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脱毛サロン・クリニックの相次ぐ倒産への警鐘:「安さ」の裏に潜む危険
更新日:2025/08/25
公開日:2025/08/25

最近、Yahoo!ニュースの記事で大手脱毛サロンや脱毛クリニックの倒産が相次いでいることが報じられました。たとえば、業界最大手の脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営する会社は260億円もの負債を抱えて解散手続きに入り、医療レーザー脱毛専門の「アリシアクリニック」も2024年末についに破産しました。他にも「トイトイトイクリニック」(東京・原宿ほか)が2025年1月末に突然営業停止し、その後自己破産に至っています。
こうしたニュースに接し、美容外科医として20年以上クリニックを運営してきた筆者は、「またか」と驚くと同時に、深刻な業界の問題を感じずにはいられません。倒産が報じられた事例を挙げると枚挙にいとまがありません。ミュゼプラチナムでは「通い放題100円」など極端に安価なキャンペーンで顧客を集めましたが、その広告費や店舗拡大のコストが重荷となり、運営会社は解散に追い込まれました。
医療脱毛クリニックのアリシアクリニックでは負債総額124億円、債権者(契約者)は約9万2千人に上り、戦後最大規模の消費者被害となる見込みです。同クリニックの43院すべてが営業停止となり、施術は受けられず代金の返金も極めて困難だと報じられました。またトイトイトイクリニックでは、若年層に人気を博し年商13億円規模にまで成長していながら、2025年2月に法人が破産申請し3院すべて閉院。
突然の営業停止に顧客から「泥棒!金返せ!」と怒りの声が上がり、50万円以上支払ったのに施術途中で放り出された30代女性も「早く返金してほしい」と憤っています。さらに振り返れば、近年銀座カラー(エステ脱毛大手)や脱毛ラボなども経営破綻し、エターナルラビリンスのように悪質な誇大広告で行政処分を受けた末に倒産した例もあります。男性向けのゴリラクリニックや男女対応のリゼクリニックは倒産こそ免れましたが、業界大手の湘南美容クリニックに買収され経営統合されました。
このように脱毛業界全体で「安売り競争の果ての淘汰」が起きているのです。では、なぜここまで脱毛サロン・クリニックの倒産が相次ぐのでしょうか? そしてその背景にある原因とは何でしょうか。
以下では、その根本要因を業界の内情から解説し、「安すぎる」広告に飛びつく消費者心理が招く悲劇について厳しく警鐘を鳴らします。また、こうした被害に遭わないために賢いクリニックの選び方を具体的なチェックポイントとともに提示します。美容医療初心者の皆さんにはぜひ最後までお読みいただき、安さの裏に潜むリスクを見抜く力を身につけていただきたいと思います。
価格競争と無謀な経営戦略が招く倒産の連鎖

まず押さえておきたいのは、脱毛業界における過度な価格競争が企業の経営を逼迫させている事実です。脱毛施術(特にレーザー脱毛や光脱毛)は、使用する機械の性能に大きく依存し、クリニックごとの技術差で差別化しにくい面があります。そのため価格を下げて集客する以外に差別化手段がなく、必然的に安売り競争に陥りやすいのです。
実際、急成長したトイトイトイクリニックも競合他社との価格競争に巻きこまれ、大幅な値下げを余儀なくされた結果、採算が取れなくなっていったと考えられます。公式サイトには「お試し1回100円」という破格の料金プランまで掲載されており、集客のためとはいえ常識外れの安さでした。こうした「安すぎる」サービスを提供すれば、一時的に顧客は増えても利益率は極端に低下し、ビジネスの持続性が損なわれます。
さらに、熾烈な集客競争の中で広告費の増大も経営を圧迫します。トイトイトイクリニックの場合、筆者も倒産前からネット上で同院の広告バナーを頻繁に目にしており、相当の広告費を投じていた可能性があります。広告競争の過熱は業界全体の傾向で、ミュゼプラチナムの運営会社も全国約150店舗の展開に伴う人件費・家賃負担に加え、競合との価格競争で広告費ばかりが膨らみ利益が圧迫されたことが、解散の一因と分析されています。
このように「安く見せるためのコスト」自体が経営を苦しめる悪循環に陥っているのです。経営者側の戦略にも問題があります。脱毛ビジネスでは長期コースの前払い制が一般的で、例えば「10回コース10万円」といった料金設定だと1回あたり1万円ですが、残りの9万円はまだ施術を提供していない預かり金にすぎません。
