投稿日:2024/11/04
(最終更新日:2024/11/03)
小顔目的の20代、30代での切開フェイスリフトは適切か?
昨今、切開フェイスリフト手術は、20代・30代の若年層にも支持される施術となりつつあります。特にその目的が小顔効果を求める場合、フェイスリフトは頬のたるみを引き上げ、輪郭を引き締め、シャープなフェイスラインを実現する手段とされています。しかし、この手術を若い年齢で本当に受けるべきかどうかは慎重に検討すべきです。本記事では、フェイスリフト治療を1万人以上に施術し、20年以上の実績を持つ美容外科専門医である筆者が、小顔目的で切開フェイスリフトを受けるメリットとリスク、そして代替手段について、専門的な観点から徹底解説します。
切開フェイスリフト手術が小顔効果をもたらす理由
フェイスリフト手術は、皮膚や深部組織の引き上げ、脂肪の再配置・除去を通じて、顔の輪郭を整えます。その結果、より若々しく引き締まった印象を与え、「小顔」効果を実現します。具体的な理由は以下の通りです。
■SMAS層の引き上げ
フェイスリフト手術では、通常の皮膚の引き上げだけでなく、SMAS(表在性筋膜系)と呼ばれる筋膜層も同時に引き上げます。このSMAS層は、顔の構造を支える筋肉や結合組織から構成されており、頬や顎、首のたるみを効果的に改善することができます。SMASの引き上げにより、フェイスラインがシャープになり、顔全体が引き締まって小さく見える効果が得られます。
■余分な皮膚の除去
加齢や重力の影響により、顔や首周りに余分な皮膚が生じ、顎のラインや首元にたるみが現れることがあります。フェイスリフト手術では、この余分な皮膚を丁寧に除去することで、顔全体の輪郭が引き締まり、より鮮明で小顔に見える効果を生み出します。余分な皮膚の除去は、肌のハリを取り戻し、全体的な若返りにも寄与します。
■脂肪の再配置や除去
手術中に、頬の脂肪を上方に引き上げて再配置することで、頬のボリュームを適切な位置に戻し、若々しい印象を与えます。また、下顔面や顎周りの不要な脂肪を除去することで、フェイスラインをよりスリムにし、顔の輪郭を美しく整えることができます。これらの脂肪の再配置や除去が相まって、効果的な「小顔」効果が得られるのです。
これらの作用は相乗的に作用し、切開フェイスリフト手術は全体としてバランスの取れた自然な仕上がりを実現します。つまり、切開フェイスリフト手術は、単にリフトアップするだけでなく、顔全体の調和を考慮した包括的なアプローチによって、小顔効果をもたらします。
小顔効果だけを求めるフェイスリフトが若い世代に適さない理由
20代や30代で小顔目的のみのために切開フェイスリフトを受けるのは、慎重に検討すべきです。この年齢層では、肌の弾力が豊富であり、脂肪の位置も良好なため、加齢による顕著なたるみが生じていないのが一般的です。そのため、フェイスリフトの効果が期待通りに現れない可能性があるだけでなく、早期に手術を受けることで将来的に再手術の必要が生じやすくなり、身体的・経済的負担が増加する可能性もあります。
さらに、フェイスリフト手術は、加齢に伴うたるみの改善を目的とした手術であり、小顔効果はその副次的な効果に過ぎません。フェイスリフトのメリットは、たるみが顕著になってくる40代以降で最大限に発揮されるため、若年層が小顔目的だけでこの手術を選ぶのは時期尚早と言えるでしょう。
結論として、20代や30代の方が自然な若々しさを保ち、将来的に理想的な結果を得るには、顔の状態を長く維持できる他の方法を選び、必要に応じて最適なタイミングで切開フェイスリフト手術を検討することが理にかなっています。
20代・30代に最適な小顔施術はウルセラ
20代や30代の若年層にとって、切開フェイスリフトに代わる非侵襲的な施術として「ウルセラ(Ulthera)」は非常に効果的な選択肢です。ウルセラは、ハイフ(HIFU:高密度焦点式超音波)技術を用いたリフトアップ施術で、特に小顔効果を求める方に人気があります。
ウルセラの仕組みは、皮膚の深部にあるSMAS層(表在性筋膜)に高密度の超音波エネルギーを照射することで引き締め効果を得ることです。このSMAS層は、切開フェイスリフトでもターゲットとされる部位であり、たるみや輪郭を支える重要な役割を持っています。ウルセラはメスを使わずにこの層へ働きかけることで、肌表面にはダメージを与えず、内部からリフトアップ効果を実現します。
20代、30代の方々は肌の弾力が豊かで、ウルセラの施術でSMAS層が引き締まることで、フェイスラインがよりシャープになり、自然な小顔効果が期待できます。特にたるみが少ないこの年齢層では、すっきりとした輪郭を強調することで、洗練された印象を生み出します。
ウルセラはメスを使わないためダウンタイムもほとんどなく、日常生活に影響を与えることなく、小顔効果を得たいと考える若い世代に理想的な施術といえます。また、1度の遅漏で1年以上も効果が持続するため、頻繁な施術が不要で、自然な顔立ちを保ちながら、リフトアップ効果と小顔効果を実感することが可能です。
↑ウルセラの前後写真
小顔効果を強化するエラボトックス。ウルセラとの相性も抜群
