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アリッサ・ミラノの豊胸バッグ除去手術:除去の理由とは

更新日:2025/11/12

公開日:2025/10/02

 

豊胸インプラント(豊胸バッグ)によるバストの増大は、長年にわたり人気の美容整形手術です。しかし近年、この豊胸バッグ除去手術(豊胸インプラント除去)に踏み切るケースが増えています。なぜ人々は一度入れた豊胸インプラントを除去したいと思うのでしょうか?

本記事では、映画『コマンドー』で子役で有名になった米国の女優アリッサ・ミラノ(52歳)が自身の豊胸インプラント除去を公表した事例を中心に、その除去理由や背景を考察します。

参照元: consultqd.clevelandclinic.org

アリッサ・ミラノが豊胸インプラントを除去した理由

2025年9月、ハリウッド女優のアリッサ・ミラノが自身の豊胸インプラントを除去したことをSNSで明らかにしました。彼女はインスタへの投稿で、手術直前の患者衣姿の写真とともに、豊胸インプラントを取り出す決断に至った心情と理由を綴っています。その理由は単に体調や健康上の問題ではなく、自身の心の解放とアイデンティティの再確認でした。

ミラノは「これまで性的対象にされ、虐げられてきた身体、私が魅力的であるため・愛されるため・成功するため・幸せになるために必要だと信じ込んでいた身体を、今日手放します」と述べ、長年背負ってきた誤った認識から自分を解放する意図を示しました。彼女は若い頃からセクシーさを求められるハリウッドのプレッシャーの中で、「豊胸インプラントがなければ自分には価値がない」と感じていたといいます。しかし現在52歳となり、#MeToo運動でも積極的に発信してきた彼女は、「本当の自分を取り戻し、自由になる」決意を固めたのです。

さらにミラノは、この決断によって自身の娘(11歳)にも「同じような不健康な重圧を二度と感じさせないように」と願いを込めています。自らが社会から植え付けられた「女性らしさ」への呪縛を断ち切ることで、次世代への連鎖も断ちたいという母親としての想いが背景にあります。このように彼女の豊胸バッグ除去の理由は、外見上の問題というより心理的・社会的な要因が大きいと言えます。

興味深いのは、ミラノが「この選択はあくまで私にとって正しいだけで、誰にでも当てはまるわけではない」と強調している点です。彼女は「インプラントを選ぶことで自由や美しさを感じる女性も多い。それぞれが自分なりの女性らしさや安らぎを見出せればそれで良い」という趣旨のメッセージを発信し、他の女性たちの選択を尊重しています。

実際、彼女自身も「私にとって偽りだった物語(=豊胸)が、他の人にとってはまさに正しいものかもしれない」と述べており、豊胸バッグの存否に対する価値観は人それぞれだと認めています。

また、ミラノは手術を執刀した形成外科医や、同じようにインプラントを取り除いた有名人たちへの感謝も述べています。その一人が米TV番組『ルポールのドラァグレース』で知られるミシェル・ヴィサージュです。ヴィサージュは自己免疫疾患のハシモト病に悩まされ、自身の健康のため豊胸インプラントを抜去した経験があります。

彼女は除去後「人生と健康を取り戻した」と語っており、ミラノはヴィサージュが自身の決断を下す上で大きなインスピレーションになったとしています。このようにセレブの間でも豊胸バッグ除去を公表する動きが見られ、ミラノのケースはその最新の例と言えるでしょう。

ミラノ自身は投稿の最後で「手術後は母の作ってくれた食事をベッドで食べて休んでいる」と述べ、ファンからの励ましに感謝するなど、術後経過も順調であることを報告しました。全体として彼女の語る理由からは、「外見のために身に着けた人工物から解放され、本来の自分らしさと向き合いたい」という強い意志と、娘を想う母の愛情が読み取れます。では、アリッサ・ミラノのような著名人だけでなく、一般の女性たちはどのような理由で豊胸インプラント除去を選択しているのでしょうか。

次に、海外のデータや医学文献に基づいて豊胸バッグ除去の一般的な理由を探ってみます。

参照元: https://www.instagram.com/p/DO_ZSd2kVQ6/people.com

豊胸バッグを除去したい一般的な理由

ミラノのケースでは心理的・社会的要因が大きな割合を占めていましたが、一般的に豊胸インプラント(シリコンバッグ)の除去を希望する理由は多岐にわたります。海外の調査研究や統計から、その主な理由をいくつか見てみましょう。

■見た目・スタイルの変化(美容上の理由)

