投稿日:2024/01/04
(最終更新日:2024/02/26)

骨盤底筋トレーニングとケーゲル体操

骨盤底筋トレーニングが尿漏れ、性交障害などの骨盤底障害によるさまざまな症状に改善に役立つことは以前のブログ「骨盤底筋と膣トレ」で解説しました。この記事ではさらに骨盤底筋トレーニングの具体的な方法としてケーゲル体操について解説します。

ケーゲル体操とは

ケーゲルとは骨盤底筋トレーニングの一種です。ケーゲル体操の「ケーゲル」は、この運動を発明したアメリカの産婦人科医、アーノルド・ケーゲル博士(Arnold Kegel)に由来します。1940年代に、ケーゲル博士は女性の尿失禁問題を改善するための方法としてこの運動を開発しました。彼は骨盤底筋が弱まることが多くの尿失禁の原因であることを発見し、骨盤底筋群を強化することで尿漏れといった骨盤底障害の症状を改善できると考えました。ケーゲル博士は、訓練可能な骨盤底筋を特定し、意識的にこの骨盤底筋の収縮と弛緩を反復させることで、より健康な骨盤底筋を発達させ、尿失禁などの骨盤底障害の問題を改善または予防できると提唱しました。その結果、彼の名を冠した「ケーゲル体操」、「ケーゲル運動」という名称が広く知られるようになり、今日では性別を問わず多くの人々がこの運動を行っています。

まず自分の骨盤底筋を見つましょう

骨盤底筋は一つの筋肉全体ではなく、骨盤を構成する複数の筋肉ですが、意識的にこれを収縮して見つけるには、コツが必要です。まずトイレに座っているときに排尿時に尿を止めてみてください。その時に意識している筋肉が骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)で鍛えたい筋肉になります。

または、別の方法として膣に指を挿入して、膣の周りの筋肉を絞ってみてください。指の周りに圧力を感じるのと同時に、指が上方に持ち上げられている感覚もあると思います。これがまさに骨盤底筋の収縮です。この筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことがケーゲル体操です。ケーゲル体操を通じて骨盤底筋で「何かを掴む」感覚が養うことがケーゲル体操の究極の目標です。

ケーゲル体操の実際の方法

ケーゲル体操イラスト

上記イラストはクリーブランドクリニックのホームページより

1.自分の骨盤底筋を意識できるようになることをまず習得しましょう。

2.次に骨盤底筋を3秒間収縮させ、3秒間弛緩させましょう。これを「1ケーゲル」と呼びます。上記の絵のように必ずしも骨盤を上にあげる運動を伴う必要はありません。座位でも立位でも可能です。

3.1ケーゲルを10回繰り返します。10 回が難しい場合は、慣れて骨盤底筋が強くなるまでは5 回繰り返してください。これを「1セット」と呼びます。

4.朝と夜に1セットずつやりましょう。

5.慣れてきたら、収縮と弛緩を5秒間ずつにするなど徐々に収縮と弛緩の時間を長くしましょう。または1セットが10ケーゲルになるようにしてください。

6.エクササイズの回数を 1 日 2 回から 1 日 3 回に増やします。

ケーゲル体操のポイント

ケーゲル体操(ケーゲル運動)にはいくつ注意すべきポイントがあります。以下をしっかり意識して正しいケーゲル体操を行いましょう。ケーゲル運動を正しく行っていれば、数週間かけて尿漏れなどの症状が徐々に改善することに気づくはずです。

■焦らない

まず徐々にケーゲル体操の負荷を上げていくことを忘れないでください。ケーゲル体操はじめてすぐに 5 秒または 10 秒間収縮できるようにはならないです。継続することで徐々に時間を延ばせるようになります。また、すぐに効果が現れるわけではありませんので、焦らないで継続することが重要です。

■痛みがないこと

正しくケーゲル体操を行っている場合は痛みを感じることはありません。もしケーゲル運動をした後にお腹、腰、頭が痛くなった場合は、おそらく息を止めているか、間違った筋肉を収縮させている可能性があります。

