投稿日:2024/05/25
(最終更新日:2024/06/06)

【最善のワキガ手術とは】全てのワキガ手術の分類と解説

わきが手術について悩む女性

現代の日本において、わきが手術には多くの種類が存在し、それぞれに異なる名前や方法が用いられています。しかし、同じ手術であってもクリニックや医師によって異なる名称が使われることがあり、これが治療を検討している方々を混乱させる要因となっています。このような多様な手術方法や名称の違いは、わきが治療を検討している患者にとって非常に紛らわしいものです。そこで、このブログ記事では、日本国内で提供されているわきが手術の各手法を整理し、その効果や特徴について詳細に解説します。

わきが治療・わきが手術の分類について

わきが治療は大きく分けて3つの方法に分類されます。①ボトックス注射による治療、②ビューホットやミラドライを使用した照射系治療、そして③わきが手術です。これらの治療法は、それぞれ異なるアプローチでわきがの症状を改善します。さらに、わきが手術は切開の大きさに基づいて分類することができます。具体的には、小切開(約1cmの傷)、中切開(約2~4cmの傷)、大切開(約5cmの傷)の3つに分かれます。この記事では、これら3つの切開方法に基づいたわきが手術の詳細とその特徴を解説します。

小切開手術:クワドラカット法、マイクロシェーバー法、フォーミュラーシェーバー法、ハイブリッドマイクロシェーバー法、マイクロリムーブ法、シェービング法(湘南美容クリニック)

これらはすべて吸引剪除法の一種です。しかし、実際には同じ治療法であるにもかかわらず、異なる名称が使用されています。クワドラカット法とフォーミュラーシェーバー法、マイクロシェーバー法、マイクロリムーブ法、シェービング法(湘南美容クリニック)は、いずれもストライカー社製の医療機器を使用しています。クワドラカット法とマイクロシェーバー法にはクワドラカットシェーバーシステムが使用され、その他の方法には主にフォーミュラシェーバーシステムが用いられますが、両者の機器はほぼ同一です。この治療法では、皮膚を数ミリ切開し、直径4mm程度のカニューレを挿入して汗腺を破壊しながら吸引します。切開範囲が小さいため、術後の回復が早く、ダウンタイムも短いのが特徴です。など、中切開で稲葉式器具(後述)を使用する手術方法が古くからシェービング法と呼ばれる手術方法であり、ここに登場する湘南美容クリニックが提供しているシェービング法とは異なります。このように、同じ治療法であっても、各美容外科が異なる名前を付けることがあります。これは独自性を装い、あたかもそのクリニック独自の方法であるかのように宣伝するためです。特に「当院独自」などと謳っているクリニックには特に注意が必要です。

クワドラカットで使用される機器

↑クワドラカットで使用される機器

■派生治療:ベイザーシェービング法(湘南美容クリニック)、ベイザーフォーミュラーシェーバー

これらの治療法では、フォーミュラーシェーバーを使用する前に脂肪吸引機であるベイザーを用いて出血量を抑えることを目的としています。ただし、ベイザーを使用しない場合と比べて効果に大きな差はないと考えられています。したがって、治療法の選択に際しては、各クリニックの宣伝文句に惑わされず、しっかりと情報を収集することが重要です。

小切開手術:超音波吸引法

超音波吸引法も、吸引剪除法の一種です。この手術は、、皮膚を数ミリ切開したのち先端に小さい鋏が付いている超音波吸引機「ソノペット」という機器を使用して行われます。この超音波付きの鋏では止血しながら組織を切ることができる長所があり、切除された汗腺は同時に吸引されます。この超音波吸引法の主な利点は、傷跡が非常に小さく、出血が少ないため術後の回復期間(ダウンタイム)が短いことです。

■派生治療法:超音波ハイブリッド法、プレミアム超音波サーマル法

これらの方法は超音波吸引法に加えて、切開部位周囲の汗腺を直視下で剪除する手術です。

小切開手術:吸引法、ローラークランプ法

吸引法とローラークランプ法も、吸引剪除法の一種です。、吸引法では、鋭利な吸引管を使用して汗腺を破砕しながら吸引します。ローラークランプ法は、この吸引法にさらに改良を加えたもので、吸引管に皮膚側にローラーが付いている点が特徴です。このローラーによって、医師が操作しやすくなり、より正確に汗腺を取り除くことができますが、基本的な手術のメカニズムや効果は吸引法と大差ありません。

■派生治療法:超音波ローラークランプ法

超音波ローラークランプ法は、ローラークランプ法にさらに改良を加えたものです。この方法では、手術前に超音波を皮膚の表面に照射して脂肪を溶解し、その後に吸引を行います。超音波の使用によって脂肪や汗腺が柔らかくなり、吸引がより効率的に行えるため、手術の効果が高まるとされています。

小切開手術:サーミドライ

サーミドライは、高周波(電気メス)を用いて汗腺を破壊する方法です。この治療法では、直径1mm程度の非常に細いカニューレを皮膚の下に挿入し、ターゲットとなる汗腺を高周波で破壊します。サーミドライの最大の特徴は、非常に小さな傷跡しか残らない点です。しかしながら、サーミドライは他の切開治療法と比較すると、その効果がやや劣ります。具体的には、効果の持続性が短いことや、再発のリスクが高いことが報告されています。

