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東京中央美容外科TCBで浮上した違法行為報道の詳細
更新日:2025/03/24
公開日:2025/03/24

2025年3月22日配信の『週刊文春 電子版』にて、東京中央美容外科(TCB)を巡る新たな違法行為の疑いが報じられました。本ブログではこれまでも、TCBに対する9億円の追徴課税問題や、ふくらはぎへのボトックス注射による歩行障害の実例などを取り上げてきましたが、今回の報道はそれ以上に深刻かつ重大な内容です。
なんと、医師法違反の疑いでスタッフが警察に書類送検される事態にまで発展しているのです。本記事では、週刊文春の報道内容をもとに、医師としての立場、そして美容外科業界で20年以上の経験を持つ筆者の視点から、この問題の本質と背景について詳しく解説していきます。
美容外科大手TCBに警察の捜査が本格化──“ニセ看護師”が語る怒りと苦悩、「なぜ私たちだけが罪に問われるのか」
2025年3月22日、週刊文春電子版にて「美容外科大手TCBについに捜査が!『なぜ私たちだけがこんな目に』“ニセ看護師”が怒りの告発」と題された記事が掲載され、美容医療業界に大きな波紋を呼んでいます。記事では、東京中央美容外科(TCB)の現役スタッフが、無資格であるにもかかわらず医療行為を行っていたとして警察から書類送検されたという重大な事実が報じられました。
(以下週刊文春記事の要約)
告発を行ったのは、看護師資格を持たない「美容アシスタント」として勤務していたスタッフで、「私は警察に“犯罪者”扱いされました。毎日不安が募り、追い詰められています」と、苦悩の胸中を語っています。TCBは全国に約100院を構える業界最大手の一角ですが、2024年9月には看護師100人以上が突然雇い止めにされ、その後も違法な減給制度や、患者に対して100万円を超える契約を迫る“閉じ込め商法”の実態が次々に明るみに出ていました。
経営体制も混乱が続き、2023年10月には創業者の青木剛志氏が退任し、新たに寺西宏王氏が理事長に就任。しかし2025年2月には、国税当局から9億円におよぶ追徴課税を受けていたことが報じられ、経営改善の兆しは見えていません。
今回の捜査で特に問題視されたのは、笑気麻酔や塗布麻酔といった行為を看護師資格のないアシスタントが日常的に行っていた点です。こうした医療行為は、医師法および保健師助産師看護師法に明確に違反しており、厚生労働省も「麻酔の施行や看護師を名乗ることは、無資格者による法令違反に該当する」と明言しています。
週刊文春はすでに2024年9月にも、同様の無資格医療行為について報じていましたが、今回は警察の本格的な介入にまで発展しており、状況は一段と深刻です。別のアシスタントによれば、麻酔の使用は入社時から当然のように教えられ、配布されたマニュアルには笑気麻酔の濃度調整法や使用手順が細かく記載されていたとのこと。「違法との認識は一切なかった」と語るスタッフもいます。
さらに、社内では昨年から麻酔業務に対する不安の声が相次いでいたにもかかわらず、上層部は「厚労省に確認済み」と主張し、スタッフの懸念を無視し続けてきたと言います。実際、書類送検されたスタッフは「何度も説明や保証を求めましたが、会社は何の対応もしませんでした」と語り、その対応の不誠実さに強い憤りを示しています。
加えて、内部から流出したとされるメモには「警察・検察」「マニュアルを改廃」「アシスタントを減らしてナースに切り替える」といった文言が記されており、その内容が社内チャットを通じてスタッフ全員に広まり、大きな混乱と不信感を招いているのが現状です。TCB内部では、今も怒りと不安が渦巻いています。
→合わせて読みたい東京中央美容外科TCBはヤバイ?やめた方がいい?その実態に迫る」
TCB美容アシスタントに配布された“麻酔マニュアル”の衝撃的な中身

