投稿日:2024/08/30
(最終更新日:2024/08/30)
ニキビは軽症でも早めの治療を!皮膚科に行っても治らない理由とその対策
にきびが最初にできたとき、多くの方は「自然に治るだろう」と軽く考えがちです。しかし、なかなか治らないと感じたときに初めて、近くの皮膚科を訪れるという流れが一般的です。診察では「軽症」と診断され、ビタミン剤や漢方薬、塗り薬などの保険診療で処方される薬がたっぷりと渡され、「2週間後に再診を」と指示されます。しかし、その後も劇的な改善が見られず、再び皮膚科を訪れるものの、同じく軽症と診断され、また薬をもらい再来を繰り返す――このサイクルに陥ることが少なくありません。そして、6か月間も通院を続けた後に初めて、当初よりも改善が見られない、あるいは悪化していることに気付きます。その時点で、ようやく今の治療では効果がないことを実感するのですが、気づいたときには最初のニキビが跡となって肌に残っていることがよくあります。
このように「自然に治る」と思い込んでいたニキビが、意外にも治りにくいというのは非常に典型的な経過です。実際には、早期に適切な治療を開始することが重要であり、放置すると悪化したり、跡が残ったりする可能性が高まります。このブログ記事では、なぜ皮膚科に通ってもニキビがなかなか治らないのか、その理由と最新の治療法について詳しく解説します。適切な治療を行うことで、長引くニキビに悩む方々の肌を健康な状態に戻すための対処方法を提供します。
これまでのニキビ治療の問題点
日本では、90%以上の人が経験することから「ニキビは青春のシンボル」として捉えられ、長い間、生理的な現象として軽視されがちでした。その結果、ニキビが皮膚疾患として正しく認識されることが少なく、適切な治療が行われてこなかったという歴史があります。このような背景から、ニキビ患者が医療機関を受診する割合は全体のわずか10%程度にとどまるというデータもあります。つまり、大多数のニキビ患者が医療機関の助けを借りずに放置されている現状があるのです。
さらに問題となるのは、保険診療を行う医療機関や皮膚科医の対応です。皮膚疾患としての認識が薄い昔ながらの皮膚科医は、保険診療内で使用が認められている薬を漫然と処方するだけのことが多く、患者はたくさんの薬を処方され、その場では期待感を抱くものの、治療の効果が見られず、最終的に満足度が低い結果に終わることが少なくありません。この現状が続いている理由の一つには、医療機関自体がニキビを「軽い症状」として取り扱い、深刻な皮膚疾患としての対応が不足していることが挙げられます。
さらに軽視されているのが、いわゆる「大人ニキビ」です。大人ニキビは、しばしばホルモンバランスや生理周期との関連が指摘されるだけで、治療としては漢方薬やビタミン剤が処方されるにとどまるケースが多いのです。このように、患者が抱える問題に対して十分なアプローチが取られていない現状があります。ニキビ治療には、一人ひとりの症状に合わせた迅速な治療が求められるにもかかわらず、従来の治療法ではそのニーズに十分応えられていないという課題が浮き彫りになっています。
ニキビの治療が遅れる理由:患者の誤解とその影響
多くの人は、ニキビができたときに「こんな軽い症状でわざわざ皮膚科に行く必要はないだろう」と考えがちです。初期段階では、インターネットで検索して見つけた情報をもとに、自分で対処しようとすることがよくあります。特に、派手に宣伝されている洗顔料や市販薬に頼り、家庭での自己流の治療を行うケースが非常に多いのが現状です。しかし、このような対策は効果的でないことが多く、適切な治療を先送りにしてしまう原因となります。
時間が経つにつれて、軽度だったニキビは次第に悪化し、炎症を伴う重症な状態に進行することが少なくありません。その時点でようやく皮膚科を受診するものの、すでにニキビは深刻な状態となっており、治療に時間がかかることが多いのです。患者が治療を遅らせてしまう背景には、ネット上の誤った情報や過剰な広告に影響されていることが挙げられます。これらの情報は、実際の治療法と異なるアプローチを推奨し、結果的に症状を悪化させることに繋がっているのです。
また、「ニキビは放っておいても治るもの」という誤った認識が根強く残っていることも、治療の遅れを招く一因です。ニキビは皮膚疾患であり、適切な治療が必要不可欠です。
ニキビがなかなか治らない理由:自己判断による皮膚科受診の中断
ニキビの治療において、皮膚科で処方される保険診療薬は、炎症性の症状が見られない白ニキビ(面皰)の段階であれば、効果を発揮することがよくあります。しかし、「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」にも記載されている通り、ニキビ治療においては「維持期」の治療が極めて重要です。維持期とは、ニキビが一旦軽快した後の段階を指し、白ニキビや微小面皰が主に見られる時期です。この段階では、見た目には軽微であっても、皮膚には少数の炎症性病変や、炎症が治まりきらない紅斑が残っていることが少なくありません。
