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豊胸後にうつ病?乳房インプラント病の全貌:病態から原因・治療までNULL

2024/01/21

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豊胸後にうつ病?乳房インプラント病の全貌:病態から原因・治療まで

乳房インプラント病について

バッグによるインプラント挿入による豊胸手術後、身体の不調に悩まされる女性が世界中に増えています。これらの症状は、「乳房インプラント病」という名で知られる比較的新しい病態として認識されています。本記事では、この新しい医学問題に焦点を当て、乳房インプラント病の原因、症状、そして治療法について詳細に掘り下げ、理解を深めます。

乳房インプラント病とは

乳房インプラント病(Breast Implant Illness, BII)とは、バッグによる豊胸手術を受けた人々において報告されている、さまざまな症状群を指します。また、乳房インプラント病は2010年代以降に提唱された比較的新しい病態です。ここで重要なのは 乳房インプラント病は正式な医学的診断としてはまだ認められていません。また、本当に存在する病気なのか未確定ということです。そして、乳房インプラント病は、現在医学界で正式な診断基準も確立されていないため、正確な認識や理解が難しいとされています。しかし、この状態の存在を巡る議論は盛んであり、研究が進むにつれて、この病態の特性や影響についての知見が深まりつつあります。この病気は、ASIA症候群(アジュバント誘発性自己免疫炎症性症候群;Autoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants)やシリコンインプラント病(Silicone implant illness)とも呼ばれることがあり、乳房インプラントに起因すると考えられる免疫応答や炎症反応に関連していると示唆されています。医学界では、これらの症状に対する包括的な理解を深めるための研究が続けられており、患者たちにとっての正確な情報提供と適切な治療法の確立が求められています。

乳房インプラント病の原因

乳房インプラント病の具体的な原因については、現時点で確定的な答えを得ることは難しいですが、複数の研究によっていくつかの有力な仮説が提唱されています。これらの仮説には、シリコンやその他の乳房インプラント素材に対する患者自身の免疫系または炎症反応、インプラントの表面に生じる細菌やカビなどの微生物による感染、さらには乳房インプラントを挿入する手術自体に対する体の反応などが含まれます。特に注目されているのは、これらの反応がシリコン製インプラントだけでなく、生理食塩水製のインプラントを使用した場合にも同様に発生する可能性があるという点です。

乳房インプラント病の症状

乳房インプラント病に関連する症状は非常に多様で、患者によって異なることが多いです。これまでに50種類以上の症状が報告されており、これらは大きく筋骨格系、認知機能、全身の三つのカテゴリーに分けられます。これらの症状は、豊胸手術を受けた直後に現れることもあれば、数年経過してから発現することもあります。また、これらの症状は乳房インプラントによって引き起こされる可能性がありますが、個々の症状は他の原因によるものである場合もあるため、正確な診断を行うことが重要です。

■筋骨格系に関連する症状には、以下のようなものが含まれます。

関節痛

筋肉痛

筋力の低下

■認知機能に関わる症状としては、次のようなものが報告されています。

不安やうつ

集中力の低下

記憶障害

疲労感

■全身的な症状としては以下のようなものがあります。

自己免疫疾患の症状や診断

全身の慢性疼痛

ドライアイや視力の低下

発疹やその他の皮膚症状

脱毛症

豊胸のシリコンバッグ

↑豊胸治療で使用されるシリコンバッグ

乳房インプラント病の診断

乳房インプラント病の診断は、その複雑さと特異性のため、現代医学において特に難しい分野となっています。この病態を明確に特定するための標準化されたテストや基準は今のところ存在しないため、診断は一般的に医師による詳細な臨床評価に依存しています。医師はまず、患者の症状の全容と既往歴を慎重に検討し、これに基づいて関節炎、ライム病など他の可能性のある疾患を排除するための一連の検査を行います。これらの詳細な検査によって、既知の医学的症状の原因をすべて除外した上で、症状が依然として説明されない場合、乳房インプラント病が疑われます。

乳房インプラント病の治療

乳房インプラント病の主な治療法は、豊胸バッグ(乳房インプラント)の除去です。この手術では、乳房の自然な形を保つために乳首の周囲や乳房の下のしわに切開を入れ、慎重にインプラントを取り出します。さらに、最大限の治療効果がもたらされるために、インプラント周囲の瘢痕組織(カプセル)も同時に除去することがあります。インプラントとそのカプセルを一括して取り除く手法は「エンブロックカプセル摘出術」と呼ばれ、一部の医学研究において、乳房インプラント病の症状改善において有効であるとされています。多くの症例において、インプラントを除去した後、患者の症状に即効性の改善または短期間での改善が見られます。しかし、すべての患者において同様の効果が確認されるわけではないことに留意が必要です。多くの場合、症状の改善は手術後の最初の30日間、もしくは3ヶ月以内に観察されることが一般的です。

本当に乳房インプラント病はあるのか?

乳房インプラント病の存在については、医学界で長い間議論されてきたトピックです。この疑問に対する答えを求めるため、一部の研究者は豊胸バッグ手術を受けた女性と手術を受けていない女性の両グループで、乳房インプラント病に関連するとされるさまざまな症状の発症率を比較しました。その結果、両グループ間で症状の発症率に有意な差が認められなかったという報告があります。この研究結果は、乳房インプラントが症状の直接的な原因となるという考えに疑問を投げかけています。

しかし、この問題は複雑であり、乳房インプラント病の存在を否定するには十分ではないという見解も存在します。乳房インプラント病の症状は多様であり、個々の症状の背景には異なる要因が関係している可能性があります。さらに、豊胸バッグに起因する症状が発現するまでの時間差や、個人差による反応の違いも症状の発生に影響を与える可能性があります。したがって、乳房インプラント病の病態に対する深い理解と包括的なアプローチが必要であり、さらなる研究とデータの蓄積が求められています。乳房インプラント病の実在性に関しては、医学界の間での合意には至っていないものの、このトピックに関する議論は、患者の症状に対するより良い理解と適切なケアへと繋がる可能性があります。今後の研究がこの分野の知識を拡充し、乳房インプラント病に苦しむ患者たちにとっての明確な答えを提供することを期待されています。

まとめ

元神写真

乳房インプラント病に関する現在の知識は、この病態の全貌を解明する過程にあります。正確な原因は未だ特定されておらず、症状の多様性や個人差がその理解を複雑にしています。豊胸手術後に発生する可能性のある50種類以上の症状は、筋骨格系、認知機能、全身症状に大別されます。これらの症状に対する治療法としては、乳房インプラントの除去が主流ですが、すべての患者に同様の効果があるわけではありません。医学界では、乳房インプラント病の存在とその影響について議論が続いており、さらなる研究による明確な解答が期待されています。このブログ記事を通じて、乳房インプラント病の複雑さに対する理解を深め、患者や医師がより良い治療選択をするための参考になれば幸いです。今後の研究と臨床経験の蓄積が、この分野の知見をさらに豊かにし、患者の健康と生活の質の向上に寄与することを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。

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