投稿日:2024/03/11
(最終更新日:2024/03/10)
ストレスと女性薄毛の関係【女性薄毛対策ブログ第17回】
(第16回「【ワカメで髪が増える?】髪にはたんぱく質が大事!」からの続き)
女性の薄毛に関する一般的な見解の中でも、特に注目されているのが「ストレスが薄毛を引き起こす」という説です。このテーマに関する科学的探求は日々進展しており、2021年3月4日付けの「Nature」誌においても、このトピックに焦点を当てた記事が掲載されました。この権威ある科学誌に記された最先端の知見を踏まえ、本ブログではストレスが女性の薄毛に及ぼす影響について、新たな視点で掘り下げていきます。実際に、多くの女性が日々感じるストレスが、どのようにして髪の健康に影響を及ぼすのか、科学的な根拠に基づき詳しく解説していきます。
「ストレスがあると薄毛になる」という説は本当です!
「ストレスがあると薄毛になる」という説は科学的根拠に基づいており、正しいとされています。マウスの動物実験において、ストレスが毛の成長周期に影響を与え、成長期の毛が休止期に移行することが観察されました。この現象は、薄毛へとつながる可能性があります。また、人間においてはストレスが原因でコルチゾールというホルモンが分泌されることが知られています。以前は、このコルチゾールが活性酸素を増加させ、それが髪の毛根細胞の老化を加速するとされていました。しかし、この過程の詳細なメカニズムはまだ十分に解明されていませんでした。
実はコルチゾールがダイレクトに脱毛を起こしている?
Nature誌に掲載された最新の研究では、ハーバード大学の研究チームがストレスと脱毛症の関係を探り、ストレスホルモンが毛包幹細胞にどのように影響を与えるかを明らかにしました。毛包幹細胞は毛の成長と再生に不可欠です。これらの幹細胞は通常、成長期と休息期を繰り返し、毛の成長と脱落を調節します。マウスの実験では慢性ストレスは、コルチコステロン(ヒトではコルチゾールに相当)というホルモンのレベルを上昇させます。このホルモンの上昇は、毛包幹細胞が休息期間に長く留まるようにし、新しい毛や組織の再生を阻害します。マウスにコルチコステロンを与えると、慢性ストレスが毛包幹細胞に与える影響を再現することができました。この研究では、毛包の下にある毛乳頭細胞が重要な役割を果たしていることを発見されました。通常、毛乳頭細胞はGAS6というたんぱく質を分泌し、毛包幹細胞を活性化します。(毛包幹細胞とは、毛包内に存在する特殊な幹細胞で、毛の成長と再生に不可欠な細胞です。)しかし、ストレスホルモンの増加は、毛乳頭細胞がGAS6を分泌するの抑制します。ここの発見は、GAS6が毛包幹細胞を活性化し、毛の成長を促進することを示しています。このようにストレスが直接毛包にある細胞に働きかけているということは新たな発見でした。
参照元:
ストレスが女性ホルモンも抑制
女性の薄毛の原因のひとつは、加齢によって、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、男性ホルモンが優位となることにあります。ストレスが発生すると、これによって増えたコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が下垂体の黄体刺激ホルモンおよび卵巣のエストロゲンとプロゲステロンの分泌を直接抑制します。このようにストレスを受けると、女性の髪の成長に不可欠なエストロゲンの分泌が減少します。これによって薄毛が進行してしまいかねません。これもストレスが薄毛によくない理由です。
睡眠不足が薄毛の進行を加速させる!
ストレスが睡眠不足につながると、薄毛はますます進行する恐れがあります。人体では睡眠中に脳下垂体から成長ホルモンがたくさん分泌されますが、これは毛髪の成長にとっても大切なホルモンです。成長ホルモンと脱毛症の関係についてはさまざま研究が行われていますが、成長ホルモンの分泌が低下すると、毛髪の成長に不可欠なインスリン様成長因子1(IGF-1)も低下すると言われています。日常生活において、成長ホルモンは特に入眠直後からの3時間が活発に分泌されるゴールデンタイムです。しかし、ストレスで眠りが浅く、睡眠の質が悪いと、成長ホルモンが十分に分泌されません。それが薄毛につながることがあります。
参照元:
Further Clinical Evidence for the Effect of IGF-1 on Hair Growth and Alopecia
ストレスと円形脱毛症
ストレスは円形脱毛症の原因の一つともされています。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、体が誤って毛髪の毛包を攻撃してしまうことで発症します。ストレスは、体の免疫系に影響を及ぼし、このような自己免疫反応を引き起こす可能性があります。ただし、円形脱毛症の全ての症例がストレスに起因するわけではなく、遺伝的要因や他の環境要因も関与していると考えられています。ただ、このようにストレスがきっかけで円形脱毛症になる人もいます。これは一般的な薄毛とは別の症状ではありますが、いずれの面でもストレスは髪にとってよくないということがいえます。
ストレスを和らげるためにできること
女性薄毛の大敵であるストレスを和らげるために日常生活でできる工夫をより詳しくご紹介します。
■定期的な運動
運動はエンドルフィンを放出し、ストレスを減少させます。ウォーキング、ジョギング、スイミング、またはヨガのような軽い運動は特に有効です。週に数回、少なくとも30分間の運動を心がけましょう。
■瞑想と深呼吸
毎日数分間の瞑想や深呼吸の練習は、心を落ち着かせるのに役立ちます。瞑想は注意を集中させ、心の平穏を促進します。深呼吸は心拍数と血圧を下げる効果があります。
■十分な睡眠
7~8時間の質の良い睡眠は、身体と精神の両方に必要です。睡眠不足はストレスレベルを高めますので、就寝前のリラクゼーションや一定の睡眠スケジュールを設けることが有効です。
■趣味やリラクゼーション
好きな活動や趣味に時間を割くことで、心を癒やすことができます。読書、音楽、絵画、ガーデニングなど、自分に合ったリラクゼーション方法を見つけてください。
■時間管理
日々のスケジュールを効果的に管理することで、過度のストレスを避けられます。時間をうまく使い、仕事と休息のバランスを取ることが大切です。
■社会的な交友
家族や友人との良好な関係を保ち、交友を深めることで、ストレスを軽減できます。話を聞いてもらうことは、感情を解放するのに役立ちます。
これらの方法を実践することで、ストレスを軽減し、髪の毛にとっても良い生活を送ることができます。
まとめ
この記事を通じて、ストレスと女性薄毛の関係について、最新の医学研究に基づいて詳細に説明しました。長い間、ストレスが体に悪影響を及ぼすことは知られていましたが、特に女性の髪の健康に対するその影響は重要です。この記事で紹介したストレス軽減のための生活習慣の改善は、髪の毛の健康を守り、将来的な薄毛のリスクを減らすための一歩となることを願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。
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