投稿日:2025/06/10
(最終更新日:2025/06/10)

ニキビ跡の治療・治し方:専門美容外科医が徹底解説

ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」は、大きく分けて3種類あります。それぞれに適した治療アプローチが異なり、正しい治し方を選ぶことで高い効果が得られます。専門の美容外科医である筆者が、最新のエビデンスに基づきニキビ跡のタイプ別治療法を解説します。特に当院で提供している治療の強みや効果についても紹介しますので、ニキビ跡改善の参考にしてください。

まずニキビ跡は大きく以下の3タイプに分類できます:

  • クレーター状のニキビ跡(萎縮性瘢痕) – 肌に凹凸(クレーター)が残った状態
  • 赤ら顔型のニキビ跡(炎症後紅斑) – 炎症が治まった後も赤みが残った状態
  • 色素沈着型のニキビ跡(炎症後色素沈着) – 茶色や黒っぽいシミのような色素が残った状態

以下で各タイプ別に、その原因と最適な治療法・治し方を詳しく説明します。最新の研究結果や当院の豊富な治療経験も踏まえ、効果的なアプローチをご紹介します。

クレーター状ニキビ跡の治療:サブシジョン+フラクショナルレーザー併用

クレーター状のニキビ跡は、ニキビによる真皮の損傷で肌に凹みが生じた状態です。アイスピック型(鋭く深い穴)、ローリング型(広く浅い緩やかな凹み)、ボックス型(底が平らな凹み)など形状は様々ですが、いずれも肌内部で瘢痕組織が皮下組織と癒着し、皮膚が下に引き込まれて陥没しています。このタイプのニキビ跡はセルフケアでの改善が難しく、医療的なアプローチが必要です。

ニキビ跡のクレーターの仕組み

ニキビ跡の陥没した皮下組織は癒着しており、 下部に引き込まれています。

クレーター状ニキビ跡の模式図。真皮下で皮膚が癒着し、肌表面が滑らかさを欠いている。

最も効果的な治療法は、サブシジョン(瘢痕組織剥離術)とフラクショナルレーザーを組み合わせる方法です。当院でも積極的に取り入れている治療で、多くの患者様が「クレーターが目立たなくなった」と高い満足度を示されています。サブシジョン+レーザー併用が有効な理由とポイントを見ていきましょう。

サブシジョンで癒着を剥がす

サブシジョンとは特殊な細い針を皮下に挿入し、ニキビ跡の直下に張り付いた硬い線維(瘢痕組織)を剪断・切断して剥離する施術です。皮下で絡みついた瘢痕を断ち切ることで癒着が解消し、下に引っ張られていた皮膚がふわっと持ち上がりクレーターが浅くなります。

ただし、この施術は皮下組織を直接扱う外科的手技のため、解剖を熟知し経験豊富な美容外科医が行うことが重要です。私はサブシジョン治療の症例経験が豊富で、丁寧かつ確実に癒着を剥がすことで最大限の効果を引き出します。

フラクショナルレーザーで凹凸肌を再生

サブシジョンで土台を持ち上げた後、フラクショナルCO2レーザーなどで肌表面を滑らかに整えます。フラクショナルレーザーは肌に無数の極小の点状の熱ダメージを与え、コラーゲン産生による瘢痕の再構築を促す治療です。肌の一部のみを入れ替える部分的照射なので回復が早く、治療後のダウンタイム(赤み・カサブタなどの回復期間)が比較的短いのも特徴です。

例えば当院で用いる炭酸ガスフラクショナルレーザーでは、照射後約1週間程度で赤みが収まりメイクで隠せる状態になります。これはダーマペンやダーマローラー治療より早い回復です。

また効果も高く安全性も良好で、近年の研究ではフラクショナルCO2レーザー治療はマイクロニードリング治療(ダーマペンやダーマローラー)よりもニキビ跡改善効果が優れていたとの報告があります。