ところが、一部の経営者はこの預かり金をあたかも売上利益であるかのように錯覚し、人件費や広告費などの運転資金に充ててしまいます。本来なら将来の施術提供のために取っておくべき前受金に手を付けるため、常に新規客の前払い金で自転車操業的に回していかないと資金繰りが維持できなくなります。景気やトレンドの変化で新規契約者が減少した途端に途端に資金ショートを起こし、倒産へ一直線…という危ういビジネスモデルになっているのです。
実際、業界団体の専門家も「医療レーザー脱毛クリニックが倒産するのは広告にお金をかけ過ぎているから」であり、前払い金を広告費に充当する経営手法が問題だと指摘しています。このような利益最優先・拡大最優先の経営では、いずれ綻びが生じるのは避けられないでしょう。
参照元: 「ミュゼプラチナム」運営会社が破産手続き開始 元従業員「給料払え」
被害を受けるのは消費者:安物買いの銭失いという現実

無謀な安売り競争のツケは、最終的に消費者が被ることになります。前述のように脱毛サロンやクリニックが経営破綻すると、未消化のコース料金の返金はほぼ期待できません。残念ながら契約時に前払いしていた施術代は、法的には「破産債権」として処理されるだけで、実質的に戻ってこないのが現実です。
先述のアリシアクリニック破産でも「施術は受けられず代金の返還も極めて難しい」と報じられている通り、泣き寝入りを強いられるケースが大半です。筆者の元にも「クリニックが倒産して返金してもらえない」という相談が時折寄せられますが、法的手続き上どうにもならない場合が多いのです。被害に遭った消費者の悲痛な声はSNSやニュースでも目にします。
「50万円も払ったのに何の説明もなく施術を受けられなくなった。金返せ!」、「2週間前まで通っていたのに信じられない」等、怒りや困惑は当然でしょう。しかし厳しい言い方になりますが、筆者は倒産によって返金を受けられなくなった消費者に対し、あまり同情する気持ちにはなれません。なぜなら、そうしたケースの多くは最初から「あまりに安すぎる」広告や契約に飛びついてしまったことが発端だからです。
言い換えれば、「安物買いの銭失い」であり、自ら招いたリスクとも言えます。美容医療をこれから検討される方には、この点をぜひ肝に銘じていただきたいと思います。目先の安さに惹かれて契約を焦ってしまうと、結果的に大きな損をしかねないのです。
倒産したクリニックでは、「うちは大丈夫」と安心させる告知を出しておきながら突然音信不通になった例もあり、素人目には見抜けない巧妙さで勧誘してくる場合もあります。しかし、「安い」には必ず理由があり、その裏には何らかのリスクや犠牲が潜んでいるものです。残酷な現実ですが、一度破綻してしまったら先述の通り払ったお金は戻りません。
ですから、破綻後にいくら叫んでも手遅れであり、「次こそは失敗しない」という教訓にする以外にありません。被害に遭われた方々にはお気の毒ではありますが、筆者としては「これを機に、ものの価値を見抜く判断力を身につけてほしい」というのが本音です。過度な安さばかりに飛びつく消費行動を改めない限り、同じような被害は今後も繰り返されるでしょう。
「安さ」に惑わされないために:賢いクリニック選びのチェックポイント

では、消費者がこうしたリスクを回避し、安心して美容医療を受けるためにはどうすれば良いでしょうか? 最後に賢いクリニック選びのためのチェックポイントをいくつか提示いたします。初心者の方は特に、以下の点に注意してクリニックを比較検討してください。
運営母体の信頼性を確認する
クリニックを運営する法人の種類(医療法人か株式会社か一般社団法人か等)や、経営者の実態を調べましょう。特に最近では一般社団法人が経営母体のクリニックが増えていますが、経営が不透明なケースもあります。
実際、アリシアクリニックを運営していた法人も一般社団法人でした。法人格によって一概に良し悪しは判断できませんが、誰が経営責任を負っているのかを把握することが重要です。経営者の名前や経歴が公式サイト等に明記されていなかったり、不明瞭な場合は要注意です。
開院からの年数・実績
クリニックの設立からの年数は信頼性を測る大きな指標となります。美容クリニック業界では、残念ながら開院して2~3年で閉院や倒産に追い込まれる例も少なくありません。開院後間もないクリニックが必ずしも悪いとは言いませんが、歴史が長いほど経営基盤が安定している傾向があります。
長年続いているクリニックはそれだけ多くの患者から支持され、生き残ってきた証とも言えます。迷った場合は、創業○年以上といった老舗のクリニックを選ぶ方が無難でしょう。ちなみに当院(船橋中央クリニック・青山セレスクリニック)は開設から20年以上の歴史があり、累計約10万人の患者様にご来院いただいている実績があります。長く続くには理由があります。ぜひ一つの目安にしてください。
