投稿日:2025/05/03
(最終更新日:2025/05/03)
最も効果がある糸リフト:スプリングスレッドの安全性と持続力
近年、「切らないフェイスリフト」として益々注目されるスレッドリフト(糸によるリフトアップ治療)。中でもフランス製のスプリングスレッドは、その安全性と長期持続効果から、美容医療業界で大きな話題となっています。本記事では専門知識のない方にもわかりやすく、このスプリングスレッドの特徴を医学的根拠に基づいて日本国内最もスプリングスレッドを行っている元神医師が解説します。
スプリングスレッドとは何か?
スプリングスレッドはフランスで開発された最新の糸リフト用スレッド(糸)です。名前の由来通り「ばね(スプリング)のようなしなやかさ」を持ち、従来の糸とは一線を画す特徴があります。施術では特殊なコグ(糸についている小さな突起)付きの糸を皮下に通し、たるんだ皮膚を物理的に引き上げ固定します。糸は頭皮付近などに固定されるため外から見えず、メスを使わずにたるみ改善が可能です。いわば「切らないリフトアップ術」として、ダウンタイム(回復期間)も短いのが魅力です。
スプリングスレッドの主な特徴
素材と構造
中心がポリエステル樹脂、外側は医療用シリコンでコーティングされた複合構造。この特殊構造により糸自体に高い柔軟性と伸縮性が備わっています。
しなやかな弾力
スプリングスレッドは顔の筋肉の動きに合わせてソフトに伸び縮みし、自然な表情を損なわないよう設計されています。施術直後から突っ張り感が少なく、表情時の違和感もほとんどありません。
強力なリフト力
糸に付属する丸みを帯びたコグ(突起)が組織をしっかり捉えてたるみを引き上げるため、顎下や首、フェイスラインなどの深いたるみに対しても高い効果を発揮します。顔だけでなく首や体の引き締めにも応用可能です。
欧州で認められた安全性
スプリングスレッドはヨーロッパでCEマーク認証を取得しており、安全基準を満たした医療機器です。実績も豊富で、2010年時点で約6,000本が使用されており副作用や拒絶反応の報告がないとのデータがあります。
長期間持続する効果
スプリングスレッドは半永久的に体内に残る非吸収性の糸で、施術効果は一般に3~5年持続します。後述するように、体内で溶ける従来の糸とは比べものにならない持続力です。
以上のように、スプリングスレッドは「しなやかさ」と「強力なリフトアップ効果」を両立した次世代型の糸リフトと言えます。
安全性は? – 医学的エビデンスに基づく検証
美容医療の新しい施術を受ける際に気になるのが安全性です。スプリングスレッドは素材面・臨床面の両方から高い安全性が確認されています。
生体適合性の高い素材
スプリングスレッドに使われる医療用シリコンとポリエステルは、体内で安定した素材です。シリコンは豊胸インプラント等にも使われる生体適合性の高い材料で、炎症や異物反応を起こしにくいことが知られています。実際、製造元の臨床追跡調査でもシリコンアレルギーや肉芽腫性炎症の報告は一例もないとされています。また万一トラブルが起きた場合も、スプリングスレッドは体内に残る糸ゆえ後から抜去・除去が可能であり(必要なケースは稀ですが可能な安心材料です)、この点も安全性を支える特徴です。
海外文献に見る安全性の実績
スプリングスレッドは世界40か国以上で使用されており、海外の医学論文でも安全性が報告されています。例えば2020年にトルコの形成外科学術誌に掲載された研究では、非吸収性のポリエステル・シリコン製糸(=スプリングスレッド)を用いて14人の顔のたるみ治療を行ったところ、14人全員が問題なく治癒し、合併症は一時的な顔面神経の軽い麻痺が1例あったのみでした。執刀医は「この新しい糸は非常に生体適合性が高く、柔軟性のおかげで従来の糸に見られたようなトラブルが起きにくい」と述べています。従来の古い糸リフト(非吸収性糸)では感染や肉芽腫などの合併症報告があり一時敬遠されましたが、新世代のスプリングスレッドでは素材改良により合併症リスクが大幅に低減しています。
一般的な副作用とリスク
