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元神院長執筆 専門医と学ぶ美容医療ブログ
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レーザートーニングって何?肝斑が悪化する原因や治療法も詳しく解説

更新日:2026/10/05

公開日:2024/09/05

レーザートーニングという治療法をご存知でしょうか。顔の左右対称に現れる肝斑(かんぱん)に使用される治療法のひとつです。実は、肝斑は、一般的な老人性色素斑とは原因も治療法も異なるため、施術の選択によってはかえって悪化させるリスクがあります。

肝斑に限りませんが、肌のお悩みは仕組みや特徴・原因を理解したうえで、治療法を選ぶことも重要です。本記事では、肝斑の改善効果を期待できるレーザートーニングのほか、肝斑の特徴や悪化させる原因について詳しく解説します。

肝斑とは

肝斑(かんぱん)とは、主に顔に左右対称に現れる茶色から灰褐色の色素斑のことです。かつては、肝臓の不調と関係があると考えられていましたが、実際には肝機能との直接的な関係はありません。特に女性に多く、一般的には頬骨付近に見られますが、額や鼻、口の周囲などに現れる方もいらっしゃるでしょう。

頬骨に沿って帯状に広がるなど、まとまった範囲に見られる傾向があります。輪郭がぼやけ、境界がはっきりしないことも特徴です。また、色の濃さや広がり方は人それぞれで、ほかの種類のシミと混在しているケースも多く見受けられます。

見た目だけで肝斑をほかの色素斑と区別するのは、容易ではありません。適切な治療を選ぶためにも、クリニックや医療機関で正しく診断してもらいましょう。

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肝斑ができる3つの原因

肝斑ができる原因は、大きく分けて3つあります。

遺伝的要因

肝斑ができる原因のひとつとして、遺伝的な要因が関係すると考えられています。肝斑のある方は、家族にも同じ症状が見られるケースが多いとされています。実際、ブラジルの肝斑患者を対象にした研究でも、第一度近親者にも肝斑がみられる割合が高いとの報告があります。

このほか、発症傾向には集団による違いもあり、東アジア人やインド人、中東系、ラテンアメリカ人などで多いことが確認されています。こうした研究結果からも、肝斑の発症には遺伝的な素因が関係するといえます。

参照:Espósito ACC, Cassiano DP, da Silva CN, et al. Update on Melasma—Part I: Pathogenesis. Dermatology and Therapy. 2022;12(9):1967–1988.

ホルモンの変化

肝斑ができる原因には、ホルモンの変化も考えられます。先述のように女性に多く見られるのは、エストロゲンなどの女性ホルモンが関係しているためです。特にエストロゲンは、顔の皮膚に広く分布するエストロゲン受容体を介してメラニン生成に関与すると考えられています。

妊娠中や経口避妊薬の使用中に肝斑が見られるケースもあり、複数の研究をまとめたレビューでは、妊娠中の女性では14.5〜56%、経口避妊薬を使用している女性では11〜46%に肝斑が見られた旨が報告されており、ホルモン変化の影響は否定できません。

ただし、肝斑患者の血清ホルモン値については研究結果に一貫性がなく、現段階ですべてのメカニズムが解明されているわけではありません。一方、男性の肝斑は、性腺機能低下症やテストステロン値の低下と関連することが示唆されています。なかには、男性型脱毛症(AGA)治療中のフィナステリド使用がきっかけで発症した症例も報告されています。

参照:Espósito ACC, Cassiano DP, da Silva CN, et al. Update on Melasma—Part I: Pathogenesis. Dermatology and Therapy. 2022;12(9):1967–1988.

