投稿日:2024/05/04
(最終更新日:2024/05/04)
女性薄毛に効果あり!大豆イソフラボンがよい理由【女性薄毛23回】
(第22回「薄毛が悩みなら赤ワインがおすすめ」からの続き)
女性の髪の毛の健康に影響を与える要因の一つとして大豆イソフラボンが注目されています。本記事では、その効能に焦点を当て、科学的な視点から女性薄毛に対する大豆イソフラボンの有益性を探ります。
大豆イソフラボンとは
大豆イソフラボンとは、大豆に含まれる植物性化合物の一種です。大豆イソフラボンの成分は、化学的には「フラボノイド」と呼ばれるグループに属しています。フラボノイドは、自然界に広く存在するポリフェノールの一種であり、主に植物によって合成されます。ポリフェノールは、植物が生存するために重要な役割を果たす化合物であり、酸化や紫外線から植物を保護し、生育や免疫系の調節などに関与しています。大豆イソフラボンは、大豆製品やその他の大豆由来の食品に豊富に含まれています。大豆イソフラボンには、主に以下の3つのタイプが含まれています。
ダイゼイン(daidzein): 大豆イソフラボンの中で最も一般的なものの一つであり、大豆製品に豊富に含まれています。体内でエクオールという化合物に変換されることが知られています。
ジェニステイン(genistein): もう一つの主要な大豆イソフラボンであり、大豆製品に広く含まれています。ダイゼインと同様に、体内でさまざまな代謝反応を経て活性化されます。
グリセチン(glycitein): ダイゼインとジェニステインと比較して、少なく見られますが、それでも大豆製品に一部含まれています。
大豆イソフラボンの抗酸化作用
大豆イソフラボンは抗酸化作用を持ち、髪の成長に有害な活性酸素を除去します。大豆イソフラボンが活性酸素を除去するメカニズムについて、以下にその詳細を説明します。
■直接的な抗酸化作用
大豆イソフラボンは、分子内の特定の部位にあるフェノール基やオキシジル基などの構造が、活性酸素と反応して不活性な物質に変化させることができます。これにより、活性酸素が細胞や組織にダメージを与えるのを防ぎます。
■酵素の活性化
大豆イソフラボンは、抗酸化酵素の活性を高めることがあります。例えば、スーパーオキシドジスムターゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素は、体内で活性酸素種を除去するために働きます。大豆イソフラボンがこれらの酵素の活性を増加させることで、より効果的に活性酸素種を除去することができます。
■遺伝子の発現の変化
大豆イソフラボンは、細胞内の遺伝子の発現を変化させることがあります。特定の遺伝子の発現が増加することで、抗酸化物質や酵素の産生が促進され、活性酸素の除去が増加します。
■炎症の抑制
大豆イソフラボンは炎症を抑制することで、活性酸素種の生成を減少させる効果があります。炎症が活性酸素種の生成を促進することがあるため、炎症の抑制は間接的に活性酸素種の除去につながります。
以上が、大豆イソフラボンが活性酸素を除去するメカニズムの詳細です。これらのメカニズムは相互に補完し合い、髪の成長に有害な酸化ストレスを軽減します。
参照元:
大豆イソフラボンの女性ホルモン様作用
女性の髪の成長や発毛には、女性ホルモンが重要な役割を果たしています。特に女性ホルモンの中のエストロゲンは、髪の成長期を延長し、毛包の血流を増加させることで、髪の成長を促進します。成長期が延長されることで、髪の長さや太さが増し、より健康的な髪の成長をサポートします。大豆イソフラボンはこの髪の成長に欠かせないエストロゲンに似た働きをすると言われています。それは、大豆イソフラボンの化学構造がエストロゲンに類似しているためです。これにより大豆イソフラボンは体内でエストロゲンのような作用を示すことがあります。ここでは、大豆イソフラボンが女性ホルモンに似た働きをするメカニズムとその影響について詳しく説明します。
■エストロゲン受容体への結合
大豆イソフラボンは体内のエストロゲン受容体に結合することができます。これにより、エストロゲンのような作用を模倣することがあります。例えば、エストロゲン受容体に結合することで、髪の成長や骨密度の維持や心血管保護の効果を引き起こすことが知られています。
■エストロゲンの補完
大豆イソフラボンは、体内でのエストロゲンの不足を補う効果があります。特に閉経後の女性では、卵巣からのエストロゲンの分泌が低下するため、大豆イソフラボンがエストロゲン様の作用を示すことで、閉経に伴う薄毛などの症状や骨密度の低下を緩和する可能性があります。
■エストロゲン代謝の調節
大豆イソフラボンは、体内でのエストロゲン代謝を調節することがあります。具体的には、エストロゲン代謝経路の一部を活性化または抑制することで、エストロゲンの生理的なバランスを維持する助けをします。これにより、乳がんや子宮がんなどのホルモン依存性のがんのリスクを低減する可能性もあると言われています。
