投稿日:2024/09/13
(最終更新日:2024/09/27)
切開フェイスリフトのダウンタイム:手術方法による効果と腫れの違い
近年、糸リフトは人気が高まり、その手軽さが魅力として広く受け入れられていますが、多くの糸リフトはその効果が持続しにくい点が課題として浮き彫りになっています。一方で、従来の切開フェイスリフトは、効果の大きさと持続性の面で圧倒的な優位性を誇りますが、手術後の腫れやダウンタイムが患者にとって懸念材料となることが多いです。本記事では、フェイスリフト手術において学会のでの発表歴を持つ筆者が、これらの懸念に対し、手術方法ごとのダウンタイムの違いに関する情報を提供します。また、異なる手術技法がもたらす効果の差についても詳細に解説し、患者がより安心して治療に臨めるための知識を深めます。
手術方法によって大きく異なるダウンタイム
「切開フェイスリフト」と一言で言っても、その手術法はさまざまであり、それに伴う効果や腫れ、ダウンタイムも大きく異なります。以下の記事では、代表的なフェイスリフト手術の4つの方法、すなわち「ミニリフト」、「伝統的切開フェイスリフト」、「根治的切開フェイスリフト」、そして「糸リフト併用切開フェイスリフト(元神式フェイスリフト)」について詳しく解説します。それぞれの手術法の特徴や術後のダウンタイムの長さに焦点を当て、どの手術がどのような効果をもたらすのかを分かりやすく比較します。
ミニリフト
ミニリフトは、伝統的切開フェイスリフトに比べて侵襲性が低く、手術範囲が限定されているフェイスリフトのことです。
■ミニリフトの特徴
ミニリフトでは、顔の皮膚のみを引き上げ、SMAS(Superficial Musculoaponeurotic System)と呼ばれる筋膜にはアプローチしません。このため、特に顎や首、頬などの軽度なたるみに対して効果があります。しかし、深いしわや大規模なたるみを伴う中顔面には効果が非常に弱いです。また、SMAS筋膜にアプローチしないため、従来の切開フェイスリフトと比べて効果の持続期間は短めです。
■ミニリフトのダウンタイム
ミニリフトの切開は通常、耳の前の部分に限られ、剥離範囲も非常に狭いため、術後のダウンタイムが短いことが特徴です。多くの場合、術後1週間ほどで日常生活に復帰でき、軽い腫れや引きつり感が続くことはあるものの、重篤な副作用はほとんどありません。
■ミニリフトの手術の流れ
手術自体は1~2時間程度で完了し、局所麻酔下で行われることが多いです。皮膚を引き上げて余分な部分を除去し、縫合しますが、SMAS筋膜に触れないため腫れやダウンタイムが最小限に抑えられます。短時間で実施可能なため、比較的手軽に受けられるフェイスリフト手術の一つです。
■ミニリフトのデメリット
ミニリフトは、加齢による深いたるみや、顔全体のリフトを求める場合には限界があります。皮膚のみを引き上げるため、長期的な効果が得にくく、数年後に再度手術が必要になる可能性があります。また、SMAS筋膜にアプローチしないため、劇的な変化は期待しにくいです。
■ミニリフトの総括
ミニリフトは、軽度のたるみを解消させることは可能ですが、大きな変化や長期的な効果を望む場合には、より侵襲的な従来の切開フェイスリフトを検討する必要があります。日本国内の多くの美容外科では、「切開フェイスリフト」と称しても実際にはミニリフトが行われているケースが多いため、期待値とのギャップに注意が必要です。より大きなリフト効果を求めるのであれば、根治的なフェイスリフト手術や他の選択肢も視野に入れるべきです。
伝統的切開フェイスリフト手術(SMAS法)
伝統的な切開フェイスリフト手術は、SMAS筋膜を引き上げることで、顔のたるみを引き上げる効果的な手術方法です。この手術では、表層の皮膚だけでなく、顔全体の支持構造であるSMAS層をしっかりと引き上げ、リフト効果を長期にわたって維持します。そのため、顔全体の若返りを目指す患者に適しており、特に顎やフェイスラインの引き締めに効果があります。
■伝統的切開フェイスリフトの特徴
