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「クールテックディファイン」についての記事まとめ

2024/04/01

院長ブログトップ > クールテックはクールスカルプティングより良い?両機器を比較

クールテックはクールスカルプティングより良い?両機器を比較

クールテックによる脂肪冷却

非侵襲的な脂肪減少手法として注目される脂肪冷却機器であるクールテックとクールスカルプティング。長らく、これら二つの機器の効果に大きな差はないとされてきました。しかし、近年の研究により、クールテックには独自のメリットが存在することが明らかになっています。本記事では、最新技術を搭載したクールテックの進化版であるクールテック・ディファインを詳しく解説し、それがクールスカルプティング及びその新モデルであるクールスカルプティングエリートと比較して、どのように優れているのかを明らかにします。

脂肪冷却:非侵襲的痩身治療の原理と効果

脂肪冷却治療は、局所的な脂肪減少を目指す非侵襲的な技術です。この方法では、特別に設計された強力な冷却装置を用いて脂肪細胞を選択的に冷却し、アポトーシス(細胞死)を引き起こします。この方法は、脂肪細胞が周囲の皮膚などの他の細胞よりも低温に弱いという特性を利用しています。その結果、皮膚へのダメージを最小限に抑えながら、効果的に脂肪細胞を破壊することが可能です。脂肪細胞の除去は3~6ヵ月にわたって徐々に進行し、その間、体は損傷した脂肪細胞を自然に排除していきます。この革新的な技術は、安全性と効果性が認められ、近年その使用は大幅に増加しています。アメリカ皮膚外科学会によると、2019年に行われた約100万件の非侵襲的痩身治療のうち、およそ25%が脂肪冷却を用いたものでした。クールテックやその進化版であるクールテック・ディファイン、クールスカルプティング及びその新型版であるクールスカルプティングエリートは、世界中の多くのクリニックで採用されています。一般的な副作用には、治療部位の赤み、腫れ、痛みがありますが、これらは通常、数時間から数日で自然に解消されます。稀ですが、重篤な副作用として低温火傷や逆説性脂肪肥大(PAH)のリスクも存在します。

クールテック・ディファイン:進化した脂肪冷却治療

クールテック・ディファインは、Cooltech®ブランドから登場した第2世代の脂肪冷却治療装置です。この先進的なシステムは、特別に設計されたハンドピースを使用して脂肪組織に吸引をかけ、その後、-8℃に冷却します。約70分の冷却時間で、吸引された脂肪はハンドピース内部で360度の全方向から均一に冷却されます。クールテック・ディファインの最大の特徴は、その多様なハンドピースの存在です。これにより、身体の異なる部位に局所的に存在する脂肪に対して最適化された治療が可能になります。さらに、一度に4つのアプリケーター(冷却装置)を同時に使用することができるため、複数の部位を同時に効率的に治療することができ、患者の貴重な時間を大幅に節約することが可能です。最新の研究によれば、クールテック・ディファインは最大50%の局所脂肪減少を達成することが可能であり、治療の快適性と効果の点で非常に優れていることが実証されています。これらの点を踏まえると、クールテック・ディファインは革新的かつ効果的な脂肪冷却治療の選択肢と言えるでしょう。

クールテックディファインの機器

↑クールテック・ディファイン

最新研究のよるクールテック・ディファインの驚くべき効果

最新の研究によるクールテック・ディファインの効果は、その結果の驚異的な減少率において注目に値します。この研究は男女287人の患者を対象にしており、合計1118件の様々な身体部位への施術が実施されました。中でも脇腹への施術が全体の約33.19%を占め、腹部の施術が約26.49%を占めています。驚くべきことに、施術後約70日の時点での測定では、脂肪の厚さが平均で約70%も減少しました。具体的には、施術前の平均脂肪厚さ約35mmが、平均11mmまで減少したと報告されています。この顕著な脂肪減少は、クールテック・ディファインの高い効果を示しており、脂肪冷却の進歩を物語っています。