豊胸手術から時間が経つにつれ、「理想のバスト像」が変化したことを理由に挙げる女性は少なくありません。例えば体重の増減や加齢、出産などで体型が変わり、「昔入れたインプラントが今の自分の体に合わなくなった」と感じるケースがあります。

また、時代や流行によってバストの好ましい形や大きさのトレンドが変化することも指摘されています。実際、米国美容外科学会(ASPS)の報告では、この20年間で豊胸術自体の件数が減少傾向にあるとのデータもあり、大きすぎる人工的なバストより自然なスタイルを好む風潮が強まってきているとも言われます。こうした背景から「もう豊胸バッグは自分の美意識に合わない」と感じ、除去手術に踏み切る女性が増えているのです。

特に年齢を重ねた方では、「年齢に不相応な不自然に若々しいバスト」を解消したいという声もあります。さらに日本独自の傾向として、豊胸バッグを入れたまま亡くなった後のことを懸念する声も一部で聞かれます。例えば火葬の際にシリコンバッグの残骸が遺灰から出てくるのではないか、と心配し生前に取り除いておきたいと考える人もいるのです。

このように美容上・心理的な理由から豊胸インプラント除去を望むケースは多様ですが、「自分らしい体でいたい」「自然体に戻りたい」という根底の思いは共通していると言えます。

■合併症や体へのトラブル(医学的・健康上の理由)

豊胸インプラントは体内に入れる人工物である以上、時間の経過とともに何らかの合併症が起こるリスクがあります。その典型がカプセル拘縮と呼ばれる症状です。これはインプラント周囲に形成される被膜(カプセル)が過剰に厚く硬くなり、乳房を圧迫・変形させる状態で、多くの女性が除去手術を検討するきっかけとなります。

軽度であれば触った際にわずかな硬さやシワ感を覚える程度ですが、中等度になると皮膚表面にシワや筋張りが目立ち、重度では胸全体が石のようにガチガチに固くなり痛みを伴うこともあります。このように不自然な外観や触感、さらには痛みといった身体的不快感が生じるため、多くの方が豊胸バッグ除去手術によって症状の改善を図っています。実際、日本ではカプセル拘縮による見た目の問題が豊胸バッグ除去の大きな動機となっていると報告されています。

カプセル拘縮が進行すると肩や胸の痛みで腕を上げにくくなるなど生活に支障を来すこともあり、原因であるインプラントと被膜を取り除いて痛みや違和感を解消し、日常生活の質を回復させることが期待できます。

さらに豊胸バッグの破損(破裂)も除去を必要とする深刻なトラブルです。シリコンバッグは経年劣化や外部からの強い衝撃でごく稀に破裂することがあります。破裂すると片側の胸だけ突然サイズが変わったり形が崩れたりするため、見た目の左右差から異変に気付くケースが多いです。

見た目の問題だけでなく、漏れ出たシリコンが周囲組織に炎症を起こすリスクもあるため、破裂が判明した場合は速やかにインプラント除去(場合によっては再挿入)が推奨されます。実際、アメリカ食品医薬品局(FDA)はシリコン製インプラントが破損した場合は摘出すべきとの見解を示しています(シリコンが周囲に漏れることで健康へ未知の悪影響を及ぼす可能性が否定できないため)。なお破裂は一目でわかるケース(特に生理食塩水バッグは破裂すると中身が吸収され急激に萎む)もありますが、シリコンバッグの場合はカプセル内で留まる「サイレント破損」のこともありえます。

そのため定期的なMRI検査などで異常の有無をチェックし、異常が見つかれば除去・交換を検討することが重要です。

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他にもインプラント周囲の感染も除去の重大な理由です。手術直後の感染だけでなく、挿入から何年も経ってからカプセル内に細菌感染を起こすこともあります。感染すると患部が赤く腫れて痛みや熱感を伴い、全身に広がる恐れもあるため緊急に対応しなくてはなりません。

抗生剤治療に加え、感染源であるインプラントそのものを取り除くのが根本治療となります。感染が治まらないうちは新たなインプラント再建もできないため、まずはバッグ抜去と徹底洗浄でリセットすることが優先されます。

■健康不安や全身症状への対処(心理的・健康上の理由)

近年注目されているのが、豊胸インプラントと全身の不調との関連です。いわゆる「乳房インプラント病(Breast Implant Illness)」と呼ばれる現象で、明確な医学的定義はまだ確立していないものの、インプラントを入れた女性に原因不明の体調不良が生じるケースが報告されています。具体的な症状は人によって様々ですが、慢性的な疲労感、関節や筋肉の痛み、記憶力や集中力の低下(ブレインフォグ)、皮膚の発疹・炎症、呼吸困難、さらには原因不明の体重増加など100種類を超える全身症状が関連付けられています。

