合的に作用していると考えられています。また、おでこや顎が大人ニキビの好発部位とされています。これについては後に詳細に解説します。

参照元:

Adult Acne Versus Adolescent Acne: A Retrospective Study of 1,167 Patients

女性の大人にきびの実態

顎にきび

女性のにきびは、年齢によってその発症傾向に顕著な差異が見られます。女性のニキビは、年齢が上がるにつれてにきびの有病率が減少する傾向が明確に確認されています。統計によると、16歳の時点で被験者の約70%がにきびを経験しており、これは思春期の特徴とも言えます。しかし、18歳を過ぎると、にきびの有病率は徐々に減少し、20代女性では約半数、30代では4分の1、そして40代では10%以上の女性が依然として臨床的に重大なにきび(顔の片側に4個以上の炎症性病変または面ぽうが存在する状態)に悩まされていることが分かっています。一方で、閉経を迎えるとにきびの発生頻度は大幅に減少し、51歳以上の女性では臨床的に有意なにきびの発生率は5%未満にまで下がることが観察されています。

参照元:

Acne vulgaris in women: prevalence across the life span

女性の大人ニキビのメカニズム

女性の大人ニキビは、その発生メカニズムにおいて他のニキビと共通する要因が複数存在します。ニキビ病変の形成には、皮膚の局所的な変化が大きく関与しており、その主要な要因として毛包の角化異常、過剰な皮脂分泌、アクネ菌の増殖、そして炎症の4つが挙げられます。これらのプロセスが複雑に絡み合い、大人ニキビの形成に至ります。特に、過剰な皮脂分泌と毛包の異常な角化は、白ニキビや黒ニキビと呼ばれる面皰(コメド)の形成に直接的に寄与しています。面皰はニキビの最も初期的な病変であり、その形成過程はニキビの発展に重要な役割を果たします。さらに、この面皰(コメド)が破裂したり、過剰な皮脂によりアクネ菌が増殖したりすると、結果として炎症性病変として知られる赤ニキビや黄ニキビが発生します

大人ニキビの原因

大人ニキビの発症要因に関しては、現在も完全な解明には至っていませんが、複数の要素がその原因として考えられています。特に女性における大人ニキビの発症には、アンドロゲン(男性ホルモンの一種)の増加、月経周期の変動、喫煙、そして化粧品の使用が密接に関連している可能性が指摘されています。

■アンドロゲン

アンドロゲンは、皮脂の産生を促進し、皮膚の皮脂腺の成長を刺激する役割を担っています。一般に男性ホルモンとして知られるアンドロゲンですが、女性の体内にも存在し、そのバランスが重要です。近年の研究では、大人ニキビを持つ女性の中でアンドロゲンレベルが顕著に上昇しているケースは比較的少ないものの、アンドロゲンの増加が引き起こす他の症状、特に脱毛症が注目されています。高アンドロゲン血症という状態は、女性における内因性の疾患や、外因性の要因によって引き起こされることがあります。内因性高アンドロゲン血症の最も一般的な原因は多嚢胞性卵巣症候群ですが、遅発性副腎過形成、卵巣の肥大症、卵巣腫瘍や副腎腫瘍なども原因となり得ます。一方で、外因性高アンドロゲン血症は、ステロイドの投与やテストステロンの補充によって起こり得ます。また、黄体ホルモンのみの避妊薬(抗アンドロゲン作用を持つエストロゲンを含まないもの)がニキビの発生に寄与する可能性も研究によって示されています。内因性高アンドロゲン血症は比較的な珍しい疾患ですが、ストロイド内服やピルは日常において使用している可能性がありますので注意が必要です。

■生理周期(月経周期)

大人ニキビと生理(月経周期)の関係性については、多くの女性がその相関を経験的に認識していますが、実際に統計的な裏付けが存在します。様々な研究がこの関係性を明らかにしており、大人ニキビを持つ女性の中には最大83%が生理前にニキビの再燃を経験していることが分かっています。さらに別の研究では、18歳から44歳の大人ニキビを有する女性41人のうち、63%が生理前に炎症性病変の数の増加を示し、存在する炎症性病変の数は25%増加していたと報告されています。生理前の肌の変化におけるメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、一つの仮説として、生理前の期間中に毛穴の毛乳頭開口部のサイズが小さくなり、皮脂腺内での皮脂の蓄積が増加することが、生理前(月経前)の炎症の原因となっている可能性が指摘されています。

参照元:

Quantitative documentation of a premenstrual flare of facial acne in adult women

■喫煙

近年、女性における大人ニキビと喫煙との関連性についての研究が積極的に行われています。これらの研究によると、特にニコチンが大人ニキビの発生要因である皮脂の過剰産生や角化異常に対して影響を及ぼす可能性があると指摘されています。また、喫煙によるストレスの増加や体内の抗酸化物質の減少も、皮膚の炎症やニキビの悪化に関与しているとされています。このように、喫煙は女性の大人ニキビの発症や悪化に影響を与える重要な要因の一つとして認識されています。

参照元:

Acne and smoking

■化粧品

化粧ニキビ、すなわち「acne cosmetica」とは、化粧品や毛髪製品の使用に起因するニキビの形成を指す医学用語です。化粧ニキビは、化粧品に含まれる特定の成分が毛穴を塞ぐことにより生じると考えられています。この結果、皮脂や汚れが毛穴内に蓄積し、炎症を引き起こすことがあります。特に、油性や重いテクスチャの化粧品がこの種のニキビの形成に寄与することが一般的です。

■ストレス等、その他の要因

大人ニキビに影響を与える可能性のある要因は多岐にわたります。特にストレス、食生活、遺伝的な背景などは、大人ニキビの発症に関与しているとされています。女性の大人ニキビに関する一つの症例対照研究では、ニキビを有する女性248人と対照群270人を対象に分析を行いました。この研究では、思春期ニキビの既往歴、家族歴、妊娠歴の有無、多毛症、オフィスワークに従事していること、心理的ストレスの高さ、さらには果物、野菜、魚の食品の1週間の摂取量の少なさなどが、大人ニキビと関連していることが示唆されました。また、ある調査では顎ニキビのある女性は会社員として就業していることが多く、日々のストレスレベルが高いこと、仕事自体が心理的ストレスになっていることが高いことも明らかになっています。しかしながら、これらの結果を裏付けるためには、さらに多くの研究が必要とされます。

参照元:

Adult female acne and associated risk factors: Results of a multicenter case-control study in Italy

大人ニキビの特徴

■発症時期

大人ニキビ、特に成人女性におけるその発症時期は、二つの主要なパターンに分類されます。第一に、最も一般的なのは思春期ニキビの持続型、すなわち「持続性ニキビ」です。このケースでは、思春期に始まったニキビが成人期に入っても引き続き続いている状態を指します。これに対して、第二のパターンとしては、「遅発性ニキビ」と呼ばれる、大人になってから新たにニキビが発症するケースがあります。現在のところ、持続性ニキビは遅発性ニキビよりもはるかに一般的です。研究データによれば、成人になってから初めてニキビが発症するケース、すなわち遅発性ニキビは全体の約10~20%程度に過ぎないとされています。

■ニキビの種類

女性の大人ニキビは、その種類において思春期のニキビと多くの共通点を持っています。一般的に、これらのニキビは面皰(白ニキビ)と炎症性にきび(赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビ)の両方を呈することが多いです。面皰のみ、あるいは炎炎症性にきびのみが発生するパターンは比較的珍しいとされています。大人ニキビの発生部位としては、顔が最も一般的ですが、頸部や体幹にもしばしば病変が見られます。実際に、大人ニキビを持つ女性の約50%には体幹にも病変が確認されているという研究結果もあります。また、一般に女性の大人ニキビの重症度は軽度から中等度の範囲に収まることが多く、炎症性ニキビ(赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビ)の数が多い場合は稀であるとされています。

■大人ニキビの分布

女性の大人ニキビには、その分布によって2つの主要なタイプが存在します。

白ニキビ多数タイプ:このタイプでは、特に顔の上部やさまざまな部位に白ニキビ(面皰)が多く見られます。このタイプの特徴としては、炎症性のニキビ(赤ニキビ)が比較的少ないことが挙げられます。白ニキビの分布パターンは、顔全体ですが、特におでこなどの顔上部に顕著に見られることが多いです。大人にニキビとして「おでこのニキビ」を悩む女性が多いですが、これはこの「白にきび多数たイプ」に分類されます。

白ニキビ

↑白ニキビ

顎ニキビタイプ:こちらのタイプは、顎周りや口の周辺、フェイスラインなど、顔の下半分に炎症性病変(赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビ)が現れることが特徴です。この分布がどのようにしてこのように生じるのかは、現時点では明確には解明されていません。ある研究では、顎ニキビのある女性は、会社勤務している率が高く、日々のストレスレベルが高いと報告し、仕事の心理的ストレスが大人の顎ニキビの要因になっている可能性が高いとあります。従来、女性の大人ニキビは顔の下部、特に顎に集中する傾向があると考えられていました。しかし、最近の研究によると、顎に限局したニキビを持つ女性は全体のわずか11%に過ぎないことが明らかにされています。

赤ニキビ

赤ニキビ

大人ニキビの診断

大人ニキビの診断は、主に患者の肌の状態を視診することによって行われます。ただ、稀ですが、アンドロゲン亢進症の可能性が示唆される身体的な徴候が見られる場合には、追加の検査が推奨されます。アンドロゲン亢進症は、女性において過剰なアンドロゲン(男性ホルモン)の影響が見られる状態を指します。この状態が疑われる場合、特徴的な徴候として以下のような症状が挙げられます。

・毛深さが増す

・男性型脱毛症(AGA)の兆候、例えば前頭部や頭頂部の薄毛

・クリトリスの異常な肥大

・月経周期の不規則性や月経不頻度

・不妊

・多嚢胞性卵巣症候群

これらの症状が見られる場合、血液検査を含むより詳細な検査を行い、適切な診断と治療方針を立てることが重要です。アンドロゲンレベルの異常は、大人ニキビの根本的な原因である可能性があり、それに応じた治療が必要となります。

大人ニキビの鑑別診断:類似疾患との区別

大人ニキビの診断においては、顔に発生する他の疾患との区別が非常に重要です。特に成人女性の場合、以下の疾患がニキビと似た臨床的特徴を示すことがあり、慎重な鑑別診断が求められます。

■酒さ

この一般的な炎症性疾患は、顔面中央部の炎症性丘疹、膿疱、毛細血管拡張、または紅斑を特徴とします。面皰がないことが多く、顔面中央部に特に現れることからニキビと区別できます。

■口囲皮膚炎

若年女性に好発するこの疾患は、口周囲に小丘疹の集簇を形成します。特徴的なのは、口唇の朱縁に隣接する皮膚が通常は影響を受けない点です。眼周囲皮膚炎としても現れることがあります。多くの場合、慢性的なステロイドの外用で発症します。

■その他

須毛部仮性毛包炎、薬剤性ざ瘡、痤瘡摘出(行動障害の一種)、細菌性毛包炎、フルンケル症(せつ)、好酸球性毛包炎、摩擦性ざ瘡、顔面播種状粟粒性狼瘡なども鑑別診断において考慮すべき疾患ですが、これらは比較的稀であるため、ここでは詳細には触れません。

大人ニキビの治療

大人ニキビの治療では、保険診療の範囲内で主に内服薬や外用薬を用いた薬物療法が行われます。この治療は思春期のニキビ治療と基本的には同様です。しかし、大人ニキビの特徴の一つとして、その悪化のスピードが早いことが挙げられます。したがって、初期段階での積極的な治療が推奨されます。私は初期段階からアグネスをおすすめします。アグネスは1回の治療でニキビを治す治療で、治療部位からはニキビの再発も起こりません。早い段階での積極的な治療が炎症による色素沈着や瘢痕形成を防ぐ鍵となります。具体的には、皮膚科で処方された薬による治療が1ヶ月経っても改善が見られない場合、次の治療ステップ、すなわちアグネス治療に進むことが重要です。大人ニキビは、炎症が進行すると跡が残りやすく、それらはニキビが治癒した後も長く影響を与えることがあります。そのため、薬物療法に比べて侵襲性が高くとも、初期から効果的な治療法を選択することが望ましいと考えます。これは、炎症を伴うニキビが、マイルドな治療中に悪化する可能性があり、瘢痕を残すリスクがあるためです。手遅れにならないためにも、治療は最初から最も効果的なアグネス治療を検討すべきだと思います。

アグネスの治療前後

大人にきびの後遺症

大人ニキビの後遺症として、炎症性ニキビの治療が成功しても、炎症後色素沈着や瘢痕形成といった問題が長期間にわたって患者を悩ませることがあります。特に、クレーター状やアイスピック状のニキビ跡、また皮膚の陥没を引き起こしたニキビ跡は、見た目にも非常に目立ち、患者の日常生活や心理的な健康に影響を与えることがあります。これらのニキビ跡の治療においては、「サブシジョン」という手法が推奨されます。サブシジョンは、皮膚下の繊維組織を切断することでニキビ跡を目立たなくする治療法で、特に深いクレーターや陥没を起こしたニキビ跡に対して有効です。

大人にきびのスキンケア

大人ニキビに悩む女性たちから頻繁に寄せられる質問の一つが、適切なスキンケア方法についてです。重要なのは、ニキビの病変部を摘んだり潰したりする行為を避けることです。これは瘢痕形成のリスクを高める可能性があります。代わりに、肌に優しい洗顔方法の選択が推奨されます。また、日々の保湿剤の使用により、皮膚の乾燥を防ぎ、炎症を抑制する効果が期待できます。スキンケア製品や化粧品に関しては、一般的にニキビ治療の専門医の多くは、ニキビ患者に「非面皰誘発性」および「非アクネジェニック」と表示された製品(保湿剤、クレンジング剤、化粧品など)の使用を推奨しています。これは毛穴を塞ぐ成分を含む製品の使用を避けることを意味します。さらに、メイクアップの一環としてファンデーションを使用する場合、油分を含む製品よりも「オイルフリー」の製品の選択が好ましいとされています。

大人にきびの予後

大人にきびは、年齢とともにその有病率が徐々に減少する傾向にあり、これは自然治癒の可能性があることを示唆しています。しかしながら、特に女性の場合は、長年にわたってにきびに悩まされることがあります。成人女性を対象に行われた調査研究によれば、にきびの平均発症年齢は16歳であり、患者は平均して約20年間にきびの症状に苦しんでいることが報告されています。また、妊娠が大人にきびに及ぼす影響については個人差があります。にきびは妊娠中に改善することもあれば、変化がないこともありますし、場合によっては悪化することも報告されています。これらの変動は、妊娠中のホルモンバランスの変化や体のストレスレベルなどの要因によって引き起こされる可能性があります。このように大人にきびの予後は様々であり、長期にわたるケースも少なくありません。

大人ニキビのよくあるご質問

Q:ストレスでおでこがブツブツするのはなぜ?

A:そのブツブツは白ニキビである可能性が高いです。大人ニキビはストレスで発症することが多く、おでこは大人の白ニキビの好発部位となるからです。

Q:彼氏にニキビはうつりますか?

A:ニキビは人に移りません。ニキビの原因となるアクネ菌はそもそも皮膚の常在菌であり、すでにすべての人に皮膚に存在する菌だからです。

Q:ストレスによるニキビの位置はどこですか?

A:ストレスによる大人ニキビは顔のどこにでもできる可能性はありますが、特におでこに白ニキビが多発しやすく、また、顎に赤ニキビができやすいとされています。この理由は不明です。

まとめ

この記事では、しばしば顎ニキビやおでニキビとして発生する大人ニキビの原因と治療方法について詳細に解説しました。大人ニキビの具体的な原因は現在も完全には解明されていないものの、月経周期、喫煙、ストレスが発症や悪化の要因として考えられています。治療方法としては、迅速かつ再発の少ない「アグネス」と呼ばれるニキビ治療が特に注目を集めています。アグネスによる早期治療開始は、ニキビによるストレスの軽減に寄与し、炎症後の色素沈着や瘢痕の形成を防ぐ上で最良の選択です。本記事が大人ニキビに悩む多くの方々にとって有益な情報源となり、悩みの解消に役立てばと考えています。大人ニキビという一見難治性の問題にも、適切な知識と治療法の選択により、効果的な対策が可能であることをお伝えしたいです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

万能のニキビ治療「アグネス」のご相談はこちら

ニキビ治療「アグネス」の効果とデメリット

【化粧品によるニキビ】化粧が原因のニキビについて

【ニキビとストレスの関係】科学的根拠に基づいた解説

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にきびのアグネス治療の写真

 

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2024/03/15

院長ブログトップ > 【ケミカルピーリングに効果がない?】医療の変遷と最新のニキビ治療

【ケミカルピーリングに効果がない?】医療の変遷と最新のニキビ治療

にきびに対してケミカルピーリングを受ける女性

かつて、ケミカルピーリングは美容皮膚科の中でも特に注目され、多くの患者さんがその効果を求めて訪れました。しかし、ニキビ治療において最近の傾向として、ケミカルピーリングが徐々に他の新しい方法に取って代わられつつあります。特に、インターネット上では「ケミカルピーリングに効果がない」という声も散見され、この治療法に対する見方が変わりつつあるようです。本記事では、そんなケミカルピーリングの現状と、ニキビ治療としての有効性について、最新の医療情報をもとに詳しく解説していきたいと思います。

そもそもケミカルピーリングとは

ケミカルピーリングとは、ニキビ治療と肌質改善のために利用されるスキンケアの施術です。この施術では、サリチル酸やグリコール酸などの特別な化学薬剤を肌に塗布し、皮膚の表面層をゆるめて古い皮膚細胞を除去することで行われます。その主な目的は、皮膚の最外層である古い角質層を取り除き、新しい皮膚細胞を露出させることです。角質層が除去されることにより皮膚の自然な再生能力が促進され、肌の外観と質感が改善されます。また、ニキビは毛穴の詰まりによって発生するため、ケミカルピーリングはこの毛穴の詰まりを解消し、クリアな毛穴を維持することでニキビの出現を減らすのに効果的と言われてきました。

【ニキビ治療とケミカルピーリングの現実】効果と限界

かつてのニキビ治療では、飲み薬や塗り薬による改善が見られない場合、ケミカルピーリングが一つの有効な選択肢とされていました。私自身も、かつて多くの患者さんに対してこの治療法を推奨してきました。そして実際に多くの患者さんがこの方法で改善を見せてくれたことは事実です。当時、他に優れた治療法がなかったため、ニキビ治療においては、ケミカルピーリングが推奨されることが多かったのです。しかしながら下記の点がケミカルピーリングのデメリットでした。

■確実性がない

ケミカルピーリングの一つの大きなデメリットは、その効果の「確実性」の欠如です。一部の患者さんには顕著な改善が見られる一方で、別の患者さんにはほとんど効果が現れないこともありました。治療前には効果の有無を正確に予測することは難しく、結果は実際に治療を行ってみないとわからないというのが現実でした。

■時間がかかる

ケミカルピーリングは、一般的には2~3週間に1回のペースで施術を受けることが推奨されています。特にニキビ治療においては、明確な効果を実感するためには少なくとも5回程度の施術が必要とされることが多いです。これは、ケミカルピーリングが即効性を持つ治療法ではなく、時間をかけて徐々にその効果を発揮することを意味します。従って、患者さんにとっては、ケミカルピーリングを選択することが、一定の労力と時間を必要とする決断となります。これがケミカルピーリングの大きな難点です。

■再発する

ケミカルピーリング治療を繰り返し行ったとしても、その効果が顕著に現れたとしても、ケミカルピーリングの中止によってニキビが再発することは珍しくありません。この再発は、治療を受けた後も継続する皮脂の過剰分泌が原因の一つと考えられます。ニキビ治療においては、ニキビの根本的な原因に対処しなければ、一時的な改善に留まり、治療の中止後に症状が戻る可能性が高いのです。ケミカルピーリングでは皮脂分泌の改善といった根本的な解決には至らない場合が多いため、治療効果が一時的なものになります。

出典元:

Clinical evaluation of glycolic acid chemical peeling in patients with acne vulgaris: a randomized, double-blind, placebo-controlled, split-face comparative study

ニキビのケミカルピーリングは時代遅れ

にきびに対してケミカルピーリングを受ける女性

ケミカルピーリングがニキビ治療においてもはや時代遅れの方法であるとの見方が高まっています。その理由は以下の点に集約されます。

■治療の不確実性と時間的制約

 ケミカルピーリングは効果の現れるまでに時間がかかり、患者様はその間、継続して治療を受ける必要があります。しかし、その効果は患者によって異なり、治療後の再発のリスクも存在します。

■より効果的な治療法の登場

現代医療には、より進んだニキビ治療法が登場しています。例えば、「アグネス」という治療法は、特に難治性のニキビに対して有効であり、1回の治療で顕著な改善が見られるとされています。さらに、アグネスは治療部位の再発リスクがほとんどないという利点も持っています。

■皮膚科学会の推奨ランクも高くない

最新の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」によれば、日本皮膚科学会はニキビ治療におけるケミカルピーリングの推奨度をC1と評価しています。このランクは、ケミカルピーリングを「標準治療が無効あるいは実施できない場合に選択肢の一つとして推奨する」という立場を示しています。簡単に言えば、ケミカルピーリングは「おこなってもいいけど、そんなに効果ができないかもしれない」という位置づけになっています。ちなみにガイドラインにおける各治療の推奨度は下記のようにランク付けされています。

A :‌行うよう強く推奨する

B ‌:行うよう推奨する

C1 ‌:選択肢の一つとして推奨する

C2:十分な根拠がないので推奨しない

 D: 行わないよう推奨する

(尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドラインによる治療の推奨度分類)

出典元:

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023

■皮膚科学会も時代遅れの治療と認識?

ケミカルピーリングは2000年代初頭に確立された技術であり、当時はこの分野における研究が活発に行われていました。実際、日本皮膚科学会からは2001年に初のガイドラインが発表され、2004年、2008年と改訂が進められていました。しかし、2014年にはグリコール酸ピーリングの有効性に関する限定的な研究(たった26人を対象とした研究)が発表されて以降、この治療法に関する主要な研究はほとんど見られません。この論文の数の減少は、ケミカルピーリングの治療効果に対する不確実性や限定的な効果を示唆しています。さらに、日本皮膚科学会のガイドライン自体が2008年以降改訂されていない点や、ケミカルピーリングについて世界的にも主だった研究論文が発表されていない点も、ケミカルピーリングの医療技術としての停滞を示唆しています。このことは、、ケミカルピーリングがニキビ治療においては、もはや時代遅れの治療ということを物語っています。

出典元:

日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第 3 版)

にきび跡にケミカルピーリングは無効

現在、一部の医療機関ではクレーター状のニキビ跡(萎縮性瘢痕)へのケミカルピーリング治療が行われていますが、これには十分な医学的根拠がないことをここで指摘します。最新のニキビのガイドラインによると、クレーター状のニキビ跡に対するケミカルピーリングの推奨度はC2であり、これは「十分な根拠がないので推奨しない」という意味を持っています。クレーター他場のニキビ跡の治療においては、サブシジョンという方法が現在最も効果的な治療法とされています。サブシジョンは、特殊な針を使用して皮膚の下の瘢痕組織を切断し、皮膚の凹凸を治す方法です。

【ケミカルピーリングの推奨】背景とクリニックの実態

ニキビ治療に関するインターネット検索で頻繁に目にするのが、ケミカルピーリングを推奨する美容皮膚科の存在です。では、多くのクリニックがケミカルピーリングを推奨する理由は何なのでしょうか?ここには、患者さんの最善の利益というよりは、クリニック側の実務的な理由が大きく関わっています。

■経営上のリスクの低さ

ケミカルピーリングは、高価な機器が必要な他の先進的な治療法とは異なり、クリニック側にとって低コストで実施できる治療です。数千円で揃えられる基本的な薬品で治療を開始できるため、経営上のリスクが比較的低いとされます。

■治療リスクの低さ

ケミカルピーリングはニキビを悪化させる可能性がほとんどなく、副作用も少ないため、治療としてのリスクが低いとされています。この安全性が高い側面が、患者への推奨につながる要因となっています。

■医師の負担の少なさ

ケミカルピーリングは多くの場合、看護師が行うため、医師の時間的な拘束が少ないのも特徴です。これにより、クリニック側の労力が軽減され、他の治療法よりも実施しやすい環境が整います。

これらの点を踏まえると、ケミカルピーリングが広く推奨される背後には、クリニックの経営や運営の実態が大きく影響していることが理解できます。しかし、医療の専門家として、常に患者の最善の利益を考え、進化する治療法から最良の治療方法を選択し提供する責任があります。この観点から、私はニキビ治療においてはケミカルピーリングを推奨することなく、まず「アグネス」という最先端の治療を優先して提案しています。アグネスは一回の施術で高い効果を発揮し、ニキビの再発リスクほとんどないことから、現代医療の進歩を体現する治療法の一つと考えています。

にきびのケミカルピーリングについてよくあるご質問

Q:ケミカルピーリングでニキビが増えたのはなぜですか?