この手術の特徴は、SMAS層を剥離・引き上げて縫合する点です。SMAS層は、顔の筋肉や脂肪と密接に連携しているため、この層を引き上げることで、表面的な皮膚のみを引き締めるよりも、より持続的なリフト効果が得られます。ただし、リテイニングリガメント(皮膚や脂肪を骨に固定する靭帯)には操作を加えないため、頬の高い位置にあるMalar Fat Pad(頬の脂肪)の挙上には限界があります。
■伝統的切開フェイスリフト手術のダウンタイム
伝統的切開フェイスリフトは、SMAS層にまでアプローチするため、皮膚の剥離範囲が広くなり、術後に腫れが1~2週間程度続くことが一般的です。腫れが引くまでは、完全なリフト効果が見えにくいこともありますが、ダウンタイムが過ぎれば、顕著な若返り効果が期待できます。
■伝統的切開フェイスリフト手術の流れ
手術は通常1.5〜4時間程度で完了します。耳の前など、目立たない部分を切開し、SMAS層を慎重に剥離・引き上げて固定します。その後、余分な皮膚を切除し、フェイスラインを再構築します。このプロセスにより、顎のたるみを効果的に改善し、シャープなフェイスラインが復元されます。
■伝統的切開フェイスリフト手術のデメリット
伝統的なフェイスリフトは、フェイスラインをしっかりと引き上げる効果がありますが、Malar Fat Pad(頬の脂肪塊)の挙上が不十分であるため、鼻唇溝(ほうれい線)への効果は限定的です。この脂肪塊が年齢とともに下がることで、ほうれい線が目立つようになりますが、リテイニングリガメントを剥離しない限り、十分な改善は難しいです。
■伝統的切開フェイスリフト手術の総括
伝統的切開フェイスリフト手術は、顔全体のたるみを改善し、フェイスラインを劇的に引き上げる効果があります。経験豊富な医師が行えば、シャープで若々しいフェイスラインが5年以上持続する可能性が高いです。ただし、リテイニングリガメントを剥離しないため、ほうれい線の引き上げ効果が限定的なことを理解しておく必要があります。
根治的切開フェイスリフト手術(リガメント法)
根治的切開フェイスリフトは、顔のリテイニングリガメントを剥離することで、徹底的な若返り効果を追求する手術です。
■根治的切開フェイスリフト手術の特徴
リテイニングリガメントは、皮膚、脂肪、骨を結びつけて顔の輪郭を支える繊維組織であり、根治的切開フェイスリフトではこれを剥離することで、顔のたるみの根本原因である頬の脂肪組織(Malar Fat Pad)を効果的に引き上げることが可能になります。このため、深いほうれい線の改善にも高い効果が期待できます。
■根治的切開フェイスリフト手術のダウンタイム
根治的切開フェイスリフトでは、リテイニングリガメントが顔の中央付近に位置するため、広範な剥離が必要となり、手術時間も非常に長く、6~12時間を要する場合があります。その結果、術後の腫れやダウンタイムは長期にわたり、通常1ヶ月以上続くことが一般的です。
■根治的切開フェイスリフト手術の流れ
リテイニングリガメントは、顔の重要な神経である顔面神経と密接に関連しているため、剥離作業は非常に慎重に行われます。リガメントを剥離した後、SMAS層を引き上げて固定し、余分な皮膚を取り除いて縫合します。この手術によって、Malar Fat Padが効果的に引き上げられ、顔全体もシャープで若々しい印象になります。また、鼻唇溝(ほうれい線)やフェイスラインのリフトアップ効果も非常に高く、長期的な改善が期待できます。
■根治的切開フェイスリフト手術のデメリット
この手術の最大のデメリットは、手術時間が6~12時間と長時間にわたることと、1ヶ月以上続く長いダウンタイムです。また、顔面神経に近い深層での剥離作業が伴うため、神経損傷のリスクも少なからず存在します。さらに、手術時間が長いため、費用も非常に高額になる傾向があります。
■根治的切開フェイスリフト手術の総括
根治的切開フェイスリフトは、顔全体の若返りにおいて非常に高い効果を発揮し、特に頬やフェイスラインの改善に優れた手術です。しかし、その分、長いダウンタイムと高額な費用が伴うため、手術を受ける際は慎重な検討が必要です。また、同等の効果を持ちつつダウンタイムが短い「糸リフト併用切開フェイスリフト手術」など、他の手術法も選択肢として考慮すべきです。
