投稿日:2024/02/27
(最終更新日:2024/03/05)
カツラやウィッグ、エクステで女性薄毛が加速!【女性薄毛15】
(第14回「過度なパーマやカラーリングは要注意」からの続き)
湿った髪を放置すると蒸れて雑菌が繁殖する、髪をとかす際も摩擦がかかりやすいためダメージを受けやすい、と以前のブログでお話ししましたが、頭皮が蒸れることも髪にとってはよくありません。この記事では髪が蒸れる要因となる日常的な行動についてお話しします。
帽子とヘルメットのデメリット
頭皮が蒸れる原因としては、まず室内でもかぶりっぱなしの帽子やヘルメットなどがあります。帽子は屋外では紫外線予防の効果がありますが、室内でもかぶったままにしていると、頭皮が蒸れてしまいます。帽子やヘルメットの着用が頭皮や髪に与える可能性のあるダメージやデメリットには、以下のような医学的な側面があります
■通気性の問題
帽子やヘルメットは頭皮の通気性を低下させることがあります。これにより、汗や皮脂が閉じ込められ、頭皮の環境が不健康になる可能性があります。結果として、フケの増加や頭皮のかゆみ、脂漏性皮膚炎などが起こる可能性があります。
■摩擦によるダメージ
長時間の帽子やヘルメットの着用は、髪や頭皮に対する摩擦を引き起こすことがあります。これは特に、帽子やヘルメットがきつい場合に顕著です。摩擦は髪の毛の破損や薄毛の原因となることがあります。
■真菌(カビ)や細菌の増殖
暑い環境や汗をかく活動中に帽子やヘルメットを着用すると、湿った環境が真菌(カビ)や細菌の増殖を促すことがあります。これは頭皮の感染症や悪臭の原因となることがあります。
■牽引性脱毛症
特にヘルメットなどが引き起こすことがある牽引性脱毛症は、髪の毛に対する持続的な引っ張りによって引き起こされる薄毛の一種です。これは、主に帽子やヘルメットが髪の毛に対して継続的な圧力をかけることにより発生します。
■髪の健康
長時間の帽子やヘルメットの着用は、髪の自然な油分を取り除き、髪が乾燥して脆弱になる原因となることがあります。
■頭痛や偏頭痛
きつい帽子やヘルメットは頭部に圧力を加え、頭痛や偏頭痛の原因となることがあります。
牽引性脱毛症とは?
帽子やヘルメットは、頭皮を強く圧迫したり、髪をきつく牽引したりするようなタイプのものは特に頭皮や髪にダメージを与えてしまうので避けるべきです。牽引性脱毛症(トラクションアロペシア)は、頭皮や髪に継続的な引っ張り力が加わることによって発生する薄毛の一種です。牽引性脱毛症は以下のメカニズムにより発生します。
■毛包への機械的ストレス
牽引性脱毛症は、継続的な引っ張りによって毛包(髪の毛が生える皮膚の一部)に機械的なストレスが加わることで引き起こされます。このストレスは、ヘッドギア(帽子やヘルメット)の長時間の着用によって起きますが、髪をきつく引っ張るヘアスタイル(たとえば、ポニーテール、ブレイズ、ドレッドロックなど)でも生じます。
■血流の妨害
引っ張りによる圧力は、毛包への血流を妨害し、毛根が必要とする栄養素や酸素の供給を減少させる可能性があります。これにより、髪の成長サイクルが妨げられ、健康な髪の成長が阻害されます。
■毛周期の変化
持続的な引っ張りによって毛周期が変化し、成長期が短くなり、休止期が長くなる可能性があります。これにより、髪の毛が早期に脱落し、新しい髪の成長が遅れることがあります。
■毛包(毛根)の損傷
長期間にわたる牽引により、毛包(毛根)が永久的に損傷を受ける可能性があります。毛包が損傷を受けると、その部位からはもはや髪の毛が生えてこなくなります。
■炎症の引き金
慢性的な牽引は頭皮の炎症を引き起こすことがあり、これがさらなる毛包の損傷につながる可能性があります。
★牽引性脱毛症の初期段階では、髪への引っ張りを避けることで改善が見られることが多いですが、毛包の損傷が進行し過ぎると、薄毛は不可逆的になる可能性があります。そのため、引っ張りを伴う帽子やヘルメットの使用には注意が必要です。
カツラにはもっと注意!