この維持期において治療を継続しないと、ニキビが再発したり、軽微な炎症が深刻な状態へと悪化するリスクがあります。つまり、表面的には改善が見られていても、根本的な治療が完了していないため、長期的な肌の健康を保つためには、面皰や微小面皰に対する治療を引き続き行うことが不可欠なのです。しかし、多くの患者は、この維持期に達した段階で「もう治った」と自己判断し、皮膚科への受診をやめてしまいます。これが結果として、ニキビが再び悪化し、なかなか治らないという悪循環を生んでしまうのです。
こうした誤解から生じる治療中断は、患者にとっても大きな負担となり得ます。適切な時期に適切な治療を続けることで、ニキビの再発を防ぎ、健康で美しい肌を長期間維持することが可能です。
ニキビが皮膚科に行っても治らない理由:皮膚科医のアプローチに潜む問題
日本皮膚科学会が発表している「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、ニキビの重症度が細かく分類されています。例えば、軽症の定義は「片顔に炎症性皮疹が5個以下」の状態とされています。しかし、一般の患者の感覚では、顔に7個や8個もの炎症性ニキビがあれば、それを「重症」と認識するのが普通です。炎症性ニキビはそのまま放置すると、ニキビ跡として永久に残る可能性が高く、肌に大きなダメージを与えます。美容皮膚科を専門とする私も、炎症性ニキビが2,3個ある段階でニキビを「重症」として扱うべきだと考えています。
ところが、ガイドラインではこの程度の状態を軽症と分類し、多くの皮膚科医がその基準に従い、保険診療のみで対応するのが現状です。保険診療内で使用される薬剤は、限られた範囲のものであり、それだけでは炎症性ニキビを根本的に治療することが難しいケースが多いです。その結果、患者は治療の効果を実感できず、炎症性ニキビが次第に増加し、症状が悪化してしまうリスクが高まります。こうした状況では、経過が長引くことでさらに深刻な状態に陥ることも少なくありません。
実際には、ガイドラインで軽症と分類される段階であっても、より積極的な治療が必要です。例えば、アグネス治療のような効果的な治療法を用いることで、ニキビ跡を残さずに効果的に治療することが可能です。ニキビは見た目以上に患者の心身に影響を及ぼす深刻な皮膚疾患ですから、皮膚科医はその重症度を慎重に判断し、保険診療の枠を超えた包括的な治療アプローチを提案すべきです。
以下に「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」で示されているニキビの重症度分類を記載します。皮疹数による判定基準は次の通りです:
軽 症:片顔に炎症性皮疹が5個以下
中等症:片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下
重 症:片顔に炎症性皮疹が21個以上50個以下
最重症:片顔に炎症性皮疹が51個以上
出典元:
より効果的なニキビ治療の選択肢:アグネス治療のすすめ
アグネス治療は、ニキビの根本原因である皮脂腺を直接ターゲットにした、非常に効果的な最新の治療法です。この治療法では、高周波(RF)エネルギーを使用して、過剰に活動する皮脂腺を選択的に破壊することで、ニキビの発生を抑えます。アグネス治療の優れた点は、白ニキビのような軽症の段階から、炎症性ニキビや最も重症とされる紫ニキビ(嚢腫)に至るまで、すべてのタイプのニキビに対して高い効果を発揮することです。
私は、ニキビが軽症のうちからアグネス治療を開始することを強く推奨します。この画期的な治療法は、ニキビに悩む多くの方々にとって、真の救いとなることでしょう。
↑アグネスの治療例
まとめ
このブログでは、軽症のニキビが自然に治るという誤解を払拭し、ニキビを早期に適切に治療するための正しい知識を提供しました。ニキビが長引くことで悪化し、やがてニキビ跡が残ってしまうリスクを防ぐためにも、軽症の段階から積極的な治療を行うことが重要です。特に、アグネス治療は、軽症の段階で始めることで症状の進行を抑え、ニキビの再発を防ぐための非常に効果的な方法です。
また、ニキビが一旦改善した後の維持期においても、アグネス治療を継続することで、再発を防ぎ、健康な肌を長期間保つことができます。ニキビ治療においては、短期的な改善だけでなく、長期的な視点でのケアが完治への鍵となります。このブログ記事が、皆さまのニキビ治療に対する理解を深め、より効果的な治療を選択する一助となれば幸いです。健康な肌を取り戻し、自信を持って日々を過ごせるよう、早期の治療開始をぜひご検討ください。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医として20年以上の経験がある。万能のニキビ治療機器アグネスを日本にいち早く導入し、これまでアグネスの治療は延べ1万人を超える。【関連項目】
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