元神院長執筆 専門医と学ぶ美容医療ブログ

タトゥーのセルフ除去の実態:レーザー個人輸入

更新日:2025/11/17

公開日:2025/11/17

タトゥーを消したいと思っても、美容クリニックでの除去費用の高さに尻込みしてしまう方は少なくありません。実際、ある男性はクリニックで満足いくレベルまで刺青を除去しようとしたところ「トータルで100万円ほどかかる」と言われ、この高額な費用に嘆いて自分での除去を決意しています。

「安く」「自宅で」「自分で」タトゥーを消す方法をネットで検索する若い世代も多く、クリニックの費用負担がセルフ除去へと人々を向かわせる大きな要因になっています。

もちろん、日本の公的医療保険は病気やケガの治療以外には適用されないため、タトゥー除去は保険適用外です。自由診療となる以上、クリニックごとに費用設定は異なりますが、タトゥーの大きさや色、必要な回数によっては数十万円から場合によっては100万円以上かかるケースも珍しくありません。

こうした経済的ハードルから、「それなら自分でやってみよう」と考える人が出てくるのも無理はないでしょう。

個人輸入レーザーでタトゥー除去:ある男性の体験

実際に海外から個人輸入したレーザーを使い、自らタトゥーのセルフ除去に挑戦した男性の体験談が報じられています。その男性(56歳・スタイリスト)は2025年11月、海外サイトからシミ取り用としても販売されている「ピコレーザー」機器を取り寄せ、独学で試行錯誤しながら月に1回程度のペースで照射を行いました。

レーザー照射後の肌を保護するため、本来は医師の処方が必要な軟膏も個人輸入して使用しています。局所麻酔クリーム(エムラクリームのジェネリック)や抗菌剤配合の外用薬を海外から取り寄せて万全の準備をする綿密さでした。

この男性はレーザーの波長を変えるアタッチメントを駆使し、自分のタトゥーに合う波長を見極めるため色紙を使った実験まで行っています。試行錯誤の末、約半年間で合計6回のレーザー照射を実施しましたが、その結果タトゥーは目に見えて薄くなり、現時点で痛みやひきつれなどの副作用も特に出ておらず「効果はまずまず」と本人も満足げです。

この男性の場合、タトゥーの色が幸いにも黒一色だったためレーザーの効果が得られやすく、セルフ除去でもここまで薄くできたと考えられます。一般に黒インクはレーザーが最も反応しやすく除去しやすい色であり、逆に黄色やオレンジ、ピンクなどの明るい色はレーザー光を吸収しにくく除去に多くの回数が必要になるため難易度が高いとされています。

そのため、カラフルなタトゥーではセルフの弱いレーザーではなかなか薄くならず、同じような結果を得るのは難しい可能性が高いでしょう。

参照元:friday.kodansha.co.jp

セルフ除去レーザーの性能と必要回数の限界

当院の高性能のレーザー機(レブライトSI)

この男性が自らが書いているブログ記事も拝見しましたが、個人輸入した安価なレーザー機器では照射パワーが医療用に比べて極めて弱いと考えられます。そのため、一度の照射で破壊できるインクの量が少なく、タトゥーを薄くするのにクリニックの治療よりも倍近い回数を要する可能性があります。

さらに、レーザーの照射スピード(Hz)にも大きな差があります。医療機関の高性能レーザーは1秒間に複数発の照射(高Hz)を行えるため、短時間で広範囲を処理できます。

対して個人用の簡易レーザーは連続照射の間隔が長く(一発一発のチャージに時間がかかる)、クリニックのレーザーよりも施術に何倍も時間がかかるのが実情です。例えばクリニックで10分で終わる範囲の照射に、家庭用ではその数倍〜10倍以上の時間を要することも考えられます。

照射に時間がかかるうえ回数も増えるとなれば、セルフ除去には非常な手間と根気が必要です。

またパワーの差は、施術後の皮膚反応の違いにも現れます。クリニックで医療用レーザーを照射すると、照射直後から水ぶくれや火傷のような強い炎症反応が生じることが珍しくありません。

