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投稿日:2024/01/20
(最終更新日:2024/01/31)

豊胸バッグ除去手術のすべて:抜去理由・ダウンタイム・痛み等について

豊胸バッグを除去すべきか、否か

乳房インプラント手術、一般に「豊胸バッグ手術」と呼ばれるものは、美容手術の分野で広く行われている人気の高い美容治療です。多くの場合、この手術は望ましい結果をもたらしますが、様々な理由から豊胸バッグの除去が必要となることもあります。本記事では、豊胸バッグの除去が求められる状況を深く掘り下げ、その手術の経過、ダウンタイム、患者が経験する痛みや不安など、豊胸バッグの乳房インプラント除去手術に関する重要な側面について詳細に解説します。

豊胸バッグ除去を受ける美容上の理由

カプセル拘縮によるバストのシワ

上記の黄色線内にあるのがカプセル拘縮によるバストのシワです

豊胸バッグを除去する決断には、いくつかの重要な美容上の理由があります。特に以下のような理由から豊胸バッグの除去手術を受ける方が多いです。

■ カプセル拘縮の問題

豊胸バッグを挿入した後、バッグの周囲に繊維質のカプセルが形成されることがあります。このカプセルが硬くなると、バストの形状が明らかに不自然になることがあります。これをカプセル拘縮と呼びます。カプセル拘縮はその程度によりさまざまな状態があります。軽度のカプセル拘縮では、胸を触った時のシワシワした触感程度の違和感ですが、中等度では皮膚表面に筋状にシワが浮き出てくる状態になります。さらに重度の場合には、ガチガチに石のような硬さになることもあり、痛みを伴うこともあります。このような不自然さや不快感を解消するために、多くの方が豊胸バッグ除去手術を選択しています。特に日本では、このカプセル拘縮による美容上の問題が、豊胸バッグ除去手術を受ける最も一般的な理由となっています。

■ 見た目と触感の不自然さ

カプセル拘縮が生じていなくても、経年変化によってバッグが劣化することがあります。特に古い型の低性能シリコンバッグや生理食塩水バッグを使用している場合、時間の経過とともにバッグの形状や質感が変わり、バストの外観が不自然になることがあります。触感に関しても、時間が経つにつれ、昔挿入されたバッグは硬化する傾向があります。これにより、触れた際の感触が不快に感じられることがあります。また、バッグ内に液体が入っていることが明確に感じられるタプタプとした触感も、不自然で不快な体験を引き起こすことがあります。

豊胸バッグ除去を受ける加齢上の理由

加齢上の理由で豊胸バッグを除去したい女性

豊胸バッグを除去する決断には、美容上の見た目だけでなく、健康や将来の事を考えた上での決断が、豊胸バッグ除去手術を受ける動機となることもあります。特に以下のような加齢上の理由から豊胸バッグの除去手術を受ける方が多いです。

■ 年齢不相応のバストの若さ

加齢によって体全体にたるみが生じた際に、豊胸手術を受けたバストだけが不自然に若々しく見えることがあります。このため、年齢に見合った自然な外観を取り戻すために、高齢の方々がバッグの除去を希望するケースがあります。

■ バッグの重さによる体への影響

加齢に伴い、大きな豊胸バッグの重量が肩こりやその他の体の負担の原因となることがあります。このため、健康上の理由からバッグを除去したいと考える方もいます。

■ 死後の扱いに関する懸念

一部の方は、死後の遺体処理において豊胸バッグが気付かれたり、火葬後の遺灰からバッグの残留物が見つかることに関して心配を抱えています。このような理由から、豊胸バッグの除去手術を選択することもあります。

