【ミラドライがワキガに効果がない理由】広告に騙されないように - 美容外科｜船橋中央&青山セレスクリニック　美容外科｜船橋中央&青山セレスクリニック

ミラドライは原発性腋窩多汗症の治療器として厚生労働省に承認されていますが、これは「多汗症」に対してのみ有効であり、「ワキガ症」には適用されません。しかし、多くの美容クリニックでは、ミラドライをワキガ治療として使用しています。このブログ記事では、ミラドライがワキガに効果がない理由を詳しく説明し、ミラドライ治療を受ける際に後悔しないための重要な情報を提供します。ミラドライとワキガ治療の違いを理解し、自分に最適な治療法を選択するための参考にしてください。

多汗症と腋臭症は別物

多汗症と腋臭症は異なる問題です。多汗症はエクリン汗腺からの過剰な汗の分泌を指します。一方、腋臭症はアポクリン汗腺からの汗が原因で発生する臭いです。アポクリン汗腺は主に脇、乳輪、陰部に存在し、これらの部位で臭いを発生させます。特に脇の腋臭はワキガ、乳輪はチチガ、陰部はスソワキガと呼ばれます。多汗症と腋臭症は併発することが多く、このため患者が治療選択に迷うことがあります。しかし、現時点ではどちらの状態に対しても完璧な治療法は存在しないのが実情です。従って、治療法を選ぶ際にはこれらの違いを理解し、適切な情報を基に判断することが重要です。

ミラドライの効果

ミラドライは、腋窩多汗症（脇の過剰な発汗）を治療するための非侵襲的手法です。この治療法は、5.8GHzのマイクロ波を利用して皮膚の真皮層にあるエクリン汗腺をターゲットにし、熱でこれらの汗腺を破壊します。これにより、エクリン汗腺の一部が破壊され、発汗が大幅に減少します。処置は通常、局所麻酔を使用して行われ、約1時間で完了します。ミラドライは迅速で効果的な治療法として、多くの患者に利用されていますが、ワキガに対する効果はほとんどありません。

ミラドライがワキガ症に効かない理由

ミラドライは5.8GHzのマイクロ波を使用して、真皮層にあるエクリン汗腺をターゲットにし、熱で破壊します。しかし、その波長は固定されており、エネルギーの到達深度を調整することができません。このため、ミラドライはエクリン汗腺にのみ効果を発揮しますが、ワキガ症の原因であるアポクリン汗腺はより深い皮下組織に位置しています。結果として、ミラドライのエネルギーはアポクリン汗腺に届かず、ワキガ症の根本的な治療には効果がありません。これが、ミラドライがワキガ症に対して効果がほとんどない主な理由です。従って、ミラドライではワキガに対する治療効果が見られない場合が多く、結果的に患者が期待する効果を得られません。ワキガ症の治すには別の方法が必要です。

厚生労働省の試験結果から見たミラドライの無効性

ミラドライは、多汗症の治療機器として厚生労働省から正式に認可されています。この認可に関する審議は、2018年5月11日に開催された薬事・食品衛生審議会にて行われました。その議事録には、ミラドライがワキガ症に対して効果がないことが明記されています。医薬品医療機器総合機構の発言によると、「臨床試験の結果、ミラドライは臭いの低減効果を示さなかった」とされています。このため、ミラドライは多汗症の治療には効果的ですが、ワキガ症の治療には適応外と結論付けられました。これは、ワキガの原因となるアポクリン汗腺に対してミラドライのマイクロ波が効果を発揮しないためです。結果として、ミラドライがワキガ症に対して効果が期待できないことが公式に確認されています。

出典元：

2018年５月11日薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

ミラドライでワキガ治療を行う医療機関に注意

ミラドライは脇の多汗症にのみ有効であり、それ以外の部位や症状には効果がありません。厚生労働省が認可しているのも重度の原発性腋窩多汗症に限られます。ワキガ多汗症治療のガイドラインを作成している日本皮膚科学会などの主要な医学会からも、安全性と効果に疑問があるため、ミラドライを脇の多汗症治療以外に用いないよう注意喚起しています。このように注意喚起にもかかわらず、ネット上では未だに多くの美容クリニックによるワキガ症に対するミラドライ治療の広告が溢れています。このように効果がほとんどない治療を推奨しているクリニックの背景には、患者を治すという使命ではなく、自らの利益を追求する姿勢が見受けられます。

さらに、厚労省の認可を強調することで、ワキガ症にも効果があるかのように誤解を招く広告が行われています。このようなクリニックの利益追求による治療が原因で深刻な医療事故が発生した例もあり、ミラドライによるスソワキガ治療後に患者が死亡する事故も報告されています。この事故では、ミラドライによるⅢ度の熱傷が原因でフルニエ壊疽が発症し、最終的に死亡に至りました。このような背景から、ミラドライでワキガ治療を行う医療機関には注意が必要です。

効果的なワキガ治療とは

ミラドライはワキガ症に効果がありません。では、ワキガに対して有効な治療法はどのようなものでしょうか？以下に代表的な治療法を紹介します。

■ビューホット

ビューホットは、皮膚表面から針を刺し、針の先端から発せられる高熱（フラクショナルRF）によってエクリン汗腺とアポクリン汗腺を破壊する治療法です。ミラドライとは異なり、針の深度を調整することで皮膚の厚さや目的に応じて効果を発揮します。これにより、皮膚の深部にあるアポクリン汗腺も破壊し、ワキガ症を改善します。ビューホットは、スソワキガやチチガにも効果があり、ワキガ症の改善率は70％、多汗症の改善率は50％程度で、効果は長期間持続します。

■手術

ワキガ治療にはさまざまな手術方法がありますが、経験豊富な医師による手術であれば少なくとも50％以上の改善が期待できます。特に、シェービング法は100％の改善が可能とされ、筆者はこれを最も推奨しています。ただし、手術の効果は術者の技術に大きく依存するため、手術を選択する際には医師の経験を十分に調査することが重要です。