投稿日:2024/02/22
(最終更新日:2024/02/29)
胸元の赤いブツブツは何?それは血管腫かも。原因と治療方法について
胸元やデコルテに突然現れるブツブツ、これはただの肌のトラブルなのでしょうか?季節が変わり、肌の露出が増えるときに特に気になる胸周囲のブツブツやポツポツ。実はこれらには様々な原因があり、ニキビやあせもだけでなく、血管腫である可能性も考えられます。特に赤みを帯びたブツブツは、「赤いイボ」とも形容され、血管腫の可能性が高いと言えます。通常、これらは30歳を超えた大人に多く見られますが、見た目に影響がある場合、美容医療として取り除くことも可能です。この記事では、特に胸元に現れる赤いブツブツ、つまり血管腫に焦点を当て、その原因から治療法までを詳細に解説していきます。
胸にできる血管腫とは
胸部に現れる小さな赤い隆起、それは「赤いイボ」と形容されますが、医学的には「老人性血管腫」と呼ばれる皮膚病変の一つです。これらは通常、痒みを伴わず、赤いぽつぽつとした外見をしています。英語ではcherry angioma, cherry spot, ruby pointsとも表現され、その名の通り、さくらんぼのような美しい赤色をしていることからこの名が付けられました(英名のほうがセンスがよいネーミングですね)。老人性血管腫は、胸やデコルテだけでなく、背中、腕、顔にもよく見られる小さな、毛細血管の増殖によって形成される病変です。通常は1ミリメートルから5ミリメートルの大きさで、丸みを帯びた形状をしており、その色は明るい赤から濃い赤まで様々です。これらの血管腫は単発で現れることもあれば、多数が同じ部位に出現することもあり、人によって発生のパターンには大きな差があります。その房状の形状と色合いは、まさに「チェリー」の名のとおりの形状を持っています。
胸元の赤いブツブツの発生頻度について
胸元に現れる赤いブツブツ、通称「赤いイボ」の「老人性血管腫」は、30歳を過ぎると約50%の成人に何らかの形で見られる一般的な現象です。老人性血管腫は加齢とともに増加する傾向があり、特に75歳以上の人口では約75%の方々にその存在が確認されます。これは皮膚の自然な加齢現象の一つと考えられており、年齢を重ねるごとに見られることが一般的です。また、老人性血管腫は誰にでも発生する可能性があるため、既往歴の有無や人種、性別にかかわらず出現することが知られています。赤いイボは健康な人にも、過去に何らかの疾患を抱えていた人にも現れる可能性があるため、さまざまな年齢層の人々に影響を及ぼすことが分かります。
老人性血管腫の原因
老人性血管腫、しばしば「赤いイボ」と形容されるこの胸元の赤いブツブツの直接的な原因は、現在のところ明確には解明されていません。しかしながら、これまでの研究から、以下の要因が老人性血管腫の発生に関連している可能性が示唆されています。
■加齢
年齢を重ねるにつれて皮膚の変化が起こり、老人性血管腫が出現する可能性が高くなります。これは血管内皮細胞の増殖や血管の構造変化と関連があると考えられています。
■ホルモンの影響
妊娠などに伴うホルモンバランスの変化も、老人性血管腫の発生に影響を及ぼす可能性があります。特に女性ホルモンの変動は、皮膚の血管新生に影響を与えることが知られています。
■遺伝子の突然変異
遺伝的な要因も老人性血管腫の発生に関与している可能性があります。特定の遺伝子変異が血管の成長や発達に影響を与え、血管腫の形成を促すことがあります。
■化学物質への曝露
特定の化学物質への長期的な曝露も、皮膚の血管に影響を及ぼし、老人性血管腫の発生を引き起こす可能性があります。これには環境毒素や一部の薬剤が含まれることがあります。
出典元:
Cherry Angioma(Cleverland Clinic)
老人性血管腫の症状
老人性血管腫は、ほとんどの場合無症状で、かゆみを伴うことはありません。ただし、老人性血管腫に近い皮膚領域にかゆみを感じる場合は注意が必要です。その理由は、かゆみによる掻き壊しが血管腫を刺激し、出血を引き起こす可能性があるためです。したがって、老人性血管腫(赤いイボ)の周辺部分を掻かないよう心掛けることが重要です。さらに、胸部に出現するブツブツがかゆみを伴う場合、それはニキビやあせもなど他の皮膚病変である可能性があります。老人性血管腫とこれらの症状を区別することは、適切な治療法を選択するうえで重要です。また、老人性血管腫自体は治療を必要としないことが多いですが、見た目の問題や出血のリスクが気になる場合には、美容皮膚科または美容外科に相談することをお勧めします。
↑このように胸元に赤いブツブツが多発するこもあります。
出典元:
https://dermnetnz.org/topics/cherry-angioma-images
老人性血管腫の診断と検査
老人性血管腫の診断は、一般的には医師による視診で行われます。これらの血管腫はその特徴的な外観により、通常、特別な検査を必要とせずに診断が可能です。老人性血管腫は、小さな赤い隆起として皮膚に現れ、しばしば加齢と共に増加します。医師は診断の過程で、血管腫の大きさ、色、形状、そして発生している部位を観察し、ニキビや汗疹と鑑別します。また、老人性血管腫は良性の皮膚病変であるため、一般的に健康へのリスクはありません。しかし、診断の過程で、医師はもっと深刻な状態を示す可能性がある皮膚病変との鑑別診断も行います。
胸元の赤いブツブツの管理と治療
胸元に現れる赤いブツブツ、これらは老人性血管腫である可能性が高いです。老人性血管腫は、一般的に健康上のリスクを伴わないため、治療の必要性はありません。しかし、見た目に影響がある場合や、損傷により出血を繰り返す場合は、除去を検討したほうよいです。この赤いイボの除去方法にはいくつかの選択肢がありますが、中でも瘢痕を残しにくい炭酸ガスレーザーを用いた治療が特にお勧めです。他の選択肢としては、電気焼灼や液体窒素を用いた治療もありますが、これらの方法は痕跡が残りやすい可能性があります。
老人性血管腫のよくあるご質問
Q:老人性血管腫の別名は何ですか?
