投稿日:2024/06/08
(最終更新日:2024/06/08)
ほうれい線にヒアルロン酸を入れるデメリットと失敗
今も昔も、ほうれい線にヒアルロン酸を注入する治療はアンチエイジングの王道として人気を誇ります。しかし、この治療にはデメリットが全くないわけではなく、注意が必要です。また、医師の技量不足による失敗例も散見されます。このブログ記事では、ほうれい線へのヒアルロン酸注入における具体的なデメリットや失敗例について詳しく解説します。また、リスクを避け、後悔しないためには、どのようなポイントに注意すべきかについても詳しくお話しします。
ヒアルロン酸のデメリット①:たるみに対する効果の限界
非常に深いほうれい線や皮膚のたるみには、ヒアルロン酸注入の効果は限定的です。ヒアルロン酸は肌表面にボリュームを与えることでシワを目立たなくしますが、肌の深部に存在する構造的な問題を根本的に解決することはできません。深いほうれい線は、筋膜や皮膚のたるみが主な原因であり、これを改善するためには、より侵襲的なアプローチが必要となります。例えば、筋膜を引き上げる糸リフトや、たるんだ皮膚を切除するフェイスリフトなどが考えられます。これらの手術は、深部の構造に直接働きかけることで、長期的かつ根本的な改善を目指すことができます。ヒアルロン酸注入は手軽でダウンタイムも少ないため、多くの人にとって魅力的な選択肢ですが、深いしわやたるみの解消には限界があることを理解しておくことが重要です。
ヒアルロン酸のデメリット②:持続性の限界
ヒアルロン酸注入の大きなデメリットの一つは、その効果の持続性に限界があることです。ヒアルロン酸は体内で徐々に分解・吸収されるため、一度の施術で得られる効果は永久的ではありません。一般的には、注入後数ヶ月から1年程度でその効果が薄れていきます。これにより、持続的な美しさを保つためには、定期的なメンテナンスが必要となります。
具体的には、注入後すぐに吸収が始まり、時間とともに効果が減少していきます。効果を維持するためには、定期的に再注入を行う必要があるため、長期的な視点で見ると経済的な負担も増加することになります。また、ヒアルロン酸の種類や製品の特性、個々の体質や代謝の速度によっても持続期間が異なるため、個々の状況に応じた適切なメンテナンス計画が重要です。このように、ヒアルロン酸注入は即効性や低侵襲性というメリットがある一方で、その効果が限定的であるため、定期的なメンテナンスが必須となります。
出典元:Treatment Options for Dermal Filler Complications
ほうれい線へのヒアルロン酸注入の失敗①:逆効果
ほうれい線へのヒアルロン酸注入は、ほうれい線の内側に適切に注入することで、段差を解消し、目立たなくすることを目的としています。しかし、誤った部位に注入された場合、その効果は逆効果となり、かえってほうれい線が強調されることがあります。例えば、ほうれい線の内側ではなく中央部分や外側部分に注入すると、頬が強調され、ほうれい線がよく深くなることがあります。また、過剰な量のヒアルロン酸を注入された場合においても、ほうれい線が平坦になるどころか、周囲の組織が押し出されて、ほうれい線がさらに深く見えることがあります。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入の失敗②:効果がない
ヒアルロン酸注入によるほうれい線改善には、シワの深さや皮膚のたるみの程度に応じて適切な種類のヒアルロン酸を選び、適切な深さに注入することが重要です。特に、ほうれい線の上半分は深い溝が形成されやすく、小鼻から口元にかけての部分は特に難しい領域です。このような深い溝に対して、選択されたヒアルロン酸の種類や注入の深さが不適切であると、十分な量を注入しても効果が見られないことがあります。
例えば、浅い層にしか効果を発揮しないタイプのヒアルロン酸を使用した場合、深いほうれい線には対処できず、期待された効果が得られません。また、皮膚の厚さは顔の部位により異なり、これを十分に理解していない医師が施術を行うと、注入の深さが適切でないために、ヒアルロン酸が効果的に働かず、結果としてほうれい線が改善されないことがあります。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入の失敗③:みみず腫れの形成
ヒアルロン酸注入によるほうれい線の改善は効果的ですが、誤った方法で施術を行うと、思わぬ副作用が発生することがあります。その一つが、注入部位がみみず腫れのように浮いて見える現象です。これは、適切でないヒアルロン酸を皮膚の浅い層に注入した場合に起こりやすい問題です。
特に、シワの深さやたるみの程度に応じた適切な種類のヒアルロン酸を選ばず、浅い部位に注入すると、ヒアルロン酸が数珠状に浮き上がって見えることがあります。これにより、見た目が不自然になり、施術を受けた本人が不満を抱く結果となります。
ヒアルロン酸注入の失敗例④:しこりの形成