ウルセラでの小顔効果に加え、さらにシャープで引き締まった輪郭を目指したい20代・30代の方には、「エラのボトックス注射」もおすすめです。この施術は、顎の筋肉である「咬筋(こうきん)」をリラックスさせ、顔の横幅をスリムに見せることで小顔効果をもたらします。特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は咬筋が発達しやすく、エラが張った顔立ちに見えることが多いため、この施術が効果的です。
エラボトックスは、咬筋にボツリヌストキシンを注入し、一時的にその活動を抑えることで、筋肉の張りが次第に緩和され、顔が細く引き締まった印象になります。ウルセラがSMAS層に働きかけ、たるみを改善しフェイスラインを引き締めるのに対し、エラボトックスは筋肉のボリュームを調整するため、両者を組み合わせることでさらに効果的な小顔効果が得られます。このコンビネーションは自然でバランスのとれた美しい輪郭を作り出し、顔立ちに変化が現れやすい若い世代に非常に人気があります。
さらに、筆者が推奨する方法では、エラボトックスの効果が半永久的に続き、持続的な小顔効果が期待できます。エラボトックスは施術時間も短く、ダウンタイムもないため、忙しい生活を送りながらも美しく引き締まった顔を保ちたい方にとって理想的な選択肢です。

↑エラボトックスの前後
切開リフトを決断する前に。スプリングスレッドを検討する価値
20代、30代の方がウルセラやエラボトックス以上の小顔効果やリフトアップを望む場合、切開フェイスリフトに踏み切る前に検討すべき施術として「スプリングスレッド」による糸リフトをおすすめします。スプリングスレッドは吸収されない特殊な糸を使用し、リフトアップ効果が長期間持続するため、若い世代でも非常に有効な小顔・リフトアップ施術です。
スプリングスレッドは、ポリエステルとシリコンでできた特殊な素材の糸を用いる非吸収性の糸リフトです。従来の吸収糸リフトと異なり、体内で分解・吸収されないため、長期にわたってリフト効果を維持できるのが特徴です。スプリングスレッドは「弾力性」もあるため、顔の動きに応じて自然に馴染む設計がされており、表情の自然さを損なわず、しっかりとしたリフトアップとフェイスラインの引き締め効果をもたらします。
具体的には、スプリングスレッドをSMAS層に挿入し、引き上げたい部位をしっかりと支え、持ち上げます。これにより、皮膚や筋膜がしっかりと固定され、ほうれい線やマリオネットラインの改善、フェイスラインのシャープさを保ちながら自然な小顔効果が期待できます。
この施術は切開を伴わないため、ダウンタイムも少なく、忙しい生活を送る若年層に適した選択肢です。さらに、スプリングスレッドによるリフトアップ効果と小顔効果は数年間持続するため、頻繁に施術を受ける手間も省け、リフトアップと小顔を長期的に維持したい方にとって理想的です。
また、スプリングスレッドは皮膚を切除しないため、将来的な切開フェイスリフトを受けることになっても、スプリングスレッドを受けたことがデメリットとはなりません。つまり、スプリングスレッドを受けた後、切開フェイスリフトを受けた場合、切開フェイスリフトの再手術のような皮膚の切除し過ぎによる不自然な顔にはなりません。

↑スプリングスレッドのビフォーアフター
まとめ
本記事は、小顔効果を求めて切開フェイスリフト手術を検討している20代、30代の方々に、慎重な判断を促すために作成しました。確かに切開フェイスリフト手術は、加齢によるたるみを改善し、シャープなフェイスラインを実現する素晴らしい施術です。しかし、この手術を若年層で行うことは、長期的な美しさと自然な仕上がりの維持においてリスクを伴う可能性があるため、適切ではありません。
若い年齢で切開フェイスリフトを受けると、その後も40代、50代、60代でたるみが再び気になり、追加の切開リフト手術が必要になるかもしれません。複数回の手術は皮膚や組織に負担がかかるだけでなく、高度な技術を持つ医師でない限り、顔が不自然に見えるリスクも増大します。
そのため、20代、30代の若い方々が小顔効果を求める場合には、切開フェイスリフトに頼るのではなく、本文で紹介したウルセラ、ウルセラ+エラボトックス、もしくはスプリングスレッドといった、ダウンタイムが少なく自然な効果が得られる方法を検討することを強くおすすめします。これらの施術は、将来的な選択肢を残しながら、美しく引き締まったフェイスラインを保つのに役立ちます。
この記事が、切開フェイスリフトを考えている若年層の皆さまにとって有益な情報となり、今後の施術選びの一助となれば幸いです。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。また、形成外科学会での勉強会においても講演をおこなっている。ウルセラについても日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。【関連項目】
えらボトックス, フェイスリフト, スプリングスレッド, ウルセラ, 切開フェイスリフト
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