投稿日:2024/09/27
(最終更新日:2024/09/27)

リガメント法フェイスリフトの全貌:効果とリスクの徹底解説

名医:元神賢太

切開フェイスリフト手術にはさまざまな手術方法がありますが、その中でも最近注目されているのが「リガメント法」と呼ばれる手術方法です。本記事では、このリガメント法について、他のフェイスリフト手術と比較しながら、その効果やリスク、手術後のダウンタイムまで詳しく解説します。リガメント法は、最も高いリフティング効果が期待できる方法として評価されていますが、事実なのでしょうか?手術に伴うリスクや術後の注意点を含め、専門的な視点から徹底的に説明していきます。これから切開リフト手術を検討している方や、長期間の持続効果を求めている方に向けて、リガメント法の全貌をわかりやすく解説していきます。

リガメント法フェイスリフト手術とは

リガメント法(靭帯切開フェイスリフト手術)は、フェイスリフトの中でも特に広範囲な剥離と靭帯の処理を伴う技術で、主に深層部の固定構造を、顔面のリフティング効果を最大化するために行われます。この手術は、特に顔の深い層にあるretaining ligaments(保持靭帯)と呼ばれる部分を剥離し、皮膚の緩みだけでなく、顔の深い層にある筋肉や脂肪を引き上げることを目的としています。

リガメント法とSMAS法の違い

リガメント法とSMAS法はどちらもフェイスリフトの一種で、皮膚の下にあるSMAS筋膜を引き上げることを目的としています。しかし、これらの方法には明確な違いがあります。SMAS法では、フェイスラインはしっかりと引き上げられ、輪郭の改善が期待できますが、頬にある脂肪組織であるMalar fat padの引き上げが不十分であり、鼻唇溝への効果が弱いとされています。その原因は、顔の深部に存在するretaining ligaments(保持靭帯)が、SMAS法では処理されないためです。一方、リガメント法は、この保持靭帯を切開・剥離することで、頬や鼻唇溝周りの深層組織までしっかりとリフトし、SMAS法では得られない引き上げ効果を実現します。このため、リガメント法は特に頬のたるみや鼻唇溝の深さに悩む患者に対して、優れたリフティング効果をもたらすとされています。

※上記写真の黄色枠部分がMalar Fat Pad。SMAS法ではこの領域の効果が弱い。

リテイニングリガメントとは

顔の表面構造は、皮膚、皮下脂肪、筋膜(SMAS)、表情筋、そして骨へと層状に重なっています。その中で、リガメントとは靭帯のことで、顔の重要な支えとなる構造です。顔の皮膚は、筋肉や骨などの基盤に強固に固定されていないため、加齢や重力によって下に垂れ下がりやすい性質を持っています。しかし、リテイニングリガメント(保持靭帯)は、こうした下垂を防ぐための「支柱」として機能し、皮膚や皮下脂肪、SMAS層、表情筋を貫いて固定する役割を果たします。つまり、顔全体の構造をしっかりと支え、垂れ下がらないように保持する「杭」のような役割を担っているのです。

顔にあるリテイニングリガメント

↑顔にあるリテイニングリガメント

リガメント法フェイスリフト手術のポイント

フェイスリフト手術において、SMAS筋膜を引き上げることで顔のリフト効果が得られますが、SMASの層の途中にはリテイニングリガメント(保持靭帯)が存在し、これが一種の「杭」のような役割を果たすことで、リガメントより下にあるたるみが十分に引き上げられないという問題が生じます。リガメント法では、この課題を克服するために、広範囲に皮膚の下層を剥離した後、リテイニングリガメントを周囲の組織から切断し、固定の役割をしていた「杭」を取り除きます。これにより、SMAS筋膜がより自由に動くようになり、顔全体のリフトアップが可能になるのです。その後、SMAS筋膜を引き上げ、たるみのない状態でリガメントを再固定します。

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リガメント法の手術の手順

リガメント法の手術は、通常、全身麻酔または局所麻酔下で行われます。以下が一般的な手術の流れです。

1.切開

 耳の前後や側頭部に沿って切開が行われます。切開は、顔の自然なラインに沿って行われるため、術後の傷跡は目立ちにくくなります。

2.組織の剥離

皮膚と皮下組織を広範に剥離されます。

3.保持靭帯の切断

顔の深部にアクセスし、保持靭帯(リテイニングリガメント)を顔面神経を損傷しないように慎重に切断します。特に頬骨付近や咬筋部、下顎ラインに沿った靭帯が切断されることが多いです。これにより、顔全体のSMAS筋膜が由に引き上げられるようになります。

4.リフトと固定

SMAS筋膜を上方へ引き上げ、新しい位置に固定します。

5.皮膚の再配置と縫合

リフトが完了した後、余分な皮膚が切除され、切開部が丁寧に縫合されます。

リガメント法の術後のダウンタイム

リガメント法は、広範囲な剥離を伴うため、術後の回復にはかなり長いダウンタイムが必要です。以下が一般的な回復の流れです。

1.術後1週間以内

顔全体に腫れや青あざが現れます。特に、剥離が行われた部分や靭帯が切開された部分では、浮腫が強く見られることがあります。痛みや不快感も強いため、痛み止めの処方が行われることが多いです。

2.術後2〜3週間

腫れや青あざは徐々に引いていきますが、まだ目立つことが多いです。この時期には、外出を避ける患者も多く、軽い日常活動への復帰が推奨されます。

3.術後1〜2か月

多くの患者が社会復帰できる時期です。腫れはおおむね消失し、顔の引き上げ効果が徐々に見えてきます。ただし、完全な回復には一般的には3か月ほどかかります。

4.術後6か月以降

ほとんどの患者で、最終的な結果が現れます。傷跡は薄くなり、顔の自然なリフト効果が見られるようになります。

【動画解説】フェイスリフトで表情がおかしくなる??