ヒアルロン酸が均一に広がらず、一部に固まってしこりが形成されることがあります。これにより、触った時に硬さを感じるだけでなく、見た目にも不自然な膨らみが生じることがあります。しこりの形成は、主な原因として注入技術の未熟さや不適切な製剤の使用が考えられます。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入の失敗⑤:効果がすぐに消失するケース
ヒアルロン酸注入によるほうれい線の改善は多くの人々に人気ですが、注入後に効果がすぐに消失してしまうことがあります。主な原因は、使用されるヒアルロン酸の質や製品の特性にあります。低品質のヒアルロン酸は、体内での分解・吸収が早いため、効果が短期間で失われることがあります。高品質な製品を選ぶことで、効果の持続期間を延ばすことが可能です。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入で失敗・後悔しないために①:経験豊富な医師の選択
ほうれい線へのヒアルロン酸注入は、非常に高度な技術と繊細な処置が求められる医療行為です。そのため、施術を成功させるためには、医師の経験と技術が重要な要素となります。ほうれい線の深さや周囲のシワの改善には、適切な種類のヒアルロン酸を選び、それに合わせた深さで正確に注入することが求められます。また、注入量についても慎重に判断する必要があります。多く注入すれば効果が高まるわけではなく、むしろ逆効果となるリスクもあります。
経験豊富な医師を選ぶことは、治療の成功と安全性を確保するための最も重要なステップです。不適切な注入により、効果が現れなかったり、逆にほうれい線が目立つようになったり、みみず腫れやしこりが生じることがあります。これらのリスクを避けるためには、医師の経歴や実績を事前に確認し、信頼できる医師に施術を依頼することが不可欠です。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入で失敗・後悔しないために②:安いクリニックに注意
ほうれい線へのヒアルロン酸注入を考える際、非常に安い価格を提示するクリニックには注意が必要です。施術費用はクリニックによって大きく異なりますが、極端に安価な表示価格には隠れたリスクや追加費用が伴う可能性があります。
安価なクリニックが提示する低価格にはいくつかの理由が考えられますが、特に注意が必要なのはヒアルロン酸の品質です。低品質のヒアルロン酸は、効果が短期間しか持続せず、さらには安全性に問題があることもあります。例えば、中国産の低品質なヒアルロン酸と日本の厚生労働省に認可された高品質なヒアルロン酸では、原価に10倍以上の差があります。低品質なヒアルロン酸を使用すると、施術後の結果が思わしくないばかりか、健康被害を引き起こすリスクもあります。
私が推奨するのは、日本アラガン社が提供する厚生労働省に認可されたヒアルロン酸製剤です。具体的には「ボリフト」「ボリューマ」「ボライト」といった製品があります。これらの製品は、たるみやシワの深さに応じて使い分けたり、組み合わせたりすることができます。日本アラガン社のヒアルロン酸は他社製品と比べて非常に高品質であり、少量の注入で効果を発揮します。例えば、他社製品では2cc程度の注入が必要なたるみも、日本アラガン社のヒアルロン酸では0.6cc程度で改善が見込めます。
このように少量で効果を得られることは、患者の金銭的な負担を軽減するだけでなく、過剰にヒアルロン酸が注入されて「ヒアル顔」と呼ばれる不自然な膨らみになるリスクも減らします。また、持続性も非常に高く、特にボリューマは約2年間持続するため、他社製品と比べて圧倒的に優れています。
このような理由から、安いクリニックに飛びつくのではなく、信頼できるクリニックを選ぶことが重要です。施術を受ける前には、使用するヒアルロン酸の品質やクリニックの評判について十分に調査し、後悔のない選択をしましょう。
↑ヒアルロン酸注入の過多によるヒアル顔
まとめ
このブログ記事では、著者が手がけた芸能人の施術経験を基に、ほうれい線へのヒアルロン酸注入におけるデメリットや失敗例について詳細に説明しました。ほうれい線へのヒアルロン酸注入を検討されている方は、施術が失敗することによる後悔を避けるために、医師選びに特に注意を払う必要があります。適任の医師による正確な診断と詳細な説明は、自然な仕上がりと満足のいく結果を得るための重要な第一歩です。
さらに、治療前にはクリニックの評判や医師の経験を細かくチェックし、高品質な医療を提供する信頼できる医師を選ぶことが肝心です。手術の安全性と効果に重点を置き、価格だけでなく提供される医療の質を見極めることが、後悔しない選択をするための鍵となります。
この記事が、ほうれい線へのヒアルロン酸注入を検討している皆様にとって、より良い決断を下すための参考となることを心から願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。【関連項目】
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