元神院長執筆 専門医と学ぶ美容医療ブログ

立ち耳にしたい?ヒアルと手術で猿耳にする方法

更新日:2025/07/27

公開日:2025/08/01

立ち耳(俗に「猿耳」とも言います)は、従来はコンプレックスとして治療の対象になることが多かった耳の形です。しかし最近、SNSなどで「立ち耳がかわいい!」と話題になり、あえて自分の耳を立たせたいという若い女性が増えてきました。

本記事では、立ち耳とは何か、そのメリットや流行の背景、そして実際に立ち耳(猿耳)にするための方法(手術とヒアルロン酸注射)について、わかりやすく説明します。

立ち耳(猿耳)とはどんな耳?

「立ち耳」とは、正面から見たときに耳全体が顔の横に張り出して見える耳のことです。医学的には突出耳(プロミネント・イヤー)とも呼ばれ、一般的に頭部側面からの角度が30度以上ある場合に「立ち耳」と定義されます(別の基準では40度以上とも言われます)。具体的には、耳が頭から2cm以上離れて突き出している状態ですね。

このような耳の形は子供から大人まで一定の割合で見られ、欧米人では約5%(20人に1人)にみられるとも報告されています。立ち耳になる主な原因は先天的な耳の軟骨の形にあります。

耳の内側にある「対耳輪(たいじりん)」というY字型の軟骨が生まれつき発達不足だったり、折れ曲がりが弱かったりすると耳が寝づらく、外側に開いたままになります。また「耳甲介(じこうかい)」という耳のくぼみが深いことも原因の一つです。要するに、耳を後ろに倒しておく構造が弱いと耳が立ってしまうわけです。

立ち耳それ自体は健康上の問題を起こすことはほとんどありませんが、幼少期には見た目からからかわれたり、自分の耳を気にしてしまう心理的負担につながる場合があります。

立ち耳(猿耳)のイラスト

従来、立ち耳は「普通ではない耳の形」とされ、美容外科では耳を寝かせる矯正手術(立ち耳修正術)が行われてきました。実際、少し前までは「耳が目立つので直してほしい」という相談がほとんどで、耳介軟骨を作り直して耳を頭に沿わせる形成術が確立されているのです。

私自身もこれまで立ち耳を治す手術(耳を寝かせる手術)を数多く手がけており、この分野を得意としてきました。しかしここ数年、状況が大きく変わりつつあります。

「猿耳」がかわいい?若い世代で立ち耳が人気の理由

近年、SNS(InstagramやTikTokなど)で「立ち耳のほうが顔が小さく見えて可愛い!」といった投稿や動画が話題になり、このトレンドが広まりました。「猿耳」とも揶揄されていた立ち耳が、今や「小顔に見える」「幼くて愛らしい印象になれる」とポジティブに捉えられるようになってきたのです。

立ち耳(耳が前方に立っている状態)にすることで得られる見た目のメリットには、例えば次のようなものがあります

  • 小顔効果 – 正面から見える耳の面積が大きくなることで、顔全体が相対的に小さく見える。耳が張り出している分、顔幅が強調されにくくなるわけです。

  • 顔の縦幅(中顔面)が短く見える – 耳を立てると顔の輪郭が逆三角形に近づき、面長の印象を和らげます。視線が耳にも分散するため、縦長の顔が目立ちにくくなる効果があります。

  • 可愛らしい印象 – ピンと立った耳はウサギや小動物のようで愛らしいイメージを与えます。実際、「動物耳」風のアクセサリー感覚で楽しむ方もいるほどです。

  • 若々しく幼い雰囲気 – 耳が正面から見えると顔に幼さが加わり、アイドルのような雰囲気になれるという声もあります。実年齢より若い印象を演出できるかもしれません。

こうした理由から、特に若い女性を中心に「立ち耳にしたい!」というニーズが高まっているのです。例えば「顔が長いのが悩みなので耳を立てて小顔に見せたい」「他の人と違うチャームポイントが欲しい」など、美容外科クリニックでも相談件数が増えています。

従来は「立ち耳を治したい」という要望がほとんどでしたが、今では「耳を立たせたい」という真逆の相談が出てきており、私のクリニックでもここ数年で急増している印象です。まさに美容のトレンドは時代とともに移り変わるものですね。