A:さくらんぼ血管腫、チェリー血管腫またはキャンベル・ド・モルガン斑点とも呼ばれます。
Q:老人性血管腫を除去したら再発しますか?
A: 老人性血管腫は炭酸ガスレーザーを用いた方法であれば 通常は1回で除去されますが、稀に治療後に皮膚に再発することがあります。しかし再発したとしても、無害なので心配する必要はありません。
Q:老人性血管腫が皮膚に現れるのを防ぐにはどうすればよいですか?
A:老人性血管腫の直接の原因は不明であるため、100% 成功する予防法はありません。
Q:老人性血管腫は別の病状の兆候ですか?
A:老人性血管腫は危険でも有害でもありません。皮膚に新たな腫瘍ができるのは怖いかもしれませんが、老人性血管腫はがんの兆候ではありません。
Q:赤いイボは血管ですか?
A:血管の拡張によってできた血管腫と呼ばれる隆起性の病変です。通常は老人性血管腫と考えられます。
Q:妊娠中の女性はなぜ老人性血管腫のリスクが高いのでしょうか?
A:発生の理由は不明ですが、老人性血管腫は妊娠している人によく見られます。研究によると、妊娠中の女性ホルモンとプロラクチン(下垂体で作られるホルモン)の上昇が、老人性血管腫の発生に関与している可能性があります。多くの場合、老人性血管腫は出産後に退縮(サイズが縮小するか自然に消失)します。
Q:老人性血管腫に出血がある場合はどうすればよいですか?
A:老人性血管腫は皮膚に隆起した隆起であるため、傷がつきやすく、出血や感染症を引き起こす可能性があります。老人性血管腫から出血している場合は、皮膚のその部分を傷として扱い、洗浄し、抗菌性軟膏を塗布し、絆創膏で覆います。出血を繰り返す場合は除去をおすすめします。
Q:老人性血管腫は増えるものですか?
A:加齢により一般的には増える可能性が高いです。
Q:赤イボはなぜできるのですか?
A:赤いイボと呼ばれる老人性血管腫のはっきりとした原因は不明とされています。ただ、加齢のよる細胞の再生の能力の低下、ホルモンの影響、遺伝子の突然変異、特定の化学物質への曝露などが原因なのではないかと推測されています。
Q:赤いほくろは老化によるものですか?
A:はい、シワとたるみと同様に、加齢によるものできる一般的な皮膚変化によると考えられています。
Q:老人性血管腫がある場合、どのようなことが予想されますか?
A:老人性血管腫がある場合、非常に一般的で無害であるため、見通しは良好です。老人性血管腫が気にならない限り、治療する必要はありません。
Q:老人性血管腫はいつ医療機関で診てもらうべきですか?
A:老人性血管腫は無害なので、医療機関に行って治療を受ける必要はありません。老人性血管腫が気になる場合、または引っ搔くことによる頻繁な出血がある場合は、除去について医師に相談してください。
↑老人性血管腫がこのように英名のごとくアメリカンチェリーにように見えることもあります。
まとめ
胸元に現れる赤いブツブツ、俗に「赤いイボ」と称される老人性血管腫は、加齢と共に生じる非常に一般的な皮膚の変化です。これらの血管腫は健康に害を及ぼすことはなく、加齢に伴う自然な現象の一部と考えることができます。新たな隆起が皮膚に現れたとき、心配に感じるかもしれませんが、老人性血管腫自体は健康上の問題を引き起こすものではありません。このため、見た目が気にならない限り、特別な治療や除去の必要はないといえるでしょう。もちろん、見た目に関する懸念や、稀に発生する出血などの問題がある場合は、除去を検討されてもよいと思います。通常は簡単な治療で済みますが、この場合でも経験豊富な美容外科専門医による治療をおすすめします。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。また、赤ら顔、そばかす、シミ、にきび、ニキビ跡に対しての肌治療も積極的にさまざまな治療機器を導入し、多角的に治療を行っている。
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