投稿日:2025/05/05
(最終更新日:2025/05/05)
「レーザートーニング効果なし」は本当?肝斑治療のポイント
美容クリニックなどで 行われた施術で「レーザートーニングは効果がない」 という声を耳にすることがあります。しかし実際には、レーザートーニングは適切に行えば高い効果を発揮する治療法です。ではなぜ一部の方が「効果なし」と感じてしまうのでしょうか。本記事では、美容外科専門医の視点からレーザートーニングの効果とその真実を分かりやすく解説します。特に肝斑(かんぱん)治療に焦点を当て、効果を最大限に引き出すためのポイントを紹介します。
レーザートーニングが「効果なし」と感じられる理由
「レーザートーニングを受けたのに効果がなかった」と感じる背景には、いくつかの原因が考えられます。その主な理由の一つが、治療対象のシミの種類を誤っているケースです。レーザートーニングは特に肝斑の治療に適したレーザーですが、実は肝斑と他のシミは見た目が似ていて区別が難しいことがあります。もし肝斑ではなく老人性色素斑(一般的な日焼けによるシミ)やそばかす(雀卵斑)を肝斑と間違えてレーザートーニングを行うと、期待した効果が得られないことがあります。これは治療法の選択ミスによるもので、レーザートーニング自体の問題ではありません。
間違えやすいシミの例:老人性色素斑(日光黒子)
境界がはっきりした茶色の平坦なシミで、数ミリ~数センチ大。30~40代以降の顔や手の甲など紫外線を浴びやすい部位に生じます。誰にでも年齢とともにできる代表的なシミです。レーザートーニングよりも高出力のシミ取りレーザー(Qスイッチレーザー等)で一度に取る治療が適しています。
間違えやすいシミの例:そばかす(雀卵斑)
小学生頃から出現する小さな茶色い斑点が頬や鼻を中心に散在するタイプです。思春期~20代で目立ち、年齢とともに薄くなる傾向があります。こちらも肝斑とは原因も治療法も異なり、IPLやスポットレーザーでの治療が効果的です。
これらのシミは肝斑とは別物であり、肝斑に有効なレーザートーニングを当てても十分な効果が出にくいのです。実際、学会発表でも「シミの誤診や治療法の不適切さが、効果が感じられない原因になる」と指摘されています。したがって、「効果なし」と感じた場合はまずシミの種類が適切に診断されていたかを疑う必要があります。複数の種類のシミが混在していることも多いため、まずは経験豊富な医師による正確な診断が重要です。
レーザートーニングは肝斑に最も効果的な治療
レーザートーニングは肝斑治療において最も効果的といわれるレーザー治療法です。肝斑とは、30~50代の女性の頬に左右対称に現れることが多い薄茶色のもやっとしたシミのことで、ホルモンバランスや紫外線、摩擦刺激などが原因とされています。従来、肝斑は刺激を与えると悪化しやすいため強いレーザー治療が禁忌とされてきました。しかしレーザートーニングでは弱い出力のレーザーを均一に照射することで、余計な刺激を避けつつ徐々にメラニンを減らすことが可能です。その結果、肝斑を悪化させることなく薄くしていく効果が得られます。レーザートーニングはまさに肝斑治療の切り札と言える存在なのです。
例えば、肝斑に悩む患者様の治療前(左)とレーザートーニング5回施術後(右)を比較すると、頬の肝斑が大幅に薄くなっていることがわかります。肝斑は「治りにくいシミ」と言われますが、適切な治療を重ねれば数ヶ月でここまで改善することも可能です。この患者様も「3回ほどで効果を実感し始め、どんどんシミが薄くなった」とアンケートで述べています。
レーザートーニングは肝斑以外にも肌全体のくすみや色ムラの改善、毛穴の引き締めといった美肌効果も期待でき、総合的に肌のトーンアップにつながる治療です。ただしやはり真の効果を発揮するのは肝斑に対してであり、逆に言えば肝斑でお悩みの方にとっては非常に有効な治療選択となります。
肝斑治療には正確な診断と生活習慣の見直しが重要
肝斑をしっかり改善するためには、レーザートーニングという施術そのものだけでなく、医師による正確な診断と日々の生活習慣改善が欠かせません。まず診断については前述の通り、肝斑か他のシミかを見極めることが非常に重要です。例えば中高年の顔には肝斑の他にも様々なシミ(老人性色素斑、そばかす、ADM〈後天性真皮メラノサイトーシス〉等)が混在している場合があり、時に皮膚がんが紛れていることすらあります。そのためまず経験豊富な医師がシミの正体を判断し、それぞれに適した治療法を組み立てる必要があります。
加えて、日常のスキンケアや習慣の見直しも治療効果に大きく影響します。肝斑はホルモンや紫外線、機械的刺激などで悪化しやすいため、レーザーでせっかくメラニンを減らしても、普段の生活で刺激を与えていては元も子もありません。肝斑治療中に医師が特に強調する生活習慣のポイントは次のとおりです。
紫外線対策を徹底する
肝斑のみならず全ての色素沈着の悪化要因である紫外線から肌を守ります。日焼け止めは季節を問わず毎日欠かさず塗り、さらに帽子や日傘で物理的に遮光することが理想です。特に肝斑のある方は紫外線に当たると新たなシミや肝斑悪化の原因になるため要注意です。
