投稿日:2024/10/18
(最終更新日:2024/10/18)
なぜブルドッグ顔になる?ブルドッグ顔の予防と治す方法
ブルドッグ顔とは、加齢に伴い顔全体のたるみが顕著に現れる状態を指します。特に頬や顎周りにたるみが集中し、顔の輪郭が四角くなり、ブルドッグに似た印象を与えます。加齢によって法令線やたるみは誰にでも現れますが、極端に目立つ状態を「ブルドッグ顔」と呼びます。では、なぜこのような状態になるのでしょうか?このブログでは、ブルドッグ顔の主な原因を説明し、予防策や、既にブルドッグ顔になっている場合の効果的な治療方法について解説します。適切なケアと予防で、老化によるたるみを遅らせることができるかもしれません。
ブルドッグ顔とは
ブルドッグ顔とは、顔の下部、特に口の両脇から顎にかけてのたるみが目立つ状態を指し、顔全体がブルドッグのように見えるのが特徴です。主に加齢によるたるみや皮膚の弾力低下が原因で、次第に顔の輪郭がぼやけ、四角い外観を形成します。以下はその具体的な特徴です。
■ほうれい線とマリオネットラインの強調
口元のほうれい線や、顎にかけて深いマリオネットラインが現れ、顔が老けて見えます。
■フェイスラインのぼやけ
顎のシャープなラインが失われ、輪郭が曖昧になるため、顔全体が四角く見えます。
↑ブルドッグ顔として呼ばれる状態
ブルドッグ顔になりやすい人の特徴:体重の増減が激しい
ブルドッグ顔の最大の要因は加齢ですが、以下の場合は特にブルドッグ顔になりやすいとされています。
■体重の増減が激しい
体重の急激な増減は、肌の弾力性に大きな影響を与え、ブルドッグ顔の原因となる重要な要素です。特に体重増加時には、顔の頬や顎周りに脂肪が蓄積し、皮膚が伸びてたるみが進行します。一方、体重減少時には、伸びた余分な皮膚は収縮しますが、急激な体重減少の場合、この収縮が間に合わず、皮膚が伸びきった状態になります。さらに、このような体重変動を繰り返すことで、皮膚が収縮する能力と弾力が失われ、たるみが不可逆的に進行します。特に加齢に伴い、皮膚の再生能力が低下するため、特に40歳以降の体重な急激な増減は特にたるみの原因となります。
皮膚はコラーゲンやエラスチンといった成分によって弾力を保っていますが、体重増減が繰り返されると、これらの成分が破壊され、肌がたるみやすくなります。加齢によるコラーゲン生成の減少も重なり、皮膚は伸びきった状態から元に戻ることが難しくなります。これにより、顔全体の印象が老化して見えることが多く、特に顎ラインや頬のたるみが顕著になり、ブルドッグ顔になります。
■喫煙
喫煙は、肌の健康を著しく損ない、老化を加速させ、顎のたるみ、いわゆる「ブルドッグ顔」の原因となります。そのメカニズムは以下の通りです。
まず、喫煙によって肌のコラーゲンとエラスチンが損傷されます。たばこや電子たばこの煙や蒸気には、有害な化学物質やフリーラジカルが含まれており、これらが肌の内部構造を支えるコラーゲンとエラスチンを破壊します。コラーゲンとエラスチンは、肌の強度や弾力を維持するために必要不可欠なタンパク質です。これらが劣化すると、肌の引き締まりが失われ、たるみが目立ちやすくなります。
さらに、喫煙は血管を収縮させ、血液の流れを悪化させるため、肌に必要な酸素や栄養分の供給が不足します。この結果、肌の健康と弾力性が損なわれ、コラーゲンの再生も妨げられるのです。
加えて、喫煙により酸化ストレスが増加します。煙に含まれる酸化物質は、細胞や結合組織にダメージを与え、肌の老化を促進させるフリーラジカルを発生させます。この影響で、肌のハリを保つためのタンパク質が早期に劣化し、たるみやしわの原因になります。
また、喫煙は肌の自己修復能力も低下させます。傷の治癒を妨げ、細胞の再生を阻害するため、肌の老化現象が加速します。
喫煙がもたらす酸素不足と血流の低下は、顔の筋肉にも影響を与え、筋肉の緊張が失われることで、皮膚が顎下にたるむようになります。
最後に、喫煙により脱水状態が引き起こされます。タバコに含まれる化合物は利尿作用があり、肌の水分保持力を低下させます。乾燥した肌はふっくら感を失い、たるみやすくなるのです。