太陽光への曝露

太陽光への曝露は、肝斑の発症や悪化に関与する環境要因のひとつです。太陽光に含まれる紫外線には、主にUVAとUVBの2種類があります。いずれも、メラノサイトを刺激してメラニンの生成を促すものです。具体的には、UVAは真皮まで届きやすく、UVBは主に表皮に強く作用するなど、皮膚に異なる影響を与えます。

また、太陽光には、可視光線や赤外線も含まれ、近年は、可視光線が肝斑の色素沈着に関与している可能性も指摘されています。

このように、太陽光は複数の波長を通じて肝斑に影響する可能性があります。発症や悪化を防ぐためにも、日焼け止めなどを活用して日常的に紫外線対策を忘れないようにしましょう。

肝斑を悪化させる原因

肝斑を悪化させる原因は、大きく分けて5つあります。

摩擦

毎日のスキンケアやメイク落としなどで摩擦を繰り返すと、肝斑を悪化させるおそれがあります。顔の皮膚を強くこすった物理的な刺激で炎症が生じ、メラノサイトが刺激されてメラニンが生成されやすくなるためです。

特に、クレンジングや洗顔で肌を強くこする習慣のある方は、日常的に刺激を繰り返している可能性がありますので注意しましょう。

摩擦で角質層が傷つくと、皮膚のバリア機能も低下します。さらに、紫外線などの外部刺激の影響を受けると、炎症を通じて肝斑の悪化につながります。

クレンジングや洗顔は、皮膚表面のメイクや皮脂だけを落とすことがポイントです。その後、ご自身の肌質にあった成分で十分に保湿し、角質層のバリア機能を保つよう意識しましょう。

睡眠不足

肝斑を悪化させる原因としては、睡眠不足も考えられます。十分な睡眠が取れない状態が続けば、皮膚の新陳代謝や修復機能に影響し、肝斑を悪化させることもあります。

実は、睡眠不足によるストレスは、活性酸素の増加やストレスホルモンであるコルチゾールの分泌にも関係しているのです。このような変化によって皮膚に炎症が起こると、メラニンの生成が促され、色素沈着が悪化するおそれもあるため注意しましょう。

十分な睡眠時間を確保しつつ眠りの質を整え、皮膚が休息・修復できる環境を保つことが大切です。

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎も、肝斑を悪化させる原因のひとつです。化粧品やスキンケア製品、外用薬などに含まれる特定の成分が肌に触れると、アレルギー反応や刺激によって炎症を起こす可能性があります。この炎症がメラノサイトを刺激してメラニンの生成を促し、肝斑を悪化させてしまうことがあるのです。

実際、香料や保存料、染料などの化粧品成分が接触性皮膚炎を起こしたケースも報告されています。化粧品で赤みやかゆみなどが現れた場合は、使用を中止したほうがよいです。

ストレス・大気汚染

ストレスや大気汚染も、体内や皮膚に影響を与え、肝斑を悪化させると考えられています。

ストレスが過度に続くとホルモンバランスが乱れ、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌に影響します。その結果、メラニンの生成が促されるだけでなく、肌の回復力が低下し、色素沈着を悪化させることもあります。

また、PM2.5などの大気汚染物質も、皮膚に酸化ストレスを与えてメラニンの生成を促す要因になります。大気汚染の程度が高い地域では肝斑の発症が多いとの報告もあるため、ご自身の周辺の環境要因についても確認しておきましょう。

医療行為

美容医療などの医療行為も、施術方法や肌の状態によっては、肝斑を悪化させる原因になります。特に、肌に強い刺激を与えるIPL(光治療)や、肌の状態に合わないケミカルピーリングには、注意が必要です。

光を照射してシミなどの色素に働きかけるIPL治療は、肝斑のある部位に強い刺激を加えると炎症を招き、色素沈着が濃くなることもあります。

一方、ケミカルピーリングは、薬剤で古い角質を取り除く施術です。しかし、過度な剥離や刺激が皮膚に大きな負担をかけると紫外線などの影響を受けやすく、肝斑の悪化につながるおそれがあります。

肝斑のなかには、ほかのシミとの見分けが難しいものもあり、改善するはずがかえって悪化させることもあります。美容医療を受ける際は、肝斑の有無や肌の状態を診断したうえで、適切な施術方法を選ぶことが大切です。

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肝斑とシミの違い

この章では、肝斑とシミ(老人性色素斑)の違いについて詳しく説明します。ご自身の肌のお悩みが、どちらのタイプかを見極めることは、適切なケアを選ぶうえでとても大切です。

▶️シミ治療の詳細はこちら

原因

肝斑とシミ(老人性色素斑)は、そもそも発生する原因が違うのです。肝斑は、遺伝的な要因やホルモンバランスの変化、紫外線など、複数の要因が関係して発症すると考えられています。