■呼吸を止めない

息を止めるほど強く締め付けないでください。ケーゲル体操時中は普通に呼吸を続けます。普通の呼吸パターンを維持するために、声に出して数を数えるのも効果的です。

■他の筋肉を収縮させない

ケーゲル体操の効果が発揮されるには十分な収縮と弛緩をする必要があります。ただし、内腿、背中、お尻、お腹の筋肉を収縮させないように注意してください。これらの筋肉を収縮させているということは、ケーゲル体操時が正しく行われていないことを意味します。

 

ケーゲル体操による骨盤底筋トレーニングの効果

骨盤底筋トレーニングとケーゲル体操

ケーゲル体操による骨盤底筋トレーニングによって、骨盤底筋が強化されることで、以下の多くの症状の改善が期待できます。

■性行為の感度アップ

ケーゲル体操は、膣の締まりや感覚を高め、性交時の快感を増大させます。これにより、オルガスムを感じやすくなり、また強度と頻度も向上します。また、性交時の痛みを減少させることも報告されています。骨盤底筋トレーニングやケーゲル体操が別名「膣トレ」、「マントレ」と呼ばれるようになったのはこの性機能アップが一番注目されているからです。

■尿失禁の改善

ケーゲル体操(骨盤底筋トレーニング)により咳やくしゃみなやジャンプ時などの圧力がかかったときの尿漏れや突然の強い尿意で起こる尿漏れなど様々なケースで起こり得る尿漏れが改善します。

■骨盤臓器脱の予防と改善

加齢による子宮脱、膣脱、脱肛(肛門脱)などの骨盤臓器脱がケーゲル体操で骨盤底筋が強化されることで予防できます。また、現在骨盤臓器脱がある場合はその症状を軽減します。

■便秘や腰痛の軽減

便秘や腰痛の軽減にもケーゲル体操による骨盤底筋トレーニングは効果があると言われています。

 

ケーゲル体操のバリエーション

上述のケーゲル体操は「基本のケーゲル体操ですが、このほかに以下のバリエーションがあります。

■長時間保持ケーゲル

収縮: 骨盤底筋をゆっくりと締めます。

保持: 10〜15秒間(徐々に時間を延長)筋肉を締めたまま保持します。

リラックス: 完全にリラックスするまでゆっくりと筋肉を解放します。

繰り返し: 数分間の間隔をあけて、数回実施します。

■高速ケーゲル運動

収縮:骨盤底筋を素早く強く締めます。

すぐにリラックス: 筋肉をすぐにリラックスさせます。

繰り返し: この動作を10回ほど素早く繰り返します。

■階段式ケーゲル体操

徐々に収縮: 骨盤底筋を少しずつ強く締めていきます(階段を上るように)。

頂点で保持: 最も強く締めた状態を数秒間保持します。

徐々に解放: 筋肉を段階的にリラックスさせていきます(階段を降りるように)。

繰り返し: この一連の動作を数回行います

ケーゲル体操のよくあるご質問

Q:ケーゲル体操は横になって行うのがいいのか、それとも座位や立位でやるのがよいですいか?

A:ケーゲル体操は、あらゆう姿勢で行うことは可能です。必ずしも横になって行う必要はなく、座ったり、立ったりしながら行うこともできます。ただし、慣れないうちや骨盤底筋が弱い場合は、横になって行うのがやりやすいでしょう。

 

Q:自分の骨盤底筋が強いかどうかはどうすれば判断できますか?

A:骨盤底筋が強い場合の兆候には次のようなものがあります。

・「尿漏れ」はまったくないか、ほとんどない。

・頻繁に尿意や便意の衝動を感じない。

・ケーゲル体操が簡単にできる

 

Q:1ケーゲル体操は何秒が理想ですか?