■抗酸化作用の関与
先にも述べたように、大豆イソフラボンには抗酸化作用があります。この抗酸化作用は、細胞や組織の酸化ストレスを軽減することで、ホルモンバランスを調節し、髪の毛だけでなく、女性の健康をサポートする役割を果たします。
髪の毛以外にもよい大豆イソフラボンの効果
大豆イソフラボンの抗酸化作用は髪の毛以外にも作用し、また抗酸化作用以外にもさまざまな効果があり体の健康に役立ちます。ここでは髪の毛に対する以外の作用について、大豆イソフラボンが体にもたらす効果を説明します。
■活性酸素の除去
大豆イソフラボンは強力な抗酸化物質であり、体内の活性酸素種と呼ばれる有害な分子を中和する役割を果たします。活性酸素は細胞や組織にダメージを与え、老化や慢性疾患の原因になる可能性がありますが、抗酸化物質はこれらの分子を不活性化して体を守ります。
■炎症の抑制
大豆イソフラボンは炎症を抑制する効果もあります。炎症は様々な疾患の原因となりますが、イソフラボンは炎症を和らげることで体の健康を維持する手助けをします。
■血管保護
大豆イソフラボンは血管の健康を促進し、血管内皮機能を改善することが示されています。これにより、心血管疾患や高血圧などのリスクを低減する助けになります。
■がん予防
大豆イソフラボンにはがん予防効果があるという研究結果もあります。特に乳がんや前立腺がんのリスクを低減する可能性が示されています。これは、抗酸化作用やホルモンバランスの調整によるものと考えられています。
■骨保護
大豆イソフラボンには骨を強化し骨密度を維持する効果があるという研究があります。特に閉経後の女性にとって、骨粗鬆症などの骨の健康問題を予防するのに役立つ可能性があります。
大豆イソフラボンの推奨摂取量
大豆イソフラボンの抗酸化作用を期待するためには、一般的には1日に約50mgから100mgの大豆イソフラボンを摂取することが推奨されています。大豆イソフラボンが豊富に含まれる食品はいくつかあります。以下に代表的な食品とその量を示しますが、具体的な含有量は食品の種類や加工方法によって異なります。
■納豆
納豆も大豆から作られる食品であり、大豆イソフラボンが豊富に含まれています。納豆1パック通常50gの納豆には約30mgの大豆イソフラボンが含まれています。
■豆腐
豆腐は大豆から作られる食品であり、大豆イソフラボンが豊富に含まれています。一般的に、100gの豆腐には25mg前後の大豆イソフラボンが含まれています。(豆腐1丁は300mg)
■大豆製品
大豆製品には、豆乳、大豆ミート、キナ粉などが含まれます。これらの製品にも大豆イソフラボンが含まれており、具体的な含有量は製品によって異なりますが、一般的には10〜50mg程度が含まれています。
大豆イソフラボンの過剰摂取はあるか?
大豆イソフラボンの過剰摂取による副作用は通常はまれですが、以下のような症状が現れる可能性があります。
■消化器系の不快感:
大量の大豆製品を摂取すると、消化器系の不快感や消化不良が現れる場合があります。これは大豆イソフラボンが消化管に刺激を与えるためです。
■ホルモンバランスの影響:
過剰な大豆イソフラボン摂取は、一部の個人でホルモンバランスに影響を与える可能性があります。特に甲状腺機能低下症や乳がんなどの特定の状態を持つ人々には、大豆イソフラボンを過剰に摂取することが問題になる可能性があります。
■アレルギー反応
大豆に対するアレルギーがある人々は、大豆イソフラボンを過剰に摂取することでアレルギー反応が現れる可能性があります。
■血液凝固異常
大量の大豆イソフラボン摂取は、一部の人々で血液凝固異常を引き起こす可能性があります。これは、大豆イソフラボンが血液の凝固を阻害する可能性があるためです。
適切な量での大豆イソフラボン摂取は、一般的に安全であり、健康に多くの利益をもたらします。しかし、過剰な摂取は問題を引き起こす可能性があるため、摂取量には注意が必要です。
まとめ
大豆イソフラボンは、その強力な抗酸化作用により活性酸素を効果的に中和し、また女性ホルモン様の作用によって髪の毛の健康をサポートします。特に、閉経後の女性ではエストロゲンの量が自然に減少するため、大豆製品を通じて大豆イソフラボンを積極的に摂取することは、薄毛の予防及び対策に非常に有効です。したがって、日々の食事に大豆製品を取り入れ、美しい髪を維持するための一助としていただければと思います。このように大豆イソフラボンは女性の髪の健康を支える重要な役割を担っており、その積極的な利用をお勧めします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。
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