A: ニキビ治療においてケミカルピーリングの効果が追い付かない場合があります。ニキビが悪化している段階では、その進行が急激なことが多く、ケミカルピーリングの効果が即座には現れないことがあります。その結果、ニキビが増えているように感じられることがありますが、これは実際にケミカルピーリングがニキビを悪化させているわけではありません。ケミカルピーリングは肌のターンオーバーを促進し、古い角質層を除去する効果がありますが、ニキビの進行速度に対応しきれない場合があるのです。このため、ニキビの状態が急激に悪化している場合には、ケミカルピーリングの効果が追い付かず、ニキビが増えているように感じられることがあります。

Q:ケミカルピーリングでニキビ跡を治すには何回くらい通う?

A: ニキビ跡の治療におけるケミカルピーリングの効果は、ニキビ跡のタイプに大きく依存します。例えば、色素沈着を伴うニキビ跡(シミのような跡)の場合、5~10回のケミカルピーリングで効果を実感することが可能です。一方で、クレーター状のニキビ跡に対するケミカルピーリングの効果は限定的です。日本皮膚科学会が発表しているガイドラインによれば、萎縮性瘢痕(クレーター状のニキビ跡)に対しては「十分な根拠がないので推奨しない」と明記されています。このため、クレーター状のニキビ跡には、ケミカルピーリングではなく、サブシジョンを検討することが推奨されます。

Q:ケミカルピーリングは1回で効果を実感できますか?

A: ケミカルピーリングによる即時の効果は一般的には期待しづらいです。ニキビ治療において、その効果を実感するには通常5回程度の施術が必要な場合が多いです。1回の治療ですぐ効果を求める場合は、アグネスをおすすめします。

Q:ケミカルピーリングでニキビ跡は消えますか?

A: ニキビ跡を完全に消すことは、どんな治療を行っても困難です。ケミカルピーリングの効果は、ニキビ跡の種類によって異なります。色素沈着として現れるニキビ跡の場合、5~10回程度のケミカルピーリングによって、シミのような跡は薄くなる可能性があります。しかし、クレーター状のニキビ跡に対しては、ケミカルピーリングはほとんど効果がないとされています。

Q:ケミカルピーリングはよくない理由やデメリットは?

A: ケミカルピーリングのよくない理由とデメリットには、その効果を実感するまでに必要な時間、個々の患者への効果の差異、そして治療後にニキビが再発する可能性があることが含まれます。ケミカルピーリングは、肌のターンオーバーを促進し、古い角質層を取り除く効果がありますが、これらの改善が顕著になるまでには数回の治療が必要なことが多く、効果が感じられるまでには時間と忍耐が必要です。さらに、患者ごとに肌の質や状態が異なるため、効果の出方に個人差があります。これに加え、治療が完了した後でもニキビが再発するリスクがあることは、患者さんにとって大きな懸念事項となり得ます。

まとめ

美容外科医専門医元神賢太医師

医療界は絶え間なく進化しており、最新の医学的知見に基づく治療法の探求が不可欠です。かつての主流であったケミカルピーリングは、ニキビ治療において、より確実で迅速な結果を提供する新しい治療法「アグネス」により、今や時代遅れの方法とみなされています。医療の進化に伴い、医師には最適な治療選択を提供する責任があります。この記事が、ニキビ治療を検討している方々にとって有益な情報源となることを心から願っています。常に最新の医療情報を追求し、患者さん一人一人に最適な情報を提供することが、医師としての私の使命です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/14

院長ブログトップ > 【化粧品によるニキビ】化粧が原因のニキビについて

【化粧品によるニキビ】化粧が原因のニキビについて

化粧品に起因するニキビ、一般に「化粧ニキビ(acne cosmetica)」と呼ばれるこの状態は、化粧品が直接的な原因で新たに発生するニキビです。一方で、既存のニキビが化粧品の使用によって悪化することもしばしば見受けられます。これら二つは、化粧品がニキビの状態に影響を与えるという点で共通していますが、その性質は異なります。本記事では、これらの違いを明確にし、適切な化粧品の選び方と使用法を通じて、ニキビのない健やかな肌を目指すための知識を提供します。

化粧ニキビ(acne cosmetica)とは

化粧ニキビ(acne cosmetica)とは、化粧品が原因で発生するニキビのことを指します。特に、毛穴を詰まらせる傾向がある「コメドジェニック(comedogenic;ニキビを発生させる)」な化粧品によって引き起こされます。過去には、多くの化粧品がこのような性質を持っていたため、化粧ニキビの発生が一般的でした。これらの製品は、毛穴を詰まらせることでニキビを引き起こしやすい環境を作り出しました。当時は、ニキビを隠すためにさらに化粧を施すことで、問題が長引いたり、悪化したりするケースが頻繁にありました。しかし、最近の化粧品は「ノンコメドジェニック(noncomedogenic;ニキビを発生させない)」製品として、より肌に優しい方法で作られています。これにより、高品質の商品を正しく使用することで、化粧ニキビの発症は大幅に減少しました。。しかし、特に昔の化粧品のイメージを持っている人々の間では、今の化粧もニキビの初期発生に関係するという認識をもっているかたが多いのです。確かに、化粧によってニキビが発生することはありますが、その主な原因は化粧の過剰使用や不適切な使用方法にあります。

コメドジェニックな化粧品とは

にきびと化粧品の関係

コメドジェニックな化粧品とは、毛穴を詰まらせやすい成分を含んでいる製品のことを指します。これらの製品には、ポマードやヘアオイル、重い保湿剤、アイクリームなどが含まれます。特に注意すべき成分にはイソプロピルミリスチン酸、ラノリン、ステアリン酸ブチル、ステアリルアルコール、オレイン酸などがあります。また、藻類抽出物やココナッツオイル、アマニ油などもコメドジェニック性が高いとされています。これらの成分は肌に過剰な油分を与え、毛穴を塞ぎ、ニキビを誘発するリスクがあります。そのため、ニキビを予防するためには、これらの成分を避けることが重要です。

出典元:

Acne Cosmetica: Causes, Treatment, and Prevention

【化粧品とニキビ】悪化と発症の違いを理解する

化粧品が直接的な原因となって発生する「化粧ニキビ(acne cosmetica)」と、既存のニキビが化粧品の使用によって悪化するケースは、根本的に異なる問題です。化粧品によって新たに発生する化粧ニキビは、特定の成分が毛穴を詰まらせることで起こります。一方で、既に存在するニキビが化粧品の使用、特に過剰な使用によって悪化することはよくある現象ですが、これは主に思春期の人々に多く見られます。現代の化粧品は肌に優しい成分が使用されているため、適切な使用をすれば、化粧品がニキビの直接的な原因となることは非常にまれです。

ニキビを悪化させる化粧方法

化粧品の使用にはニキビへの悪影響があることが知られています。特に、複数の製品を使用する場合や、ダブルクレンジングのように肌に負担をかける洗顔方法を取り入れることで、ニキビが悪化するリスクが高まります。研究によれば、リキッドタイプのファンデーションやコンシーラーの使用も、ニキビの増悪につながるとされています。一般的には化粧品の使用がニキビを悪化させるメカニズムは以下のようになります。

■毛穴の詰まり

一部の化粧品には毛穴を詰まらせる成分が含まれています。これにより、皮膚が古い角質を排出し、過剰な皮脂を取り除くことが妨げられ、ニキビの発生に適した環境が作られます。

■肌の刺激

化粧品に含まれる刺激物質やアレルゲンが肌を炎症させ、ニキビの悪化させることがあります。

■細菌の閉じ込め

化粧品が肌に細菌を閉じ込めることで、炎症や感染を増大させ、ニキビを悪化させることがあります。

■肌のバリア機能の影響

強いメイク落としや製品によっては自然な肌のバリアを乱し、環境ストレスや細菌からの保護機能に影響を与えることがあります。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、ノンオイルで、毛穴を詰まらせないノンコメドジェニック(noncomedogenic;ニキビを発生させない)製品の選択が重要です。また、どんなお化粧でも、毛穴を塞ぐ可能性があり、にきびを悪化させる要因となり得るため、すでに炎症があるニキビをもっている人は可能な限り化粧を控えたよいとされています。

参照元:

Relationship between acne and the use of cosmetics: Results of a questionnaire study in 539 Korean individuals

【化粧ニキビ発生の背景】原因とメカニズム

にきびの正しい化粧の仕方

化粧ニキビの主な原因は、化粧品が肌の皮脂腺を詰まらせて発生することにあります。これは、皮脂が角質層の下で溜まり毛穴を塞ぐ一般的なニキビの発生とは異なり、化粧品成分が直接毛穴を塞ぐことで生じます。化粧品によるこの「化粧ニキビ」は、数十年前に比べればはるかに少なくなっています。それでも、「化粧ニキビ」は発生しています。一般的には、低水準で製造された安価な化粧品ブランドは、よりテストされたブランドよりも「化粧ニキビ」のトラブルを引き起こしやすいと言われています。良いブランドであればあるほど、「化粧ニキビ」が誘発される可能性は低くなります。さらに、肌によって敏感さが異なるため、ある安価なブランドではまったく問題がなくても、別のブランドではアレルギーに近い症状が出ることもあります。このように、化粧ニキビは化粧品に含まれる個々の成分に起因することもあります。

化粧ニキビの特徴的な症状

化粧ニキビは、特に化粧品を塗布した皮膚領域に生じる、比較的小さく均一な大きさの閉鎖性面皰(白ニキビ)が特徴です。これらのニキビは密集して出現することもありますが、すぐには現れず、発症まで数日から最大6週間かかることがあります。化粧ニキビは、月経前の増加といったストレス性ニキビの典型的な症状パターンを示さないことが多く、一般的には炎症を伴わない(赤ニキビや黄ニキビにならない)こともその特徴の一つです。

【化粧ニキビ診断過程】判断の基準

化粧ニキビの診断は、特定の化粧品の使用開始とニキビの出現の間の関連に基づいて行われます。もし新たに使用した化粧品の使用開始後にニキビが現れた場合、その製品が原因である可能性が考えられます。この場合、まずはその化粧品の使用を中止し、ニキビの変化を観察することが推奨されます。もし症状が改善しない場合は、専門の医師による適切なニキビ治療を受けることが重要です。

化粧ニキビの対策と治療

化粧ニキビの治療は、まず原因となっている化粧品の使用を停止することから始まります。同時に正しい化粧習慣の習得やノンコメドジェニックな化粧品の選択が重要です。化粧ニキビに対しては一般的なニキビ治療法を適用することも効果的です。さらに進行した場合には、ニキビの確実な治療法であるアグネス治療を受けるのがよいでしょう。

参照元:

An Investigation of Makeup Ingredients and their Effects on Acne Cosmetica with Dermatologic Practice Recommendations

【化粧ニキビの予防】日常のスキンケアでのポイント

化粧ニキビの予防には、毛穴を詰まらせる原因に注意し、日々のスキンケアを見直すことが効果的です。ノンコメドジェニック製品の選択は肌への負担を減らし、ポリエチレングリコール、グリセリン、アロエベラなどの成分は、低リスクです。オイルフリーの保湿剤の使用、ヘアワックスやヘアオイルを肌に触れないように適切に使うことも大切です。また、一日の終わりにはメイクをしっかりと落とし、メイクブラシも細菌や油分を取り除くために定期的に清潔に保つことが重要です。

にきびとお化粧についてよくあるご質問

Q: ニキビは化粧したほうがいいですか?ニキビに化粧はだめですか?

A: ニキビがある場合、化粧は避けることをお勧めします。どんな化粧品でも毛穴を詰まらせ、ニキビの状態を悪化させる可能性があるためです。

Q: ニキビができてしまった時の化粧方法は?

A: ニキビがある部分は避け、ニキビがない部分のみメイクアップすることが望ましいです。

Q: 肌荒れしているときは化粧しないほうがいいですか?

A: 肌荒れ時には化粧品の使用を控えることをお勧めします。化粧品が毛穴を詰まらせ、肌の状態を悪化させることがあります。

Q: ニキビには何も塗らない方がいいですか?

A: はい、ニキビの上にはできるだけ化粧を避けることが望ましいです。これによりニキビの悪化を防ぐことができます。

まとめ

にきびの正しい化粧の仕方

この記事を通して、化粧ニキビとはコメドジェニック(毛穴を詰まらせる)成分を含む化粧品によって発生するニキビのことであることを説明しました。また、過度な化粧や不適切な化粧方法は既存のニキビを悪化させる可能性があることについても解説しました。ニキビ予防には、ノンコメドジェニック製品の選択が重要です。さらに、ニキビの悪化予防には適切なスキンケアや正しい化粧品の使用方法が不可欠です。ただ、すでにニキビが発症している場合は早期に適切な治療を受けることがニキビ跡を作らないために重要です。ニキビで悩んでいる場合は早めにニキビ治療を専門としている医師の診察を受けることをおすすめします。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/13

院長ブログトップ > 【ニキビとストレスの関係】科学的根拠に基づいた解説

【ニキビとストレスの関係】科学的根拠に基づいた解説

日常生活の中で、ストレスが皮膚トラブルの原因になっていることは皆さんが経験したことがあるかもしれません。実際、ストレスがニキビの大きな要因の一つであるということは、多くの方々が何となく感じています。しかし、一体どのようにしてストレスがニキビを引き起こすのでしょうか?このブログでは、最新の医学研究に基づいた証拠を元に、ニキビとストレスの密接な関係について、詳しく深堀りしていきます。

ストレスが体に及ぼす影響:HPA軸の活性化

ストレスを感じた際、人間の体は精緻なホルモンシステムである「視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸とも呼びます)」を通じてストレスホルモンのコルチゾールを分泌します。この過程は次のように進行します。

1.視床下部の反応(hypothalamic)

ストレスを感じると、脳の視床下部(hypothalamic)はコルチコトロピン放出ホルモン(副腎皮質放出ホルモンとも言う)(CRH)を分泌します。これはストレス応答の最初の段階です。

2.下垂体の活動(pituitary)

CRHは下垂体にシグナルを送り、下垂体(pituitary)はこれに反応して副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌します。下垂体は脳の基部に位置する小さな腺で、体の様々なホルモンシステムを制御します。

3.副腎の反応(adrenal)

ACTHは血流を通じて副腎(adrenal)に到達します。副腎は腎臓の上に位置する小さな器官で、ACTHの到達によってコルチゾールの生産を開始します。

4.コルチゾールの分泌:

副腎皮質から分泌されたコルチゾールは、体のさまざまな部分に影響を与え、ストレス応答に関連するさまざまな反応を引き起こします。これには、血糖値の上昇、免疫系の抑制、代謝の調整などが含まれます。

このHPA軸は、体がストレスに反応して適応するための基本的なメカニズムです。

出典元:HPA軸

HPA Axis in the Pathomechanism of Depression and Schizophrenia: New Therapeutic Strategies Based on Its Participation

ストレスがニキビを引きおこすメカニズム

ストレスがニキビを引き起こすまたは悪化させるメカニズムは、主に2つの経路を通じて発生します。

1.CRH(コルチコトロピン放出ホルモン)経路:

視床下部より分泌されるCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)は皮脂腺の脂質産生とステロイド生成を促進し、にきびの一因となります。研究によると、にきびを発症した皮膚の皮脂腺におけるCRH発現の増加が示されており、一方正常皮膚ではCRHの発現が低いことが分かっています。このことからCRHはニキビの炎症過程に関与していると考えられています。また、CRHは、皮膚表面の角化細胞(ケラチノサイト)におけるサイトカインIL-6およびIL-11の産生を誘導し、ニキビの病因における重要な要素であると考えられている炎症に寄与しているとされています。

参照元:

Involvement of the corticotropin‐releasing hormone system in the pathogenesis of acne vulgaris

2.末梢神経からの神経伝達物質

ストレスに反応して、末梢神経はサブスタンスPや血管腸管ペプチドと呼ばれる神経伝達物質を放出します。サブスタンスPは、皮脂腺の増殖と分化を促進し、脂質合成を増加させることでニキビを悪化させる可能性があります。

炎症ニキビにおけるCRHとサブスタンスP

出典元:

The Role of Inflammation in the Development of Acne

このように中枢神経系と末梢神経系の2つの経路でストレスはニキビにおける脂質合成を増加させ、ニキビを悪化させます。

ストレスとニキビ発生の謎

ストレスの影響により、視床下部から分泌されるCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)は、ニキビがある皮脂腺で増加する傾向にありますが、同一人物のニキビがない正常な皮脂腺では、CRHの増加は見られません。これは、CRHがニキビの悪化に一定の役割を果たしている一方で、CRHが正常な皮膚におけるニキビの初期発生に直接関与していない可能性を示唆しています。ストレスとニキビの初期発生の関係性については現在の研究では明確には解明されていません。ストレスとニキビの発生の関係については、さらなる研究と解析が必要です。

出典元:

Involvement of the corticotropin‐releasing hormone system in the pathogenesis of acne vulgaris

ストレスは精神的なものだけない

これまで話してきたニキビを悪化させるストレスですが、これは精神的なストレスだけがニキビを悪化させるわけではありません。皮膚や体への直接的な物理的なストレスもニキビを悪化させるのです。環境的な要因、例えば気温、大気、日差しなどが皮膚にストレスを与え、それによって末梢神経が刺激され、ストレスホルモンの分泌が引き起こされる可能性があります。これらのストレスホルモンはニキビの悪化に寄与することがあります。また、ストレスが交感神経系を優位にし、それによって腸内環境や腸管の蠕動運動に影響を及ぼすこともあります。その結果、便秘などの問題が生じ、ニキビの状態を悪化させる可能性があるのです。このように、ニキビの悪化には、精神的、物理的、環境的ストレスが影響していることがわかります​。

出典元:

Oxidative stress and skin diseases: possible role of physical activity

ニキビを予防するためのストレスの解消法

ニキビの予防に役立つストレス解消法を紹介しましょう。日々の忙しさの中で、ストレスを管理し解消することは、心の安定と肌の健康を保つために不可欠です。簡単に取り入れられる次の方法を試してみてください。

■運動

日常の運動はストレス解消に大いに役立ちます。散歩やジョギングなど、体を動かすことでストレス緩和につながり、幸福感を高めるホルモンの分泌が促されます。

■健康的な食生活

果物や野菜、全粒穀物を含むバランスの取れた食事は、身体と心の両方を労わることに繋がります。栄養価の高い食事は消化時の身体的なストレスを軽減する助けとなります。

■ 不健康な習慣からの脱却

ストレスに対抗するためには、カフェインやアルコールの過剰摂取、喫煙、過食、違法薬物の使用など、健康を損なう習慣を避けることが重要です。これらの習慣は、長期的にストレスレベルを上昇させることがあります。

■ ヨガと瞑想で心を静める

心の平穏を取り戻すためにヨガや瞑想を取り入れると効果的です。瞑想は精神的な安らぎをもたらし、ヨガは心身のリラクゼーションを促進します。深呼吸を行うことも、瞑想効果を得るための簡単な手段です。

■ 笑いでストレスを軽減

笑うことで心の負担を軽減し、気分を向上させることができます。ユーモアを日常生活に取り入れ、積極的に笑うことで、ストレスによる心身の影響を和らげましょう。

■ 人間関係の強化

ストレスが高まる時、孤独に陥りがちですが、家族や友人との繋がりを保つことで、心の安定と支えを見つけることができます。人との交流はストレスの解消に役立ちます。

■ 自己主張の重要性

 すべてを一人でこなそうとすると、ストレスが増大します。適切な境界を設け、「ノー」と言う勇気や、他人への委任の重要性を学びましょう。

■ 睡眠の質の向上

ストレス解消によい睡眠

ストレスは睡眠の質に影響を及ぼすことがあります。安定した睡眠パターンを確立し、毎晩7~9時間の睡眠を確保することで、心身のリフレッシュと回復を図りましょう。

■ 音楽と趣味で心を癒す

音楽を聴いたり演奏したりすることは、心をリフレッシュし、ストレスを軽減する効果的な手段です。また、ガーデニングや読書などの趣味に没頭することも、心の落ち着きを取り戻し、日々のストレスから解放される良い方法です。

■ カウンセリングの活用

 ストレスが深刻で、自己管理が困難な場合は、専門家によるカウンセリングを受けることも効果的です。専門家は、ストレスの根本原因を理解し、それに対処する新たな手段を提供してくれます。

にきびとストレスについてよくあるご質問

Q:ストレスによるニキビの特徴は?

A:ストレスによるニキビは「大人にきび」と言われるニキビで、働き盛りの女性によくみられ、長く続くニキビであることが特徴です。ニキビの種類は主に炎症性ニキビ(白赤ニキビ)です。月経前に再燃するのが典型的な特徴です。

Q:ストレスでニキビが出来る場所は?

A:口のまわりや顎に多いのが特徴です。

Q:腕にニキビができる原因はストレスですか?

A:腕にできるニキビはマラセチア毛包炎というニキビの可能性が高く、ストレスよりも真菌の増殖による可能性が高いです。

Q:ニキビを気にしすぎるとストレスになりますか?

A:ニキビが多い人はストレスを大きく感じているという研究データは多数あります。このためニキビはストレスの要因になることが一般的です。

Q:ストレスでニキビが治らないのはなぜ?

A:ストレスを感じた時に分泌されるホルモンが皮脂腺から皮脂を増加させるという科学的な研究があります。皮脂腺の増加はニキビが治らない要因となります。

Q:ストレスでニキビは悪化しますか?

A:ストレスがニキビを悪化させるということは科学的な研究からも明らかになっています。

Q:急な肌荒れはストレスが原因ですか?

A:ストレスは肌荒れの要因となります。ストレスを感じたときに分泌されるコルチゾールというホルモンは皮膚の炎症を引き起こしやすくなりますので、急な肌荒れはストレスが原因になっていることもあり得ます。

Q:赤ニキビの原因はストレスですか?