出典元:

Cryolipolysis for fat reduction using Cooltech® Define technology: A large-sample retrospective clinical study

当院でのクールテック症例写真

当院でのクールテック症例写真

クールテックの副作用の頻度

クールテックに関する最新研究では、副作用の発生率にも着目しています。この研究によれば、全1118件の施術のうち、1.7%にあたる19件の症例で治療中または治療後に痛みが報告されました。また、4.47%(50件)の症例では、治療に伴う不快感を和らげるために鎮痛剤の処方が必要とされました。これらの数字は、クールテック治療が比較的安全であることを示唆していますが、注意が必要なケースも存在します。特に注目すべきは、非常に稀ながらも逆説的脂肪過形成(PAH)が1件(0.09%)発生したことです。PAHは脂肪冷却治療における非常に稀な副作用であり、適切な対処が必要となる可能性があります。

逆説的脂肪過形成(PAH)とは

逆説的脂肪過形成(Paradoxical Adipose Hypertrophy;PAH)とは、脂肪冷却治療後に数ヶ月経って、治療部位の脂肪が増殖するという非常に稀な現象です。PAHは、治療された部位の脂肪組織が痛みを伴わずに硬くなり、目に見えて大きくなる特徴があります。PAHがなぜ発生するのか、その正確なメカニズムは今も不明ですが、以下の2つの仮説が考えられています。

冷却不足説: 脂肪細胞への冷却が不十分で、アポトーシスに至らない軽度の傷害が治療部位の脂肪組織の成長を促しているという仮説です。

虚血誘発説: アプリケーターの真空設定が施術部位の血流を制限し、低酸素による細胞傷害とそれに続く脂肪細胞の増殖が生じる可能性があるとされます。

また、PAHのリスクファクターとしては、代謝異常を有する人や、高カロリー食を継続している人、長時間座りっぱなしの生活習慣を持つ人が、この副作用の発症率が高くなる傾向にあると言われています。さらに、クールスカルプティングにおけるPAHの発生率は、0.021%から1.00%の間と報告されており、非常にまれな現象であることが示されています。

PAHの発生頻度の違い

最新の研究によると、クールテック・ディファインを使用した1118例の治療で逆説的脂肪過形成(PAH)の発生率は0.09%に留まり、クールスカルプティングの0.021%〜1.00%の範囲と比較して、この稀な副作用が極めて少ないことが示されています。この結果はクールテックがクールスカルプティングよりさまざまな点で優位性があるからだと言われています。

クールテックの優位性①:ハンドピースの多様性

クールテック・ディファインがクールスカルプティングに優れている点の一つは、ハンドピースの多様性にあります。治療の安全性を高めるためには、患者の体の解剖学的な特徴に合わせて最適なハンドピースを選択することが不可欠です。クールテック・ディファインのハンドピースの種類は、従来のクールスカルプティングの脂肪冷却装置に比べて幅広く、患者の体型や治療部位の特徴に応じて様々な形状から選択することが可能です。このハンドピースの多様性は、治療中の安全性を大幅に向上させる重要な要素となっています。特に逆説的脂肪過形成(PAH)のリスクを最小限に抑えるためには、体の各部位の形状に適切にフィットするハンドピースの選択が不可欠です。

当院での太もものクールテック症例写真

↑当院での太もものクールテック症例写真

クールテックの優位性②:ジェルパッドにおける進化

クールテックの優位性を示す一つの要素は、ジェルパッドの質の違いにあります。治療の安全性を高めるため、クールテックでは凍結保護膜としてクールジェルパッドを採用しています。このパッドに含まれるグリセロールが皮膚細胞の凍結保護剤として機能し、氷の結晶の形成を防ぐことで、皮膚への細胞損傷を最小限に抑える役割を果たします。これにより、脂肪冷却中の周辺組織の安全性が格段に向上します。一方で、クールスカルプティングにもジェルパッドが使用されていますが、これらは薄いパッドで構成されており、クールテックのものと比べると、保護性能に差があると考えられます。特に、逆説的脂肪過形成(PAH)や低温火傷(凍傷)などの稀な副作用の発生率に影響を与える可能性があります。

