投稿日:2024/01/26
(最終更新日:2025/02/12)
唇のブツブツ:フォアダイスの原因・治し方・予防等について
唇にできる白いブツブツや点々。これは何なのでしょうか?性病と勘違いされて嫌な思いをしたかたもいるかもしれません。この白いブツブツは多くの場合、フォアダイスと言われているものです。この記事では唇にできるフォアダイスやブツブツについて解説します。
唇のフォアダイスとは?
フォアダイス(Fordyce spots)は、唇や性器の周辺に現れることが多い皮膚の小さく白っぽい斑点です。フォアダイス自体は、皮脂腺が通常よりも目立つようになった状態で、正常な状態です。組織学的は皮脂腺の腺房という部分が拡張している状態で、健康に何ら影響しません。
唇のフォアダイスの画像
TOPのイメージと重複しますが、こちらが唇に現れたフォアダイスです。また、別の症状と勘違いされる方もいらっしゃいますので「唇の白い点々の鑑別(フォアダイス以外のもの)」をご確認ください。
唇のフォアダイスの原因
フォアダイスは思春期以降、成長の過程で自然に発生する正常な組織であるため、原因は特にありません。あえて言うならフォアダイスの原因は不明ですが、フォアダイスがあることは正常な状態とも言えます。
唇のフォアダイスは自然に治るか?
一度できた唇のフォアダイスは、通常は自然に消えることはなく、そのままの状態が続くことが一般的です。
フォアダイスが自然治癒することはありません。
これは、フォアダイスが一度現れると、通常は大きさや数がそれほど変わらないことを意味します。そのため、自然に解消されることはあまり期待できません。ただ、加齢で皮膚の自然な変化や、皮脂腺の活動性が変わるために、時間の経過と共にフォアダイスの外観が目立たなくなることがあり得ますが。これは、非常に珍しく、一般的な現象ではありません。
フォアダイスの治し方・治療
フォアダイスは無害で、医学的な治療は必要ありません。ただし、美容上の理由で除去を希望する場合は、アグネス(選択的皮脂腺電気熱分解法)、レーザー治療など有効です。
アグネスによるフォアダイス治療
アグネスとは選択的に皮脂腺を電気熱分解して、皮脂腺を破壊する治療です。皮脂腺に対して非常に有効な治療です。フォアダイスは皮脂腺ですので、このアグネスが非常に有効です。アグネスは他の治療法と比較してダウンタイムが短いため、現在では唇のフォアダイスに対してはアグネスを第一選択の治療としています。
↑アグネスによる唇のフォアダイス治療前後(1回治療後3か月)
※副作用として術後赤みが出ることがあります。
参照元:
炭酸ガスレーザー治療(CO2レーザー)
フォアダイスの治療には炭酸ガスによるレーザー治療が一般的に用いられます。局所麻酔をしたうえで、フォアダイスをレーザーで削ります。削ったあと、約1~2週間程度で正常な粘膜により上皮化し、目立たなくなります。
電気焼灼療法(電気凝固法)
炭酸ガスレーザーの代わりに電気メスにより焼いて除去することもできます。これは高周波電気を利用してフォアダイスを焼灼する方法です。炭酸ガスレーザーと比較して、術後の痛みが強いことがあり、また、ダウンタイムが長くかかることがあります。
液体窒素凝固療法
液体窒素を用いて斑点を凍結させる方法です。電気焼灼療法と同様に、炭酸ガスレーザーがない場合に用いられる方法です。液体窒素は保険診療でCO2レーザーの代わりによく使用される治療方法ですが、微調整ができない治療であるため、除去が不十分になることがよくあります。
外科的に除去
フォアダイスが発生している部位の粘膜をまとめて切除する方法です。発生部位によっては適用です。
フォアダイスの塗り薬
フォアダイスに特化した特定の塗り薬(外用薬)はありません。ビタミンA酸(トレチノイン)クリームや抗アンドロゲンクリームなどが外用剤の例として挙げられますが、ほとんど効果はありません。
唇の白い点々の鑑別(フォアダイス以外のもの)
唇や唇周囲に現れるブツブツとして、フォアダイス以外に考えられるいくつかの状態があります。これらの状態はフォアダイスと外見が似ている場合がありますが、症状や他の特徴によって区別することができますが、正確な診断は専門医による診察が必要です。一般人向けに、フォアダイスと混同されやすいいくつかの状態を以下に挙げます。
ヘルペス性口唇炎(単純ヘルペス)
通常、痛みやかゆみを伴う小さな水疱が現れます。発熱や体の不調を伴うことがあります。水疱が破れてかさぶたになることがあります。
にきび
にきびは皮脂と死んだ皮膚細胞が毛穴を塞ぐことで発生します。赤みを帯びた炎症を伴うことが多いです。
稗粒腫(ミリア)
稗粒腫は小さな白い斑点で、通常は無害です。皮膚の下に角質が詰まって形成されます。稗粒腫は炭酸ガスレーザーにより治療可能です。
アレルギー反応または接触性皮膚炎
化粧品や食品などによるアレルギー反応が原因で発生することがあります。赤みやかゆみを伴うことが一般的です。
帯状疱疹
帯状疱疹はヘルペスウイルスが原因で、痛みやしびれを伴う発疹が現れます。一般的には、体の片側に限定して発疹が出現します。
↑ヘルペス性口唇炎。見た目が明らかにフォアダイスと違う
唇のフォアダイスの症状
フォアダイスの斑点は通常、痛みやかゆみを伴わない小さな隆起で、しばしば唇の内側の境界線に沿って現れます。性器や頬おの内側に現れる場合もあります。
フォアダイスの組織学的特徴