帽子やヘルメットは常に被っているアイテムではありませんので、ある程度は髪の通気性は保たれます。装着している時間の長さの観点から、薄毛に最も悪い影響を与えるのはカツラです。カツラ自体は薄毛隠しとして有効なアイテムではありますが、長くかぶり続けていると帽子やヘルメット以上に頭皮が蒸れるなどのデメリットがあるのです。
カツラやウィッグの種類
カツラには全頭部型のものから部分カツラまでさまざまなタイプがあります。中でも帽子のようにすっぽりとかぶるものは特に、頭皮が蒸れて雑菌が繁殖し、炎症まで起こしてしまうことも少なくありません。これではますます薄毛が進行してしまうことになります。 また、既存の髪に編み込んで使うカツラもありますが、これはたとえ頭がかゆくても指さえ入れづらく、頭をかくこともままなりません。これでは頭皮も蒸れて、雑菌が繁殖し てしまうのは当然です。ちなみに金具のピンで既存の髪に留めて使う部分カツラや、特に若い女性に人気のエクステ、先にご紹介した人工毛を結びつける増毛法では、健康な毛にも物理的な負担がかかってしまい、牽引性脱毛症の要因にもなります。そのため、元からあった毛までが傷んで、薄毛が進行してしまう恐れがあるのです。実際、私のクリニックへも、カツラやウィッグを使ったあげく、髪が傷んでますます薄くなってしまったという患者様が見えることがあります。薄毛を隠す目的だけでなく、ヘアスタイルを楽しむために始めたエクステであっても、「地毛が傷んだ」「毛が細くなってボロボロになった」と、私のクリニックへ駆け込んでくる女性も後を絶ちません。さらに、薄毛を隠すアイテムを使っていると、「バレたらどうしよう」という不安や恐怖がいつも心の中にあるものです。それがストレスとなるなどメンタル面のデメリットもあります。
カツラやウィッグのデメリット
女性がカツラやウィッグを使用する際のデメリットには以下のようなものがあります。
■元の髪への影響
長時間のカツラやウィッグの使用は、頭皮の健康に悪影響を与えます。通気性が悪いと頭皮が呼吸できず、皮膚にさまざまな問題を引き起こすことがあります。長時間帽子やヘルメットをするのと同様に、さまざまな皮膚炎の原因にもなり、薄毛の進行を加速させます。
■不快感や頭痛
特に長時間の使用や高温多湿の環境下では、カツラやウィッグが頭皮に圧迫感や熱をもたらすことがあります。これは不快感やかゆみを引き起こすことがあります。また、ウィッグの重みによる頭痛を感じる人もいます。
■熱さと汗
ウィッグを着用すると、特に暑い季節には頭部が熱くなりやすく、発汗を促すことがあります。これは不快感やかゆみを悪化させることもあります。
■スタイリングの制限
自然な髪の毛と比べて、カツラやウィッグはスタイリングの自由度が限られていることがあります。特に安価なものは、熱によるスタイリングが難しい場合があります。
■自然さの欠如
高品質のウィッグでも、自然な髪の毛と完全に同じ見た目や感触を再現することは難しいです。このため、ウィッグを着用していることが他人に気づかれる可能性があります。
■セキュリティの問題
強風や運動中など、ウィッグがずれたり、外れたりする可能性があります。これは特に公共の場で恥ずかしい経験になることがあります。
■自信の問題
ウィッグを頼りにすることで、自分の自然な髪の毛や外見に対する自信が低下する可能性があります。
■維持管理の手間
ウィッグは定期的な洗浄、スタイリング、そして保管が必要です。これらの手間は、特に忙しい日常を送っている人にとっては負担になることがあります。
まとめ
この記事では、頭を被るアイテムである帽子、ヘルメット、カツラが引き起こす頭皮へのデメリットを中心に書きました。帽子、ヘルメットのデメリットを避けるためには、適切なサイズの帽子やヘルメットを選び、長時間の着用を避ける、定期的に洗うなどの対策が有効です。また、頭皮の健康を維持するために、帽子やヘルメットを外した際には頭皮を清潔に保つことが重要です。カツラやウィッグにおいては、元の髪へのダメージとコストの観点から、女性薄毛の専門にする医師からは全否定するアイテムです。カツラやウィッグを検討されるなら、是非元の髪を育てることを検討しましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。
【関連項目】
過度なパーマやカラーリングは要注意【女性薄毛対策ブログ第14回】
洗髪後のドライヤーとブラッシングの重要性【女性薄毛対策ブログ第13回】
薄毛対策のウソ?シャンプーについて【女性薄毛対策ブログ第11回】
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ウイッグ デメリット, エクステ デメリット, 牽引性脱毛症, 女性薄毛, カツラ デメリット
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