一方、老人性色素斑は、長年にわたる紫外線の影響が主な原因です。人間の肌は紫外線を浴びると、色素細胞のメラノサイトがメラニンを生成します。このメラニンには、紫外線を吸収し皮膚の細胞をダメージから守る役割があるのです。

本来なら、生成されたメラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。しかし、年齢を重ねてその働きが乱れると皮膚に蓄積され、やがてシミとして現れるのです。特に、日光を浴びる機会が多い方ほど生じやすくなります。この老人性色素斑は肝斑とは異なり、男女を問わずみられるのも特徴です。

見分け方

肝斑と老人性色素斑は、現れる位置や形、色などからある程度見分けられます。頬骨の高い部分や額、口の周囲などに左右対称に広がり、輪郭がぼんやりしているのが肝斑です。色は薄茶色から灰褐色で、ある程度まとまった範囲に広がる傾向があります。

老人性色素斑は肝斑とは異なり、輪郭が比較的はっきりしているのが特徴です。一般的に、茶色の独立した斑点として現れ、顔だけでなく紫外線を浴びやすい手や腕などにもみられます。

一度できてからの経過も異なり、肝斑はホルモンの変化や季節で色の濃さが変化することもありますが、老人性色素斑ではこのような変化は一般的ではありません。

ただし、左右対称にみえる色素斑が必ずしも肝斑とは限りません。たとえば、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)など、別の色素斑である可能性があります。適切な治療を受けるためにも、見た目だけで判断せず、医療機関で診察を受けましょう。

肝斑の治療法

肝斑の治療は、肌の状態や症状に応じて複数の方法を組み合わせ、少しずつ改善を目指していきます。代表的な治療法や対策は次の4つです。

・生活習慣・スキンケアの見直し
紫外線対策をしっかりおこない、洗顔やメイクなどの摩擦をできるだけ控えましょう。

・トラネキサム酸の内服
抗プラスミン作用によってメラニンの生成を抑える治療です。

・ビタミンCイオン導入
抗酸化作用などを持つビタミンCを、微弱な電流を利用して肌に浸透させます。

・レーザートーニング
低出力のレーザーを照射し、肌への刺激を抑えながらメラニンに働きかける治療です。

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レーザートーニングによる肝斑治療

この章では、レーザートーニングによる肝斑治療について、次の5つの項目に分けて詳しく説明します。

  • 照射方法と仕組み
  • 期待できる効果
  • 治療の適切な回数と間隔
  • 効果を感じにくい場合
  • 副作用・リスクと注意点

肝斑の治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

照射方法と仕組み

レーザートーニングの照射方法は、肝斑の原因となるメラニンに低出力のレーザーを均一に働きかける点が特徴です。一般的には、波長1,064nmのQスイッチNd:YAGレーザーを用います。レーザーのメラニンに反応する波長を利用し、周囲の皮膚への負担を抑えながら色素に作用する仕組みです。

レーザートーニングは、強い出力でメラニンを一度に除去するのではなく、低出力のレーザーを繰り返し照射し、メラニンを少しずつ細かくしていきます。 

細かくなったメラニンは、マクロファージと呼ばれる免疫細胞に取り込まれ、時間をかけて処理されながら色素沈着が徐々に薄くなっていくのです。

強いレーザー照射で肝斑が炎症を起こしてしまうと、かえって色素沈着を悪化させるおそれがあります。一度に取り除くのではなく、低出力で繰り返し照射しながら段階的に改善を目指すのが、肝斑のレーザートーニング治療のポイントです。

期待できる効果

レーザートーニングで期待できる効果は、肝斑の色素沈着を薄くすることです。

実際、韓国の研究チームが、2009~2022年に発表された低フルエンスQスイッチNd:YAGレーザーによる肝斑治療の臨床研究を対象に系統的レビューをおこないました。具体的には、これまでに報告された臨床研究をもとに、レーザートーニングの有効性や副作用、再発率、ほかの治療との併用について検証しています。

