投稿日:2024/01/19
(最終更新日:2024/01/19)
スプリングスレッドのデメリットと感染
近年、日本の美容外科界で注目を集めるスプリングスレッド(Spring Thread)。この革新的な糸リフト技術は、フェイスリフト治療において画期的な成果を挙げています。その絶大な効果により、インターネット上でも多くの肯定的な記事が目立ちます。しかし、人気の高まりに伴い、”スプリングスレッド デメリット” や “スプリングスレッド 感染” といったキーワードへの関心も増加しています。にもかかわらず、これらの問題点を詳細に解説した記事は意外と少ないのが現状です。そこで、本記事ではスプリングスレッドに関連する様々な側面を掘り下げていきます。特に、スプリングスレッドがもたらす可能性のある副作用や合併症、そしてその他の注意点に焦点を当て、治療を検討している方々が抱える疑問や懸念に光を当てていきたいと思います。美容外科治療の選択は、その効果だけでなく、リスクについても十分に理解し、慎重な判断を下すことが重要です。この記事が、より安全で効果的な美容医療を選択するための一助となれば幸いです
スプリングスレッドのデメリット
上記の写真は過矯正されたスプリングスレッド直後状態
■引き上がり過ぎる
スプリングスレッドは、施術後の初期段階でしばしば顔のたるみを過度に引き上げる傾向があります。この現象は、特に「最終的な結果として顕著なリフト効果を望む」という患者様のご要望に応える際に顕著です。結果として、術後直後の患者様の顔は、一時的に不自然な輪郭を呈することがあります。この過矯正の状態は、通常から 1週間から1か月ほどで自然な見た目へと徐々に落ち着きます。
このような過矯正のリスクを理解し、患者様一人ひとりの具体的な希望や体質を考慮に入れた上で、最適な施術プランを提案することが重要です。スプリングスレッドによるフェイスリフトは、確かに効果的な治療法ですが、その過程で生じうる一時的な変化を患者様に正しくご理解いただくことが、満足いく結果への第一歩と言えるでしょう。
■デコボコになる
さらに、この過矯正による引き上げが原因で、顔の表面に凹凸(デコボコ)が生じることもあります。特に、皮下脂肪の少ないやせ型体型の方や、皮膚が薄い方は、このような凹凸が現れやすいとされています。しかし、これも引き上げ過ぎた状態と同様に、約週間から1か月の期間で自然な状態に戻ることが多いです。凹凸が目立つ場合は一時的なヒアルロン酸注入で目立たなくさせることが可能です。
■ 強い突っ張り感
スプリングスレッドの施術は、他の糸リフト手法と比較しても顕著な引き上げ効果を発揮します。この結果、スプリングスレッドによるフェイスリフト直後に患者様はしばしば強い突っ張り感を体験します。この感覚は、まるで皮膚が手で強く引っ張られているかのようなものです。この突っ張り感は、一般的に1か月程度で自然と緩和されることが多いですが、初期には不快と感じるかもしれません。
■ 痛い
引き上げの程度が強い場合、術後には顕著な痛みを感じることがあります。この痛みは通常、痛み止めの内服薬でコントロール可能なレベルですが、初期の2〜3日間は特に注意が必要です。痛みは徐々に軽減されていくものの、初期の痛みは患者様にとって大きな負担となることがあります。
■ 著しい腫れ
術後の引き上げの程度によっては、顕著な腫れが生じることがあります。この腫れは、多くの場合2~3日で落ち着きます。腫れが大きくても、マスクを装着すれば目立たない程度に隠すことが可能です。この初期段階の腫れはごく自然なことであり、必ず改善されます。
■ 感染のリスク
まれに、スプリングスレッドの糸自体が原因で感染が生じることがあります。この種の感染は少ないものの、万が一の場合に備えて、アフターケアを丁寧に行うことが重要です。感染の徴候が見られた場合には、速やかに医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。感染についての詳細は、この記事の後半部分で更に深く掘り下げます。
