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女性化乳房と陥没乳頭の男性患者の治療経過
更新日:2025/11/10
公開日:2025/11/13

こんにちは。青山セレスクリニック・船橋中央クリニック院長の元神賢太です。私は美容外科医として20年以上の経験があり、特に男性の女性化乳房(いわゆる「男性の乳房肥大」)の治療を得意としております。
今回は「女性化乳房と陥没乳頭」を併せ持つ男性患者さんを脂肪吸引手術で治療した症例について、その経過を写真とともにご紹介したいと思います。
陥没乳頭とは何か(男性の陥没乳頭も含めて)

陥没乳頭(inverted nipple)とは、乳頭(乳首)の先端が正常のように外向きに突出せず、内側に陥没している状態です。乳頭が周囲の乳輪より平坦か凹んでいる状態ともいえます。程度は様々ですが、全人口の約10〜20%程度に陥没乳頭がみられるともされ、決して珍しい症状ではありません。
特に女性では10〜20%が生まれつき片側または両側の陥没乳頭を持つとの報告があります。男性でも陥没乳頭が見られることがあり、男女両方で生じうる「正常のバリエーション」の一つです。陥没乳頭は先天性(生まれつき)の場合と、後天的に起こる場合があります。
先天性の場合、乳管(母乳の通り道)の発達不良や繊維組織の強い癒着によって乳頭が引っ張られていることが原因です。後天的な場合、乳管の炎症や乳腺の感染(乳腺炎)、外傷、あるいは良性の腫瘤・手術後の瘢痕などによって乳頭を内側に引き込む力が働いて起こります。また急激な体重減少など乳房の脂肪組織が減った場合にも、皮下組織のボリューム変化で乳頭が相対的に引き込まれ陥没が生じることがあります。
重要な点として、ごく稀に乳癌など悪性疾患が原因で乳頭陥没が起こる場合もあります。特にそれまで突出していた乳頭が急に陥没した場合には注意が必要で、医師によるチェックが推奨されます(今回の症例は生来の陥没であり、悪性所見はありませんでした)。陥没乳頭そのものは健康上ただちに有害というわけではありません。
しかし見た目の問題で心理的コンプレックスになることが多いほか、女性の場合は授乳が難しくなることがあるため、希望があれば手術で矯正することが可能です。一般的な陥没乳頭の手術では、乳輪周囲から小切開を入れて乳頭を内側に引っ張っている繊維性の帯(短い乳管や靭帯組織)を切開・解放し、乳頭を突出させた状態で縫合固定します。傷跡はごく小さく目立ちませんし、局所麻酔の日帰り手術で対応できます。
ただし、乳頭を引っ張っている乳管を切断する場合、将来的に授乳ができなくなる可能性があります(女性の場合)。男性の場合は授乳の問題はありませんので、見た目の改善が主な目的になります。
参照元: ncbi.nlm.nih.gov
男性の女性化乳房と陥没乳頭の関係

さて、本題である「男性における女性化乳房と陥没乳頭の合併」についてです。真性女性化乳房では通常、乳腺や脂肪が増えることで乳頭・乳輪も押し出されるため、むしろ乳頭が前方に突出(いわゆる「でべそ乳首」「ポコ乳首」)することが一般的です。実際、多くの真性女性化乳房の患者さんは乳輪が女乳のように膨らみ、乳頭が突き出す形状( Puffy Nipple と呼ばれる状態)に悩みます。
一方で、一部の男性では女性化乳房と陥没乳頭の両方が見られるケースも存在します。しかしながら、女性化乳房と陥没乳頭の正確な合併頻度についての詳細な疫学データは見当たりませんでした。おそらく頻度としては高くなく、特殊なケースと言えるでしょう。
今回ご紹介する患者さんも、乳腺と脂肪が発達した混合型の女性化乳房であるにも関わらず、乳頭が内向きに凹んでいる状態でした(先天的な陥没乳頭と思われます)。
症例紹介:脂肪吸引術による治療と経過
それでは、当院で治療を行った女性化乳房&陥没乳頭を有する男性患者さんの経過をご紹介します。患者さんは20代後半の男性で、両側の胸が女性のようにふくらみ乳腺のしこりも触知できる混合型の女性化乳房でした。また、両側の乳頭が奥に引っ込んだ陥没乳頭でした。
この患者さんには、脂肪吸引+乳腺組織吸引除去術による治療をご提案しました。腋部分のしわに沿ってごく小さい切開を入れ、そこから特殊な細いカニューレで胸部全体の余分な脂肪を吸引すると同時に、乳腺の固い組織も可能な限り吸引・除去します。いわゆる乳腺摘出のための大きな切開(メスで乳腺を直視下に切除する方法)をせず、カニューレ吸引だけで乳腺を砕いて取り出す術式です。
この方法により傷跡は腋の1cm弱の小さなもので済み、術後の見た目の負担を最小限にできます。手術自体は局所麻酔と静脈麻酔下で日帰りで行い、摘出した脂肪と乳腺混合物は両胸で約○○ccに及びました(※摘出物の写真も後述)。術後は圧迫バンドを着用し、経過観察を行いました。
以下、時系列で術前から術後1年に至るまでの患者さんの胸部の変化を、同じアングルの写真で比較してみていきましょう。
女性化乳房&陥没乳頭の術前

