投稿日:2024/05/26
(最終更新日:2024/05/26)

【再発しない完璧なワキガ手術治療とは】傷跡が残らない方法も解説

わきが手術

国内の医療機関では、同じ治療法や同じ機器を使用していても、手法にわずかな違いがあるだけで、まるで独自の治療法であるかのように強調して宣伝することがよく見受けられます。この点については、以前のブログ記事でも取り上げましたが、このような状況は、真剣にわきが手術を検討されている方々にとって非常に混乱を招くものです。この記事では、数あるわきが手術の中で、再発のリスクが限りなくゼロに近い、真に完璧なワキガ手術の方法について詳しく解説します。また多くの人が気になる傷跡についても傷跡が残らない方法についても解説します。

小切開での治療で完治は不可能

わきが手術において、アポクリン汗腺を完全に除去しない限り、臭いを完全に取り除くことはできません。原理的に考えると、小切開で行うクワドラカット法、マイクロリムーブ法、超音波吸引法、ローラークランプ法などの方法では、アポクリン汗腺を完全に除去することは不可能です。これらの方法では、皮膚とその下の脂肪組織が完全に切り離されることはなく、少なくとも皮膚と皮下組織が繋がっている部位には、アポクリン汗腺が残ってしまうからです。また、小切開で行われるどの手術方法も主に皮膚側のアポクリン汗腺を除去することを目的としており、脂肪組織側に埋もれているアポクリン汗腺は除去できません。そのため、医師がどれだけ丁寧に時間をかけて小切開で手術を行っても、アポクリン汗腺を100%除去することは不可能です。多くの場合、除去できるのはせいぜい70%程度にとどまり、わきが症の改善も同程度にとどまります。この改善度合いは、全く切らないワキガ治療であるビューホットとほとんど差がありません。したがって、体に負担をかけないビューホット治療のほうが、より優れた治療法であると断言できます。ビューホット治療は回復期間が短く、日常生活への影響も少ないため、手術を選択したくない患者にとって理想的な選択肢となります。

中切開または大切開のワキガ手術でも再発する可能性はある

完全なアポクリン汗腺の除去が可能とされるのは、皮膚と脂肪組織を分離する中切開または大切開を伴うわきが手術です。中切開手術はイナバ式シェービング機器を使用したシェービング法(稲葉式皮下組織削除法)で行われ、大切開手術は直視下反転剪除法で行われます。しかし、どの手術方法が最も再発しにくいかについては、一概には言えません。理由は、どの方法でも不十分な手術が行われると再発する可能性があるためです。中切開や大切開の手術方法では、皮膚を切開した後にアポクリン汗腺を含む皮膚を皮下の脂肪組織から剥離し、切り離された皮膚(これを皮弁と言います)の裏側に付着しているアポクリン汗腺を取り除きます。シェービング法では、イナバ式シェービング機器を使って皮弁側のアポクリン汗腺を根こそぎ除去します。反転剪除法では、外科用のハサミを使ってアポクリン汗腺を直視下で除去します。この皮弁側のアポクリン汗腺をどれだけ正確に取り除くかが、手術の成功と再発リスクを左右するとされています。丁寧に手術を行えば、皮弁側のアポクリン汗腺をほぼ完璧に除去することは可能です。しかし、それでもアポクリン汗腺の除去率は90%程度と推測されます。このため、小切開手術やビューホット治療よりも改善が見込まれますが、それも皮弁側のアポクリン汗腺を完全に除去できた場合に限られます。いい加減な手術では除去率が60~70%程度まで低下し、再発リスクも高まります。さらに、皮弁側のアポクリン汗腺を完全に除去できたとしても、10%程度のアポクリン汗腺が残るため、ワキガ症が再発する可能性は依然として残ります。

アポクリン汗腺を100%除去するためには?

皮弁側のアポクリン汗腺を完璧に除去しても、除去率が90%にとどまり、ワキガが再発する可能性があります。では、残りの10%のアポクリン汗腺はどこに存在するのでしょうか?その答えは、皮下脂肪組織内です。アポクリン汗腺は皮弁側だけでなく、皮下脂肪組織の中にも存在します。この事実を知らない医師も多く、そのため、皮下脂肪内に残るアポクリン汗腺は多くの切開手術で取り残されています。脂肪組織内のアポクリン汗腺を果然に除去しない限り、ワキガ症は再発します。