A:ケーゲル体操を初めて行うときは、かなり簡単にできる回数だけを行ってください。たとえば、1ケーゲル3秒で5ケーゲルのセットを 1 日 2 回行います。筋力と持久力が向上するにつれて、1ケーゲルの時間をすこしずつ長く、1セットあたりの回数も増やしてください。理想的には、1ケーゲルが収縮と弛緩のそれぞれが5 秒間にできるようにまで練習します。これを10回1セットとし、1 日に少なくとも 2 ~ 3 セット、最大 10セットできるようになるまで鍛えます(合計100ケーゲル)。

 

Q:ベストのケーゲル体操とはどういうものですか?

A:「ベストの」ケーゲル体操はありません。どんなケーゲルでも正しく実行できていれば効果的です。ケーゲルは座っても、立っても、横になっても実行できます。ケーゲル体操のバリエーションを紹介しましたが、自分にとって最も続けやすいケーゲル体操を選択してください。どの姿勢でも、骨盤底筋で「骨盤底筋で何かを掴むように締めたり持ち上げたりする」ことに集中することが重要です。

 

Q:ケーゲル体操開始後、効果が現れるまでどのくらい時間がかかりますか?

A:ケーゲル体操開始後通常6~8週間後に効果が期待できます。効果が現れるまでどれくらいの時間がかかるかは、ケーゲル体操をどれだけ継続的に行っているか、または最初の段階で筋肉がどれだけ弱いかによって異なります。

 

Q:男性でもケーゲル体操はできますか?

A:男性もケーゲル体操を行うことによるメリットは大きいです。尿失禁の改善だけではなく、ED症状の改善や遅漏に役立つと言われており、性的快感を高めます。

ほかの方法で骨盤底障害を改善させる方法

骨盤底筋の加齢に伴う弱体化が原因で生じる尿失禁や骨盤臓器脱、性機能障害などの骨盤底障害の症状は、確かに骨盤底筋トレーニングやケーゲル体操のような日常的な運動で改善することが可能です。しかし、これらの方法は個人の努力と継続が必要であり、結果が出るまでには時間がかかることがあります。そのため、より迅速な効果を望む方には以下の治療法が推奨されます。

■ 膣のヒアルロン酸注入

膣粘膜下にヒアルロン酸の注入を行う治療です。膣壁が強化され、尿道周囲の圧力が安定化することで尿失禁のリスクが改善します。また、膣の弾力性の向上と締まりが改善されることで、性的刺激に対する反応が向上し、性交時の快感と満足度が高まります。また、性交時の不快感や痛みがあった場合は、これも改善します。

膣のヒアルロン酸注入

■ モナリザタッチ

モナリザタッチとは膣粘膜の最も深い内側から全方向に炭酸ガスレーザーを照射する治療です。これにより膣粘膜組織の活性化と新しい組織の成長を促進されることで、膣壁の厚みと弾力性の増加し、性的快感が増すのと同時に、より湿潤になりやすくなるため性交時の痛みも軽減します。また、尿失禁も軽減します。

まとめ

この記事では骨盤底筋トレーニングの具体的な方法としてケーゲル体操を掘り下げました。しばしば誤解されがちな「膣トレ」や「マントレ」は、実際には加齢に伴い女性に生じる下半身の諸症状を改善する効果的な手段です。医学的根拠に基づくこれらのトレーニングは、尿漏れや性交時の不快感などの骨盤底障害の症状を軽減すること、膣の締まりや感覚を高めることで性交時の快感を増大させることが確認されています。筆者はケーゲル体操や骨盤底筋トレーニングなどの日常的な練習を通じて骨盤底筋を強化することを推奨します。また、骨盤底筋の加齢変化で起こる尿漏れ、性交障害などの骨盤底障害によるさまざまな症状にお悩みの場合は、必要に応じて婦人科専門医または性器治療に精通している美容外科専門医に相談するのもよいでしょう。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、女性器、男性器を問わず、多くの性器の美容外科手術を行っている。

【関連項目】

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【女性がセックスでイク】オーガズムの全てを医学的に徹底解説!

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