対象となった研究では、肝斑の改善効果が見られたものも多い反面、治療条件によって色素脱失などの副作用や再発も複数報告されました。レビューでは、適切な照射条件で治療する重要性も示唆しています。

ちなみに、複数の要因が関係する肝斑は、レーザートーニングだけでなく、トラネキサム酸などの内服薬やほかの治療法と組み合わせるケースも少なくありません。実際、レーザートーニング単独では、治療後に肝斑が再燃する傾向も指摘されています。これらを踏まえると、肝斑には総合的な治療計画を立てる必要があるといえます。

参照:Lee YS, et al. The Low-Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Treatment for Melasma: A Systematic Review. Medicina. 2022;58(7):936.

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治療回数と間隔の考え方

治療の適切な回数と間隔は、肌の状態や使用する機器、照射条件などによって異なります。肝斑のレーザートーニングは、肌の状態を確認しながら、複数回の施術で改善を目指すものです。照射間隔が短すぎると、皮膚が十分に回復しないうちに次の刺激が加わり、色素沈着の悪化や色素脱失などを招くおそれがあります。治療の間隔は、肌の状態や経過に応じてそれぞれ調整する必要があります。

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効果を感じにくい場合

レーザートーニングで効果を感じにくい場合は、主に2つの理由が考えられます。

1.治療回数が足りていない
レーザートーニング治療に必要な回数に届いていないのかもしれません。複数回の照射を重ねながら少しずつ肝斑を薄くしていく治療ですので、数回の施術で変化が乏しくても、すぐに効果の有無を判断できません。肌の状態や治療経過を確認しながら、継続すべきかどうかを医師と相談しましょう。

2.肝斑以外の色素斑が混在している
肝斑だと思っていたものが老人性色素斑やそばかす、ADMなど別の色素斑であれば、レーザートーニングを用いても十分な効果を得られません。また、複数の色素斑が混在しているケースもあります。医師の診断に基づいて、適切な治療法を選択することが重要です。

たとえ効果を感じられなくても自己判断で治療を中断せず、医師に相談して治療回数や診断、治療方法を見直しましょう。

副作用・リスクと注意点

レーザートーニングの主な副作用・リスクには、炎症後色素沈着や色素脱失(白斑)などがあります。特に注意したいのが、短い間隔で照射を繰り返したことで生じる色素脱失です。

実際、QスイッチNd:YAGレーザーを週3回、2ヶ月間受けた中国人患者23人を対象とした研究では、全員の両頬に細かな白斑が確認されました。その後の経過を追跡できた13人では、照射を中止して4ヶ月が経過しても色が戻らなかったと報告されています。ちなみに、頻回なレーザートーニングによる色素脱失は、別の研究でも確認されている副作用です。

このようなリスクを避けるためにも、必要以上に照射間隔を詰めたり、漫然と治療回数を増やしたりしないよう心がけましょう。施術期間中は万全な紫外線対策を実践し、洗顔やメイク落としによる摩擦もできるだけ控えてください。

参照:Tian B. The Asian Problem of Frequent Laser Toning for Melasma. J Clin Aesthet Dermatol. 2017;10(7):40-42.
参照:Wong Y, et al. Hypopigmentation Induced by Frequent Low-Fluence, Large-Spot-Size QS Nd:YAG Laser Treatments. Ann Dermatol. 2015;27(6):751-755.

まとめ

肝斑は、ホルモンの変化や紫外線など、複数の要因が関係する色素沈着です。だからこそ、改善を目指すには、ご自身の症状や肌の状態に合った治療を選ぶ必要があります。

レーザートーニングは、低出力のレーザーを複数回照射し、肝斑を少しずつ薄くしていく治療法です。医師と相談しながら回数や間隔を調整し、必要に応じて内服薬などを組み合わせながら改善を目指していきます。

なかには、ほかのシミとの見分けが難しく、肝斑かどうかの判断を迷っている方もいらっしゃるでしょう。肌にお悩みのある方やレーザートーニングを検討している方は、まずは当院のカウンセリングにお越しください。

筆者:元神 賢太 船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。美容外科医でありながら、肌治療にも精通している。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。シミ治療、にきび、ニキビ跡治療に定評がある。

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