投稿日:2024/07/15
(最終更新日:2024/07/15)

ゆるい膣の締まりを良くする膣縮小手術について

膣縮小

膣のゆるみや締まりの悪さは、女性の生活の質に大きな影響を与える問題です。具体的には、尿失禁や性的快感の低下が挙げられます。これらの問題は骨盤底筋を強化することで一定の改善が期待できますが、それだけでは不十分な場合があります。特に、膣の入り口部分の圧力を高めるためには、より効果的な方法が必要となります。

そこで注目されているのが膣縮小手術(会陰形成術)です。この手術は、膣の筋肉を引き締め、余分な組織を除去することで、膣の入り口周囲の圧力を高めることができます。これにより、尿失禁の改善や性的満足度の向上が期待でき、多くの女性がこの手術を選択しています。このブログ記事では、膣縮小手術の具体的な手術手順、効果について詳しく解説します。

膣縮小手術とは

膣縮小手術は、広がってしまった膣の入口と内腔を狭くし、肛門と膣の間の部分(会陰部)を引き締める手術です。この手術は「会陰形成術(perineoplasty)」とも呼ばれ、特に欧米では出産後の女性に非常に人気があります。膣縮小手術は、単に女性の性的満足度を向上させるだけでなく、パートナーの満足度も高めることができます。

さらに、この手術は緩んだ筋肉の機能を回復させることで、尿失禁などの会陰周囲の身体的な症状も改善します。例えば、骨盤底筋の強化によって膀胱の支持力が増し、尿失禁のリスクが減少します。この手術は、出産後の膣のゆるみを効果的に改善し、膣の開口部を狭くすることで全体的な膣の緊張感を回復させます。

膣縮小手術の詳細とその効果

膣縮小手術は、膣の入口(膣口)および会陰部の修復を目的とした手術です。会陰とは、肛門と膣の間に位置する領域であり、この部分は生殖器官および骨盤底筋を支える重要な役割を担っています。しかし、出産や性行為などの要因によって、会陰部が損傷し、膣口周辺の皮膚が緩んだり伸びたりすることがあります。

膣縮小手術では、以下のようなプロセスを通じて会陰部と膣口を修復します:

1.会陰部の強化と引き締め:損傷した組織や伸びきった余った組織を切除し、会陰部の筋肉を縫縮することで、全体的な支持力を向上させます。

2.膣口の狭小化:膣の入口部分を狭くすることで、膣口の圧力を高め、緩みを改善します。

3.機能性と外観の改善:これにより、会陰部の機能が回復し、膣口および周辺の外観も向上します。

膣縮小の技術

膣の緩みの原因とその影響

膣が緩む原因にはいくつかの要因がありますが、特に出産が主要な原因とされています。経腟分娩では、赤ちゃんが産道を通過する際に膣口が大きく伸びるため、膣の筋肉や組織が広がり、緩んでしまうことがあります。これが特に繰り返しの出産によって蓄積されると、膣口が過度に伸びてしまうリスクが高まります。

出産中に会陰裂傷が発生したり、必要に応じて会陰切開が行われたりすることもあります。これらの損傷は、瘢痕組織の形成や膣の筋肉の不適切な治癒を引き起こすことがあります。瘢痕組織は、膣内で不快感や感覚の喪失を引き起こす可能性があります。具体的には、以下のような影響があります。

■感覚の喪失

出産による損傷や瘢痕組織の形成により、膣内の神経がダメージを受け、感覚が鈍くなることがあります。これにより、性行為中の快感が減少する可能性があります。

■尿失禁

出産によって膣や骨盤底筋が弱くなると、膀胱や尿道のサポートが不十分になり、尿失禁が発生しやすくなります。

■膣の緩みと外観の変化

膣の筋肉が緩むことで、膣の入り口が広がり、外観が変化することがあります。これにより、女性が自分の体に対して不満や不安を感じることがあるかもしれません。

■不快感や痛み

瘢痕組織や不適切な治癒によって、膣内や会陰部に不快感や痛みが生じることがあります。これが日常生活や性的活動において障害となることがあります。

膣縮小手術を選ぶ理由とその多様な効果

多くの女性が膣の締まりを改善し、ゆるみを解消するために膣縮小手術を選択しています。膣のゆるみは、性行為中の満足感の低下や尿失禁などの問題を引き起こし、日常生活の質を大きく損なうことがあります。この手術にはさまざまな理由がありますが、代表的なものを以下に挙げます:

■性行為中の感覚の喪失

膣のゆるみが原因で、性行為中の快感が減少し、性的満足度が低下することがあります。また、パートナーが膣圧による摩擦を感じず、射精しづらくなったり、遅漏になることがあります。膣縮小手術によって、膣の締まりを回復させることで、男女双方の性的快感を向上させることができます。

■自尊心の低下

膣のゆるみによる身体の変化に対する不満や不安が、自尊心の低下を引き起こすことがあります。手術によって見た目と機能を改善することで、自信を取り戻すことができます。

■性欲減退

膣のゆるみや性的快感の低下が原因で、性欲が減退し、性行為に対する興味を失うことがあります。手術によって膣の機能を改善し、性欲を回復させることが期待できます。

■膣の刺激、不快感、痛み

膣のゆるみにより、日常生活や性行為中に刺激や不快感、痛みを感じることがあります。膣縮小手術によってこれらの症状を軽減することができます。

■尿失禁または便失禁

骨盤底筋の弱化や膣のゆるみが原因で、尿失禁や便失禁が発生することがあります。手術によって筋肉を強化し、これらの症状を改善することができます。

■入浴後の不快感

湯水が膣内にたまることによる不快感がある場合、膣縮小手術で膣の構造を修復することでこの問題を解決できます。

出典元:Perineoplasty

膣縮小手術で尿失禁・便失禁も改善する理由

膣縮小手術は、単に膣の締まりを改善するだけでなく、尿失禁や便失禁の改善にも効果があります。この手術では、骨盤底筋の強化と膣壁の引き締めが行われるため、以下のような理由でこれらの症状が改善されます。