では、実際に立ち耳(猿耳)にするための方法にはどんな選択肢があるのでしょうか?大きく分けて「手術」と「ヒアルロン酸注射」という2つの方法があります。

それぞれの特徴や効果の違いを詳しく見てみましょう。

手術で立ち耳にする方法(半永久的な効果)

まず、確実かつ半永久的に耳を立たせる方法として、耳の形成手術(立ち耳整形手術)があります。これは簡単に言うと、「立ち耳を治す手術の逆」を行うものです。

従来は立っている耳を寝かせる手術(対耳輪を形成する手術)が一般的でしたが、立ち耳整形ではその逆で、寝ている耳を起こして固定します。

手術の方法

耳の裏側を数センチ切開し、軟骨を操作して耳を前方に起こします。具体的には、耳介軟骨(特に対耳輪=耳の内側にあるY字の軟骨)を切開し、再整形した上で、縫合します。手術時間は片耳あたり45分程度、局所麻酔下で行うため痛みはほとんどありません。

耳の裏からのアプローチなので傷跡も表に出ず目立ちませんし、耳の皮膚は血流が豊富で治りも早いため、術後しばらくすれば傷もほとんどわからなくなります。

効果と仕上がり

手術による立ち耳形成の最大のメリットは、一度で半永久的な効果が得られることです。糊やテープで日々耳を貼り付ける必要もなく、一度軟骨を縫合してしまえば常に耳は立った状態をキープできます。

手術のダウンタイム

手術後は耳に多少の腫れや内出血が起こりますが、耳はもともと多少赤くなっても髪で隠しやすい部分ですし、1〜2週間ほどで落ち着きます。抜糸も1週間程度で行います。日常生活では当日から洗顔・入浴も可能で、耳を強くこすったりしなければ普段通り過ごせます。

術後しばらくは耳にガーゼを当てて保護・固定しますが、痛みも軽いため大きな負担にはなりません。耳を立てる手術は比較的シンプルで負担も少ない施術ですが、耳という細かい部位の手術ですので、経験豊富な専門医に任せることが大切です。

私自身、従来の立ち耳修正術の技術を応用してこの「耳を立てる手術」を独自に工夫し、多くの症例を担当しておりますので、安心してご相談ください。手術による方法は、「一度の施術で半永久的な効果」「細かなデザイン調整が可能」「維持に追加コストがかからない」といった利点があります。

その反面、メスを入れることに抵抗がある方やダウンタイムを極力避けたい方もいらっしゃいます。そうした方には次に紹介するヒアルロン酸注射による方法が選択肢となります。

ヒアルロン酸注射で立ち耳にする方

メスを使わずに手軽に耳を立てたい場合、ヒアルロン酸注射による「立ち耳フィラー」という施術があります。これはその名の通り、耳の軟骨周囲にヒアルロン酸製剤(いわゆる美容フィラー)を注入して物理的に耳を前に押し出す方法です。耳の裏側と表側(耳介の前後)に高粘度のヒアルロン酸を土台のように注入し、耳を前方に立ち上げるイメージです。

ヒアルロン酸は元々シワや鼻・顎の形成などに使われる安全な注入剤で、耳に注射してボリュームを足すことで耳を起こすことができます。施術自体はとてもシンプルで、消毒後に耳の数カ所に針を刺してヒアルロン酸を入れるだけです。

切開の必要もなく所要時間も片耳10分程度とお手軽です。

ヒアルロン酸注射のメリット

  • 手軽さとダウンタイムの少なさ: 注射による施術なので傷跡はゼロ、施術当日からシャワーや洗髪もOKです。施術中の痛みはほとんどありません。耳はもともと神経が少なく痛みを感じにくい部分なので、ヒアルロン酸注入に慣れている方なら無麻酔でも耐えられるくらいです。ダウンタイムもごく軽度で、術後2~3日程度赤みや腫れが出ることがありますが、耳の裏側中心なので他人にはまず気付かれないでしょう。万一小さな内出血が起きても1〜2週間で吸収されます。

