投稿日:2024/09/25
(最終更新日:2024/09/27)
切開フェイスリフト・糸リフトの持続期間:10年後の状態は?
美容外科の分野では、切開フェイスリフトや糸リフトなど、数多くの治療法が提供されています。しかし、それぞれの治療の持続期間や効果は異なり、患者さまからは「数年後、あるいは10年後にどのような状態になっているのか?」といった疑問がよく寄せられます。特に切開フェイスリフトを受けた場合、長期的な結果については多くの関心が集まります。本記事では、美容外科専門医であり、フェイスリフト手術について20年以上のキャリアを持つ筆者が、切開フェイスリフトや糸リフトの持続期間と、10年後にどのような変化が起こりうるかについて詳しく解説します。術後の経過や効果の維持について、最新の知見を踏まえた実例も交えながらお伝えします。
吸収性短い糸リフトの持続期間
吸収性のある短い糸を用いたリフトは、一般的に「ショートスレッド」と呼ばれています。この糸は、コグと呼ばれる皮膚を引っかけるトゲのような構造がなく、非常に滑らかな形状をしています。ショッピングリフト、リードファインリフト、コラーゲンリフトなど、さまざまな名称で知られており、多くの美容外科クリニックで提供されています。ショートスレッドは、顔のたるみを直接引き上げることを目的としたものではなく、糸を挿入することでその周囲にコラーゲンが生成され、肌のハリや弾力を改善することを目指しています。特に、肌のハリを取り戻したり、細かいシワを目立たなくする効果が期待されています。通常、一度の施術で30~50本ほどの糸を挿入しますが、その持続期間は約3か月程度とされています。ただし、中には1か月程度で効果が薄れてしまう方もいるため、個人差があります。施術を受ける際には、このような持続期間と効果の差異を理解しておくことが大切です。
吸収性長い糸リフトの持続期間
吸収性の長い糸を使用したリフトは、皮膚や皮下組織にあるコグ(トゲやコーン)を利用して、たるみを物理的に引き上げることが特徴です。このリフトは、VOVリフト、ハッピーリフト、Zリフト、アンカーMax、シルエットソフトなど、さまざまな名称で知られ、多くの美容外科クリニックで行われています。これらの糸は、張力を持つ特殊な構造により、下がった皮膚や脂肪をしっかりと支え、引き上げることで、フェイスラインのリフトアップを目指します。また、物理的な引き上げ効果に加え、皮膚の内部でコラーゲンの生成が促進されるため、肌のハリや弾力が向上し、若々しい印象を取り戻すことが期待できます。通常、一度の施術で8~12本程度の糸を挿入し、その効果は糸が体内に吸収されるまでの3~6か月程度続くとされています。糸の吸収が進むにつれて、効果は徐々に薄れていきますが、その間に生成されたコラーゲンによる持続的なハリやリフトアップ効果も期待できるため、施術後も一定の美肌効果が残ることが多いです。患者さまの肌質や個々の状態によって持続期間には個人差がありますが、6か月程度にわたって満足のいく結果を得ることが可能です。
非吸収性長い糸リフトの持続期間
非吸収性の長い糸リフトは、吸収性の糸リフトと同様に、皮膚や皮下組織をコグ(トゲやコーン)でしっかりと引っかけ、糸の張力でたるんだ部分を効果的に引き上げることが特徴です。糸の素材には、ポリプロピレン製とシリコン製があり、ポリプロピレン製の糸を用いたリフトには「ミラクルリフト」や「アプトス」といった名称が使われています。一方、シリコン製の糸を使用したリフトとしては「スプリングスレッド」が広く知られています。ポリプロピレン製の糸によるリフトの持続期間は1~2年程度とされ、シリコン製のスプリングスレッドは3~5年と、より長期的な効果が期待できます。
非吸収性の糸は体内で分解・吸収されないため、長期間にわたって引き上げ効果が持続するのが大きな特徴です。特にスプリングスレッドは、シリコンの高い張力を活かして、非常に強力なリフトアップ効果を発揮し、劇的な変化をもたらします。また、経験豊富な医師による正確な施術が行われた場合、その効果は従来の切開フェイスリフト手術にも匹敵するほど高いとされています。3~5年という長い持続期間が得られるため、患者さまからの満足度も非常に高く、長期にわたる美しさを求める方にとって理想的な選択肢となります。
切開リフトの「ミニリフト」」の持続期間
「ミニリフト」と呼ばれる切開リフトは、顔の皮膚のみを引き上げる施術であり、SMAS筋膜と呼ばれる筋膜層にはアプローチしません。そのため、軽度のたるみ、特に顎や首、頬などの部分に対しては非常に効果的ですが、深いしわや中顔面の大きなたるみを改善するには限界があります。ミニリフトは、従来の切開リフトと比べて腫れが少ないという利点があり、ダウンタイムが短く、日常生活への復帰も早いのが特徴です。しかし、その分持続期間はやや短く、通常1~2年程度とされています。長期間の引き上げ効果を期待する場合には、より深層にアプローチする施術が必要となります。ま
切開リフトの「伝統的切開フェイスリフト手術」の持続期間
伝統的な切開フェイスリフト手術は、SMAS法フェイスリフトと呼ばれる手術方法で、SMAS筋膜を引き上げることで、顔のたるみを引き上げる効果的な手術方法です。この手術では、表層の皮膚だけでなく、顔全体の支持構造であるSMAS層をしっかりと引き上げ、リフト効果を長期にわたって維持します。その持続期間は5年前後と言われています。
