投稿日:2024/09/03
(最終更新日:2024/09/03)

肝斑にレーザートーニングが効く理由:最も効果的な肝斑治療

肝斑のレーザートーニングビフォーアフター

肝斑(かんぱん)は、特に女性に多く見られる色素沈着で、顔の左右対称に現れる茶色や灰色がかった褐色のシミが特徴です。これらのシミは、頬、額、鼻、口の周り、顎などに頻繁に出現し、美容上の大きな悩みとなります。肝斑の治療にはトラネキサム酸の内服、ビタミンCイオン導入、レーザートーニングなどが知られていますが、特にレーザートーニングは肝斑治療において非常に効果的です。本記事では、レーザートーニングがどのように肝斑に対して有効であるかを詳しく解説し、実際の治療の流れについても触れていきます。読者の皆様に、肝斑治療の選択肢としてレーザートーニングが最適である理由を理解していただけるよう、具体的なエビデンスも交えて説明します。

レーザートーニングとは

レーザートーニングは、特に肝斑の治療において効果的とされる美容医療技術の一つで、1064nmQスイッチNdヤグレーザーを用います。このレーザーはメラニン色素に選択的に吸収される波長を持ち、皮膚へのダメージを最小限に抑えながら、低出力・低密度のレーザーエネルギーを繰り返し照射します。これにより、徐々にメラニンが分解され、色素沈着が改善されます。レーザートーニングの優れた点は、その安全性と効果のバランスにあり、治療を継続することで長期的な改善が期待できます。

多くの臨床研究が、レーザートーニングが肝斑に対して安全かつ効果的であることを示しています。例えば、2022年に発表されたある系統的レビューでは、低フルエンスのQスイッチNdレーザーを使用したレーザートーニングが、肝斑の治療において非常に有効であると報告されています。特に、メラニンの分解とともに、皮膚の再生を促進し、肌の質感やトーンを改善する効果も認められています。

出典元:The Low-Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Treatment for Melasma: A Systematic Review

レーザートーニング前後

肝斑の病理学的メカニズム

肝斑(かんぱん)は、顔面に左右対称に現れる色素沈着であり、特に頬、額、鼻、上唇などに発生します。病理学的には、肝斑は表皮および真皮におけるメラニンの沈着が特徴的です。これには、メラノサイト(メラニンを作る細胞)の過剰活性化が主な要因として関与し、結果として過剰なメラニン生成が引き起こされます。また、真皮内の炎症反応や血管拡張が、色素沈着の悪化に寄与していることも明らかになっています。また、メラニン色素が蓄積している深度により下記の3つに分類がされることがあります。

表皮型肝斑: メラニン色素が表皮に集中している。

真皮型肝斑: メラニン色素が真皮に沈着している。

混合型肝斑: 表皮と真皮の両方にメラニン色素の沈着がある。

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皮膚のメラニンを分解・吸収させる方法

肝斑の主な原因がメラニン色素の蓄積であることは既に説明しましたが、このメラニンを効果的に分解・排出するために用いられるのがレーザー治療です。メラニンは通常、正常な皮膚細胞の一部として免疫系に認識されるため、炎症がない限り、体の免疫系はこれに反応しません。そのため、異物を吸収・分解する役割をする白血球のマクロファージ細胞もメラニンを積極的に貪食しません。これにより、無治療のシミや肝斑は、時間とともにメラニンが蓄積し、色が濃くなる傾向があります。

しかし、レーザー治療では、メラニンを微細な粒子に破砕することで、免疫系がこれを異物として認識しやすくなります。破壊されたメラニン粒子は異常なサイズや形状となり、これがマクロファージの標的となります。マクロファージがこれらの粒子を取り込むことで、メラニンはリンパ系を通じて体外へ排出され、結果として色素沈着や肝斑が徐々に薄くなります。この過程により、レーザー治療は肝斑の改善に非常に効果的な方法となっています。

レーザーがメラニンだけを破砕できる理由

レーザー治療がメラニンにのみ効果的に反応する理由は、レーザーの波長特性にあります。1064nmQスイッチNdレーザーは、特にメラニンとヘモグロビンに吸収されやすい波長を持ち、この特性によりシミやあざの色素部分に集中的にエネルギーが伝達されます。レーザーエネルギーがメラニンに吸収されると、光エネルギーが熱に変わり、メラニン色素を破壊します。

