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ミラドライ、2回でも効果なしの理由と後悔についてNULL

2024/02/07

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ミラドライ、2回でも効果なしの理由と後悔について

わきがに悩む女性

ワキガや多汗症の非侵襲的治療方法、いわゆる「切らないワキガ多汗症手術」として知られるミラドライは、多くの患者に選ばれています。しかし、インターネットで「ミラドライ 2回 効果なし」や「ミラドライ 後悔」といったネガティブな意見が散見されます。一体、なぜこれほどまでに否定的な声が上がるのでしょうか?ミラドライ治療に対する誤解や、術前の過剰な期待、あるいは不十分な説明が原因である可能性が考えられます。この記事では、ミラドライ治療を受ける際の現実的な期待値、さらにはネット上に溢れる否定的な意見がなぜ生じるのかを深く分析し、読者の皆さんにミラドライの真の効果とリスクを明確に理解していただくための情報を提供します。

ミラドライは多汗症治療の専門機器

ミラドライの多汗症機器

SNSやインターネット上で「ミラドライ 効果なし」との声と共に広く語られていますが、これらの声の多くはワキガ症に対する効果が不十分であったというものです。しかし、これには重要な誤解があります。ミラドライは本質的に腋の多汗症(原発性腋窩多汗症)専用の治療機器であり、ワキガ症の治療に特化したものではありません。多くの医療機関や美容外科では、多汗症とワキガ症を同様に扱って説明することがあります。しかし、実際にはこれら二つの状態には根本的な違いが存在します。ミラドライは原発性腋窩多汗症、つまりワキの過度の発汗をコントロールするために設計された治療機器であり、ワキガ症、すなわち特有の体臭問題に対処するためのものではないのです。この混同が、ミラドライに対する誤った期待や誤解を生み出し、結果として否定的な評価を受ける一因となっているのです。

腋の多汗症とワキガ症の違い:ミラドライ治療の理解を深めるために

ミラドライ治療の効果を適切に理解するためには、腋の多汗症とワキガ症の根本的な違いを明確にすることが非常に重要です。ここでは、ワキガ多汗症の原因である汗腺、すなわちエクリン汗腺とアポクリン汗腺について詳しく解説し、それぞれがどのようにこれらの症状を引き起こすのかを説明します。

■エクリン汗腺

・エクリン汗腺の位置と機能

 エクリン汗腺は、全身の皮膚表面に分布し、主に真皮内に位置しています。エクリン汗腺は管状の構造を持ち、皮膚表面に開口する導管を通じて汗を排出します。

・多汗症とエクリン汗腺

エクリン汗腺が過剰に活動することが多汗症の原因です。エクリン汗腺から分泌される汗自体には臭いはほとんどなく、そのため多汗症は強い体臭を伴うことは少ないのが特徴です。

・エクリン汗腺の再生能力

興味深いことに、エクリン汗腺は破壊されたり、その機能が熱によって弱まったりしたとしても、時間が経過すると再生し、機能が回復する可能性があります。

■アポクリン汗腺

・アポクリン汗腺の位置と特徴

アポクリン汗腺は、主に腋窩(わき)、陰部、乳輪周辺など毛が密集している部位に関連して存在し、エクリン汗腺よりも大きな構造を持ちます。アポクリン汗腺は皮膚の真皮及び皮下組織にあり、エクリン汗腺より表層から深い領域に位置し、毛包にその導管が開口します。

・ワキガ症とアポクリン汗腺

アポクリン汗腺の活動が活発になると、ワキガ症が発生する可能性が高まります。これは、アポクリン汗に含まれる強烈な臭い成分(N-アセチル-5-メチルオルニチン)によるもので、この特有の臭いはワキガ症の主要な原因となります。アポクリン汗が皮膚表面の細菌(JK)と反応し、化学変化を起こすことによって、独特な強い臭いが生じるのです

・アポクリン汗腺は再生しない

アポクリン汗腺には、一度破壊されると再生しないという重要な特性があります。これは、ワキガ症の治療において考慮すべき重要なポイントであり、治療法の選択において大きな影響を与えます。

■エクリン汗腺とアポクリン汗腺の位置の違いとその意義

皮膚の構造を理解することは、多汗症とワキガ症の治療において非常に重要です。皮膚は表面から内側に向かって、表皮、真皮、そして皮下組織(脂肪層)という順序で構成されています。この中で、エクリン汗腺とアポクリン汗腺は異なる深さに位置しています。エクリン汗腺は主に真皮層に存在し、皮膚表面に比較的浅い位置にあります。これに対し、アポクリン汗腺はより深い位置、つまり真皮から皮下組織にかけての部分に位置しています。この位置の違いは、多汗症とワキガ症の治療法において大きな影響を持ちます。

