骨盤底筋の役割と膣トレのメリット - 美容整形・美容外科｜船橋中央&青山セレスクリニック　美容整形・美容外科｜船橋中央&青山セレスクリニック

最近、女性の健康とウェルネスの分野で骨盤底筋トレーニング、一般に「膣トレ（ちつトレ）」、「膣トレーニング」、「マントレ」として知られる運動が注目を集めています。多くの人が恥ずかしさや誤解を持つかもしれませんが、実際にはこのトレーニングが加齢に伴い女性に多く見られるさまざまな下半身の健康問題や不快感の改善に役立つことが知られています。この記事では、骨盤底筋の基本、加齢によるその弱体化がもたらす影響、そしてこれらの問題をどのようにして軽減できるかについて詳しく解説します。

骨盤底筋とは

骨盤の骨には大きな空洞があり、その空洞はすべて何層もの筋肉のよって空洞は埋め尽くされています。すわなち、骨盤底筋は、骨盤の底に位置し、一つの筋肉ではなく、いくつか筋肉から構成されています。これらの筋肉は、内臓を支え、尿や便の排泄をコントロールし、性機能に関与するなど、複数の重要な機能を担っています。下記に骨盤底筋群を構成するいくつかの筋肉を取り上げますが、ここでは、骨盤底筋はいくつか筋肉を一括りに表す筋肉の総称であり、その機能は非常に多岐にわたることを覚えておきましょう。

■恥骨直腸筋 (Levator ani muscle): 骨盤底筋群の最も大きな部分で、さらに細分化されます。

・恥尾骨筋 (Coccygeus muscle): 骨盤の奥に位置し、骨盤底を支えます。

・坐骨直腸筋 (Iliococcygeus muscle): 骨盤底の支持と直腸の位置保持に関与します。

・恥骨直腸筋 (Puborectalis muscle): 排便をコントロールする際に直腸を曲げるのに役立ちます。

・恥骨尾骨筋 (Pubococcygeus muscle): 膣、尿道、直腸の周りを囲み、これらの器官を支持します。

■外尿道括約筋 (External urethral sphincter): 尿道を囲み、尿の流れをコントロールするのを助けます。

■外肛門括約筋 (External anal sphincter): 肛門を囲み、便の排泄をコントロールします。

骨盤底筋の機能と役割

骨盤底筋はさまざま筋肉で構成されており、陰部にはさまざま器官が集中して存在するため、その機能も多岐に渡ります。下記に骨盤底筋の主な機能と役割をあげます。

■内臓支持

骨盤底筋は、子宮、膀胱、小腸、直腸などの骨盤内臓器を適切な位置に保持する役割を果たします。これにより、臓器の脱落や下垂を防ぎます。加齢による子宮脱、膣脱、脱肛（肛門脱）などの骨盤臓器脱は骨盤底筋群の弱体化が原因です。

■排尿と排便コントロール

骨盤底筋群は尿道と肛門の括約筋が開閉をコントロールし、尿と便の排泄を適切に管理します。このように骨盤底筋は尿失禁や便失禁を防ぎます。

■性機能

骨盤底筋の弱体化は女性の性機能に複数の影響を与えることがあります。これには性交時の痛み、感覚の減少、オルガスムの達成困難などが含まれます。また、膣の締まりが減少することで性的な快感が低下する可能性があります。すなわち骨盤底筋の弱体化は性的満足度を低下させ、セクシャルヘルスに対する自信や興味の喪失につながることもあります。

■胎児の出産経路

出産時、赤ちゃんは骨盤底筋を通って出てきます。健康な骨盤底筋は、出産の過程デ必要不可欠であり、産後の回復にも重要な役割を果たします。

■体幹の安定化

骨盤底筋群は、体の中心部の安定性を保つのにも役立ちます。適切に機能する骨盤底筋は、全体的な姿勢の改善と腰痛の軽減に寄与することがあります。

どうして骨盤底筋は弱くなる？

日常生活における活動や姿勢が骨盤底筋を衰えさせる原因になることがあります。多くの研究が骨盤底筋の機能低下に関連する要因を調査しており、いくつかのエビデンス（医学的根拠）が存在します。下記の要因は科学的研究によって支持されています。

■長時間の座り姿勢

研究は直接的に長時間座ることと骨盤底筋の弱化を結びつけてはいませんが、不適切な姿勢が骨盤の健康に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。

■重い物の持ち運び

正しくない姿勢での重い物を持ち上げる行為の繰り返しが、骨盤底筋にかかる圧力を増加させ、筋肉の過負荷や損傷に繋がる可能性があることは、研究によって示されています。

■過剰な体重

肥満は骨盤底筋に持続的な圧力を加えることが知られており、これが尿失禁を含む骨盤底の問題と関連していることが研究によって示されています。

■妊娠と出産

多くの研究が妊娠と特に膣分娩が骨盤底筋に大きな負担をかけ、機能低下の原因となることを示しています。

■慢性的な咳

慢性的な咳が骨盤底筋に繰り返し圧力を加えることにより、筋肉の弱化を引き起こす可能性があることが研究で指摘されています。

■加齢

加齢が筋肉の一般的な衰弱化、特に骨盤底筋の機能低下と関連していることは広く認識されています。筋肉の質と量が時間とともに自然に減少するため、骨盤底筋が弱る要因としては年齢が最も重要な因子の一つであると考えられています。