担当医師・院長の経歴と関与度
そのクリニックの院長医師がどんな経歴を持ち、どれくらい現場に関与しているかもチェックしましょう。ホームページの「ドクター紹介」欄などで、院長の専門分野や経験年数、資格等を確認します。例えば皮膚科・形成外科など適切な専門を持っているか、美容医療の経験は豊富か、といった点です。加えて、院長自身が経営に携わっているかも重要です。名ばかり院長で実質は外部の経営陣が運営している場合(いわゆるチェーン店形式のクリニックなど)は、現場の医療判断よりもビジネス優先になりがちです。
一方、医師自身が経営責任を負っているクリニックは、患者対応に誠実である傾向が高いと考えられます。院長がブログやSNSで情報発信していたり、自身のクリニックに長年勤務しているようなら安心材料でしょう。
料金設定と支払い方法の健全性
提示されている料金プランが不自然に安すぎないか、内容に見合った価格かを見極めましょう。相場からかけ離れた安値のコースや「◯年通い放題○○円」など極端なプランには注意が必要です。そうしたプランは先述したように事業が破綻するリスクを孕んでいますし、安価に見えても回数制限や追加料金のトリックが隠れている可能性もあります。
また、支払い方法にも注意してください。初回カウンセリング時に高額なコースの一括払いを強く勧めてくるような場合は警戒が必要です。どうしても高額コースを契約する場合でも、できれば分割払いや都度払いにしてもらう、クレジットカードで支払い(カード会社経由での救済措置が受けられる可能性があります)など、万一途中で通えなくなった場合のダメージを最小限に抑える工夫をしましょう。前述の専門家も「被害を最小限に抑えるため、一括払いは避けるべきだ」と助言しています。
内部の評判や口コミを調べる
公式サイトや広告だけでは見えない内部事情を知るために、求人サイトの口コミやSNS上の評判も確認しましょう。実際に働いていたスタッフの口コミには、そのクリニックの運営方針や労働環境が赤裸々に書かれていることがあります。筆者が確認したところ、倒産したある脱毛クリニックの社員口コミには「契約率ばかり求められ無茶な営業をさせられる」「責任者が急に退職し現場が混乱」「医師も皮膚科専門が少なく不安」等の内部告発が並んでいました。
こうした情報から、そのクリニックの利益最優先の経営姿勢や人材面の不安定さ、さらには医療の専門性の欠如といった問題点が浮き彫りになります。もちろん口コミ情報すべてを鵜呑みにする必要はありませんが、複数の口コミに共通する懸念点があれば注意が必要です。
また、一般の利用者の口コミも参考になります。「予約が全然取れない」「追加契約を執拗に勧められる」「スタッフの入れ替わりが激しい」といった声が多い場合は要注意でしょう。表面的な宣伝文句に惑わされず、裏付けとなる評判を確認する習慣を持つことが大切です。
以上のチェックポイントを踏まえてクリニック選びをすれば、リスクを大幅に減らすことができます。美容医療は決して安い買い物ではありませんし、体にも関わる重要な選択です。「安さ」や「お得感」だけに飛びつかず、時間をかけて慎重に情報収集しましょう。信頼性の高い医療機関を見極める目を養うことで、後悔のない美容医療体験が得られるはずです。
まとめ
繰り返しになりますが、安すぎる広告やキャンペーンには必ず裏があります。企業側の都合で成り立つ「見せかけの安さ」は長続きせず、結果的に消費者が被害を被る例を私は幾度となく見てきました。大手だから安心、有名だから大丈夫、安いからお得…そういった安易な思い込みを捨て、ぜひ価格とサービスの本当の価値を冷静に見極めてください。
美容医療初心者の方には不安も多いでしょうが、本記事で述べた業界の現実とクリニック選びのポイントを参考にすれば、安全で納得のいく施術に出会える確率は格段に高まります。厳しい口調になってしまいましたが、皆さんには安さに惑わされず賢く美を追求していただきたいと心から願っています。「安物買いの銭失い」にならないよう、どうかお気をつけください。
適正な価格で質の高い施術を提供している信頼できるクリニックは必ず存在します。その見極めさえ誤らなければ、美容医療はあなたに素晴らしい結果と満足をもたらしてくれるでしょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。
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