投稿日:2024/02/11
(最終更新日:2024/07/26)

鼻汗・口周りの汗がすごいのはなぜ?対策と止める方法について

鼻汗が多くて悩む女性

鼻汗がはずかしい、と思っている女性が意外と多い事実があります。ネット検索でも「鼻の汗がひどい」、「口周りの汗、唇の上の汗がすごい」、というキーワードがあり、鼻汗が多くの人の悩みになっていることが分かります。本記事では、鼻汗や口周りの汗の原因について医学的根拠に基づき詳細に解説し、解決策や治療方法を幅広くご紹介します。

頭と顔も大量からの発汗なら多汗症

外的な刺激や体温上昇といった明確な原因がないにも関わらず、鼻や口の周りだけでなく、顔全体や頭から滝のように汗が噴き出すことがあります。このような状態は「原発性頭部顔面多汗症」と呼ばれ、汗腺の過活動により引き起こされる特殊な病態です。顔全体や頭ではなく、鼻汗や口周りの唇上や唇下などの顔の特定の汗が気になる場合は病的な状態ではなくで生理的な発汗が人より少し多いだけの可能性があります。

鼻汗、口周り、額の汗が多い理由

顔の正中部、すなわち、額、鼻の頭や小鼻、人中と呼ばれる唇の上、唇の下や顎は顔の中でも特に発汗が多い部位とされています。これらの部位での発汗が多い理由は、汗を分泌する皮膚の器官であるエクリン汗腺がこれらの部位に密集しているためです。

味覚性発汗が多い顔の好発部位

↑味覚性発汗が多い顔の好発部位

食べ物で鼻汗が増えるなら味覚性発汗が要因かも

食事中に特に鼻周辺の汗が増える場合、これは味覚性発汗が原因かもしれません。甘味や酸味に対するこの生理的な反応は、病気ではなく通常の体の働きです。辛味による発汗は一般的に味覚性発汗とは異なり、甘味や酸味に特有のものとされます。このタイプの発汗は顔の正中部、特に鼻や唇の周り、額に顕著です。ただし、この現象は全ての人に見られるわけではなく、特定の遺伝的要素が関与している可能性があります。味覚性発汗の正確なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、遺伝が大きな役割を果たしていると考えられています。

鼻汗と辛い食べ物の関係

辛いもので鼻汗が多い理由

辛い食べ物を口にした際に鼻や頭から汗をかく現象は、多くの人が経験していることでしょう。この辛い食べ物による発汗はよく混同されますが、味覚性発汗には当てはまりません。辛い食べ物、特に唐辛子に含まれるカプサイシンは、舌や口内の温度感受性受容体を直接刺激する作用があります。これにより、食事中に頭や顔だけでなく、全身の発汗が促進されるのです。特に顔や鼻や頭部の発汗が多いのは、これが脳冷却を目的とした「体温調節性発汗」であるためです。このように、辛い食べ物を摂取した際の鼻汗は、単に味覚の反応というよりも、私たちの体が脳を適切な温度で保つための自然な生理反応です。

鼻汗が病気と診断される場合

一部の人にある生理的な味覚性発汗とは異なって、病的味覚性発汗というのもあります。病的味覚性発汗の原因には耳介側頭症候群(Frey 症候群),交感神経切除,糖尿病などがあります。.耳介側頭症候群とは耳下腺の外傷・手術・炎症により,耳介側頭神経の支配領域に味覚性発汗・顔面紅潮を生じる病態です。糖尿病性味覚性発汗は臨床的特徴には生理的味覚性発汗と同じと言われています、糖尿病を起因として、酸味や甘味を口にした際に顔の正中部に発汗が起こる現象です。糖尿病患者の中でもこの糖尿病性味覚性発汗が起こるのは極めて稀だと現在はされています。糖尿病患者は発汗が多い場合がありますが、多くの場合は味覚性発汗ではなく、肥満による体温調節性発汗とされています。

鼻汗は遺伝?原因は?

手のひらや足の裏で過剰な発汗が起こる掌蹠多汗症が遺伝的要素を含むことが知られていますが、鼻汗が起こる味覚性発汗もおそらく遺伝的に一部の人にだけみられるとされており、優性遺伝とされています。原因は他の多汗症の原因とされている過剰な交感神経の活動でなく、生理的味覚性発汗の原因は未解明ですが、「味覚発汗反射」という「まぼろしの自律神経反射」が存在するとしている学説もあります。

出典元:

田村直俊,中里良彦:味覚性発汗再考,自律神経,2020; 57:193―205

鼻汗・口周りの汗を止める方法

一般的な多汗症の治療法には過去のブログで紹介した手汗の治療方法のようにさまざまな方法があります。一方、鼻汗や口周りの汗など顔の極めて局所的な汗を止める方法にはボトックス注射しかありません。ボトックス注射は鼻汗・口周りの汗を止めるには非常に効果的です。ボトックスはボツリヌス毒素という薬剤を使用してエクリン汗腺の神経を一時的に麻痺させ、発汗を抑制します。この治療法は約6ヶ月間効果が持続し、症状の重症度に応じて繰り返し治療が行われることが一般的です。効果の持続期間には個人差があり、最長で1年程度続くこともあります。副作用は特に報告されていません。

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鼻汗、口周りの汗でよくあるご質問

味覚性発汗は酸味と甘味による

Q:味覚性発汗は顔に起こるものですか?味覚性発汗はどこにかく汗ですか?