A:赤ニキビは炎症性にきびであり、面皰(白にきびや黒ニキビ)が悪化した結果です。にきびの悪化にストレスが要因になっていることもあります。

Q:ストレスニキビの対策は?

A:まずはニキビの治療を優先すべきです。ニキビの治療ではアグネスを最も推奨します。アグネスによるニキビ治療でば再発しないからです。治療と同時にストレスが解消されるに日々の生活改善に取り組むべきです。

Q:ほっぺ、眉間、おでこにできるニキビはストレスが原因ですか?

A:あらゆるニキビがストレスが原因で発生する可能性があります。ただし、ニキビの要因はストレスだけでありません。ホルモンの変化や家族歴、食生活などがニキビの要因となり得ます。一般的には大人になってからのストレスによるニキビは顎や口の周りに出来やすいと言われています。

まとめ

この記事では、ストレスがニキビの発生や悪化に与える影響について、最新の医学論文をもとに詳細かつ分かりやすく解説してきました。内容は複雑かもしれませんが、これらは最新かつ正確な情報に基づいています。また、日常生活で実践可能なストレス解消法もご紹介しました。これらの知識を活用し、ニキビ予防に役立てることで、ストレスを上手にコントロールし、皮膚の健康を守りましょう。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/12

院長ブログトップ > 【アグネスに効果がない!】科学的検証に基づくアグネスの真の効果

【アグネスに効果がない!】科学的検証に基づくアグネスの真の効果

ニキビにはアグネスがよい

最近のインターネット上では、「アグネス 効果がない」や「アグネス ニキビ悪化」といった検索ワードが多く見られます。これらのワードが示すように、アグネスのニキビに対する効果に関しては、様々な疑問や不安が持ち上がっているようです。実際、私のブログでも過去にアグネスの症例写真と共にその効能をご紹介して参りました。しかしながら、今回は私の個人的な経験に加え、アグネスの効果に関する医学的な根拠に焦点を当て、その客観的な効果を詳細に解析し、これらの検索ワードに見られる不安や疑問を明らかにし、より一層の理解を深めていきたいと思います。

「革新を生んだアグネス治療の確立」— 小林敏男氏による先駆的研究

アグネス治療法の画期的な進展は、2003年、小林敏男氏による「選択的電気焼却術(小林メソッド)によるニキビ治療」という革新的な医学論文にその起源を持ちます。この研究は、アグネス治療における根幹となる「選択的な電気焼却術(Selective sebaceous gland electrothermolysis)」を初めて体系的に提唱しました。論文では、極細の絶縁針を用いた電気焼灼法が詳細に解説されており、特に大きなニキビに対しては「4~6か所に均等に絶縁針を刺入し、通電し、皮脂腺を電気焼灼する」と記載しております。これが現在のアグネス治療の基本的な治療方法となっています。さらに、この独自の治療方法は小林氏自ら「小林メソッド」と名付け、その有効性を詳細に論じています。具体的には、小林メソッドを実施した16名の患者が1年以上の経過観察を経て、全員が治療結果に満足しているとの報告が含まれています。この論文は、アグネス治療の科学的基盤を築き、今日のアグネス治療へとつながる重要な一歩を示しています。

kobayashi method

↑論文に記載されていた小林メソッドによるニキビ治療のイラスト

出典元:

選択的電気焼却術(小林メソッド)によるニキビ治療

「アグネスによる画期的な3回治療法の提案」— 2012年の重要論文

2012年に発表された注目すべき論文において、アグネスを用いたニキビ治療の現在のゴールドスタンダードとなる「1か月ごとの3回の治療」が初めて提案され、その有効性が科学的に報告されました。この研究では、顔面のニキビに悩む12人の患者が、この新しい治療法に参加しました。参加者はそれぞれ1か月おきに3回のアグネス治療を受け、その効果は最終治療の1ヵ月後と12ヵ月後に評価されました。参加したすべての患者が研究を完遂し、治療結果に対する満足度を表明しました。特に注目すべきは、3回の治療後に炎症性(赤ニキビや黄ニキビ)および非炎症性(白ニキビや黒ニキビ)の病変が著しく減少したことです。3回目の治療後1ヵ月時点での平均病変減少率は、炎症性病変で98.14%、非炎症性病変で83.09%に達しました。また、最終治療から1年後の時点で、わずか2名(全体の16.7%)の患者にのみ再発が確認されました。この論文は、選択的皮脂腺電気焼却術(アグネス)がニキビ治療において安全かつ効果的な手法であり、一貫した寛解を達成すると結論付けています。この論文により、「1か月ごとの3回のアグネス治療」というの新たな基準が確立されたのです。

アグネス3回治療後1か月

↑左が治療前。右がアグネス3回治療後1か月の状態(論文より転載)

アグネスの効果あご

↑左が治療前。右がアグネス3回治療後1か月の状態(論文より転載)

出典元:

Selective sebaceous gland electrothermolysis as a treatment for acne: a prospective pilot study(にきび治療としての選択的皮脂腺電気熱分解術:前向きパイロット研究)

アグネスによる皮脂腺破壊の効果を確認する動物実験

2016年に行われた一つの研究は、動物実験を通じてアグネス治療法のメカニズムを明らかにしました。この実験では、ウサギの耳に人工的に作成されたニキビモデルを使用し、アグネスによる治療後の組織学的変化を詳細に分析しました。特に注目されたのは、アグネスと同様の皮脂腺電気熱分解を施した結果、対象となった皮脂腺の選択的破壊と、TNFαの放出減少が確認されたことです。TNFαは、皮脂腺の活動を促進し、ニキビの発生に影響を与えることが知られているサイトカイン(生理活性物質)です。この研究により、アグネスによる治療がコメド形成の抑制、創傷治癒過程の促進、さらには皮脂腺や炎症性ニキビの破壊に寄与している可能性が示唆されました。これは、アグネスがニキビ治療においていかに効果的な手段であるかを示す重要な証拠となり、この治療法の科学的根拠を一層強化する結果となりました。

出典元:

Targeting of sebaceous glands to treat acne by micro-insulated needles with radio frequency in a rabbit ear model(ウサギの耳モデルにおける高周波を用いた微小絶縁針による皮脂腺を標的としたニキビ治療)

63人が治療効果を証明した大規模な研究

2019年に発表された研究では、アグネス治療の効果を測定するために大規模な患者群を対象にしたものでした。この無作為化比較試験では、参加者がランダムに分類され、一部の患者にはアグネスを用いた治療が、他の患者にはコントロール群としてプラセボ治療が施されました。こうした無作為化比較試験は、新しい治療法の効果を評価する際の信頼性の高い方法とされています。この研究において、4週間の間隔をあけて3回のアグネス治療を受けた63人で構成されるグループは、2人の別々の医師による評価に基づき、12週目において炎症性のニキビ病変が有意に減少したと報告されました。これは、アグネス治療の効果が、科学的かつ厳密な研究調査においても明らかにされたことを意味します。無作為化比較試験という方法論の信頼性を踏まえれば、この研究の結果はアグネス治療の有効性を裏付ける重要な決定的な証拠となります。この大規模研究は、アグネスがニキビ治療における確実な治療方法であることを証明しました。

出典元:

Selective Sebaceous Gland Electrothermolysis Using a Single Microneedle Radiofrequency Device for Acne Patients: A Prospective Randomized Controlled Study(にきび患者に対する単一マイクロニードル高周波装置を用いた選択的皮脂腺電気熱分解: 前向き無作為対照研究)

アグネスの効果は確実!

これまでに紹介した4つの医学研究だけでなく、他の医学論文でもアグネスのニキビに対する治療効果の有効性を強調しています。私が2016年にいち早くアグネスを日本に導入してから既に長い年月が経過しますが、初期段階からアグネスの顕著な治療効果に目を見張ることが多かったのです。アグネスは、炎症性ニキビ(赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビ)はもちろんのこと、コメド(面皰)や非炎症性ニキビ(白ニキビ、黒ニキビ)に対しても、幅広い効果を発揮します。ニキビの部位による分類においても、顔の顎、額、頬、こめかみ、口周り、鼻といったニキビの好発部位に関わらず、アグネスは一貫して有効です。さらに、顔以外のニキビが頻発する胸や背中にも、同じくアグネスの効果は及びます。特筆すべきは、胸や背中のニキビが、従来のアクネ菌ではなく、マラセチアという真菌(カビ)によって引き起こされることが多いにもかかわらず、アグネスはこれらのニキビにも効果的である点です。一般的なニキビの塗り薬や飲み薬が効かない場合でも、アグネスは治療効果を発揮します。

アグネスに効果ない時は何が原因か?

アグネス治療で期待される効果がないと感じた場合、手技の問題が原因である可能性が考えられます。小林先生が初期の論文で強調しているように、特に大きなニキビには「4~6か所に均等に絶縁針を刺入し、通電し、皮脂腺を電気焼灼する」という技術的な手順が不可欠です。基本的な手技の不備があると、アグネスの本来の効果は十分に発揮されません。美容外科においては、どのような施術であっても、丁寧かつ正確に行われることが満足した成果を得るためのポイントです。そのため、治療を受ける際は、料金のみを基準に医療機関を選ぶのではなく、その医療機関が信頼できるかどうかを重要な判断基準として考えるべきです。患者さんが治療において最高の結果を得るためには、技術的な正確さと信頼性のある医師及びクリニックの選択が不可欠です。

まとめ

このブログでは、ニキビ治療におけるアグネスの有効性を、複数の医学論文に基づいて詳細に解説してきました。アグネスは、ニキビ治療において最善の治療方法と言えます。ニキビは急速に悪化する可能性があるため、早期の積極的な治療が重要です。皮膚科で処方されたニキビ治療薬が1か月経過しても改善の兆しを見せない場合、次の治療ステップに進むべきです。というのも、炎症を伴うニキビは色素沈着や瘢痕を残しやすく、それらは治癒後も長期にわたって影響を与えるからです。私自身は美容整形を含む外科手術においては、まずは軽微なマイルドな手術から開始し、それで満足できない場合に限り、切開を伴うようなより侵襲の高い手術に移行することを推奨します。なぜなら、侵襲の高い手術を先に行うと、後戻りが難しい状況に陥りがちだからです。しかし、ニキビのような炎症性の皮膚疾患の場合は、異なるアプローチが必要です。薬物療法に比べて侵襲が高くとも、最初から最も効果的な治療を選択するべきです。炎症性の皮膚疾患は、軽微な治療を行っている間に状態が悪化し、最終的に瘢痕が残るリスクがあるからです。そのため、手遅れにならないように、最も効果的な治療を最初から選択することが賢明です。これこそがニキビに対するアグネスという治療方法です。本記事が皆様のニキビ治療の選択に役立つことを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

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ニキビ治療「アグネス」の効果とデメリット

ベストのニキビ治療、それはアグネス!

にきびのアグネス治療の写真

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2024/03/11

院長ブログトップ > ストレスと女性薄毛の関係【女性薄毛対策ブログ第17回】

ストレスと女性薄毛の関係【女性薄毛対策ブログ第17回】

ストレスと薄毛に悩む女性

(第16回「【ワカメで髪が増える?】髪にはたんぱく質が大事!」からの続き)

女性の薄毛に関する一般的な見解の中でも、特に注目されているのが「ストレスが薄毛を引き起こす」という説です。このテーマに関する科学的探求は日々進展しており、2021年3月4日付けの「Nature」誌においても、このトピックに焦点を当てた記事が掲載されました。この権威ある科学誌に記された最先端の知見を踏まえ、本ブログではストレスが女性の薄毛に及ぼす影響について、新たな視点で掘り下げていきます。実際に、多くの女性が日々感じるストレスが、どのようにして髪の健康に影響を及ぼすのか、科学的な根拠に基づき詳しく解説していきます。

「ストレスがあると薄毛になる」という説は本当です!

「ストレスがあると薄毛になる」という説は科学的根拠に基づいており、正しいとされています。マウスの動物実験において、ストレスが毛の成長周期に影響を与え、成長期の毛が休止期に移行することが観察されました。この現象は、薄毛へとつながる可能性があります。また、人間においてはストレスが原因でコルチゾールというホルモンが分泌されることが知られています。以前は、このコルチゾールが活性酸素を増加させ、それが髪の毛根細胞の老化を加速するとされていました。しかし、この過程の詳細なメカニズムはまだ十分に解明されていませんでした。

実はコルチゾールがダイレクトに脱毛を起こしている?

女性薄毛とストレス

Nature誌に掲載された最新の研究では、ハーバード大学の研究チームがストレスと脱毛症の関係を探り、ストレスホルモンが毛包幹細胞にどのように影響を与えるかを明らかにしました。毛包幹細胞は毛の成長と再生に不可欠です。これらの幹細胞は通常、成長期と休息期を繰り返し、毛の成長と脱落を調節します。マウスの実験では慢性ストレスは、コルチコステロン(ヒトではコルチゾールに相当)というホルモンのレベルを上昇させます。このホルモンの上昇は、毛包幹細胞が休息期間に長く留まるようにし、新しい毛や組織の再生を阻害します。マウスにコルチコステロンを与えると、慢性ストレスが毛包幹細胞に与える影響を再現することができました。この研究では、毛包の下にある毛乳頭細胞が重要な役割を果たしていることを発見されました。通常、毛乳頭細胞はGAS6というたんぱく質を分泌し、毛包幹細胞を活性化します。(毛包幹細胞とは、毛包内に存在する特殊な幹細胞で、毛の成長と再生に不可欠な細胞です。)しかし、ストレスホルモンの増加は、毛乳頭細胞がGAS6を分泌するの抑制します。ここの発見は、GAS6が毛包幹細胞を活性化し、毛の成長を促進することを示しています。このようにストレスが直接毛包にある細胞に働きかけているということは新たな発見でした。

参照元:

How stress causes hair loss

ストレスが女性ホルモンも抑制

女性の薄毛の原因のひとつは、加齢によって、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、男性ホルモンが優位となることにあります。ストレスが発生すると、これによって増えたコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が下垂体の黄体刺激ホルモンおよび卵巣のエストロゲンとプロゲステロンの分泌を直接抑制します。このようにストレスを受けると、女性の髪の成長に不可欠なエストロゲンの分泌が減少します。これによって薄毛が進行してしまいかねません。これもストレスが薄毛によくない理由です。

睡眠不足が薄毛の進行を加速させる!

ストレスが睡眠不足につながると、薄毛はますます進行する恐れがあります。人体では睡眠中に脳下垂体から成長ホルモンがたくさん分泌されますが、これは毛髪の成長にとっても大切なホルモンです。成長ホルモンと脱毛症の関係についてはさまざま研究が行われていますが、成長ホルモンの分泌が低下すると、毛髪の成長に不可欠なインスリン様成長因子1(IGF-1)も低下すると言われています。日常生活において、成長ホルモンは特に入眠直後からの3時間が活発に分泌されるゴールデンタイムです。しかし、ストレスで眠りが浅く、睡眠の質が悪いと、成長ホルモンが十分に分泌されません。それが薄毛につながることがあります。

参照元:

Further Clinical Evidence for the Effect of IGF-1 on Hair Growth and Alopecia

ストレスと円形脱毛症

ストレスは円形脱毛症の原因の一つともされています。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、体が誤って毛髪の毛包を攻撃してしまうことで発症します。ストレスは、体の免疫系に影響を及ぼし、このような自己免疫反応を引き起こす可能性があります。ただし、円形脱毛症の全ての症例がストレスに起因するわけではなく、遺伝的要因や他の環境要因も関与していると考えられています。ただ、このようにストレスがきっかけで円形脱毛症になる人もいます。これは一般的な薄毛とは別の症状ではありますが、いずれの面でもストレスは髪にとってよくないということがいえます。

ストレスを和らげるためにできること

ストレス発散

女性薄毛の大敵であるストレスを和らげるために日常生活でできる工夫をより詳しくご紹介します。

■定期的な運動

運動はエンドルフィンを放出し、ストレスを減少させます。ウォーキング、ジョギング、スイミング、またはヨガのような軽い運動は特に有効です。週に数回、少なくとも30分間の運動を心がけましょう。

■瞑想と深呼吸

毎日数分間の瞑想や深呼吸の練習は、心を落ち着かせるのに役立ちます。瞑想は注意を集中させ、心の平穏を促進します。深呼吸は心拍数と血圧を下げる効果があります。

■十分な睡眠

7~8時間の質の良い睡眠は、身体と精神の両方に必要です。睡眠不足はストレスレベルを高めますので、就寝前のリラクゼーションや一定の睡眠スケジュールを設けることが有効です。

■趣味やリラクゼーション

好きな活動や趣味に時間を割くことで、心を癒やすことができます。読書、音楽、絵画、ガーデニングなど、自分に合ったリラクゼーション方法を見つけてください。

■時間管理

日々のスケジュールを効果的に管理することで、過度のストレスを避けられます。時間をうまく使い、仕事と休息のバランスを取ることが大切です。

■社会的な交友

家族や友人との良好な関係を保ち、交友を深めることで、ストレスを軽減できます。話を聞いてもらうことは、感情を解放するのに役立ちます。

これらの方法を実践することで、ストレスを軽減し、髪の毛にとっても良い生活を送ることができます。

まとめ

この記事を通じて、ストレスと女性薄毛の関係について、最新の医学研究に基づいて詳細に説明しました。長い間、ストレスが体に悪影響を及ぼすことは知られていましたが、特に女性の髪の健康に対するその影響は重要です。この記事で紹介したストレス軽減のための生活習慣の改善は、髪の毛の健康を守り、将来的な薄毛のリスクを減らすための一歩となることを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。

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2024/03/10

院長ブログトップ > おばたのお兄さんの美容整形が突っ込みどころ満載すぎる件

おばたのお兄さんの美容整形が突っ込みどころ満載すぎる件

おばたのお兄さんの整形について

2023年3月8日にヤフーニュースに現れた【エゴサーチで見つけたコメント「おばたのお兄さんの目の下のクマがすごい」で決意 98万円を投じて挑んだ整形手術に「痛くないはずがない」】という記事を読んだところあまりにも突っ込みどころ満載だったため美容外科専門医の筆者としてはコメントせずにはいられない思いに駆られ、この記事を書いています。

ヤフーニュースの概要

ヤフーニュースの記事概要は次のとおりです。

――――――――――――――――――――――

おばたのお兄さんはエゴサーチで「クマがすごい」という意見に気づき、クマ取りの美容整形に興味を持ち始めます。インスタグラムの広告を見て、98万円をかけてクマ取り、おでこのしわ、フェイスラインの整形を決意。クリニックでさらにおでこのヒアルロン酸注入や顎のボトックスを勧められ、「松竹梅」プランの中で最高価格の「松」を選択。テレビ出演時やSNSで「高すぎる」との反応を受けつつも、整形に対する後悔はないと語っています。おばたのお兄さんの整形に関して、妻の山崎夕貴アナは98万円の費用に驚きつつ、仕上がりには「キレイになったかな」と肯定的。しかし、周囲の反応は微妙で、ほとんどの人が変化に気づかなかったが、おばた自身は満足している。整形手術は非常に痛かったと語るおばたのお兄さん。特におでこの整形が痛かったと述べ、手術後は顔の腫れが強く、予定されていたテレビ番組の収録に腫れた顔で参加せざるを得なかった。手術後のおでこのシワについては時間と共に出てきたことが気になるものの、痛みを伴う手術には躊躇しつつも、再度整形を検討している。今後整形をする際は、手術直後に仕事を入れないように気をつけると述べている。

出典元:

ヤフーニュース

エゴサーチで見つけたコメント「おばたのお兄さんの目の下のクマがすごい」で決意 98万円を投じて挑んだ整形手術に「痛くないはずがない」

突っ込みどころ満載のおばたのお兄さん

インタビューに対するおばたのお兄さんの実際の言葉は突っ込みどころ満載過ぎて、次からは実際のヤフーニュースで記載されたおばたのお兄さんの言葉に対して私が1つ1つ突っ込みを入れる形式で回答したいと思います。

おばたのお兄さん整形前後

↑写真左が手術前。写真右が手術後(写真は出典元より転載)

突っ込みどころ①

エゴサーチの結果、自身のクマが気になったおばたのお兄さん

おばたのお兄さん:それで、インスタグラムなどのSNSでキーワード「クマ」で検索していたら、美容整形の広告がバシバシ出てきて。「目の下のクマになっている部分のたるみを取るだけですっきり若返る」とか「クマ取りが8万円」とか表示されるわけです。思ったほどは高くないし、そんな広告を見ていると、クマ取りがしたくなってきて。

専門医元神の突っ込み:クマ取り手術を左右の両方で8万円の価格で本当に行っている美容外科は日本にはありません。おそらくCMを行っているような大手美容外科広告の不当表示です。クマ取り1か所が8万という料金表示をしていると思われます。目のクマには3か所の脂肪があり、その1か所分ということです。このような表示は一般の方を惑わせるだけの価格表示で不当表示と言っても過言ではありません。また、脂肪は3か所あっても、多くの場合は2か所の脂肪除去がよい場合がほとんです。3か所とも脂肪を除去すると、脂肪の取り過ぎになってしまうこともあります。

突っ込みどころ②

おばたのお兄さん:「男性が整形を?」と思う人もいるかもしれませんが、僕は芸人だし、整形するのもおもしろいかなと思って、広告が出たクリニックにとりあえず行ってみることにしたんです。

専門医元神の突っ込み:自分が気になる部分の手術の下調べをせずに、「広告が出たクリニックにとりあえず行くこと」は最も危険です。アップセールスを受けやすい状況です。いわば「カモ」にされる最も危険なパターンです。

突っ込みどころ③

おばたのお兄さん:最初はクマ取りをするだけのつもりでした。でもクリニックに行ってみると、「おでこのシワ、気にならないですか?アゴもシュッとさせませんか?」と言われて。もっと若返るなら素敵かなと。「じゃあ思いきって全部やっちゃおう!」ってことになりました。

専門医元神の突っ込み:治療を検討していた以外の治療をすすめられるのは大手の美容クリニックではよくあることです。このような営業活動に対して、熟慮せずに安易に即決することは最もしてはいけない判断です。

突っ込みどころ④

おばたのお兄さん:(施術費用は)全部で98万円ですね!注射1回につき、8万円でした。片目だけでも3回注射を入れるので24万円。両目で48万円かかります。

専門医元神の突っ込み:おそらく「注射1回につき」は少し誤解されている可能性が高くて、「脂肪1か所につき8万円」という意味の説明を受けたと思われます。左右にそれぞれ3か所脂肪があるため、左右合計6か所の脂肪除去のため48万円かかったということです。これもおかしな状態でして、通常は手術中の所見で片側の脂肪を2か所除去するか、3か所にするか医師が決めます。おばたのお兄さんの写真を見る限り、2か所で十分です。また、術後の本当に3か所の除去をしたのかどうかは一般のかたにはわかりません。従って1か所いくらという値段設定自体がおかしいのです。私のクリニックでは両目で下眼瞼脂肪除去手術は30万円となりますこのように表示するのが普通です。

突っ込みどころ⑤

おばたのお兄さん:さらにクマ取りの後の再生注射やおでこのヒアルロン酸の注入、顎にボトックスを入れたことでみるみるうちに値段が上がっていきました。

専門医元神の突っ込み:「クマ取りの後の再生注射」というのは全く不要の治療です。正確には何したかわかりませんが、おそらくお金をドブに捨てたような治療だったと思われます。