このように、喫煙は様々な要因で肌にダメージを与え、ブルドッグ顔の進行を促します。
■日焼け
日焼けや紫外線は、いくつかのメカニズムを通じてブルドッグ顔を引き起こします。
まず、紫外線は肌のコラーゲンとエラスチンにダメージを与えます。これらは、肌のハリと弾力を保つ重要なタンパク質ですが、紫外線にさらされることで、フリーラジカルが発生し、構造を破壊します。繰り返し紫外線を浴びることで、コラーゲンとエラスチンが劣化し、肌の伸縮性が失われ、顎のラインに沿ったたるみが目立つようになります。
さらに、紫外線によるダメージは酸化ストレスと炎症を引き起こし、肌の老化を加速させます。コラーゲンの分解が進み、真皮が薄くなることで、しわや変色、弾力の低下が顕著になり、顎のたるみとして現れることがあります。
また、紫外線は肌の水分を奪い、ふっくら感を保つために必要なヒアルロン酸を分解します。結果として、脱水状態の肌は薄くなり、たるみやシワが顕著になります。
さらに、紫外線は顔の筋肉を支える繊維性結合組織を劣化させる可能性があり、筋肉のサポートが失われ、顎下のたるみが進行します。
長期間にわたる紫外線への暴露は、頬の脂肪パッドの減少をも引き起こすことがあります。これにより、顔の自然なボリュームが失われ、下顔部の構造的サポートがなくなることで、たるみが一層強調されるのです。
このように、日焼けや紫外線は、複数の要因を通じてブルドッグ顔を引き起こす大きな原因となります。
その他にブルドッグ顔になる要因
■加齢
自然な老化は、複数の相互作用によって顔のたるみを引き起こします。
まず、年齢を重ねると、肌の弾力性が低下します。肌のハリと弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成が減少し、その結果、肌は引き締まりを失い、重力の影響で顎のラインが垂れ下がります。
また、頬の脂肪パッドが加齢とともに減少し、顔のボリュームが失われます。これにより、目の下や頬のあたりがくぼみ、余分な皮膚が顎下に垂れ下がり、たるみの原因となります。
加齢によって筋肉も衰えていきます。顎や首周りの筋肉が萎縮し、筋肉が緩むことで、皮膚を支える力が弱まり、顎下のたるみが一層目立つようになります。
さらに、長年にわたる骨の密度や体積の減少もたるみの要因です。顔の骨格が衰えることで、軟組織を支える基盤が失われ、皮膚や脂肪が垂れ下がります。
最後に、重力の影響が加齢とともに顕著になります。年齢と共に顔の支持構造が弱まるため、重力によって頬や顎下のたるみが一層加速します。
このように、加齢に伴うボリューム、骨、脂肪、筋肉、皮膚の変化が相互に作用し、下顔部のサポートが失われることで、ブルドッグ顔が生じるのです。
■遺伝
遺伝は、ブルドッグ顔の発症に大きな影響を及ぼし、さまざまなメカニズムでそのリスクを左右します。
まず、顔の骨格と骨密度は主に遺伝によって決定されます。骨格が繊細で小さい人は、加齢に伴い軟組織を支える骨が少ないため、顎下のたるみが現れやすい傾向があります。反対に、頑丈でしっかりとした骨格を持つ人は、輪郭が長く保たれることが多いです。
次に、遺伝は肌の弾力性にも関与しています。コラーゲンやエラスチンの生成能力が高い人は、肌のハリを維持しやすく、顎下のたるみが生じるのを遅らせることができます。
また、脂肪の分布も遺伝の影響を強く受けます。下顔面や顎周りに脂肪が蓄積しやすい体質の人は、顎下のたるみが目立ちやすく、逆に頬の脂肪が減少しやすい人は、頬がこけやすくなります。
筋肉の緊張度や弛緩の速度も遺伝によって異なります。筋肉がしっかりと緊張している人は、輪郭を保ちやすいですが、筋肉が早期に弛緩すると顎下にたるみが生じやすくなります。
最後に、老化の速度も遺伝の影響を受けます。遺伝的に老化が早く進む人は、頬のボリューム減少や皮膚のたるみが早期に起こり、顎下のたるみが目立ちやすくなります。
こうした遺伝的要因によって、骨格の強さや皮膚の弾力性、脂肪の分布、筋肉の質、老化の進行速度が異なり、ブルドッグ顔のリスクに影響を与えるのです。中には、遺伝的に顎のたるみが起こりにくい人もいますが、それは稀です。
ブルドッグ顔の予防方法