週刊文春の別の記事では、東京中央美容外科(TCB)の美容アシスタント(無資格者)が実際に使用していたマニュアル(Asご案内マニュアル)の中身が詳細に報じられ、その内容が大きな波紋を呼んでいます。
(以下、週刊文春記事より要約・抜粋)
記事によると、笑気麻酔の使用に関する全工程――機器の準備、濃度の調整、患者への装着、スイッチの操作まで――を、看護師資格を持たない美容アシスタントが一人で行っていた実態が明らかにされました。あるアシスタントは「入社時からそう教えられていますし、先輩達もみんな当たり前にしています」と語っており、違法性の認識すら持たされていなかったことがわかります。
2024年に入社し、中部地方のクリニックで勤務している別の美容アシスタントも証言しています。「最初からアシスタントがやるものだって教わったので、私もダメだという認識はなかった。でも新入社員“一斉クビ切り”を報じた文春の記事が出た後に『これ、医療行為って言われたらヤバくない? 表に出たらマズいよね』ってみんな話し始めました」と明かしています。
さらに、TCBの実際の美容アシスタント用の業務マニュアルには、笑気麻酔の手順が具体的かつ詳細に記載されていました。該当ページには、器具の取り扱いやチューブの装着方法、患者への声かけの仕方などが図解付きで説明されており、特に注目すべきは「オススメのかけ方」という記載です。その中には、「無臭の空気から甘い匂いがすると伝えると、一生懸命吸ってくれるため効きが早い」「効かない人は50%に」など、笑気ガスの濃度操作にまで踏み込んだ具体的な記述が見られました。
さらに、「40%~50%=疼痛緩和 ← 業者様オススメ!」「70%=一瞬だけ切り札として使う」といった麻酔深度の調整に関する記述もあり、安全性や法令遵守の観点から極めて問題のある内容と言わざるを得ません。

↑無資格者が行うための笑気麻酔マニュアル(TCB美容アシスタントマニュアルより)
麻酔の調整は、明確に医療行為に該当する
本来、麻酔の使用やその濃度・深度の調整は、極めて慎重な判断を要する医療行為であり、医師自身が実施するか、医師の明確な指示のもと、看護師などの有資格者が行うべきものです。こうした行為を、医療資格を一切持たないスタッフが独自の判断で実施することは、明白に医師法および保健師助産師看護師法に違反しており、到底許容されるものではありません。
特に笑気麻酔など、患者の意識や痛覚に直接影響を及ぼす処置は、投与量や濃度を誤れば健康被害につながる重大リスクを伴います。にもかかわらず、無資格の美容アシスタントが「マニュアル通り」に麻酔を操作していたという実態は、医療安全の観点からも極めて深刻です。
医師であれば、この行為が法的に問題であることは明白です。こうした違法行為が組織的に容認され、それがまかり通っているのは言語道断の事態です。
TCBでは実際に患者トラブルが発生──麻酔管理のずさんさが浮き彫りに
マニュアルが詳細に掲載された週刊文春(電子版2024年9月19日)の記事内では、美容アシスタントの証言を通じて、TCB内部で実際に起きていた深刻なトラブルの一端が明かされています。これらの証言は、無資格者による麻酔管理の危険性を裏付けるものとして見過ごせません。
例えば、あるスタッフは次のように語っています。「ドクターのスケジュールが過密すぎて、笑気麻酔をかけられたまま、1時間近く放置される患者さんも珍しくありませんでした。私たちは『気分が悪くなったらナースコール押してくださいね~』と言い残して、他の作業に戻ってしまうことが常態化していました。患者さんは麻酔中で意識がぼんやりしているため、自分の状態を正確に把握できていなかったと思います」
また、別のトラブルとして挙げられているのが、笑気麻酔の濃度調整ミスによる事故です。「濃度を強くしすぎてしまい、患者さんが気を失ったケースもあると聞きました。私たちは『手足が痺れてきたら効きすぎのサインだから、その時は弱めてね』と先輩から教えられていました」と、現場の実態を語っています。
これらの証言は、単なる“教育不足”では片付けられないレベルのリスク管理の欠如を示しています。特に麻酔に関しては、わずかな判断ミスが重大な健康被害や、最悪の場合、生命に関わる結果を招く可能性があります。こうした医療安全への意識の低さが、組織全体に蔓延していたとすれば、もはや偶発的な事故ではなく、構造的な問題と捉えるべきでしょう。
まとめ
今回報じられた東京中央美容外科(TCB)の一連の問題は、TCBの現場でいかに基本的な法令遵守や安全管理が軽視されてきたかを浮き彫りにするものでした。無資格者による麻酔操作や医療行為、社内マニュアルによる誘導、そして組織としての対応の不誠実さ。いずれも患者の安全と信頼を損なう深刻な事案です。美容医療は自由診療であるがゆえに、一般の方々にはそのリスクが見えづらい面がありますが、だからこそ、クリニック側にはより高い倫理観と責任が求められます。だからこそ、患者自身が信頼できるクリニックを見極め、適切な情報収集を行うことが極めて重要です。価格や広告のイメージだけで判断するのではなく、医師の経歴、診療体制、スタッフの資格などをしっかり確認し、安心して治療を受けられる環境かどうかを見極める意識が求められています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。【関連項目】
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