クールテックの優位性③:安全性を高める革新的な安全装置

クールテック・ディファインの最大の特徴の一つは、その先進的な安全装置にあります。この装置は、治療の安全性を高めるために、温度と吸引レベルを精密に制御するシステムを備えています。治療中、装置は70分間にわたって設定温度を一定に保ちます。この間、患者の皮膚に損傷の兆候が検出された場合、装置は自動的に治療を停止する機能を持っています。この真空制御システムは、皮膚の障害のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。温度と吸引の正確な管理により、患者にとって安全で快適な脂肪冷却を提供します。クールテック・ディファインに組み込まれたこれらの安全対策は、脂肪冷却治療の信頼性と効果を一層高めるものであり、治療を受ける患者の安心感を確保するために不可欠な要素です。これらの先進的な安全機能は、クールテックがクールスカルプティングと比較して優れている点の一つとして際立っています。

クールテックの優位性④:ハンドピースのデザイン

クールテック・ディファインの優れた特徴の一つとして、ハンドピースのデザインが挙げられます。治療の安全性と効果を最大限に高めるため、ハンドピースは人間工学に基づいて精巧に設計されています。このデザインは、吸引と冷却プレートが皮膚に最適に接触するように構成されており、これにより、脂肪細胞への均等な冷却と低い吸引圧での治療が可能となります。低い吸引圧の採用は、治療部位への機械的なストレスを減らし、血液循環を妨げることないので、PAHのリスクを軽減します。

クールテックの優位性⑤:4エリア同時に治療可能

クールテック・ディファインは、その先進的な設計により、同時に4つの異なるエリアを治療する能力を備えています。この装置には4つのアプリケーター(冷却装置)が搭載されており、一度の治療セッションで複数の部位に対応することが可能です。これに対し、従来のクールスカルプティングでは1エリアのみ、その新型モデルであるクールスカルプティングエリートでも最大2エリアの同時治療に限定されています。この4エリア同時治療の能力は、クールテック・ディファインがクールスカルプティングシリーズに対して持つ重要な優位性の一つです。患者が一度の治療で複数の部位を効率的に改善できることは、時間と労力の節約に大きく貢献します。

クールテックの優位性⑥:短期間での結果

クールテックのもう一つの顕著な優位性は、効果が発現するまでの期間の短さです。多くの研究によると、クールスカルプティングによる脂肪冷却後、目に見える効果が出るまで通常3~6ヶ月を要するとされています。これに対し、クールテックに関する研究では、効果が1~3ヶ月の間に現れることが示されています。この時間差は、冷却システムの違いによると考えられており、クールテックがより迅速に効果をもたらす可能性を示唆しています。この速やかな効果の発現は、クールテックがクールスカルプティングに対して持つ重要な利点です。患者は治療後比較的短い期間で結果を体感できるため、治療への満足度が高まり、より早く目標の体型に近づくことが可能になります。

お腹のクールテック症例写真

↑当院でのお腹のクールテック症例写真

まとめ

この記事では、非侵襲的な脂肪減少手法として人気の高いクールテックとクールスカルプティングの特徴を比較しました。クールテックの最大の特長は、逆説的脂肪過形成(PAH)といった重大な副作用の発生率がクールスカルプティングに比べて低い点です。この低い副作用発生率は、ハンドピースのデザインや安全装置など、クールテック独自の進化した技術に起因すると考えられます。加えて、クールテックでは一度の治療で複数の部位を同時に処理することが可能であり、治療効果の発現までの期間も短いという利点があります。これにより、効率的かつ迅速に理想のボディラインに近づける可能性が高まります。本記事が非侵襲的な脂肪減少手法である脂肪冷却に関心を持つ方々にとって、有用な情報源となることを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、、痩身治療を得意としている。日本美容外科学会ではウルセラの学会発表を行っている。痩身治療に関しては自らクールテックを受けてその効果をCT検査で証明した。また、実践した痩身治療を生かして、ベストボディ千葉大会ではグランプリを獲得している。