スプリングスレッド自体による重大な副作用リスクは非常に低いと考えられます。とはいえ施術は皮下に糸を挿入するため、他の糸リフト同様に一時的な腫れ・内出血・違和感などは起こりえます。具体的には施術後の腫れやアザ、圧痛が数日程度生じることがありますが、これらは通常は自然に治まります。ごく稀に糸の先端が皮膚に触れて凸凹を感じる、皮膚が一時的に引きつれるといったケースも報告されていますが、糸が柔軟なため時間とともに落ち着く傾向があります。感染症も極めてまれですがゼロではないため、施術時の無菌操作や術後ケアは大切です。なお、アレルギー反応は英国では報告ゼロ(2024年時点)というデータもあり非常に稀といえます。
総合すると、スプリングスレッドは素材の安全性・臨床実績の両面から「安心して体内に長期間留置できる糸」と評価されています。しっかりとした医療機関で正しく施術を受ければ、安全性に関して過度に心配する必要はないでしょう。

↑スプリングスレッドのビフォーアフター
持続効果はどれくらい? – 驚きの長期安定性とそのメカニズム
スプリングスレッドの大きな魅力の一つが効果の持続力です。一般的な吸収糸のスレッドリフトでは効果持続はせいぜい1年前後と言われます。PDO(ポリジオキサノン)糸などは体内で約6ヶ月ほどで溶け始めるため、一時的にコラーゲン生成が促されても効果は平均して1年前後(長くても1~2年程度)で薄れてしまいます。これに対し、スプリングスレッドは非吸収性で体内に残るため、3~5年もの長期間にわたりリフトアップ効果が続くケースが多いのです。
一般に「効果は約3~5年持続」
スプリングスレッド施術後のリフト効果は、個人差はあるものの平均して3~5年程度持続します。イギリスのクリニックでは「通常5年程度効果が続き、2~4年ごとにメンテナンス目的で追加施術を受ける患者もいる」と報告されています。これはもはやプチ整形の域を超え、「ミニフェイスリフト」に近い持続期間です。実際、「従来の吸収糸より効果が5倍長持ち」という声もあるほどです。
長持ちのメカニズム
なぜこれほど長く効果が続くのでしょうか?最大の理由は「糸が溶けずに残り続ける」ことにあります。従来のPDOやPCLなどの吸収糸は数ヶ月〜2年程度で体内から無くなってしまいますが、スプリングスレッドは体内に半永久的に残存し、物理的にたるみを支え続けます。さらに糸自体に優れた弾力性があるため、時間経過による「たるみ戻り(糸の緩み)」が起こりにくい設計です。メーカー技術資料によれば、スプリングスレッドの弾性が従来糸で問題となっていた経時的な伸び(クリープ現象)を補償し、長期にわたり組織を支えるとされています。
もう一つ見逃せないのがコラーゲン増生効果です。糸リフト全般に言えることですが、皮下に糸を挿入すると体は異物に反応して周囲にコラーゲン繊維を生成し、糸を支えるように膜が形成されます。スプリングスレッドでも施術後2~3ヶ月頃から皮膚のハリ・弾力が高まる「リジュビネーション効果」が現れるとされています。こうした自己組織によるサポートが加わることで、糸の物理的支えと相まって効果が長期安定するのです。言い換えれば、スプリングスレッドは「糸+自分のコラーゲン」の二重の土台でお顔をリフトアップし続けることになります。
なお、スプリングスレッド自体は溶けずに残りますが、加齢現象そのものを止められるわけではありません。5年ほど経過すると周囲組織のさらなる老化により徐々に効果は相対的に薄れていきます。そうなった場合は糸を追加で入れて効果を高め直したり、必要に応じて外科的なフェイスリフトに移行することも可能です(スプリングスレッドが入っていても、後から通常のフェイスリフト手術を行うことは問題ないと報告されています)。このように将来の選択肢を残せる点も含め、長期にわたり柔軟に若返り効果を維持できるのがスプリングスレッドの強みと言えるでしょう。
他のPDO・PCL糸との違い – 素材・性能・リスクの比較
スプリングスレッドの特徴が分かったところで、他の代表的な糸リフト製品(PDOやPCL素材の糸)との違いを整理してみましょう。素材や性能、リスク・副作用の観点で主な相違点を比較します。
素材の違い
最大の違いは糸の素材と吸収性の有無です。スプリングスレッドが非吸収性(溶けない)のポリエステル+シリコン複合素材であるのに対し、PDOやPCLは吸収性(溶ける)の合成樹脂製です。PDO糸(Polydioxanone)は外科手術の溶ける縫合糸にも使われる素材で、施術後体内で加水分解され約6~8ヶ月で吸収されます。PCL糸(Polycaprolactone)はPDOより新しい素材で、吸収まで1~2年とかかるものの最終的には体内から無くなります。一方スプリングスレッドは体内に残留するため、素材そのものが持つ長期安定性が根本的に異なります。
