投稿日:2023/11/13
(最終更新日:2024/01/16)

金の糸に効果がない理由

金の糸リフトの歴史

金の糸リフト(ゴールデンリフト)は、数十年前に初めて導入されたとされています。この治療法の起源は正確には不明ですが、一部の情報によると、もともとはアジアで開発されたとされ、特に日本や韓国で人気を博しました。初期の頃は主に富裕層に限られていた施術でしたが、時間が経つにつれてより広範な患者層に受け入れられるようになりました。

金の糸

金の糸リフトのメカニズム

金の糸リフト(ゴールデンリフト)では、非常に細い純金の糸を皮膚の下に挿入します。1本の糸は5~10㎝程度で、これを40~50本程度を顔や首全体に入れていきます。いわゆる糸リフトでもショッピングリフトコラーゲンリフトと呼ばれるショートスレッド(短い糸)による糸リフトに分類されます。金は体内で非常に安定しており、アレルギー反応を引き起こすリスクが低いとされています。金の糸を挿入することで、皮膚の下に炎症反応を引き起こし、これが新しいコラーゲンの生成を刺激します。このコラーゲンの生成が肌の弾力性の向上、細かなしわの減少、肌の全体的な若返りに寄与するとされています。原理はショートスレッドの狙いと同じになります。

金の糸リフトの効果

金の糸リフト(ゴールデンリフト)の主な効果は、皮膚の引き締め、しわの減少、全体的な肌質の改善です。また、金糸は体内で長期間にわたって安定しているため、この治療の効果は他の多くの糸リフト方法に比べて長持ちすると宣伝されています。

金の糸リフトのリスク

金の糸リフト(ゴールデンリフトにはいくつかの潜在的リスクや副作用があります。これには炎症、感染、糸の露出や移動、そして瘢痕組織の過剰な形成が含まれます。また、体内に金糸が残ることに対する心理的な抵抗感を持つ人もいます。

金の糸に効果がない理由

金の糸リフト(ゴールデンリフトは、美容医療の世界で一定の注目を集めていますが、その効果に関する一般的な誤解について解説します。多くのクリニックや医師は、金の糸がコラーゲンを永久的に生成し続けると宣伝していますが、実際のところはどうなのでしょうか?

●金の糸と体の反応

金の糸は、その安定性から美容医療で使用されていますが、本質的には体内の異物です。この糸を皮膚の下に挿入すると、体は自然に炎症と免疫反応を示します。これは身体が異物を攻撃し、その結果として異物の周囲に瘢痕組織が形成される一連のプロセスです。瘢痕組織の主成分はコラーゲンであり、これが一部のクリニックによる「線維芽細胞によるコラーゲンとエラスチンの豊富な生成」という宣伝の根拠とされています。しかし、これは通常の体の炎症と免疫反応に過ぎません。

●コラーゲン生成の終焉

瘢痕組織は最終的にカプセル化し、金の糸を包み込んで自己と同一化します。これは体が異物と共存するための自然な反応であり、異物の周囲をカプセルで囲むことで、体は異物に対する反応を停止させます。つまり、金の糸に対する体の反応はカプセル化により終わりを迎え、コラーゲン生成も停止します。したがって、「金の糸が永続的なコラーゲン生成を促す」という主張は科学的な根拠に欠けるものと言えます。また、宣伝では「金の糸を挿入すると正常なターンオーバーのサイクルを取り戻す効果がある」という記載が見られますが、これを虚偽の可能性が高く、これを証明した論文等のエビデンスはありません。

●金の糸リフトとナイロン糸リフトの比較

興味深いことに、金の糸(ゴールデンリフトと従来のナイロン糸リフトは似たようなプロセスを経ます。ナイロン糸も体内に挿入されると炎症を引き起こし、その結果として瘢痕組織が形成されます。そして、同様にカプセル化されます。従って、金の糸もナイロン糸と同様に非吸収性の糸の一種であると考えられます。

「金の糸」のよくあるご質問に対する真実の回答

Q.金の糸(ゴールデンリフト)を挿入して、なぜ肌が若返るのですか?

A.金の糸の周りにコラーゲンが集まり、毛細血管の新生、肌の細胞が再生を始めるという説明がよくありますが、ウソです。若返り効果はほとんどないです。

Q.挿入した金の糸は、体に何の問題もないのですか?

A.感染がなければ大きな問題はないと思われます。

Q.金の糸ではど治療の際の痛みはないですか?傷や跡は残らないですか?

A.局部麻酔だけでは痛いですが、静脈麻酔を併用すれば痛みは我慢できる程度と思われます。針自体な非常に細い針ですので、針穴は通常2~3日程度で消えます。

Q.金の糸ではどのぐらい若返って、どのぐらい持続するのですか?

A .金の糸(ゴールデンリフト)は入れた直後から2,3か月は他の糸リフトと同様に肌の張りは出ますが、数か月で効果はなくなります。1年以上効果が出ることはまずないとお考え下さい。ましてや10~15年程持続すると宣伝している医療機関もありますが、そんな効果はありません。

Q.金の糸の治療にかかる時間はどのくらいですか?

A .金の糸(ゴールデンリフト)の治療時間は約30分程度と思われます。

Q.金の糸と糸リフトの違いはなんですか?

A.糸リフトでは、棘や突起のついた糸で引っ張り上げます。一方、金の糸(ゴールデンリフト)は、肌の張りを出すのが目的です。金の糸はショッピングリフトコラーゲンリフトと近い効果と言えます。

Q.金の糸(ゴールデンリフト)の施術後レーザー治療は可能でしょうか?

A.IPLやレーザーの施術は、金の糸を入れた約2ヵ月後から受けてもおそらく問題ないと思われます。

Q.金の糸の金属アレルギーについて教えてください。

A.金はアレルギーを起こしにくい金属とされていますが、アレルギーを起こす可能性はあります。

Q.金の糸(ゴールデンリフト)は効果が出始めるまでにどれ位ですか?

A.金の糸(ゴールデンリフト)は術後約3ヶ月程度で効果が出ると言われていますが、効果も3か月程度でなくなると思われます。

Q.金の糸はお化粧はいつから可能ですか?

A.施術後1日で針跡も塞がり、化粧が可能と思われます。

Q.金の糸はどのぐらい入れるのですか?

A.基本的には、顔と首全体で4~5m程度挿入する場合が多いようです。

Q.金の糸はどこの部位でも入れられるのですか?

A.基本的には体のどの部位にも埋入することが可能です。

Q.空港の金属探知機に反応しますか?

A.金の糸の総量は、金歯一個程度なので、金属探知機に反応することはないようです。

Q.金の糸を入れるとCT検査とMRI検査を受けられなくなりますか?

A.基本的にはCT検査とMRI検査を受けることは可能ですが、最終的には検査を行う医療機関の判断になります。

金の糸の総括

金の糸リフトに関しては、その宣伝がしばしば誇大広告であるということが明らかです。美容医療を検討する際には、治療法の選択基準をしっかりと定め、信頼できる医師との十分な相談を通じて、正しい情報に基づいた意思決定を行うことが重要です。また、金の糸リフトと同様の効果をもたらす他の治療法についても情報を集め、総合的な視点から適切な治療選択をすることが求められます。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

【関連項目】

一番効果がある糸リフトとは

糸リフトは効果がない!?

若返りの革命:スプリングスレッドによる糸リフトのすべて

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