突っ込みどころ⑥

おばたのお兄さん:クリニックが提案してくれたのは、「松竹梅」の3つプラン。「竹」を選ぶのが無難かもしれませんが、せっかくなら一番高いのにしようと「松」を選択しました。

専門医元神の突っ込み:手術の「松竹梅」でしたら、これは完全に値段を吊り上げるだけのためのオプション商法です。オプション価格は一般のかたを惑わす常套手段で、良心的なクリニックでは決して行わない料金設定です。オプション設定が多数ある美容外科ではそもそも治療を受けるべきではないことはこのブログの過去記事でも書いております。

突っ込みどころ⑦

おばたのお兄さん:でもテレビのバラエティ番組でそのことを話したら、出演者の方々がびっくりされていて。「高すぎる!うちのクリニックなら半額くらいでできた」と。SNSのコメントでもいろいろな人に「高い」「高い」とけっこう言われましたね。

専門医元神の突っ込み:そのとおりです。高いです。そのとおり下眼瞼脂肪除去であったならば通常25~30万円の料金設定のクリニックが多いです。

納得したところ①

おばたのお兄さん:病院では手術前に「痛くないから大丈夫」と言われていました。でも、はっきり言ってめちゃくちゃ痛かったです(笑)。目の下のふくらんでいる部分の脂肪を移動させるために、まぶたの裏側にある結膜を切るんですから痛いに決まっていますよね。痛くないわけがない!(笑)

専門医元神の納得したところ:この発言から分かるように、冒頭の「注射1回につき、8万円でした。片目だけでも3回注射を入れるので24万円。両目で48万円かかります」というのはおそらく脂肪除去の手術のことだと推測します。痛みを受け取り方は個人差が大きいので、一概にこの手術の担当医師の技術不足とも言い切れません。ただ、通常はそれほど痛くないのですが。。。

納得したところ②

おばたのお兄さん:特におでこの整形は一番痛かったです。骨膜の近くにヒアルロン酸を入れるんですから、痛いはずです。

専門医元神の突っ込み:額に丸みをつける方法でヒアルロン酸注入を骨膜上に注入している手技です。これに関しては痛みが生じるには致し方ないと思います。ヒアルロン酸は注入部位によって痛みが異なりますが、骨膜上への注入は痛みが強い部位となります。

突っ込みどころ⑧

おばたのお兄さんの整形後

↑手術直後のおばたのお兄さん(出典元より転載)

おばたのお兄さん:前もってクリニックに、「どれくらいで腫れは引きますか?」と確認したら「3時間くらいで引きます」と言われました。その言葉を信じてすっかり安心していたのですが、結局腫れが引いたのは50時間後でした(笑)。

専門医元神の突っ込み:まぶたの脂肪除去は通常はそれほど腫れる治療ではありませんが、2,3日はそれでも腫れます。従って、おばたのお兄さんが言っている「50時間前後」で腫れが引いたのは普通です。「3時間くらいで引きます」というのは絶対にあり得ませんので、もしスタッフがこのように説明していたのなら、カウンセリング当日に手術を受けさせるためにウソの説明をしたと推測します。

納得したところ③

おばたのお兄さん:おでこは手術直後はまったくシワがなかったのですが、時間の経過とともにシワがでるようになっていて。ちょっと気になっているんですよね~(笑)。でも、手術は汗が出るくらいとても痛かった。麻酔はしますが、やっぱり我慢は必要です。耐える努力が必要です。でも、またやりたいなあ…。次やる時は、直後に仕事を入れないように気をつけます(笑)。

専門医元神の納得したところ:ボトックスの効果は6か月前後です。おばたのお兄さんはおでこのボトックスの効果が弱くなってきているのでしょう。手術は痛みを伴いますが、患者様がなるべく痛みを感じないような工夫もできます。痛みが苦手なかたには静脈麻酔やマスク麻酔を併用して、寝ている間に治療を行うこともできます。また、治療後の腫れは受ける治療によって異なります。

まとめ

今回のおばたのお兄さんの美容整形のインタビュー記事には突っ込みどころが8か所もありました(笑)。私としてはもっと吟味して美容外科選びをしてほしかったと思います。ただ、芸能人としての立場上、提案される治療を簡単に受け入れ、迅速に決定する姿勢は、ある意味で理解できる部分もありますし、それには同情の余地もあると感じます。美容治療を成功に導くためには、最も重要なのは医師の選択です。充分なリサーチを行い、複数のクリニックでの診察を経て、慎重に選び取ることが重要です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

【関連項目】

おばたのお兄さんが受けた目のクマ取り治療はこちら

失敗しない美容外科医の選び方

下手な美容外科医とトラブルが多い美容外科クリニックが増えている理由

美容外科治療を受ける場合の問題と注意点

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2024/03/09

院長ブログトップ > ニキビ治療「アグネス」の効果とデメリット

ニキビ治療「アグネス」の効果とデメリット

アグネスの治療前後コメカミ

ニキビ治療に革命をもたらしている「アグネス」について、その科学的根拠と共に詳しく掘り下げます。この記事では、アグネスがニキビにどのように作用するのか、そのメカニズムを解説し、アグネスを国内でいち早く導入した美容外科専門医としての観点から見た利点を深く分析します。また、実際の治療過程やその後のケアについても、専門的な知見を交えながらご紹介し、アグネス治療に関するあらゆる疑問に対して、詳細かつ具体的にお答えします。

アグネスとは

アグネスとは、ニキビの根本原因である皮脂腺を破壊する施術です。アグネスでは、ニキビが生じる皮脂腺を永続的に破壊することにより、同じ部位よりニキビが再発することを防ぎます。従来のニキビ治療で利用されているケミカルピーリングやIPLを用いた光治療は炎症を抑えることに重点を置いており、ニキビの根本原因である皮脂腺や毛穴はそのまま残っていました。これが同じ部位よりニキビがまた再発する要因でした。アグネスでは、ニキビの要因となっている皮脂腺と毛穴自体を1回の治療で完全に破壊するために、同じ部位に再びニキビが発生するリスクを抑えることができます。

アグネスの歴史

ニキビ治療において最も効果がある施術として確固たる地位が確立されているアグネスですが、   この画期的な治療法は、「小林メソッド」にその起源を持ちます。「小林メソッド」とは東京の「青山・小林クリニック」で皮膚科医として活躍されていた小林医師が考案したにきび治療方法です。「小林メソッド」では、にきび(痤瘡)の皮脂腺に針を使用し、電気を通電して皮脂腺を焼灼します。小林医師がこの方法を最初に論文で発表したのは2003年でした。小林医師のこの斬新な治療法は非常に高い評価を受け、彼の青山のクリニックは繁盛していたと言われています。しかしながら、残念なことに小林医師は亡くなられました。その小林医師が開発した小林メソッドを利用した治療機器がアグネスなのです。

アグネスのメカニズム

 アグネスの治療前後

アグネス治療では、非常に細かい針(マイクロニードル)を毛穴及びニキビに刺します。そして針の先端部分だけから発する高熱により皮脂腺及びニキビ自体を破壊します。アグネスの最大の特徴は、皮膚と密着する部分が絶縁されたように設計されているマイクロニードルを使用することです。これにより、皮膚表面に熱傷を起こさせることなく、針に電流を流すことで真皮にある皮脂腺のみを破壊します。アグネスは特に、反復するニキビや頑固なニキビに対して効果的です。これは、選択的に皮脂腺やニキビのみをターゲットにして、これを完全破壊することにより、ニキビの再発を防ぐためです。また、ダウンタイムが短く、痛みも少ないのが特長です。

ニキビのアグネス治療のよくあるご質問【効果編】

Q:アグネスは1回で効果を実感できますか?またニキビを完全に治すためには何回くらいかかりますか?

A:ニキビに対するアグネス治療は1回でも治療効果が実感できます。これは治療箇所については1回の治療でニキビが破壊され、再発しないからです。ただ、時間差で治療箇所以外の部分からはニキビは変わらずに発生するため、治療も時間差数回行うと、治療部位全体のニキビが発生しなくなります。通常1か月1回程度の治療を3回受けると、治療部位のニキビの発生は劇的に改善します。

Q:治療は1回で終了しますか?

A:アグネスは基本的に1回の治療で終了します。一度治療した部位から再発することはありませんが、他の毛穴からできることが あるため数回の高周波照射が必要な場合もあります。通常3回のコースをおすすめしております。また、より効果を得るために、治療翌日または翌々日にご来院いただき、 皮脂腺内の残渣物(ざんさぶつ)の圧出と肌のケアを行う「メルティングケア」を おすすめします。

Q:アグネスの効果は治療後何日で分かりますか?いつ頃効果を実感できますか?

A:アグネスは治療直後より数日は赤みが出るため、治療効果がすぐに現れません。通常は赤みが引いた1週間後より治療効果が分かるようになります。その後、時間の経過とともに治療効果の高まりを実感します。

Q:皮脂腺を破壊するとニキビにどのような効果があるのでしょうか?

A:アグネスによる皮脂腺の破壊は、ニキビ治療において重要な役割を果たします。ニキビは、皮脂腺から分泌される皮脂が毛穴を詰まらせることで発生するため、アグネスはこれらの皮脂腺を直接破壊することにより、ニキビの根本的な原因を取り除きます。その結果、ニキビの治癒や再発防止に効果的です。

Q:アグネスでニキビができないのはなぜですか?

A:アグネス治療によりニキビの原因となっている皮脂腺自体を高熱により完全破壊するからです。また、高熱によりニキビの要因になっているアクネ菌も殺菌されてしまうからです。

Q:破壊された皮脂腺は再生しますか?元に戻りますか?           

A:アグネス治療で皮破壊された皮脂腺は再生したり、元に戻ることはありません。ニキビは皮脂腺から作られる皮脂があることで発生します。アグネスはこの皮脂腺自体を破壊するのでニキビも再発こともありません。

Q:アグネスで皮脂腺を取り除くと、肌が乾燥しませんか?

A:顔には約2~5万個の毛穴があると言われています。このため、アグネスの治療で数百程度の皮脂腺を取り除いても肌が乾燥することはありません。むしろ皮脂腺に高周波を照射することで、毛穴が収縮しコラーゲンが再生されることによってニキビ跡の改善とともに、肌のハリを感じることができます。

参照元:

Pores 101: What You Need to Know

Q:アグネスは、すべてのニキビに適用できますか

A:はい、すべてのニキビに適用が可能です。
思春期にきび、大人のニキビはもちろん、慢性的にくり返す 炎症性にきびにも効果的です。顔だけではなく、胸や背中、お尻など全身のニキビに効果的です。

Q:いままでのニキビ治療と異なる点は何ですか?

A:にきびの状態を一時的に好転させる治療法と異なり、アグネスはニキビの原因となる異状な皮脂腺を根本的に取り除きます。そのため一度治療した部位から再発することはほとんどありません。

ニキビのアグネス治療のよくあるご質問【デメリット編】

アグネスの治療前後背中

Q:アグネスでニキビを治すデメリットや副作用は?
A:アグネスのデメリット・副作用として治療後2,3日間は治療部位に赤みが強く出ることがあります。これは通常1週間程度で治まります。アグネスのデメリット・副作用はこの治療後の赤みだけです。

Q:アグネスでニキビが悪化する副作用は?

A:アグネスでニキビは悪化することはありません。ニキビが悪化している段階ではアグネス治療を行っていない皮脂腺から次から次へとニキビが発生することがあり、一見アグネスによりニキビが悪化していると誤解するかもしれませんが、このような場合でもアグネス治療の回数を重ねることで必ずニキビはよくなります。

ニキビのアグネス治療のよくあるご質問【治療中と治療後編】

Q:ニキビのアグネス治療の流れは?

A:ニキビのアグネス治療では、まず麻酔クリームを治療部位に塗ります。20~30分後に麻酔クリームを除去して、治療を開始します。治療時間はアグネスの治療部位によって異なります。治療の翌日または翌々日に再来院していただきメルティングを受けることをおすすめしています。これはアグネス治療により炎症性の浸出液がニキビがあった空洞内に溜まることがあり、この浸出液を抜く処置です。メルティングは必ず必要な処置ではありませんが、浸出液を抜いたほうがニキビの腫れが早く治まります。

Q:アグネスは痛いですか?

A:治療前には麻酔クリームを塗布して痛みが最小限になるように工夫しております。通常治療は多少のチクチクとした痛みを感じることはありますが、それほど強い痛みではありません。

Q:アグネス治療のダウンタイムはどのくらいですか?

A:アグネスのダウンタイムは治療後2,3日間治療部位に赤みが強く出ることがありますが、通常は1週間程度で治まります。

Q:アグネスの施術後に気をつけることは?   

A:アグネス施術後に気を付けることは特にありません。施術日当日はアルコールと入浴を控えたほうが治療後の赤みが抑えられます。

Q:アグネスの治療後すぐに日常生活を送れますか?

A:アグネスの治療後は、日常生活にほとんど影響はありません。治療部位が少しふくらむ、赤みが出る、熱感が出ることがありますが、 すぐに改善されます。治療後にリンパ液などの浸出物が出る場合は、軽くガーゼでふき取ってください。

Q:アグネスの当日は化粧してもいいですか?

A:アグネス当日は施術部位に関してはお化粧を控えたほうがよいです。お化粧の粒子がアグネスに治療部位より混入する可能性があり、これにより赤みが余計に長く出ることがあり得るからです。

Q:アグネスの施術当日はお風呂に入れますか?

A:お風呂に入れますが、施術日当日は入浴を控えたほうが治療後の赤みが抑えられます。

Q:アグネス後のお化粧いつからいいですか?

A:アグネス後は通常翌日より治療部位のお化粧が可能です。

Q:アグネスの後、ピーリングはできますか?

A:アグネスの後、約1週間後よりピーリングは可能です。ただ、アグネスの治療効果が大きいため、ニキビ治療目的のピーリングは今後不要になります。

Q:アグネスはかさぶたができますか?

A:アグネス治療後数日後にカサブタができることはあります。ただ、カサブタでできることと治療効果は関係ありません。

Q:アグネスでニキビが腫れることはありますか?

A:ニキビに対してアグネスの治療後に一時的に治療部位が腫れることがあります。これは治療により炎症性の浸出液がニキビがあった空洞内に溜まることがあるからです。この浸出液を治療翌日または翌々日に抜いたほうがニキビの腫れが早く治まります。この浸出液を抜く処置をメルティングと言います。

アグネスの治療前後顔全体

まとめ

この記事では、アグネスによるニキビ治療のメカニズムや、治療に関する様々な疑問に詳しく解説しました。皮脂腺を狙い撃ちで破壊するアグネスの革新的なアプローチが、ニキビ治療にどのように応用されるのかを明確にし、さまざまな視点からの解析を行いました。この情報が、アグネス治療を検討している方々にとって有用であり、ニキビという肌の悩みに対する新たな視点を提供できたことを願います。ニキビ治療におけるアグネスの役割を理解することで、より効果的な治療法の選択が可能になるでしょう。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

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2024/03/08

院長ブログトップ > 【便秘・腸内細菌叢とニキビの関係性】ニキビによい食事とは?

【便秘・腸内細菌叢とニキビの関係性】ニキビによい食事とは?

皆さんは、「便秘になるとニキビができる」「チョコレートを食べ過ぎるとニキビが増える」というような言い伝えを聞いたことはありませんか?昔からのこのような民間伝承は、実は科学的根拠に基づいていることが、近年の研究により明らかになっています。特に、腸内環境と皮膚の健康の間には深い関連があることが指摘されており、便秘や食事がニキビの発生に直接的な影響を与えている可能性が高いのです。近年の研究では、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の不均衡が、炎症や皮膚トラブル、特にニキビの発生に密接に関係していることが明らかにされています。便秘が長引くと、腸内の有害な細菌が増え、これが全身の炎症を引き起こし、結果として皮膚にも悪影響を与えるのです。一方で、食生活も皮膚の健康に大きな影響を及ぼします。例えば、高脂肪や高糖質の食事は腸内細菌叢のバランスを崩し、炎症を引き起こす可能性があります。また、特定の食品、例えばチョコレートや乳製品は、ホルモンバランスに影響を与え、皮脂の過剰な分泌やニキビの発生を促進することが知られています。この記事では、最新の科学的見解と共に、腸内環境と食事がニキビに与える影響について、より詳しく解説していきたいと思います。腸内の健康が皮膚に与える影響についての理解を深めることで、ニキビの予防や改善に役立つ知識を提供できればと思います。

腸脳皮膚相関(gut-brain-skin axis)とは

80年以上前、皮膚科医のJohn H. StokesとDonald M. Pillsburyが提唱した「腸脳皮膚相関(Gut-Brain-Skin Axis)」理論は、消化器系のメカニズムがにきびを含む皮膚疾患に影響を及ぼす可能性があるという革新的な考え方でした。彼らは、精神的ストレス、うつ病や不安症などの心の健康が、腸内細菌叢(腸内の微生物群)のバランスを崩し、腸の透過性を高め、結果として全身の炎症を引き起こすという仮説を立てました。これにより、腸の状態が直接的に皮膚の健康に影響を及ぼすという考えが生まれました。さらに、StokesとPillsburyは、腸内細菌叢のバランスを改善するためにプロバイオティクス(善玉菌)の使用を提唱し、この分野のパイオニアとなりました。最近の研究では、この理論がさらに科学的な支持を受けています。腸内の健康は、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)の摂取によって大きく改善されることが明らかになっており、これは全身の炎症や酸化ストレス、血糖コントロール、組織内の脂質量に影響を与えることが分かっています。これらの変化は、ニキビの発症や重症度とも深く関連しており、心と腸、そして皮膚の健康が密接に結びついていることを示しています。

腸脳皮膚相関

参照元:

Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis: from anecdote to translational medicine

ニキビと便秘:腸の健康と皮膚の相互作用

ニキビと便秘、そして腸の健康と皮膚の問題との関連性は、近年の医学研究により確実に示されています。13,000人以上の青少年を対象にした大規模な研究では、ニキビ患者が便秘、口臭、胃液逆流などの消化器系の問題を抱えることが一般的であることが明らかにされています。中でも、腹部の膨満感はニキビや脂漏性皮膚病との関連性が37%も高く、これは消化器系の不調が直接的に皮膚の問題に影響を及ぼす可能性を示唆しています。

さらに、別の研究では、にきびを抱える患者グループの約40%が便秘を経験しており、これは健康な人々と比べて顕著に高い割合です。このことから、便秘がニキビの発生や悪化に関係していることが推測されます。また、重度のニキビ患者においては、過敏性腸症候群(IBS)が健康な対照群よりも有意に多く発生しているという報告もあります。IBSを持つ患者では、ニキビの重症度も高い傾向にあることが示されており、これは腸の健康が皮膚の状態に密接に関わっていることを物語っています。

これらの研究結果は、腸内環境と皮膚の健康が相互に影響し合っていることを強く示唆しており、ニキビの治療においては、腸の健康を考慮に入れることが重要であることを教えてくれます。

出典元:

Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis – back to the future?

The relationship between acne vulgaris and irritable bowel syndrome: A preliminary study

ニキビと腸内細菌叢

ニキビの発生には、腸内細菌叢(腸の中の細菌の集まり)が大きく関与しています。腸内細菌叢と皮膚の健康状態は相互に作用しあっており、免疫系の調整を通じて腸と皮膚がコミュニケーションを取っているとされています。にきび患者の場合、乳酸菌やビフィズス菌のような主要な「善玉」菌がニキビ患者には不足していることや腸内細菌の多様性も低いことが明らかになっており、実に半数以上が腸内細菌叢の異常を持っていることがわかっています。善玉菌は短鎖脂肪酸(SCFA)と呼ばれる物質を産生し、健康的な腸管バリアを維持するのに役立つ一方、ニキビ患者のように善玉菌やSCFAが十分でない場合、腸管透過性が亢進すると言われています。その結果、腸内細菌やその副産物が血流に乗り、皮膚の健康に影響を与え、ニキビの原因となる炎症を引き起こす可能性があります。このように、私たちの肌の健康、特にニキビの発生には、腸内細菌叢の状態が深く関連しています。

出典元:

The increasing importance of the gut microbiome in acne vulgaris

にきびを悪化させる可能性がある食事

ニキビによくない食事

食事の内容によっては、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化することがあります。これは、ニキビの状態を悪化させる原因となることがあります。特に以下のような食事スタイルは、ニキビを悪化させる可能性が高いとされています。

■欧米型の食生活

加工食品、飽和脂肪、精製糖を多く含む欧米の食生活は、にきびを悪化させる要因です。研究では、糖質が高い食品、乳製品、脂肪が多い食品、ミルクチョコレートなどがにきびを促進する可能性があるとされています。

■高脂肪食

 高脂肪食は、腸内の細菌の多様性を減少させ、腸の健康を害し、炎症を引き起こす可能性があります。にきびは炎症と関連しているので、これが影響すると考えられます。

■高GI食品

高GI食品は、IGF-1とインスリンのレベルを上げ、にきびの発生に関連する特定の因子(FoxO1、SREBP-1)に影響を及ぼすことがあり、その結果、にきびのリスクが高まると考えられています。高GI食品とは摂取後にすぐに血糖値を上昇させてしまう白米や白パンなどの炭水化物のことです。

■肉や乳製品が多い食事

肉や乳製品が多い食事がmTOR経路という特定の経路を活性化し、にきびを悪化させる成分を多く含みます。mTOR(哺乳類ラパマイシン標的蛋白質)経路は、細胞の成長、代謝、老化プロセスに重要な役割を果たす経路です。特に、ロイシンというアミノ酸が多く含まれる肉や乳製品は、このmTOR経路を活性化させます。mTOR経路が活性化されると、皮脂腺の活動が増加し、皮脂の生成が促進されるため、にきびが悪化することがあります。したがって、肉や乳製品が多い食事が、このmTOR経路を通じてにきびのリスクを高める可能性があるのです。一方、肉や乳製品を減らしたり避けたりするベジタリアンとビーガンの食事では、にきびに関係する炎症を減少させる可能性があります。

ニキビや肌荒れを改善させる食事

ニキビによい食事

ニキビや肌荒れは、不均衡な食生活が原因の一つとされています。健康な肌を維持するためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。以下のような食事を心掛けることで、肌の調子を整えることが期待できます。

■ 多種多様な野菜と果物

腸内細菌の多様性を促進し、健康な腸を維持するためには、様々な種類の植物性食品の摂取が推奨されます。週に30種類の野菜、果物、香辛料、ハーブ、豆類、ナッツ類、種子類を取り入れることが理想です。これらは、肌の健康をサポートするビタミンやミネラル、抗酸化物質を豊富に含んでいます。

■ カラフルな植物

ポリフェノールは、色鮮やかな植物に豊富に含まれる化合物で、善玉腸内細菌の栄養源となります。赤、黄、緑、紫など、色々な色の野菜や果物を日常の食事に取り入れることで、腸内環境の改善につながります。

■ 豆類

ひよこ豆やレンズ豆などの豆類に含まれる特別なプレバイオティクス食物繊維は、善玉腸内細菌の燃料として役立ちます。これらの食品は、腸内環境を整えるとともに、肌の健康にも良い影響を与えます。

■ 発酵食品

ヨーグルト、キムチ、ミソ、納豆などの発酵食品には生きた細菌が含まれており、腸内細菌叢の多様性を高めます。これらの食品を日々の食事に取り入れることで、腸内環境の健康をサポートし、結果として肌の健康にも寄与します。

■ 食物繊維が多い食べ物

便秘はニキビの一因となることがあります。便秘を防ぎ、腸の健康を維持するためには、食物繊維を豊富に含む食品の摂取が重要です。食物繊維は便通を促進し、腸内環境を整えることで、間接的にニキビや肌の状態を改善する効果が期待できます。全粒穀物(玄米、全粒粉のパン) 豆類、野菜(ブロッコリー、キャベツ、にんじん)、果物(リンゴ、バナナ、オレンジ)、ナッツ類などが食物繊維を豊富に含む食です。

腸内細菌叢とニキビについてよくあるご質問

Q: 抗生物質は腸内環境に悪影響を及ぼしますか?

