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2024/01/14

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下手な美容外科医とトラブルが多い美容外科クリニックが増えている理由

下手な美容外科医増加のわけ

現在美容外科はかつてないほど人気の医療になっています。その需要が高まるにつれ、トラブルが多い美容外科クリニックが増加しているのが現状です。この問題の根底には、技術的に未熟な美容外科医も増えているという事実があります。この記事では、美容外科における急増するトラブルと、それに寄与している下手な美容外科医の増加の社会的背景に焦点を当て、その原因について詳しく解析していきます。

全国的に急増している美容外科クリニック

美容外科の分野は、近年全国的に驚異的な成長を遂げています。筆者が美容外科医としてのキャリアをスタートさせてから21年が経過した今、その変貌は顕著です。かつて千葉県船橋駅周辺には、筆者が勤務していたクリニックを含めてわずかに1つの美容外科クリニックが存在していたのみでした。しかし現在、湘南美容クリニックや東京中央美容外科などの大手美容外科チェーンを含む10施設以上が存在し、その数は船橋駅周辺だけで5倍以上に増加しています。この急激な増加は全国規模で見ても明らかです。2002年には、厚生労働省の調査による全国の美容外科を標榜するクリニック数(診療所数)は604施設でしたが、令和2(2020)年のデータでは1404施設に増加しています。わずか18年で800のクリニックが新たに開業したことになり、この期間に全診療所数の増加率が94819から102612へとわずかな伸びに留まる中、美容外科クリニックが2倍以上に増えたことは、この分野の顕著な成長を示しています。

全診療所増加数の15%は美容クリニック

厚生労働省は3年おきに公表している「 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」を公表しています。その中で美容外科診療所数と全診療所数に着目し、表にしました(下記の表)。

美容外科クリニック数 と全診療所

これを分析し、1996年から2020年までの2つの12年間を対象として比較を行いました。結果は驚くべきものでした。1996年から2008年の間、美容外科の診療所は523施設増加しました。これは全診療所の増加数7583のうち5.4%を占めています。しかし、2008年から2020年の期間では、美容外科診療所の増加数は421にもかかわらず、全診療所の増加数3529のうち12%を占めているのです。さらに、過去3年間で見ると、美容外科クリニックは171施設増加し、全診療所増加数に対する割合は15%に達しています。

このデータは、医療業界において美容外科が占める割合が急速に増加していることを明確に示しています。特に近年は美容外科の開業ラッシュが続いており、この分野が医療業界全体における重要な位置を占めるようになっていることが伺えます。

美容外科医も急増している

美容外科クリニックの顕著な増加の背後には、美容外科医の数の急増があります。この現象は、医学部を卒業した若手医師たちのキャリア選択からも明白になっています。医師国家試験に合格し、必要な2年間の研修を終えた後、医師たちは自由に専門分野を選択することができます。その中で、現在、最も人気を集めているのが美容外科です。

かつては内科や外科が医師たちの主流の進路として需要が高く、美容外科や形成外科は全体のわずか5%以下でした。しかし、時代の変遷と共に、この比率は大きく変化しました。現在では、新たにキャリアを開始する医師の20%以上が美容外科・形成外科・美容皮膚科などの美容医療を選択しています。

下手な美容外科外科医も急増

美容外科クリニックに就職することは、そのドクターが即座に美容外科医としての名乗ることを意味します。業界内での動向を見ると、大手美容外科クリニックに就職した後、わずか3ヶ月の経験で独立して開業する医師も少なくありません。この短期間では、技術面の成熟は期待できず、多くは二重埋没法やヒアルロン酸、ボトックス注射の形だけの技術を習得するに留まります。

このように、実際の技術が伴わない状態で開業する美容外科医が増加しています。さらに、技術の不足を補うために、SNSやYouTubeを巧みに活用して技術力があるかのように見せかけ、患者を集客しているクリニックも多いのが現実です。これらの医師やクリニックは、デジタルメディアを利用して、技術以上の評判を構築し、ビジネスを拡大しています。

下手な美容外科医でも集客できるようになった

一昔前の美容外科業界では、技術が未熟な医師が開業しても、効果的な集客方法はほとんどありませんでした。日本国内においては厚生労働省が定めている医療分野における広告規制があり、経歴を偽造して広告媒体に掲載することは、法的にも許されない行為でした。また、技術が発展していなかった写真加工のため、ウェブサイトや紙媒体などに掲載されるビフォーアフター写真も、実際の手術結果をそのまま反映していました。結果として、技術的に未熟な医師は、印象的な手術結果の写真をメディアに公開することもできず、経歴より経験不足が明らかであれば、開業することはほとんどありませんでした。従って、多くの美容外科医は、十分な経験を積んだ後に開業するのが一般的でした。実際、美容外科経験が乏しい医師が開業しても、すぐに閉院するケースも散見されました。しかし、現代においては、この状況は大きく変わりました。特にインスタやティックトックなどのSNSには広告規制がありません。また、写真や動画の加工技術が進歩し、手軽に行えるようになったことで、施術結果の写真や動画を偽装し、SNS上に掲載することが可能になっています。このため、技術や経験が乏しくても、SNSを巧みに活用し、一見魅力的なビジュアルコンテンツを提供することで、美容外科医として患者を集客する道が開かれてしまっています。また、医師ではない経営のプロが経験の浅い医師を雇い、クリニック運営を行うケースも多いのが現実です。これも、経験の浅い美容外科医によるクリニック増加の一因にもなっています。従って、現在は美容外科医に技術や経験がなくても、SNSを巧みに活用すれば、患者を集客し、美容外科クリニックを運営できる時代になってしまったのです。

誤解を招く広告と強引なアップセールス

美容外科業界では、SNS上での虚偽のビフォーアフター写真の掲載に加えて、誤解を招く価格表示を行うクリニックが急増しているという問題が浮き彫りになっています。日本では、低価格を打ち出した広告に対して、消費者が疑いを持たずに魅力を感じる傾向があります。例えば、「二重治療8000円」という広告があると、多くの人が実際にその価格で手術が可能だと信じてしまうようです。しかし、現実には、数千円で提供される美容外科手術は存在しません。

このような低価格の広告に惹かれてクリニックを訪れた患者に対し、実際には「あなたの目には8000円の治療は適していません。より高額な治療が必要です」といった具合に、相場よりもはるかに高額な治療を勧めるケースが増えています。このようにいわゆる「えげつないアップセールス攻撃」を受け、しばしば患者とクリニックの間でトラブルを引き起こしています。実際、消費者センターでも、美容外科における強引なアップセールスから生じるトラブルが急増していると報告されています。

まとめ

本記事では、急増するトラブルが多い美容外科クリニックと同じく増加している技術的に下手な美容外科医の問題を詳細に分析しました。日本人においては、見た目の情報を簡単に信じる傾向があり、特に美容外科に関連する広告やビフォーアフター写真に対しては、より懐疑的な視点を持つことが重要です。美容外科クリニックでのトラブルを避け、技術的に未熟な医師による手術のリスクを減らすためには、初めに見た情報に対して疑問を持つことが必要です。患者は、治療を受ける前に、華やかな広告や写真に惑わされることなく、広く情報を集め、真の信頼できる美容外科を見極めるべきです。治療を急ぐことなく、慎重に考え、十分な検討を経て適切な治療を選択することが、安全で満足のいく結果を得るためのポイントとなります。この過程によって、美容外科のトラブルや失敗のリスクを大幅に減らすことが可能です。患者自身の知識と情報収集が、美容外科選びにおいて重要な役割を果たします。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。

【関連項目】

美容外科治療を受ける場合の問題と注意点

 

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