投稿日:2024/08/14
(最終更新日:2024/08/21)

川口ゆりアナの炎上投稿の問題点:体臭と汗についての医学的観点

川口アナ

川口ゆりアナウンサーがX(旧Twitter)に投稿した内容は、彼女の「夏場の男性の匂いや体臭が苦手」というコメントが広く批判を受け、炎上しました。男性に対して1日数回のシャワーや制汗剤の使用を求めた彼女の発言は、体臭や汗に対する偏見を助長するものとして物議を醸しています。本記事では、ワキガ多汗症を診察する医師の立場から、この発言がもたらす問題点を医学的な視点で解説します。

川口ゆりアナウンサーの人物像

川口ゆりさんは1994年生まれのフリーアナウンサーで、主にテレビやラジオで活躍しています。生まれも育ちも北海道で、北海道広告業協会のCM出演など、地域に根ざした活動が特徴です。彼女は明るい性格とプロフェッショナリズムで視聴者から親しまれており、さらにハラスメント予防の講師として企業や団体での講演も行っています。炎上事件が起こるまでは、SNSでの発言に対しても比較的オープンな姿勢を保っていました。

8月8日:川口ゆりアナウンサーの投稿内容

川口アナは、2024年8月8日午後7時台に、自身のX(旧ツイッター)に下記にように投稿。

「ご事情あるなら本当にごめんなさいなんだけど、夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」

「常に清潔な状態でいたいので1日数回シャワー、汗拭きシート、制汗剤においては一年中使うのだけど、多くの男性がそれくらいであってほしい…」

川口ゆりの実際のX投稿記事

川口ゆりさんの実際のX投稿記事

8月9日:翌日には大炎上

川口アナがXに投稿した内容は、翌日の9日午後9時までに1057万インプレッションを記録し、瞬く間に大きな波紋を呼びました。彼女の「男性の匂い」への言及は、多くの男性や屋外作業に従事する人々からの批判を集め、大炎上を招きました。

これらの声に対して、川口アナは

 「一日に何度もシャワーに入れない人もいると非難の言葉を沢山貰いますが、そういう話をしてるのではなく。気付かぬうちに不快にさせることが誰しもあるから、できる範囲で清潔感を保つことが大事」

 「特にこんな酷暑なら過剰に気をつけるくらいでもおかしくない。その例えがシャワーという話をしているのです」

 と釈明しましたが、「なぜ男性だけを対象にするのか」といった反発がさらに増幅する結果となりました。

8月10日:投稿の削除と謝罪投稿

予想を超える反響を受け、10日には川口アナの2つの投稿が削除されました。そして、11日にXを更新し、「この度は私の不用意な発言で不快にさせ、傷つけてしまった方が多くいたこと、大変反省しております。言葉を扱う仕事をしている者として未熟でした。以後、言葉で誰かを傷つけてしまうことがないように精進してまいります。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を投稿しました。

8月11日:事務所などからの解雇

11日、川口アナが所属していた事務所「VOICE」は、彼女の投稿が「異性の名誉を毀損する不適切な行為」と認定し、所属契約の維持が困難であると判断して解雇を発表しました。同社は、「言葉は人を傷つけるためではなく、勇気や愛を伝えるもの。今回の行為は言葉を扱う者としてあってはならない」と述べています。また、彼女が講師として提携していた「青山プロダクション」も同様の理由で契約を解除し、川口アナは解雇の連鎖に陥りました。青山プロダクションは声明で、彼女がこれまでにハラスメント防止研修講師としての役割を果たしてきたことに触れながらも、今回の投稿行為が契約継続を困難にしたと説明しました。

VOICE社からの発表

↑実際のVOICE社からの発表記事

芸能界からも激しい非難

タレント・フィフィは、12日までに自身のSNSで「体臭は男女関係ないよ?“男性なら貶してもいい”って環境がそうさせたのかな。というか、いちいち公で言うことではない。そんなのを言ったところで、自分の印象を下げるだけだって事がなぜ分からないか」と自身の見解をつづった。

弁護士の紀藤正樹氏も12日までに自身のSNSで「性差別解消は『男女平等論』が前提にある。川口氏は学問としてのフェミニズム(男女同権主義)の真の意味が理解できていなかったのではないか」などとつづった。  