再発しないワキガ手術治療とは

再発しないワキガ手術治療とは、皮下脂肪組織内に残っているアポクリン汗腺を完全に除去することです。具体的な方法として、皮膚の切開創から脂肪層内のアポクリン汗腺を直視下で確認し、取り残しがないように慎重に切除します。このプロセスを確実に行うためには、最低でも3cm程度の傷が必要です。一部の医療機関では、なるべく小さな傷で手術を行うことを重視していますが、3cm以下の傷では皮下脂肪内のアポクリン汗腺を完全に除去するのは難しく、再発のリスクが高まります。再発しないワキガ手術治療を実現するためには、医師がワキガの臭いを完全に取り除くことに強いこだわりを持ち、徹底的にアポクリン汗腺を除去することが不可欠です。つまり、再発しない完璧なワキガ手術治療は、特定の手術方法に依存するものではなく、手術を行う医師の技術と時間をかけての徹底したアポクリン汗腺の除去によって達成されるのです。どれだけ優れた手術方法でも、医師がアポクリン汗腺を完全に除去しない限り、再発の可能性は残ります。

中切開、大切開手術のワキガ手術のリスク

皮膚と皮下組織の繋がりが残っている小切開と比較して、イナバ式シェービング機器を利用したシェービング法や直視下反転剪除法では、皮膚と皮下組織が完全に分離されるため、手術後の出血のリスクが高まります。この術後の出血が手術後の傷跡や瘢痕を目立たせる主な要因となります。。ネット上には、わきが手術後の瘢痕の悲惨な画像も多く見受けられますが、これらはすべて術後の血腫(出血によって血液が皮膚の下に溜まること)が原因です。ワキガの小切開手術を選択する医師の中には、こうした瘢痕のリスクを避けるため、アポクリン汗腺の完全除去を目指さないことを推奨する人もいます。しかし、小切開手術では最大でもアポクリン汗腺の70%しか除去できず、改善度合いはビューホット治療とほとんど変わりません。特に、ワキガの症状が強い場合、残りの30%でも強烈な臭いを放つことがあります。このため、臭いが強い場合にはアポクリン汗腺の完全除去が必要となります。さて、話を元に戻すと、ワキガ手術ではアポクリン汗腺の完全除去と同様に、血腫の予防も重要です。血腫を予防するためには、止血操作が何よりも重要です。中切開や大切開手術では、血腫のリスクがありますが、直視下で丁寧に手術を行えば、そのリスクを極めて低く抑えることができます。

再発もせず、血種も起こらない完璧なワキガ手術治療とは

ワキガ手術において最も重要なのは、アポクリン汗腺の完全除去と徹底した止血です。この二つを達成することができれば、再発も血種も起こらない完璧な手術が可能となります。私が行う中切開のシェービング法では、イルミネーターという機器を使用して創部から皮下脂肪組織を照らし、残存するアポクリン汗腺を確認しながら除去します。さらに、同時に止血操作を行うことで、血種のリスクを最小限に抑えています。この方法を導入してから既に10年が経過し、手術件数は500例を超えましたが、これまでに血種や再発が一例も発生していません。イルミネーターを用いることで、視認性が高まり、アポクリン汗腺の取り残しがなくなるため、再発のリスクを大幅に低減できます。また、同時止血操作により、術後の出血を防ぎ、瘢痕のリスクも抑えることが可能です。このように、再発も血種も起こらない完璧なワキガ手術治療は、医師の高度かつ丁寧な技術によって実現されます。

私が反転剪除法を行わない理由:傷跡について

美容外科医専門医元神賢太医師

反転剪除法は、シェービング法と同様にアポクリン汗腺の完全除去が可能であり、私が行うような丁寧な手術を行えば、再発や血種のリスクもありません。しかし、この手法には脇の中央部分を大きく切開するという大きな欠点があります。通常、この部位の傷はシワに隠れて目立ちにくいものの、アポクリン汗腺の完全除去を行った場合、創周囲の皮下組織が完全に除去されるため、血流が悪くなり、傷が閉じずに周囲の皮膚が壊死するリスクが高まります。一方、私が行うシェービング法では、切開部分の片側の皮下組織は剥離されずに残っており、血流が保たれるため、傷周囲の皮膚が壊死することはありません。傷の治癒においても、シェービング法は優れています。このため、私は反転剪除法を採用せず、患者にとってより安全で効果的なシェービング法を選択しています。経過順調で年月が経過すれば、シェービング法の傷跡はほとんど残りません。

まとめ

再発しない完璧なワキガ手術治療は、特定の手術方法だけで達成できるものではありません。医師の精密で丁寧な手術と、徹底した止血操作が不可欠です。これにより、アポクリン汗腺を完全に除去しつつ、術後の瘢痕・傷跡や再発リスクを最小限に抑えることが可能です。患者にとって最良の結果を得るためには、経験豊富で信頼できる医師を選ぶことが極めて重要です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。腋臭多汗症治療はこれまで延べ1万人を超える。

【関連項目】

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わきが手術で後悔?ワキガ手術のデメリットと後悔しないために

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