A: 抗生物質は細菌を殺すため、健康な腸内細菌も影響を受けることがあります。これにより、腸内細菌の多様性が低下し、腸の健康に悪影響を及ぼすことがあります。ニキビ治療の一環として抗生物質を使用する場合でも、医師の指導の下で適切に使用し、必要以上の長期間の使用は避けるべきです。

Q: ストレスは腸内環境を悪化させますか?

A: はい、ストレスは腸内細菌に影響を及ぼし、特に乳酸菌やビフィズス菌の数を減少させる可能性があります。ストレスが続くと、腸のバリア機能が弱まり、腸内環境が悪化することがあります。また、ストレスが高い状態では交感神経が優位になり、腸管運動が低下し、便秘になりやすく、腸内環境を悪化させる要因にもなります。

Q: 腸内環境を改善するための生活習慣は何ですか?

A: 腸の健康を促進するためには、質の良い睡眠、定期的な運動、ストレス管理、禁煙が重要です。これらはすべて、腸内細菌のバランスを保つのに役立ちます。特に運動は便通をよくし、腸内環境の健康に重要です。

Q: 腸内環境に良い食事とはどのようなものですか?

A: 腸内環境を改善するためには、多種多様な植物性食品を取り入れることが重要です。野菜、果物、豆類、全粒穀物、ナッツ、種子などをバランス良く摂取し、超加工食品の摂取を控えることで、腸内の微生物の多様性をサポートし、腸の健康を促進することができます。

まとめ

この記事ではニキビと腸内環境、特に腸内細菌叢との重要な関係性について詳説しました。私たちの食生活、特に糖質や脂肪が豊富な食品や乳製品の摂取が腸内細菌叢に与える影響は、ニキビの発生や悪化に関連している可能性が高いのです。これに対して、果物や野菜、豆類などの栄養価の高い食品を積極的に摂ることは、腸内細菌叢を健康に保ち、ニキビのリスクを軽減します。また、健康な腸のためには、良好な便通も重要です。ストレスの軽減、日々の適度な運動、良質な睡眠は、腸の動きを促進し、健康な消化機能を維持するのに役立ちます。この記事が皆さんの健康的な生活習慣やニキビケアに役立つことを願います。腸の健康と肌の状態は密接に連携しており、食生活や生活習慣の見直しは全身の健康へと繋がります。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/07

院長ブログトップ > 【ニキビの原因と予防】食事と生活習慣の見直し

【ニキビの原因と予防】食事と生活習慣の見直し

にきびで悩む女性

美しい肌を目指す私たちの日常生活において、ニキビは避けて通れない悩みのひとつです。特に顔のニキビは、頬やあご、額など、目立つ部位に現れるため、その存在は特に気になるものです。時には一時的に改善されるものの、またすぐに悪化してしまうこともあり、私たちの自信や外見に影響を及ぼすことが少なくありません。この記事では、顔にできるニキビについて、その発生の背景にある要因やメカニズムを詳しく掘り下げ、日常生活で取り入れられる効果的な予防方法をご紹介します。あなたのニキビに対する理解を深め、クリアな肌への第一歩を踏み出しましょう。

ニキビとは

アグネス1にきび治療前

誰しも人生で一度は経験する最も一般的に遭遇する皮膚トラブルの一つが「ニキビ」です。医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と称され、この症状は、毛包が皮脂や古い角質で詰まることにより発生します。一般的に、ニキビはその成り立ちにより「白ニキビ」、「黒ニキビ」、「赤ニキビ」といった様々な形態を示し、炎症の進行に応じて状態が変化します。多くの人々が思春期にニキビの問題に直面しますが、実際にはどの年齢層でもニキビが発生する可能性があります。これは単なる皮膚の問題ではなく、場合によっては深刻な精神的ストレスや自己意識の問題を引き起こすことがあります。特に重症化したニキビは、皮膚に永続的な傷跡を残すことも少なくありません。そのため、初期段階での適切な治療が、これらのリスクを最小限に抑える鍵となります。効果的なニキビ治療法が存在しますが、治療の途中で新たなニキビが発生することも珍しくありません。ニキビの治療には忍耐が必要であり、根気強く続けることが重要です。早期に効果的な治療を開始することで、ニキビが及ぼす肌へのダメージや精神的な影響を大幅に軽減することが可能です。

参照元:

Acne Overview by Mayo Clinic

ニキビができる原因

ニキビの発生には、複数の要因が絡み合っています。これらを理解することは、ニキビ予防と治療において極めて重要です。以下に、主要な原因を詳しく解説いたします。

1.毛穴の詰まり

皮膚表面の細胞が正常に生まれ変わるプロセス、すなわち「ターンオーバー」(新陳代謝)が乱れると、角質が肥厚し、毛穴が塞がれます。このターンオーバーの乱れは、日常生活のストレスや不規則な生活習慣によって引き起こされることがあります。

2.皮脂の過剰分泌

毛穴内の皮脂腺が過剰に働くと、皮脂が多量に分泌され、これがニキビの直接的な原因となります。思春期にはホルモンバランスの変化により、特に顔、額、胸、背中上部、肩など、皮脂腺が集中している部位でニキビが発生しやすくなります。

3.アクネ菌の増殖と炎症

毛穴内部でアクネ菌(ニキビ菌)が増えると、これが炎症反応を誘発し、炎症性ニキビが形成されます。皮脂がアクネ菌の栄養源となるため、皮脂の過剰な分泌はアクネ菌の増殖を助長し、結果的にニキビの悪化につながります。

ニキビが発生して悪化していくメカニズム

ニキビの発生と悪化の過程は、にきびの原因と重複する説明となりますが、以下のメカニズムで進みます。

1.毛穴の詰まり

皮膚の表面では、角質層の細胞が定期的に新しく生まれ変わります。しかし、このプロセスに異常が生じると、角化異常が起こり、毛穴の出口が塞がれてしまいます。

2.皮脂の蓄積

毛穴が詰まると、皮脂腺からの皮脂は肌の表面に排出されず、毛穴内に蓄積します。この蓄積した皮脂は、ニキビの原因となるトリガーの一つです。

3.アクネ菌の増殖と炎症の発生

蓄積した皮脂は、アクネ菌の増殖に最適な環境を提供します。アクネ菌は皮脂を分解し、炎症を引き起こす物質を産生します。これが皮膚に赤みや腫れをもたらし、ニキビの炎症を引き起こします。

4.炎症の悪化

炎症がさらに進行すると、毛穴内に膿が溜まり、ニキビはさらに重症化します。この段階では、皮膚の深層まで影響が及ぶことがあり、しばしば痛みを伴います。

にきびの種類

ニキビの理解には、まずその多様な形態を把握することが不可欠です。ここでは、ニキビが取りうるさまざまな形態を、その特徴とともに解説いたします。

■白ニキビ

白ニキビ

閉鎖型コメド、閉鎖型面皰とも呼びます。毛穴の詰まりが原因で発生します。毛穴の出口が閉じている状態で、内部に皮脂や角質が溜まり、白い突起として見えるのが特徴です。

■黒ニキビ

黒ニキビ

開放型コメド、開放型面皰とも呼びます。毛穴の詰まりが部分的に開いており、皮脂や角質が酸化して黒くなっています。空気に触れると、酸化により黒く変色するため、このような名前がついています。

■赤ニキビ

赤ニキビ

炎症性ニキビとも呼びます。白ニキビや黒ニキビがさらに進行し、周囲の組織が炎症を起こした状態です。この段階では、ニキビが赤く腫れ上がり、触れると痛みを感じることが多くなります。

■黄ニキビ

黄にきび

膿疱型ニキビとも呼びます。赤ニキビがさらに進行し、膿を含む炎症を起こしている状態です。中心部に黄色い膿(または白い膿)が見えることが、このニキビの顕著な特徴です。

■紫ニキビ

紫にきび

結節性にきび、嚢胞性ニキビとも呼びます。 最も重症なニキビで、深部に強い炎症を起こしています。皮膚が硬くなり、紫色に変色することがあります。

ニキビは一般的には、白ニキビから黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビへと悪化していくと考えられています。しかし、個人の肌質やケア方法によっては、必ずしもこの順序通りに進行するわけではありません。

にきびを悪化させる可能性がある要因

日常生活において、私たちが無意識のうちに行っている行動や環境要因が、ニキビの発生や悪化に影響を及ぼすことがあります。以下に、ニキビの誘発または悪化に関連する主な要因を挙げ、それぞれについて詳しく解説します。

■ホルモンの変化

思春期に増加するアンドロゲンホルモンは、皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進します。これにより毛穴が詰まりやすくなり、ニキビが形成される可能性が高まります。女性においては、中年期に見られるホルモンの変化もニキビの原因になり得ます。

■食事の影響

高炭水化物食品(パン、ポテトチップスなど)の摂取は、ニキビの悪化と関連があります。これらの食品は血糖値の急激な上昇を引き起こし、結果的に皮脂分泌を促進することが知られています。また、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が豊富な高脂肪食、乳製品の摂取もニキビのリスクを高めることが指摘されています。しかし、にきびのある人が特定の食事制限に従うことが有益かどうかについては、さらなる研究が必要です。

■ストレスの影響

ストレス自体が直接的にニキビを引き起こすわけではありませんが、既存のニキビを悪化させるトリガーとなることがあります。ストレスは皮膚の免疫機能に影響を与え、炎症反応を強めることがあります。

■家族歴の影響

ニキビの発生には遺伝的要素が強く関連しています。両親が過去に重度のニキビを経験している場合、子どもにも同様の皮膚トラブルが生じやすいことがあります。

■脂性または油性物質への接触

皮膚が油性のローションやクリームに頻繁に触れると、毛穴が詰まり、ニキビの原因となることがあります。

■物理的な刺激や圧迫

電話機や携帯電話、ヘルメット、きつい衣服の襟、リュックサックなどによる摩擦や圧力が、皮膚の刺激となり、ニキビの発生を促すことがあります。

実はニキビの悪化とはあまり関係ないもの

一般的にニキビの悪化と関連づけられがちなものの中には、実際にはニキビにほとんど影響を与えないものがあります。

■肌の衛生状態

ニキビが単に「肌が汚れているから」というわけで発生するわけではありません。実は、肌を強くこすったり、刺激の強い洗浄剤を使用することが、皮膚を刺激し、ニキビの状態を悪化させることがあります。

■化粧品の使用

適切に使用すれば、化粧品が必ずしもニキビを悪化させるわけではありません。毛穴を詰まらせない、オイルフリーの製品を選び、毎日きちんと化粧を落とすことで、肌の健康を保つことができます。特に、油分を含まない化粧品は、ニキビ治療薬の効果を妨げることもありません。

ニキビの予防

ニキビは多くの人々が経験する肌の問題ですが、日常のケアによってその発生を軽減することが可能です。以下に、ニキビ予防のための効果的な日々のルーチンをご紹介します。

■ぬるま湯での毎日の洗顔

熱すぎる水は皮膚を刺激し、乾燥を引き起こす可能性があります。毎日ぬるま湯で洗顔することは、皮膚を穏やかに洗浄し、自然な油分を保ちながら不要な汚れや皮脂を取り除きます。

■適切なスキンケア製品の選択

オイルフリーの保湿剤を使用し、肌の水分バランスを保ちましょう。また、コメドジェニックでないメイク用品(オイルフリーで軽い質感のもの)を選び、毎晩メイクをしっかりと落としましょう。

■顔の肌への接触を避ける

手が顔に触れることは、アクネ菌の増殖や感染の原因となりますので、できるだけ控えましょう。

■髪型の工夫

髪の毛が顔に触れないようなスタイルを心がけることで、アクネ菌の伝播を防ぐことができます。

■マスクの使用を控える

髪型と同様にマスクはアクネ菌の伝播・増殖させる要因となり得ますので、できるだけマスクの使用は避けましょう。

■バランスの良い食事

動物性脂肪や高カロリー食品の摂取を控え、緑黄色野菜やビタミン、食物繊維を豊富に含む食事を心がけましょう。便秘がニキビを悪化させるという学説もあります。

■十分な睡眠とストレス管理

質の良い睡眠を確保し、ストレスを減らすことで、全体的な健康状態を改善し、ニキビ予防につながります。

医師の診察を受けるべきタイミング

美容外科専門医元神医師

ニキビの治療においては、自宅でのセルフケアだけでは改善が見られない場合、早めに医師に診察してもらうべきです。ニキビは悪化するスピードが早いためにより早い段階での積極的な治療をおすすめします。また、処方された薬を使用しても1か月経過してもニキビの改善が見られない場合は、治療方法を見直すべきです。一つの選択肢として、アグネス治療が挙げられます。これは、超極細の針を使用して直接皮脂腺を破壊し、ニキビを根本から治療する方法です。1回の治療で効果を実感できることが多く、重症化する前の早い段階での治療に特に効果的です。

まとめ

この記事を通じて、ニキビの多様なタイプとそれらが発生する機序について詳細に解説しました。ニキビの発生原因を深く理解し、それに基づいた予防策を日々の生活に取り入れることで、にきびの発生や悪化を防ぎ、きれいな肌を取り戻せる可能性はあります。ただ、自宅でのケアだけでは改善が見られない場合、ニキビの進行は想像以上に速いです。そうした悪化している状況では、早期にニキビ治療に精通した医師の診察を受け、専門的な治療を開始することを強く推奨します。正しい知識と適切な治療が、ニキビと上手に向き合うための最良の方法です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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【胸やデコルテのニキビ】原因と効果的な治療法の全貌

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2024/03/06

院長ブログトップ > ニキビ薬のイソトレチノイン(アキュテイン)の怖い副作用

ニキビ薬のイソトレチノイン(アキュテイン)の怖い副作用

イソトレチノインの副作用に心配な女性

ニキビの治療薬として重篤な副作用を引き起こす可能性があるイソトレチノインは、アメリカにおいて1982年にFDA(日本の厚生労働省に相当する政府機関)の承認を受け、全世界で広く使用されてきました。しかし、日本国内では、現在に至るまでその使用が認められていないのです(国内未承認薬)。この記事では、イソトレチノインの危険性と副作用について深く掘り下げて解説します。特に、なぜ日本で未承認の状態が続いているのか、そしてその副作用がどのような影響を及ぼす可能性があるのかについて、詳細に説明します。

イソトレチノインとは

イソトレチノイン(一般名:Isotretinoin)は、アキュテイン(Accutane)、ロアキュテイン(Roaccutane)、ソトレット(Sotret)、アムネスティーム(Amnesteem)、クララビス(Claravis)、イソトロイン(Isotroin)、アクノティン(Acnotin)など、様々な商標名で知られる、難治性ニキビ治療用の医薬品です。この薬は、ビタミンAの誘導体であり、皮脂腺の活動を減少させることで、毛穴の詰まりやニキビの炎症を抑制する効果を持ちます。イソトレチノインの主要な作用は、皮膚内での角質細胞の分化と剥離を促進することにあります。これにより、ニキビの主な原因である毛穴の閉塞を減らし、皮脂の過剰な蓄積を抑える効果があります。さらに、イソトレチノインには炎症を抑制する作用もあるため、炎症を伴う重症なニキビの治療には特に有効です。これらの効果により、イソトレチノインは重度のニキビ治療において治療効果を発揮すると認められています。

危険すぎるニキビ治療薬と言われた訳

イソトレチノインとアキュテインの画像

イソトレチノインは発売当初では、その副作用の多さと深刻さから危険すぎるニキビ治療薬と言われました。以下の副作用は全てイソトレチノインの発売元から発表されている主な副作用です。

■精神障害

イソトレチノインは、作用機序が不明ですが、うつ病、精神病、、自殺企図、自殺、攻撃的または暴力的行動を引き起こすことがあります。そのため、イソトレチノイン治療を開始する前に、患者とその家族に精神疾患の既往歴について質問し、治療中の診察のたびに、うつ病、気分障害、精神病、攻撃性の症状がないか評価し、さらなる評価が必要かどうかを判断すべきであるとされています。

■脂質代謝異常

イソトレチノインを投与された患者約25%もが中性脂肪の顕著な上昇が報告されています。具体的には800mg/dLを超える血清トリグリセリド(中性脂肪)の上昇がイソトレチノインを投与された患者で報告されています。さらに、約15%にHDL(高比重リポタンパク質:善玉コレステロール)の減少がみられ、約7%にコレステロール値の上昇がみられたとあります。従って、血液検査による血中脂質の測定は、イソトレチノイン投与前に行うべきであり、その後、イソトレチノイン開始後4週間以内に再検査を行うべきであるとされています。

■肝機能障害

イソトレチノイン治療に関連している可能性がある肝炎が報告されています。さらに、軽度から中等度の肝酵素上昇、すなわち軽度の肝機能障害が、臨床試験中に治療を受けた人の約15%にも観察されました。

■膵炎

イソトレチノイン治療に関連している可能性がある急性膵炎が報告されています。まれですが、、致命的な出血性膵炎も報告されています。

■炎症性腸疾患

イソトレチノインは、、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)の発症に関連しています。場合によっては、イソトレチノイン治療を中止した後も症状が持続することが報告されています。腹痛、直腸出血または重度の下痢を経験した患者は、直ちにイソトレチノインを中止すべきであるとされています。

■頭蓋内圧亢進症

イソトレチノインの使用は、頭蓋内圧亢進症の多くの症例と関連しており、そのうちのいくつかはテトラサイクリン系薬剤(ミノペンなど)との併用が関与していると言われています。したがって、テトラサイクリン系薬剤との併用は避けるべきです。頭蓋内圧亢進症の初期の徴候や症状には、眼圧上昇、頭痛、悪心・嘔吐、視覚障害などがあります。

■聴力障害

イソトレチノインを服用している患者で聴力障害が報告されてます。場合によっては、治療中止後も聴力障害が持続することが報告されています。このメカニズムは不明です。

■骨への影響

イソトレチノインは、発育中の筋骨格系への影響は及ぼす可能性がありますが、これについては現在に調査中です。骨端早期閉鎖、骨粗鬆症への影響がある可能性があるとも示唆されています。

■視力障害

角膜混濁や夜間視力低下などの視力障害がイソトレチノイン治療中に報告されております。治療中止後も夜間視力低下が持続した例もあるとされています。

参照元:

Accutane Prescribing Information

イソトレチノインの性機能への影響

イソトレチノイン、一般にアキュテインとしても知られるこの薬剤は、男女双方の性機能に影響を与えることが知られています。

■イソトレチノインの女性の性機能への影響

イソトレチノイン服用により女性の月経周期に影響が出る可能性があります。特に、15歳から45歳の女性において、規則的な月経周期を持つ女性の約10.4%が、イソトレチノインの服用開始後に月経不順を経験するという研究結果があります。これらの月経不順の中で最も一般的なのは、無月経の症状です。

参照元:

The Effects of Isotretinoin on The Menstrual Cycle: A Cross-Sectional Study

■イソトレチノインの男性の性機能への影響

男性の場合、イソトレチノインの服用により性欲減退やED(勃起不全)などの問題が報告されています。これらの症状は、イソトレチノインの使用中に特に顕著になることがあります。

出典元:

Erectile dysfunction during isotretinoin therapy

イソトレチノインの最も危険な副作用

イソトレチノイン、または一般にアキュテインとして知られるこの薬剤は、重症のニキビ治療に用いられることが多いですが、その副作用の中でも特に重大なものは催奇形性です。催奇形性とは、薬剤が胎児に影響を与えて、先天的な奇形を引き起こす可能性のある性質を指します。妊娠中または妊娠を計画している女性がイソトレチノインを服用すると、胎児の正常な発達に重大な影響を与えるリスクがあり、先天性の欠陥を引き起こす可能性が高まります。さらに、男性の精子にも影響を及ぼすことから、男性も同様に注意が必要です。多くの研究により、イソトレチノインの催奇形性についてのリスクが確認されています。研究によると、胎児がイソトレチノインに曝露されると、20-35%の高いリスクで多くの先天性奇形が生じる可能性があるとされています。これには頭蓋顔面の欠損や心血管系、神経系の奇形が含まれます。イソトレチノインは皮脂腺細胞において細胞死(アポトーシス)や細胞周期の停止を引き起こし、これが催奇形作用に関連していると考えられています。このため、イソトレチノインを服用中および服用終了後の女性は少なくとも6ヶ月間、男性は2ヶ月間は避妊することが強く推奨されます。これは、薬剤の体内からの完全な排除と、催奇形性リスクの回避を確実にするためです。

イソトレチノインは危険

参照元:

Isotretinoin: Still the cause of anxiety for teratogenicity

イソトレチノインを進めない理由

イソトレチノイン(アキュテイン)は、重症のニキビ治療において一定の効果を発揮しますが、その使用には特に慎重な検討が必要です。この薬の内服期間は通常最長6か月とされ、その後最低2か月の休薬期間が必要となります。しかし、休薬期間中にニキビが再発することがしばしばあり、長期間にわたる治療が必要になる可能性があります。イソトレチノインを服用することによる副作用のリスクもまた、その使用を控えるべき理由の一つです。イソトレチノインの副作用として、脂質代謝異常が約25%、肝機能障害が約15%、月経異常が約10%の確率で発生することが報告されています。これらの高い副作用の発生率は、特に健康に影響を及ぼす可能性があることから、ニキビ治療のためにイソトレチノインを選択する際には特に十分な検討が必要です。日本の厚生労働省がイソトレチノインの使用を認可していないのも、これらの副作用のリスクを考慮した結果です。重症のニキビに対する効果が海外では認められている一方で、副作用のリスクも高いイソトレチノインの使用には、慎重な判断が求められます。

イソトレチノインについてよくあるご質問

Q:イソトレチノインはなぜ未承認なのでしょうか?

A:イソトレチノインの使用に関連する副作用の発生率が比較的高いことが、日本の厚生労働省による未承認の主要な理由と考えられます。具体的には、催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。これらの副作用のリスクが、ニキビ治療薬としての利用を見合わせる理由となっています。

Q:イソトレチノインは妊娠中も服用できますか?

A:妊娠中のイソトレチノインの使用はできません。イソトレチノインは催奇形性を持ち、妊娠中の女性が服用することで胎児に重大な影響を及ぼし、生まれてくる赤ちゃんに先天的な奇形を引き起こす可能性が高いためです。

Q:イソトロインは避妊が必要ですか?

A:はい、イソトレチノイン(イソトロイン)を使用中は避妊が必要です。イソトレチノインには催奇形性のリスクがあるため、女性だけでなく、男性も使用中は避妊をすることが求められます。

Q:イソトレチノインの避妊いつまで必要ですか?

A:イソトレチノインを服用した後の避妊は、女性の場合は6ヶ月間、男性の場合は2ヶ月間が必要です。この期間は、イソトレチノインの催奇形性リスクを考慮して設定されており、避妊を行うことで不必要なリスクを防ぐことができます。

Q: イソトレチノインで生理不順になりますか?

A:イソトレチノインを服用する女性の約10%が生理不順を経験することが報告されています。この副作用は、個人差がありますが、イソトレチノインの使用によって生じる可能性があります。

Q:イソトレチノインは危険ですか?