併用療法の相乗効果

サブシジョンとフラクショナルレーザーを組み合わせることで、凹みの原因に上下両方からアプローチできます。下層では癒着を物理的に解除し、上層では皮膚再生を促すため、単独治療より大きな改善が期待できます。

実際、2020年以降の英語論文でも併用療法が単独療法より有効とのエビデンスが増えています。科学的にも併用の有効性が裏付けられており、当院でも患者様一人ひとりのニキビ跡の状態に合わせサブシジョン+レーザーの最適な組み合わせ治療を提供しています。

▶️クレーター状ニキビ跡の治療(サブシジョン・フラクショナルレーザー)についてはこちら

ダーマペンやローラーとの比較

ダーマペン

ニキビ跡治療としては、ダーマペンやダーマローラーなどのマイクロニードリングも知られています。これらも微小な針で皮膚に穴を開けコラーゲン産生を促す点でフラクショナルレーザーと似た作用があります。ただし、フラクショナルレーザーの方が照射深度やエネルギーを精密にコントロールでき、同等の効果でよりダウンタイムが短い傾向があります。

実際、あるランダム化比較試験ではフラクショナルCO2レーザー治療の方がダーマペンによる治療より瘢痕の改善効果が高かったとの結果でした。また、ダーマペン等は皮膚表面の出血や腫れが数日続くこともありますが、フラクショナルレーザーは回復が早く、ダウンタイムの短いため、大きなメリットがあります。

以上のように、クレーター状ニキビ跡にはサブシジョン+フラクショナルレーザーの組み合わせが最も効果的な治し方です。

参照元:
・Treatment of acne scars using subcision combined with concentrated growth factors versus subcision monotherapy: a retrospective cohort study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39994089/
・A Randomized Study to Evaluate the Efficacy Fractional CO2Laser, Microneedling and Platelet Rich Plasma in Post-Acne Scarring
https://journals.lww.com/idoj/fulltext/2020/11030/a_randomized_study_to_evaluate_the_efficacy.9.aspx
・A Study to Evaluate Various Upcoming Therapies for Acne Scars
https://journals.lww.com/cddr/fulltext/2020/04020/a_study_to_evaluate_various_upcoming_therapies_for.10.aspx

赤ら顔型ニキビ跡の治療:IPL(フォトシルクプラス)で赤みケア

炎症後にニキビのあった部分が赤く残るタイプのニキビ跡は、「炎症後紅斑」と呼ばれます。皮膚の浅いところに拡張した毛細血管が残存している状態で、ニキビが治った後もしばらく赤ら顔のように見えてしまうのが特徴です。メイクで隠しづらく、人によっては数ヶ月〜1年以上赤みが引かないケースもあります。この赤ら顔型ニキビ跡には光エネルギーを使った治療が効果的です。

中でも当院で採用しているIPL治療器「フォトシルクプラス」は、炎症後紅斑の改善に優れた効果を発揮します。IPLはレーザーとは異なり幅広い波長帯の光を発する光治療で、肌の様々なターゲットに作用できます。

フォトシルクプラスの場合、約500nm〜1200nmの広い波長の光を照射できるため、赤みの原因であるヘモグロビン(血液中の色素)にも反応させつつ、シミの原因メラニンにも同時にアプローチ可能です。この一台で赤みも色素沈着もケアできる点が大きな強みです。

実際の効果も科学的に実証されています。IPL治療のある研究では、81.7%の患者で顔の赤みが完全または部分的に消失し、治療後の評価スコアも有意に改善したとの結果が報告されています。副作用もほとんどなく、IPLはニキビ跡の赤みに対して有効かつ安全な治療法であると結論づけられました。

フォトシルクプラス治療のメリット

  • 赤みへの高い効果

 血管拡張による赤ら顔を沈静化します。幅広い波長の中でも血中ヘモグロビンに吸収される波長帯の光を含むため、赤いニキビ跡の色素を選択的に減少させます。実際にフォトシルクプラス施術を受けた多くの患者様が、「しつこかった赤みが引いて肌色が均一になった」と効果を実感しています(当院ブログでも症例紹介あり)。