A:食べ物のうち甘味や酸味を感じて、顔の正中部、すなわち、額、鼻の頭、唇の上、唇の下に集中して起こる発汗を厳密には味覚性発汗と言います。辛味を感じて発汗するのはカプサイシン性発汗と言い、本来は味覚性発汗と違いますが、近年はこの2つが混同されています。

Q:味覚性発汗は病気ですか?

A:味覚性発汗は病気ではなく、一部の人が遺伝している生理的な現象です。味覚性発汗の発生機序はいまだに全容が解明されていません。一部の人に存在する特殊な反射経路が要因という説があります。生理的味覚性発汗は全ての人にみられる訳で なく,おそらく遺伝的に一部の人にだけみられるとされており、優性遺伝とされています

Q:食事で顔に汗をかくのはなぜですか?

A:食事で顔に汗をかく理由は2つです。一つは唐辛子などに含まれるカプサイシンによるカプサイシン性発汗です。カプサイシン性発汗ではカプサイシンが直接に舌や口内の熱受容体(特にTRPV1受容体)に作用し、身体が熱を感じるという信号を脳に送ることで温熱性発汗が生じます。もう一つは生理的な味覚性発汗です。味覚性発汗とは甘味や酸味を感じて起こる反射的な発汗です。

(TRPV1とはtransient receptor potential vanilloid 1の略です。)

Q:酸っぱいものを食べると鼻に汗をかくのはなぜですか?

A:生理的な味覚性発汗によるものです。味覚性発汗の発生機序はいまだに全容が解明されていません。一部の人に存在する特殊な反射経路が要因という説があります。生理的味覚性発汗は全ての人にみられる訳で なく,おそらく遺伝的に一部の人にだけみられるとされており、優性遺伝とされています。

Q:唐辛子を食べると顔だけ汗をかくのはなぜ?

A:唐辛子に含まれるカプサイシンが要因で、カプサイシンによる発汗をカプサイシン性発汗と言います。カプサイシン性発汗は、辛い食品に含まれるカプサイシンという化学物質が引き起こす発汗の形態です。カプサイシンは、舌や口内の熱受容体(特にTRPV1受容体)に作用し、身体が熱を感じるという信号を脳に送ります。これにより、実際の体温が上昇していなくても、体が熱いと感じるため、体温を下げるために発汗を促します。これは、辛い食品を食べた際に特に顕著な反応であり、顔や頭部など特定の部位での発汗が一般的です。また、この反応は個人差が大きく、人によって発汗の程度や感じ方が異なります。

Q:チョコレートを食べるとなぜ汗が出るのですか?

A:生理的な味覚性発汗によるものです。味覚性発汗の発生機序はいまだに全容が解明されていません。一部の人に存在する特殊な反射経路が要因という説があります。生理的味覚性発汗は全ての人にみられる訳で なく,おそらく遺伝的に一部の人にだけみられるとされており、優性遺伝とされています。

Q:味覚性発汗を抑えるには?

A:甘味や酸味によっておこる味覚性発汗は生理的な現象なので抑える必要がないですし、抑える方法もありません。また、カプサイシンによるカプサイシン性発汗は唐辛子などのカプサイシンが含まれている食べ物を回避することで抑えることが可能です。

Q:辛いものを食べると顔から汗が出るのはなぜですか?

A:すべての辛いもので発汗するわけではありません。唐辛子に含まれるカプサイシンにより発汗が生じますが、胡椒に含まれる辛味成分はピペリンという成分によるものですが、ピペリンではカプサイシンが引き起こすような体温調節型の発汗反応は起こりません。

Q:みかんを食べると汗をかくのはなぜ?

A:酸味による味覚性発汗です。味覚性発汗は人によって起こる生理現象で、体質の一つとお考え下さい。

Q:鼻に汗をかくのはなぜですか?

A:鼻の頭や人中などの鼻周辺での発汗が多い理由は、これらの部位にエクリン汗腺が密集しているためです。エクリン汗腺は体温の調節に関わるため、温度調節や感情的な反応により活性化されます。また、辛い食べ物や熱い食べ物を摂取すると、体温調節の一環として発汗が促されることがあります

Q:鼻汗の治療は保険適用されますか?

A:鼻汗や口周りの汗、顔や頭の汗を止めるボトックス注射は保険適用で治療することはできません。

まとめ

この記事では鼻汗や口周りの汗に関する最新の医学的知見を幅広く紹介しました。特に、味覚性発汗とカプサイシン性発汗の違いに焦点を当て、これらが一般的に混同されがちな現状について解説しました。また、鼻汗に悩む多くの方々に向けて、ボトックス治療などの手軽な治療方法の存在を紹介しました。この記事が鼻汗に関する悩みを持つ方々にとっての理解を深める一助となり、実用的な情報源として役立つことを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。手掌、足底、顔面、頭部の原発性多汗症に対して、マスク麻酔を併用した無痛のボトックス注射を日本で初めて行っている。また、わきが多汗症の治療器のビューホットを日本にいち早く導入し、これまでワキガ、スソワキガ、多汗症の治療例はこれまで延べ1万人を超える。

【関連項目】

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