A:イソトレチノインは、その副作用の発生率が高いため、一部では危険な薬とされています。これが日本国内での未承認の理由の一つです。

Q:イソトレチノインの服用をやめた後はどうなりますか?

A:イソトレチノインを服用を停止すると、多くの場合、ニキビが再発することがあります。イソトレチノインはニキビの発生を抑制する効果があるため、その効果がなくなると、症状が再発しやすい傾向にあります。

Q:イソトレチノインのデメリットは?

A:イソトレチノインのデメリットは高い確率で起こる副作用と、使用を中止した場合に起こる再発です。具体的には、副作用は催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。また、イソトレチノインの使用を中止した場合は、高い確率で再発すると言われいます。

Q:アキュテイン(イソトレチノイン)中止後、 皮脂は戻りますか?

A:アキュテイン(イソトレチノイン)は、皮脂腺の活動を抑制する作用があります。そのため、薬を中止した場合、皮脂の産生は従来の状態に戻る可能性があります。このことは、イソトレチノインの効果が一時的であることを示しており、アキュテイン(イソトレチノイン)が根本的なニキビ改善にはあまり役立たないことを意味しています。

Q:イソトレチノイン、アキュテインでハゲますか?

A:イソトレチノイン(アキュテインとも呼ばれます)は、一部の患者において髪の薄毛や脱毛を引き起こす可能性があります。これは主に、イソトレチノインによるビタミンAレベルの過剰摂取や、頭皮の皮脂生産の抑制に関連しているとされています。イソトレチノインによる脱毛の発生率は約3-6%であり、治療期間が長いほど脱毛のリスクが高まります。しかし、多くの場合、治療終了後には髪の毛が再生することが報告されています。

Q:イソトレチノインの副作用で死亡例の報告はありますか?
A:イソトレチノインの副作用による死亡例については、稀なケースではあるものの、一部の情報源で言及されています。特に注目されているのは、脳圧の増加に関連する副作用です。これにより、重篤な頭痛、視力問題、永続的な視力喪失、そして極めて稀ではありますが、死亡に至るケースが報告されています。このような重篤な副作用のリスクは、イソトレチノインの使用を慎重に検討する際の重要な要因となります。

重症なニキビにアグネスがおすすめ

重症なニキビに対するアグネス治療は、特に反復するニキビのケースにおいて高い効果を発揮します。イソトレチノインのような重症ニキビ治療薬の使用が考慮される場合でも、アグネス治療は優れた代替手段となることが多いです。この治療法は、超極細の針を用いて皮脂腺を直接破壊することにより、ニキビを治療し、再発の可能性を大幅に減少させます。即効性があり、一度治療した部位のニキビが再発することはほとんどありません。外用薬や内服薬では改善が見られなかったニキビも、アグネス治療によって解決する可能性があります。副作用が懸念されるイソトレチノインの使用を検討する前に、アグネス治療の選択肢を考慮することをお勧めします。

まとめ

この記事では、重症なニキビ治療薬であるイソトレチノイン(アキュテイン)の潜在的な危険性とその副作用について詳細に検討しました。イソトレチノインは効果的な治療薬であるものの、その使用には慎重な判断が求められます。副作用のリスクが高いこと、特に催奇形性や他の健康上の問題が懸念されるため、患者様や医師はこの薬剤の使用を検討する際に十分な情報を持つことが重要です。また、イソトレチノインの代わりに、アグネス治療を選択肢として考えることも一つの方法です。アグネスは、特に繰り返すニキビに効果的で、副作用のリスクがなく、治療部位のニキビが再発しないため最善のニキビ治療地と言えます。この記事が、ニキビ治療の選択肢を検討する際の知識を深め、より安全な治療法の選択に役立つことを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

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2024/03/05

院長ブログトップ > 【ワカメで髪が増える?】髪にはたんぱく質が大事!【女性薄毛16】

【ワカメで髪が増える?】髪にはたんぱく質が大事!【女性薄毛16】

わかめは髪の毛によいのか

(第15回「カツラやウィッグ、エクステで、女性の薄毛が加速!」からの続き)

「ワカメやひじきなど海藻類を食べると髪が黒々と丈夫になる」……。すでに常識のよう に語られる、薄毛にまつわる話の数々があります。つい信じてしまいがちですが、それらは本当に正しいのでしょうか。この記事ではワカメなどの海藻類などの髪への効果と髪の成長にとって最も大切である栄養素「タンパク質」について解説します。

海藻類は確かに髪の毛にとってよい!

ワカメや他の海藻が髪の毛に良いとされる言い伝えは、実際にはいくつかの根拠に基づいています。海藻に含まれる栄養素が髪の健康に良い影響を与える可能性があるためです。ここで海藻類に含まれる栄養素をいくつか挙げます。

■ミネラルとビタミン

ワカメを含む海藻は、亜鉛、鉄、セレニウム、カルシウム、ビタミンA、ビタミンCなど、髪の健康に重要なミネラルとビタミンを豊富に含んでいます。これらの栄養素は、髪の成長を促進し、髪を強く、健康に保つのに役立ちます。

■アミノ酸:

海藻にはアミノ酸も豊富に含まれています。アミノ酸は、髪の主要成分であるケラチンの構成要素です。これにより、髪の強度と弾力性が向上します。

■脂肪酸

特にオメガ-3脂肪酸が豊富な海藻は、髪の保湿と頭皮の健康をサポートするとされています。これは、乾燥やフケを防ぎ、髪の全体的な外見を改善するのに役立ちます。

■抗酸化物質

海藻に含まれる抗酸化物質は、紫外線や環境汚染から髪を保護し、早期の髪の老化を防ぐのに役立ちます。

これらの栄養素に基づいて、伝統的に海藻が髪の健康に良いと考えられているのは理解できます。ただし、これらの効果は科学的に厳密に証明されたものではなく、また、各物質の含有量は極めて微量であったりするため、個々の栄養素がどの程度髪に直接的に影響を与えるかはまだ明確ではありません。次に、特に髪にとってよいとされる特に良いとされる亜鉛、オメガ-3脂肪酸の海藻類の含有量をみていきましょう。

海藻に含まれる亜鉛の量について

亜鉛は重要なミネラルで、多くの海藻類に含まれています。亜鉛が豊富な海藻の例として、以下のものが挙げられます。

■ヒジキ

ヒジキは亜鉛を豊富に含むことで知られています。約100gの乾燥ヒジキには約34mgの亜鉛が含まれているとされています。

■コンブ

コンブは、日本料理でよく使われる海藻で、亜鉛の良い供給源です。100gあたり約1.23mgの亜鉛が含まれています。

■ワカメ

ワカメもまた亜鉛を含む海藻の一つで、100gあたり約3.4mgの亜鉛を含んでいます。

■ノリ(Nori)

寿司の巻き物に使われるノリも亜鉛を含んでいます。100gあたりの亜鉛含有量は約1.8mgです。

ヒジキは突出して多くの亜鉛を含んでいますが、1日15mgの亜鉛が髪の成長に不可欠と言われていますので、その他海藻類については亜鉛含有量がそれほど多くありません。また、海藻を食べる際は、過剰摂取を避けるために適量を心がけることが重要です。海藻には他にもヨウ素などのミネラルが豊富に含まれており、過剰に摂取すると健康上の問題を引き起こす可能性があります。特に甲状腺機能に問題がある場合は、摂取量に注意する必要があります。

ひじきは亜鉛が豊富

オメガ-3脂肪酸の髪への作用について

オメガ-3脂肪酸は、髪の毛にとって多くの利点を提供します。これらの脂肪酸は、特に次のような方法で髪の健康に寄与すると考えられています。

■頭皮の健康の改善

オメガ-3脂肪酸は、抗炎症作用を持っているため、頭皮の炎症を減らし、フケや頭皮の乾燥を防ぐのに役立ちます。健康な頭皮は、健康な髪の成長に不可欠です。

■髪の成長の促進

オメガ-3が髪の毛包の健康をサポートし、髪の成長サイクルを改善する可能性があります。これは、より健康で強い髪の成長につながります。

■髪の輝きと強さの向上

オメガ-3脂肪酸は、髪の自然な油分のバランスを整え、髪に自然な輝きと強さを与えます。これにより、髪が乾燥して抜けやすくなるのを防ぐことができます。

■髪の損傷の減少

オメガ-3は髪の毛を保湿し、外部からの損傷(例えば紫外線や汚染物質による損傷)に対する抵抗力を高めることができます。

ただし、100g当たり乾燥ノリには数十mg、乾燥ワカメには数十mgから数百mgのオメガ-3脂肪酸が含まれている程度です。亜鉛と同様にこのように海藻類は含まれる髪の良いとされる栄養素は極めて微量であり、これだけで髪の成長を実感できることはありません。

昔から海藻類が髪の良いとされてきたのはなぜ?

ワカメやひじき、昆布など、黒い海藻類が黒々とした髪の毛のイメージと重なるうえ、 海藻類に含まれるミネラルが髪によいというのが、この説の根拠でしょう。確かに前述した亜鉛やオメガ-3脂肪酸などのミネラルやアミノ酸は髪の毛がつくられるときに必要ですし、体のためにも大切な栄養素です。ただし、それらを含む食物を摂取したからといって、その含有量が極めて微量であるため、髪の毛が丈夫になったり、増えたりすることはありません。

たんぱく質が大事

海藻類を多く摂取するよりも、しっかりと摂取したい栄養素はタンパク質です。人間の体はすべてタンパ ク質からできており、それは髪の毛も同じです。そのため、過剰なダイエットで肉や魚を食べなかったり、偏食のために避けたりするのは薄毛対策としてもNG。タンパク質をきちんととらないと薄毛の原因になってしまいます。クリニックを訪れる方々を見ていても、自覚なく偏食している女性は多いのが実態です。 具体的にはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが不足しがちで、パスタやパンなどの炭 水化物が中心の食事が薄毛の原因のひとつとなっていると考えています。

たんぱく質が髪の毛に良い理由

わかめが髪によいのか

たんぱく質が髪の成長に不可欠である理由は、髪の主要な構成成分がたんぱく質であるからです。以下に、たんぱく質が髪の成長にどのように重要であるかを分かりやすく説明します。

■髪の主成分はケラチン

髪の毛は主にケラチンというたんぱく質で構成されています。ケラチンは強度と弾力性を髪に提供し、健康な髪の外観を維持します。

■たんぱく質は髪の構築ブロック

体内で新しい髪の毛を作る際、たんぱく質は文字通りの「構築ブロック」として機能します。髪の毛を構成するためには、適切な量のたんぱく質が必要です。

■成長と修復に必要

髪の毛は常に成長し、修復されています。この過程にはたんぱく質が不可欠で、不足すると髪の成長が遅くなったり、髪が薄く弱くなったりします。

■健康な髪の外観をサポート

十分なたんぱく質を摂取することで、髪は強く、光沢があり、健康的な状態を保つことができます。たんぱく質が不足すると、髪は乾燥して脆く、容易に折れたり、分け目ができたりする可能性があります。

■食事からのたんぱく質摂取

 良質なたんぱく質は肉、魚、卵、乳製品、豆類などの食品から摂取できます。バランスの良い食事を通じて、髪の成長と健康をサポートするために十分なたんぱく質を摂取することが重要です。

参照元:

Nutrition and hair

まとめ

髪のためにも、 偏った食生活に陥らないように注意するようにしてください。たんぱく質は髪の毛を作るための基本的な素材であり、十分なたんぱく質がなければ、健康で丈夫な髪の成長は期待できません。髪の成長には、ビタミンもミネラルもタンパク質も必要だということは、つまり食生活 においては「バランスのいい食事」が大切だということです。当たり前のことですが、薄毛対策としても、いろいろな栄養をきちんと、まんべんなくとることが基本なのです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。

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2024/03/04

院長ブログトップ > 【親に強要する整形についての是非】専門医の意見として

【親に強要する整形についての是非】専門医の意見として

漫画家グラハム子の写真

2024年3月1日にアベマタイムズ(アベマ TV)で放送された「「親に整形される子供たち」二重手術の強要も…どこまで許せる?当事者と考える」は、親からの圧力による二重手術などの強要に焦点を当てた番組でした。番組内では、このデリケートな問題に対して、多角的な視点から熱心な議論が交わされました。親の意向と子供の自己決定権の狭間で、美容整形の是非について、どのような基準で考えるべきなのか、その境界線はどこにあるのか。本稿では、この問題に対して、美容外科専門医としての視点から深く掘り下げ、私なりの考察と意見を述べたいと思います。

出典元:アベマタイムズ(ABEMA TIMES)

実際の番組内容①:「子供の身体に手を加える親の思い」

親に整形させられた私が母になる

子供たちの意思を無視して、親の一方的な願いにより、顔や身体に変更を加える行為。これはどこまで容認されるべきなのでしょうか。「「親に整形される子供たち」二重手術の強要も…どこまで許せる?当事者と考える」の番組では、この問題を扱った具体的な事例として、一つの漫画を取り上げました。その漫画のタイトルは『親に整形させられた私が母になる』。この漫画は、漫画家グラハム子さんによって描かれたもので、「一重のままでは可哀想」という母親の言葉が込められています。「中学を卒業したら整形してあげるわ。女の子は可愛くなくちゃ幸せになれないから」という母親の声が漫画には登場します。グラハム子さんは、「幼い頃から、“一重はダメ、二重が良い”と教え込まれ、それが当然のこととして受け止められてしまった」と語ります。このような状況は、「あなたのためを思って」という親の言葉によって正当化されがちですが、果たして親が子供の外見に介入することは許されるのでしょうか。番組内での議論では、グラハム子さん自身も参加し、この問題について深く掘り下げていきました。

実際の番組内容②:「グラハム子さんの体験とその影響」

親に整形させられた私が母になるbyグラハム子

番組では、グラハム子さんが自身の漫画で描いた、実際に体験した出来事に焦点を当てました。彼女の幼少期は、父親が単身赴任中であり、母子二人だけの生活でした。その環境の中で、母親の言葉は絶対であり、グラハム子さんは服装や髪型に至るまで、母親の意向に従うことを強いられていました。特に顕著だったのが、15歳の時に行われた二重の整形手術です。「高校入学前の春休みに、母によって予約された整形手術を受けさせられました。私は埋没法での手術を受けたが、まぶたの構造上、結局手術は3回繰り返され、最終的には元の奥二重に戻っています」と彼女は述べています。さらに、母親によって用意された好みではない服を着させられたり、自分の好みとは異なる髪型にされたりと、自身の意志は尊重されない状況が続きました。また、ダイエットも強要され、抵抗すると服を踏みつけられるなど、精神的な圧迫も伴っていました。「美容室の予約も母が勝手に取っており、行かなければ私が責められるという状況でした」とグラハム子さんは振り返ります。このような“きせかえ人形”のような生活は、彼女に大きな苦しみをもたらし、摂食障害にも陥りました。しかし、アキレス腱を切断し動けなくなったことが、この呪縛から解放されるきっかけとなりました。「もちろん、恨んでいた時期もありましたが、大人になってからは“しょうがなかった”と受け入れられるようになりました。漫画を描くことで自分の体験を表現し、ある意味でのプチ復讐もできました。今は、過去を乗り越えて前向きに生きています」と、彼女は語っています。

実際の番組内容③:「子供の意思と親の価値観の衝突」

グラハム子の二重埋没法

番組では、親によって容姿を変えられたと訴える子供たちの声にもスポットを当てました。SNSでは「自分の好みではなく、親の好みに合わせた服装や髪型」「“痩せること=正義”という価値観に基づき、親に体型維持を強要された」「脱毛を強要されるなどの嫌悪感」などの声が見受けられます。美容に関する低年齢化の問題に加えて、子供を所有物のように扱う親の存在について、母娘関係とモラハラに精通する心理カウンセラー影宮竜也氏は指摘しました。影宮氏は、「親は自分の価値観や正義感を子供に押し付ける傾向にあります。子供をステータスとして利用することや、“あなたのため”と言っての強要、親子間の境界線の曖昧さが問題です。子供が親の提案をどう受け取るか、子供の意思がどれだけ尊重されているかが重要な議題です」と語りました。

また、金融アナリストで名古屋商科大学大学院の教授である大槻奈那氏も、容姿に関する自身の経験を共有しました。彼女は、「小さい頃、毛深いという理由で父親に脱毛のため病院へ連れて行かれました。その時は“親が自分のためを思ってくれている”と思っていましたが、医師の前での恥ずかしさに泣いてしまいました。その瞬間、“自分は気にしていない。今はやりたくない”と拒否できました。後には脱毛しても良かったかと思うこともありますが、将来取り返しのつかないこと、後戻りできないことは避けるべきだと思います」と述べています。

実際の番組内容④:「子供の自我形成と親の影響」

番組では、心理カウンセラーの影宮竜也氏が子供の自我形成についての見解を述べました。影宮氏は、「子供が自分の意思をはっきりと表現できるならば問題は起こりにくい。しかし、自己の意思を表すことが難しい子供もいるため、この点に留意する必要があります」と指摘しました。さらに、「親の言う通りに育った子供は、大人になって自分の好きなものが分からなくなることが多い。自分は何をしたいのか、と問われても答えられない。このような弊害があるため、親子であっても自分の意思をはっきりと伝えられるようになることが重要です」と述べています。

一方で、子育てや教育における正しいやり方の線引きは難しい問題です。ネット掲示板「2ちゃんねる」の創設者、ひろゆき氏は子供にとって親を比較できる環境を提供することの重要性を説いています。ひろゆき氏は、「子供には自分の環境が正常かどうか判断する基準がないため、多くの大人との接触を通じてその判断基準を持たせることが解決策だと思います。親の話をして、その反応を見ることで、状況が正常かどうかを判断できる。問題がある場合は、児童相談所などの支援を受けることも可能です。大人の知り合いがいれば、そういったアドバイスも得られるでしょう」と語りました。

子に整形を強要する親

美容外科専門医の私の意見

私が運営するクリニックでは、子供を連れて訪れる親子が頻繁に来院します。相談内容は多岐に渡りますが、特に多いのは二重まぶたの手術やわきが治療に関するものです。二重整形を望む母親からは、「この子は一重で、父親似だからかわいそう」といった言葉をよく耳にします。わきが治療の場合、親御さん自身がワキガ治療を受けた経験があるため、子供にも早めに治療を受けさせたいという意見が目立ちます。私が最も重視するのは、子供の意思です。たとえ8歳や9歳の子供であっても、私は診察時に必ずその子に治療を受けたいかどうかを直接尋ねます。本人が「受けたい」とはっきりと意思表示しない限り、たとえ親がどれだけ手術を望んでいても、私は断ることにしています。これまでに5回以上、子供の手術をこの理由で断ってきました。なぜなら、親の意志だけで手術を行うと、その手術が子供にとって精神的なトラウマになる可能性があるからです。そのようなトラウマは子供の健全な成長を妨げるリスクがあると私は考えています。そのため、私は子供が自分の意思を記憶できる年齢(概ね8歳以上)であり、かつ、自ら治療を受けたいと明確に意思表示した場合のみ手術を行う方針です。親御さんにも、お子さんがはっきりと手術を望んだ場合にのみ、その手術を受けさせるべきだと考えていただきたいと思います。

美容外科医専門医元神賢太医師

まとめ

親による子供への整形手術の強要は、単に美容の問題にとどまらず、子供の心理的な健康、成長、そして自尊心にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。整形手術は人の外見だけでなく、内面にも大きな変化をもたらす行為であり、子供の意思の尊重が何よりも重要です。このブログで私が強調したいのは、子供の意見を尊重する医師の倫理の重要性です。残念ながら、現在、クリニックの利益を優先し、子供の意見を無視して親の意向のみで手術を行う医師が存在しています。このようなモラルの低い医師の増加は、医療業界全体にとって深刻な問題です。子供の声を聞き、適切な判断を下すことで、親の一方的な押し付けによる心理的なダメージを受ける子供を減少させることが可能です。子供の健康な成長を支援し、彼らの自己決定権を尊重することが、医師としての責任であると私は強く信じています。医師一人ひとりが倫理観を持ち、子供たちの心身の健康を第一に考えることが、美容医療においても大切だと考えます。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、二重治療、わきが治療、アンチエイジング治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2024/03/03

院長ブログトップ > 【ニキビに処方される薬】おすすめの薬とその効果について

【ニキビに処方される薬】おすすめの薬とその効果について

にきびの薬で効果があるものを探している女性

2023年に日本皮膚科学会よりニキビ治療の最新のガイドラインが発表されました。ガイドラインには、日本国内で保険診療において推奨される効果的なニキビ治療薬が詳細に掲載されています。この記事では、このガイドラインに基づいて、ニキビ治療において使うべきおすすめの薬についてその効果やメカニズムなどに詳細に解説します

そもそもガイドラインとは

日本で様々な疾患に対してそれを専門とする学会があり、ガイドラインはこれらの学会が発表されています。ガイドラインは、医療の質を高め、患者さんに最適な治療を提供するために非常に重要な役割を果たしています。ガイドラインは、最新のエビデンス(研究や論文による科学的根拠)に基づいて作成され、医師や医療関係者に最新の医学知識と治療方法を提供します。これにより、保健診療において全国の異なる医療機関でも一定の質の高い治療が提供され、治療の標準化が図られます。また、ガイドラインは、治療成果や患者様の満足度などを考慮して定期的に見直され、これにより、医療の質が常に最新の科学的根拠に基づいて向上し続けることが期待されています。このように、専門学会のガイドラインは、患者さんにとって最良の治療方法を保証するための重要な手引きとして機能しています。

ニキビの最新のガイドラインとは

ニキビ(医学用語では尋常性痤瘡と言います)の最新のガイドラインは2023年に日本皮膚科学会より発表され、「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」としてネット上でも閲覧可能です。このガイドラインの中ではさまざま治療方法に対して、推奨度を決めており、その根拠になっているエビデンスに対してもエビデンスレベルを決めております。

エビデンスレベルと推奨度の分類は下記のようになっています。

■エビデンスレベルの分類

数字が小さいほど、科学的なエビデンスの信用度が高いことを意味します。

I: システマティックレビュー,メタアナリシス

II :1つ以上のランダム化比較試験

III:非ランダム化比較試験(統計処理のある前後比較 試験を含む)

IV:分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究)

V: 記述研究(症例報告や症例集積研究)

VI: 専門委員会や専門家個人の意見

■推奨度の分類

A :‌行うよう強く推奨する(少なくとも 1 つの有効性 を示すレベル I もしくは良質のレベル II のエビデンスがある).

A*:行うよう推奨する(A に相当する有効性のエビデンスがあるが,副作用などを考慮すると推奨度が 劣る).

B ‌:行うよう推奨する(少なくとも 1 つ以上の有効性 を示す質の劣るレベル II か良質のレベル III ある いは非常に良質の IV のエビデンスがある).

C1 ‌:選択肢の一つとして推奨する(質の劣る III~IV, 良質な複数の V,あるいは委員会が認める VI のエビデンスがある).

C2:十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない (有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある).