エクリン汗腺とアポクリン汗腺の違い

ミラドライがワキガ症に効かない理由

ミラドライ治療の核心となるのは、マイクロ波エネルギーを用いて腋窩(わきの下)にある汗腺を破壊することです。マイクロ波エネルギーは、特に水分を多く含むエクリン汗腺に対して高い効果を発揮します。ミラドライの使用するマイクロ波は、5.8GHzの波長で固定されており、これは汗腺が集中する真皮層に特化した照射を可能にしています。しかし、ミラドライの大きな限界として、その波長を変更することができず、エネルギーの到達深度(深さ)の調整も不可能であることが挙げられます。これにより、ミラドライは真皮層に存在するエクリン汗腺にのみ影響を与え、効果を発揮することができます。一方で、ワキガ症の主要な原因であるアポクリン汗腺は、真皮よりも深い層、つまり皮下組織に位置しています。このため、ミラドライのマイクロ波エネルギーはアポクリン汗腺に到達せず、その根本的な治療には効果を発揮しません。この技術的な制限が、ミラドライがワキガ症に対して効果がほとんどない主な理由です。

厚労省でのミラドライ審議の内容と結論

厚労省ミラドライ審議会

ミラドライは、厚生労働省によって多汗症の治療機器として正式に認可されています。この認可に関する重要な審議は、2018年5月11日に開催された薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会において行われました。この会議の議事録には、ミラドライの審査に関する重要な議論が記録されています。「医薬品医療機器総合機構」からの発言によると、「(ミラドライは)臨床試験の結果としても、臭いに対しては臨床試験の達成基準を満たすことができなかったことから、総合して今回はあくまでも多汗症に対して適応を認めるので、臭いの低減効果は認められなかったと、審査としては結論付けております。」と記されています。なお、医薬品医療機器総合機構は厚生労働省所管の独立行政法人で、医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査などの業務を行政機関です。また、審議会メンバーからの質問「今の御説明で理解できた部分もあるのですが、これは汗が多い人のためのものであり、わきがの人には適応がないということでよろしいでしょうか。」に対し、「御指摘のとおりで、本品(ミラドライ)の適応は、あくまで原発性の腋窩多汗症の患者さんのみで、当然、腋臭症の患者さんに関しては適応外となります。」との回答が医薬品医療機器総合機構よりありました。

出典元:

2018年5月11日薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

ミラドライはワキガ症に対して適応外

ミラドライ治療がワキガ症に対して適応外である理由について、医薬品医療機器総合機構は明確な見解を示しています。臨床試験の結果、ミラドライによるワキガ症に関連する臭いの低減効果は認められなかったため、この治療法はワキガ症には適用されないとされています。これにより、ミラドライはワキガ症に対してほとんど効果がないと結論づけられています。さらに、医薬品医療機器総合機構は「多汗症と腋臭症が同時に出現する患者さんも多いと思うのです。ただ原理的に、多汗症の汗腺はエクリン汗腺であって、腋臭症の原因の汗腺はアポクリン汗腺と、そもそも原因の汗腺が異なります。今回の装置のターゲットはエクリン汗腺ですので、その効果としても今回の臨床試験の結果で多汗症だけに効果があることが分かったという結果です。適応としても、多汗症のみの方が妥当と判断をしております。」とも述べています。この発言から、ミラドライがターゲットとするのはエクリン汗腺が原因であるワキの多汗症であり、アポクリン汗腺が原因であるワキガ症には効果がないことが明らかになっています。

ミラドライは何回受けても効果なし

脇汗が気になる

ミラドライ治療がワキガ症に対して効果を示さないのは、その治療原理に由来しています。これは、ミラドライがワキガ症の根本原因であるアポクリン汗腺には作用せず、主にエクリン汗腺を対象としているためです。したがって、ワキガ症においては、ミラドライを何度受けても望まれる効果は得られません。インターネット上では、「ミラドライを3回受けても効果がなかった」という声も散見されます。これは、ミラドライがワキガ症に対しては基本的に無効であることを裏付けるものです。この治療法は多汗症に対しては効果的ですが、ワキガ症には適していないことが明確にされています。

