投稿日:2024/05/15
(最終更新日:2024/05/15)

目の下のたるみ取り手術のダウンタイムとアッカンベー問題について

目の下のたるみ取り手術術前

目の下のたるみ取り手術は、加齢に伴い目立つようになる皮膚のたるみを効果的に解消するための選択肢として広く受け入れられています。特に、皮膚のたるみが顕著な場合、単に脂肪を除去するだけではなく、ハムラ法に代表される余分な皮膚を切除することが必要とされます。このような手術には、通常、比較的長い回復期間(ダウンタイム)が必要ですが、その価値は高いとされています。しかし、手術にはリスクも伴い、特に皮膚を切開することによる合併症として、下まぶたの外反(アッカンベー)が生じることがあります。本稿では、ハムラ法や目の下のたるみ取り手術におけるダウンタイムと、外反のリスクについて、その原因や対処方法も含めて詳しく説明します。

ハムラ法などの皮膚切除を伴う目の下のたるみ取り手術のダウンタイムが長い理由

■まぶたの皮膚は非常に薄い

まぶたの皮膚は体の中でも特に薄く、非常にデリケートな部分です。この特性から、手術による影響が見た目に顕著に表れやすく、腫れや内出血も広がりやすいため、回復が他の部位の手術よりも時間を要することが多いです。特に下まぶたの手術では、皮膚を切開し、時には余分な脂肪を取り除く必要があります。これにより、皮膚の薄さと相まって、手術後のダウンタイムが長引く原因となっています。

■筋肉を切除する操作が多い

さらに、この手術では眼輪筋という目を囲む筋肉の一部を切除することもあります。残された眼輪筋を剥離し、その後で骨膜に固定する操作を伴います。眼輪筋は血流が豊富なため、操作中に出血しやすく、その結果として手術後の腫れが通常よりも長く続くことがあります。このような複雑な手順は、目の下のたるみ取り手術のダウンタイムを延ばす主要な要因の一つです。

目の下のたるみ取り手術の合併症:アッカンベー

目の下のたるみ取り手術

目の下のたるみ取り手術で外反した場合

↑術前と術後1週間で軽度に外反しているケース

目の下のたるみ取り手術、特にハムラ法やその他の皮膚切開を伴う手法では、時に眼瞼外反という合併症が生じることがあります。この状態は、俗に「アッカンベー状態」と呼ばれ、下まぶたが異常に下方へ引っ張られてしまう現象です。このアッカンベー状態の発生には以下の要因が考えられます。

■皮膚の切除量が多すぎる

目の下のたるみ取り手術、特にハムラ法などの皮膚切開を伴う手法では、余分な皮膚を取り除くことでシワやたるみを改善することが目的です。しかし、皮膚の切除量が適切でない場合、つまり切除が過剰に行われると、その結果として下まぶたが異常に下方向へ引っ張られる状態、いわゆるアッカンベーが発生するリスクがあります。

■眼輪筋を引き上げる角度が悪い

ハムラ法などで行われる皮膚切開を伴う目の下のたるみ取り手術において、眼輪筋の引き上げと固定は、たるみを改善するための重要なステップです。この手術では眼輪筋を適切な位置と角度で骨膜に固定することが求められますが、この引き上げる角度が不適切な場合、筋肉のテンションが眼球を前方に押し出す方向に作用することがあります。これは、下まぶたに不自然な力が加わり、結果的に外反(アッカンベー)を引き起こす原因となり得ます。

■原因不明

目の下のたるみ取り手術後に稀に見られる外反(アッカンベー現象)は、手術の技術面で最大限の注意を払っても未だに解明されていない原因によって起こることもあります。皮膚の切除量を適切に管理し、眼輪筋の引き上げ角度にも細心の注意を払っていた場合でも、この現象が発生することが報告されています。特に高齢者の患者においてこの問題が見られることが多いため、加齢による皮膚や筋肉の弾力性の低下が、外反の原因として考えられる可能性があります。これは加齢に伴う自然な組織の変化が手術の影響を受けやすいことを示唆しており、患者と医師が共にこのリスクを理解する必要があります。

出典元:Ectropion

アッカンベー状態になった場合の対処方法

■経過観察

目の下のたるみ取り手術後にアッカンベー状態(眼瞼外反状態)になった場合、多くの患者さんは経過観察を通じて自然に状態が改善されることが一般的です。具体的には、手術後の最初の1か月間で顕著な改善が見られることが多いです。しかしながら、個人差があり、一部の患者さんには3ヶ月から6ヶ月の長期にわたる回復期間が必要となる場合もあります。