 D: 行わないよう推奨する(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)

出典元:

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023

ニキビのガイドラインで推奨度Aの塗り薬

「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」においてすべてのニキビ(炎症性皮疹と面皰)に対して推奨度Aの塗り薬は主成分が過酸化ベンゾイルとアダパレンの2つのみです。この2つが塗り薬ではおすすめの処方薬となります。

■過酸化ベンゾイルとは

ニキビに効くベピオゲル

過酸化ベンゾイルを主成分とする塗り薬ではベピオゲルが先発医薬品で、2015年に発売された比較的新しい処方薬です。過酸化ベンゾイルはニキビ治療に広く用いられる外用薬で、以下に、その主な特徴を詳しく説明します。

抗菌作用: ベピオゲルはニキビの主要な原因菌でアクネ菌に対して強力な抗菌効果を発揮します。この薬剤は皮脂腺内で分解され、強い酸化剤として作用し、バクテリアの細胞壁を破壊します。

角質層の軟化と剥離: 過酸化ベンゾイルは角質層を軟化させ、古い角質を除去する効果があります。これにより、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの形成を予防すると同時に、既存のニキビの治療を促進します。

抗炎症作用: 過酸化ベンゾイルには炎症を軽減する作用があります。これは、炎症を引き起こす因子の生成を抑制することにより、ニキビに伴う赤みや腫れを減少させます。

皮脂生成の抑制: 一部の研究では、ベピオゲルが皮脂腺の活動を抑制し、皮脂の過剰な生成を減らす可能性が示唆されています。

使用上の注意点としては、過酸化ベンゾイルは肌に対して刺激が強いため、使用初期には乾燥、赤み、はがれ、痒みなどの副作用が発生することがあります。これらの症状は通常、使用を続けることで徐々に軽減されますが、重度の刺激やアレルギー反応が現れた場合には使用を中止し、医師の診察を受けることが重要です。また、過酸化ベンゾイルは布などを漂白する性質があるため、使用時には衣類やタオルなどに注意が必要です。以上のように、ベピオゲルはその抗菌作用、角質層の軟化・剥離効果、抗炎症作用、および皮脂生成の抑制効果により、ニキビ治療において重要な役割を果たします。

■アダパレンとは

ディフェリンゲルのにきび薬

アダパレンを主成分とする塗り薬ではディフェリンゲルが先発医薬品で、2008年に日本国内では発売されました。ディフェリンゲルは、ニキビ治療に用いられる外用薬の一種で、エビデンスに基づいたそのメカニズムや効能について、以下のように説明します。

レチノイド作用: アダパレンは合成レチノイドであり、ビタミンAの誘導体です。この薬は、細胞の成長と分化に関わるレチノイド受容体に作用します。特に、ディフェリンゲルは特定のレチノイド受容体に選択的に結合することで、皮膚の角質層の正常化を促進し、毛穴の詰まり(コメド)の形成を防ぎます。

抗炎症効果: アダパレンには、ニキビの炎症を減少させる効果があります。これは、炎症を引き起こす細胞因子の活動を抑制することによるものです。これにより、ニキビによる赤みや腫れを軽減します。

角質層の正常化: ディフェリンゲルは、皮膚の角質層の剥離を促進し、毛穴の詰まりを解消します。これにより、コメドの形成を防ぎ、既存のコメドを除去する助けとなります。

皮脂腺活動の調節: いくつかの研究では、アダパレンが皮脂腺の活動を調節し、皮脂の過剰な分泌を抑える可能性が示唆されています。

使用上の注意として、アダパレンの初期使用では、皮膚の乾燥、赤み、痒み、刺激感などが起こることがありますが、これらは通常、使用を続けることで時間と共に減少します。また、アダパレンは光に敏感なので、使用中は日焼けを避けるか、日焼け止めを使用することが推奨されます。また、妊娠中や授乳中の女性には使用を避けるか、医師の指導の下で使用することが重要です。以上のようにディフェリンゲルは、その角質層の正常化作用、抗炎症効果、および皮脂腺活動の調節により、ニキビ治療において効果的な薬剤とされています。

ニキビのガイドラインで推奨度Aの飲み薬

額のにきびの治療薬とは

「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」において飲み薬が推奨度Aを得ているのはニキビが炎症性皮疹(赤ニキビと黄ニキビ)の場合のみで、その薬もドキシサイクリン、ミノサイクリンのみです。この2つが飲み繰りではおすすめの処方薬となります。

■ドキシサイクリンとは

ドキシサイクリンは、ニキビ治療に使用されるテトラサイクリン系の抗生物質の一つです。ドキシサイクリンは、ニキビの主要な原因菌であるアクネ菌に対して強力な抗菌効果を示します。この薬は細菌のタンパク質合成を阻害し、その増殖を抑制します。これにより、アクネ菌の数を減少させ、ニキビの発生を抑制します。ドキシサイクリンには、ニキビの炎症を抑制する効果があります。炎症はニキビの赤みや腫れの原因であり、この炎症を抑えることで、ニキビの症状を軽減することができます。一部の研究では、ドキシサイクリンがコメドの形成を抑制する可能性が示唆されています。コメドはニキビの初期段階であり、これを抑制することでニキビの進行を防ぐ効果が期待されます。使用上の注意点として、ドキシサイクリンは光線過敏症(日光に対する過敏反応)を引き起こす可能性があるため、日焼けを避けることが推奨されます。また、胃腸障害やめまいなどの副作用が起こることがあるため、医師の指示に従って使用することが重要です。

■ミノサイクリン(ミノペン🄬)とは

ミノサイクリン(商品名:ミノペン)もドキシサイクリンと同様に、ニキビ治療に使用されるテトラサイクリン系の抗生物質です。ミノペンは、ニキビの原因となるアクネ菌(に対して強力な抗菌効果を持っています。この薬は、細菌のタンパク質合成を阻害し、その増殖を抑制することで、ニキビの原因菌の数を減らします。この薬は、ニキビに伴う炎症反応を抑える効果も持っています。炎症はニキビの赤みや腫れを引き起こす主要な因子であるため、この作用はニキビの症状を軽減します。ミノサイクリンによるアクネ菌の増殖抑制と炎症抑制により、ニキビの進行を防ぐ効果があります。特に、毛穴に詰まった皮脂が悪化して感染を引き起こす中等症から重症のニキビに有効です。使用上の注意点として、ミノペンは、副作用として光線過敏症(日光に敏感になること)、胃腸障害、めまいなどが報告され

その他のニキビの塗り薬と飲み薬について

推奨度Aの薬はこれまで紹介した4つ(塗り薬2つ、内服薬2つ)のみです。ただ、ニキビの薬はその他にもたくさんあります。それぞれの推奨度と合わせて簡単に解説します。

■ニキビの塗り薬

外用抗菌薬(クリンダマイシン,ナジフ ロキサシン,オゼノキサシン)は炎症性皮疹(赤ニキビと黄ニキビ)に対しては推奨度A、面皰(白ニキビ、黒ニキビ)に対しては推奨度C2で推奨しないとされています。

非ステロイド系抗炎症外用薬(イブプロフェンピコ ノールクリーム)は炎症性皮疹(軽症から中等症)に対しては推奨度C1で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

ステロイド外用薬は推奨度C2であり、炎症性皮疹に対してはステロイド外用を推奨しないとされています。

アゼライン酸外用は保険適用外の外用剤ですが、推奨度C1 で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

ビタミン C 外用(テトラヘキシルデカン酸 アスコルビルと L-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム の外用)は炎症性皮疹、炎症後の紅斑に使用されますが、保険適用外のためC2という判断です。

イオウ製剤外用はC1で、選択肢の一つとして推奨される場合があります。

■ニキビの飲み薬

ドキシサイクリン/ミノサ イクリン以外の抗生剤についてですが、炎症性皮疹に対してロキシスロマイシン/ファロペネムは推奨度B、テトラサイクリン/エリスロマイシン/クラリスロマイシン/レボフロキサシン/トスフロキサシン /シプロフロキサシン/ロメフロキサシン/ セフロキシムアキセチルは推奨度C1です。(抗生剤は面皰に対しては適用がありません)

漢方薬については荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯は炎症性皮疹に対しては推奨度C1で、黄連解毒湯,温清飲,温経湯,桂枝茯苓丸は炎症性皮疹に対してはC2です。面皰(白ニキビ、黒ニキビ)に対してC1は荊芥連翹湯のみで、その他すべての漢方薬はC2で推奨しないとされています。

ステロイド内服、DDS(diaminodiphenyl sulfone、dapsone)内服、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)内服はC2で推奨しないとされています。

経口避妊薬(いわゆるピル)はC2で推奨しないとされています。

スピロノラクトンはC2で推奨しないとされています。

ビタミン薬内服はC2で推奨しないとされています。

まとめ

本記事では、日本国内で保険診療におけるニキビ治療に用いられる薬剤について、最新の使用法と正しい知識を総合的にご紹介しました。特に、過酸化ベンゾイルとアダパレンという二種類の塗り薬、ドキシサイクリンとミノサイクリンという二種類の飲み薬は、その効果と安全性に基づき、特に推奨されており、おすすめの処方薬です。一方で、漢方薬を含む他の薬剤については、現時点ではエビデンス(科学的根拠)が不十分であり、一概に推奨することは難しいと言えます。しかし、これらの薬剤がニキビ治療に無効であるわけではなく、患者様個々の状態に応じて、医師の判断で効果的に用いられる場合もあります。この記事が、ニキビ治療薬に関する皆様の理解を深め、適切な治療選択の一助となれば幸いです。ニキビ治療における薬剤選択に際しては、その薬がガイドラインにおいてどのような位置づけであるかを理解することが非常に重要です。皆様のニキビ治療への知識が一層深まることを願っています。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

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2024/03/02

院長ブログトップ > 【プロアクティブにあまり効果がない理由】商品は悪質?

【プロアクティブにあまり効果がない理由】商品は悪質?

村上信五を宣伝に使用するプロアクティブ

ニキビのホームケア商品としてプロアクティブが有名です。プロアクティブは、その宣伝において著名人を起用し、特に旧ジャニーズ事務所の村上信五さんのような人気タレントの効果的な使用例を前面に出しています。彼の肌の顕著な改善は、多くの注目を集め、製品の魅力を伝える強力なメッセージとなりました。しかし、インターネット上でのユーザーレビューを見ると、この製品に対する満足度は必ずしも一様ではないようです。本稿では、プロアクティブの成分と効果に焦点を当て、ニキビケアにおけるその実効性について詳しく探求します。また、なぜこの製品が一部のユーザーにとって効果的でない可能性があるのかについても考察を加えます。

プロアクティブの歴史

プロアクティブ(Proactiv)は、アメリカの皮膚科医Katie RodanとKathy A. Fieldsにより開発されたスキンケアブランドで、1995年にダイレクトマーケティング会社Guthy-Renkerによって発売されました。プロアクティブ(Proactiv)は日本で言うテレビショッピングであるインフォマーシャルという形式で販売を開始し、インフォマーシャルを通じて広く知られるようになりました。また、米国内で多くの著名人を宣伝に起用し、世界中の消費者から注目を集めました。その成功の要因は、医薬品を混合するという革新的な製品開発と著名人を利用したマーケティング戦略にあります。また、洗顔料、トナー、ローションを組み合わせた3ステップケアが特徴で、これにより本来原価が安い洗顔料だけで十分な商品にさらに商品を2つ上乗せして付加価値をあるように見せて、高い値段設定にしました。これが大きな利益を生みました。日本市場では2003年からの展開が始まり、日本の薬事法に合わせた製品開発が行われています。プロアクティブは、その発売以来、その巧みな宣伝戦略により、ニキビケア製品の中でも特に認知度が高いブランドとしての地位を確立しています。ジャスティンビーバーを宣伝に使っているプロアクティブ

↑ジャスティンビーバーを宣伝に使っているプロアクティブの過去ホームページ

アメリカ版プロアクティブの成分とその効能

アメリカ版プロアクティブには「過酸化ベンゾイル(BPO)」が有効成分として使用されています。「過酸化ベンゾイル(BPO)」は、ニキビ治療において一定の効果を発揮する成分です。この成分は、日本国内では医薬品に分類されており、ニキビ治療用の外用薬「ベピオゲル」にも含まれています。ベピオゲルは、2015年より尋常性ざ瘡(一般的にニキビと呼ばれる状態)の治療薬として、保険適用の下で処方されるようになりました。過酸化ベンゾイルの特長は、顔のニキビを引き起こす主要因であるアクネ菌に対し、抗菌作用を発揮することにあり、その結果、多くのニキビ治療において効果を見せています。さらに、2017年にはプロアクティブMD(ProactivMD)という商品ががアダパレンを配合して発売されました​​。アダパレンも過酸化ベンゾイルと同様に日本では医薬品で、ディフェリンゲルという商品名で処方されています。

アメリカ版プロアクティブの有効成分の過酸化ベンゾイルやアダパレンとは

アメリカ版プロアクティブに含まれる過酸化ベンゾイルやアダパレンは、ともに尋常性痤瘡(一般的にニキビと呼ばれる状態)治療において、日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」で高い推奨度を得ている成分です。このガイドラインにおいて、過酸化ベンゾイルとアダパレンはともに「行うよう強く推奨する」カテゴリーのAランクに位置付けられています。私自身、日々の臨床でニキビ患者に対して直接ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)やディフェリンゲル(アダパレン)を処方することもありますが、その効果は診察の中で明らかに見て取れます。日本では医療用薬品として扱われるこの成分が、アメリカ版プロアクティブに含まれていることは大きな驚きです。過酸化ベンゾイルの効能は、発売当初のアメリカ版プロアクティブの売れ行きにも大きく寄与しており、プロアクティブの人気は日本市場にも波及し、こちらでも発売されるに至りました(ただし、違う日本版は違う成分)。

日本版プロアクティブはサリチル酸

日本版プロアクティブとアメリカ版プロアクティブの間で最も顕著な差異は、それぞれの製品に含まれる主要な有効成分にあります。アメリカ版には過酸化ベンゾイル(BPO)が含まれていますが、日本版プロアクティブではその成分を使用しておらず、代わりにサリチル酸が主要成分として採用されています。サリチル酸は皮膚ケア製品において広く使用される成分で、特にピーリング石鹸などの製品で見られます。この成分は、古い角質層や余分な皮脂を取り除くことによって、新しい肌細胞の生成を促します。その結果、肌のトーンを明るくし、ニキビや黒ずみなどの皮膚トラブルの改善に効果を発揮すると言われています。

プロアクティブの3ステップ

↑日本のプロアクティブホームページに掲載されている3ステップの商品

出典元:

プロアクティブオームページ

日本版プロアクティブに含まれるサリチル酸の特徴とその効果

日本版プロアクティブに配合されているサリチル酸は、医療機関や美容皮膚科においてニキビ治療に広く用いられている成分です。特に、ケミカルピーリングの主要成分としての役割を担っています。ただし、ケミカルピーリングに使用されるサリチル酸は、石鹸などの日常的な皮膚ケア製品に配合されるものと比較して、はるかに高濃度です。この濃度の差が、その効果に大きな影響を与えます。さらに、サリチル酸の効果は個人差が非常に大きいという点が特筆すべきです。ある人には顕著な効果がある一方で、別の人にはほとんど効果がない場合もあります。このため、日本皮膚科学会が発表している「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、サリチル酸を使用したケミカルピーリングの推奨度はC1(治療の選択肢として考慮されるレベル)とされています。一般に市販されているピーリング石鹸に含まれるサリチル酸の濃度は、医療用のケミカルピーリングに比べて格段に低いです。市場には「スキンピールバー ハイドロキノール(サンソリット)」や「フォトホワイトC ホワイトソープ(ドクターシーラボ)」など、多くのピーリング石鹸が存在しますが、これらの製品もまた、効果を実感する人とそうでない人の間で大きな差があるのが現実です。

日本版プロアクティブの効果

日本市場において販売されている日本版プロアクティブは、その主成分としてサリチル酸を含んでいます。この点において、市場に存在する他のサリチル酸を含むピーリング石鹸製品との間に顕著な効果の差異は認められません。つまり、日本版プロアクティブの効果を実感する人がいる一方で、全く効果を感じられないという声も少なくないのです。特に、アメリカ版プロアクティブの大きな成功とその反響を背景に、多くの消費者が日本版に対して高い期待を抱いていました。しかし、肝心の効果に関しては、これらの期待とは異なる結果となることがあります。この違いの根底には、アメリカ版と日本版プロアクティブの成分の相違があります。アメリカ版の主成分である過酸化ベンゾイル(またはアダパレン)と、日本版のサリチル酸では、その作用機序や効果に大きな違いがあるため、同等の結果を期待することは難しいのです。この事実は、消費者にとって大きな落胆の原因となり得ますが、それは製品の成分の違いに基づくものであり、その効果の範囲や限界を理解することが重要です。したがって、日本版プロアクティブを使用する際には、これらの点を踏まえた上で、現実的な期待を持つことが肝要と言えるでしょう。

プロアクティブは悪質?

プロアクティブに関して、市場で見られるその価格設定には一定の疑問が持たれています。この製品の主要成分であるサリチル酸は、原価が比較的安価なピーリング石鹸に含まれる成分です。プロアクティブは、この一つの成分を含む製品を3つの異なる商品(洗顔料、化粧水、クリーム)に分割し、それぞれに特別な効果があるかのように宣伝しています。この戦略により、本来安価な成分を使用しながら、製品全体としては高価な価格設定をしているという点が指摘されています。しかし、化粧品市場においては、ブランド価値やマーケティング戦略が製品価格に大きな影響を与えることは一般的です。そのため、プロアクティブの価格が高いからといって、直ちに製品が悪質であると断じることはできません。消費者には、製品の価値が価格に見合っているかどうかを自身で判断し、購入の決断を下す権利があります。

まとめ

美容外科医専門医元神賢太医師

この記事を通じて、日本市場におけるプロアクティブの特徴と効果について詳細に解説しました。プロアクティブに含まれるサリチル酸は、一定の効果を持つことは間違いありません。この点を踏まえ、プロアクティブ製品自体を全面的に否定する意図はありません。しかしながら、多くの著名人がメディアやCMを通じて「プロアクティブだけでニキビが劇的に改善した」というメッセージを発信することについては、専門家の立場から見過ごすことはできません。プロアクティブが一部の人にとって効果的である可能性はありますが、それが万人に当てはまるわけではありません。この記事を読むことで、プロアクティブに関する正確な情報と、現実的な期待を持つことができたのであれば、これ以上の幸せはありません。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

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日本のプロアクティブは成分が違うから、ニキビが治りにくい?

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2024/03/01

院長ブログトップ > 【代償性発汗だけではない後遺症】ETS手術で後悔しないために

【代償性発汗だけではない後遺症】ETS手術で後悔しないために

代償性発汗の実態

手汗や脇汗の過度な発汗に苦しむ方々にとって、ETS手術はしばしば最終的な救済手段として考えられがちです。しかし、この手術がもたらす危険な副作用や後遺症には、広く知られる代償性発汗のみならず、他にも多数のリスクが存在します。特に、ETS手術後に代償性発汗という後遺症に悩まされて手術を後悔される患者さんは少なくありません。代償性発汗はしばしば手術前に感じていた多汗症の苦しみを上回ることさえあるのです。さらに、ETS手術には代償性発汗以外にも、様々な深刻な副作用・後遺症が報告されています。このようなリスクが存在するにも関わらず、日本国内でのETS手術の実施件数は年々増加傾向にあります。本記事では、危険とも言えるこのETS手術がもたらす様々な副作用・後遺症やそれに伴う苦悩を、客観的な視点から詳細に解説し、これからETS手術を検討されている方々への注意喚起となることを目指しています。私たちの健康は何よりも大切です。したがって、どのような治療を選択するにしても、そのリスクと利点を十分に理解し、慎重な判断が求められます。

ETS手術とは

1ETS手術、すなわちEndoscopic Thoracic Sympathectomyは、医学用語で胸腔鏡下胸部交感神経遮断術と呼ばれます。この手術は原発性局所多汗症、特に手のひらや脇の下など特定部位の重度な発汗をコントロールするための外科的治療法として知られています。日本では1996年4月に健康保険の適用範囲となり、それ以降、国内での実施件数が急増しました。ETS手術は、発汗をコントロールする役割を持つ交感神経を特定の部位で遮断することにより、過度の発汗を抑制するという治療原理に基づいています。この手術方法は長い歴史を持ち、多くの患者にとって一定の効果をもたらしてきました。しかし、手術によって遮断された神経経路は元に戻すことができないため、この手術の効果も副作用も恒久的です。

そんな大事な神経を切るETS手術は危険ではないのか?