これは強力なレーザーがインク粒子を破壊すると同時に皮膚にダメージを与えている証拠ですが、適切な処置を施すことで最終的には治癒し、インク除去効果もしっかり得られます。

一方、セルフのケースでは「自分の施術では一切そんな風にはならない」と男性自身が述べている通り、肌へのダメージがほとんど出ない代わりに効果もマイルドです。言い換えれば、ダウンタイム(回復に要する期間)こそ少なく見えますが、それは毎回のレーザー強度を弱く抑えているためであり、そのぶん除去に長い期間と回数を要することを意味します。

専門のクリニックではあえて許容範囲のダメージを与えつつ、短期集中で治療するのに対し、セルフではダメージを極力避ける代わりに長期戦になると考えてください。

↑【当院の治療例①】

参照元:ameblo.jp

安価な家庭用レーザー機器のリスクとトラブル

インターネット上では海外製のタトゥー除去用の簡易レーザーが比較的安価に流通しています。しかし、こうした個人向け格安レーザー機器にはリスクが多いことも知っておかねばなりません。

まず品質面では、出力表示や性能にばらつきが大きく、購入した機械が最初からまともに動作しないといったトラブルもしばしば報告されています。また耐久性も低く、すぐ故障してしまうリスクも高いでしょう。

実際、先述の男性も機器を購入する際に海外通販サイトで追加で450ドル支払えば確実に届けるなどと要求されるトラブルに遭い(結局別サイトで購入)、苦労して手に入れた機械についても国内の電圧に合わず専用の変圧器を購入する羽目になりました。このように、機器選びや電源・設定の調整などに関する専門知識が求められるケースもあり、誰もが簡単に扱えるものではありません。

安価な海外製レーザー機器の場合、取扱説明書が外国語で書かれていたり、サポートがまず受けられないと覚悟する必要があります。万一機械トラブルが起きても自己責任で対処しなければならず、修理は不可能であろうし、買い替えとなれば余計な出費が発生します。

初期費用が安いとはいえ、必要に応じて別売り部品の調達(先の変圧器のように)や、効果を高めるための麻酔クリーム・保護薬の購入など、実際にセルフで施術を行うには細々としたコストが積み重なります。照射にかかる時間労力のコストも見逃せません。

こうした諸々を合計すると、セルフ除去が必ずしも安上がりとは言い切れないのではないでしょうか。安価な機器で得られる結果は限られており、途中で断念して結局クリニックに頼ることになれば二重の出費にもなりかねません。

▶️ 刺青(タトゥー)除去のポイントについてはこちら

自己流タトゥー除去の危険性:専門医は「自傷行為」と指摘

医療従事者の立場から見ると、レーザー機器を用いたセルフのタトゥー除去は「治療ではなく自傷行為」だと言わざるを得ません。たとえ本人が慎重に行っているつもりでも、適切な医療管理下でない施術には常に危険が伴います。レーザーによる刺青除去には以下のような深刻な副作用リスクがあります。

熱傷(やけど)・水ぶくれ

強いレーザー照射により皮膚組織が損傷し、水ぶくれや炎症を起こすことがあります。場合によっては皮膚の深い層まで熱傷を負い、治癒に時間がかかることもあります。

感染症

照射後の皮膚はバリア機能が低下しており、不適切な自己処置をすると傷口から細菌感染を起こす危険があります。感染が起これば膿んだり発熱したりし、治療が必要となります。

瘢痕化(ケロイド)

レーザー照射によるダメージが深い場合、治癒過程で皮膚が瘢痕(いわゆるケロイド状の盛り上がった傷跡)を形成することがあります。一度ケロイドになってしまうと完全に元の肌に戻すことは難しく、将来的にも跡が残ってしまいます。