伝統的な切開フェイスリフト手術は、SMAS筋膜を引き上げることで、顔全体のたるみを効果的に改善する高度な手術方法です。この手術では、表層の皮膚だけでなく、顔全体の支持構造であるSMAS層にもアプローチし、しっかりと引き上げることでリフト効果を長期間にわたって維持します。糸リフトと比較しても、リフト効果は非常に持続性が高く、患者さまのたるみの程度やケアの状況によって異なるものの、一般的には5年前後にわたり効果が持続するとされています。さらに、この手術は深層までしっかりとリフトアップするため、特に顎や頬、首など、年齢とともに目立ちやすい部分に対して非常に優れた改善効果をもたらします。効果が長持ちするため、劇的な若返りを求める方にとって最適な選択肢とされ、多くの患者から高い満足度を得ています。
切開リフトの根治的切開フェイスリフト手術の持続期間
根治的切開フェイスリフトは、顔のリテイニングリガメントを徹底的に剥離することで、非常に強力な若返り効果を追求する手術です。リガメント法フェイスリフトと呼ばれることもあります。リテイニングリガメントとは、皮膚、脂肪、そして骨を結びつけ、顔の輪郭を支える重要な繊維組織であり、これを剥離することで顔のたるみの根本的な原因に直接アプローチします。特に、頬の脂肪組織(Malar Fat Pad)を効果的に引き上げることができるため、深いほうれい線の改善にも非常に高い効果が期待されます。この手術は、徹底的な若返り効果を提供するため、他のフェイスリフト手術と比較しても持続期間が長く、術後8~10年程度は満足のいく状態が維持されると言われています。
ただし、根治的なアプローチのため、広範囲にわたる剥離が必要となり、その結果として術後の腫れやダウンタイムも他の施術に比べて長くなる傾向があります。通常、ダウンタイムは1か月以上続き、最終的な仕上がりが見えるまでには時間を要することが一般的です。
切開リフトの糸リフト併用切開フェイスリフト手術の持続期間
糸リフト併用切開フェイスリフト手術(通称元神式フェイスリフト)は、糸リフトのスプリングスレッドを使用した、非常に革新的かつ効果的なフェイスリフト手法です。スプリングスレッドは、シリコン製のリフトアップ用糸で、他の糸リフトと比べて非常に強力なリフトアップ力と固定力を持っています。この特性により、顔全体の引き締め効果が高まり、従来のフェイスリフトではアプローチが難しかったMalar Fat Pad(頬の脂肪組織)も効果的に引き上げることができます。元神式フェイスリフトは、スプリングスレッドを併用することで、従来のフェイスリフト手術では得られなかった高度なリフトアップ効果を実現し、根治的フェイスリフト手術に匹敵するほどの持続効果を発揮します。
特に、この手術では、従来の切開リフトのリフト力をさらに強化するため、8~10年と非常に長い持続期間が期待できます。さらに、スプリングスレッドによる糸リフトの併用は、腫れが少ないため、、施術直後からしっかりとしたリフトアップを実感できるのが特徴です。このため、深いしわやたるみを徹底的に改善したい方にとって理想的な選択肢であり、長期間にわたる若返り効果を求める患者さまから高い評価を得ています。
↑元神医師による糸リフト併用切開フェイスリフト手術の前後
フェイスリフト手術の10年後の状態
多くの方が誤解されている点ですが、フェイスリフト手術の効果は急になくなるのではなく、徐々にそのリフトアップ効果は弱まっていきます。例えば、45歳でフェイスリフト手術を受け、見た目年齢が10歳若返り、35歳のように見える場合を考えます。この状態が10年間続くと、実年齢が55歳になった時点で見た目年齢は45歳程度になります(この例は少し誇張されていますが)。このように、一度フェイスリフト手術を受けることで、実年齢と見た目年齢の間に良い意味でギャップが生じ、その効果が長期間にわたって持続するのです。
重要なのは、フェイスリフト手術の効果は完全に消えるわけではなく、見た目年齢を引き下げた状態が持続する点です。たとえ10年が経過したとしても、実年齢より若々しい印象を保つことができるため、一度の手術が一生にわたる美容効果をもたらすといっても過言ではありません。このため、フェイスリフト手術を受けた方は、10年後も見た目が実年齢よりも若々しい状態を維持していることが期待できます。
まとめ
このブログ記事では、糸リフトと切開リフトそれぞれの手術方法別に、各治療の持続期間について詳しく解説しました。筆者としては、糸リフトを選択される場合、持続期間が3年以上と長く効果が期待できるスプリングスレッドを推奨します。一方、切開リフトでは、持続期間が8年以上と長期的なリフト効果を実感できる「糸リフト併用切開フェイスリフト手術」が特におすすめです。また、多くの方が気にされる術後の長期的な状態についても、切開リフトによる見た目年齢の若返り効果は、年齢を重ねても持続すると考えられています。そのため、切開フェイスリフト手術を受けた方は、10年後も実年齢より若々しい外見を維持することが期待できます。
この記事が、フェイスリフト手術の選択や将来の結果についての参考になれば幸いです。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている。【関連項目】
フェイスリフト, スプリングスレッド, リフトアップ, 糸リフト, SMAS法, リガメント法
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