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2024/03/31

院長ブログトップ > 【脂肪冷却の効果】クールスカルプティング・クールテックの仕組み

【脂肪冷却の効果】クールスカルプティング・クールテックの仕組み

リンダ・エヴァンジェリスタのクールスカルプティング

美容医療の世界は日々進化を遂げており、患者様のニーズに応えるため、多様な痩身治療法が開発されています。その中でも、外科的な脂肪吸引を避け、安全かつ効果的に皮下脂肪を減少させるための方法として、クールテックやクールスカルプティングのような脂肪冷却療法が注目を集めています。このほかにも、ダイオードレーザー(エクセル)や高周波、HIFUといった非侵襲的な治療法が存在しますが、特に脂肪冷却療法は、「切らない脂肪吸引」としての人気を博しています。この記事では、クールテック、クールテック・ディファイン及びクールスカルプティング等の脂肪冷却による痩身治療機器について、その作用原理、副作用、そしてどのような効果が期待できるのかを、詳細にわたり解説していきます。

アイスキャンディーで判明した脂肪破壊の歴史

脂肪冷却の歴史は、驚くべきことに、20世紀初頭まで遡り、1900年代初頭の寒冷地において脂肪組織が損傷を受けるこという報告が起源です。1970年には「popsicle panniculitis(アイスキャンディー脂肪織炎)」という現象が研究報告されました。これは、アイスキャンディーをしゃぶる乳児の頬に見られる赤い硬結と脂肪破壊から名付けられました。この現象は、脂肪細胞が周囲の水分を多く含む組織よりも低温に対して脆弱であることを示しており、「寒冷脂肪織炎(または寒冷脂肪組織炎)」という病態であることが発見されました。寒冷脂肪織炎という現象を活用して、2007年に冷却痩身機器が開発されました。この機器は脂肪細胞と皮膚の物理的特性の違いを利用し、皮膚を傷つけることなく脂肪細胞を選択的に破壊します。以来、美容皮膚科や美容外科の分野において、クールテックやクールテック・ディファイン、クールスカルプティングなどの脂肪冷却痩身機器が開発されました。

出典元:

Cryolipolysis: a historical perspective and current clinical practice

脂肪冷却の仕組み

popsicleというアイスキャンディー

冷却による脂肪破壊という概念の基礎となる寒冷脂肪織炎(または寒冷脂肪組織炎)は、幼い少年がアイスキャンディー(popsicleというアイスキャンディー)をしゃぶった後に頬に硬結が生じた症例から発見されまsた。この現象を詳細に調査するため、研究者たちは少年の臀部と大腿部に氷を当て、生検を実施。その結果、真皮皮下と接合部に最も強く存在する強いマクロファージ反応と脂肪組織の局所的な破壊を確認しました。氷を除去した後48時間から72時間においてマクロファージ反応と脂肪破壊は増強し、その後2週間で完全に治まりました。この発見に基づき、脂肪が冷却に弱いという仕組みを利用して、冷却による脂肪溶解と局所脂肪減少の技術が開発されました。この治療法では、専用の装置を用いて皮膚とその下の脂肪組織の温度を一定時間、一定の冷却温度に保つことで、脂肪細胞のアポトーシス(細胞死)を誘発します。使用される装置は-3~6℃の温度範囲に設定され、表面の皮膚に不可逆的な損傷を与えることなく皮下の脂肪細胞のダメージを引き起こします。治療中、皮膚は体温から真皮層全体にわたって保護されますが、脂肪層では脂質の結晶化が誘発され、脂肪細胞の損傷が生じます。その結果、治療部位の脂肪細胞にアポトーシスが生じ、周囲の組織(皮膚、神経、血管、筋肉など)は温存されながら標的となる脂肪細胞だけが破壊されます。この工程は数ヵ月にわたり進行し、損傷した脂肪細胞はマクロファージによって除去されることで、最終的に治療部位の脂肪が減少していくのです。このような仕組みで脂肪冷却はで脂肪は減少し、その効果は永久的に持続します。

