投稿日:2025/02/25
(最終更新日:2025/04/17)

子供のワキガ手術:保険は適用される?年齢制限と費用を解説

母親と中学生の子供が子供のワキガについて悩む様子

子どものワキガに悩む親は少なくありません。ワキガは優性遺伝の形で受け継がれるため、片方の親がワキガ体質の場合、約50%の確率で子どもにも遺伝する可能性があります。そのため、親自身がワキガ症である場合、子どもが小学生のうちから「うちの子もワキガでは?」と心配するケースも珍しくありません。

しかし、子供のワキガの症状や発現時期には個人差があり、成長とともに症状が強くなることもあります。そのため、子供のワキガ対策を講じるには、子どもの年齢や症状の進行度を考慮した対応が重要です。

本記事では、子供のワキガの特徴、治療方法、対策について詳しく解説します。また、子供のワキガ手術の適応年齢や保険適用の条件についても紹介し、親が抱える疑問や不安を解消できる情報をお届けします。

 

 

子供のワキガは親の遺伝!

ワキガ症は優性遺伝の形で受け継がれることが明らかになっています。つまり、両親のいずれかがワキガ体質である場合、子供のワキガとして遺伝しやすい特徴があります。

ワキガの遺伝確率

ワキガ症の遺伝は、両親の体質によって以下のような確率で発症する可能性があります。

  • 両親ともにワキガ体質 → 約75~80% の確率で子供もワキガ体質になる
  • 片方の親がワキガ体質 → 約50% の確率で子供もワキガ体質になる
  • 両親ともにワキガ体質でない → ほぼ遺伝しない

この遺伝の背景には、ABCC11遺伝子の変異が関係しています。

 

ABCC11遺伝子とワキガの関係

子供のワキガの発症には、ABCC11遺伝子の特定の変異が深く関わっています。この遺伝子には、以下の2つのタイプがあります。

  • 変異型(G型) → ワキガ体質になりやすい
  • 正常型(A型) → ワキガになりにくい(無臭)

ABCC11遺伝子は、アポクリン汗腺の分泌活動をコントロールしており、この汗腺から分泌される成分が皮膚の細菌と反応することで子供のワキガ特有のにおいが発生します。G型の遺伝子を持つと、アポクリン汗腺の活動が活発になり、臭いの原因となる汗の成分が多く分泌されるのです。

 

耳垢のタイプとワキガの関係

ABCC11遺伝子は、子供のワキガの発症だけでなく耳垢の性質にも影響を及ぼします。

  • 湿った耳垢(ねばねばタイプ) → ワキガ体質の可能性が高い
  • 乾いた耳垢(カサカサタイプ) → ワキガ体質の可能性が低い

このため、子供の耳垢の状態をチェックすることで、ワキガの遺伝的リスクを予測する一つの指標になります。もし湿った耳垢の傾向が強い場合、ワキガ症の可能性を考慮し、早めに適切なケアを行うことが望ましいでしょう。

子どものワキガの特徴

子供がワキガの症状を確認するためにワキをチェックする様子

子供のワキガは、思春期(8歳~15歳頃)に発症しやすく、成長とともに症状が強まる傾向があります。この時期、アポクリン汗腺が活発化し、ワキガ特有のにおいが生じやすくなります。

 

親としての対策ポイント

■ 早期発見と対策
子供のワキガは、第二次性徴期に発症することが多いため、親が早めに気づき、適切な対策を講じることが重要です。

■ 制汗剤の使用(家庭でできる対策)
本人が子供のワキガを自覚し、治療が可能な年齢に達するまでは、制汗剤やデオドラント製品の使用を促し、汗やにおいをコントロールすることが効果的です。

■ 適切な治療時期の選択
子供のワキガの根本的な治療は、本人がワキガの自覚ができ、身体の成長がある程度安定する12歳から15歳頃が適していると言えます。それ以前にワキガ手術を行うと、アポクリン汗腺が未発達であるため、再発のリスクが高まります。

■ 治療後の再発リスク
子供のワキガ手術後も、体の成長やホルモンバランスの変化により、においが再発する可能性があります。そのため、治療後も定期的なケアや生活習慣の見直しが必要です。

→合わせて読みたい中学生・高校生に最適なワキガ治療とは?思春期に適した方法」

 