リフト力・仕上がりの違い
素材特性からくる糸の硬さ・柔軟性も違いを生みます。PDOや一般的な吸収糸は細くてやや硬い糸が多く、強度はあるものの顔の表情に対してやや「剛直」に働く傾向があります。実際、「PDO糸は硬いため引きつれ感や不自然な表情を感じることがある」との指摘もあります。これに対しスプリングスレッドは前述の通りシリコン由来の高い柔軟性を持つため、笑ったり喋ったりしても突っ張る感じが少なく自然な仕上がりです。また、PCL糸はPDOよりも柔軟で弾力があり痛みも出にくいとされますが、それでも吸収される前提の糸である以上、長期的には徐々に緩む運命にあります。総じてスプリングスレッドは柔軟性と強力な支え力を両立しており、リフトアップ効果と自然な表情の両面で優れる点が特徴です。
持続期間の違い
これは前章で詳述した通り、スプリングスレッドの効果持続期間(3~5年)はPDOやPCLの糸リフト(1~2年程度)より圧倒的に長いです。PDO糸は施術後半年ほどで体内から無くなるため効果はせいぜい1年前後、PCL糸はゆっくり溶ける分最大2~3年の持続が報告されています。しかしスプリングスレッドは糸自体が半永久的に残り、さらにコラーゲン産生も長期にわたり誘導することで、効果の持続期間が飛躍的に延びているのです。
リスク・副作用の違い
安全性の項でも触れましたが、従来の永久糸(非吸収糸)は過去に感染や異物肉芽腫のリスクが指摘されたことがあります。一方、PDOやPCLといった吸収糸は体内に残らないぶん異物反応のリスクは少なく、「時間が経てば糸が消えるので万一のトラブル時も安心」という利点があります。しかし近年のスプリングスレッドは素材改良により異物反応を起こしにくいため、その心配はほぼ杞憂に終わっています。実際、スプリングスレッドでは現在まで重篤なアレルギーや肉芽腫形成の報告はなく、安全性は担保されています。むしろ糸が溶けず残ることで効果が安定し副施術(ヒアルロン酸注入やレーザー治療等)との併用も容易になるメリットがあります。副作用面では、いずれの糸リフトでも共通する内出血・腫れ・軽い痛みなどが起こり得ますが、適切な術後ケアで軽減できます。スプリングスレッド特有のリスクとしては、極稀に糸の一部が触知できる、糸先が飛び出すといったケースがありますが、経験豊富な医師の施術で適切に対処・予防可能です。また、スプリングスレッドは必要なら取り出せるため、何か問題が起きた際の修正も吸収糸と比べてやりやすい面があります。
以上の比較をまとめると、スプリングスレッドは他社のPDO・PCL吸収糸に比べて素材の安定性と効果持続に優れ、安全性も非常に高いことがわかります。もちろん症例や目的によっては吸収糸で十分な場合もありますが、「より確実にリフトアップし、効果を長持ちさせたい」というニーズにはスプリングスレッドが適した選択肢となるでしょう。
まとめ
フランス製スプリングスレッドは、その高い安全性と長期にわたるリフトアップ効果によって、世界中で新しいエイジングケア法として注目を集めています。海外論文でも安全・有効と報告され、欧州CE認証取得の実績からも信頼性の高さがうかがえます。メスを使わず短時間で施術できる点も魅力で、「切開手術には抵抗があるがしっかり若返りたい」という方にはまさに理想的な施術と言えるでしょう。
一方で、劇的な変化を求める場合や重度のたるみには従来型の外科的フェイスリフトの方が適するケースもあります。しかし、「ナチュラルな表情のまま確実にリフトアップし、その効果をできるだけ長く維持したい」という方には、スプリングスレッドは非常に有力な選択肢です。その柔軟な糸は笑顔や日常の表情にも寄り添いながら、お顔を若々しく引き上げてくれます。
最後に強調したいのは、施術は必ず信頼できる医師のもとで受けることです。スプリングスレッドは高度な技術と解剖知識が求められるため、フェイスリフト手術も経験が豊富な医師を選ぶことが重要です。適切な施術とアフターケアを行えば、スプリングスレッドは安全で効果的な「切らない若返り術」として大きな満足をもたらしてくれるでしょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。【関連項目】
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