脂肪冷却の適応

脂肪冷却は、特定部位の局所的な脂肪を非侵襲的に減少させるための革新的な治療法です。脂肪冷却では顎下、上腕、脇下、脇腹、腹部、ふくらはぎ、大腿部、臀部下など、脂肪がつきやすい部位をターゲットとします。これらの部位に、脂肪冷却装置を直接取り付けることで脂肪細胞を効果的に溶解させ、徐々に脂肪層を減少させることが可能です。この脂肪冷却の機器には、複数の機器があり、クールテック、クールテック・ディファイン、クールスカルプティングなどが有名です。特に外科的な脂肪吸引に代わる手段を探している方や、長い回復期間を避けたいと考える方にとって、脂肪冷却は理想的な選択肢です。加えて、麻酔による副作用に懸念がある人にも適しています。なぜなら、脂肪冷却治療は麻酔なしで行われ、安全かつ効果的な瘦身治療として知られているからです。この治療法は、特に美容外科が初めての方や、手術に躊躇がある方、効果的で安全な痩身治療を探している方に最適です。脂肪冷却は、手術を伴わない、安心感のある痩身治療であり、望む体型へと導く助けになります。

脂肪冷却のクールテックを受ける筆者

脂肪冷却のクールテックを受ける筆者

脂肪冷却の一般的な副作用(軽微な副作用)

脂肪冷却治療は、その有効性に注目が集まる一方で、いくつかの軽微な副作用を伴うことがあります。これらの副作用は大半が一時的なもので、通常は自然に解消されます。最も一般的に見られる副作用は、治療部位の赤みや腫れ、そして若干の痒みです。これらは通常、治療後1週間程度で落ち着くことが多いです。また、あざ及び軽度の痛みや不快感も報告されていますが、これらも治療後しばらくすると自然に改善します。安全性の高い治療法であることは変わらず、これらの副作用は脂肪冷却治療を受ける際の一時的な反応として理解されるべきです。

脂肪冷却の稀な副作用(重篤な副作用)

脂肪冷却治療は一般的に安全で効果的な方法として認識されていますが、ごく稀に重篤な副作用が報告されることもあります。これらの副作用は、多くの症例においては見られませんが、認識し、適切な対処が可能であることが重要です。具体的には、治療に伴う低温火傷や逆説性脂肪肥大(PAH)という現象が挙げられます。

■低温火傷

ある論文報告では、2012年から2020年の期間に、腹部、四肢、頚部、脇腹、臀部といった多様な身体部位で低温火傷を経験した10人の症例が詳細に記されています。これらの症例では、表面的な部分熱傷から深刻な全層熱傷に至るまで、症状の程度はさまざまで、一部の患者には入院や皮膚移植が必要となりました。さらに、一部の症例では重度の凍傷が脂肪冷却の副作用として報告されており、全層凍傷を負った61歳の女性患者もいます。この患者は、治療後に激しい痛みを経験し、2日間の入院治療が必要となりました。安全性が高いとされる脂肪冷却治療でも、まれに起こり得る重大な副作用に留意し、信頼できる施設で治療を受けることが不可欠です。

■逆説性脂肪肥大(PAH)

