元神院長執筆 専門医と学ぶ美容医療ブログ

思春期のワキガがよく再発する理由とその対策

更新日:2026/01/08

公開日:2026/01/12

ワキガ(腋臭症)は思春期に発症することが多く、この時期に治療を受けた場合に「再発しやすい」と言われることがあります。実際、従来は「アポクリン汗腺の発達が安定する高校生以降に手術を行うべき」と推奨されてきました。これは思春期前に手術すると成長に伴ってワキガが再発するリスクが高いためです。

本記事では、思春期のワキガ治療と再発リスクについて、医学的知見やデータをもとに分かりやすく解説します。さらに再発を防ぐ工夫や、万一再発した場合の対処法、そしてクリニック選びのポイントについても取り上げます。

思春期に治療したワキガは再発しやすい?その実態とデータ

まず、思春期にワキガ治療(特に手術)を受けた場合の再発リスクについて見てみましょう。一般的にワキガ手術後の再発率自体は高くありません。

臭いの原因であるアポクリン汗腺を直接除去する剪除法(せんじょほう)やシェービング法では、適切に行えば再発率は5%以下と報告されています。一方、切らない治療法(吸引法やビューホットなど)では完全に汗腺を除去しきれないため約10~20%程度の再発があるとされています。

これは施術方法による違いですが、実は手術を受けた年齢も再発リスクに影響します。思春期(おおむね10代前半~中頃)での治療は再発しやすいというのが多くの専門家の共通認識です。

実際、第二次性徴期が終わる前の手術では汗腺が成長とともに発達し、症状が再び現れる可能性があるとされています。例えば、小学生~中学生のうちに剪除法でアポクリン腺を除去しても、その時点では未成熟だった小さな汗腺が思春期のホルモン分泌によって発達し、結果的に臭いがぶり返す恐れがあるということです。

このため、一部の医療機関では「ワキガ手術は成人してから受けることが望ましい」と案内するケースも見られます。とはいえ、治療法の改良や新しい治療法(ビューホット等)により、若年でも十分な効果が得られる可能性はあります。従って、医師と相談の上で症状の程度と年齢を考慮した最適な治療時期を見極めることが重要でしょう。

思春期のホルモン変化とアポクリン汗腺の発達

なぜ思春期に治療すると再発しやすいのか? その背景には、思春期特有のホルモン変化と汗腺の発達があります。アポクリン汗腺は子どもの頃にはほとんど活動しておらず、その分泌機能が本格化するのは思春期以降です。思春期になると男女ともに副腎や性腺からのアンドロゲン(男性ホルモン)が増加し、これがアポクリン汗腺を刺激して汗の分泌が盛んになります。

実際、「腋臭症(ワキガ)は第二次性徴の開始とともに現れる」のが典型であり、それ以前の小児ではほとんど症状が見られません。ここで重要なのは、アポクリン汗腺自体の発達も思春期に完了するという点です。思春期前でも腋の下にアポクリン汗腺の芽は存在しますが、小さく未熟な状態です。第二次性徴期(おおよそ10~16歳頃)にホルモンの影響でこれらの腺体が肥大化・増殖し、活発に機能し始めます。

そのため、思春期の途中でワキガ治療(汗腺除去)を行っても、後から芽から汗腺が成長してくる可能性があります。また、思春期は皮脂腺の発達や発汗の増加もあり、菌の繁殖が活発になる時期です。

汗そのものは無臭でも、皮膚常在菌がアポクリン汗を分解してワキガ臭を作り出します。思春期の子どもは代謝が活発で汗っかきなため、菌が増殖しやすく臭いが強まりがちです。このような思春期特有の生理的条件も、「治ったと思っていたのにまた臭いが気になる」と感じる要因になります。

参照元: pmc.ncbi.nlm.nih.gov

手術方法ごとの再発率と年齢との関連

ワキガ治療には大きく分けて手術による方法と手術をしない方法があります。それぞれ効果やリスクが異なり、再発率にも差があります。ここでは代表的な治療法について、その再発率と年齢との関係性を解説します。

シェービング法や剪除法(皮弁法)

ワキの皮膚を切開して直接アポクリン汗腺を除去する手術です。いくつかの手術方法がありますが、基本的には多くの汗腺を根こそぎ取り除けるため効果は非常に高く、経験が豊富な医師が丁寧に手術を行えば、再発率は5%以下と報告されています。