■骨盤底筋の強化

膣縮小手術では、膣の周囲の筋肉や組織が引き締められることで、骨盤底筋も同時に強化されます。骨盤底筋は、膀胱や尿道を支える重要な役割を果たしており、これが弱くなると尿失禁が発生しやすくなります。手術によって骨盤底筋が強化されると、尿道が適切に閉じられ、尿漏れが防がれます。また、便失禁の予防にも効果的です。骨盤底筋の強化により、肛門括約筋の機能も向上し、便失禁のリスクが減少します。

■膣壁の引き締め

膣の内部組織が引き締められることで、膣壁の張りが回復します。これにより、膣の周囲の構造がより安定し、膀胱や尿道の位置が適切に維持されます。膣壁がしっかりと支えることで、尿道が安定し、尿失禁のリスクが大幅に減少します。また、膣壁の引き締めは、膀胱の位置を適切に保つため、膀胱の圧力が正常に戻り、尿失禁の改善に寄与します。

これらの理由から、膣縮小手術は、膣およびその周囲の構造を強化し、尿失禁および便失禁の症状を効果的に改善することが期待されます。

膣縮小手術の重要ポイント

膣縮小手術は、患者の希望に応じて膣口を狭めることで、膣の締まりを改善する手術です。しかし、手術後も膣内性交を快適に行うためには、少なくとも指二本分の直径幅を確保する必要があります。また手術では膣の入り口の粘膜や皮膚の除去と縫合だけでは不十分です。膣の損傷は皮膚だけでなく筋肉にも及んでいるため、筋肉の修復も不可欠です。

■手術の具体的なポイント

1.筋肉の修復

膣の後壁や側壁の筋肉を引き締めることで、骨盤底筋全体の強化を図ります。具体的には、膣の内側から肛門挙筋を縫い縮めることで、膣の筋肉の締まりを改善します。この過程は、膣全体の張力を高め、膣口の緩みを解消するために重要です。

2.組織の除去

余分な組織や緩んだ組織を切除し、膣の張りを回復させることで、膣口を狭くします。この操作により、膣の外観だけでなく、機能面でも大きな改善が見られます。

3.膣内のひだ形成

膣の粘膜の一部を切除し、筋肉を引き寄せることで、膣後壁にひだの盛り上がりを形成します。このひだは、パートナーにとって新たな性的快感をもたらす可能性があります。これにより、性行為中の満足度がさらに向上することが期待されます。

膣縮小の手順

膣縮小手術の手順と術後のケア

膣縮小手術は、通常局所麻酔と静脈麻酔を併用して行われます。医師は膣口を切開します。次に、余分な皮膚や瘢痕組織を切り取り、膣の周りの深い筋肉層を修復します。最後に切開の端を縫合で閉じます。手術時間は約1時間です。日帰り手術で手術後回復室でしばらく休んだ後、帰宅することができます。術後のケアは回復を促進し、合併症を防ぐために非常に重要です。以下のポイントに注意してください:

■腫れや不快感の管理

最初の数日間は腫れや不快感がありますが、氷や鎮痛剤を使用して症状を和らげることができます。また、浸出液で下着が汚れることを予防するために約1週間は生理用ナプキンを患部に当てます。

■清潔と衛生管理

手術後翌日より患部をシャワーで洗い、常に清潔かつ乾燥に保つことが重要です。

■活動の制限

少なくとも6週間は膣に何も挿入しないでください。これにはタンポンや性交渉が含まれます。さらに、少なくとも4週間は重いものを持ったり、激しい運動を避けるようにしてください。

■便秘の予防

便秘を避けるために、水分を十分に摂取し、食物繊維を豊富に摂りましょう。必要に応じて便軟化剤も使用すると良いでしょう。

■出血の管理

膣からの軽い出血がありますので、生理用ナプキンを使用してください。縫合糸は数週間以内に自然に溶けるため、特別な処置は不要です。

■骨盤底筋体操

手術後の回復が進んだら、医師の指示に従い、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)を始めましょう。これにより、手術の効果がさらに高まります。

まとめ

出産後に膣の見た目やセックスの満足度に不満を感じることは、多くの女性にとって共通の問題です。膣の入り口や会陰が伸びたり緩んだりすると、日常生活に支障をきたすことがあります。このような場合、膣縮小手術が有効な選択肢となります。この手術は、余分な皮膚や粘膜を取り除き、筋肉を補強することで、膣口を引き締め、膣圧を向上させます。

膣縮小手術を受けることで、膣の機能と感覚が回復し、生活の質が大きく向上することが期待されます。具体的には、尿失禁の改善や性的満足度の向上が見込まれます。この手術は、出産後や加齢による膣の緩みや尿失禁で悩む多くの女性にとって、健康と幸福感を取り戻すための効果的な手段です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。女性器、男性器の整形手術を多く行っている。

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