豊胸バッグ除去手術の健康上の理由

豊胸バッグの除去を検討する際、健康上の理由も非常に重要な理由になることがあります。以下のような健康上の理由から豊胸バッグの除去手術を受ける方もいます。

■ カプセル拘縮による身体的不快感

カプセル拘縮は、見た目の不自然さだけでなく、痛みや不快感をもたらすことがあります。この状態は、単に乳房のみに留まらず、時には首や肩、上腕にまで放散痛として影響を及ぼすことがあります。このような痛みや不快感は、日常生活において大きな障害となり得ます。例えば、通常の活動中に突然の痛みが発生したり、睡眠中に不快感によって目覚めるなど、生活の質を著しく低下させる可能性があります。そのため、カプセル拘縮によるこれらの問題を解消するために、豊胸バッグの除去手術が選択されることが多いのです。除去手術により、痛みや不快感の原因となるカプセルを取り除くことが可能となり、より快適な日常生活を取り戻すことが期待できます。

■豊胸バッグの破裂とその影響

稀ではありますが、豊胸バッグ(豊胸インプラント)が外部からの衝撃や経年変化によって破裂することがあります。破裂は通常片側で起こるため、バストに明らかな左右差が生じることがあります。この左右差は、バッグ除去手術を希望する大きな理由となります。しかし、見た目の問題だけでなく、破裂したインプラントから内容物が周囲の組織に漏れ出ることにより、炎症や他の合併症を引き起こすリスクがあります。このような場合、感染や組織の損傷などの重篤な健康問題を避けるために、速やかに除去手術を行うことが推奨されます。

■豊胸バッグの感染

バッグやバッグ周囲に感染が生じた場合、これは単なる局所的な問題に留まらず、全身への影響を及ぼす可能性があります。このため、感染の兆候が見られた場合、迅速かつ適切な治療が必要となります。感染が確認された際には、感染源となっている豊胸バッグの除去が第一選択の治療となります。バッグ除去手術により、感染源を取り除くことで、感染の拡大を防ぎ、患者様の健康を守ることが可能となります。

■ 乳房インプラント病(BII)

乳房インプラント病(Breast Implant Illness, BII)は、豊胸バッグに起因するとされる一連の全身症状を指します。この状態になると、患者は様々な体調不良を経験することがあります。乳房インプラント病に伴う症状は多岐にわたり、それらが日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。症状には、慢性的な疲労感、関節や筋肉の痛み、皮膚の問題、呼吸困難などが含まれることがあります。これらの症状を軽減するため、豊胸バッグを除去する治療が選択されることがあります。バッグ除去手術により、乳房インプラント病に関連する症状が改善されることが期待されます。

豊胸バッグ除去手術とは

豊胸バッグ除去手術、すなわち乳房インプラントの抜去手術では通常、乳房下縁に約4センチメートルの切開を入れることで行われ、この切開を通じてバッグ(インプラント)が慎重に取り除かれます。患者の体型や豊胸バッグの位置、さらには美容的な配慮に基づき、時には脇下や乳輪周辺への切開が選択されることもあります。

豊胸バッグ除去手術は一般的に約30分程度で完了し、患者様の術中疼痛除去のために静脈麻酔が併用されることが一般的です。豊胸バッグを取り巻くカプセルの取り扱いについては、手術の目的に応じて異なります。多くの場合、カプセルはそのまま残されますが、特定の状況下ではその除去が望ましいとされることもあります。カプセルの除去については、その意義や必要性、手術への影響に関して後述します。

豊胸バッグ除去手術の痛みについて

豊胸バッグを除去すべきか、否か

豊胸バッグ除去手術に伴う痛みは、患者さんが気になる一つの重要な側面です。この手術後の痛みは一般的に軽度であり、多くの場合、バッグの挿入時の痛みと比べてかなり少ないと言われています。実際、この痛みを挿入時の痛みの約1/10程度と言われています。なぜなら、豊胸バッグの挿入時には、バッグを配置するための広範囲な剥離操作が必要で、これが組織の損傷とそれに伴う痛みの主な原因となります。対照的に、豊胸バッグ除去手術では、特にカプセル拘縮がない場合、剥離操作がほとんど必要なく、その結果、手術後の痛みも大幅に軽減されます。しかしながら、カプセル拘縮がある場合、その除去に必要な追加の剥離操作により、痛みがわずかに増加する可能性があります。このように、手術の複雑さや個々の患者の体の状態によって、痛みの度合いは異なることがありますが、概して豊胸バッグ除去手術後の痛みはそれほど強いものではありません。