きちんと除去されたアポクリン腺は再生しませんから、原理的には再発リスクは極めて低い方法です。ただし、思春期真っ只中に剪除法を行うと残存汗腺の発達による症状再燃の可能性はあります。

吸引法・超音波法

小さな切開から脂肪吸引の要領で皮下組織ごと汗腺を吸い出す方法です。切開がごく小さいメリットがありますが、目で直接確認できないため汗腺の取り残しが生じやすく、再発率は剪除法よかなり高め(報告により30%以上)とされます。

特に若い方の場合、取り残したアポクリン腺が成長して活発化しやすいので、思春期だと再治療が必要になるリスクが非常に高いでしょう。

ビューホット

切開せずにラジオ波(RF)を照射して汗腺を熱破壊する治療法です。傷跡が残らず、術後の制限のほぼない点が大きなメリットです。効果は半永久的ですが、一度で完全に汗腺をなくすことは原理的に不可能であり、約70%の改善具合とされています。そのため全年齢を通しての再治療率は2~3%程度あります。

また、特に成長期の子どもでは、照射後に残った汗腺がその後活発化する可能性があり、再発リスクはシェービング法と比較すると、少し高いと言えます。そのため、小学生~中学生でビューホットを受ける場合、将来2回目の治療や別の治療が必要になる場合もあります。

以上のように、根治性が高いのは剪除法(シェービング法)ですが、思春期の患者ではどの治療法でも汗腺の新生・残存による再発リスクはゼロではありません。特に切らない治療は傷跡が少ない反面、完璧に汗腺を除去できないため、若年者では症状がぶり返す可能性があります。

そのため「小中学生のうちはビューホットの切らない治療で乗り切り、大人になったら、剪除法で根治を目指す」といった段階的アプローチも推奨されます。

▶️ ビューホットについてはこちら

再発を防ぐための初回治療の工夫と術後ケア

思春期のワキガ治療では、いかに再発リスクを抑えるかが大きな課題です。初回の治療で工夫できるポイントと、術後のアフターケアの重要性について見ていきましょう。

適切なタイミングと治療法の選択

これまで述べました通り、可能であればアポクリン汗腺の発達が一段落する思春期後半まで待って、切開する手術するのが理想的です。ワキガの症状が軽度であれば、まずは制汗剤や生活改善で様子を見ることも選択肢です。

一方、思春期真っ只中でも臭いが強く日常生活に支障が出ている場合、ビューホットなど体への負担が少ない治療で一時的に改善を図る方法も考えられます。これらは根治にはなりませんが、症状を抑えながら成長を待つブリッジ治療として有用です。その後、必要に応じて年齢が適した段階で剪除法(シェービング法)など根治手術を検討すると良いでしょう。

徹底した汗腺除去

思春期でもどうしても手術が必要なケースでは、可能な限り汗腺を取り残さないよう丁寧に手術することが肝心です。手術においては、医師の技量と徹底度によって再発リスクを限りなくゼロに近づけることも不可能ではありません。したがって、手術を受ける際は経験豊富な専門医に依頼し、汗腺を可能な範囲で根こそぎ取ってもらうことが再発予防のポイントです。

▶️ わきが手術についてはこちら

再発してしまった場合の対処法と治療戦略

万全を期して治療しても、残念ながら「臭いがまた気になる…」と再発を実感してしまうケースもあります。そのような場合、慌てずに以下の対処法・治療戦略を検討しましょう。

まずは本当に再発か確認を

手術後に臭いを感じると、誰しも不安になります。ただ、術後の臭いの多くは「残存臭」であって、完全に新しい汗腺が生えてきたわけではない可能性があります。人間の嗅覚は慣れやすい一方で、自分の臭いには過敏になったり逆に気づきにくかったりします。

術前と比べて明らかに臭いが軽減しているかどうか、周囲の反応なども含め冷静に判断することが大切です。それでも判断に迷うときは、まず手術を受けたクリニックに相談してみましょう。専門医であれば、臭いの原因が手術の取り残しなのか他の要因なのか評価し、適切な対処法を提案してくれます。

