投稿日:2025/10/09
(最終更新日:2025/10/07)
整形手術を繰り返すと皆似た顔になる理由

整形を何度も繰り返すと、みんな同じような顔になってしまうと感じる方は多いのではいないでしょうか。では、なぜ整形手術を繰り返すと皆が似たような顔つきになると言われるのでしょうか?
本記事では、美容外科専門医の視点からその理由を詳しく解説し、本来の美しさを活かすための整形との付き合い方についてお話ししたいと思います。
美の基準の画一化が招く「みんな同じ顔」

整形を繰り返す人の顔が似てくる大きな理由の一つに、多くの人が同じような「美の基準」や「理想の顔」を追い求めがちだという点があります。美容整形を受ける方の多くは、「目は大きい方がいい」「鼻は高い方が美しい」といった一般的な美人のイメージを持っています。
そして、その「正解は一つ」「理想の黄金比率の顔がある」という発想に沿って顔を作ろうとするため、結果的に似通った顔立ちになってしまうのです。特に日本や韓国の若い世代では、二重まぶたの大きなパッチリした目や高い鼻、小顔に対する憧れが強く、一重まぶたや丸顔など本来の個性を「欠点」と捉えてしまう傾向があります。
そのため、整形によって皆が同じような二重まぶたにし、同じように高い鼻筋を入れ、同じように細い顎先を目指す傾向が強まりやすいのです。具体的な例として、韓国では毎年ミスコンテスト(ミスコリア)で「同じような顔」の優勝者ばかりだと話題になることがあります。
理想とされる整形後の顔のひな型(テンプレート)が存在し、それに近づけようと多くの人が施術を受けるため、結果として「ミスコリア顔」なる言葉まで生まれました。韓国は美容整形大国であり、透き通る白い肌、小さく高い鼻、平行二重まぶたにぷっくりした涙袋、ふっくらとした額やこめかみ、そしてシャープなV字型の顎、といった特徴が「美人の条件」として好まれています。そのため、多くの人がこのテンプレートに沿って手術を受ける結果、整形美人が皆同じような顔に見える現象が起きているのです。
近年は日本でも韓国と同じ傾向があり、SNSやメディアを通じて美の基準が画一化しつつある側面もあります。皆が同じ美的ゴールを目指してしまうこと自体が、整形顔が似通ってしまう大きな原因なのです。
過度な整形に共通する顔の特徴

「整形モンスター」と揶揄されるような極端な整形顔には、いくつか共通した特徴があります。例えば以下のような点です。
- 二重まぶたの幅が不自然に広すぎる
- 涙袋にヒアルロン酸を入れすぎて不自然に膨らんでいる
- 鼻筋を高く通しすぎた結果、鼻が不自然に高く尖っている
- 小鼻縮小を過度に行い、鼻の穴が縦長で不自然な形になっている
- 唇に厚みを出しすぎて極端に分厚くなっている
- 顎を尖らせすぎて顔が長く見える、輪郭がシャープすぎる
このように各パーツを理想とする形に近づけようと極端にいじりすぎると、顔全体のバランスが崩れてしまいます。その結果、パーツごとの主張が強すぎる独特な顔つきになり、周囲から見ると「いかにも整形しました」という印象を与えてしまうのです。
「顔中にいろいろな美容整形手術を繰り返し行うことで、それぞれのパーツが極端に強調された独特の顔」になってしまう状態を、世間は皮肉を込めて「整形モンスター」と呼ぶことがあります。こうなってしまうと、せっかく美を追求して整形したのに、かえって不自然で皆が同じような雰囲気の顔に見えてしまう皮肉な結果になるのです。
エラ削り・骨切りによる画一的な顔

実際に、骨切りのような大掛かりな手術をいくつも受けたりすると、結果的に皆似たような顔つきに見える原因にもなりえます。特にエラ(下顎角)を削り過ぎると、顎のラインがほっそりしすぎて皆同じような細長い輪郭になりがちです。
本来、人それぞれ顔の輪郭には個性があります。しかしエラを削ってしまうと、そうしたその人固有の印象が消えてしまうのです。エラを削ることで確かにスッキリとした輪郭にはなりますが、その代償として個性や表情の豊かさが失われ、画一的な印象の顔になりがちなのです。
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整形依存と繰り返し施術の心理