色素沈着・色素脱失

レーザー後の皮膚は炎症により色素沈着(黒ずみ)を起こしやすく、逆にメラニンが破壊されて色抜け(白斑)する場合もあります。これらの色素トラブルは一時的なこともありますが、永続的に肌色が変化したままになる可能性も否定できません。

これらのリスクは、医師の管理下で適切に対処すれば最小限に抑えられます。しかし自己流では異変に気付くのが遅れたり、十分な処置ができなかったりする恐れがあります。

さらに注意すべきは、万一セルフ除去でトラブルが生じて病院を受診した場合でも、健康保険が使えない可能性があることです。先述の通りタトゥー除去自体が保険適用外であるため、そのセルフ除去治療も公的保険の範疇外となり、治療費は全額自己負担となるケースも考えられます。

例えば深刻な熱傷や感染症で入院・手術が必要になった場合、非常に高額な医療費を請求されることにもなりかねません。

それでも専門クリニックが勧められる理由

↑【当院の治療例②】

セルフ除去にはこのような様々なリスク・デメリットがあります。一方、専門のクリニックで受けるタトゥー除去治療は費用こそかかるものの、安全管理と確実な結果を得るために必要な適正価格といえます。

クリニックでは医師が患者一人ひとりの肌状態やタトゥーの種類・色に合わせて最適な治療プランを立て、適切なレーザー機器の選択や出力設定を行います。例えば最新のレーザーであれば、黒以外の色にも対応でき、旧来のレーザーより少ない回数・短期間で刺青を除去することが可能です。

色素の種類や深さによってはレーザー以外の方法(手術的切除や削皮(ピーリング)など)を組み合わせた方が確実な場合もあり、その判断も含めて経験豊富な専門医に任せるのが安心です。

またクリニックでは痛みへの対策もしっかりしています。表面麻酔クリームや場合によっては局所麻酔注射を用い、患者さんの苦痛を最小限に抑えながら施術を行います。

術後のアフターケアにおいても、患部の消毒・軟膏塗布・保護テープの貼付などを徹底し、定期的に経過観察を行って異常があれば早期に対応します。筆者(医師)自身、これまで数多くの刺青除去症例を手掛けてきましたが、豊富な経験と専門知識に基づき徹底した管理を行うことで、重篤なトラブルなく患者さんに満足いただける結果を提供できています。

さらに、医療用レーザー機器は高性能ゆえに非常に高価(数百万円から数千万円単位)ですし、医師やスタッフの技術向上にも継続的な投資が必要です。クリニックの料金には、そうした適切な設備・技術への対価も含まれています。

医療機関でのタトゥー除去は決して高すぎるわけではなく、安全と効果を保証するための適正なコストだということをご理解いただきたいと思います。

↑【当院の治療例③】

▶️ 刺青(タトゥー)のレーザー除去についてはこちら

まとめ

タトゥーを消したいと願う方は、どうか安易に危険なセルフ除去に走らないでください。確かに専門クリニックでの治療費は決して安くはありません。しかし、自己流で大切な肌に取り返しのつかない傷を負ってしまってからでは遅いのです。

 

幸い現在ではレーザーによる刺青除去の技術は飛躍的に進歩しており、適切な治療を受ければ従来より少ない回数で綺麗にタトゥーを消せるケースも増えています。まずは専門の医師に相談し、あなたに合った安全な除去法を提案してもらってください。

 

当院(船橋中央クリニック・青山セレスクリニック)でもタトゥー除去治療を専門的に行っております。カウンセリングではタトゥーの大きさ・色・入れ方、お肌の状態などを詳しく拝見し、レーザー治療の回数や期間、費用の目安などをご説明いたします。

 

納得いただいたうえで、経験豊富な医師が責任を持って施術とアフターケアを行います。「自分で消そう」と試みる前に、ぜひ一度プロの意見を聞いてみてください。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。
日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。
また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている
ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。
外科専門医を取得しており、外科の切開切除手術を得意としている。

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