加齢や遺伝によってブルドッグ顔が生じることは避けられない部分もありますが、以下のことを気を付けることで、ブルドッグ顔の進行を予防・緩和することが可能です。
■安定した体重を維持する
体重の急激な増減は、皮膚や顔の脂肪組織に負担をかけ、たるみを引き起こす原因になります。過度な減量や急激な体重の増加を避け、適度な運動とバランスの取れた食生活を続けることで、肌の弾力を維持し、顎下のたるみを防ぎます。
■禁煙
喫煙は肌のコラーゲンとエラスチンを劣化させ、血液循環を悪化させるため、肌の老化を加速させます。禁煙することで、肌の再生力を保ち、たるみの進行を抑えることができます。
■紫外線対策
日焼けや紫外線は、肌の弾力を保つために必要なコラーゲンとエラスチンを破壊し、たるみやしわの原因となります。日常的に紫外線対策を行い、SPFの高い日焼け止めや帽子、サングラスを着用することが、肌の老化を防ぐために非常に重要です。
■十分な睡眠と栄養
肌の再生には、十分な睡眠と栄養が不可欠です。睡眠不足や不健康な食事は、肌の修復能力を低下させ、老化を早める原因になります。ビタミンCやビタミンEなど、抗酸化作用のある栄養素を含む食事を意識し、毎晩しっかりとした睡眠を取ることで、肌の健康を保ちましょう。
■ウルセラ
ウルセラは、ハイフ(高密度焦点式超音波治療)の中でも特に高い効果が期待される機器です。この治療法では、高エネルギーの超音波を肌の深部に照射し、コラーゲンの生成を促進して内側から肌を引き締めます。特にウルセラは、1回の施術で1年以上にわたるリフトアップ効果をもたらすため、ブルドッグ顔の予防に有効です。
たるみが進行する前に、予防的な施術としてウルセラを1〜2年に1回受けることが推奨されています。これにより、コラーゲンの生成を継続的に刺激し、肌の弾力を保ち、ブルドッグ顔の進行を未然に防ぐことが可能です。
誤解されがちなブルドッグ顔の予防策:顔トレ・美顔器・マッサージ
顔の筋肉を鍛えるための美顔器や顔のトレーニング(顔トレ)・マッサージが、たるみ予防に効果的だと信じられていますが、現時点でそれを裏付ける明確な科学的エビデンスはほとんど存在しません。
■美顔器の理論的効果
美顔器は主に、表情筋を刺激し、血行を促進して筋肉を引き締めることを目的としています。顔の筋肉を鍛えることで、皮膚が支えられ、たるみが軽減されると理論的に説明されています。しかし、この効果を証明する科学的な証拠はまだ十分ではありません。
過度な顔のトレーニングや美顔器の不適切な使用は、逆に筋肉に過度な負担をかけ、しわを増やすリスクを伴います。特に、長期にわたって過度に使用すると、顔の構造自体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、使用する際は慎重に行う必要があります。
■現在の科学的見解
2018年に『JAMA Dermatology』で発表された研究では、顔のエクササイズが頬の若返りに一定の効果をもたらす可能性が示唆されました。ただし、この研究は27名という少数の対象者に限られており、結論の信頼性については慎重な見方が多いです。EMS(電気筋刺激)や微弱電流を使用する美顔器に関しても、短期的には筋肉を引き締める効果があると報告されていますが、長期的な効果に関しては十分に検証されていません。
■SMAS筋膜マッサージの逆効果の可能性も
「SMAS筋膜マッサージ」は、一部の整体師やメディアで顔のたるみ改善やブルドッグ顔の予防に効果的だと宣伝されていますが、これには科学的な裏付けが全くありません。むしろ、この手法は長期的にたるみを悪化させるリスクさえあるのです。SMAS(スマス)は非常に深部に位置する筋膜であり、表層のマッサージではこの層に効果的にアプローチすることはできません。
マッサージによって一時的に血行が促進され、肌が引き締まったように感じることがあるかもしれませんが、これが根本的なたるみの改善につながるという信頼できる科学的データは存在しません。顔の皮膚は非常に繊細で、強い力で繰り返しマッサージを行うと、肌の内部にあるコラーゲンやエラスチンが損傷し、皮膚や皮下組織にダメージを与える恐れがあります。