では、なぜ整形を繰り返してしまうのでしょうか。その背景には心理的な要因も存在します。極端に何度も整形を繰り返す方の多くは、自分の外見に対する強いコンプレックスや歪んだ認識を抱えている場合があります。
いわゆる「整形モンスター」になる人身体醜形恐怖症という病気を抱えていたり、整形依存症に陥ってしまったりしている場合が多いです。このような方はほんの小さな欠点も許せず、何度手術をしても満足できずに「もっと美しく」「もっと完璧に」とエスカレートしていきます。理想像と現実の自分との差に苦しみ、整形を繰り返すことでしか不安を解消できなくなってしまうのです。
本来、美容整形手術は適切に利用すればコンプレックスを和らげ前向きに生きる助けにもなります。しかし、整形依存に陥った患者様はブレーキを失ってしまうため、自分では歯止めが効かなくなります。もし担当する医師までもが患者の不安に迎合し「もっとやりましょう」と煽るようなことがあれば、事態はさらに深刻です。
残念ながら近年、美容外科業界が営利主義に走り、必要のない手術まで勧めてくるケースも報告されています。もしお金儲け主義のクリニックに当たってしまえば言葉巧みに乗せられて次々と手術を受けさせられ、結果として不自然な整形顔になっていき、お金まで搾り取られてしまう危険があります。実際、「ここもあそこも治せますよ」と過剰に手術を提案してくるクリニックには注意が必要です。
私自身、カウンセリングの際には患者様が過度な美容整形を求めていると感じた場合、「その施術は本当に必要でしょうか?」と率直にお話しします。中には「絶対に○○にしたいんです!」と無理な手術を希望される方もいますが、無茶な手術を行えば「余計におかしな顔になってしまう」「将来崩れて取り返しがつかなくなる」といったリスクを丁寧に説明します。
それでもなお強行に希望される場合には、残念ですが、私は手術をお断りすることもあります。美容外科医として患者様の希望に応えることは大切ですが、長期的な美しさと健康を第一に考えると、どうしても「やめた方がいい手術」は存在するのです。
自然な美しさを活かす整形との付き合い方

ここまで、整形を繰り返すことで顔つきが画一化し、不自然になってしまう理由を見てきました。それでは、こうした事態を避けつつ美容整形と上手に付き合うにはどうすれば良いのでしょうか。最後に、本来の美しさを守るためのポイントをお伝えします。
まず大前提として、「やりすぎない」ことが何より重要です。理想を追求するあまり、あれもこれもと手を加えすぎないようにしましょう。一人ひとり顔立ちや骨格は違いますし、本来備わっている魅力も異なります。美容外科医の立場から強調したいのは、患者さん本来の解剖学的構造(骨格やパーツの配置)を尊重することこそが、美容整形における最も大切な要素の一つだということです。
目・鼻・口・輪郭など主要なパーツの位置や形を大きく変えすぎないようにすることで、患者様自身の個性を活かしつつ自然で調和の取れた仕上がりが得られます。逆に言えば、過剰な変更は顔全体のバランスを崩し、不自然な印象の原因になるのです。
そのため、施術の計画を立てる際には「ここだけはどうしても気になる」という部分に必要最小限のアプローチをするにとどめ、それ以外の長所はなるべく残す方が賢明です。たとえば鼻筋を通す手術をするとしても、高さを出しすぎず鼻先や小鼻の形とのバランスを考慮する、二重まぶたの手術でも幅を欲張りすぎず自然なラインに留める、といった配慮が結果的に「その人らしい美しさ」を引き出します。
流行や他人の顔と自分を単純に比較しすぎないことも大切です。憧れのタレントと瓜二つの顔になる必要はありません。自分にしかない魅力をどこに残すか、見極めてくれる信頼できるドクターに相談しましょう。
美容外科医の責任

美容外科医側の責任としても、患者様に過剰な期待を抱かせないよう十分に説明を行い、明らかに不必要だったり、リスクが大きかったりする施術のご希望にはきちんと「NO」を伝えることが重要です。患者様の希望を尊重しつつも、私は常に「5年後10年後に見ても美しく、自然でいられるか」という長期的視点でアドバイスを行うよう心がけています。
場合によっては「そこは治さなくても十分魅力的ですよ」とお伝えし、本当に患者様にプラスになる施術だけをご提案します。美容医療は患者様の幸せのための手段であり、決して目的ではありません。流行に流されすぎず、本来の美しさを活かす整形を目指すことで、整形手術とうまく付き合っていくことができます。
まとめ
整形手術を繰り返すと、元々その人が持っていた特徴的な長所まで失われてしまう場合があります。過度な施術によって顔のバランスが崩れ、せっかくの個性が消えて画一的な印象になる恐れがあります。
美容整形は本当に必要なポイントに対して最小限行うに留め、患者様本来の美しさを残すことが大切です。流行の顔に無理に合わせるのではなく、自分の持ち味を活かした施術計画を立てる方が、結果的に満足度も高くなります。
昨今の美容外科業界は利益優先の傾向が強まりすぎており、必ずしも必要でない手術まで勧められるケースがあります。その結果、患者様の本来の美しさや愛らしさが失われてしまう例も少なくありません。クリニック選びにおいては、実績や信頼だけでなく、不要な施術を勧めてこない誠実な医師かどうかを見極めましょう。
私自身、患者様の「本来の美しさ」を壊さないようなアドバイスを徹底し、必要と判断した美容整形手術のみを行っています。一人ひとり異なる魅力を大切にし、将来にわたって自然で美しくいられるような美容医療を提供することが私の信条です。整形手術を検討中の皆さんも、どうか焦らず冷静に、自分らしさを活かせる最良の方法を一緒に考えていきましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。
小顔, 小顔ボトックス, 美容整形, 小顔ボトックス注射, 整形依存
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