外反が経過観察で治っているケース

↑外反が経過観察で治っているケース

■再手術

目の下のたるみ取り手術後にアッカンベー状態が持続する場合、経過観察だけでなく、再手術が必要になることがあります。再手術は、最初の手術から通常6ヶ月以上経過した後に行うことが推奨されます。この時間を空ける理由は、手術部位の組織が初回の処置によって硬化しているからです。硬くなった組織が自然に柔らかくなるまでには約6ヶ月を要するため、この期間を待つことが重要です。組織がまだ硬い状態で再手術を行うと、望む結果を得るのが難しくなる可能性があります。再手術の際は、患者の現状と最適な治療計画を慎重に評価した上で、手術を行うことが不可欠です。

皮膚切除を伴う目の下のたるみ取り手術のダウンタイムの長さ

目の下のたるみ取り手術、特に皮膚切除を伴う場合のダウンタイムは、多くの患者さんにとって重要な検討事項です。手術後の最初の数日間は、手術部位の腫れが最も強く出る時期であり、場合によっては内出血により目の周囲が紫色に変色することもあります。手術後1週間で抜糸が行われることが一般的ですが、その時点で内出血が黄色に変わり始めていることが多いです。その後、さらに約1週間かけて、内出血の色が完全に消え、腫れも解消される過程を経ます。全体のダウンタイムは通常2週間程度とされていますが、軽度のアッカンベー状態(外反状態)になった場合は、完全な回復には約1か月を要することもあります。この期間中、患者さんは日常生活に影響が出ることが少なくありませんので、手術前に十分な計画と準備が必要です。

目の下のたるみ取り手術術前

目の下のたるみ取り手術術前

目の下のたるみ取り手術直後

目の下のたるみ取り手術直後

目の下のたるみ取り手術3日目

目の下のたるみ取り手術3日目

目の下のたるみ取り手術7日目

目の下のたるみ取り手術7日目

目の下のたるみ取り手術2か月

目の下のたるみ取り手術2か月

目の下のたるみ取り手術4か月後

目の下のたるみ取り手術4か月後

目の下のたるみ取り手術のダウンタイムについてのよくあるご質問

Q:目の下のたるみ取り手術後、いつからお風呂に入れますか?

A:目の下のたるみ取り手術後のダウンタイム中は、特に最初の1週間はお風呂に入ることを避けることが推奨されています。この期間、身体を温めることで腫れが悪化する可能性があります。したがって、腫れを最小限に抑えるために、シャワーのみを使用してください。

Q: 目の下のたるみ取り手術後、いつからコンタクトレンズを使用できますか?

A:目の下のたるみ取り手術後は、基本的に手術直後からコンタクトレンズの使用が可能です。ただし、手術後の目の状態や個人の回復具合によっては、医師が特定のケア指示を出す場合があります。例えば、手術による腫れや感染リスクを考慮して、一時的にレンズの使用を控えるようアドバイスすることがあるかもしれません。そのため、手術を受けるクリニックの指示に従って、個々の状況に応じた適切な時期にコンタクトレンズを再開することをお勧めします。

Q: 目の下のたるみ取り手術後、化粧はいつからできますか?

A:目の下のたるみ取り手術後、下まつげのきわを除くお化粧は手術当日から可能です。また、患部のメイクに関しては抜糸の翌日から行うことができます。

Q: 目の下のたるみ取り手術後、仕事は何日休めばいいですか?

A:目の下のたるみ取り手術後の仕事復帰は、手術による腫れがどれだけ気になるかによって異なります。手術後の腫れや抜糸は通常1週間程度で完了しますので、他人に気付かれたくない場合は、少なくとも1週間の休みが必要です。ただし、見た目の変化をあまり気にされない場合は、手術翌日から仕事を再開することも可能です。

Q: 目の下のたるみ取り手術直後のダウンタイムを隠す方法はありますか?

A:手術直後は、目の下の傷を隠すために肌色のテープを下まつ毛のきわに貼ることが一般的です。このテープは抜糸までの約1週間、傷を保護する役割も果たします。テープが貼ってあることは周囲に気づかれる可能性がありますが、メガネをかけることでその目立ち具合を軽減させることが可能です。このような対策により、社会生活を続けながら回復期間を過ごすことができます。

目の下のたるみ取り手術術前

目の下のたるみ取り手術術前

目の下のたるみ取り手術の抜糸時(7日目)

目の下のたるみ取り手術の抜糸時(7日目)

目の下のたるみ取り手術後3か月

目の下のたるみ取り手術後3か月

まとめ

このブログ記事では、現在人気のあるハムラ法を含む目の下のたるみ取り手術について、そのダウンタイムや外反(アッカンベー)のリスクに焦点を当てて詳細に解説しました。手術のダウンタイムは患者さんの具体的な症状や選択された手術方法によって大きく異なります。そのため、手術を検討している方々には、医師とのカウンセリングを通じて、それぞれのリスクや予想されるダウンタイムについて詳しく説明を受けることを強くお勧めします。このブログ記事の情報が手術を検討している方々にとって、適切な判断材料となることを心から願っています。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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