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2024/03/06
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ニキビ薬のイソトレチノイン(アキュテイン)の怖い副作用
ニキビの治療薬として重篤な副作用を引き起こす可能性があるイソトレチノインは、アメリカにおいて1982年にFDA(日本の厚生労働省に相当する政府機関)の承認を受け、全世界で広く使用されてきました。しかし、日本国内では、現在に至るまでその使用が認められていないのです(国内未承認薬)。この記事では、イソトレチノインの危険性と副作用について深く掘り下げて解説します。特に、なぜ日本で未承認の状態が続いているのか、そしてその副作用がどのような影響を及ぼす可能性があるのかについて、詳細に説明します。
イソトレチノインとは
イソトレチノイン(一般名:Isotretinoin)は、アキュテイン(Accutane)、ロアキュテイン(Roaccutane)、ソトレット(Sotret)、アムネスティーム(Amnesteem)、クララビス(Claravis)、イソトロイン(Isotroin)、アクノティン(Acnotin)など、様々な商標名で知られる、難治性ニキビ治療用の医薬品です。この薬は、ビタミンAの誘導体であり、皮脂腺の活動を減少させることで、毛穴の詰まりやニキビの炎症を抑制する効果を持ちます。イソトレチノインの主要な作用は、皮膚内での角質細胞の分化と剥離を促進することにあります。これにより、ニキビの主な原因である毛穴の閉塞を減らし、皮脂の過剰な蓄積を抑える効果があります。さらに、イソトレチノインには炎症を抑制する作用もあるため、炎症を伴う重症なニキビの治療には特に有効です。これらの効果により、イソトレチノインは重度のニキビ治療において治療効果を発揮すると認められています。
危険すぎるニキビ治療薬と言われた訳
イソトレチノインは発売当初では、その副作用の多さと深刻さから危険すぎるニキビ治療薬と言われました。以下の副作用は全てイソトレチノインの発売元から発表されている主な副作用です。
■精神障害
イソトレチノインは、作用機序が不明ですが、うつ病、精神病、、自殺企図、自殺、攻撃的または暴力的行動を引き起こすことがあります。そのため、イソトレチノイン治療を開始する前に、患者とその家族に精神疾患の既往歴について質問し、治療中の診察のたびに、うつ病、気分障害、精神病、攻撃性の症状がないか評価し、さらなる評価が必要かどうかを判断すべきであるとされています。
■脂質代謝異常
イソトレチノインを投与された患者約25%もが中性脂肪の顕著な上昇が報告されています。具体的には800mg/dLを超える血清トリグリセリド(中性脂肪)の上昇がイソトレチノインを投与された患者で報告されています。さらに、約15%にHDL(高比重リポタンパク質:善玉コレステロール)の減少がみられ、約7%にコレステロール値の上昇がみられたとあります。従って、血液検査による血中脂質の測定は、イソトレチノイン投与前に行うべきであり、その後、イソトレチノイン開始後4週間以内に再検査を行うべきであるとされています。
■肝機能障害
イソトレチノイン治療に関連している可能性がある肝炎が報告されています。さらに、軽度から中等度の肝酵素上昇、すなわち軽度の肝機能障害が、臨床試験中に治療を受けた人の約15%にも観察されました。
■膵炎
イソトレチノイン治療に関連している可能性がある急性膵炎が報告されています。まれですが、、致命的な出血性膵炎も報告されています。
■炎症性腸疾患
イソトレチノインは、、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)の発症に関連しています。場合によっては、イソトレチノイン治療を中止した後も症状が持続することが報告されています。腹痛、直腸出血または重度の下痢を経験した患者は、直ちにイソトレチノインを中止すべきであるとされています。
■頭蓋内圧亢進症
イソトレチノインの使用は、頭蓋内圧亢進症の多くの症例と関連しており、そのうちのいくつかはテトラサイクリン系薬剤(ミノペンなど)との併用が関与していると言われています。したがって、テトラサイクリン系薬剤との併用は避けるべきです。頭蓋内圧亢進症の初期の徴候や症状には、眼圧上昇、頭痛、悪心・嘔吐、視覚障害などがあります。
■聴力障害
イソトレチノインを服用している患者で聴力障害が報告されてます。場合によっては、治療中止後も聴力障害が持続することが報告されています。このメカニズムは不明です。
■骨への影響
イソトレチノインは、発育中の筋骨格系への影響は及ぼす可能性がありますが、これについては現在に調査中です。骨端早期閉鎖、骨粗鬆症への影響がある可能性があるとも示唆されています。