 子どもにワキガ治療を受けさせるべきか? 親が考えるべきポイント

子どもがワキガであると分かったとき、いつ治療を受けさせるべきか、親として悩むのは自然なことです。ワキガに対する理解が十分でない子ども同士の間では、においが原因でいじめやからかいの対象になる可能性も否定できません。特に、ワキガが遺伝によるものである場合、親として「自分のせいで子どもが辛い思いをするのでは」と心を痛めることもあるでしょう。そのため、子どもがまだにおいを自覚していない段階から、治療を検討する親も少なくありません。

しかし、これまで延べ5,000人以上のワキガ治療を行ってきた筆者の経験から言えるのは、ワキガ治療は本人がにおいを自覚し、「治したい」と思ってから行うべきだということです。子どもの意思を尊重せず、親が半ば強制的に治療を受けさせた場合、治療そのものが子どもにとって精神的なトラウマになりかねません。

また、ワキガ治療は美容外科治療の一種であり、最終的に治療を受けるかどうかを決めるのは本人であるべきです。もし、子ども自身がワキガを気にしていない、あるいは治療に対して消極的な場合、無理に治療をすすめるのではなく、まずは本人の気持ちを尊重し、必要に応じて生活習慣の見直しや制汗剤などのケアで対応することを考えましょう。

ワキガ治療は、親の思いだけで決めるものではなく、子ども自身の意志を尊重しながら慎重に判断することが大切です。

 

切開手術はNG?子どもに適したワキガ治療とは

ビューホット

子供のワキガの治療法にはさまざまな選択肢がありますが、子どもに適した治療法を選ぶことが重要です。特に、切開を伴う外科的手術は、子供のワキガ手術には適さない場合が多いとされています。その理由の一つとして、術後に腋をガーゼで圧迫固定する必要があることが挙げられます。しかし、子どもは体を頻繁に動かすため、固定を維持するのが難しく、適切な術後管理ができない可能性があるのです。

そのため、子供のワキガ治療として注目されているのがビューホット治療です。

 

ビューホット治療のメリット

  • 切開をしないため、体への負担が少ない
  • 術後のガーゼ固定が不要で、日常生活に影響が少ない
  • 翌日から運動が可能で、学校の体育授業にも支障がない
  • ダウンタイムがほぼなく、気軽に受けられる

ビューホット治療は、子供のワキガの原因であるアポクリン汗腺を高周波(RF)で破壊する方法で、痛みやダメージを最小限に抑えながら治療できるのが特徴です。術後の生活制限がほとんどないため、活発に動く子どもでも安心して受けることができます。

子どものワキガ治療を考える際は、手術の負担や術後のケアのしやすさを考慮し、できるだけ負担の少ない方法を選ぶことが大切です。

☛合わせて読みたい「ワキガの重症度と推奨されるワキガ治療方法について」

 

子どものワキガ手術は保険適用される?適応条件と注意点

日本において、子供のワキガ手術で保険適用が認められる治療は「反転剪除法」のみとされています。反転剪除法は、腋の皮膚を大きく切開し、アポクリン汗腺を直接目視で除去する方法です。しかし、このワキガ手術は術後の管理が非常に厳しく、特に子どもには適さないという問題があります。

 

反転剪除法の術後管理と子どもへのリスク

この子供のワキガ手術では、皮膚と脂肪組織をしっかり癒着させるために、術後1週間は腋をガーゼで圧迫固定する必要があります。この期間中は、腕をほぼ動かすことができません。

固定がずれてしまうと、皮膚と脂肪組織の癒着が不完全になり、血種(血の塊)が発生するリスクが高まります。血種ができると、固定期間の延長や、最悪の場合、腋に目立つ傷跡が残る可能性があります。

また、子どもは寝ている間の無意識な体動が大きいため、ガーゼ固定がずれるリスクが非常に高いのも問題です。いくら親が注意を払っても、完全に固定を維持するのは難しく、結果的に望ましい治療結果を得られない可能性があります。

子どもには切開を伴わない治療が最適

以上の理由から、保険適用の「反転剪除法」は、子供のワキガ手術には適さないと考えられます。そのため、子供のワキガには切開を伴わない「ビューホット治療」などの負担の少ない治療が推奨されます。