骨盤底筋トレーニングとは？

骨盤底筋の強くするには、この記事のテーマでもある骨盤底筋トレーニング（またはゲーゲル体操）が有効です。女性の骨盤底筋トレーニングとは、骨盤底筋の強化と機能の改善を目的とした一連の運動（エクササイズ）のことを指します。女性の骨盤底筋トレーニングやゲーゲル体操はいわゆる「膣トレ（ちつトレ）」、「膣トレーニング」、「マントレ」とも呼ばれますが、膣の機能向上に限ったトレーニングではありません。適切な骨盤底筋トレーニングやゲーゲル体操によって、膣の機能だけではなく、さまざまな臨床症状な改善し、それを裏付けるエビデンス（医学的根拠）も複数存在します。

骨盤底筋トレーニング、膣トレの効果は？

骨盤底筋トレーニングによって、以下のような多くの症状の改善が期待できます。

■性行為の改善

骨盤底筋トレーニングは、性機能の向上に有効であり、膣の締まりや感覚を高め、性交時の快感を増大させることができます。また、オルガスムの強度と頻度の向上に好影響を与え、性交時の痛みを減少させることが報告されています。これらの改善は、性的満足度の向上と一般的なセクシャルヘルスの向上に繋がります。骨盤底筋トレーニングが「膣トレ」と呼ばれるようになった所以は、この性的な機能アップがクローズアップされやすい話題だからです。

■尿失禁の改善

・ストレス尿失禁の改善

膣圧が低下し、咳やくしゃみなやジャンプ時などの圧力がかかったときに尿が漏れる状態。骨盤底筋トレーニングは、これらの筋肉を強化し、尿道をしっかりと閉じることを助けることで、漏れを減少させることができます。

・切迫尿失禁の改善

突然の強い尿意で尿が漏れる状態。トレーニングによって膀胱の制御が改善されることが報告されています。

■骨盤臓器脱の予防と管理

骨盤底筋が弱くなると、子宮、膀胱、または直腸が膣壁を通じて下降する可能性があります。筋肉トレーニングは、これらの臓器を適切に位置に保つのを助け、脱出を予防または症状を軽減します。

■出産後の回復

出産は骨盤底筋に大きなストレスを与えます。骨盤底筋トレーニングは出産後の回復プロセスの一環として推奨され、筋肉の増強と機能の回復を助けます。

■その他の利点

便秘の軽減、腰痛の管理、全体的な骨盤の安定性向上など、他にも多くの潜在的なメリットがあります。

骨盤底筋トレーニング（膣トレ）以外の方法は

骨盤底筋群の加齢による弱体化により引きおこる尿失禁、骨盤臓器脱、性機能障害などのさまざまな臨床症状に対して、骨盤底筋トレーニングやゲーゲル体操などのいわゆる膣トレが効果的なのは明らかです。しかしながら、こういったトレーニングはご自身の日々の努力が必要で時間も要します。一方で、即効性を求めるかたには下記の治療をおすすめします。

■膣のヒアルロン酸注入

膣へのヒアルロン酸注入が骨盤底筋の弱体化によっておこるさまざま症状が改善し、下記のような効果があります。

尿失禁の改善:膣壁のサポートが向上し、尿道周辺の圧力が安定することで、尿失禁のリスクが減少します。

性交時の痛みの軽減: 膣の潤滑と弾力性が増すことで、性交時の不快感や痛みが軽減されます。

膣の感覚の向上: 膣壁の厚みと弾力性が増すことで、性的刺激に対する感覚が高まります。

性的満足度の向上: 膣の締まりが向上し、性交時の快感が増すことで、全体的な性的満足度が高まります。

■モナリザタッチ

モナリザタッチとは膣粘膜に炭酸ガスレーザーを照射する膣のアンチエイジング治療です。モナリザタッチは骨盤底筋の弱体化によっておこるさまざま症状を改善し、下記のような効果があります。

膣壁の再生促進: レーザー照射により膣壁の組織が活性化され、新しい組織の成長を促進します。

血流の改善: 膣の血流が増加し、より良い組織の栄養と酸素供給が促されます。

膣壁の厚みと弾力性の増加: これにより、膣の締まりが改善され、性的な快感が増します。

尿失禁の軽減: 膣と尿道のサポートが向上し、尿失禁の症状が軽減されます。

性交時の痛みの軽減: 膣壁がより柔軟になり、性交時の不快感や痛みが軽減されます。

膣乾燥の軽減: 膣の自然な潤滑が向上し、乾燥による不快感が軽減されます。

まとめ

この記事では骨盤底筋とは何か、加齢による骨盤底筋の弱体化によって引きおこる症状、その改善の方法について解説しました。骨盤底筋トレーニングは「膣トレ」や「マントレ」とも呼ばれ、色眼鏡で見られがちですが、女性の加齢によって引き起こるさまざまな下半身の症状が改善できます。従って筆者は骨盤底筋トレーニングを積極的に日常生活のルーティンの取り入れることを推奨いたします。一方で即効性がある膣へのヒアルロン酸注入やモナリザタッチはあまり知られていない治療ですが、非常に有効ですので、おすすめいたします。

筆者：元神　賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医（日本外科学会認定）。美容外科専門医（日本美容外科学会認定）。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、女性器、男性器を問わず、多くの性器の美容外科手術を行っている。

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