  • 美肌効果も同時に得られる

フォトシルクプラスはシミ・くすみの改善や肌ハリの向上など美肌治療としての総合効果もあります。赤み治療がきっかけで施術を始め、その後も定期的に続けることで肌質自体が良くなり、「ニキビができにくくなった」「毛穴が目立たなくなった」といったお声もあります。赤み治療しながら美肌も目指せる点で、一石二鳥のアプローチといえます。

  • ダウンタイムが短い

フォトシルクプラス照射後は、わずかに赤みやほてりが出る程度でメイクも当日または翌日から可能です。レーザーのようにかさぶたになったり皮がむけたりするダウンタイムがほとんどないため、仕事や学校を休まず治療を受けられます。「治療後に予定があっても安心」と好評です。

  • 経験豊富な施術者による施術

IPLは機械任せという印象があるかもしれませんが、実際には出力調整、照射テクニックによって効果に差が出ます。当院では熟練の看護師が医師の指導の下で最適な設定・照射を行いますので、機械のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。経験豊富なスタッフによる丁寧な施術で、安全かつ的確に赤み改善へと導きます。

当院のIPL治療「フォトシルクプラス」については、ブログ記事『フォトシルクプラスのさまざまな効果』でも詳しく紹介しています。赤ら顔型のニキビ跡でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

当院のフォトシルクプラスでそばかすが改善した例

▶️フォトシルクプラスのさまざまな効果についてはこちら

参照元:
Intense Pulsed Light Therapy Improves Acne-Induced Post-inflammatory Erythema and Hyperpigmentation: A Retrospective Study in Chinese Patients
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9110597/

色素沈着型ニキビ跡の治療:再発予防と肌再生(アグネス治療の活用)

ニキビ跡が茶色っぽくシミのように見える色素沈着型は、「炎症後色素沈着(PIH:Post-Inflammatory Hyperpigmentation)」と呼ばれます。炎症によって刺激されたメラノサイトがメラニン色素を過剰産生し、ニキビ部位に沈着することで生じます。

この色素沈着自体は時間とともに薄れていくことも多いのですが、厄介なのはニキビが繰り返しできて常に新たな色素沈着が追加されてしまうケースです。つまり、色素沈着型ニキビ跡に悩む多くの方は慢性的にニキビが再発し続けている状態でもあります。

そのため、このタイプのニキビ跡の治し方で鍵となるのは、新しいニキビの再発を防ぐことです。色素沈着そのものを薄くする治療(レーザートーニングやイオン導入治療など)もありますが、原因のニキビ発生を止めなければイタチごっこになってしまいます。まずニキビの根本治療を行い、その上で肌のターンオーバーによる自然な色素排出を促すことが重要です。

アグレッシブにニキビを封じる「アグネス治療」

当院では慢性的なニキビが原因の色素沈着に対し、「アグネス(AGNES)」という最新のニキビ治療機器を活用しています。アグネス治療とは、高周波(RF)エネルギーを照射できる極細針をニキビの毛穴に直接刺入し、ニキビの原因となる皮脂腺を選択的に破壊する治療です

簡単に言えば、ニキビの“種”である皮脂腺そのものを退治してしまうイメージです。従来の外用薬や内服薬が「炎症を抑える・菌を減らす」といった対症療法だったのに対し、アグネスは物理的に皮脂腺を破壊するためニキビの再発箇所自体をなくすことができる根本治療です。

▶️ニキビの根本治療「アグネス」についてはこちら

アグネス治療のポイント

  • 再発率の大幅低下

アグネスで皮脂腺を破壊した毛穴からは、基本的に新たなニキビは出来なくなります。海外の症例では最終治療から1年後のニキビ再発率が10%未満との報告もあり、非常に再発しにくい長期持続型の効果が期待できます。実際に当院で治療を受けた患者様からも「アグネスをしてからあんなに繰り返していたニキビがピタッとできなくなった」と喜びの声を頂きます。

