投稿日:2025/10/10
(最終更新日:2025/10/10)
麻生泰医師の東京美容外科グループに60億円脱税疑惑!

私は美容外科専門医の元神 賢太(青山セレスクリニック・船橋中央クリニック院長)です。美容外科医として20年以上の経験を持つ立場から、今回は麻生泰医師が統括する「東京美容外科」グループで指摘された脱税疑惑について、一般の読者の皆様にも分かりやすいよう丁寧に解説したいと思います。麻生氏の経歴や今回の問題の背景、そして医療者として感じる問題点についてお話しします。
麻生泰の脱税疑惑:東京美容外科グループで何が起きたのか
2025年10月、麻生泰医師が統括する美容クリニックチェーン「麻生美容クリニックグループ(ABCグループ)」において、税務当局から巨額の申告漏れが指摘されました。このABCグループは全国で100以上のクリニックを展開しており、「東京美容外科」のほか、薄毛治療専門の「AGAスキンクリニック」や男性向け総合美容の「メンズライフクリニック」など複数のブランドを傘下にもつ大手美容医療グループです。税務調査の結果、約60億円もの所得が適正に申告されていなかったことが明らかになり、調査対象期間は2018年から2023年までの5年間に及びました。
調査で判明した主な不正の手口は以下の通りです:
■売上の一部除外
患者さんから受け取った治療代など、本来計上すべき売上の一部を帳簿に記載せず、所得を少なく見せかけていた。
■私的支出の経費計上
経営者らの個人的な支出をクリニックの事業経費に混入させ、本来なら個人負担すべき費用を会社の経費として計上していた。
■グループ内取引の過大計上
グループ傘下の関連法人同士で医療機器などをやり取りする際、実際よりも過大な金額で取引を記録し、経費(仕入れ額)を意図的に膨らませていた。
こうした不正行為により、グループ全体で約60億円もの所得が申告されていなかったと指摘されています。これらの手口は明確に違法であり、一部については悪質な所得隠し(事実上の脱税行為)と税務当局に判断されました。実際、大阪国税局などは同グループに対し過少申告加算税や重加算税を含め約10億円もの追徴課税を科しています。特にグループ中核の運営会社「IDEA」が意図的に売上を除外していた約3億円について、国税局は悪質な隠蔽とみなしました。なお、グループ側は「当局との見解の相違もあったが、指導に基づき修正申告と納税を完了した」とコメントして、追徴課税分は既に納められたようです。
麻生泰医師とは何者か?その経歴と東京美容外科グループ
そもそも麻生泰(あそう・とおる)とはどのような人物なのでしょうか。麻生氏は1972年生まれの美容外科医で、現在は医療法人社団東美会の理事長として東京美容外科グループの統括院長を務めています。2004年に島根県に東京美容外科の第1号院を開設して以降、グループを全国に拡大させてきた業界の有名人です。
学歴にも特徴があります。1999年に藤田保健衛生大学医学部を卒業した後、約20年の臨床経験を経て2018年に慶應義塾大学医学部大学院博士課程を修了し医学博士号を取得しています。一見すると輝かしい経歴ですが、このように最終学歴である慶應大学での博士号取得を前面に出し、あたかも「慶應出身」の医師であるかのように見せる手法は業界内で「学歴ロンダリング」と呼ばれています。実際、麻生医師自身が2023年3月にSNS上で「医師免許と慶應ブランドの両方があれば鬼に金棒ですよ。僕も学歴ロンダリング組。」と投稿し、自ら学歴ロンダリングを行ったことを公言しています。この発言とともに慶應大学の学位記(博士号証書)の写真も掲載し、自身の経歴を積極的にアピールしていました。
麻生氏の場合、出身大学(藤田医科大学※旧藤田保健衛生大)の知名度に対するコンプレックスを抱いていたとも言われ、その劣等感を払拭するためか慶應大学大学院で取得した博士号という「最終学歴」を強調する傾向があります。東京美容外科の公式サイトのプロフィールでも「慶應義塾大学医学部大学院 医学博士号取得」と大書きされている一方で、藤田大学卒業であることは付記程度の扱いです。このように経歴の一部を過度に強調して見せる姿勢からは、麻生氏が自身のブランディングやイメージ作りに非常に熱心であることがうかがえます。

↑麻生泰のX(旧ツイッターより)
医師に求められる「誠実さ」と麻生氏の姿勢
医療は「誠実さ」が最も求められる仕事です。だからこそ古来より医師の職業は「聖職」とも称されてきました。医師の倫理を語る際によく引用されるヒポクラテスの誓いにも、次のような一節があります:
「自身の利益のために不正を働かず、常に患者の利益を最優先する。」
「生涯にわたって清らかさと神聖さを保ち、医術を行う。」
(ヒポクラテスの誓いより)
この誓いが示すように、医師は自己の利益のために不正を行ってはならず、常に患者さんの利益を最優先に考えるべきだとされています。また、その職務を全うするにあたり、生涯にわたって清廉さと高い倫理観を保持することが求められます。言い換えれば、社会や患者さんから信頼される人格こそが医師には不可欠なのです。
しかし、今回明らかになった麻生氏および東京美容外科グループの行動は、こうした医療人としての倫理観とかけ離れていると言わざるをえません。前述の学歴ロンダリングに見られるように、麻生氏は自身の経歴を実際以上に見せることにも躊躇がなく、イメージ優先で事実を誤解させかねない演出すら行っています。そして納税に関しても、患者さんから預かった治療代(金銭)を本来あるべき帳簿に計上しない、不透明なグループ内取引で利益を操作する、といった不正を重ねていたことが今回の調査で判明しました。これらはいずれも、患者より自分達の利益を優先した行為であり、医療者としての誠実さを欠いたものです。
果たしてこのような経営者が運営するクリニックで、医師から語られる言葉や提案を素直に信用できるでしょうか。私自身は正直、疑問に感じます。同じ医療従事者の立場から見ても、患者さんの信頼を裏切るような行為を平然と行う経営姿勢には大きな懸念を抱かざるをえません。麻生氏が率いる東京美容外科やAGAスキンクリニック、メンズライフクリニックといった各クリニックでは、患者の利益よりも経営側の私利私欲が優先されているのではないか——そんな印象すら受けてしまいます。
合わせて読みたい:美容医療と学歴ロンダリング:本当に信頼できる医師の見分け方
まとめ
今回の脱税疑惑の報道を受け、私自身は改めて医療における誠実さの大切さを痛感しています。医師・クリニック選びに悩む患者さんには、ぜひ「その医師は本当に信頼できる人物か」「患者本位の姿勢で医療に向き合っているか」という点にも目を向けていただきたいと思います。医療は本来、患者さんとの信頼関係に成り立つ尊い仕事です。だからこそ、医療者一人ひとりが高い倫理観を持ち、不正を働かず患者のために尽くす姿勢を貫かなければなりません。残念ながら麻生氏の行動はその真逆を行くものですが、同じ業界に身を置く者として、患者の皆様にはどうか冷静に事実を見極め、信頼できる誠実な医師を選んでいただきたいと切に願っています。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。【関連項目】
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