■ その他
非常に稀ですが、針穴の挿入部分で内出血が生じることがあります。これは通常、小さなものであり、自然に解消されます。内出血は手術の過程で発生することがあり、大半の場合、数日から1週間程度で自然に薄れていくものです。また、針穴の刺入部に陥没が生じたり、目立つことがありますが、1か月程度で徐々に改善します。
上記はスプリングスレッド直後の針穴の陥没
スプリングスレッドの基礎知識:特性と利点
スプリングスレッドの感染リスクについて詳細に解説する前に、この革新的な治療法の基本的な特徴を理解することが重要です。以下に、スプリングスレッドの主な特性とそれがもたらす利点を箇条書きでご紹介します
■ 非吸収性の糸
スプリングスレッドは、他の多くの糸リフト素材が吸収性であるのに対し、非吸収性の糸を使用しています。通常の吸収性糸は体内で分解・吸収されるのに対して、スプリングスレッドはそのような性質を持たず、溶けることはありません。この非吸収性素材の使用により、スプリングスレッドによるフェイスリフト効果は3年以上持続すると言われており、長期的なリフトアップ効果を期待できる点が大きな利点です。
■ シリコン製素材
スプリングスレッドはシリコン製で、この素材によって非常に高い柔軟性と弾力性が実現されています。これらの特性がスプリングスレッドの強力な引き上げ効果をもたらし、顔の輪郭を明確に改善する効果があります。また、シリコンは医療用素材としての安全性が非常に高いことで知られており、体内での使用においても安全性が高いと評価されています。
スプリングスレッドの経過写真
↑術前(頬のたるみ、ほうれい線が目立ちます。)
↑術直後(過矯正になっています)
↑1週間(まだ凹凸がありますが、だいぶ改善しています)
↑術後1か月(凹凸が自然に改善しています)
↑術後6か月(効果が持続しており、フェイスラインがシャープで、ほうれい線が目立ちません)
スプリングスレッドにおける感染の原因と症状
スプリングスレッドの施術は通常安全であるものの、ごくまれに施術後数ヶ月から数年後に挿入された糸の感染が報告されています。このような感染事例は稀ですが、スプリングスレッドに伴うリスクを理解し、感染が生じた場合の症状を知っておくことが重要です。以下に、スプリングスレッドによる感染の原因とその症状についてご紹介します。
■ 感染の潜在的な原因
感染の具体的な原因は常に明確ではありませんが、以下のようなシナリオが考えられます。
・ 手術中に髪の毛が糸の刺入部より皮下に混入すること。
・ 皮膚にできたニキビや他の皮膚疾患が感染源となり、それが糸に伝播すること。
■ 感染時の初期症状の兆候
初期段階では、痛みが伴わないことが多く、施術で糸が挿入された部位(多くはこめかみ部分)にニキビのような膨らみや出来物が現れることがあります。これらの症状は時に自然に消えることがあるため、適切な時期に処置を行う機会を見逃すリスクがあります。自然に治ったように見えても、実際には感染が進行している可能性があるため、注意が必要です。
■ 感染時の中等度の進行症状
感染が進むと、施術で入れた糸が皮膚表面から浮き出て見えるようになることがあります。この段階では、浮き出た部位やこめかみに圧痛が生じることがあります。これは感染が進行している証拠であり、施術を受けた医療機関において迅速な対応が必要です。
■ 放置による感染時の重度の進行症状
感染を放置すると、皮膚に穿孔(穴が開く)現象が発生し、糸が外部に飛び出すことがあります。この段階では、穿孔部分にかなりの痛みが伴うことが一般的です。深刻な感染の兆候であり、速やかなスプリングスレッドの糸の除去が不可欠です。
■感染時はすぐに専門医へ
これらの症状は、スプリングスレッドに関連する感染の進行を示す警告信号です。初期段階での発見と対応が重要であり、いかなる異常も速やかに専門医に相談することを強く推奨します。早期発見と適切な治療により、感染の拡大を防ぎ、安全な治療結果を確保することが可能です。
スプリングスレッド感染時の適切な処置方法
