投稿日:2024/05/22
(最終更新日:2024/05/22)

紫外線は髪にとって大敵!UVが女性の髪に与える悪影響

紫外線と女性薄毛

(第23回「女性薄毛に効果あり!大豆イソフラボンがよい理由」からの続き)

私たちの日常生活には、髪に好影響を与える習慣もあれば、悪影響を及ぼす習慣も存在します。今回のテーマは、その中でも特に重要な「紫外線(UV)」です。紫外線が女性の髪に与える悪影響について、詳しく解説していきます。日常生活において、紫外線は避けて通れない存在です。特に夏場には強烈な紫外線が降り注ぎ、その影響は皮膚だけでなく、髪にも及びます。本記事では、紫外線が髪に与える具体的なダメージと、その対策について詳しく見ていきましょう。

1.紫外線による髪の損傷

紫外線は髪の毛の自体の構造に直接影響を与えます。髪の毛は主にケラチンというタンパク質で構成されており、紫外線(UV)はこのケラチンに対して直接的なダメージを与えます。以下に、紫外線が髪のケラチンに与える影響について詳細に説明します。

■ケラチンの構造

ケラチンは髪の主成分であり、その構造は非常に複雑です。ケラチンはアミノ酸が結合してできた長鎖ポリペプチドであり、システインという含硫アミノ酸が多く含まれています。このシステインが二硫化結合を形成することで、髪の強度と弾力性を保っています。

■紫外線によるケラチンの損傷

紫外線はケラチンに対して以下のような損傷を引き起こします。

光分解:紫外線はケラチンのアミノ酸結合を切断し、光分解を引き起こします。特にUVB(290-320 nm)は高エネルギーであり、ケラチン分子の二硫化結合を破壊する力があります​。

酸化ダメージ:紫外線は活性酸素を生成し、これがケラチンの酸化を促進します。酸化されたケラチンは脆くなり、髪の強度や弾力性が低下します。これにより、髪が折れやすくなったり、切れ毛や枝毛が増加します​​。

■キューティクルの損傷

髪の表面を覆うキューティクルは、ケラチンで構成された鱗状の層です。キューティクルは髪の内部を保護する役割を果たしますが、紫外線により次のような損傷を受けます。

剥離:紫外線の影響でキューティクルが剥がれやすくなり、髪の内部が露出します。これにより、内部のケラチン繊維が直接紫外線にさらされ、さらに損傷を受けるリスクが高まります。

水分蒸散:キューティクルが損傷すると、髪内部の水分が蒸発しやすくなり、乾燥しやすくなります。乾燥した髪はさらに脆弱になり、ダメージが蓄積します​。

■色素の損傷

髪の色素(メラニン)も紫外線により損傷を受けます。メラニンは紫外線を吸収し、髪を保護する役割を果たしますが、紫外線の影響で次のようなことが起こります。

色の褪色:紫外線はメラニン色素を破壊し、髪の色を褪せさせます。染色した髪は特に紫外線に敏感であり、色落ちが早くなります​。

自由基生成:紫外線によるメラニンの分解で生成される自由基は、さらにケラチンや他の髪の成分にダメージを与えます。

2.紫外線が頭皮に与える影響

薄毛に悩む日本人女性

紫外線(UV)は皮膚に酸化ストレスを引き起こし、これは頭皮の毛包(毛髪を包む組織)にも影響を与えることがあります。酸化ストレスは、細胞の老化や損傷を促進し、これが結果的に毛髪の成長サイクルを乱すことにつながります。以下に、紫外線が酸化ストレスを発生させ、頭皮に与える影響について説明します。

■紫外線の吸収と活性酸素の生成

紫外線は頭皮の皮膚細胞に吸収されると、エネルギーが細胞内の分子に伝達され、その結果として活性酸素が生成されます。活性酸素には、スーパーオキシドアニオン(O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(-OH)などが含まれます。これらの分子は非常に反応性が高く、周囲の細胞成分と容易に反応します。

■DNAおよび細胞膜の損傷

生成された活性酸素は、DNA、タンパク質、脂質などの細胞成分と反応し、これらを損傷します。特に、脂質に対する反応は脂質過酸化を引き起こし、細胞膜の構造と機能を損ないます。これが細胞の機能不全や死を引き起こすことがあります。

■抗酸化防御機構の破綻

通常、細胞には抗酸化防御機構が備わっており、エンザイム(例えばカタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ)や抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンEなど)によって活性酸素を中和しています。しかし、過剰な紫外線曝露により活性酸素の生成が抗酸化防御能力を超えると、酸化ストレスが蓄積し、細胞損傷が増加します。これにより、毛母細胞では髪の成長が阻害され、最終的には髪の質が低下します。