リガメント法のリスクと深刻な合併症

リガメント法は、フェイスリフト手術の中でも非常に高度で侵襲性の高い方法であるため、手術に伴う合併症のリスクを慎重に考慮する必要があります。この手術では、顔の深層構造にアプローチするため、特有のリスクが存在します。以下に主要なリスクと深刻な合併症をまとめました。

神経損傷: リガメントの切断時に、顔面神経が損傷を受けるリスクがあります。特に、顔面の表情や動きを制御する神経が傷つくと、一時的または永久的な顔面麻痺、運動障害が発生する可能性があります。この合併症は、患者の日常生活に大きな影響を与えるため、非常に深刻です。

血腫: リガメント法は広範囲な剥離を伴うため、SMAS法と比較して術後に血液が組織内に溜まり、血腫が形成されるリスクが高まります。大きな血腫が発生した場合、痛みや腫れが続くだけでなく、再手術が必要となることがあります。

感染症: 稀ではありますが、手術部位に感染が発生することがあります。感染が深部に及ぶと、皮膚や周囲の組織が壊死し、適切な処置が行われない場合は深刻な合併症に発展することがあります。

組織の不整形や左右差: 広範な剥離を行うリガメント法では、皮膚や筋肉が不均等に引き上げられるリスクがあります。これにより、左右非対称な仕上がりや、顔の一部に凹凸が生じる可能性があり、結果に満足できない場合は修正手術が必要となることがあります。

持続的な腫れや浮腫: 手術後、顔全体に浮腫が長期間残ることがあり、特に広範な剥離を行った場合、腫れが数か月にわたって続くことがあります。この間、顔の違和感や不自然な感覚を伴うこともあります。

リガメント法のメリットとデメリット

リガメント法のメリットは、やはりリテイニングリガメントまで剥離することで、Malar fat padも引き上げることが可能となることです。Malar fat pad(頬の脂肪)の挙上がしっかり上がり、鼻唇溝の挙上効果も高く、フェイスラインもしっかり上がります。

一方、リテインニングリガメントのデメリットは、顔面神経損傷の危険があるからです。また、広範な剥離が必要となるためダウンタイムは各段に長くなることです。そして、手術時間が非常に長いため手術代金もかなり高額となります。

リガメント法の最大のメリットは、リテイニングリガメント(保持靭帯)まで広範囲に剥離することで、頬の脂肪層であるMalar fat padを効果的に引き上げることができる点です。これにより、頬のたるみが大幅に改善され、さらに鼻唇溝の引き上げ効果も高まり、輪郭がよりシャープになり、フェイスラインもはっきりと整います。

一方、リガメント法にはいくつかのデメリットも存在します。まず、手術中に顔面神経が損傷するリスクがある点です。顔面神経は表情筋を制御しており、損傷が起きた場合、一時的または永久的な顔面麻痺が発生する可能性があります。また、この手術は広範な剥離が必要となるため、術後のダウンタイムが長く、完全な回復には時間を要します。さらに、手術の範囲が広く、手術時間も長くなるため、手術費用も高額になりがちです。

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リガメント法の効果とその限界:本当に価値があるのか?

リガメント法フェイスリフトは、確かに短期的には非常に満足度の高いリフティング効果が得られる手術です。しかし、10年が経過すると、リガメント法を受けた患者とSMASによるフェイスリフト手術を受けた患者との間で、効果の違いがほとんど見られなくなると言われています。これは、リガメントを切断して再固定する方法が、短期間では効果を発揮するものの、長期的にはその優位性が薄れることを示唆しています。このため、多くの専門家の間では、リガメント法はその高いコストやリスクに見合わないという意見が主流となっています。

一方で、筆者はリガメント法に匹敵する効果を持ちながら、リガメント法のデメリットである神経損傷リスク、長いダウンタイム、高額な手術費用を克服した手術方法を推奨しています。それが、スプリングスレッド併用切開フェイスリフト手術(元神式フェイスリフト手術)です。この手術では、糸リフトで使用されるスプリングスレッドを活用することで、Malar fat pad(頬の脂肪)を効果的に引き上げ、リガメント法と同等のリフティング効果を実現しています。

まとめ

リガメント法フェイスリフトは、顔の深層にある靭帯(リガメント)を切断し、広範囲に組織を剥離して、劇的なリフティング効果を引き出す高度な手術法です。短期的には、圧倒的なリフトアップ効果が期待できるものの、その一方で術後のダウンタイムが長く、神経損傷などの深刻な合併症のリスクが伴うことが特徴です。さらに、長期的な観点から見ると、SMAS法フェイスリフトと比べ、リガメント法の優位性は必ずしも明確ではなく、時間が経過するにつれて効果の差が少なくなる傾向があります。そのため、リガメント法は確かに短期間で大きな効果を発揮しますが、リスクを考慮した場合、その効果と手術に伴うリスクが釣り合っていないのではないか、という見解が多くの専門家の間で主流となっています。患者がリガメント法フェイスリフト手術を選択する際には、こうしたリスクとメリットを慎重に比較し、自分にとって最適な施術を選ぶことが重要です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている。

【関連項目】

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切開フェイスリフトのダウンタイム:手術方法による効果と腫れの違い

スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術について

フェイスリフトの失敗と繰り返し手術:リスクと対策を解説

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