治療前の写真では、男性であるにもかかわらず両胸が女性のように丸く膨らんでいるのがわかります(右斜め前方からの画像および真横からの画像)。乳輪も肥大し、胸にしっかりとした厚みがあります。乳頭は両側とも内側に陥没しており、正面から見たとき乳首が見えない状態でした。
患者さんはこの女性のような胸の膨らみと陥没した乳首に長年悩んでおり、「Tシャツ一枚では外出できない」「温泉やプールにも行けない」といった生活上の支障も訴えていました。
女性化乳房の手術直後・摘出物

手術中に吸引・摘出した脂肪と乳腺組織の混合物の写真です。両胸あわせて800c程度の黄色い脂肪と、白色~淡赤色の乳腺組織の塊がカニューレで吸い出されました。写真からも、かなり量の組織が除去されたことがお分かりいただけると思います。
800㏄(片側400cc)は女性のバストに例えるとD~Eカップの程度の大きさになります。切開創は左右のわきに長さ1cm弱のごく小さなもので、そこから左右両側の操作を行いました。
女性化乳房&陥没乳頭の術後7日目

手術から1週間後の状態です(右斜め前方と真横からの写真、および乳輪下の創部写真)。この時期、胸全体にはまだ強い内出血の痕(青あざ・紫斑)が見られます。写真でも胸の皮膚が黄色や紫色にむら状に変色しているのが確認できます。
これは手術による出血が皮下で吸収される過程で生じるもので、時間とともに消えていきます。また腫れもまだ残っており、触ると硬さが感じられました。しかし、術前と比較すると胸の膨らみ自体は明らかに縮小しています。
乳頭については、この時点ではまだ陥没した状態が残存していました。ただしこれは予想されたことで、術後すぐには乳頭周囲の硬縮や腫れで陥没が改善していなくても、時間とともに変化が出る可能性があります。創部(下記の写真)は抜糸を行っています。
赤みがありますが、順調です。

女性化乳房&陥没乳頭の術後1か月目

手術後ちょうど1ヶ月の写真です(右斜め前方・真横)。内出血の痕は完全に消失し、皮膚の色は正常に戻りました。腫れもかなり引いて、胸の形はこの時点でほぼ完成形に近づいています。
平坦で引き締まった男性らしい胸板が形成されているのがお分かりいただけるでしょう。乳輪周囲の皮膚も徐々に柔らかさを取り戻し、触診上の硬さ(術後硬結)も軽減してきました。最大の変化は乳頭の形態です。
術前および術後7日目までは陥没していた乳頭が、1ヶ月経過時には明らかに突出するようになりました!これは手術による乳腺・脂肪の除去で乳頭下の組織が減り、内部の癒着が緩まったためと考えられます。術後圧迫による固定と組織癒着の再構築が起こる中で、乳頭が自然と外向きに矯正された形です。
傷口は1ヶ月経過時点でほとんど目立たないレベルになりました。下記の写真でも傷跡がわからないほどで、患者さんご本人も「言われなければ傷は分からない」と安心されていました。

女性化乳房&陥没乳頭の術後3か月目

手術後3ヶ月が経過した頃の写真です(右斜め前方・真横から)。この頃になると術後の腫れ・硬さはほぼ解消し、柔らかい自然な胸板になりました。患者さんは実は術後にご自身でも食事管理や運動によるダイエットを継続され、全体的に体重が落ちたこともあって、胸の状態はさらに引き締まっています。
写真で見ると術後1ヶ月時よりも胸筋の輪郭が明瞭になり、余分な皮下脂肪がより少なくなったのがわかります。乳頭の突出は術後1ヶ月時と同様に良好に保たれており、陥没は再発していません。左右差もなく、両側とも男性の正常な乳首のように突出した形状です。
胸全体のシルエットはフラットで、まさに「普通の男性の胸板」に生まれ変わりました。患者さんも「胸を張ってシャツを着られる」と喜ばれ、自信を取り戻した様子でした。
女性化乳房&陥没乳頭の術後6か月目

