投稿日:2025/01/04
(最終更新日:2025/01/04)

繰り返しの整形で猫顔になる理由:自然な美しさを保つために

ジョセリン・ウィルデンシュタイン

美容整形を繰り返すことで世間の注目を浴びたジョセリン・ウィルデンシュタインさんが、先日お亡くなりになりました。彼女は整形によって変化した外見から「キャットウーマン」という異名を得ましたが、これは美容整形がもたらすネガティブな側面の象徴ともいえる事例です。本記事では、彼女のように整形を繰り返すことで顔が不自然な猫顔になる理由について、美容整形の専門家である筆者が医学的な観点から解説します。

整形の象徴となった女性:ジョスリン・ワイルドステインの半生とその背景

近年、SNSの普及により、美容整形を公表し、その過程を発信することで注目を集めるインフルエンサーが増加しています。たとえば、桑田真澄さんのご子息のマットさん(Matt Roseさん)のように整形を自己表現の一環として披露し、知名度を高めるケースも珍しくありません。しかし、ジョセリン・ウィルデンシュタインさんが話題となった時代は、現在のようなオープンな整形文化とは大きく異なります。1940年、スイスのローザンヌに生まれた彼女は、1978年に美術商であり実業家の億万長者アレック・ウィルデンシュタインと結婚。その後、豪華な上流階級の生活とともに、彼女の外見がメディアの注目を浴びるようになりました。

ジョセリン・ウィルデンシュタインさんが美容整形を始めたのは結婚から約1年後に行われたと言われています。その背景には、夫アレックの興味を引きたいという思いがあったとされていますが、以降、フェイスリフトや目元の整形など、複数の美容施術を繰り返し、その総費用は数百万ドルにのぼったとされています。これらの手術は彼女の顔立ちを劇的に変化させ、次第に「キャットウーマン」や「ライオン女王」という異名を与えられるようになりました。この猫のような顔立ちは、夫アレックが「猫らしい外見」を好んだことがきっかけとされる一方で、実際には整形を繰り返した結果、顔のバランスが変わり、そう見えるようになったのが実情といえるでしょう。

しかし、夫婦関係はアレックの浮気によって悪化。1999年に二人は離婚しました。この際、ジョセリン・ウィルデンシュタインさんは和解金として25億ドルを受け取り、さらに13年間にわたり毎年1億ドルを受け取る条件で合意しました。離婚後も彼女の整形歴はメディアの興味を引き続け、整形に関する憶測が絶えませんでしたが、ジョセリン・ウィルデンシュタインさん自身は一貫して「整形はしていない」と主張し、特徴的な外見はスイス人の血筋と遺伝によるものだと語り続けました。

晩年の彼女は経済的に困難な状況に陥り、多額の離婚和解金を受け取ったにもかかわらず、2018年には破産を申請。その後はフランス・パリに移住し、20241231日、肺塞栓症により84歳で生涯を閉じました。

ジョセリン・ウィルデンシュタイン

 出典元:美容整形マニアのウィルデンシュタインさん死去 「キャットウーマン」の異名

整形を繰り返すことが「キャットウーマン顔」を生む理由

美容整形、とくにフェイスリフトや関連手術を繰り返すことで、猫のような外見が生じることがあります。この現象は、皮膚や顔の構造に過剰な力が加えられることで自然なバランスが失われる結果です。私はフェイスリフト手術を専門とする美容外科医として、以下にその具体的なメカニズムを解説します。

1.皮膚の緊張と過剰な引き上げ

フェイスリフトは、たるんだ皮膚を引き締め、若々しい外見を取り戻す目的で行われます。しかし、これを過度に、あるいは繰り返し行うことで、不自然な特徴が現れることがあります。

過剰な緊張
皮膚が必要以上に引き上げられると、目元、口元、頬の輪郭が不自然に変化します。結果として、顔の柔らかさが失われ、硬い印象を与えます。

顔の特徴の平坦化
極端な引き上げは、頬の自然な丸みを損ない、平坦な外観を作り出します。特に頬の脂肪吸引を併用した場合、この効果が顕著になります。

上向きの傾斜
過剰なリフトアップにより、目尻や口角が上向きに引っ張られることがあり、これが「つり目」や「アーモンド型の目」を生み出し、不自然な猫のような顔立ちを強調します。