ネット上でも、川口アナが企業向けのハラスメント講師を務めていたことに触れ、「ジェンダーハラスメントをする人物が講師を務めるのはどうか」という批判が噴出。「『男性』という限定が問題」「もし男性が同じことを女性に言っていたら、さらに大問題になっていたはず」といった声が上がっています。

川口アナに擁護の声も

川口アナの契約解消に対しては「厳しすぎる」との声もあり、議論を呼んでいます。元俳優の高知東生氏は「芸能事務所はかつて、未熟な芸能人を守り育てたが、今では切り捨てるようになった」と自身の見解を表明しました。大王製紙の元会長、井川意高氏も「体臭批判は問題だが、解雇はやりすぎ」とし、堀江貴文氏も「契約解除は過剰だ」と同調しています。ネット上でも「やりすぎでは?」といった意見が散見され、「息苦しい社会」との声も上がっています。

川口アナが無知だったこと

川口アナが非難を浴びる中で、筆者としてはこれ以上彼女を責めたくない気持ちがあります。しかし、彼女が「汗」や「体臭」に関する病気について無知であったことは指摘せざるを得ません。一般的に、大量の汗をかいた結果として体臭が発生し、シャワーで清潔にすれば体臭を抑えられると考えがちですが、これは誤解です。実際には、少量の汗でも体臭を引き起こす病気や、過剰な発汗を伴う病気が存在することを理解していない人が多いのです。

■汗をたくさんかく病気

「原発性多汗症」という病気があります。これは、特定の部位、例えばわき、顔、頭、手足などから過剰な量の汗が出る状態です。驚くべきことに、原発性多汗症は全人口の約10%に見られると言われています。多汗症の患者は、シャワーを浴びても一時的に汗の臭いが収まるだけで、すぐにまた大量の汗が出てしまいます。つまり、川口アナが述べたような「シャワーや制汗剤で解決」とはいかない深刻な問題なのです。

■少量の汗でも臭い体臭の病気

「わきが」は、まだ多くの人が誤解している体臭に関する病気の一つです。これは体を清潔に保っていないからではなく、アポクリン汗腺が原因で起こるものです。アポクリン汗腺はわき、陰部、乳輪、そしておしりに多く存在し、これらの部位からの汗が特有の臭い、いわゆる「ワキガ臭」を発生させます。それぞれのアポクリン汗腺からの汗が臭う状態を「わきが」、「すそわきが(すそが)」、「ちちが」、「けつが」と言います。アポクリン汗腺からの発汗は高温環境だけではなく、緊張時などでも著明になり、シャワーを浴びた後でも再び臭いが発生することがあります。川口アナの発言は、このような体臭についての病態についての知識が不足していた可能性があると考えられます。

多汗症もワキガも治療できるという事実

多くの人々が、川口アナのように多汗症やワキガの病態について無知であると同時に、これらの病気が治療可能であることも知らないままです。多汗症にはボトックス注射が非常に効果的で、ワキガには手術やビューホット治療が有効です。自分の発言が広く影響を与える立場にある川口アナには、シャワーや制汗剤で解決するという誤った情報ではなく、これらの病態が適切に治療可能であるという事実を発信してほしかったと感じます。

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美容外科医専門医元神賢太医師

まとめ

この記事では、大炎上を引き起こした川口アナの発言について検討しました。世間の批判の多くは、男性に対する偏見や差別を助長する内容であった点に向けられましたが、私が特に強調したいのは、川口アナのような「体臭」や「汗」に関する誤解が広まることで、ワキガや汗に関する病気に悩む人々をさらに傷つける可能性があることです。川口アナの個人的な意見は自由ですが、影響力の大きいSNSで発信すべきではなかったでしょう。

臭いに関する誤解は根強く残っています。この機会に、川口アナだけでなく、私たち全員が「汗」や「体臭」に関する病気について正しい知識を持つことが必要です。正確な情報を共有することで、偏見を減らし、病気に悩む人々への理解を深めることができるはずです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。腋臭多汗症治療はこれまで延べ1万人を超える。

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