脂肪冷却後のPAH

脂肪冷却治療において極めて稀ながら重要な副作用の一つが、逆説性脂肪過形成(Paradoxical Adipose Hyperplasia: PAH)です。PAHは治療された部位の脂肪組織が逆説的に増加する現象であり、通常は脂肪減少が期待されるところ、その逆が起こることを特徴としています。この状態は通常、冷却脂肪分解治療後の2〜5ヵ月に発現し、場合によっては外科的な手術が必要となります。ある研究では、冷却による脂肪溶解を受けた41歳の男性が治療後1〜2ヵ月で腹部に大きな腫瘤を発症した例が報告されています。この患者は、処置された部位の周辺で脂肪組織の異常な増加が見られ、病変は硬いが圧痛は伴わない状態でした。同様のケースとして、56歳の女性が脂肪冷却治療後に腹部に同様の症状を発症し、腹部形成術により腫瘤を外科的に除去した例もあります。病理検査では、脂肪細胞の増殖だけが確認されました。PAHの根底にあるメカニズムは未だ解明されていませんが、仮説として、脂肪細胞の肥大、幹細胞の動員、交感神経支配の変化、低酸素傷害などが考えられています。研究者たちはまた、PAHの発生傾向として男性での発生率の高さや、腹部治療の受けた患者、より大きなハンドピースを使用した症例が挙げられています。遺伝的要因の可能性も示唆されており、異なる施設で治療を受けた双子がともにPAHを発症した症例がその証左となっています。PAHの発生率は0.05~0.39%という報告がある一方、最新の報告では1%であるという報告もあります。このPAHについては有名モデルのリンダ・エヴァンジェリスタが「体を残酷なほど変えられた」として施術を行なったクールスカルプティングの製造元のゼルティック社(2017年にAllergan Aesthetics社により買収)を相手に5,000万ドルの損害賠償金を求めを提訴したことが話題となりました。PAHの発生頻度に関してはクールスカルプティングよりクールテック・ディファインのほうが低いという研究論文もあります。

出典元:

Linda Evangelista Shares First Photos of Her Body Since Fat-Freezing Nightmare: ‘I’m Done Hiding’

脂肪冷却の効果

脂肪冷却治療を受けた後、すぐには目に見える変化を感じないかもしれません。一部の患者は治療後わずか3週間で変化を感じ始めることがありますが、最も顕著な効果は通常、3~6ヵ月後に現れます。この緩やかな進行は、身体が自然に損傷した脂肪細胞を除去し、治療部位の形を整える過程に起因しています。患者によって結果は異なりますが、1回の治療で平均10%から25%の脂肪減少が期待できるというデータが存在します。初期の研究の1つでは、32人の被験者が脂肪冷却後の脇腹部の改善を経験しました。これらの被験者は治療後4ヵ月で超音波検査により平均22.4%の脂肪層の厚さ減少を示しました。最近の研究では、30人の女性が脂肪冷却の1回の治療後に脂肪層の厚さと腹囲を超音波で評価しました。6ヵ月後、腹部脂肪層の平均厚さは46.6%減少し、腹囲も肋骨下、臍上、臍、坐骨下領域でそれぞれ84.3、99.2、90.6、97.1cmから81.0、93.6、85.8、92.2cmに有意に減少しました。これらのデータは、脂肪冷却治療の長期的な効果とその有効性を示唆しています。

まとめ

本記事では、現在利用可能な脂肪冷却痩身治療機器に焦点を当て、その作用原理、一般的な副作用、そしてその効果について解説しました。脂肪冷却治療は、一般的に非常に安全で、副作用のリスクが低いと評価されています。しかし、国内のい美容外科や美容皮膚科の医療機関においてこれまであまり語られることのなかった、低温火傷や逆説性脂肪肥大(PAH)といった稀ながらも重篤な副作用の存在にも注意が必要です。この記事で、これらの副作用についての知識を深めることで、脂肪冷却治療を検討される方々が、より安全に、そして十分な情報を得て治療に臨めるよう願っています。脂肪冷却は多くの人にとって効果的な痩身選択肢ですが、正しい知識を持つことがその成功の鍵です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、、痩身治療を得意としている。日本美容外科学会ではウルセラの学会発表を行っている。痩身治療に関しては自らクールテックを受けてその効果をCT検査で証明した。また、実践した痩身治療を生かして、ベストボディ千葉大会ではグランプリを獲得している。

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