■ビューホット治療のメリット

  • 切開をしないため、体への負担が少ない
  • 術後のガーゼ固定が不要で、日常生活への影響がほぼない
  • 翌日から運動や学校生活が可能で、長期の制限が不要

子供のワキガ手術を検討する際は、保険適用の有無にこだわらず、子どもにとって最適な治療法を選ぶことが重要です。

 

子どものワキガ手術は何歳から可能?最適なタイミングと判断基準

子供のワキガの症状は、第二次性徴の始まりとともに現れることが一般的です。特に、女の子は小学校3年生頃(8歳前後)、男の子は小学校5年生頃(10歳前後)から症状が出ることが多いとされています。このため、子供のワキガ手術は、ワキガの症状が実際に現れた後であれば、基本的に治療が可能です。

しかし、子供のワキガ手術を受けるかどうかは、子ども自身の意志が最も重要な判断基準になります。ワキガの症状が出始めたからといって、親が焦って治療を決めるのではなく、子どもが「治療を受けたい」と自ら希望することが大切です。

無理にワキガ手術をすすめることで、子どもが治療自体をトラウマに感じる可能性もあるため、本人の気持ちを尊重し、慎重に判断することが求められます。子供のワキガ手術を決める前に、まずは制汗剤などの負担の少ない方法での対策を検討し、子どもの心と体にとって最適な選択をすることが重要です。

 

子どもに適したワキガ治療:負担の少ないビューホットの魅力

ビューホット治療は、切開を伴わない子供のワキガ治療であるため、日常生活への影響がほとんどなく、活発に動く子どもにも適した治療法です。

手術後の生活制限が一切ないのが大きなメリットで、翌日から通常どおりの生活が可能です。学校生活にも支障が出ることはなく、体育の授業や運動も問題なく行えます。

ビューホット治療の流れと痛み対策

子供のワキガ治療の時間は約20分と短時間で完了し、局所麻酔を行った上で施術を進めます。局所麻酔の際にはわずかにチクッとした痛みがありますが、ワクチン注射に耐えられるお子さんであれば問題なく受けられるレベルです。

さらに、痛みを完全に避けたい場合には、「マスク麻酔」というオプションを選択することも可能です。

マスク麻酔で痛みゼロのワキガ治療

マスク麻酔は、顔にマスクを当てて麻酔ガスを吸入することで、眠っている間に子供のワキガ治療を完了させる方法です。この方法を選べば、局所麻酔の痛みすら感じることなく、気づいたときには治療が終わっているため、特に痛みに敏感な子どもには最適な選択肢となります。

ビューホット治療は、切開の必要がなく、短時間で負担が少ないため、子供のワキガでも安心して受けられる治療の選択肢の一つです。子供のワキガで悩んでいる場合は、まずは負担の少ない治療法から検討してみるのがよいでしょう。

 

元神医師によるビューホットの動画解説

 

美容外科医専門医元神賢太医師

まとめ

子どものワキガは第二次性徴期に発症しやすく、特に8歳~10歳頃から症状が現れることが多いとされています。治療を検討する際は、まず子ども本人がワキガの症状を自覚し、治したいと望んでいるかを最優先に考えることが大切です。ワキガ手術は美容外科治療の一種であり、最終的な決定権は本人にあるべきです。

また、日本において健康保険が適用されるワキガ治療は「反転剪除法」のみですが、術後の長期的な圧迫固定が必要であり、体動の多い子どもには不向きとされています。そのため、切開を伴わず、術後の生活制限がほぼない「ビューホット治療」などの低侵襲な治療法が、子どもにとって負担の少ない選択肢となります。

さらに、治療の際の痛みに対する配慮も重要です。局所麻酔を用いた場合でもワクチン注射程度の痛みで済みますが、痛みを完全に避けたい場合は、マスク麻酔による無痛治療も可能です。こうした選択肢を理解し、子どもの気持ちを尊重しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。

ワキガの治療は、手術だけが選択肢ではありません。まずは、制汗剤の使用などで症状を軽減する方法を試し、必要に応じて経験豊富な医師と相談しながら治療を検討しましょう。子どもの負担を最小限に抑えつつ、本人が自信を持てるような環境を整えることが、親としてできる最善のサポートです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。20年以上の経験があり、ワキガ、スソワキガの治療例はこれまで延べ1万人を超える。

 

【関連項目】

ビューホットの相談はこちらへ

当院のビューホットのこだわりについて

中学生・高校生に最適なワキガ治療とは?思春期に適した方法」

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