豊胸バッグ除去手術後ダウンタイムついて

豊胸バッグ除去手術後のダウンタイムは、豊胸バッグ挿入時に比べて相対的に短く、多くの場合、術後の痛みと同様に非常に管理しやすく、1週間程度です。手術直後から、胸部は約1週間、専用のバンドで圧迫されることが一般的です。これは、豊胸バッグがあったスペースへの体液の貯留を防ぐ予防措置として行われます。入浴時を除いて、この圧迫は1週間継続されます。この期間中、運動や飲酒は控え、体液の貯留を効果的に防ぐことが重要です。術後1週間で抜糸が行われ、この時点で腫れや痛みは大幅に減少していることが一般的です。抜糸後の通院は必要なく、この時点で大部分の患者は日常生活に戻ることができます。このように、豊胸バッグ除去手術後のダウンタイムは、適切なケアと管理により、一般的には約1週間程度と短く抑えられます。患者の体調や回復状況によっては、このダウンタイムが若干前後することもありますが、豊胸バッグ除去手術後は通常スムーズな回復が期待できます。

豊胸バッグ除去手術後ダのアフターケアの必要性

手術後、特に注意を要するのは、豊胸バッグが配置されていたスペースに体液が貯留することがあります。この現象は水腫として知られており、場合によっては皮膚表面からの穿刺による除去が必要になることがあります。水腫が少量の場合、数ヶ月を要することがありますが、通常は特別な処置を必要とせず、体内に自然に吸収されます。体液が貯留した場合は経過が患者ごとに異なるため、適切なアフターケアと定期的な医師のフォローアップが重要です。特に、水腫の量によっては、医師が追加の処置が必要な場合もあります。このように豊胸バッグ除去手術後のアフターケアは、患者の快適性と回復の質を確保するために不可欠な要素となります。

豊胸バッグ除去手術時のカプセル摘出の必要性ついて

カプセル摘出の必要性に関する議論は、豊胸バッグ除去手術の分野で国際的な注目を集めてきました。最新の医学的研究と臨床データに基づいて、特に除去する明確な理由がなければ、カプセルを摘出する必要はないという結論に達しています。この判断に至った背景には、過去のカプセル摘出の推奨が、残存カプセル内の体液の貯留や水腫(Seroma)の形成を防ぐためであったという事実があります。しかし、最新の臨床データでは、カプセルの摘出と水腫形成の関連性は明確ではなく、カプセルを除去しても水腫が形成される可能性があることが示されています。ただ、カプセル拘縮による痛みや乳房インプラント病(BII)のような特定の症状がある場合、患者と医師はカプセル摘出の是非について十分に論議し、個別の判断を下す必要があります。カプセルを完全に除去する手術は、一般的な豊胸バッグ除去手術よりも複雑であり、大きな切開とそれに伴う長期の回復期間を必要とします。このため、カプセル摘出を行う利点が明確でない限り、その実施は通常は行われません。豊胸バッグ除去手術時のカプセル摘出の決定は、個々の患者の症状、手術後の期待される結果、および起こり得るリスクを総合的に評価した上で慎重に行うべきです。

まとめ

この記事では、豊胸バッグ除去手術について、患者にとって重要な多くの側面を詳細に検討しました。豊胸バッグの除去の理由は、豊胸バッグに関連する合併症、個人の健康やライフスタイルの変化、あるいは単純に美的な好みの変化など、多岐にわたります。また、豊胸バッグ除去手術におけるカプセル除去の是非についても詳しく解説しました。さらに、豊胸バッグ除去手術後の痛みやダウンタイム、術後のアフターケアの必要性など、患者が知っておくべき重要な情報を詳しく説明しました。この記事が豊胸バッグ除去手術を検討している方々にとって、有益な情報源となり、より知識に基づいた意思決定の手助けになることを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。

【関連項目】

豊胸バッグ除去の相談はこちら

豊胸シリコンバッグ後の拘縮

豊胸バッグ手術後のカプセル拘縮の予防方法

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