ETS手術の過程で、交感神経幹という生命維持に重要な自律神経の一部が切断されます。この手術で選択的に遮断される交感神経は、木の枝のように本幹から伸び、私たちの体が自動的に機能するために不可欠な役割を果たしています。自律神経系は交感神経と副交感神経の二つから構成され、これらは常に互いにバランスを取り合いながら無意識のうちに働いています。このバランスによって、私たちの身体は機能的に生きることが可能です。交感神経は、ストレスや危険に直面した際に体を活発化させる役割を担います。活動時には心臓の鼓動が速くなり、血圧が上昇し、筋肉への酸素と栄養の供給を増やすために血流が増加します。また、交感神経は発汗を促進し、体温の調節にも寄与しています。一方で、副交感神経は「休息と消化」に関連があります。この神経は体をリラックスさせ、心臓の拍動を遅くし、消化を助けるなど、体を落ち着かせる役割を果たします。食事をした後に眠くなるのは、副交感神経が活動して体をリラックスさせているからです。ETS手術では、このように体の自動制御にとって非常に重要な片方の自律神経の一部を遮断して、発汗機能をコントロールする手術です。しかし、ここで重要な疑問が生じます。「そんな大事な神経を切るETS手術は危険でないのか?」という疑問です。発汗機能の制御以外にも多くの生理的役割を担う交感神経を切断することは本当に安全なのでしょうか?後遺症は起きないのか?特に発汗の抑制のみを目的に、このように重要な神経を切断することについては、私はこれまで常に疑問が感じていました。

代償性発汗という苦しみ

代償性発汗の実態

↑代償性発汗により衣服が常にびしょびしょになっている状態

胸腔下交感神経遮断術(ETS手術)の潜在的な副作用・後遺症として、代償性発汗、味覚性発汗、ホルネル症候群などがありますが、中でも代償性発汗はその深刻さと発生率の高さから特に注目される後遺症です。代償性発汗は、手術によって発汗が抑制された部位以外の場所、例えば背中、腹部、足などで、異常な発汗が生じる現象を指します。代償性発汗の発症率は症状の強弱を除けば、ほぼ100%と言われており、症状の強弱もETS手術前にその程度を予測することは困難です。特に、重症の代償性発汗に悩まされる患者は10%以上にのぼるという報告もあります。重症の代償性発汗では、胸部以下の皮膚からの汗が止まらず、服が常に湿っている状態が続きます。このような状況では、発汗による脱水症状が頻繁に生じ、日常生活に甚大な影響を及ぼします。

代償性発汗は100%

↑字幕注視。ETS手術を多く行うクリニックの動画内でも代償性発汗は100%起こることを断定しています(youtubeより抜粋)

ETS手術ではこの代償性発汗という副作用・後遺症が発生する可能性がほぼ100%である点、そしてその重症度が予測不可能という点から、ETS手術を受けるかどうかを慎重に考える必要があります。重度の代償性発汗は単なる汗の問題ではなく、患者の生活の質を大きく低下させる深刻な副作用です。私はこのような重度の副作用が起こり得ることが予測不能なETS手術な危険手術と言えます。私は断固としてETS手術は受けるべきではないと考えます。

交感神経切断後の深刻な影響:多岐にわたる後遺症

交感神経は、単に発汗を制御するだけでなく、私たちの身体の多様な機能に影響を与える重要な神経です。ETS手術によるこの神経の切断は、発汗を止める目的だけではなく、体の自律的な制御に深刻な影響を及ぼす可能性があります。この重要な事実を踏まえると、その安全性に関しては医学的な知識を有する者であれば、誰もが疑問を抱くでしょう。ETS手術の副作用・後遺症としてよく知られる代償性発汗、味覚性発汗、ホルネル症候群は、手術施設で説明される一般的な副作用ですが、実際にはこれら以外にも多くの後遺症が発生する可能性があります。これらは交感神経という体の重要な神経を切断することに起因する副作用で、自律神経失調症とも言える状態になります。以下は、台湾の林口長庚病院 が公表した、ETS手術後に起こり得る様々な自律神経失調症とも言える後遺症の一部です。

髪:髪の乾燥、抜け毛

皮膚:皮膚のかゆみ、皮膚炎、顔の赤み、手足の赤み

目:眼精疲労、目やに、ドライアイ、羞明、夜盲症

耳:耳鳴り、耳閉感

喉:口の乾き、味覚障害、口腔潰瘍、のどの痛み

体温調節機能:冷たい手足

熱感覚:顔や首、胸、上下肢の熱さ

汗の問題:顔、首、胸、腹部、臀部、大腿、ふくらはぎ、足の発汗、ドライハンド(両手)

感覚異常:手足の感覚異常

精神障害:注意散漫、記憶障害、現実感の喪失、やる気の喪失、不安、憂鬱、不眠、疲労、頭痛、めまい

消化器系:胃痙攣、胸の灼熱感、食欲不振、下痢、腹鳴、満腹感、吐き気、消化不良

呼吸器系:呼吸困難、胸苦しさ、胸骨圧迫感

心血管系:動悸

筋骨格系:筋力低下、関節痛、ヒリヒリ感、骨粗鬆症、関節炎

泌尿生殖器系:頻尿、排尿障害、会陰部のかゆみ、腎尿管膀胱結石、男性の勃起不全、遅漏、インポテンツ、女性の月経困難症

これらの多岐にわたる後遺症は、ETS手術の重要なリスク要因として理解されるべきです。交感神経切断後の影響は単に発汗の問題に留まらず、身体のさまざまな機能に及ぶことが明らかです。

出典元:

長期的な視点から見たETS手術の隠された副作用・後遺症

ETS手術の副作用・後遺症に関するデータは、多くの医療機関や医学論文によって公表されていますが、これらの情報は主に術後2年間の短期的な追跡調査に基づいています。しかし、交感神経を切断するETS手術による副作用・後遺症は、術後数年、場合によっては10年後といった長期間経過した後に初めて顕著に現れることがあります。術後の短期間には患者の満足度が高いことも多いですが、時間が経過し、新たな健康問題が発生しても、これを手術との関連性を否定する医療機関が存在する場合、公表されるデータは実際のリスクを反映していない可能性があります。このような現状は、ETS手術の長期的な副作用・後遺症の実態を見落とす原因となり、医療機関からの報告によって手術の成功率や満足度が誤って高く評価されることにつながりかねません。

ETS手術の決断に伴う後悔の実態

病院外の独立した調査によると、SNSを通じて行われた患者自身の声から明らかになるETS手術に関する後悔率は、驚くべきことに約90%にも上ります。これは、ETS手術後に満足している患者がわずか10%未満であることを示唆しています。多くの国では、ETS手術に伴う予測不能な副作用・後遺症のリスクが高すぎると判断され、危険な手術として禁止または制限が行われています。ETS手術の発祥地であるスウェーデンでは、2003年に数多くの患者からの苦情を受けて法的に禁止されました。台湾では2004年以降、20歳未満の患者への施術が厳しく制限され、実質的には行われていません。日本国内でも、ETS手術を受けた多くの人々が、その後遺症により学業や職業を断念し、障害年金や生活保護の申請に至るケースが増えています。過去には、ETS手術に関連した医療訴訟が少なくとも十数件発生しており、訴訟の対象となった医療機関の多くは手術の実施を中止しています。

ETS手術以外のよい治療法

精神性発汗に悩む女性

原発性局所多汗症、例えば頭汗、手汗、足汗の過度な発汗に対処するための効果的かつ安全な治療法として、ボトックス注射が広く推奨されています。ボトックス注射は、ETS手術のように治らないような代償性発汗のリスクは全くなく、手軽かつ効果的な選択肢です。施術時の痛みがボトックスの一般的な懸念事項ですが、私のクリニックでは、10分間の全身麻酔によるマスク麻酔法を用いることで、患者様が痛みを感じることなくボトックス注射を受けられるよう配慮しています。ボトックス注射の効果は通常、約6ヶ月間続きますが、定期的な治療を受けることでその効果期間が延長する可能性があります。ボトックスは神経伝達を一時的にブロックし、注入部位の発汗を完全に抑制することで、日常生活における不快感や社会的な影響を軽減します。

それでもETSを受ける決断した場合

代償性発汗やその他の副作用のリスクを考慮して、それでも危険なETS手術の選択を検討する際は、最新の医療情報に注意することも重要です。近年、代償性発汗の発生率を低減するために、一部の医療機関では片側のみのETS手術を推奨しています。これらの施設では、片側手術における重症代償性発汗の発生率が非常に低いとの見解を示しています。また、この手法を支持する医学論文も出版されており、同様の理由から片側のみのETS手術が提唱されています。私自身はETS手術の実施に反対する立場を取っていますが、万が一ETS手術を受けると決断された場合は、利き手側のみの手術を選択することを考慮することをお勧めします。片側のETS手術は、重度の代償性発汗のリスクを低く抑える可能性があります。それでもなお、ETS手術はリスクが伴うことを十分に理解し、全ての可能性を慎重に検討した上で、最終的な判断を下すことが重要です。

【代償性発汗への対応】2つの有効な治療方法

ETS手術後に代償性発汗に悩まされている方にとって、以下の2つの治療法が最も効果的です。

1.ボトックス注射

ボトックス注射は、その効果が多くの医学論文によって確認されています。代償性発汗に苦しむ患者に対して、この治療法は最も効果的な解決策として認められています。治療を受けた患者のほぼ100%がボトックス治療に満足しているとの報告があり、その信頼性と手軽さから、私自身も代償性発汗の治療においてボトックス注射を第一選択肢として推奨しています。

出典元:

Compensatory Hyperhidrosis After Non-Surgical Treatment of Primary Focal Hyperhidrosis: Two-Year Single-Centered Prospective Study From Jordan. Jihan Muhaidat, Firas Al-qarqaz, and Diala Alshiyab 

2.リバーサル手術

リバーサル手術は、切断された交感神経を代替の神経で再接続し、機能を復活させる治療法です。この手術は日本国内ではおそらく行っている施設はなく、主にフィンランドと台湾で実施されています。台湾の桃園市にある林口長庚病院では、使用される神経の移植元としては、ふくらはぎの腓腹神経や人工神経が選ばれています。この手術では、切断された交感神経にこれらの神経を接続し、交感神経の機能をバイパスすることで、代償性発汗の症状を緩和します。

出典元:

台湾の代償性発汗に対するリハーサル手術youtube動画

まとめ

最近、アベマTVで取り上げられたこともあり、手掌多汗症に対するETS手術が注目を集めていますが、このブログを通じて、代償性発汗だけでなく、ETS手術に伴う多くの危険なリスクが存在することを広く理解していただければと思います。重症の代償性発汗やその他の副作用・後遺症により、日常生活が根底から覆されるような事態に陥る可能性もあるため、ETS手術には慎重な検討が必要です。XやFacebook等の各SNSで「ETS手術後遺症」などを検索すると実際にETS手術の後遺症に苦しむ患者様の生の声が聞こえますので、是非参考にしてください。このような日常を破綻させてしまうような合併症を引き起こす可能性があるETS手術は受けるべきでないですし、医療機関は行うべきではないと私は考えます。代わりに、ボトックス注射やビューホット治療等を考慮することで、ETS手術のリスクを避け、多汗症の症状を安全に管理することが可能です。このブログが、多汗症に悩む方々にとって有益な情報となり、より安全で効果的な治療選択につながることを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。手掌、足底、顔面、頭部の原発性多汗症に対して、マスク麻酔を併用した無痛のボトックス注射を日本で初めて行っている。また、わきが多汗症の治療器のビューホットを日本にいち早く導入し、これまでワキガ、スソワキガ、多汗症の治療例はこれまで延べ1万人を超える。

【関連項目】

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2024/02/29

院長ブログトップ > 【胸・デコルテにできる様々なブツブツ】原因と対策と治療法

【胸・デコルテにできる様々なブツブツ】原因と対策と治療法

胸・デコルテのニキビ、ブツブツの予防方法

女性の胸やデコルテに現れる様々なブツブツは、ただの肌のトラブルに留まらず、自信を失わせることもあります。これらは、しばしば視覚的な不快感を引き起こし、社交的な場面における自己表現や男性との交流にも影響を及ぼすことがあります。この記事では、女性の胸周囲やデコルテに出現するこれらのブツブツの原因を深く掘り下げ、効果的な対策と治療方法を詳細に解説し、皮膚の健康と美しさを保つためのヒントを提供します。

女性の胸周囲にブツブツがたくさんできる理由

女性のデリケートな胸周囲やデコルテにおいて、多く見られるブツブツの発生には、その特有の環境要因が深く関わっています。このような環境要因の中でも、特にブラジャーの使用による影響が大きいと言えるでしょう。特に、サイズが合っていない下着は、谷間やアンダーバスト(下乳)に不必要な摩擦を引き起こし、その結果、イボやニキビといった船のブツブツの一因となります。また、バスト自体が皮膚トラブルを起こしやすい特性を持つことも、胸のブツブツが頻繁に発生する原因の一つです。特に、女性の胸の谷間部分は、他の部位と比べて発汗が多く、温度と湿度が高い状態になりがちです。このような高温多湿の環境は、「胸にきび」の主原因とされているマラセチア(一種のカビ)の増殖を促し、あせもの発生を引き起こすことがあります。

胸・デコルテにできるブツブツや肌のトラブルの種類

胸部に生じる様々なブツブツや皮膚のトラブルには、いくつかの顕著なタイプがあります。これらには、「胸にきび」として知られるもの、発汗による「胸のあせも」、色の異なるイボ(「茶色のイボ」や「赤いイボ」)などが含まれます。さらに、「胸汗によるトラブル」という形で現れる悩みも見受けられます。以下より、これらの各トラブルについて、一つ一つ丁寧に詳細を解説していきます。特に、これらの皮膚トラブルがどのようにして発生するのか、その特性や原因を深く掘り下げ、理解を深めることが重要です

■胸ニキビ

胸のデコルテのニキビの正体とは
胸やデコルテに現れるニキビ、一般に「胸ニキビ」と称される状態は、真菌性ニキビ(マラセチア毛包炎)であることが多く、これは顔に現れる一般的なニキビとは異なる特徴を有します。この真菌性ニキビの原因は、皮膚に常在するマラセチア真菌が毛穴内で過剰に増殖し、それに伴う炎症によるものです。胸元は、下着による摩擦やその締め付けによって毛穴が損傷したり、下着と皮膚との間の高温多湿な環境が形成されやすいため、このような真菌(マラセチア)が増殖しやすい状況となります。これらの要因が複合的に作用し、胸やデコルテにマラセチア毛包炎という特有のニキビが発生するのです。

■胸のあせも

胸部とデコルテ領域は、特にあせもが発生しやすい環境にあります。この事実は、特に胸の谷間やアンダーバスト(下乳)のように、皮膚が互いに密接に接触する傾向がある部位において顕著です。これらの部位では、汗と熱がこもりやすくなり、結果として汗腺の正常な機能が妨げられることがあります。さらに、バストサイズが大きい方や肥満体型の方では、これらのエリアでの発汗量が通常よりも多くなる傾向があります。これは、体内の熱が皮下脂肪の存在によって外部に放出されにくいことが一因とされます。こうして大量の汗が一箇所に留まると、汗腺が詰まり、あせもの発生に繋がるのです。

■胸の茶色のイボ

デコルテのできたイボ
胸部に現れる茶色いイボ、一般に「アクロコルドン」と呼ばれるものは、スキンタグ、老人性イボ、軟性線維腫とも称されます。これらのイボは、皮膚の色に近いか、または茶色をしており、その発生機序は完全には明らかになっていませんが、一般的には皮下脂肪が薄い部位や、加齢とともに摩擦が生じやすい皮膚でより発生しやすいとされています。特にアンダーバスト(下乳)、谷間、デコルテといったエリアは、皮膚同士の接触や下着による摩擦が頻繁にあるため、アクロコルドンが生じやすい部位と言えます。また、バストが大きい方では、これらのイボが胸周囲に多数現れる傾向があります。

■胸の赤いイボ

胸元に多発する赤いブツブツ

胸やデコルテに見られる赤いイボは、一般に「老人性血管腫」と呼ばれ、皮膚の老化に伴い現れる非常に一般的な現象です。この赤いイボは、加齢に伴って全身に生じることがありますが、特に胸やデコルテに集中して多発することも珍しくありません。通常、これらの胸の赤いイボは無症状であり、健康上の害はほとんどないとされていますが、摩擦によって出血することがあるため、注意が必要です。

■胸汗のトラブル

胸の谷間やアンダーバスト部分は、他の体部位に比べて特有の環境を持ち、これが汗のトラブルを引き起こしやすい要因となっています。特に胸の谷間は他の部位よりも高温になることは医学的に確認されており、エクリン腺(汗腺の一種)の活動が他の部位よりも活発であるとされております。加えて、胸部は特に、下着や衣服によって覆われることが多く、特にバストが大きい場合には皮膚同士の接触が増え、その結果として密閉された状態になりやすいです。このような状況は、熱と湿度がこもりやすく、汗が分泌されやすい環境を形成します。これらの条件が重なることで、胸汗に関連した多汗症といった悩みを生じさせます。

胸の谷間は高温

↑胸の谷間部分だけ高温になることを確認した医学論文の中の図

出典元:

Regional sweat rates in humans

胸やデコルテのブツブツの治療

胸やデコルテのブツブツ治療において、まず最も重要なのは、適切かつ正確な診断を行うことです。特に、胸ニキビに関しては、顔のニキビに用いられる一般的な薬剤が効果を示さないため、適切な対処が遅れることで症状が悪化することは珍しくありません。以下では、胸・デコルテに生じる様々なブツブツについて、それぞれの状態に合わせた治療方法を解説していきます。

■胸やデコルテのブツブツがニキビである場合

胸やデコルテのブツブツがニキビである場合、その治療には特別なアプローチが求められます。特に注目すべき治療法として、「アグネス」という方法が推奨されます。アグネスは、さまざまな種類のニキビに対して効果的であり、その即効性が大きなメリットとなります。アグネスは、特に皮膚表面の問題を迅速に解決するためのものであり、多くの患者に対して好結果をもたらしています。さらに、胸のニキビがマラセチア毛包炎によるものである場合、アグネス治療と並行して抗真菌薬の使用を推奨します。この二つの治療法を併用することで、ニキビの原因となる真菌の増殖を抑制し、より効果的にニキビを治療することが可能になります。このように、胸やデコルテのニキビに対しては、その原因と特性を正確に把握し、それに適した治療法を選択することが、美しいバストの肌を取り戻す鍵となります。

■胸やデコルテのブツブツがイボの場合

胸やデコルテに現れるブツブツがイボの場合、その治療方法として炭酸ガスレーザーの利用が推奨されます。赤いイボであれ、茶色のイボであれ、炭酸ガスレーザーによる治療は、跡が残りにくく、肌をきれいに回復させる効果が期待できます。ただし、炭酸ガスレーザーによる治療は保険診療の対象外ですので、イボをきれいに除去し、美しい肌を取り戻したい場合には、美容皮膚科や美容外科の受診をおすすめします。美容の専門医は、炭酸ガスレーザー治療に関する豊富な経験と知識を有しており、患者の肌の状態に応じた最適な治療法を提供します。

■胸やデコルテのブツブツの原因があせもや胸汗の場合

胸とデコルテのブツブツやトラブルやがあせもや胸汗に起因する場合、これらの症状の根本的な原因は多汗症にあることが多く見受けられます。胸の多汗症に対する治療法として、特に推奨されるのがボトックス注射です。ボトックス注は、多汗症に対して高い効果を発揮し、約6か月間にわたる発汗抑制効果をもたらすします。ボトックスは、エクリン汗腺の過剰な活動を抑制する作用があり、これにより過度の発汗を効果的にコントロールすることができます。ボトックス注射による治療は、短時間で行うことが可能であり、治療後も日常生活に全く制限が起こらないという利点があります。

胸やデコルテのブツブツの予防

胸やデコルテのブツブツを予防するためには、その原因を理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。胸ニキビの一因であるマラセチア毛包炎、あせも、そして胸汗による肌トラブルは、主に胸部の過度な汗やその放置が原因となります。また、ブラジャーのサイズが合っていないことによる慢性的な摩擦も、イボやあせもを引き起こす重要な要因です。従って、胸やデコルテのブツブツの発症を予防するためには以下が重要です。

1.適切なサイズのブラジャーの選択

胸やデコルテのブツブツを予防する第一歩として、適切なサイズのブラジャーを選択することが非常に重要です。サイズが小さすぎるブラジャーは、肌に対する不必要な摩擦や圧迫を引き起こし、あせも、胸汗、ニキビ、アクロドン(イボ)の原因となる可能性があります。反対に、大きすぎるブラジャーもまた、肌同士の適切な隔離を行えず、同様にあせもやニキビを引き起こす原因になり得ます。適切なサイズと快適なフィット感を備えたブラジャーを選ぶことにより、下着と皮膚、または皮膚同士の不必要な摩擦を防ぐことが可能になります。これは、胸やデコルテのブツブツの発生を効果的に予防するための基本的かつ重要なステップとなります。

2.通気性の良いブラジャーの選択

胸やデコルテのブツブツを予防するうえで、ブラジャーの通気性も非常に重要な要素です。サイズの選定と同じくらい、どのような素材や設計のブラジャーを選ぶかが肝心です。穴あきメッシュ仕様のカップや裏地、吸水速乾性に優れた素材、薄手のレース生地を使用したブラジャーは、通気性を高め、快適な着心地を提供します。通気性が悪いブラジャーを長時間着用すると、ブラジャー内部に高温多湿の環境が生まれやすくなります。このような環境は、胸やデコルテにブツブツができるリスクを高めることになります。したがって、日々の下着選びにおいて、通気性を意識することは、胸やデコルテのブツブツや他の皮膚トラブルを予防する上で効果的な対策となります。

3.ノンワイヤーブラジャーの選択

胸やデコルテのブツブツを予防するうえで、ノンワイヤーブラジャーの選択は重要な役割を果たします。ワイヤーが入っていないノンワイヤーブラジャーは、特に胸の下の部分やワイヤーが接触する部位において、摩擦や汗が生じるリスクを軽減します。ワイヤーのないデザインにより、圧迫感が少なくなり、肌への優しさと快適な着用感が向上します。これにより、肌の摩擦や過度な発汗を抑え、ブツブツの発症を予防する助けとなります。ただし、ノンワイヤーブラジャーはワイヤーブラジャーに比べてホールド力が低い場合があります。そのため、フルカップタイプの選択や、涼しい日にはワイヤーブラジャーを選ぶなど、自分のバストの状態や活動に合わせて適切なバランスを取ることが大切です。

 

4.こまめな汗の拭き取りや汗吸収パッドや汗拭きシートの活用

胸やデコルテのブツブツ予防において、汗の管理は非常に重要です。汗を放置することは、胸ニキビや胸のあせもの直接的な原因となり得るため、特に注意が必要です。この問題を効果的に解決するためには、汗吸収パッドや汗拭きシートの積極的な活用が推奨されます。例えば、汗吸収パッドをブラジャーの下や谷間に挟むことで、肌と肌の直接的な接触を減らし、発汗を効果的にコントロールします。これにより、汗による不快感や皮膚トラブルのリスクを軽減することが可能です。また、日中の活動中や運動後など、汗をかいた際には汗拭きシートで素早く汗を拭き取ることが重要です。

5.正しいシャワーの活用法

胸やデコルテのブツブツを予防する上で、日々の清潔習慣、特にシャワーの正しい使い方は非常に重要です。胸ニキビやあせもの予防には、身体を清潔に保つことが不可欠です。特に、大量に汗をかいた後は、帰宅後すぐにシャワーで汗や汚れを洗い流すことをお勧めします。これは、マラセチア毛包炎の増殖を抑え、あせもを予防するために効果的です。また、シャワーを浴びる際は、石けんを十分に泡立て、肌に優しく洗うことが肝心です。肌を強くこすることは避けてください。強くこすり過ぎると、皮膚の天然の保護層であるバリア機能が損なわれ、結果としてマラセチアの増殖やあせものリスクを高めてしまう可能性があります。

6.毛の処理

胸やデコルテのブツブツ予防において、毛の処理方法にも注意が必要です。剃毛や毛抜きを用いた毛の除去は、しばしば毛穴への損傷や刺激を招く可能性があり、これが胸ニキビ(マラセチア毛包炎)の原因となることがあります。特に胸周囲のムダ毛が気になる場合、より肌に優しい処理方法としてレーザー脱毛の受診をおすすめします。レーザー脱毛は、肌表面を傷つけることなく、毛根に直接作用するため、毛穴へのダメージを大きく軽減します。また、長期的な効果を期待できるため、繰り返しの処理による肌への負担も減少します。

7.スキンケア用品や制汗剤の使用後は注意

胸やデコルテのブツブツ予防におけるスキンケア用品や制汗剤の使用は、注意を要するポイントです。多くの女性が胸汗に対処するために制汗スプレーを使用したり、肌のケアとしてボディクリームを塗ることがあります。こうした製品の使用は一般的ですが、重要なのはこれらの製品が肌に残ることで毛穴を詰まらせ、ニキビやあせもの原因になり得るという点です。日々のスキンケアでは、使用した製品による肌の汚れを適切に洗い落とすことが不可欠です。たとえスキンケア用品であっても、その成分が蓄積することで、マラセチアの増殖を促進させたり、毛穴を詰まらせたりする原因となります。したがって、1日1回は必ずシャワーを浴び、スキンケア用品の残りを丁寧に洗い流すことが大切です。また、肌に優しい製品を選び、過度の使用を避けることも重要な予防策の一つと言えます。

まとめ

胸、デコルテのブツブツが解消した女性

このブログでは、胸やデコルテに現れる様々なブツブツの原因、治療方法、そして予防策について、詳しくご紹介してきました。特筆すべきは、これらの皮膚トラブルが、胸部特有の高温多湿な環境と汚れが残りやすい状態に密接に関連しているという点です。そのため、胸やデコルテのブツブツの予防には、適切な下着の選択やこまめな汗の拭き取り、正しいシャワーの使用方法など、日常生活のさまざまな習慣が重要となります。美しい胸元とデコルテを保つためには、日々の小さなケアが不可欠です。このブログが、皆様の肌の健康を支え、美しさを保つための一助となれば幸いです。

【関連項目】

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。

【関連項目】

胸のニキビ治療「アグネス」の相談こちらから

炭酸ガスレーザーによるイボ除去相談はこちら

【胸やデコルテのニキビ】原因と効果的な治療法の全貌

胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について

胸元にできるブツブツは何?あせも?原因と対策について

【胸のブツブツ状の茶色のイボ】原因と治療方法

谷間の汗、胸の汗が多い理由と対策について

 

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