さらに、この波長は皮膚の深部まで到達しやすく、深い層に存在するメラニンにも効果的です。照射されるレーザーは非常に短いパルスであるため、周囲の健康な組織にダメージを与えることなく、メラニンを効率的に破壊することが可能です。この選択的な破壊は、肌の他の部分を傷つけずに、色素沈着やシミを効果的に改善するための重要なメカニズムです。

なぜ1回のレーザー照射では肝斑が改善しないのか

一般的なシミは、強力なレーザー照射でメラニンが破砕され、マクロファージによって吸収・分解されることで、短期間で薄くなったり消えることがあります。しかし、肝斑に対してはこのアプローチが効果的ではありません。肝斑のメラニンは、表皮と真皮のさまざまな深度に分布しており、一度の照射ではすべての層に十分な効果をもたらすことができません。また、高出力のレーザーを使用すると、逆に皮膚に炎症を引き起こし、炎症後色素沈着(PIH)を悪化させるリスクがあります。肝斑は、メラニン生成の亢進だけでなく、炎症や血管の変化も関与しているため、単純にメラニンを除去するだけでは根本的な解決には至りません。そのため、低出力でのレーザートーニングを繰り返し行うことが、肝斑の治療において効果的とされています。このアプローチにより、皮膚に対するリスクを最小限に抑えながら、徐々に色素沈着を改善していくことが可能です。

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肝斑のレーザートーニングビフォーアフター

↑肝斑に対してレーザートーニング5回施術の前後

レーザートーニングが肝斑に効く理由

1064nmヤグレーザーが肝斑に効果的である理由は、このレーザーが、皮膚のメラニンをターゲットにし、特に表皮や真皮の浅い層に分布する色素沈着に働きかけるからです。以下がそのメカニズムです。

■メラニンの選択的破壊

1064nmの波長を持つQスイッチNdレーザーは、メラニンに吸収されやすい性質があります。メラニン色素がレーザーエネルギーを吸収すると、局所的な熱エネルギーが発生し、色素の破壊が引き起こされます。このプロセスは、周囲の皮膚組織にほとんど損傷を与えることなく、色素沈着を減少させます。これにより、肝斑の色が徐々に薄くなります​。

■炎症抑制とメラノサイト活動の抑制

肝斑の発症には、炎症と過剰なメラノサイトの活性化が関与しています。低フルエンス(低エネルギーで低密度)のQスイッチNdレーザーを使用することで、炎症反応を引き起こすことなくメラニンに働きかけ、メラノサイトの活動を抑制する効果があります。このように、肝斑の再発リスクを低減させることができると考えられています​。

■コラーゲン生成の促進

このレーザーの熱エネルギーは、真皮層にも作用し、コラーゲン生成を促進します。これにより、皮膚の質感が改善し、肝斑の色調が改善するだけでなく、肌全体の健康状態が向上するという副次的な効果も期待できます。

これらのメカニズムを通じて、1064nmヤグレーザーは肝斑に対して効果を発揮し、特にアジア人のように色素沈着が発生しやすい肌タイプにも適応できる治療法として広く用いられています。

 

実際のレーザートーニング治療の流れ

レーザートーニング治療は、洗顔後に仰向けの状態で行われ、看護師が顔全体に均一にレーザーを照射します。麻酔は不要で、皮膚を冷やしながらレーザーが照射されるため、痛みは最小限に抑えられます。治療中に感じる痛みはわずかで、レーザー照射自体は約5分で終了します。治療後には、ビタミンイオン導入(約15分)が推奨されます。これを1回のセッションとして、23週間おきに計5回の治療を受けることで、多くの患者が肝斑の改善を実感しています。

■副作用とリスク

治療後に軽度の赤みや腫れ、点状出血が見られることがありますが、通常は短時間で治まります。

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まとめ

このブログ記事では、肝斑に対するレーザートーニングの効果とそのメカニズムについて詳しく解説しました。レーザートーニングは一度で劇的な改善が見られる治療法ではありませんが、継続的に施術を受けることで、徐々に肝斑の改善が実感できます。また、トラネキサム酸の内服やビタミンCのイオン導入と併用することで、さらなる効果を引き出すことが可能です。肝斑治療は複雑で時間がかかる場合もありますが、レーザートーニングはその中核となる治療法として、多くの患者さんに信頼されています。この記事が肝斑に悩む皆様にとって有益であり、治療への一助となれば幸いです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。美容外科医でありながら、肌治療にも精通している。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。シミ治療、にきび、ニキビ跡治療に定評がある。

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