スプリングスレッドによる感染が確認された場合、迅速かつ効果的な処置が必要となります。以下に、感染が発生した際の治療方法を紹介します
■感染した糸の抜去
感染した症状が明らかになった場合、比較的容易に感染した糸を取り除くことが可能です。これは、免疫系が感染した糸を異物と認識し、排除しようとする反応によるものです。糸周辺の組織は浸出液に包まれるため、糸は元の挿入部位(通常はこめかみ部分)から比較的簡単に抜去できます。
■処置時の痛み管理
この抜去処置は、かなりの痛みを伴う可能性があります。そのため、局所麻酔だけでは痛みを十分に制御することが難しい場合があります。痛みの管理と患者様の快適性を考慮して、マスク麻酔を併用し、患者様が完全に眠っている状態で処置を行うことを推奨しています。
スプリングスレッドの糸の抜去に関する一般的な疑問と回答
スプリングスレッドは上記のように糸に突起がある
スプリングスレッドの糸を抜去する際には、患者様から多くの疑問が寄せられます。以下に、糸の抜去に関するよくある質問とその回答をまとめました
■ 糸を抜去するとたるみが元に戻るか?
感染による糸の抜去は、通常、時間が経過した後に行われることが多いです。この時点で糸を抜去しても、すぐにたるみが元に戻ることは少ないです。これは、感染するまでの間に自己の繊維組織が瘢痕組織を形成し、皮膚と筋膜が固定化されているためです。つまり、糸の抜去時には、すでに糸自体の張力に依存しているわけではなく、糸によって引き上げられた状態が繊維組織によって維持されているため、たるみが戻ることは少ないです。
■ 感染していない糸の抜去は可能か?
感染のリスクを懸念して、感染していないスプリングスレッドの糸を抜去したいという要望がありますが、感染していない糸の抜去は困難です。糸には突起が付いているため、容易に引き出すことはできません。無理に引き抜くと、大きな痛みや出血、神経損傷の危険があります。また、感染していない場合、糸を特定すること自体も難しいです。そのため、感染していない場合の糸の抜去は、リスクが大きく、メリットが少ないため基本的には行われないと考えるべきです。
まとめ
スプリングスレッドを希望される場合はスプリングスレッドにおける過矯正リスクを理解し、ご自身の希望が考慮された上での最適なリフトアップが提案されることが重要です。スプリングスレッドによるフェイスリフトは、非常に効果的な治療法ですが、その過程で生じうる一時的な変化を術前に正しく理解することが、満足いく結果への第一歩と言えるでしょう。また記載したデメリットの多くは、スプリングスレッド施術の一時的な影響として捉えることが重要です。術後の適切なケアを取ることで、これらの症状は通常、比較的短期間で改善されます。患者様には、この一時的な不快感を理解し、最終的なリフト効果のための一過程として受け入れていただくことが望まれます。また、スプリングスレッドによる施術後の感染は珍しい事例ではありますが、その症状に注意深く留意することが重要です。感染が進行するにつれて、その症状は変化し、より深刻なものとなります。感染した糸の抜去は、感染の早期発見と適切な処置によって比較的スムーズに行われることが多いです。感染症状の最初の兆候を感じたら、すぐに専門医に相談し、適切な処置を受けることを強くお勧めします。以上、このブログ記事では、スプリングスレッドの施術におけるデメリットと感染について多角的に考察しました。スプリングスレッドの施術は多くのメリットを提供しますが、患者様はこの記事で解説したデメリットと感染リスクを十分に理解し、慎重に意思決定を行う必要があります。医師との綿密なコミュニケーションと、施術後の適切なケアが、安全で効果的な結果につながる鍵です。この記事が、スプリングスレッド治療を検討する皆様の参考になれば幸いです。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。
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