「ボトックス 抗体」についての記事まとめ
2023/11/30
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エラボトックスを打ち続けると。。。
エラボトックスを打ち続けるとどうなるのか心配なかたが多いようです。この記事ではエラボトックスを打ち続けた場合に起こり得る現象について医学論文や発表に基づいた科学的エビデンスを提示して、一般のかたにもわかりやすいように説明します。
エラボトックスを打ち続けると、咬筋が継続的に小さくなる
いずれの論文もエラボトックス注射には長期的に咬筋を小さくさせる効果があり、安全性も高いことを言及しています。また、皮膚の脂肪には影響しないことも証明しています。以下に実際の論文とその概要を記述しました。
“Botulinum toxin type A for the treatment of hypertrophy of the masseter muscle”
概要: 韓国のギャルムハンプラスチック美容クリニックにおいて、咬筋肥大患者の長期治療効果を後ろ向きに調査した研究です。2001年から2007年までの間にボトックス注射を受けた121人の患者を対象に、筋肉の厚さが測定され、治療回数と筋肉量の減少には正の相関が見られました。この研究は、ボトックス注射が咬筋肥大に対して長期的な効果を持つことを示唆しています。
“Does Botulinum Toxin Injection into Masseter Muscles Affect Subcutaneous Thickness?”
概要: ボトックス注射が咬筋の皮下厚にどのような影響を与えるかを調査した研究です。この研究では、ボトックス注射は咬筋の厚さにのみ影響を与え、皮膚表面から咬筋までの皮下厚には影響を与えないことが示されました。
“Efficacy of botulinum toxin in masseter muscle hypertrophy for lower face contouring”
概要: このレビュー研究では、ボトックス注射が下顔面の輪郭形成において咬筋肥大(MMH)に対してどの程度効果的かを調査しました。研究では2014年までの40件の記事から14件の研究が選ばれ、効果、注射点、副作用、効果の持続期間について分析されました。結果として、ボトックス注射は非侵襲的で安全かつ効果的な治療法であると結論付けられました。効果の最大化は通常、一回の注射後約3ヶ月で見られ、効果の持続期間は6〜12ヶ月であることが示されました。
エラボトックスを打ち続けると、骨も小さくなる
ボトックスを継続的に注射すると、下顎骨の骨吸収も起こり、骨の輪郭まで改善します。これは筆者がこれまで多数の患者にエラボトックス注射を行い、臨床的に確証を得ています。また、下記論文ではウサギの研究ですが、エラボトックス注射は骨の形状も変える作用があることを証明しています。
“Botulinum toxin in masticatory muscles: short- and long-term effects on muscle, bone, and craniofacial function in adult rabbits”
概要: この研究では、ウサギの咬筋にボトックスを注射し、筋肉、骨、顎顔面機能への短期および長期的な影響を調査しました。結果として、ボトックス注射により咬筋の筋力が大幅に減少し、一部の場所では骨の量と質が特に減少することが示されました。特に顎関節において、3ヶ月後にも筋肉の縮小が顕著であったことが報告されています
エラボトックスを打ち続けると、歯ぎしりが改善する
エラボトックスは歯ぎしりも改善します。歯ぎしり治療目的に定期的にエラボトックスを受けるかたは実際に多いです。以下にエラボトックスの歯ぎしり治療についての論文とその概要を記述しました。
“Efficacy of botulinum toxin in the treatment of bruxism: Systematic review”
概要: この文献は、ボトックスが歯ぎしり治療において効果的であることを示しており、特に重度のケースにおいて臨床的に有用であることを示唆しています。
エラボトックスを打ち続けると効かなくなる?
ボトックス(ボツリヌス毒素)を繰り返し使用することで抗体が形成され、その結果、治療の効果が弱くなる可能性については、長い間で議論されています。この現象は「ボトックス耐性」とも呼ばれています。 ただ、最も大々的に調査した論文(後述)ではその発生率は0.5%であるため、極めて稀な副作用として理解するべきだと考えます。ボトックス耐性の研究では、ボトックス注射によりボツリヌス毒素に対する抗体が生成され、抗体によりボツリヌス毒素の神経毒性作用を中和する可能性が起こり、治療の効果を減少させることがあるとされています。ボトックス耐性に関するエビデンスは限定的で、主に個々の症例報告や小規模な研究に基づいています。大規模で長期的な研究はまだ不足しており、この現象の頻度や影響の全体像を理解するにはさらなる研究が必要です。ボトックス耐性と抗体形成に関する研究について、以下の文献が参考になります。
“Neutralizing Antibody Formation with OnabotulinumtoxinA (BOTOX®) Treatment from Global Registration Studies across Multiple Indications: A Meta-Analysis”
概要:この論文では、様々な治療的および美容的適応症でのオナボツリヌムトキシンA(BOTOX®)治療における中和抗体(NAbs)形成の割合を評価しました。約30,000件の縦断的被験者記録を分析した結果、全体で5876人の評価可能な被験者のうち、27人(0.5%)が治療後にNAbsを発達させました。このメタ分析は、様々な適応症におけるボトックス治療後のNAbs形成率が低いこと、およびその限定的な臨床的影響を確認しました。
まとめ
ボトックスは1989年にアメリカ食品医薬品局(FDA)によって眼瞼けいれん(瞼の不随意収縮)および斜視(目の調整障害)の治療用の薬として初めて臨床の現場で使用されました。その後1990年代半ばより美容医療で使用され始め、2002年にはFDAがボトックスの美容目的での使用を正式に承認しました。この承認は、顔の表情じわ、特に眉間のしわ(額の横じわ)の治療に対して行われました。FDAの承認以降、ボトックスは美容医療分野で広く利用されるようになり、筆者もエラボトックスの治療を開始したのも2003年です。まだまだボトックスの歴史は浅く、ボトックスに関するエビデンスは限定的です。特に大規模で長期的な研究はまだ不足しており、ボトックスの耐性や長期的な副作用の全体像を理解するにはさらなる研究が必要と考えます。ただし、日本国内においてもボトックスは20年以上使用されていますが、大きな副作用・トラブルは発生しておらず、他の薬と比較しても正しい用法で経験豊富な医師が使用された場合は非常に安全性が高い薬と言えます。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。エラボトックスの元神メソッド開発者。
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