  • 体への負担が少ない: メスを入れないため出血や感染のリスクも極めて低く、もし仕上がりが気に入らなくても時間経過で元に戻せる安心感があります。ヒアルロン酸は体内で徐々に分解・吸収される物質なので、永続的に形を残すわけではありません。言い換えれば「あとからやり直しがきく」ということです。まずフィラーで試してみて、気に入ったら将来的に手術で恒久化する、というステップを踏む方もいるでしょう。

  • 希望に合わせ調整可能: 注入するヒアルロン酸の量を調整することで、耳の立ち具合をコントロールできます。ごく軽く耳が見える程度にするのか、はっきり「猿耳」とわかるくらい立てるのか、カウンセリングで相談しながら微調整できます。片耳あたりおおむね1cc前後の注入で満足される方が多いですが、韓国では8cc以上入れてしっかり立てるケースもあるようです。注入は徐々に行い、鏡で確認しながら希望の形に近づけていきます。

ヒアルロン酸注射のデメリット

  • 効果の持続が限定的: ヒアルロン酸による立ち耳効果は永続ではありません。個人差はありますが、だいたい半年~1年程度かけて徐々に元の耳の形状に戻っていきます。そのため、小顔効果を維持したい場合は定期的な追加注入が必要です。永久に効果を持続させたい場合は、最終的には手術が勧められることになります。

  • 繰り返しのコスト: 定期的な注入を続ける場合、長期的には手術より費用が嵩む可能性があります。ヒアルロン酸1ccあたりの料金はクリニックにもよりますが決して安くはないため、何度も施術を繰り返すとトータルの費用はそれなりになります。

  • 効果に限界がある: ヒアルロン酸注射だけでは、耳の形そのものを劇的に変えることは難しいです。ある程度の立ち具合は得られますが、耳介軟骨の形状を根本的に変えるわけではないので、手術ほど自由に角度調整できない面もあります。「できるだけ大胆に耳を立てたい」という場合は、最初から手術を選択したほうが確実でしょう。

  • 一時的な不便さ: 施術後、ヒアルロン酸が定着するまでの間(数日~1週間程度)は、耳を強く圧迫しないよう注意が必要です。例えば横向きに寝ると耳が押されて痛みを感じたり、形に影響する可能性があります。またヘッドホンで耳を圧迫するのも避けたほうが無難です。これらは一時的な注意点ですが、生活習慣によっては煩わしさを感じるかもしれません。

以上のように、ヒアルロン酸注射による方法は「手軽に試せるが維持には手間がかかる」施術と言えます。手術と比べてハードルは低い反面、効果の永続性で劣る点は理解しておきましょう。

手術とヒアルロン酸、どちらを選ぶべき?

手術とヒアルロン酸、それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分のニーズに合った方法を選ぶことが大切です。確実に効果を持続させたい人や「一度で終わらせたい」「細かくデザインしたい」という人には、やはり手術による立ち耳形成がおすすめです。

軟骨をしっかり固定するので効果は半永久的で、小顔効果もずっと持続します。多少のダウンタイムはありますが、長い目で見ればメンテナンス不要で経済的とも言えます。

気軽に試してみたい人や「メスはできれば避けたい」「まずは期間限定で様子を見たい」という人には、ヒアルロン酸注射が向いているでしょう。イベントや撮影前など一時的に小顔演出したいケースにもマッチします。

万一気に入らなくても自然に元に戻せる安心感も利点です。ただし気に入ってずっと維持したくなった場合は、定期的な追加施術を続けるか、いずれ手術に踏み切る必要がある点は考慮しましょう。

実際の患者様でも、「まずフィラーで試してみて、その後手術で本格的に立ち耳にした」というケースもあります。ヒアルロン酸でイメージを掴んでから、永続効果のある手術に切り替えるのは理にかなったアプローチです。

▶️ 立ち耳のカウンセリングについてはこちら

まとめ

かつては矯正の対象だった「立ち耳(猿耳)」ですが、時代の流れとともに新たな“可愛い”トレンドとして注目を集めています。立ち耳にすることで得られる小顔効果や愛らしい印象は、確かに多くの若い世代を魅了しているようです。手術またはヒアルロン酸注射という2つの方法によって、その憧れの立ち耳を実現することが可能になりました。

 

それぞれの方法に良い点・注意点がありますので、本記事の内容を参考にしつつ専門の医師とじっくり相談して決めることをおすすめします。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、耳形成手術、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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