小切開手術:マイクロレーザー法

マイクロレーザー法は、メスを使用せずにレーザーを照射して行うわきが治療法です。この方法では、サーミドライと同様に、皮膚を数ミリ程度切開します。その後、レーザーの先端部分を毛根に差し込み、ターゲットとなる汗腺にレーザーを照射して破壊します。これにより、アポクリン汗腺が縮小し、わきが症が改善します。マイクロレーザー法の最大の利点は、傷跡が非常に小さいことですが、サーミドライと同様に他の切開治療法と比較すると、その効果がやや劣り、再発のリスクが高いことが報告されています。

中切開手術:シェービング法、稲葉式皮下組織削除法

シェービング法と稲葉式皮下組織削除法は、基本的に同じ治療法であり、いずれも稲葉式シェービング機器を使用して行われます。この器具は、故稲葉益巳医師が考案したもので、皮膚の下にあるアポクリン汗腺を鉋(かんな)の要領で削り取る方法です。

■手術の特徴

この手術法の最大の特徴は、直視下反転剪除法のように大きく切開する必要がないため、傷跡が比較的目立ちにくい点です。切開部は脇の端から行われ、傷周囲の血流が豊富なため、傷がきれいに治りやすく、瘢痕ができにくいというメリットがあります。そのため、直視下反転剪除法と同じ効果を持ちながらも、より美容的に優れた結果が期待できます。

■技術と経験の必要性

ただひ、稲葉式シェービング機器を効果的に使用するためには、高度な技術と経験が求められます。このため、現在ではこの手術を行う医療機関は減少しています。手術者が未熟な場合、皮膚を過度に削ってしまい、皮膚の欠損や壊死を招くリスクがあります。そのため、この手術法を安全かつ効果的に行える医師は限られています。

■メリットとデメリット

一方で、技術のある医師がこの手術を行うと、直視下反転剪除法よりも短時間で広範囲のアポクリン汗腺を効率的に完全除去できます。これにより、直視下反転剪除法に比べて傷跡が目立ちにくく、瘢痕もほとんど残らないため、大きなメリットがあります。ただし、技術と経験が重要であり、信頼できる医療機関と医師を選ぶことが重要です。

 

シェービング法の器具

↑イナバ式シェービング機器

大切開手術:直視下反転剪除法、反転剪除法、皮弁法(剪除法)、マイクロ完全摘出法(湘南美容クリニック)、完全摘出法(湘南美容クリニック)

直視下反転剪除法、反転剪除法、皮弁法(剪除法)、マイクロ完全摘出法、完全摘出法は、わきが治療において最も一般的かつ広く行われている手術法です。これらの方法では、通常、脇の中央部を約5cm程度切開し、目視でアポクリン汗腺を取り除きます。切開範囲が広いため、再発のリスクが非常に低く、永久的な効果が期待できます。

■手術の詳細

皮弁法(剪除法)および直視下反転剪除法は、特に確実性が高い治療法として知られています。大きく切開して目視で汗腺を取り除くため、再発の可能性がほとんどなく、効果は長期間持続します。しかし、傷周囲の皮膚組織を完全に除去することで、創の血流が悪くなり、結果として傷周囲の皮膚が壊死したり、目立つ瘢痕が残るリスクもあります。このジレンマは、再発を防ぐために治療の効果を最大限に高めることと、傷跡を目立たなくすることのバランスを取る必要がある点にあります。

■保険適用と治療の現状

これらの手術は、比較的簡単な手術であり、多くの医療機関でわきが治療の根治的治療として用いられています。さらに、保険適用が可能なため、経済的な負担を軽減しつつ治療を受けることができます。ただし、保険適用下での反転剪除法は、「100%再発しない」ことを目的としていないため、手術後もわきが症が完全に解消されない場合があります。これは、治療前の状態よりも症状が改善されることを主な目的としているためです(過去ブログ記事参照)。

■シェービング法との比較

筆者は、反転剪除法や皮弁法よりも、シェービング法(稲葉式皮下組織削除法)を推奨しています。シェービング法は、より短時間で広範囲の汗腺を効率的に除去することができ、傷跡も目立ちにくいため、総合的に優れているとされています。

まとめ

小切開手術では、アポクリン汗腺を完全に除去することが難しく、わきがの改善度はおおよそ70%程度に留まるとされています。これは、切開を伴わないビューホット治療とほぼ同じ効果です。したがって、わざわざ皮膚を切開してまで行う意味が薄れてしまいます。手術の本来の目的は、100%アポクリン汗腺を除去し、再発のリスクをなくすことです。

この観点から、おすすめできるわきが手術は、シェービング法(稲葉式皮下組織削除法)および直視下反転剪除法に限られます。特に、シェービング法は直視下反転剪除法に比べて短時間で広範囲の汗腺を効率的に除去できる上、傷跡も目立ちにくいという優れた特性を持っています。したがって、総合的に見てもシェービング法(稲葉式皮下組織削除法)が最も優れた選択肢となります。

このブログ記事では、異なる名称が付けられている同一治療法について整理し、わきが手術を真剣に検討している患者に対する混乱を軽減することを目指しました。各治療法の特性を理解することで、最適なわきが手術を選択するための参考になれば幸いです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。腋臭多汗症治療はこれまで延べ1万人を超える。

【関連項目】

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