  • 炎症の沈静化と色素沈着の自然改善

繰り返しニキビができている肌では常に炎症が起きているため、メラニン沈着も慢性化してしまいます。アグネス治療で新規のニキビ発生を抑えれば、肌は炎症のない安定した状態になります。そこからは肌の新陳代謝の力で時間とともに色素沈着が少しずつ薄れていきます。つまりニキビの再発を止めること自体が色素沈着治療につながるのです。必要に応じてレーザートーニングによるシミ治療を追加することで色素の排出を早めることも可能ですが、まずはニキビ源を断つことが最優先です。

  • 肌質改善と毛穴ケア効果も

 アグネスの高周波エネルギーには、皮脂腺の破壊だけでなく真皮のコラーゲン生成を促す作用もあります。そのため治療後はニキビができなくなるだけでなく、治療部位の肌質が滑らかになり毛穴が引き締まるという嬉しい効果も報告されています。当院でもアグネス治療後に「肌全体が前よりキメ細かくなった」と感じる患者様が多いです。凹凸や赤みの無いなめらかな肌への再生を促す点でも、アグネスは優れた治療と言えます。

アグネス治療は、しぶとい大人ニキビ・反復性のニキビに高い効果を示します。色素沈着型のニキビ跡でお悩みの方は、まずこのアグネスによる根本治療でニキビサイクルを断ち切りましょう。その上で時間の経過とともに残った色素も薄まり、徐々にニキビ跡が目立たなくなっていきます。当院ではアグネス治療についても詳しくカウンセリングし、必要に応じ他の美肌治療と組み合わせて総合的にサポートいたします。

アグネスの治療前後コメカミ

▶️しつこいニキビのお悩み、当院の症例紹介はこちら

まとめ

ニキビ跡の治療・治し方は、一人ひとりのニキビ跡のタイプによってベストな選択肢が異なります。クレーター状にはサブシジョン+フラクショナルレーザーという施術の組み合わせ、赤みにはIPL(フォトシルクプラス)による血管ケア、色素沈着にはアグネス治療によるニキビ根治と再発予防といった具合に、それぞれ専門的なアプローチが必要です。

 

近年の研究でも、こうした複数の治療法を組み合わせることで単独治療を上回る効果が得られることが明らかになっています。実際に当院でも総合的な治療プランにより、多くの患者様が長年悩んだニキビ跡から解放されています。「ニキビ跡はもう治らない」とあきらめる必要はありません。適切な治療を行えば、凸凹や赤み・シミのない健やかな肌に近づくことが可能です。

 

大切なのは、自己流のケアに頼らず専門の医師に相談することです。美容皮膚科・美容外科の分野では日進月歩で新しい治療技術が登場しており、当院でも常に最新の知見を取り入れた治療を提供しています。経験豊富な医師・看護師チームが、あなたのニキビ跡の状態と肌質を見極め、最適な治療プランをご提案いたします。

 

「ニキビ跡を何とかしたい」「効果的な治療法や治し方を知りたい」という方は、ぜひ一度専門クリニックのカウンセリングにお越しください。当院では症例実績も豊富にございますので、安心してお任せいただけます。あなたに合ったニキビ跡治療で、鏡を見るのが楽しくなるような肌を一緒に目指しましょう。お気軽にご相談ください。

 

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。
日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。
また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている
ウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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千葉船橋院:千葉県船橋市(JR総武線・横須賀総武快速線、東武野田線、京成本線船橋駅)、東京青山院:東京都港区北青山(地下鉄銀座線外苑前駅)がございます。
年間で累計約4万人の患者様にご来院いただいており、国内屈指の症例数がございます。
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〒273-0005
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責任者:元神賢太
最終学歴:H11年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H15年船橋中央クリニック開業

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