2.顔の構造に及ぼす影響

手術を繰り返すことで、知らないうちに顔の基本構造が変化します。

目元とまぶたの位置
目の周囲の皮膚が引き締められすぎると、目尻が上がり、不自然な傾斜が生じます。この形状は猫の目に似ているため、猫のような外観を作り出します。

頬骨の強調
頬骨が過剰に強調されると、顔がより角ばった印象を与え、猫の特徴を思わせる外見につながります。

口元の変化
フェイスリフトの緊張が口角をわずかに引き上げ、静止した表情にも影響を与えます。この結果、常に軽く笑ったような不自然な表情になる場合があります。

3.皮膚の柔軟性と弾力性の低下

瘢痕組織の蓄積
繰り返しの手術により皮膚に瘢痕組織が形成され、柔軟性が失われます。この状態では皮膚が引っ張られやすくなり、不自然な形状が定着します。

弾力性の喪失
加齢や繰り返される施術により、皮膚の自然な弾力性が失われ、どれだけ技術が高い施術でも自然な外観を再現することが難しくなります。

4.ボリュームの減少と過剰な修正

加齢は皮膚のたるみだけでなく、脂肪、筋肉、骨量の減少も引き起こします。このボリュームの減少を補わないまま皮膚の引き締めだけに頼ると、以下のような問題が生じます。

陥没した外観
ボリュームが失われた箇所を考慮しない施術は、顔が痩せこけた印象を与え、角ばった外見がさらに目立ちます。これが猫のような顔立ちに見える一因です。

誇張されたライン
ボリュームの適切な調整が行われない場合、法令線やマリオネットラインが目立ち、不自然な仕上がりとなります。

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自然な美しさを守るために:「猫顔」のような外見を防ぐ方法

フェイスリフト手術を複数回受けたとしても、不自然な「猫顔」や「キャットウーマン顔」になるリスクを最小限に抑えることは可能です。熟練した美容外科医は、以下のポイントを徹底することで、自然な美しさを維持する施術を行います。

1.皮膚の切除量に注意を払う

皮膚の切除量が多すぎると、過剰な緊張が生じ、顔が引っ張られたような不自然な外見になることがあります。このため、特に同一部位への再手術では、皮膚の切除量を慎重に調整し、適切なバランスを保つことが重要です。切除を抑えつつ、リフトアップ効果を高める技術が鍵となります。

2.脂肪吸引やバッカルファット除去は慎重に

頬や顔の脂肪吸引、バッカルファット除去は、一時的に小顔効果を得られる施術ですが、過剰に行うと顔の自然な丸みが失われ、年齢を重ねたときに「猫顔」のような特徴が強調されるリスクがあります。特に、若い頃にこれらの施術を安易に受けると、年齢によるボリューム減少と相まって痩せこけた印象を与えることがあります。フェイスリフトと脂肪吸引を併用する際には、脂肪吸引量を最小限に抑えるべきです。また、筆者の見解として、バッカルファットの除去は特に顔の丸みを損なうため、原則として行うべきではないと考えます。

3.ボリュームの減少に適切に対応する

加齢による顔のボリュームの減少に対処せず、皮膚の引き締めだけに頼ると、頬がこけたり、不自然な引き締め感が目立つ結果となります。そのため、フェイスリフトと同時に脂肪移植やフィラーを活用して失われたボリュームを補い、顔に自然な丸みと若々しさを取り戻すことが推奨されます。これにより、全体のバランスが保たれ、自然な仕上がりを実現できます。

4.解剖学的構造の尊重

患者の元々の解剖学的構造を尊重することは、美容整形における最も重要な要素の一つです。目、唇、頬骨などの主要な構造物の位置や形状を大きく変えないことで、患者自身の個性を保ちながら、自然で調和の取れた結果が得られます。過剰な変更は、顔全体のバランスを崩し、不自然な印象を与える原因となります。

5.手術間隔を十分に空ける

手術と手術の間に十分な間隔を設けることで、皮膚や組織が完全に回復し、累積的な緊張や損傷を防ぐことができます。短期間に複数の施術を受けると、皮膚や筋肉がダメージを受けやすくなり、不自然な仕上がりにつながるリスクが高まります。回復を優先することで、より自然な結果を得ることが可能です。

6.患者教育と期待値の調整

患者が施術に対して過剰な期待を抱かないよう、十分な説明を行うことも重要です。過剰な修正を求める要求に応じることは、不自然な結果を招く可能性があります。美容外科医は患者の希望を尊重しつつも、長期的な美しさや自然な仕上がりを重視し、適切なアドバイスを行うべきです。

美容外科医専門医元神賢太医師

まとめ

キャットウーマンと呼ばれたジョセリン・ウィルデンシュタインさんの逝去は、美容整形やフェイスリフトを繰り返すことで生じるリスクとその影響について改めて考えさせる出来事になりました。このブログ記事では、整形を繰り返すことが「猫顔」を引き起こすメカニズムやリスクについて詳しく説明しました。

理想の美しさを追求しながらも、自然な外観と個性を維持するためには、過剰な施術を避けることが最も重要です。一人ひとりの顔立ちや解剖学的構造を尊重し、その人だけが持つ魅力を引き出すためには、熟練した美容外科医によるバランスの取れたアプローチが欠かせません。また、患者自身も整形に対して現実的な期待を持ち、自身の自然な美しさを大切にすることが求められます。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっているウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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