■視力障害
角膜混濁や夜間視力低下などの視力障害がイソトレチノイン治療中に報告されております。治療中止後も夜間視力低下が持続した例もあるとされています。
参照元:
Accutane Prescribing Information
イソトレチノインの性機能への影響
イソトレチノイン、一般にアキュテインとしても知られるこの薬剤は、男女双方の性機能に影響を与えることが知られています。
■イソトレチノインの女性の性機能への影響
イソトレチノイン服用により女性の月経周期に影響が出る可能性があります。特に、15歳から45歳の女性において、規則的な月経周期を持つ女性の約10.4%が、イソトレチノインの服用開始後に月経不順を経験するという研究結果があります。これらの月経不順の中で最も一般的なのは、無月経の症状です。
参照元:
The Effects of Isotretinoin on The Menstrual Cycle: A Cross-Sectional Study
■イソトレチノインの男性の性機能への影響
男性の場合、イソトレチノインの服用により性欲減退やED(勃起不全)などの問題が報告されています。これらの症状は、イソトレチノインの使用中に特に顕著になることがあります。
出典元:
Erectile dysfunction during isotretinoin therapy
イソトレチノインの最も危険な副作用
イソトレチノイン、または一般にアキュテインとして知られるこの薬剤は、重症のニキビ治療に用いられることが多いですが、その副作用の中でも特に重大なものは催奇形性です。催奇形性とは、薬剤が胎児に影響を与えて、先天的な奇形を引き起こす可能性のある性質を指します。妊娠中または妊娠を計画している女性がイソトレチノインを服用すると、胎児の正常な発達に重大な影響を与えるリスクがあり、先天性の欠陥を引き起こす可能性が高まります。さらに、男性の精子にも影響を及ぼすことから、男性も同様に注意が必要です。多くの研究により、イソトレチノインの催奇形性についてのリスクが確認されています。研究によると、胎児がイソトレチノインに曝露されると、20-35%の高いリスクで多くの先天性奇形が生じる可能性があるとされています。これには頭蓋顔面の欠損や心血管系、神経系の奇形が含まれます。イソトレチノインは皮脂腺細胞において細胞死(アポトーシス)や細胞周期の停止を引き起こし、これが催奇形作用に関連していると考えられています。このため、イソトレチノインを服用中および服用終了後の女性は少なくとも6ヶ月間、男性は2ヶ月間は避妊することが強く推奨されます。これは、薬剤の体内からの完全な排除と、催奇形性リスクの回避を確実にするためです。
参照元:
Isotretinoin: Still the cause of anxiety for teratogenicity
イソトレチノインを進めない理由
イソトレチノイン(アキュテイン)は、重症のニキビ治療において一定の効果を発揮しますが、その使用には特に慎重な検討が必要です。この薬の内服期間は通常最長6か月とされ、その後最低2か月の休薬期間が必要となります。しかし、休薬期間中にニキビが再発することがしばしばあり、長期間にわたる治療が必要になる可能性があります。イソトレチノインを服用することによる副作用のリスクもまた、その使用を控えるべき理由の一つです。イソトレチノインの副作用として、脂質代謝異常が約25%、肝機能障害が約15%、月経異常が約10%の確率で発生することが報告されています。これらの高い副作用の発生率は、特に健康に影響を及ぼす可能性があることから、ニキビ治療のためにイソトレチノインを選択する際には特に十分な検討が必要です。日本の厚生労働省がイソトレチノインの使用を認可していないのも、これらの副作用のリスクを考慮した結果です。重症のニキビに対する効果が海外では認められている一方で、副作用のリスクも高いイソトレチノインの使用には、慎重な判断が求められます。
イソトレチノインについてよくあるご質問
Q:イソトレチノインはなぜ未承認なのでしょうか?
A:イソトレチノインの使用に関連する副作用の発生率が比較的高いことが、日本の厚生労働省による未承認の主要な理由と考えられます。具体的には、催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。これらの副作用のリスクが、ニキビ治療薬としての利用を見合わせる理由となっています。
Q:イソトレチノインは妊娠中も服用できますか?
A:妊娠中のイソトレチノインの使用はできません。イソトレチノインは催奇形性を持ち、妊娠中の女性が服用することで胎児に重大な影響を及ぼし、生まれてくる赤ちゃんに先天的な奇形を引き起こす可能性が高いためです。
Q:イソトロインは避妊が必要ですか?