軽度ならセルフケアで改善を

再発(残存臭)と思われる状態が軽度であれば、まずは日常のセルフケアで臭いを抑える努力をしてみましょう。残った症状がさほど重くない場合にはセルフケアも有効であり、しっかり取り組めば気にならないレベルまで臭いを抑えられることもあります。

  • 脇を清潔に保つ: こまめに汗を拭き取り、脇を乾燥させるよう心がけます。殺菌成分配合のデオドラントシートで汗を拭き取るのは効果的です。運動後や入浴時には丁寧に脇を洗浄し(石鹸の泡で優しく洗う程度)、雑菌の繁殖を防ぎましょう。

  • 制汗剤・デオドラントの活用: 市販のものでもワキガ用をうたったクリームやスプレーがあります。これらは殺菌・消臭作用が強化されており、適切に使えば一般的な制汗剤より高い効果が期待できます。

  • 脇毛の処理: 定期的に脇毛を剃るか脱毛すると、汗や老廃物が毛に付着して留まるのを防げます。菌の繁殖しにくい環境作りに有効で、拭き取りもしやすくなるため臭い軽減につながります。

こうしたセルフケアを徹底することで、「なんとか我慢できる程度まで臭いが収まった」という声もあります。まずは自分でできる対策を試み、それでも改善しない・ストレスが大きい場合に次の段階へ進むのが良いでしょう。

再治療の検討

セルフケアでもなお臭いが強く気になる場合、医療機関での再治療を検討します。再治療の方向性は、初回に何の治療を受けたかによって異なります。

  • 初回が剪除法など手術だった場合: 基本的には再度の手術(再剪除)が根本解決策になります。ただし、再手術は高度な技術を要し、リスクも上がる施術です。そのため、再手術を積極的に行っている経験豊富なクリニックを選ぶことが重要になります。

  • 初回が吸引法などの簡易的な手術やビューホットだった場合: 完璧な改善を求める場合は、改めてシェービング法による手術を受けることを検討します。また、手術を回避したい場合は、ビューホットを検討します。担当医と相談し、どの方法が自分の状態に適しているか判断してもらいましょう。

いずれの場合も、「再発かな?」と思ったら早めにクリニックで相談することが大切です。自己判断で悩み続けるより、専門医の診断を仰いで今後の方針を立てた方が精神的にも安心できます。臭いの程度によって最適な対策は異なりますので、「少し残った臭いまで完璧になくしたい」という希望も含めて担当医に率直に伝えましょう。

再発リスクに備えたクリニック選びのポイント

思春期のワキガ治療は再発リスクへの対応も視野に入れておく必要があります。最後に、患者さんや保護者の方がクリニックを選ぶ際に注目すべきポイントを整理します。適切なクリニック選びは、初回治療の成功率を高めるだけでなく、万一再発した場合にも心強い支えとなるでしょう。

経験豊富な医師と症例数

まず何より、施術実績が豊富なクリニックかどうかを確認しましょう。再手術ではより専門性と難易度が高くなるため、過去の実績が適切な治療を受けるための目安になり、特に思春期のワキガ手術や再手術は高度な技術を要します。

症例数が多く経験豊かな医師であれば、汗腺の個人差や若年者特有の注意点も踏まえた上で最適な治療方法を提案してくれる期待が高まります。また、経験豊富な医師、十分な説明、適切なアフターケア体制を備えたクリニックを選ぶことで、良好な結果を得られる可能性が高まります。クリニックの公式サイトで医師の経歴や症例数、ブログ記事なの情報発信の有無などをチェックし、信頼できるか見極めましょう。

術後のフォロー体制

アフターケアが充実しているクリニックかどうかも重要です。ワキガ手術は術後の経過観察や抜糸、万一の合併症対応などアフターケア体制が整っている所を選ぶべきです。具体的には、手術後に定期的な診察を行ってくれるか、トラブル発生時に迅速に対応してくれるか、といった点です。

再発時の対応方針

再発が起きた場合にしっかり対応してくれるかも重要なポイントです。クリニックによっては「万が一再発した場合、追加の手術を無料で行います」と保証しているところもあります。そこまで明言していなくても、再治療に前向きで責任を持ってくれそうかどうかは大切です。

逆に、再発や合併症について質問した際に明確な答えをはぐらかすような場合は要注意です。大抵のクリニックはホームページに再手術の可否を記載していますので事前に調べておきましょう。