肌をこすらない
クレンジングや洗顔のときにゴシゴシと擦ったり、マッサージや美顔器で過度な刺激を与えたりしないようにします。摩擦は肝斑を悪化させる大敵であり、優しく扱うことが肝斑治療では鉄則です。
その他の生活習慣改善
禁煙や過度な飲酒を控える、ストレスを溜めすぎない、睡眠をしっかり取る、ホルモンバランスの乱れる要因を避ける(ピルの内服などは主治医に相談)といった全身状態のケアも大切です。不摂生を完全になくすのは難しくとも、できる範囲で生活習慣を整えることでレーザー治療の効果を高めることができます。
以上のように、レーザー+生活習慣改善の二本柱で肝斑治療に臨むことが重要です。実際、日々のスキンケアや紫外線対策も行っていけば、ほとんどの方がレーザートーニングの効果を実感できます。医師の正しい診断のもと、治療とセルフケアの双方からアプローチしましょう。
トラネキサム酸(トランサミン)内服など併用治療の活用
肝斑治療をさらに確実なものにするため、レーザートーニングと併用する内服薬・外用薬の活用も重要です。中でも代表的なのがトラネキサム酸内服(商品名トランサミン)で、肝斑治療の標準的手段の一つとして広く用いられています。トラネキサム酸は本来止血剤として使われる薬ですが、メラニン産生を抑える美白効果があり、肝斑の改善に有効です。レーザートーニング単独よりも内服薬を併用した方が肝斑の改善が早く確実になることが知られています。実際、肝斑治療では「レーザー+トラネキサム酸内服」が一つの定番コンビになっています。
トラネキサム酸以外にも、医師の判断でビタミンCの内服、ビタミンのイオン導入を併用することもあります。こうした内服・ビタミンイオン導入を数ヶ月続けることで、レーザーと相乗効果で肌質が改善しやすくなります。
このように肝斑治療では複合的なアプローチが有効です。適切な併用療法により、レーザートーニングの効果を最大限に引き出すことができます。
単発では不十分、5回以上の継続治療が必要
レーザートーニングの効果を得るには継続的な治療が欠かせません。1回レーザーを当てただけで魔法のように肝斑が消えるわけではなく、最低でも5回以上、できれば10回程度は繰り返すことが望ましいです。なぜなら前述のようにレーザートーニングは弱い出力で少しずつメラニンを減らす治療であり、他の強力なシミ取りレーザーのように一度でシミを剥がすものではないからです。言い換えれば、肌に優しい分だけ即効性ではなく蓄積効果で勝負する治療なのです。
一般的には2~4週間おきに5回程度の施術をワンクールと考えます。実際、多くのクリニックで5回セットや10回コースといったプランが組まれており、患者さんも回数を重ねる前提で治療を受けています。
初回〜数回ではあまり変化を感じなくても、施術を重ねるうちに少しずつ効果が現れてくるのがレーザートーニングの特徴です。途中でやめてしまった方の中には「結局効果がなかった」と感じてしまう方もいますが、それはまだ効果が出る前に中断してしまった可能性があります。上で紹介した症例の方も3回目くらいから効果を実感し始めています。ですから、肝斑治療では根気強く治療を継続することが成功への鍵となります。
もちろん個人差があり、肝斑の濃さや範囲によって必要な回数は異なります。場合によっては10回以上の照射が必要なケースもありますが、医師と相談しながら途中で経過を評価し、必要に応じて治療プランを調整します。短期間に詰めて照射すれば良いというものでもなく、適切な間隔をあけて肌の回復を待ちながら行うことも大切です。
まとめ
レーザートーニングは「効果なし」どころか、肝斑に対して非常に効果の高い治療法です。ただし、その効果を十分に得るためには正しい診断のもとで適切に施術を受け、さらに日々のケアや併用療法、十分な回数の治療を行うことが必要です。裏を返せば、「効果が出なかった…」で終わりにするのではなく「どうすれば効果が出るのか」を考え、実践していけばほとんどの方がレーザートーニングの恩恵を実感できるはずです。
肝斑という厄介なシミも、経験豊富な医師による診療と根気強い治療の積み重ねで必ず薄くなります。レーザートーニングはその強い味方です。もし過去に「効果がなかった」と感じた方も、一度原因を見直し、信頼できるクリニックで相談されることをおすすめします。適切なプランで治療を続ければ、きっと明るい肌を取り戻せるでしょう。レーザートーニングは肝斑治療の現場で確かな成果を上げている、有効な施術なのです。自信を持って治療に臨んでください。
者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。美容外科医でありながら、肌治療にも精通している。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。シミ治療、にきび、ニキビ跡治療に定評がある。【関連項目】
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