術後半年が経過した写真です(右斜め前方・真横)。3ヶ月時と比べて若干全身的に皮下脂肪が増えた(お腹周りが少しふっくらした)ようですが、胸に関しては大きなサイズ変化はありません。術前と比べれば雲泥の差で平坦な状態をキープできています。
これは、一度脂肪吸引で脂肪細胞を極力除去した部位には脂肪が付きにくいことを示しています。実際、脂肪吸引後はその部位の脂肪細胞数が減少するため、太っても脂肪が元の場所に再蓄積しにくいことが研究でも確認されています。今回の患者さんの経過でも、半年の間に多少体重増減があっても胸だけはスリムな状態を維持できています。
また陥没乳頭の改善効果も持続しており、乳頭はしっかりと突出しています。術後6ヶ月にもなると手術による内部組織の癒着・安定が完成し、もう元に戻るリスクはありません。
参照元: plasticsurgery.org
女性化乳房&陥没乳頭の術後1年目

手術から1年後の最終チェック時の写真です(右斜め前方・真横)。6ヶ月時と比較しても胸の形態に大きな変化はなく、良好な結果が維持されています。胸部に触れてもしこりの再発や脂肪の戻りは認められません。
陥没していた乳頭も完全に正常な突出を保っています。患者さんは「手術を受けて本当に良かった。もう人前で裸になることも怖くない」と満足されており、その笑顔が非常に印象的でした。
傷跡もまったくと言っていいほど目立ちません。

以上が、術前から術後1年にかけての治療経過になります。写真を追ってみると、術後1ヶ月あたりから劇的に乳頭の形態が改善し、以後ずっと正常な状態を保っていることがわかります。この患者さんの場合、陥没乳頭に対して特別な手術(乳頭の牽引や固定術)は一切行っていません。
あくまで女性化乳房の治療(脂肪と乳腺の吸引除去)を行っただけですが、その副次的効果として陥没乳頭が矯正されました。これは、乳輪直下の脂肪・乳腺組織を極限まで吸引し除去したことで、乳頭を引っ張っていた組織の癒着がかなり解放されたためと考えられます。その結果、乳頭を内側に引き込む力が弱まり、自然と乳頭が突出した状態で安定したものと思われます。
まとめ
今回の症例は、女性化乳房の手術によって男性の陥没乳頭の矯正にも成功した世界的にも珍しいケースだと考えられます。私自身、男性の陥没乳頭に対して脂肪吸引のみでここまで改善が得られた報告は他に目にしたことがありません。
通常、陥没乳頭の矯正は前述したように乳管の切開や繊維組織の離断が必要で、男性であっても乳頭専用の手術を追加するのが一般的です。
しかしこの患者さんでは、そのような直接的処置をしなくても満足いく結果が得られました。このケースから学べるポイントを以下にまとめます。
- 脂肪吸引+乳腺組織除去による女性化乳房手術は、胸を平坦にするだけでなく陥没乳頭の改善効果も期待できる場合がある。
- 胸部の余分な組織を除去することで、乳頭を引っ張っていた要因が取り除かれ、乳頭が自然に突出位に矯正される可能性があります。今回の患者さんでは術後1ヶ月で明らかな乳頭突出が得られ、その効果は少なくとも1年後まで持続しています。一度脂肪吸引で平坦化した胸板はリバウンドしにくい。
- 脂肪吸引は脂肪細胞自体の数を減少させるため、術後に多少体重が増減しても、治療前のように胸に脂肪が付きにくくなります。術後半年〜1年で効果が維持されていることからも、適切に脂肪と乳腺を除去できれば長期的な安定した結果が得られるといえます。傷跡を最小限に抑えることで、患者さんの満足度・社会生活の質が向上する。
当院では腋部分の小切開一箇所から手術を行いましたが、術後1ヶ月以降では傷跡はほとんど他人に気づかれません。上半身を露出する場面でも手術痕が分からないレベルであり、患者さんは自信を持って日常生活を送れるようになりました。今回の症例報告は、男性の陥没乳頭に対する新たなアプローチの可能性を示唆する貴重な経験となりました。
もちろん全てのケースで脂肪吸引のみで陥没乳頭が治るとは限りませんが、女性化乳房と陥没乳頭を併せ持つ患者さんにとって本術式は一挙両得の理想的な治療になり得ます。
海外の美容外科領域を含めてもこの症例は非常に珍しい報告と思われますので、今後この分野でのさらなる研究や報告が増えることを期待したいと思います。もし同じように「男性なのに胸が膨らんでいる」「乳首が陥没している」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ私にご相談ください。
豊富な治療経験をもとに、最適なアドバイスと治療をご提供いたします。一人で悩まず、まずはお気軽にカウンセリングにお越しください。あなたの胸のお悩み解決のお手伝いができれば幸いです。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療、女性化乳房修正手術を得意としている。
日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。
また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている。
ウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。- 脂肪吸引+乳腺組織除去による女性化乳房手術は、胸を平坦にするだけでなく陥没乳頭の改善効果も期待できる場合がある。
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