さらに、過度の摩擦や引っ張りは、肌の弾力を低下させ、たるみを悪化させる可能性があるため、特に不適切な手法で行われるマッサージには注意が必要です。
ブルドッグ顔を治す方法
すでにブルドッグ顔になっている場合は、ブルドッグ顔の改善には、効果的な施術がいくつか存在します。選択する治療法は、たるみの程度や希望する結果によって異なります。以下に、代表的な治療法を詳しく解説します。
■リフトアップ手術
ブルドッグ顔の最も確実な治療法の一つが、外科的なリフトアップ手術です。代表的なものには、切開フェイスリフトや糸リフトがあります。切開フェイスリフトは、皮膚を切開してたるんだ部分を引き上げ、余分な皮膚を取り除くことで、シャープで若々しいフェイスラインを取り戻すことができます。特に、たるみが顕著な場合や長期間の効果を望む方に最適です。
一方、糸リフトは、皮膚の下に溶ける糸または溶けない糸を挿入して引き上げる方法で、切開を伴わないため、ダウンタイムが短いのが特徴です。溶ける糸は効果が弱いため推奨しませんが、筆者による溶けない糸である「スプリングスレッド」は長期的な効果があり、切開リフトと同等の効果があるため、ブルドッグ顔の治療としてはおすすめの治療です。
■ハイフ(HIFU)
ハイフ(高密度焦点式超音波治療)は、非侵襲的なリフトアップ施術の中でも人気の高い治療法です。高エネルギーの超音波を肌の深層に照射することで、コラーゲンの生成を促し、肌を内側から引き締めます。特に、ハイフの中でもウルセラと呼ばれる機器は、即効性があり、溶ける糸リフト以上のリフトアップ効果が期待できます。痛みや腫れが少なく、施術後すぐに日常生活に戻れるため、ダウンタイムが少ないのも魅力です。
ウルセラは、たるみの進行が軽度から中等度の方に適しており、コラーゲンの生成を促進するため、自然な引き締め効果が期待できます。また、1回の施術で効果が1年以上持続するため、メンテナンスがしやすいのもポイントです。
■ヒアルロン酸注入
たるみを直接引きあがるわけではないですが、ほうれい線やマリオネットラインにヒアルロン酸注入を行うことで、ブルドッグ顔を目立たなくさせることは可能です。
ヒアルロン酸注入では、ウルセラと組み合わせることで、より効果的な結果が得られます。ヒアルロン酸注入で即時的な引き上げ効果とウルセラによるコラーゲン生成で長期的な引き締め効果を両立できます。
まとめ
ブルドッグ顔は、加齢や遺伝的要因によって個人差があり、目立つ人もいれば目立たない人もいます。しかし、本文でも述べたように、体重の極端な増減は特にブルドッグ顔の進行を加速させる要因です。また、喫煙や紫外線は肌全体にダメージを与えるため、ブルドッグ顔が気になる方は、まず禁煙を始め、徹底した紫外線対策を行うことが重要です。
日常的なケアに加え、ブルドッグ顔の予防にはウルセラの定期的な施術も非常に効果的です。ウルセラを継続的に受ける人とそうでない人では、10年後のフェイスラインに大きな差が現れます。
この記事が、ブルドッグ顔の予防や改善にお役立ちいただければ幸いです。ぜひ、生活習慣の見直しや適切な施術を取り入れて、将来の美しいフェイスラインを保ちましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている。ウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。【関連項目】
千葉エリアで治療をご希望の方はこちら
〒273-0005
千葉県船橋市本町6-4-15
グラン大誠ビル 2F
責任者:元神賢太
最終学歴:H11年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H15年船橋中央クリニック開業
東京エリアで治療をご希望の方はこちら
〒107-0061
東京都港区北青山2-7-26
ランドワーク青山ビル7F
(旧ヒューリック外苑前ビル)
責任者:高林洋一
最終学歴:S43年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H28年青山セレスクリニック管理者