丁寧なカウンセリングと説明

思春期の患者さんは不安や疑問も多いでしょうから、医師がじっくり話を聞いてくれて分かりやすく説明してくれるかも大事です。カウンセリング時に質問を嫌がらず丁寧に答えてくれるか、再発リスクなどマイナス面もしっかり説明してくれるか、といった点をチェックしましょう。

特にお子さんの場合、医師やスタッフとの相性(恐怖心を和らげてくれるか)も無視できません。本人がリラックスして治療に臨める雰囲気かどうか、親御さんも一緒にカウンセリングを受けて確認してみてください。

一貫した対応

できればカウンセリングから手術、アフターフォローまで同じドクターが担当するクリニックが望ましいです。大手クリニックなどではカウンセリングは別のカウンセラー、手術は執刀医、経過診察はまた別の医師…という体制もあります。その場合情報共有が不十分だと些細な見逃しにつながる恐れがあります。一貫担当が難しくとも、チームで情報を共有しフォローしてくれる体制かどうか見極めましょう。

以上の観点から、再発リスクまで見据えて信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。術前に不安や疑問を解消し、術後も長く寄り添ってくれるクリニックと出会えれば、思春期のワキガ治療もきっと心強いものになるでしょう。

▶️ わきが・多汗症治療のポイントについてはこちら

まとめ

思春期のワキガ治療は、大人と比べて慎重な判断とケアが求められます。ホルモンバランスの変化によるアポクリン汗腺の発達という要因があるため、早期の治療には再発リスクがつきまといます。しかし、適切なタイミングで最適な治療法を選択し、経験豊富な医師のもとで徹底的にケアすれば再発率を低く抑えることは十分可能です。

 

万一再発した場合も、対処法はいくつもあります。セルフケアの工夫から再手術まで段階に応じた選択肢があり、決して手の打ちようがないわけではありません。本記事で述べたように、術後のフォロー体制が整った信頼できるクリニックであれば、再発時にも適切に対応してくれるでしょう。思春期というデリケートな時期だからこそ、医療者と二人三脚で不安を乗り越えていくことが大切です。

 

臭いの悩みから解放されることで、思春期の明るい毎日を取り戻せる可能性があります。そのために、根拠に基づいた適切な治療とアフターケア、そして信頼できる専門医のサポートを是非活用してください。親御さんもお子さんの気持ちに寄り添いながら、最良の選択ができるよう本記事の情報がお役に立てば幸いです。自信を持って治療に臨み、将来に向けて一歩踏み出しましょう。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、ビューホット治療を日本にいち早く導入。ビューホットにおけるスソワキガ治療は日本で初めて行った。これまでのスソガ、わきが治療例は延べ1万人を超える。

ブログTOPに戻る

当院は開設20年以上の歴史を持つ医療法人社団セレスのグループクリニックです。
千葉船橋院:千葉県船橋市(JR総武線・横須賀総武快速線、東武野田線、京成本線船橋駅)、東京青山院:東京都港区北青山(地下鉄銀座線外苑前駅)がございます。
年間で累計約4万人の患者様にご来院いただいており、国内屈指の症例数がございます。
様々な治療のご相談をお受けし、施術を行っておりますのでどうぞ安心してお任せください。

千葉エリアで治療をご希望の方はこちら

船橋中央クリニックmap

〒273-0005
千葉県船橋市本町6-4-15
グラン大誠ビル 2F
責任者:元神賢太
最終学歴:H11年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H15年船橋中央クリニック開業

東京エリアで治療をご希望の方はこちら

青山セレスクリニックmap
詳細地図はこちら

青山セレスクリニック
東京青山院

フリーダイヤル 0120-010-099

〒107-0061
東京都港区北青山2-7-26
ランドワーク青山ビル7F
(旧ヒューリック外苑前ビル)
責任者:高林洋一
最終学歴:S43年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H28年青山セレスクリニック管理者

メニューを開く

ライン相談をする 相談/予約

希望される
クリニックを選択して下さい。

どちらも元神医師が診察しています。

フリーダイヤル フリーダイヤル相談/予約

受付時間:11:00~18:00 年中無休
(12/31~1/3を除く)

希望される
クリニックを選択して下さい。

どちらも元神医師が診察しています。