日本でも「乳房インプラント症候群」などと訳されるこの状態では、患者さんは日常生活に支障をきたすほどの不調を訴えることがあります。実際、乳房インプラント病になると慢性的な倦怠感や関節・筋肉の痛み、皮膚トラブル、呼吸器症状など実に様々な症状が現れることが報告されています。これらの症状に悩む女性の中には、「もしかして体の中のインプラントが原因ではないか」と考え、除去手術に踏み切るケースが出てきています。

また、豊胸インプラントに関連した特定の疾患リスクが近年明らかになり、不安材料となっています。その代表例が乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL)と呼ばれる希少がんです。インプラントの周囲にできる瘤(カプセル)から発生する特殊な悪性リンパ腫で、特に表面がザラザラした「テクスチャード型」のインプラントで報告例が多いことが分かっています(ただしスムース型からの報告も僅かながらあります)。

参照元: plasticsurgery.org

豊胸インプラント除去の増加傾向と今後の展望

こうした様々な理由から、世界的に豊胸インプラント除去の件数は増加傾向にあります。アメリカでは、2021年に豊胸インプラントを除去した女性が約21万9千人に上り、前年比から大幅に増加しました。特に特徴的なのは、そのうち約3分の1の女性がインプラントを「抜去しただけ」で再挿入をしなかった(いわゆるExplantのみ)点です。

インプラントは通常10〜15年ごとに入れ替えが推奨されますが、近年は古くなったインプラントを取り替える代わりに「もう入れないでおこう」という選択をする女性が増えているのです。実際、2021年には抜去のみの件数が前年度比47%増と急増し、対して抜去後に新しいインプラントを入れ直したケースの増加率は32%に留まりました。この統計からも、「豊胸バッグを取ったらそのまま自然の状態に戻す」という流れが強まっていることが伺えます。

もっとも、すべての人が除去に走っているわけではなく、多くの女性はインプラントと上手に付き合っています。豊胸インプラント自体は安全に使用されている限り大半の人で深刻な問題は起きていないことも事実です。大切なのは正確な情報を得た上で、自分の体調や価値観に照らして判断することです。

最終的には患者本人の意思を尊重しつつ、医学的見地からメリットとデメリットを比較検討して判断するというステップが重要です。

参照元: plasticsurgery.org

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まとめ

「豊胸バッグ除去」というとネガティブなイメージを抱く方もいるかもしれません。しかし本記事で見てきたように、その理由は人それぞれであり、必ずしも豊胸手術の失敗や後悔だけではありません。アリッサ・ミラノのように自己肯定感やアイデンティティの追求として選ぶ人もいれば、単純にライフスタイルの変化で「もう大きな胸は必要ない」と感じる人、逆に健康上の理由で「取った方が自分にプラス」と判断する人もいます。

 

豊胸インプラントは適切に管理すれば安全性の高い医療材料ですが、人生の節目節目で向き合い方を見直すこともできるという柔軟さが求められる時代になってきました。美容外科医として20年以上の経験を持つ筆者(船橋中央クリニック・青山セレスクリニック院長)も、多くの豊胸インプラント患者さんと向き合ってきました。その中で感じるのは、「豊胸したこと自体への満足」と「時が経ってからの心境や体の変化」は両立し得るものだということです。

 

豊胸手術を受けた当時はそれがベストな選択だったとしても、10年20年経てば身体も環境も変わります。大切なのは、その時々で自分の体と心の声に耳を傾けることではないでしょうか。豊胸インプラントを残すにせよ除去するにせよ、本人が納得し前向きになれる選択をすることこそが、美容医療と上手に付き合う秘訣です。

 

豊胸バッグ除去手術は不安もあるかもしれませんが、信頼できる専門医と十分に相談し計画を立てれば、決して怖いものではありません。実際、豊胸バッグ挿入時に比べて抜去手術のダウンタイム(回復期間)は短めで、痛みもコントロールしやすい傾向があります。当院でも豊胸インプラント抜去の症例を多数手がけていますが、術後1週間程度で日常生活に復帰できた方がほとんどです。

 

もし現在インプラントの扱いに悩んでいる方がいれば、一人で抱え込まず専門医にご相談ください。アリッサ・ミラノの勇気ある決断が示すように、自分の体をどうするかを選ぶ自由は常にあなたの手の中にあります。そしてその自由な選択を通じて、より健康で幸せな自分らしさを手に入れるお手伝いをするのが、私たち美容外科医の努めだと考えています。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。
日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。
また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている
ウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

 

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