■炎症の誘発

酸化ストレスは、細胞内シグナル伝達経路を活性化し、炎症反応を引き起こします。例えば、NF-κBやAP-1といった転写因子が活性化され、炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-αなど)の生成が促進されます。これが慢性的な炎症状態を作り出し、さらに酸化ストレスを悪化させる悪循環を生み出します。このように紫外線は頭皮に炎症を引き起こし、慢性的な炎症が毛包環境を悪化させ、毛髪の健康な成長を妨げます。

出典元:

Academic: UV-Induced Generation of Reactive Oxygen Species

3.紫外線のホルモンバランスへの影響

紫外線(UV)は私たちの体に多岐にわたる影響を及ぼしますが、その中でもホルモンバランスへの影響は重要な側面です。以下に、紫外線がどのようにホルモンバランスに影響を与え、それが毛髪の成長にどのように関係しているかについて詳しく説明します。

■ビタミンDの生成

紫外線B(UVB)照射は、皮膚内でビタミンDの生成を促進します。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるだけでなく、免疫機能や細胞の成長、炎症の抑制などにも関与しています​ 。適度な紫外線曝露はビタミンDの生成に必要ですが、過剰な曝露は問題を引き起こします。

■過剰な紫外線曝露による影響

過剰な紫外線曝露は、以下のようにホルモンバランスを乱す可能性があります。

ホルモンの異常な生成:紫外線は皮膚内でのビタミンD生成を促進しますが、過剰な紫外線曝露により体内のビタミンDレベルが異常に高くなると、ホルモンのバランスが崩れることがあります。これは特に副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌に影響を与える可能性があります​ 。

メラトニンの抑制:紫外線、特にUVBは、皮膚を介してメラトニンの生成を抑制します。メラトニンは睡眠を調節するホルモンであり、その抑制は睡眠の質を低下させ、体内リズムを乱す可能性があります 。

■ホルモンバランスの乱れと毛髪の成長

ホルモンバランスの乱れは、毛髪の成長に直接影響を及ぼします。

毛髪の成長サイクルの影響:ホルモンバランスが乱れると、毛髪の成長サイクル(成長期、退行期、休止期)が影響を受けます。例えば、成長期が短くなることで、毛髪の成長が阻害され、髪のボリュームが減少することがあります 。

テストステロンとDHTの影響:過剰な紫外線曝露によりストレスホルモン(コルチゾール)のレベルが上昇することがあります。コルチゾールの増加は、テストステロンの変換を促進し、これがDHT(ジヒドロテストステロン)の増加につながります。DHTは毛包に悪影響を及ぼし、脱毛の原因となることがあります 。

4.紫外線から髪を守る方法

日傘で紫外線対策

髪を紫外線から守るためには、以下の方法が効果的です。

■日傘の使用

紫外線から髪と頭皮を守るための有効な手段の一つが日傘の使用です。日傘は紫外線を物理的に遮断するため、高い紫外線カット率を持ちます。特にUVカット加工が施された日傘は、99%以上の紫外線を遮断することができます。また、日傘を使うことで、頭皮に直接紫外線が当たるのを防ぎます。これにより、毛母細胞や毛包へのダメージを軽減し、健康な髪の成長を助けます。さらに、紫外線が髪の水分を奪うのを防ぐことで、髪の乾燥やダメージを軽減します。特に保湿効果のあるヘアケア製品と併用することで、さらに効果的です。

■帽子の着用

外出時には帽子をかぶることで頭皮と髪を紫外線から保護します。特に広いつばのある帽子が効果的です。ただし、頭皮が汗で蒸れないように、長い時間の連続着用は避けましょう。

■UV保護スプレー

髪用のUV保護スプレーを使用することも有効です。これにより、髪の表面にバリアを作り、紫外線の影響を軽減します。

■適切なヘアケア

保湿や栄養を補給するヘアケア製品を使用し、髪と頭皮の健康を維持します。特に、大豆イソフラボンなどの抗酸化成分を含むサプリが推奨されます。

まとめ

紫外線は髪に対して多くの悪影響を及ぼしますが、適切な対策を講じることでその影響を最小限に抑えることができます。髪を守るためには、紫外線対策を徹底し、日常的なヘアケアを怠らないことが重要です。健康な髪を維持するために、これらのポイントを意識して過ごしましょう。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。

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