ミラドライが多汗症に対しても再発する理由

ミラドライ治療は多汗症に対しても再発します。ミラドライ治療が多汗症に対して再発する理由については、エクリン汗腺の再生能力が重要な役割を担っています。エクリン汗腺が一度破壊された後に再生するかどうかについては、現在でも明確な結論が出ていません。ただし、深刻な熱傷などで皮膚組織が大きなダメージを受けた場合には、エクリン汗腺の再生が見られないことが確認されています。このことから、高温で完全に破壊されたエクリン汗腺は再生しない可能性が考えられます。しかし、ミラドライは60~70度の熱を用いて汗腺を破壊するため、この温度では完全な破壊には至らず、汗腺の機能を一時的に弱めるか部分的に破壊する効果が主であるとされています。その結果、ミラドライによってダメージを受けたエクリン汗腺は一時的に発汗機能を失いますが、数か月後には機能が回復し、やがてほぼ元の状態に戻ることが多いのです。このため、ミラドライによる多汗症への治療効果は、数か月という限られた期間に留まります。特筆すべきは、前述した審議会で提出されたミラドライの多汗症に対する臨床試験での患者の観察期間は最大1年であり、1年以上の効果については今後も調査する必要があるとしているところです。この審議会で、医薬品医療機器総合機構は以下のように発言しています。 「もう一つは、有効性の面です。(ミラドライは)A型ボツリヌス毒素に比べて長い効果が得られるというコンセプトで開発されているものですが、確かに臨床試験では、あくまでも1年間しかフォローアップされておりません。」 このことから、ミラドライ治療の1年以上の効果については、今後も継続的な調査が必要であることが明らかにされています。

ミラドライを受けて後悔する理由

ミラドライ治療を受けた後に後悔する主な理由の一つは、その効果に関する誤解です。ミラドライはワキガ症に対してほぼ効果がないとされており、また多汗症に対しての効果も永久的ではありません。具体的には、「腋の多汗症に対して最大1年程度の効果がある」とされており、これは汗の量が減少するという効果に限られます。この事実を事前に理解していれば、後悔することはないはずです。しかし、実際のところ、クリニック側が誤った説明をしている場合が少なくありません。多くの場合、「多汗症に対しては永久的な効果があり、再発もほとんどない。また、ワキガ症にも効果がある」と説明されることがあります。このような誤った情報に基づき、多汗症が再発しない、またはワキガ症が治ると期待してミラドライ治療を受けると、結果として後悔につながることがあります。

ワキガ症に対してはビューホットがおすすめです

ワキガ症の非手術的治療法として、ビューホットは優れた選択肢の一つとされています。以前のブログで詳述した通り、ビューホットの最大の特徴は、熱エネルギーを到達させる深度を調整できる点にあります。この能力は、ワキガ症の原因となる深い位置にあるアポクリン汗腺を確実に破壊することを可能にします。ビューホットは、特定の深さに熱エネルギーを集中させることができるため、アポクリン汗腺をターゲットにした治療に効果的です。これにより、ワキガ症の根本的な原因に直接作用し、症状の改善に寄与することができるのです。手術を避け、ダウンタイムがない非侵襲的な治療法を求める患者にとって、ビューホットは最もよい選択肢となります。

ミラドライのよくある質問

Q:ミラドライは1回で効果がありますか?

A:ミラドライは多汗症に対しては1回で効果がある可能性が高いですが、持続期間は1年程度です。

Q:ミラドライの欠点は何ですか?

A:ワキガ症に対して効果がない点と、多汗症に対しての効果もせいぜい1年程度という点です。

Q:ミラドライはワキガに効果がありますか?

A:ミラドライはワキガに対してほとんど効果がありません。これは、ミラドライがターゲットとするのが多汗症の要因であるエクリン汗腺であり、ワキガの主要原因であるアポクリン汗腺にはほぼ影響を与えないためです。ミラドライの技術はエクリン汗腺の活動を抑制することに特化しており、アポクリン汗腺に必要な深さまで効果的に作用することは困難です。

まとめ

騙されるな、ワキガ手術の保険適用

この記事では、「切らないワキガ多汗症手術」として広く知られるミラドライ治療について、インターネット上で見られる「ミラドライ 2回 効果なし」や「ミラドライ 後悔」といったネガティブな意見が多い理由を深く掘り下げました。その核心には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の違いの理解があります。ミラドライ治療は多汗症に対して最大1年程度の効果が期待できますが、ワキガ症に関しては、ビューホットなどの別の治療方法を選択する必要があることが明らかになりました。さらに、美容治療や自由診療を受ける際には、医師選びが非常に重要です。信頼できる、経験豊かな医師による適切な診断と治療が、ワキガや多汗症治療の成功において不可欠です。患者が正しい情報をもとに適切な医師を選ぶことは、治療の効果を最大化し、不必要な後悔を避けるための鍵となります。この記事を通して、ミラドライ治療の実態と、それに対する正しい理解を深めることができれば幸いです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。ビューホットを日本にいち早く導入し、スソワキガに対するビューホット治療を日本で最初に行った。ワキガ、スソワキガの治療例はこれまで延べ1万人を超える。

【関連項目】

わきがのビューホットの相談はこちらへ

ビューホットとミラドライどっちがいいのか?両者の違いを比較

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