A:はい、イソトレチノイン(イソトロイン)を使用中は避妊が必要です。イソトレチノインには催奇形性のリスクがあるため、女性だけでなく、男性も使用中は避妊をすることが求められます。
Q:イソトレチノインの避妊いつまで必要ですか?
A:イソトレチノインを服用した後の避妊は、女性の場合は6ヶ月間、男性の場合は2ヶ月間が必要です。この期間は、イソトレチノインの催奇形性リスクを考慮して設定されており、避妊を行うことで不必要なリスクを防ぐことができます。
Q: イソトレチノインで生理不順になりますか?
A:イソトレチノインを服用する女性の約10%が生理不順を経験することが報告されています。この副作用は、個人差がありますが、イソトレチノインの使用によって生じる可能性があります。
Q:イソトレチノインは危険ですか?
A:イソトレチノインは、その副作用の発生率が高いため、一部では危険な薬とされています。これが日本国内での未承認の理由の一つです。
Q:イソトレチノインの服用をやめた後はどうなりますか?
A:イソトレチノインを服用を停止すると、多くの場合、ニキビが再発することがあります。イソトレチノインはニキビの発生を抑制する効果があるため、その効果がなくなると、症状が再発しやすい傾向にあります。
Q:イソトレチノインのデメリットは?
A:イソトレチノインのデメリットは高い確率で起こる副作用と、使用を中止した場合に起こる再発です。具体的には、副作用は催奇形性が20-35%、脂質代謝異常が25%、肝機能障害が15%、月経異常が10%の割合で発生すると報告されています。また、イソトレチノインの使用を中止した場合は、高い確率で再発すると言われいます。
Q:アキュテイン(イソトレチノイン)中止後、 皮脂は戻りますか?
A:アキュテイン(イソトレチノイン)は、皮脂腺の活動を抑制する作用があります。そのため、薬を中止した場合、皮脂の産生は従来の状態に戻る可能性があります。このことは、イソトレチノインの効果が一時的であることを示しており、アキュテイン(イソトレチノイン)が根本的なニキビ改善にはあまり役立たないことを意味しています。
Q:イソトレチノイン、アキュテインでハゲますか?
A:イソトレチノイン(アキュテインとも呼ばれます)は、一部の患者において髪の薄毛や脱毛を引き起こす可能性があります。これは主に、イソトレチノインによるビタミンAレベルの過剰摂取や、頭皮の皮脂生産の抑制に関連しているとされています。イソトレチノインによる脱毛の発生率は約3-6%であり、治療期間が長いほど脱毛のリスクが高まります。しかし、多くの場合、治療終了後には髪の毛が再生することが報告されています。
Q:イソトレチノインの副作用で死亡例の報告はありますか?
A:イソトレチノインの副作用による死亡例については、稀なケースではあるものの、一部の情報源で言及されています。特に注目されているのは、脳圧の増加に関連する副作用です。これにより、重篤な頭痛、視力問題、永続的な視力喪失、そして極めて稀ではありますが、死亡に至るケースが報告されています。このような重篤な副作用のリスクは、イソトレチノインの使用を慎重に検討する際の重要な要因となります。
重症なニキビにアグネスがおすすめ
重症なニキビに対するアグネス治療は、特に反復するニキビのケースにおいて高い効果を発揮します。イソトレチノインのような重症ニキビ治療薬の使用が考慮される場合でも、アグネス治療は優れた代替手段となることが多いです。この治療法は、超極細の針を用いて皮脂腺を直接破壊することにより、ニキビを治療し、再発の可能性を大幅に減少させます。即効性があり、一度治療した部位のニキビが再発することはほとんどありません。外用薬や内服薬では改善が見られなかったニキビも、アグネス治療によって解決する可能性があります。副作用が懸念されるイソトレチノインの使用を検討する前に、アグネス治療の選択肢を考慮することをお勧めします。
まとめ
この記事では、重症なニキビ治療薬であるイソトレチノイン(アキュテイン)の潜在的な危険性とその副作用について詳細に検討しました。イソトレチノインは効果的な治療薬であるものの、その使用には慎重な判断が求められます。副作用のリスクが高いこと、特に催奇形性や他の健康上の問題が懸念されるため、患者様や医師はこの薬剤の使用を検討する際に十分な情報を持つことが重要です。また、イソトレチノインの代わりに、アグネス治療を選択肢として考えることも一つの方法です。アグネスは、特に繰り返すニキビに効果的で、副作用のリスクがなく、治療部位のニキビが再発しないため最善のニキビ治療地と言えます。この記事が、ニキビ治療の選択肢を検討する際の知識を深め、より安全な治療法の選択に役立つことを願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。
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