出典元:The SMAS facelift – restoring facial shape in facelifting
糸リフト併用切開フェイスリフト手術(元神式フェイスリフト)
元神式フェイスリフト手術は、糸リフトのスプリングスレッドを使用した革新的なフェイスリフト手法です。スプリングスレッドは、フランスのファースト・サージコンセプト社が2007年から提供している非吸収性の特殊な糸で、他の糸リフトと比べて強力なリフトアップ力と固定力を誇ります。この糸の特徴は、4方向に突起があり、従来の糸リフトよりも安定性が高い点にあります。また、非吸収性であるため、長期間にわたるリフト効果を持続させることが可能です。
■糸リフト併用切開フェイスリフト手術の特徴
元神式フェイスリフトは、スプリングスレッドを併用することで、従来のフェイスリフトでは難しかったMalar Fat Pad(頬の脂肪組織)の引き上げを実現しています。この手法により、頬や鼻唇溝(ほうれい線)の改善が大幅に向上し、従来の切開フェイスリフトでは得られなかったリフトアップ効果を得ることができます。結果として、根治的フェイスリフトに匹敵するリフト効果を短時間で得ることが可能です。
■糸リフト併用切開フェイスリフト手術のダウンタイム
糸リフト併用切開フェイスリフトでは、剥離範囲は伝統的な切開フェイスリフトと同様であるため、術後のダウンタイムも同様です。一般的には、術後1~2週間程度の腫れが見られますが、ダウンタイムは比較的短く抑えられるため、患者にとって負担が少ないのが利点です。
■糸リフト併用切開フェイスリフト手術の流れ
筆者によるこの手術は通常約2時間で完了します。伝統的なフェイスリフト手術と同様に、まず皮膚を切開し、SMAS筋膜層を慎重に剥離します。SMAS層を固定した後、スプリングスレッドを挿入してMalar Fat Padをしっかりと引き上げます。最後に、余分な皮膚を取り除き、縫合することで、フェイスラインのリフトアップが完了します。
■糸リフト併用切開フェイスリフト手術のデメリット
糸リフト併用切開フェイスリフトは、非常に高いリフトアップ効果が期待できるため、目立ったデメリットはありません。伝統的切開フェイスリフト手術では解決が難しかったMalar Fat Padの引き上げ問題も、スプリングスレッドを用いることで解消されています。手術時間やダウンタイムが伝統的な方法とほぼ同じであるにもかかわらず、より効果的な結果が得られる点は画期的なメリットです。
■糸リフト併用切開フェイスリフト手術の総括
従来の切開フェイスリフト(SMAS法)で満足のいく結果が得られなかった方にも、元神式フェイスリフトは期待を超える結果を提供します。根治的切開フェイスリフトと同等のリフト効果を持ちながら、手術費用がリーズナブルである点も魅力です。この手術は、フェイスリフトを検討している方にとって、優れた選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ
今回の記事では、さまざまな切開フェイスリフト手術の方法と、それぞれのダウンタイムや効果について詳細に解説しました。フェイスリフト手術を検討する際には、術後の回復期間(ダウンタイム)、得られるリフト効果、そして費用のバランスが非常に重要な要素となります。これらの要素を総合的に考慮した場合、最も優れたバランスを提供するのが「元神式フェイスリフト」、すなわち糸リフトを併用した切開フェイスリフト手術です。この手法は、従来の切開フェイスリフトに比べて効果的なリフトアップと持続性を誇り、費用対効果も非常に高いため、多くの患者に支持されています。
この記事が、切開フェイスリフト手術を検討している皆様にとって、最適な選択を行うための参考となれば幸いです。手術を受ける前には、フェイスリフト手術において経験豊富な医師と十分に相談し、ご自身の目的やライフスタイルに合った施術方法を慎重に選択することが大切です。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。【関連項目】
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