フォアダイスは、通常の皮脂腺と同様の組織構造を持っていますが、その位置やサイズが異なるために目立つようになります。皮脂腺には 腺房と呼ばれる構造部分があります。腺房は通常の皮脂腺に存在し、皮脂を生成して外部に分泌するための小さな袋状の構造です。フォアダイスでは、これらの腺房が通常よりも目立つ状態になっています。これは、皮脂腺が毛穴と関連していない場所、特に唇や性器などの粘膜近くで拡大しているためです。フォアダイスにおいては、これらの腺房が皮膚の表面に近く、またサイズが大きくなっているために、肉眼で見ても明瞭に識別できるようになります。要するに、フォアダイスは通常の皮脂腺と基本的な組織構造は同じですが、その位置やサイズが異なるために目立つようになるのです。そして、通常の皮脂腺とは異なり、毛穴と関連していない場所に存在することが多いです。
フォアダイスが白く見える理由
フォアダイスが白く見える理由は、組織学的な特徴によります。フォアダイスの斑点は、皮脂腺から構成されており、これが皮膚の表面に近い場所に存在します。皮膚が薄い箇所では、これらの皮脂腺が透けて見えるため、光が反射しやすく、白っぽく見えます。また、フォアダイスの斑点は皮脂を含むため、これが蓄積することで白っぽい色調を呈します。特に唇などの毛穴がない場所での皮脂腺の存在は、皮脂の外部への排出が限られるため、白く見える原因となります。
フォアダイスの発生頻度
フォアダイスは成人のかなりの割合に見られ、特に思秋期以降によく見られる現象です。フォアダイスは唇や性器を合わせた場合、成人の70%以上に見られるとされています。従ってフォアダイスは誰にでもあるものとお考え下さい。
フォアダイスができる部位
フォアダイスが現れる場所は、通常、毛穴のない粘膜近くや粘膜自体です。これは、通常の皮脂腺が存在しない領域であるため、フォアダイスが特に目立つ原因となります。フォアダイスは、皮膚の中の小さな皮脂腺の一形態です。皮脂腺は通常毛穴に並んで存在していますが、フォアダイスの場合は毛穴から独立して存在します。フォアダイスの主な発生部位は以下の通りです
唇
特に唇の内側の境界線沿いに多く見られます。上唇や下唇に現れることがあります。
性器
男性では、陰茎のサオ部分や亀頭に現れることが多いです。
女性では、小陰唇や大陰唇に出現することがあります。
口腔内
口の中の粘膜、特に舌の裏側やほほの内側にも現れることがあります。
↑頬の内側の粘膜にあるフォアダイス
フォアダイスの予防
フォアダイスは皮脂腺の一形態であり、正常な皮膚の状態であるため、特定の予防策はありません。フォアダイスができることは思春期以降に自然に現れる現象です。
唇のフォアダイスについてよくあるご質問
Q:唇の白いブツブツは人にうつるか?
A:唇の白いブツブツがフォアダイスであった場合、これが人に移ることありません。ブツブツがヘルペスの場合は、人に感染することがあるため注意が必要です。
Q:フォアダイスは保険適用されるか?
A:フォアダイスは病気ではく、正常な組織の状態の一形態であるため、除去する場合は美容目的になるため、保険適用はされません。保険診療においてはすべての美容目的に治療は健康保険の適用外になります。美容外科治療と健康保険の関係については以前のブログ記事で詳細に書きましたので、是非ご覧ください。
Q:フォアダイスにイボコロリは効くか?
A:サリチル酸を含有しているイボコロリはウオノメ(鶏眼)やタコ(胼胝)には有効ですが、それ以外の皮膚疾患に使うのは危険です。フォアダイスに対してイボコロリは無効で、正常な皮膚を傷める危険性があるので絶対に使用しないでください。また、その他の市販薬でフォアダイスに有効な薬はありません。フォアダイスの除去をしたい場合は専門の医療機関を受診してください。
Q:フォアダイスにビタミン剤は効くか?
A:フォアダイスはビタミン不足が原因という間違った情報がネット上で散見されます。これに伴い、フォアダイスにビタミン剤が有効だとする情報もありますが、これも同様に誤りです。フォアダイスがあることは正常な人間の正常な状態であり、ビタミンとの関連性はありません。
Q:フォアダイスはアグネスで除去した後は同じ部位には再発しませんか?
A:アグネスによるフォアダイス治療では1回の治療でかなり効果が現れますが、完全に除去できない場合もあります。もし残った場合は最初の治療から2か月程度あけてから再度アグネスの治療が可能です。一度除去されたフォアダイスは通常は再発しません。また、アグネス治療は既存のフォアダイスを除去することはできますが、将来的に新たなフォアダイスが同じ領域に形成されることを防ぐものではありません。皮脂腺が活動的な人では、新しい斑点が出現する可能性があります。この再発の可能性は個人によって異なります。体質や皮脂腺の活動度によって、フォアダイスの再発率は変わります。従って、治療後に新たなフォアダイスが現れたり、完全に除去されなかったフォアダイスが残ったりするため、追加の治療が必要になることがあります。
まとめ
この記事では唇のフォアダイスについてさまざまな疑問等についてまとめました。唇のフォアダイスは正常な肌の一形態であるため病気ではありません。また、成人の70%以上が体のどこかにフォアダイスがあるとされています。ただ、唇にできた場合は視覚的に目立つため、美容目的で治療を希望される場合が多いのが現状です。治療をされる場合は、美容外科や美容皮膚科での炭酸ガスレーザー治療が最もきれいに治す方法です。唇のフォアダイスについてもし悩むことがあるようでしたが、まずは経験豊富な美容外科専門医の診察を受けられることをおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、肌治療、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。ニキビに対するアグネス治療は初期を導入しており、これまで1万人以上の治療を行っている。
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